JP4207101B2 - 半導体封止用樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体封止用樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置に関し、特に従来一般に用いられているエポキシ樹脂封止材を難燃性、電気特性、耐リフロー性、保存安定性等において総合的に陵駕するジヒドロベンゾオキサジン系樹脂の半導体封止用樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂封止型半導体装置には、従来エポキシ樹脂がそのバランスのとれた機械特性、耐熱性、生産性の高い成形性等により広く用いられている。しかし、半導体装置の薄型高密度化や表面実装方式の普及により半導体装置に求められる特性はより厳しくなり、それに伴って封止用樹脂にもより優れた上記特性やより多くの機能が要求されるようになってきている。
そのような要求に応じるためにとられてきたエポキシ樹脂の改質方法としては、具体的には、可撓化剤での変成、アロイ化による低弾性率化、官能基密度の増加等が挙げられるが、これらの手法による改質も限界に近づきつつある。また更に近年は、環境保全の観点から、難燃性を維持する上で不可欠とされてきたハロゲン化物及びアンチモンの添加量の低減が求められている。
更に耐リフロー性の良好なエポキシ樹脂組成物は、常温での保存安定性が24時間以下と非常に短いため、低温保存が不可欠であるだけでなく、硬化性を維持するために湿度管理も必要であるなど設備管理面での負担が大きくなる。これらの点からも新しい樹脂系の開発が求められている。
【0003】
上記要求を達成する方法として、いくつかの試みがなされており、例えば、特開平2−3445号公報にはポリイミド樹脂を用いた組成物が半導体封止用樹脂組成物として例示されている。しかしながらポリイミド樹脂は可撓性、接着性が不十分であることに加え極めて高価であり成形性も劣るという欠点がある。
そこで、新規の樹脂系としてジヒドロベンゾオキサジン化合物が提案されている(特開昭49−47387号公報、米国特許5152939号明細書参照)。この化合物の硬化反応は、エポキシ樹脂と類似の、ジヒドロベンゾオキサジン環の開環重合反応を利用するものであるため、揮発分の発生を殆ど伴わないといった特徴がある。
一方、開環重合反応を利用したジヒドロベンゾオキサジン化合物の硬化物は、従来知られている熱硬化性樹脂と比較して耐熱性が良好であり、しかも高強度且つ可撓性に優れている。しかし、従来公知のジヒドロベンゾオキサジン化合物においては、硬化に長時間を要するとともに、硬化物の架橋密度が低くモールド成形直後の成形品の硬度が低く、抜型が難しいため半導体封止用途としては使いづらいものであった。特開平9−272786号公報には、硬化性が改良された樹脂組成物について開示されているが、耐リフロークラック性の向上に必要なインサート類との接着力、特にリードフレームとして用いられる42アロイとの接着性が不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる状況に鑑みなされたもので、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の特徴である機械特性や低吸水率等の諸特性を低下させることなく、インサート類特に42アロイとの接着力に優れ耐リフロークラック性が良好で、且つ一般のエポキシ樹脂封止材の問題点である難燃剤の低減及び保存安全性に優れた半導体封止用樹脂組成物及び該組成物により封止した半導体装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、芳香族ジアミンから誘導されるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂及びフェノール樹脂、並びに特定量の無機質充填材を配合することにより、硬化性すなわち硬化速度、及びモールド成形直後の成形品の硬度を飛躍的に向上でき、更にインサートとの接着力に優れ、この組成物で封止した半導体装置は耐リフロークラック性に優れることを見出した。更にノンハロゲン、ノンアンチモンでUL−94の判定V0が達成できることを見出した。
すなわち本発明は、フェノール類、ホルムアルデヒド類、及び下記(A)の群れから選ばれた芳香族ジアミンから合成されるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなり、且つこれら3成分の混合物の150℃における溶融粘度が2P以下となる熱硬化性樹脂組成物を必須成分とし、この熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、無機充填材200〜1200重量部を含有してなる半導体封止用樹脂組成物および該組成物で封止した半導体装置に関する。
(A)4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4アミノフェノキシ)ベンゼンまたはα、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、フェノール性水酸基を有する化合物とホルムアルデヒド類及び芳香族ジアミン類から合成される。
フェノール性水酸基を有する化合物としては、フェノール、o,m,p−クレゾール、キシレノール、ノニルフェノール、p−t−ブチルフェノール、オクチルフェノール等、一価のフェノール類が例示でき、これら化合物のうち1種以上を併用して用いることもできる。
また、ホルムアルデヒド源としては80%以上のホルムアルデヒド含有品、特に92%以上の濃度を有するパラホルムが枝分れの少ない樹が得られ好ましい。
