JP3861953B2 - 半導体封止用樹脂組成物及び該組成物で封止した樹脂封止型半導体装置 - Google Patents

半導体封止用樹脂組成物及び該組成物で封止した樹脂封止型半導体装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体封止用樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置に関し、従来一般に用いられているエポキシ樹脂封止材を難燃性、電気特性、耐リフロー性、特に保存安定性において総合的に陵駕するジヒドロベンゾオキサジン系樹脂の半導体封止用樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
樹脂封止型半導体装置には、従来エポキシ樹脂がそのバランスのとれた機械特性、耐熱性、生産性の高い成形性等により広く用いられている。しかし、半導体装置の薄型高密度化や表面実装方式の普及により半導体装置に求められる特性はより厳しくなり、それに伴ってエポキシ樹脂にもより優れた特性やより多くの機能が必要とされるようになった。そのような要求に応じるためにとられてきたエポキシ樹脂の改質方法としては、具体的には、可撓化剤による変性、アロイ化による低弾性率化、官能基密度の増加等が挙げられるがこれらの手法による改質も限界に近づきつつある。
またさらに近年は、環境保全の観点から、難燃性を維持する上で不可欠とされてきたアンチモン及びハロゲン化物の添加量の低減が進められており、この点からも新しい樹脂系の組成物が求められている。
上記の要求を達成する方法としていくつかの試みが為されている。例えば、特開平2−3445号公報にはポリイミド樹脂を用いた組成物が半導体封止用樹脂組成物として例示されている。しかし、ポリイミド樹脂には可撓性、接着性が不十分であることに加え極めて高価であり成形性も劣るという欠点がある。
そこで、新規の樹脂系としてジヒドロベンゾオキサジン化合物が挙げられる(特開昭49−47387号公報、米国特許5152939号明細書)。この化合物の硬化反応は、エポキシ樹脂と類似のジヒドロベンゾオキサジン環の開環重合反応を利用するものであるため、揮発分の発生を殆ど伴わない特長がある。
一方開環重合反応を利用したジヒドロベンゾオキサジン化合物の硬化物は従来知られている熱硬化性樹脂と比較して耐熱性が良好であり、しかも高強度かつ可撓性に優れている。しかし、特開昭49−47387号公報に記載されている樹脂組成物では硬化に長時間を要するという欠点があり、封止材用途としての十分な樹脂組成は示されていない。また特開平6−322121号公報に記載されている半導体封止用樹脂組成物では硬化物の架橋密度が低くモールド成形直後の成形品の硬度が低く抜型が難しいという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる状況に鑑みなされたもので、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の特徴となる機械特性や低吸水率等の諸特性を低下させることなく硬化性を向上させ、且つ一般のエポキシ樹脂封止材の間題点である保存安定性に優れる半導体封止用樹脂組成物及び樹脂封止型半導体装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂を配合し、且つ特定量の無機質充填材を配合し、必要に応じてハロゲン化エポキシ樹脂を配合することにより、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂とフェノール樹脂あるいはジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂とエポキシ樹脂の組成物では達し得なかった硬化性、即ち硬化速度及びモールド成形直後の成形品の硬度が飛躍的に向上することを見出した。すなわちジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂に対し、フェノール樹脂だけの配合組成またはエポキシ樹脂だけの配含組成では十分な架橋密度と硬化速度が得られず、3種の成分をバランス良く配合することによりエポキシ樹脂とフェノール樹脂がジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の架橋材としてあるいはジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂とフェノール樹脂がエポキシ樹脂の架橋材として作用し、十分な硬化性が得られしかも機械特性、低吸水率等の諸特性が低下することなく、難燃性が良好であることを見出した。更に、樹脂と無機質充填材の密着性及びその他基材との接着性向上のために付与するカッリング剤にジアルコキシシランカップリング剤あるいはモノアルコキシシランカッリング剤を用いることにより、従来の半導体封止用樹脂組成物では達し得なかった保存安定性を飛躍的に向上させることができた。ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂を用いた樹脂組成物は非常に保存安定性が優れているが無機質充填材を配合する時使用するシランカップリング剤により悪化することがわかった。