JP4194829B2 - ソフト風合いを有するダンボール状立体織物及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面層と裏面層とが互いに接することなく結接層により連結してなる立体織物であって、表面層、裏面層、結接層が織物組織を有し、かつソフト風合いを有するダンボール状立体織物及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、紙製ダンボール材の構造をならった繊維構造体が知られている。例えば、表面層と裏面層が結接糸で連結された多重立体織編物(例えば、特許文献1、特許文献2参照)や、モノフィラメントを用いて表面層と裏面層が織物組織を有する弾性部で連結されたクッション性織物(例えば、特許文献3、特許文献4参照)が提案されている。なかでも、表面層と裏面層が結接糸で連結された多重立体織編物は、その構造が編物である場合はダンボールニットとも称され、クッション性、断熱性、遮音性などに優れるため多方面に用いられている。
【0003】
しかるに、表面層と裏面層を結接糸により連結した多重立体織編物では、厚さ方向に潰れやすく、クッション性に劣るという問題点があった。
【0004】
他方、主としてモノフィラメントを用いて表面層と裏面層が織物組織を有する弾性部で連結されたクッション性織物においては、その構造が紙製ダンボール材の構造とほぼ同じであるためクッション性に優れるものの、表裏面の風合いが硬いという問題点があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−316959号公報
【特許文献2】
特開平11−36164号公報
【特許文献3】
特開平1−321948号公報
【特許文献4】
特開平6−128837号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題を解消するためになされたものであり、本発明の目的は、クッション性を損なうことなくソフトな風合いを有するダンボール状立体織物及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、織物組織を有する表面層と、織物組織を有する裏面層と、波状に屈曲しかつ織物組織を有する結接層とで構成されるダンボール状立体織物であって、前記表面層を形成する経糸と緯糸、及び裏面層を形成する経糸と緯糸に少なくとも細繊度の単糸繊度を有する高フィラメント数のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸を配することにより、所望のダンボール状立体織物が得られることを見出した。そして、さらに鋭意検討を重ねることにより、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明によれば「織物組織を有する表面層と、織物組織を有する裏面層と、波状に屈曲しかつ織物組織を有する結接層とで構成されるダンボール状立体織物であって、前記表面層を形成する経糸と緯糸、及び裏面層を形成する経糸と緯糸に少なくとも単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸が配されてなり、かつその厚みが1.5〜7mmの範囲内であることを特徴とするソフト風合いを有するダンボール状立体織物。」が提供される。
【0009】
その際、表面層を形成する経糸と緯糸のうち少なくともどちらか一方に、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントを含む複合糸が配され、かつ裏面層を形成する経糸と緯糸のうち少なくともどちらか一方に、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントを含む複合糸が配されていると、さらに優れたソフト風合いが得られ好ましい。
【0010】
かかる複合糸としては、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントと共重合ポリエステルマルチフィラメントとの混繊糸又は複合仮撚糸が好適である。
【0011】
また、本発明のダンボール状立体織物の波状に屈曲した結接層において、隣り合う山部の中間に谷部が位置し、かつ隣り合う山部の間隔dが2〜10mmの範囲であると、へたりのない安定したクッション性が得られ好ましい。
【0012】
