JPH0853601A - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物

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JPH0853601A
JPH0853601A JP18845494A JP18845494A JPH0853601A JP H0853601 A JPH0853601 A JP H0853601A JP 18845494 A JP18845494 A JP 18845494A JP 18845494 A JP18845494 A JP 18845494A JP H0853601 A JPH0853601 A JP H0853601A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化
促進剤、無機質充填材及びシランカップリング剤を必須
成分とするエポキシ樹脂組成物が、示差走査熱量計での
発熱開始温度が130℃以上で、かつ発熱ピーク温度が
150〜180℃の特性を有する半導体封止用エポキシ
樹脂組成物。 【効果】 硬化性、保存性を両立でき、成形時のピンホ
ール・ボイドの発生を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は成形性、保存性に優れた
半導体封止用エポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】IC,LSI等の半導体素子の封止に
は、エポキシ樹脂組成物のトランスファー成形による方
法が低コスト、大量生産に適していることから採用さ
れ、信頼性の点でもエポキシ樹脂や硬化剤であるフェノ
ール樹脂の改良により特性の向上が図られてきた。しか
し、近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場
動向において、半導体の高集積化も年々進み、また半導
体パッケージの表面実装化が促進されるなかで、半導体
封止材料への要求が益々厳しいものとなってきている。
このため、従来の封止材料では解決できない問題点もで
てきている。一番目の問題として、パッケージの薄型化
に伴い、パッケージ中に占める半導体封止材料の厚みが
一段と薄くなってきたことであり、例えば1mm厚のT
SOPの場合など、チップ上面に形成される封止材料の
硬化物の厚みは0.2〜0.3mm程度となる。このた
めに、硬化物中にピンホールやボイド(空洞)が存在す
ると耐湿信頼性、電気絶縁性が著しく低下してしまう。
【0003】従来よりピンホール・ボイドに関しては、
タブレット変形や流動樹脂の乱流による成形時のエアー
の巻き込み、あるいはタブレット中に含まれる水分が原
因として考えられてきた(特開昭63−237910号
公報、特開昭64−61028号公報、特開平1−12
9424号公報等)。しかし、エアーの巻き込み防止や
タブレット吸湿の防止等の従来手法では確かにピンホー
ル・ボイドを低減できる効果があるが、皆無とはなら
ず、特に薄型パッケージ(0.2mm以下)で問題とな
るピンホール・ボイドを発生させないための更なる改良
が望まれている。二番目の問題として、半導体パッケー
ジの表面実装の採用によりパッケージが半田浸漬、ある
いはリフロー工程で急激に200℃以上の高温にさらさ
れ、このためにパッケージが割れるという現象が生じて
きている。この半田耐熱性の向上策として、無機質充填
材の配合量の増量による強度の向上、線膨張係数の低下
が挙げられる。しかしながら、無機質充填材を多く取り
込むためには、用いるエポキシ樹脂及びフェノール樹脂
硬化剤の軟化点及び溶融粘度を下げなければならない。
このために、エポキシ樹脂組成物の保存性が短縮すると
いう弊害が生じてきている。これを防ぐために硬化促進
剤の添加量を減少させることが試みられているが、これ
を行うことにより硬化性が低下し、バリの増加、離型性
等が低下するという現象が生じる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】半導体パッケージ成形
時のピンホール・ボイドの発生原因及び硬化性、保存性
の相関につき種々の検討を行った結果、これらは示差走
査熱量計でのエポキシ樹脂組成物の発熱開始温度及び硬
化時の発熱ピーク温度と相関関係があることが明らかに
なった。この硬化時の発熱ピーク温度をコントロールす
ることでピンホール・ボイド、硬化性、保存性を制御す
ることが可能なことを見い出した。即ち、本発明はピン
ホール・ボイドが少なく、硬化性、保存性共に両立した
半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供するものであ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、エポキシ樹
脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、無機質充填材
及びシランカップリング剤を必須成分とするエポキシ樹