芳香族ジアミン類としては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス〔(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、α、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン(通称ビスアニリン−M)等が挙げられる。これらジアミン類は単独でまたは2種以上併用して用いることもできる。特に4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いると作業性、特性向上の点で好ましく、1,3−ビス(4アミノフェノキシ)ベンゼンまたはα、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼンを用いると難燃性レベルが向上する。
【0007】
反応に用いられる溶剤として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールが挙げられる。特に、メタノールが価格、パラホルムとの親和性の点から好ましい。
上記ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成は、フェノール類とパラホルムを溶剤中で懸濁させた後、50℃〜70℃に加温し芳香族ジアミン類を15〜30分かけて添加するのが好ましい。50℃未満では、芳香族ジアミン類及びパラホルムが溶解しないままに反応が進み、未反応のパラホルム、芳香族ジアミン類が反応系内に残り好ましくない。70℃を越えると部分的に反応が進み均質な樹脂が得られない。芳香族ジアミン類を添加後、反応温度を還流温度(約80℃)に昇温し、乳化後2時間反応させる。反応終了後、減圧下で溶剤及び水分を除去しジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得る。
上記反応において、使用する溶剤の量は、パラホルムの量の0.5倍〜2倍、特に1.0倍〜1.5倍が好ましい。0.5倍未満では、パラホルムの未溶解部分が多く、均一に反応しないため樹脂中に未反応原料が残り、特性の優れた樹脂は得られない。また2倍を越える場合には、反応で副生する水を除去するのに時間がかかり過ぎる等の問題が生ずるので好ましくない。
上記のジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、150℃以上、望ましくは170〜220℃に加熱することにより、触媒や硬化剤を用いないでも、副生成物を生じることなく硬化する。
【0008】
本発明に用いられるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、150℃での溶融粘度が3P以下、好ましくは2P以下のものが用いられ2種類以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いられるエポキシ樹脂としては、150℃での溶融粘度が6P以下のもの、好ましくは3P以下のエポキシ樹脂が用いられる。特に好ましくは1分子中にエポキシ基を2個有するエポキシ樹脂を用いることで、例えばビフェニル系エポキシ樹脂、ビスフェノールA系エポキシ樹脂が挙げられる。また必要により1分子中にエポキシ基を3個以上有するエポキシ樹脂を併用することもでき、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂或いはサリチルアルデヒド系エポキシ樹脂等がある。特に好ましくは結晶性を有するビフェニル型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂が作業性が良好で高接着力が得られる。
上記エポキシ樹脂の配合割合は、樹脂分全体の3〜70重量%、更に好ましくは5〜60重量%である。3重量%未満であると架橋密度が低く、成形直後の成形品に十分な硬度が得られず、70重量%を越えると吸水率が上昇する。
本発明において、前記熱硬化性樹脂に配合されるフェノール樹脂としては、150℃での溶融粘度が3P以下、特に好ましくは2P以下のフェノール樹脂が用いられる。フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、キシレン変性フェノール樹脂、ナフトール変性フェノール樹脂、ナフタレン変性フェノール樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂、あるいはメラミン変性フェノール樹脂等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
特に好ましくは、キシリレン変性フェノール樹脂、キシレン変性フェノール樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂が低粘度で充填材の高充填が可能であるとともにフェニル骨格が多く存在するため難燃性の点で有利である。
【0009】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、それ自体自硬化性であるが硬化反応が遅い。そこで、フェノール樹脂を樹脂分全体の10〜30重量%、好ましくは15〜25重量%配合することにより、機械特性を低下させずに硬化性を向上させることができる。フェノール樹脂が10重量%未満の場合は十分な硬化性が得られず、30重量%を越えると硬化性は向上するが吸水率が増加し、機械特性が低下することがある。
本発明では、上記ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂をそれぞれ所定量配合させてなる熱硬化性樹脂組成物であり、且つこの熱硬化性樹脂の150℃での溶融粘度が2P以下となることが良好な硬化性及び成形性を得るために重要である。溶融粘度が2Pを超えると無機充填材の充填が困難となり、成形不良を生じ易い。
本発明において用いられる無機充填材としては、溶融二酸化珪素粉末、硼酸亜鉛、及び水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上の混合物として用いられる。溶融二酸化珪素粉末は、球状のもの又は破砕状のもののいずれをも用いることができ、あるいは両者を併用することも可能である。その粒径は0.5〜30μmが適当であり、この範囲を逸脱すると強度の低下あるいは成形不良が生じる。また、予め所定のカップリング剤で表面処理した無機充填材を使用することもできる。無機充填材の配合量は、熱硬化性樹脂100重量部に対し、200〜1200重量部、更に好ましくは300〜800重量部が適当である。200重量部未満では強度の低下及び熱膨張係数の低減効果の低下が見られ、1200重量部を越えると成形が困難となる。