本発明のダンボール状立体織物は、少なくとも、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸を、表面層を形成する経糸と緯糸、及び裏面層を形成する経糸と緯糸に配し、かつ、表面層及び裏面層の経糸(緯糸)として、結接層の経糸(緯糸)よりも熱収縮率の大きい高収縮糸を含ませるか、もしくは結接層の経糸(緯糸)よりも熱収縮率の大きい高収縮糸を用いることにより、織物組織を有する表面層と、織物組織を有する裏面層と、表面層と裏面層とを連結しかつ織物組織を有する結接層で構成される3重織物を織成した後、該3重織物に80℃以上、1〜60分間の湿熱処理及び/又は140〜200℃、0.1〜20分の乾熱処理を施すことにより、結接層を波状に屈曲させ、その厚みが1.5〜7mmの範囲内である、ソフト風合いを有するダンボール状立体織物の製造方法により得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のダンボール状立体織物は、図1に厚み方向の断面を模式的に示すように、織物組織を有する表面層と、織物組織を有する裏面層と、波状に屈曲しかつ織物組織を有する結接層とで構成される。
【0014】
ここで、表面層と結接層とは結接層の山部で結接され、他方、裏面層と結接層の谷部で結接される。その際、結接層は緯糸方向に蛇行していてもよいし、経糸方向に蛇行していてもよい。結接層が緯糸方向に蛇行する場合は、結接層の山部及び谷部は経糸方向に連続し、結接層が経糸方向に蛇行する場合は、結接層の山部及び谷部は緯糸方向に連続する。
【0015】
前記の表面層及び裏面層は、平坦であってもよいし凹凸を有していてもよい。また、結接層は緩やかなカーブで波状に屈曲していてもよいし、直線的にジグザグに屈曲していてもよい。
【0016】
その際、波状に屈曲した結接層において、隣り合う山部の中間に谷部が位置し、かつ隣り合う山部の間隔dが2〜10mm(より好ましくは3〜7mm)の範囲であると、へたりにくい安定したクッション性が得られ好ましい。
【0017】
本発明のダンボール状立体織物において、厚みは特に限定されず用途によって適宜選定されるが、1〜10mm(より好ましくは1.5〜7mm)の範囲が好ましい。該厚みが1mmよりも小さいと十分なクッション性が得られない恐れがある。逆に、該厚みが10mmよりも大きいとへたりやすく十分な反撥性が得られない恐れがある。
【0018】
次に、本発明のダンボール状立体織物を構成する各層について説明する。
まず、表面層は織物組織を有し、かつ経糸及び緯糸に単糸繊度1.5dtex以下(好ましくは、0.05〜1.2dtex)かつフィラメント数30以上(好ましくは50〜150)のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸が配される。
【0019】
ここで、前記の単糸繊度が1.5dtexよりも大きいと、ソフトな風合いが得られず好ましくない。同様に、前記のフィラメント数が30より小さい場合もソフトな風合いが得られず好ましくない。
【0020】
かかるポリエステルマルチフィラメントを形成するポリマーは、ポリエステルであれば特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、さらにはこれらに第3成分を共重合させたポリエステルなどが好適である。
【0021】
そして、前記のポリエステルポリマーには、本発明の目的を損なわない範囲内で必要に応じて、艶消し剤、微細孔形成剤、カチオン可染剤、着色防止剤、熱安定剤、難燃剤、蛍光増白剤、着色剤、帯電防止剤、吸湿剤、抗菌剤、無機微粒子、マイナスイオン発生剤等を1種又は2種以上を添加してもよい。
【0022】
前記のポリエステルマルチフィラメントの繊維形態としては、長繊維である必要がある。なかでも、ソフトな風合いを得る上で、無撚または甘撚りされた長繊維が好ましく例示される。特に、撚数が1000T/m以下(より好ましくは600T/m以下)であることが好ましい。
【0023】
該ポリエステルマルチフィラメントは、仮撚捲縮加工や、タスラン加工やインターレース加工などの空気加工が施されていると、さらに優れたソフト風合いが得られ好ましい。
【0024】
次に、前記の複合糸としては、単糸繊度1.5dtex以下(好ましくは、0.05〜1.2dtex)かつフィラメント数30以上(好ましくは50〜150)のポリエステルマルチフィラメントをその構成成分とするものであればよい。例えば、前記の要件を満足するポリエステルマルチフィラメントと他糸条が、空気加工などにより混繊されたものや、複合仮撚されたものが好適である。
【0025】
その際、かかる他糸条が高収縮糸条であると、前記のダンボール状立体構造が得られやすいため好ましい。そして、該高収縮糸条としては、第3成分として、ジカルボン酸類、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのグリコール類、ビスフェノールAおよびビスフェノールスルフォンからなる群より選択された第3成分を共重合させた共重合ポリエステルからなるマルチフィラメントが好適に例示される。
【0026】