脂組成物が、示差走査熱量計での発熱開始温度が130
℃以上で、かつ発熱ピーク温度が150〜180℃の特
性を有する半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。
【0006】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられるエポキシ樹脂は、エポキシ基を有するモノマ
ー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、その分子量、分
子構造等には特に限定されない。例えばビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、オル
ソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型
エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、
ハイドロキノン型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これ
らに限定されるものではなく、またこれらのエポキシ樹
脂は単独もしくは併用しても差し支えない。フェノール
樹脂硬化剤は、上記エポキシ樹脂と硬化反応を行い架橋
構造を形成することができるフェノール性水酸基を有す
るモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、その分
子量、分子構造等には特に限定されない。例えばフェノ
ールノボラック樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹
脂等のフェノールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノ
ール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、
ビスフェノールA、トリフェノールメタン等が挙げられ
るが、これらに限定されるものではない。これらのフェ
ノール樹脂硬化剤は単独もしくは併用しても差し支えな
い。
【0007】硬化促進剤としては、上記エポキシ樹脂と
フェノール樹脂硬化剤との架橋反応の触媒となるもので
あり、例えば1,8−ジアザビシクロウンデセン等のア
ミン系化合物、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフ
ィン化合物、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール
化合物等が挙げられる。これらの硬化促進剤は単独もし
くは併用しても差し支えない。無機質充填材としては、
溶融シリカ粉末、結晶シリカ粉末、アルミナ、窒化珪素
等が挙げられる。これら無機質充填材の配合量は成形性
と信頼性とのバランスから全エポキシ樹脂組成物中に7
0〜90重量%含有することが好ましい。特に充填材量
の多い配合では、球状の溶融シリカを用いるのが好まし
い。シランカップリング剤としては、例えばγ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメトキ
シシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられる
が、これらに限定するものでなく、またこれらは単独も
しくは併用しても差し支えない。
【0008】本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂硬化剤、硬化促進剤、無機質充填
材及びシランカップリング剤を必須成分とするが、これ
以外にも必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、三酸化アン
チモン等の難燃剤、カーボンブラックに代表される着色
剤、天然ワックス及び合成ワックス等の離型剤、シリコ
ーンオイル、シリコーンゴム、合成ゴム等の低応力添加
剤を適宜配合しても差し支えない。成形材料化するに際
しては、加熱ニーダや熱ロールにより全組成物を加熱混
練し、続いて冷却、粉砕することにより目的とする半導
体封止用エポキシ樹脂組成物が得られる。
【0009】本発明の最も重要な点は、エポキシ樹脂組
成物の硬化時の示差走査熱量計での発熱ピーク開始温度
が130℃以上であり、かつ発熱ピーク温度が150℃
〜180℃であることである。発熱開始温度が130℃
未満、発熱ピーク温度が150℃未満だと下記の問題点
が生じる。 ゲル化が速すぎるために、成形時に巻き込んだエア
ー及びエポキシ樹脂組成物中に含まれる揮発性有機物が
成形時に気化・揮発し、充分に放出される前に硬化する
ため、キャビティー内に残留し、ピンホール・ボイドと
なり耐湿信頼性、電気絶縁性が著しく低下してしまう。 流動性が低下し充填不良が生じる。 反応性が活発なため保存性が低下する。 又、発熱ピーク温度が180℃を越えるとゲル化が遅く
なり下記の問題点が生じる。 粘度が低いため、成形時に空気を巻き込み易くなり
