JP4192628B2 - エチレン系共重合体ペレット - Google Patents

エチレン系共重合体ペレット Download PDF

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Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はペレットの融着(以下、ペレットのブロッキングと称する)を改良したエチレン系共重合体ペレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エチレン系共重合体、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVAと略す)のペレットは、その高い粘着性のために、ペレット製造工程、その後の貯蔵、輸送等によりペレット同士が強固なブロッキングを起こし、また、その流動性が極めて乏しいために、ペレットの生産時、包装作業時において多大な労力を要するといった問題を抱え、長時間にわたる貯蔵、輸送等も困難であった。これらの問題を解決する方法として、従来よりペレットに対する種々の処理方法が提案されている。
【0003】
ペレットのブロッキング防止方法としては、例えばタルク、シリカ等の無機物質、ポリオレフィン微粉末、ポリエチレンワックス及びその分散液をペレット表面にコーティングする方法や高級脂肪酸又はその塩、N,N’−エチレンビスオレアミド、N,N’−エチレンビスエルクアミド、N,N’−ジオレイルジプイミド、N,N’−ジエルシルアジプイミドを混合する方法がある。しかしながら、上記の各種方法には多くの問題が存在している。
【0004】
例えば、EVAに無機物質であるタルク、シリカ等を混合付着させ添加した場合は、ペレットの流動性を得るため多量の添加が必要となるが、EVAとの相溶性が乏しいため末端製品の機能を著しく損なう問題がある。
【0005】
ポリオレフィン微粉末の水系スラリーによる重合体ペレットへのコーティング方法では、微粉末ポリオレフィンの水系への分散が極めて乏しいと共に、ペレットへの付着性が弱いために、現実に粘着性を防止し、良好な流動性を確保する域までに達することができない問題がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、ポリエチレンワックス又はポリエチレンワックスを主成分とする分散液等でEVAペレットにコーティングを実施した場合には、耐粘着性についてはある程度の効果は見られるものの、実用的な流動性を得るには至らず、またそのコーティングペレットを融解させた場合、乳濁状を呈する問題があるため、用途面から制約を受ける(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
さらに、高粘着性エチレン系ポリマーペレットに低粘着性EVA分散液でコーティングを実施した場合には、コーティング剤として用いるEVAの融点が低いと共に、該物質中の酢酸ビニル含有率いかんによっては、現実的に粘着性を防止し、良好な流動性を有する該コーティングペレットを得るに至らない等の問題がある(例えば、特許文献3参照)。
【0008】
高級脂肪酸又はその塩を混合する方法(例えば、特許文献4参照)や、N,N’−エチレンビスオレアミド、N,N’−エチレンビスエルクアミド、N,N’−ジオレイルジプイミド、N,N’−ジエルシルアジプイミドの群から選ばれた添加剤を含有させる方法が提案されている(例えば、特許文献5参照)が、該ペレットは添加剤のブリード速度が充分でないため、初期のペレットのプロッキング防止効果が劣る。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第3528841号公報
【特許文献2】
特開昭56−67209号公報
【特許文献3】
特開昭48−32939号公報
【特許文献4】
特開昭56−136347号公報
【特許文献5】
特開昭57−200434号公報
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、ペレットのブロッキングを改良したエチレン系共重合体ペレットを提供することにある。
【0010】
【課題を解決する手段】
本発明はかかる点を考慮し鋭意検討した結果、エチレン系共重合体に特定の滑剤を添加することにより、エチレン系共重合体のペレットのブロッキングを改良できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち本発明は、エチレン系共重合体100重量部に対し、(a)融点が100℃〜180℃の不飽和脂肪酸ビスアミド0.01〜0.5重量部、(b)60〜90℃の融点を有し、(a)と併用することにより(a)の融点が20℃以上降下する滑剤0.01〜0.5重量部を配合してなることを特徴とするエチレン系共重合体ペレットに関するものである。
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】
本発明のエチレン系共重合体としては、特に制限がなく、エチレン系共重合体と称されるエチレン−α、β−不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−ビニルエステル−α、β−不飽和カルボン酸三元共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体等が含まれる。具体的にはエチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレンジエン共重合体ゴム、エチレン−ブテン共重合体ゴム等がある。この中でも軟化点が低いエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましい。
【0014】