なお、前記の複合糸には、必要に応じてさらに別の糸条が含まれていてもさしつかえない。
【0027】
本発明のダンボール状立体織物において、織物組織を有する表面層の経糸及び緯糸には、前記の要件を満足するポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸が配される。その際、表面層を形成する経糸と緯糸のうち、少なくともどちらか一方に前記の複合糸が配されると、優れたソフト風合いが得られやすいため好ましい。
【0028】
また、表面層の織物組織としては特に限定されず、平、綾等公知の織組織でよい。なかでも、製造の容易性の点で平組織が好ましく例示される。
【0029】
次に、本発明のダンボール状立体織物において、裏面層は織物組織を有し、かつ経糸及び緯糸に単糸繊度1.5dtex以下(好ましくは、0.05〜1.2dtex)かつフィラメント数30以上(好ましくは50〜150)のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸が配される。
【0030】
かかるポリエステルマルチフィラメントおよびその複合糸は、表面層と同様に前記のものが使用される。なかでも、表面層の経糸と裏面層の経糸とが同一糸条であるか、及び/又は表面層の緯糸と裏面層の緯糸とが同一の糸条であると、立体織物の製造が容易となるため好ましい。
【0031】
また、裏面層の織物組織としては特に限定されず、平、綾等公知の織組織でよい。なかでも、製造の容易性の点で平組織が好ましく例示される。
【0032】
前記の表面層と裏面層とを結接する結接層は、波状に屈曲しかつ織物組織を有する。かかる結接層を構成する繊維については特に限定されないが、例えば、結接層を緯糸方向に蛇行させる場合は、結接層を構成する経糸を、表面層を構成する経糸または裏面層を構成する経糸と同一とし、かつ結接層を構成する緯糸に表面層を構成する緯糸または裏面層を構成する緯糸よりも低熱収縮の糸条とすることが好ましい。逆に、例えば、結接層を経糸方向に蛇行させる場合は、結接層を構成する緯糸を、表面層を構成する緯糸または裏面層を構成する緯糸と同一とし、かつ結接層を構成する経糸を、表面層を構成する経糸または裏面層を構成する経糸よりも低熱収縮の糸条とすることが好ましい。さらには、結接層を構成する経糸及び緯糸に、マルチフィラメントが配されていると、ダンボール状立体織物全体としての柔かさが付加される。また、結接層を経糸方向に蛇行させる場合は結接層を構成する経糸に、結接層を緯糸方向に蛇行させる場合は結接層を構成する緯糸に、単糸繊度5dtex以上の太繊度の糸が配されていると、ダンボール状立体織物全体としての厚みや反撥性が付加される。
【0033】
また、結接層の織物組織としては特に限定されず、平、綾等公知の織組織でよい。なかでも、製造の容易性の点で平組織が好ましく例示される。
【0034】
次に、本発明のダンボール状立体織物の製造方法について説明する。
本発明のダンボール状立体織物を得るためには、まず、少なくとも、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸を、表面層を形成する経糸と緯糸、及び裏面層を形成する経糸と緯糸に用いる。その際、ポリエステルマルチフィラメントおよびその複合糸は、前述のものが適宜使用される。同時に、表面層及び裏面層の経糸(緯糸)に、結接層の経糸(緯糸)よりも熱収縮率の大きい高収縮糸を含ませるか、もしくは結接層の経糸(緯糸)よりも熱収縮率の大きい高収縮糸を用いて、織物組織を有する表面層と、織物組織を有する裏面層と、表面層と裏面層とを連結しかつ織物組織を有する結接層で構成される3重織物を織成する。
【0035】
その際、表面層と結接層とを連結する連結点の間隔(裏面層と結接層とを連結する連結点の間隔)が、後記の熱処理後、波状に屈曲した結接層において隣り合う山部の間隔(隣り合う谷部の間隔)が2〜10mm(より好ましくは2〜7mm)となるように選定することが好ましい。
【0036】
また、前記高収縮糸の熱水収縮率としては、13%以上(より好ましくは15〜80%)であることが好ましい。他方、結接層の経糸(緯糸)の熱水収縮率としては10%以下(より好ましくは8%以下)であることが好ましい。このように結接層の経糸(緯糸)の熱収縮率よりも大きい熱収縮率を有する糸条を、表面層の経糸(緯糸)及び/または裏面層の経糸(緯糸)を配することにより、後記の熱処理により、結接層を構成する経糸(緯糸)よりも、表面層及び/または裏面層を構成する経糸(緯糸)の糸長が短くなり、結接層を経糸方向(緯糸方向)に波状に屈曲させることができる。その際、前記糸長差は10%以上(好ましくは20%以上)であることが好ましい。
【0037】