ところが、シランカッリング剤にジアルコキシシランカップリング剤あるいはモノアルコキシシランカッリング剤を用いると保存安定性が良好であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち本発明は、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂2〜87重量%、エポキシ樹脂3〜67重量%及びフェノール樹脂10〜31重量%からなる熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、硬化促進剤、離型剤、着色剤及び難燃剤から選ばれる少なくとも1種からなる添加剤0.01〜30重量部及び無機質充填材200〜1200重量部からなり、更にジアルコキシシランカップリング剤、モノアルコキシシランカップリング剤及びアルコキシシランから合成されるシリコーンオリゴマから選ばれるカップリング剤0.1〜8重量部含有する半導体封止用樹脂組成物及びそれを用いて得られる樹脂封止型半導体装置を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂としては、ジヒドロベンゾオキサジン環を有し、ジヒドロベンゾオキサジン環の開環重合反応により硬化する樹脂であれば特に限定されるものではなく、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物と、1級アミンと、ホルマリンから下式のように合成される。
【化1】
Figure 0003861953
(式中のR1はメチル基、フェニル基、又は少なくとも1つの炭素数1〜3のアルキル基若しくはアルコキシル基で置換されたフェニル基である。)
フェノール性水酸基を有する化合物としては、多官能フェノール、ビフェノール、ビスフェノール化合物、トリスフェノール化合物、フェノール樹脂などが挙げられる。多官能フェノールとしては、カテコール、ヒドロキノン、レゾルシノールが挙げられる。ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF及びその位置異性体、ビスフェノールS、テトラフルオロビスフェノールA等が挙げられる。フェノール樹脂としては3核体以下のノボラック型フェノール樹脂が挙げられる。
1級アミンとしては具体的にはメチルアミン、アニリン、トルイジン、アニシジンなどの置換アニリン等が挙げられる。脂肪族アミンであると、得られた熱硬化性樹脂は硬化は速いが耐熱性に劣る。アニリンのような芳香族アミンであると得られた熱硬化性樹脂を硬化させた硬化物の耐熱性はよいが硬化が遅くなる。
【0007】
上記のジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、ヒドロキシル基のオルト位の少なくとも1つが水素であるヒドロキシフェニレン基を1分子中に2個以上有する化合物(以下反応しうるヒドロキシフェニレン基を有する化合物という。)と、1級アミンとの混合物を、70℃以上に加熱したホルマリン等のホルムアルデヒド類中に添加して、70〜110℃、好ましくは、90〜100℃で、20分〜2時間反応させ、その後、120℃以下の温度で減圧乾燥することによって得られる。
上記反応においては、通常、反応し得るヒドロキシフェニレン基を有する化合物の全フェノール性ヒドロキシル基1モルに対し、1級アミンを0.5〜1.0モル、好ましくは0.6〜1.0モル、1級アミン1モルに対し、ホルムアルデヒド2モル以上の比で反応させる。1級アミンが0.5モルより少ないと、架橋密度の低下を招き、耐熱性が不十分となる場合がある。
上記のジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、150℃以上、望ましくは170〜220℃に加熱することにより、触媒や硬化剤を用いないで、副生成物を生じることなく硬化する。
本発明に用いられるエポキシ樹脂として、ノボラック系エポキシ樹脂やクレゾールノボラック系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ビスフェノールA系エポキシ樹脂が挙げられる。また場合によってはハロゲン化エポキシが用いられる。難燃性の点から臭素含有量が30〜50重量%の臭素化エポキシ樹脂が用いられ、特に好ましくは臭素化ノボラック系エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA系エポキシ樹脂が用いられる。
【0008】
上記エポキシ樹脂の配合割合は3〜67重量%、更に好ましくは5〜58重量%である。3重量%未満であると架橋密度が低く、成形直後の成形品に十分な硬度が得られず67重量%以上では吸水率が上昇する。エポキシ樹脂の内、ハロゲン化エポキシ樹脂の配合割合は10重量%以下が適当であり、一般のエポキシ樹脂封止材に比ベハロゲンの量が少なくなるため、燃焼時に副生成物として生じる毒性の高いハロゲン化合物が低減できるだけでなく、劇物である三酸化アンチモンを使用することなく良好な難燃性が得られる。
本発明において、前記熱硬化性樹脂に配合されるフェノール樹脂としては、ノボラック型フェノール樹脂やキシリレン型フェノール樹脂が用いられる。ノボラック型フェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂やビスフェノールノボラック樹脂、フェノール変性キシレン樹脂、アルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂は、自硬化性であるが硬化反応が遅い。そこで、フェノール樹脂を10〜31重量%、好ましくは13〜25重量%配合することにより機械特性を低下させずに硬化性を向上させることができる。フェノール樹脂が10重量%未満の場合十分な硬化性が得られず、31重量%を超えると硬化性は向上するが吸水率が増加し、機械特性が低下することがある。