特にペレットのプロッキングが問題になるJIS K6924−1(1997)に準拠した酢酸ビニル含有率(VAc)27〜50wt%を含有し、JIS K6924−1(1997)に準拠したメルトマスフローレイト(MFR)が、
MFR>431.98×(VAc)-0.7731
を満たすエチレン−酢酸ビニル共重合体がさらに好ましい。
【0015】
本発明において使用される(a)不飽和脂肪酸ビスアミドは、融点が100〜180℃であり、具体的には、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド等が挙げられ、その中でもエチレン共重合体との相溶性やブリード性の面からエチレンビスオレイン酸アミドが好ましい。
【0016】
本発明における(a)不飽和脂肪酸ビスアミドの配合量は、エチレン系共重合体100重量部に対し0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部である。0.01重量部より少ない場合はブロッキング防止効果が低く、0.5重量部を超えると経時で滑剤が多量に表面にブリードして接着性の低下等の問題が発生する。
【0017】
本発明において使用される(b)滑剤は、(a)不飽和脂肪酸ビスアミドとの併用により(a)不飽和脂肪酸ビスアミドの融点が20℃以上降下する融点が60〜90℃の滑剤であれば特に制限はなく、脂肪酸、脂肪酸アミド等が含まれる。融点が60℃未満ではブロッキング防止効果が小さく、90℃を超える場合は初期のブロッキング防止効果が劣る。具体的には、ステアリン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸等の飽和脂肪酸、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド等の不飽和脂肪酸アミド等が挙げられ、単独又は混合物として用いられる。滑剤の中でも表面移行性が速く、ブロッキング防止性能の優れる不飽和脂肪酸アミド等が好ましい。不飽和脂肪酸アミドの中でも不飽和脂肪酸ビスアミドのブリード性が向上するエルカ酸アミドがさらに好ましい。
【0018】
本発明における(b)滑剤の配合量は、エチレン系共重合体100重量部に対し0.01〜0.5重量部、好ましくは0.05〜0.2重量部である。0.01重量部より少ない場合はブロッキング防止効果が低く、0.5重量部を超えると経時で滑剤が多量に表面にブリードして接着性の低下等の問題が発生する。
【0019】
本発明における(a)不飽和脂肪酸ビスアミドと(b)滑剤との配合(wt%)比(a)/(b)は、不飽和脂肪酸ビスアミドのブリードの面から70/30〜30/70が好ましい。
【0020】
本発明における滑剤の添加方法は特に限定されず、任意の方法によって得られる。具体例としては、押出機、バンバリーミキサー、ニーダー等で溶融混練する方法、分散液等でペレット表面にコーティングする方法、ペレットとドライブレンドする方法等がある。中でも溶融混練法により得られたペレットはブロッキング防止性能に優れており好ましい。
【0021】
本発明のエチレン系共重合体のペレットは、ブロッキング防止効果、流動性等を考慮すると、JIS B0601(1994)に準拠した表面粗さRa値は、1.0〜2.5μmであることが好ましい。表面粗さを粗くする具体例としては、アンダーウォーターカット、ストランドカット、ホットカット等の方式でカッティングしたペレットを格子上の凹凸がついた移送用配管(ナーリング)、リング状に凹凸のついた移送用配管(エコー)を通すこと等で表面を粗すことができる。
【0022】
本発明でいう表面粗さRa値は、具体的にカラーレーザ顕微鏡VK−8500(キーエンス製)を使用して求める。
【0023】
本発明のエチレン系共重合体ペレットには必要に応じ、顔料、染料、酸化防止剤、滑剤、耐候剤、ブロッキング防止剤、各種安定剤、無機充填剤を配合することができる。
【0024】
【実施例】
次に本発明を実施例及び比較例によって説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
なお、以下の実施例及び比較例においての試験方法は次の方法によって測定し性能を評価した。
(1)ペレットのプロッキング試験
溶融混練により得られたエチレン系共重合体ペレット100gを内径60×60×60mmの試験片作製箱に入れ68.6Nの仕込み荷重を載せ、30℃で48時間放置いた後、23℃で24時間放置する。得られた試験片を速度10mm/minで圧縮し、破壊に要した最大荷重を測定する。また溶融混練後1ケ月間23℃の雰囲気下に放置したエチレン系共重合体ペレットについても同様の試験を行う。ブロッキング強度が490N未満を○、490N以上のものを×とした。なお、これらの結果を表1に示した。
(2)融点降下温度測定
(a)不飽和脂肪酸ビスアミドのDSCを測定し、その最も高融点側のピークトップTm1、(a)不飽和脂肪酸ビスアミドと(b)滑剤との溶融混練物のDSCを測定し、その最も高融点側のピークトップをTm2とした。Tm1とTm2の差を融点降下温度とした。なお、これらの結果を表1に示した。
【0026】
実施例1
表1に示した配合に従い、MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)100重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.1重量部、エルカ酸アミド0.1重量部を溶融混練後、アンダーウォーターカットでカッティング後、ペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価した。エチレンビスオレイン酸アミドの融点Tm1は120℃、エルカ酸アミドの融点は82℃、エチレンビスオレイン酸アミドとエルカ酸アミド50/50(wt%)の混合物の融点Tm2は75℃となった。融点降下の結果及びブロッキング強度の結果を表2に示した。