次いで、該3重織物に80℃以上、1〜60分間の湿熱処理及び/又は140〜200℃(好ましくは150℃〜180℃)、0.1〜20分の乾熱処理を施すことにより、結接層を波状に屈曲させることができ、本発明のダンボール状立体織物が得られる。なお、これらの湿熱処理及び/又は乾熱処理は繰り返し行ってもよい。
【0038】
かかるダンボール状立体織物には、前記熱処理の前及び/又は後にアルカリ減量加工や常法の染色仕上げ加工が施されてもよい。さらには、常法の吸水加工、撥水加工、起毛加工、さらには、紫外線遮蔽あるいは制電剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、蓄光剤、再帰反射剤、マイナスイオン発生剤等の機能を付与する各種加工を付加適用してもよい。
【0039】
かくして得られたダンボール状立体織物において、表面層及び裏面層には、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸が配されているため、ソフトな風合いが得られる。特に、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントを1成分として含む複合糸が表面層と裏面層の経糸及び/又は緯糸に配されているとさらにソフトな風合いが得られる。
【0040】
また、本発明のダンボール状立体織物において、結接層は波状に屈曲しており、かつ織物組織を有しているため、潰れにくく優れてクッション性も得られる。
【0041】
本発明のダンボール状立体織物は、そのクッション性とソフトな風合いから多用途に使用することができる。例えば、衣服、スポーツウエアーの全体またはひざ・ひじなどの一部への使用、防寒着、介護医療用衣服、サポーター、ギプス、床ずれ防止マット、靴の中敷き・側地、床マット、ベッドマット、レジャーシート、住宅の壁材、カーテン、カーシート、自動車の内装材、椅子のクッション材・表皮、梱包材、鞄、バッグなどである。
【0042】
【実施例】
次に本発明の実施例及び比較例を詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の各測定項目は下記の方法で測定した。
<熱水収縮率>周長1.125mの検尺機を用い、試料を10回転サンプリングしてかせを作り、そのかせをスケール板の吊るし釘にかけた後、下部にかせの総繊度の1/30の荷重を吊るし、処理前のかせの長さL1を読む。次に荷重を外し、かせを木綿袋に入れて沸騰水に30分浸ける。その後かせを取り出し、ろ紙で水分を切って24時間風乾した後、再びスケール板の吊るし釘に掛け、下部に上記と同じ荷重を吊るし処理後のかせの長さL2を読み取る。熱水収縮率(BWS)は下記の式により算出した。
BWS(%)=(L1−L2)/L1×100
<捲縮率>周長1.125mの検尺機を用いて総繊度3333dtexのかせを作り、そのかせをスケール板の吊るし釘にかけ下部に6gの初荷重と600gの動荷重を吊るし、かせの長さL0を読み取った後、速やかに動荷重を外すとともにスケール板より外し、沸騰水に30分浸けて、捲縮発現処理を行う。その後かせを取り出し、ろ紙で水分を切って24時間風乾した後、再びスケール板に吊るし、動荷重を掛けて1分後のかせの長さL1を読み取り、次いで、速やかに動荷重を外し1分後のかせの長さL2を読み取る。
捲縮率(%)=(L1−L2)/L0×100
<風合い>ソフト性の点から風合いを官能評価により4段階により評価した。非常にソフト性に優れているものを◎、優れているものを○、やや劣るものを△、劣るものを×とした。
【0043】
[実施例1]
モル比が93/7のテレフタル酸/イソフタル酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステルを常法により、紡糸・延伸した共重合ポリエステルマルチフィラメント33dtex/12fil(熱水収縮率20%)とポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント33dtex/72fil(単糸繊度0.46dtex、熱水収縮率3%)とを引き揃えて公知のインターレースノズルを用いて、糸速度600m/minで混繊することにより、インターレース混繊糸を得た。
【0044】
次いで、該インターレース混繊糸表面層の経糸及び裏面層の経糸に用い、結接層の織物組織を構成する経糸として常法により得られたポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント66dtex/4fil(熱水収縮率7%)を用い、さらに表面層、裏面層及び結接層の織物組織を構成する緯糸として公知のポリエチレンテレフタレート仮撚加工糸84dtex/72fil(単糸繊度1.17dtex、捲縮率17%)を用いて、熱処理後の結接点間隔d(経糸方向)が5mmとなるように、かつ裏面層と結接層との結接点が、表面層と結接層との隣り合う結接点間の中間に位置するよう、織物組織を設定して平三重織物の生機を得た。