【0009】
本発明において特に重要な点は、カップリング剤の選定であり、ジアルコキシシランカップリング剤あるいはモノアルコキシシランカップリング剤を用いることによりトリアルコキシシランカップリング剤を用いる場合に比べ保存安定性が飛躍的に向上するだけでなく、アルミピール接着力も向上し耐リフロー性も向上する。
従来エポキシ樹脂系の半導体封止用樹脂組成物の場合、カップリング剤にジメトキシシランカップリング剤を用いても保存安定性は向上せず、むしろ強度低下等特性の低下が生じるが、本発明では諸特性を低下させることなく保存安定性を向上させることができる。
ジアルコキシシランカッブリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジェトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アニリノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシブロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシランが挙げられ、モノアルコキシシランカップリング剤としては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシブロピルジメチルエトキシシラン、γ−アニリノブロピルジメチルメトキシシラン、γ−アニリノプロピルジメチルエトキシシラン、γ−メルカブトプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルジメチルェトキシシランが挙げられる。
【0010】
これらは1種でまたは2種以上の混含物として使用することができる。また少量であればトリアルコキシシランを併用してもよいが、1重量部を超えると保存安定性が従来のエポキシ樹脂系並みとなる。
またシリコーンオリゴマとしてはメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ−アニリノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトブロピルトリメトキシシラン、γ−メルカブトプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン及び上記ジアルコキシシランから選ばれる1種または2種以上の混合物とテトラメトキシシランまたはテトラエトキシシランとの反応により合成される。
カップリング剤の量は0.1〜8重量部好ましくは0.5〜5重量部であり、0.1重量部未満では樹脂と無機質充填材の密着性が悪くなり、8重量部より多いと強度が低下する可能性がある。
【0011】
本発明において用いられる無機質充填材としては、溶融性二酸化珪素粉末、硼酸亜鉛、及び水酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらは、1種でまたは2種以上の混合物として用いられる。溶融性二酸化珪素粉末は、球状のもの又は破砕状のもののいずれをも用いることができ、あるいは両者を併用することも可能である。その粒径は0.5〜100μmが適当であり、この範囲を逸脱すると強度の低下あるいは成形不良が生じる。また、予め所定のカップリング剤で表面処理した無機質充填材を使用することもでき、保存安定性が向上するだけでなく従来よりも少ないカップリング剤量で十分な機械特性または接着力が得られる。
使用するカップリング剤は特に限定すものではない、無機質充填材の配合量は熱硬化性樹脂100重量部に対し、200〜1200重量部更に好ましくは300〜800重量部が適当である。200重量部未満では強度の低下及び熱膨張係数の低減効果の低下が見られ、1200重量部を超えると成形が困難となる。
【0012】
本発明の半導体封止用樹脂組成物には、必要に応じ、硬化促進剤、離型剤、着色剤、難燃剤等の添加剤を配合することができる。硬化促進剤としてはカテコール、ビスフェノールA等の多官能フェノール化合物、P−トルエンスルホン酸、P−フェノールスルホン酸等のスルホン酸類、安息香酸、サリチル酸、シュウ酸、アジピン酸等のカルボン酸類、コバルト(II)アセチルアセトネート、アルミニウム(III)アセチルアセトネートジルコニウム(IV)アセチルアセトネート等の金属錯体、酸化カルシウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム,酸化鉄等の金属酸化物、水酸化カルシウム、特に好ましくはイミダゾール及びその誘導体、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の第三級アミン及びこれらのフェノールノボラック塩、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン・ベンゾキノン誘導体、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボロン塩・テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のリン系化合物及びその誘導体が挙げられる。これらは1種で又は2種以上の混合物として用いられる。硬化促進剤の配合量は熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、5重量部以下、更に好ましくは3重量部以下であり、5重量部を超えると吸水率の増加及び保存安定性が悪化する。
【0013】
離型剤としてはモンタン酸エステルワックスやカルナバワックス等が、着色剤としてカーボンブラック等が用いることができる。