【0027】
【表1】
Figure 0004192628
【表2】
Figure 0004192628
実施例2
MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)100重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.5重量部、エルカ酸アミド0.5重量部を溶融混練後、アンダーウォーターカットでカッティング後、ペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価し、その結果を表2に示した。
【0028】
実施例3
MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)100重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部、エルカ酸アミド0.05重量部を溶融混練後、アンダーウォーターカットでカッティング後、ペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価し、その結果を表2に示した。
【0029】
実施例4
MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)100重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.05重量部、オレイン酸アミド0.05重量部を溶融混練後、アンダーウォーターカットでカッティング後、ペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価した。エチレンビスオレイン酸アミドとオレイン酸アミド0.1重量部ずつの混合物の融点降下の結果及びブロッキング強度の結果を表2に示した。
【0030】
比較例1
MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)のペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価し、その結果を表2に示した。このペレットはブロッキング強度が高く実用的ではない。
【0031】
比較例2
MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)100重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.2重量部を溶融混練後、アンダーウォーターカットでカッティング後、ペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価し、その結果を表2に示した。このペレットは生産直後のブロッキング強度が高く実用的ではない。
【0032】
比較例3
MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)100重量部、エルカ酸アミド0.2重量部を溶融混練後、アンダーウォーターカットでカッティング後、ペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価し、その結果を表2に示した。このペレットはブロッキング強度が高く実用的ではない。
【0033】
比較例4
MFR400g/10min、VAc33wt%を含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(ウルトラセン0B54B、東ソー(株)製)100重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.15重量部、エルカ酸アミド0.05重量部を溶融混練後、アンダーウォーターカットでカッティング後、ペレット表面を粗し、表面粗さRa値が1.6μmのペレットを得た。得られたペレットのブロッキング強度を評価した。エチレンビスオレイン酸アミド0.15重量部とエルカ酸アミド0.05重量部の混合物の融点降下の結果及びブロッキング強度の結果を表2に示した。このペレットは生産直後のブロッキング強度が高く実用的ではない。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明におけるエチレン系共重合体は耐ペレットのプロッキング性を向上させることが可能である。

Claims (4)

  1. JIS K6924−1(1997)に準拠した酢酸ビニル(以下、VAcと略す)含有率27〜50wt%を含有し、JIS K6924−1(1997)に準拠したメルトマスフローレイト(以下、MFRと略す)が次式を満たすエチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、(a)エチレンビスオレイン酸アミド0.01〜0.5重量部、(b)60〜90℃の融点を有し、(a)と併用することにより(a)の融点が20℃以上降下する不飽和脂肪酸アミド0.01〜0.5重量部を配合してなることを特徴とするエチレン系共重合体ペレット。
    MFR>431.98×(VAc)−0.7731
  2. エチレン系共重合体ペレットが、溶融混練物であることを特徴とする請求項1に記載のエチレン系共重合体ペレット。
  3. (a)不飽和脂肪酸ビスアミドと(b)不飽和脂肪酸アミドとの配合比(wt%)が、70/30〜30/70であることを特徴とする請求項1又は請求項に記載のエチレン系共重合体ペレット。
  4. 不飽和脂肪酸アミドが、エルカ酸アミド又はオレイン酸アミドであることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれかに記載のエチレン系共重合体ペレット。
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