【0045】
該生機に95℃3分間の湿熱処理を施し、次いで(株)ヒラノテクシード製テンターで170℃1分間の乾熱処理を施した後、(株)日阪製作所製液流染色機を用いて分散染料で130℃45分間染色後、(株)ヒラノテクシード製テンターで160℃1分間の乾熱処理を行うことにより、厚み1.9mmのダンボール状立体織物を得た。
【0046】
該ダンボール状立体織物において、表面層と裏面層は平坦な面であり、結接層は緩やかなカーブで波状に屈曲していた。さらに、該結接層において、図1に模式的に示すように隣り合う山部の中間に谷部が位置し、かつ隣り合う山部の間隔dが5mm、隣り合う谷部の間隔が5mmであった。
【0047】
かかるダンボール状立体織物において、クッション性は良好であり、風合いもソフト性に非常に優れる(◎)ものであった。
【0048】
[比較例1]
実施例1において、表面層及び裏面層の織物組織を構成する経糸として、モル比が93/7のテレフタル酸/イソフタル酸とエチレングリコールとからなる共重合ポリエステルを常法により、紡糸・延伸した共重合ポリエステルモノフィラメント66dtex(熱水収縮率20%)を用いた以外は実施例1と同様にしてダンボール状立体織物を得た。
【0049】
該ダンボール状立体織物において、表面層と裏面層は平坦な面であり、結接層は緩やかなカーブで波状に屈曲していた。さらに、該結接層において、隣り合う山部の中間に谷部が位置し、かつ隣り合う山部の間隔dが5mm、隣り合う谷部の間隔が5mmであった。
【0050】
かかるダンボール状立体織物において、クッション性は良好であったが、風合いが硬い(×)ものであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、クッション性を損なうことなくソフトな風合いを有するダンボール状立体織物及びその製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る表面層、裏面層、及び波状に屈曲した結接層を模式的に例示したものである。
【符号の説明】
1 表面層
2 裏面層
3 結接層
Claims (5)
- 織物組織を有する表面層と、織物組織を有する裏面層と、波状に屈曲しかつ織物組織を有する結接層とで構成されるダンボール状立体織物であって、前記表面層を形成する経糸と緯糸、及び裏面層を形成する経糸と緯糸に少なくとも単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸が配されてなり、かつその厚みが1.5〜7mmの範囲内であることを特徴とするソフト風合いを有するダンボール状立体織物。
- 表面層を形成する経糸と緯糸のうち、少なくともどちらか一方に、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントを含む複合糸が配され、かつ裏面層を形成する経糸と緯糸のうち、少なくともどちらか一方に、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントを含む複合糸が配されてなる請求項1に記載のソフト風合いを有するダンボール状立体織物。
- 複合糸が、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントと共重合ポリエステルマルチフィラメントとの混繊糸又は複合仮撚糸である請求項1または請求項2に記載のソフト風合いを有するダンボール状立体織物。
- 波状に屈曲した結接層において、隣り合う山部の中間に谷部が位置し、かつ隣り合う山部の間隔dが2〜10mmの範囲である請求項1〜3のいずれかに記載のソフト風合いを有するダンボール状立体織物。
- 少なくとも、単糸繊度1.5dtex以下かつフィラメント数30以上のポリエステルマルチフィラメントまたはその複合糸を、表面層を形成する経糸と緯糸、及び裏面層を形成する経糸と緯糸に配し、かつ、表面層及び裏面層の経糸(緯糸)として、結接層の経糸(緯糸)よりも熱収縮率の大きい高収縮糸を含ませるか、もしくは結接層の経糸(緯糸)よりも熱収縮率の大きい高収縮糸を用いることにより、織物組織を有する表面層と、織物組織を有する裏面層と、表面層と裏面層とを連結しかつ織物組織を有する結接層で構成される3重織物を織成した後、該3重織物に80℃以上、1〜60分間の湿熱処理及び/又は140〜200℃、0.1〜20分の乾熱処理を施すことにより、結接層を波状に屈曲させ、その厚みが1.5〜7mmの範囲内である、請求項1〜4のいずれかに記載のソフト風合いを有するダンボール状立体織物の製造方法。
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