【0010】
本発明の半導体封止用樹脂組成物には、必要に応じ、硬化促進剤、離型剤、接着付与剤、着色剤、難燃剤等の添加剤を配合することができる。
硬化促進剤としては、カテコール、ビスフェノールA等の多官能フェノール化合物、p−トルエンスルホン酸、p−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、アジピン酸等のカルボン酸類、コバルト(II)アセチルアセテート、アルミニウム(III) アセチルアセテート、ジルコニウム(IV)アセチルアセトネート等の金属錯体、酸化カルシウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化鉄等の金属酸化物、水酸化カルシウム、イミダゾール及びその誘導体、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の第三級アミン及びこれらの塩、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン・ベンゾキノン誘導体、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボロン塩、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のリン系化合物及びその誘導体が挙げられる。これらは1種で又は2種以上の混合物として用いられる。硬化促進剤の配合量は、熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下であり、5重量部を超えると吸水率の増加及び保存安定性が悪化する。
【0011】
離型剤としては、ポリエステル系ワックス、モンタン酸エステルワックス、カルナバワックスやポリエチレンワックス等が、着色剤としてカーボンブラック等を用いることができる。
接着付与剤としては、シランカップリング剤、例えばアミノシラン、ジアミノシラン、トリアミノシラン、ウレイド変性アミノシラン、ビニルシラン、ビニルベンジルアミノシラン、ベンジルアミノシラン、カチオニックシラン、エポキシシラン、アニリノシラン等が挙げられる。これらは1種で又は2種以上の混合物として用いられる。また、必要に応じて一般に用いられている難燃剤を配合することもできる。
【0012】
従来のエポキシ樹脂系半導体封止用樹脂組成物では、難燃性を付与するために臭素系エポキシ樹脂および三酸化アンチモンが用いられてきたが、本発明の樹脂組成物ではノンハロゲン、ノンアンチモンでUL−94のV−0が達成できる。
上記組成物を用いて半導体素子を封止する方法としては、特に制限はないが加熱ロール等により60〜120℃で混練し、しかる後に金型内に半導体素子を配置し、次いで樹脂混練物を160〜220℃、成形圧20〜120kgf/cm2 で1〜10分間圧縮成形又は移送成形することにより成形し、更に160〜220℃で1〜6時間後硬化させることにより、樹脂封止型半導体装置が得られる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例及びその比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1〜6、比較例1〜6
[1]ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成(I)
フェノール0.94kg(10mol相当)、メタノール900ml、95%パラホルム0.63kg(20mol相当)を混合し、加熱還流して、パラホルムをフェノールに懸濁する。懸濁液を加温し50℃になった時点で、4,4’−ジアミノジフェニルメタン0.99kg(5mol相当)を分割して添加する。添加終了後、反応温度を上昇させ還流させる。反応液は乳化する。乳化してから反応を2時間継続する。反応終了後、減圧下に溶剤及び副生成した水を留去し、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た(溶融粘度:1.2P/150℃)。
[2]ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成(II)
o−クレゾール0.65kg(6mol相当)、メタノール800ml、95%パラホルム0.4kg(12mol相当)を混合し、加熱還流しつつパラホルムを懸濁させる。懸濁液が50℃になったら、ビスアニリン−M(三井化学ファイン(株)製)1.03kg(3mol相当)を分割して添加する。その後上記[1]と同様な方法でジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を得た(溶融粘度:1.8P/150℃)。
[3]ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成(III)
ビスフェノールF1.0kg(5mol相当)、アニリン0.93kg(10mol相当)をメチルエチルケトン0.5kg中で混合し、80℃で5時間撹拌し、均一な混合溶液を調整した。5リットルフラスコ中に、ホルマリン1.62kgを仕込み90℃に加熱し、ここへ前記ビスフェノールF/アニリン/メチルエチルケトン混合溶液を30分間かけて少しずつ添加した。添加終了後30分間、還流温度に保ち、然る後に100℃で2時間6666.1Pa以下に減圧して縮合水を除去し、反応し得るヒドロキシル基の75%がジヒドロベンゾオキサジン化された熱硬化性樹脂を得た(溶融粘度:0.8P/150℃)。
【0014】
[4]ノボラック型フェノール樹脂の合成(A)
フェノール2.4kg、ホルマリン(37%水溶液)0.13kg,パラホルム0.5kg、シュウ酸3gを5リットルフラスコに仕込み、還流温度で4時間反応させた。引き続き、内部を6666.1Pa以下に減圧して未反応のフェノール及び水を除去した。(溶融粘度:2P/150℃)。