また、必要に応じて三酸化アンチモンを難燃剤として用いることもできる。
本発明において、必要に応じて前記熱硬化性樹脂組成物に配合されるエラストマーとしては特に限定されないが、主鎖の構造単位の一部が構造単位同志で架橋されたエラストマー及びジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂及びジヒドロベンゾオキサジン環が開環して生成するフェノール性水酸基と反応し得る官能基を有する液状エラストマーが好ましく用いられる。
主鎖の構造単位の一部が構造単位同志で架橋されたエラストマーの場合、特に好ましくはアクリロニトリル−ブタジェン共重合体エラストマーやシロキサン結合を有するモノマーを出発原料として合成されたシリコーンゲル(例えば特開昭63−241020号公報に示されるエポキシ及びアミノ変性シリコーンの混合物をフェノールノボラックを分散媒且つ触媒として分散後ゲル化させたもの)が用いられる。また、エラストマー中にジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂及びジヒドロベンゾオキサジン環が開環して生成するフェノール性水酸基と反応し得る、例えばエポキシ基のような官能基、水酸基やカルボキシル基等の溶解度パラメーターの高い官能基を有するものが特に好ましい。固形エラストマーの場合粒子径は0.2mm以下が好ましい。
これら架橋構造を有するエラストマーはジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂と混合、硬化する際、粒子の凝集が起こらない限り、選択した粒子径をそのまま維持した海島型分散構造を容易に得ることができ、靭性が向上する。これに対して架橋構造を有しないエラストマーを用いた場合のスピノーダル分解等の熱硬化性樹脂組成物中にエラストマーを析出分散させる方法では、エラストマーの粒子径の制御が難しく、均一な海島構造ができないことがある。
【0014】
ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂及びジヒドロベンゾオキサジン環が開環して生成するフェノール性水酸基と反応し得る官能基を有する液状エラストマーの官能基としては、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、フェノール性水酸基が挙げられる。
上記のエラストマーの配合割合は、前記熱硬化性樹脂組成物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは2〜40重量部である。1重量部未満であると、靭性を向上させることが難しくなり、50重量部を超えると機械特性が低下することがある。
また、本発明は上記樹脂組成物により半導体素子を封止した樹脂封止型半導体装置も提供するものである。上記の樹脂封止型半導体装置の製造方法は特に限定はされないが・加熱ロール等により60〜120℃で混練して樹脂組成物を調整し、然る後に金型内に半導体素子を配置し、次いで得られた樹脂組成物を160〜220℃、成形圧20〜120kgf/cm2で1〜10分間圧縮成形または移送成形することにより硬化させ、更に160〜220℃で1〜6時間後硬化させることにより、より良好な特性を有する樹脂封止型半導体装置が得られる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例及びその比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜7、比較例1〜5
[1]ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂の合成
ビスフェノールF1.0kg(5mo1相当)、アニリン0.93kg(10mo1相当)をメチルェチルケトン0.5kg中で混合し80℃で5時間攪拌し、均一な混合溶液を調整した。5リットルフラスコ中に、ホルマリン1.62kgを仕込み90℃に加熱し、ここヘビスフェノールF/アニリン/メチルエチルケトン混含溶液を30分間かけて少しずつ添加した。添加終了後30分間、還流温度に保ち、然る後に100℃で2時間6666.1Pa以下に減圧して縮合水を除去し、反応し得るヒドロキシル基の75%がジヒドロベンゾオキサジン化された熱硬化性樹脂を得た。
[2]ノボラック型フェノール樹脂の合成
フェノール2.4kg、ホルマリン(37%水溶液)0.13kg、パラホルムアルデヒド0.5kg、シュウ酸3gを5リットルフラスコに仕込み、還流温度で4時間反応させた。引き続き、内部を6666.1Pa以下に減圧して未反応のフェノール及び水を除去した。
[3]エポキシ樹脂
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(住友化学工業株式会社製商品名ESCN−195エポキシ当量:200g/eq)
ビフェニル型エポキシ樹脂(油化シェルエポキシ株式会社製商品名YX−4000Hエポキシ当量:192g/eq)
臭素化ノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製商品名BREN−Sエポキシ当量:2809/eq臭素含有率:36%)を使用した。
【0016】
[4]シランカップリング剤
シランカッブリング剤としてはγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン(それぞれ東レダウコーニング・シリコーン株式会社製商品名SH6040,AY−43−026,SZ6070,AY−43−004)を使用した。また、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン及びテトラメトキシシランを65℃で反応させてシリコーンオリゴマを合成した。