ピンホール・ボイドが増加する。 硬化不良となりバリ、離型性等に問題が生じる。 成形時間が長くなる。 従って、発熱曲線を制御することによりピンホール・ボ
イドを減少させ、なおかつ硬化性、保存性が両立した材
料を作成することができる。本発明での発熱開始温度、
発熱ピーク温度とは、示差走査熱量計(セイコー電子工
業(株)製)を用い、試料10mg前後を精秤し、昇温速
度10℃/分で測定したものである。本発明でいう発熱
開始温度は、硬化前の吸熱状態でのカーブの最下点での
接線と発熱ピークの立ち上がり側の接線との交点であ
る。図1に発熱開始温度、発熱ピーク温度を示す。
【0010】発熱ピーク曲線の制御は、硬化促進剤の添
加量及び種類により容易に達成することができる。添加
量が多いと発熱ピークは低温域にシフトし硬化性が増大
する。添加量が少ないと発熱ピークは高温域にシフトし
硬化性が低下する。また、硬化促進剤の種類に関して
は、1,8−ジアザビシクロウンデセン等のアミン系化
合物を用いると、トリフェニルホスフィン等の有機ホス
フィン化合物を用いたものよりも発熱ピークは高温域で
あるため添加量を増大させなければならず、2−メチル
イミダゾール等のイミダゾール化合物を用いると、有機
ホスフィン化合物を用いたものよりも発熱ピークは低温
域であるため、添加量は少なくても同等のピークを得る
ことができる。本発明で示差走査熱量計での発熱開始温
度が130℃以上、発熱ピーク温度が150〜180℃
を達成するためには、全組成物中に占める硬化促進剤の
添加量を、トリフェニルホスフィンでは0.1〜0.5
重量%、1,8−ジアザビシクロウンデセンでは0.1
〜0.6重量%、2−メチルイミダゾールでは0.05
〜0.40重量%とすることが望ましいが、当然ながら
用いるエポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤の種類によ
っては、上記の範囲内からはずれてもかまわない。
【0011】以下本発明を実施例で具体的に説明する。 実施例1 3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノールジグリシジルエーテル(融点 103℃、エポキシ当量195) 6.6重量部 フェノールノボラック樹脂(軟化点85℃、水酸基当量104) 3.9重量部 1,8−ジアザビシクロウンデセン 0.3重量部 溶融シリカ粉末 85.9重量部 γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 0.5重量部 三酸化アンチモン 1.0重量部 臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂 1.0重量部 カルナバワックス 0.5重量部 カーボンブラック 0.3重量部 をミキサーで常温で混合し、70〜100℃でニーダ
ー、熱ロールで混練し冷却粉砕し成形材料とした。
【0012】得られた成形材料をタブレット化し、低圧
トランスファー成形機にて175℃、75kg/c
2、120秒の条件で80pQFPパッケージ(パッ
ケージサイズは14×20mm、厚み1.5mm、チッ
プサイズ9×9mm)を成形し、型開き後10秒後のバ
コール硬度(No935)を測定し硬化性の目安とし
た。その後175℃で8時間、後硬化を行った。発熱開
始温度、発熱ピーク温度は、示差走査熱量計(セイコー
電子(株)製)を用い、試料10mg前後を精秤し、昇温
速度10℃/分で測定した。この成形品パッケージ(1
0個)を超音波探傷装置を用いて観察し、0.1mmφ
以上の内部ボイドの数を内部ボイド数(個数/パッケー
ジ)で表した。又、得られたエポキシ樹脂組成物を25
℃の恒温槽に7日間放置し、スパイラルフローの残存率
を測定し保存性の目安とした。 実施例2,3、比較例1〜3 表1の配合割合で実施例1と同様にして成形材料を作成
した。実施例1と同様にバコール硬度、内部ボイド数、
保存性を評価した。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】本発明に従うと、半導体封止用エポキシ
樹脂組成物の硬化性、保存性を制御でき、その硬化物中
のピンホール・ボイドも軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】示差走査熱量計での発熱開始温度及び発熱ピー
ク温度の例を示すグラフ。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、
    硬化促進剤、無機質充填材及びシランカップリング剤を
    必須成分とするエポキシ樹脂組成物が、示差走査熱量計
    での発熱開始温度が130℃以上で、かつ発熱ピーク温
    度が150〜180℃の特性を有することを特徴とする
    半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
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