[5]エポキシ樹脂
ビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ(株)製 商品名YX−4000H エポキシ当量:192g/eq 溶融粘度:0.1P)
ビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄化学(株)製 商品名ESLV−80XY エポキシ当量:186g/eq 溶融粘度:0.1P)
[6]フェノール樹脂
キシリレン型フェノール樹脂(三井東圧化学(株)製 商品名XL−225−3L 水酸基当量:171g 溶融粘度:1.5P)
ビフェニル型フェノール樹脂(明和化成(株)製 商品名MEH−7851 水酸基当量:192g 溶融粘度:1.5P)
【0015】
[7]その他の配合物
硬化促進剤としてはトリフェニルホスフィン・ベンゾキノン誘導体(北興化学(株)製商品名P2)を使用した。
シランカップリング剤として、γ−グリドキプロピルトリメトキシシランとメチルトリメトキシシランの混合物を用いた。
また、充填剤として、平均粒径25μmの球状溶融シリカ(マイクロン(株)製 商品名S−COX−31)、平均粒径10μmの球状溶融シリカ(龍森(株)製 商品名FB−301)及び平均粒径0.7μmの球状溶融シリカ((株)アドマテックス製 商品名SO−25R)を7:2:1で混合したものを用いた。
【0016】
[硬化]
表1に示す配合組成により原材料を混合し、二軸加熱ロールを用いて90℃で15分間混練後これを粉砕し、粉末状の樹脂組成物を作製した。なお、樹脂組成物中の溶融二酸化珪素粉末の充填量は、標準80容積%とした。
次いで、移送成形機の金型キャビティ内に半導体素子を配置し、175℃、70kgf/cm2 、90秒間の条件で上記金型内で各樹脂組成物の移送成形を行い、QFP54ピン(外寸20mm×14mm×2mm、リードフレーム材質42アロイ、半導体素子寸法8mm×10mm)の半導体装置を得た。また175℃、6時間の条件で後硬化を行った。
【0017】
[特性評価]
樹脂組成物の機械特性、耐熱性、難燃性、接着性等の一般特性を知るため、上記と同条件で板状の硬化物である試験片も作製した。
硬化物の特性は、機械特性・電気特性についてはJIS K6911に準じ、難燃性についてはUL−94に準じて測定した。
溶融粘度については、コーンプレート粘度計を用い、150℃の粘度を測定した。熱時硬度については、175℃で90秒間モールド成形した直後の成形品の硬度を測定した。
保存安定性については、樹脂組成物を25℃50%RH高温槽中に放置し、スパイラルフローが90%になる時間を測定した。
耐リフロークラック性は、成形した半導体装置を85℃、85%RHの条件下で吸湿させた後、215℃で90秒間の熱処理を行い(リフロークラック試験)パッケージクラックの発生率(半導体装置5個当たりのパッケージクラックを生じた半導体装置の数)を求め、半導体装置の耐湿信頼性を評価した。
以下、各実施例、比較例における配合組成、測定結果を表2に示す。なお、配合組成すべて重量部で示した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】
【発明の効果】
本発明の半導体封止用樹脂組成物を用いることにより、インサート類特に42アロイとの接着力に優れ耐リフロークラック性が良好で、且つ一般のエポキシ樹脂封止材の問題点である難燃剤の低減及び保存安全性に優れた半導体封止用樹脂組成物及び該組成物により封止した半導体装置を提供することが可能になった。
Claims (5)
- フェノール類、ホルムアルデヒド類、及び下記(A)の群れから選ばれた芳香族ジアミンから合成されるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれるエポキシ樹脂及びフェノール樹脂からなり、且つこれら3成分の混合物の150℃における溶融粘度が2P以下となる熱硬化性樹脂組成物を必須成分とし、この熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、無機充填材200〜1200重量部を含有してなる半導体封止用樹脂組成物。
(A)4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4アミノフェノキシ)ベンゼンまたはα、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン - フェノール類、ホルムアルデヒド類、及び下記(A)の群れから選ばれた芳香族ジアミンから合成されるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂及びキシリレン変性フェノール樹脂、ビフェニル変性フェノール樹脂またはキシレン変性フェノール樹脂から選ばれるフェノール樹脂からなり、且つこれら3成分の混合物の150℃における溶融粘度が2P以下となる熱硬化性樹脂組成物を必須成分とし、この熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、無機充填材200〜1200重量部を含有してなる半導体封止用樹脂組成物。
(A)4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,3−ビス(4アミノフェノキシ)ベンゼンまたはα、α’−ビス(4−アミノフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン - ホルムアルデヒド類が92%以上のホルムアルデヒドの含有量であるパラホルムである請求項1または2記載の半導体封止用樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれか記載の半導体封止用樹脂組成物を硬化して得られる樹脂硬化物。
- 請求項1〜3のいずれか記載の半導体封止用樹脂組成物により封止してなる樹脂封止型半導体装置。
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