[5]予めカップリング剤処理した無機質充填剤
無機質充填剤としては、粒径が0.5〜100μmの粒度分布をもち、平均粒径が20μm程度となる溶融性二酸化珪素粉末を選択し、上記シランカップリング剤SH6040とSZ6070で処理したものを使用した。カップリング剤の処理量は無機質充填剤の量に対して0.5%とした。
[6]その他の配合物
エラストマーとしては粒子径70nmの架橋アクリロニトリル−ブタジェン共重合体(日本合成ゴム株式会社製商品名XER−91、液状アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(宇部興産株式会社製商品名ATBN1300×16、AN量1.65重量%、アミノ基含量、アミン当量900)を使用した。
またシリコーンゲルについてはアミノシリコーン(信越化学工業株式会社製商品名KF−86アミン当量2000)25gとエポキシシリコーン(信越化学工業株式会社製商品名X−22−163B エポキシ当量1800)45gを混合し、温度120℃で溶融している上記ノボラック型フェノール樹脂(A)210g中に添加して、均一に白濁するまで攪拌を行い、その後約120℃で1時間加熱を続けてシリコーンゲル含有フェノール樹脂混合物を作製した。
【0017】
[硬化]
表1及び表2に示す配合組成により原材料を混合し、二軸加熱ロールを用いて80℃で10分間混練後これを粉砕し、粉末状の樹脂組成物を作製した。なお、樹脂組成物中の溶融性二酸化珪素粉末の充填量は、標準70vo1%とした。
次いで、移送成形機の金型キャビティ内に半導体素子を配置し、175℃、70kgf・cm2、90秒間の条件で上記金型内で各樹脂組成物の移送成形を行い、QFP54ピン(外寸20mm×14mm×2mm、リードフレーム材質42アロイ、半導体素子寸法8mm×10mm)の半導体装置を得た。また175℃、6時間の条件で後硬化を行った。
【0018】
[特性評価]
樹脂組成物の機械特性、耐熱性、難燃性、接着性等の一般特性を知るため上記と同条件で板状の硬化物である試験片も作製した。
硬化物の特性は、機械特性・電気特性についてはJISK6911に準じ、難燃性についてはUL−94に準じて測定した。
熱時硬度については、175℃で90秒間モールド成形した直後の成形品の硬度を測定した。
保存安定性については、熱硬化性樹脂組成物を25℃、50%RHの恒温恒湿槽中に放置し、所定時間経過後のスパイラルフローの変化率を調べた。
成形品の可撓性は、試験片を−55℃及び150℃に各30分間保持するヒートサイクル試験を行い、所定のサイクル毎のクラック発生率(試験片10個当りのクラックの発生した試験片の数)を求めて評価した。
更に、成形した半導体装置を85℃、85%RHの条件下で吸湿させた後、215℃で90秒間の熱処理を行い(リフロークラック試験)パッケージクラックの発生率(半導体装置10個当りのパッケージクラックを生じた半導体装置の数)を求め、半導体装置の耐湿信頼性を評価した。
以下、各実施例、比較例における配合組成、測定結果を表1〜4に示す。なお、配合組成はすべて重量部で示した。
【0019】
【表1】
Figure 0003861953
【0020】
【表2】
Figure 0003861953
【0021】
【表3】
Figure 0003861953
【0022】
【表4】
Figure 0003861953
【0023】
【発明の効果】
本発明の半導体封止用樹脂組成物を用いることにより、低吸水率で機械特性、耐リフロー性が良好で且つ、従来のエポキシ樹脂系半導体封止用樹脂組成物では達成できなかった難燃剤の低減及び長期保存安定性が実現できた。

Claims (4)

  1. 主成分として、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂2〜87重量%、エポキシ樹脂3〜67重量%及びフェノール樹脂10〜31重量%からなる熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、硬化促進剤、離型剤、着色剤及び難燃剤から選ばれる少なくとも1種からなる添加剤0.01〜30重量部及び無機質充填材200〜1200重量部からなり、更にジアルコキシシランカップリング剤、モノアルコキシシランカップリング剤及びアルコキシシランから合成されるシリコーンオリゴマから選ばれるカップリング剤0.1〜8重量部を含有してなる半導体封止用樹脂組成物。
  2. 主成分として、ジヒドロベンゾオキサジン環を有する熱硬化性樹脂2〜87重量%、エポキシ樹脂3〜67重量%及びフェノール樹脂10〜31重量%からなる熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、硬化促進剤、離型剤、着色剤及び難燃剤から選ばれる少なくとも1種からなる添加剤0.01〜30重量部及び予めシランカッリング剤で表面処理した無機質充填材200〜1200重量部からなる半導体封止用樹脂組成物。
  3. 熱硬化性樹脂組成物100重量部に対し、更にエラストマー1〜50重量部を含有する請求項1または2記載の半導体封止用樹脂組成物。
  4. 請求項1,2または3記載の半導体封止用樹脂組成物を用いて封止してなる樹脂封止型半導体装置。
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