JP2011148876A - エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物及びそれからなるホットメルト接着剤 - Google Patents

エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物及びそれからなるホットメルト接着剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐寒性を保持しつつ、耐熱接着性に優れたホットメルト接着剤を提供する。
【解決手段】 エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、有機化層状粘土0.1〜50重量部、粘着付与剤10〜300重量部からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなるホットメルト接着剤を用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物及びそれからなるホットメルト接着剤に関するものである。更に詳細には、耐寒性を保持しつつ、耐熱接着性を改善したホットメルト接着剤に関するものである。
エチレン−酢酸ビニル共重合体は経済性、柔軟性、透明性、成形性等に優れていることから自動車分野、電気・電子分野、建築資材分野、包装分野、接着剤分野等の広範な産業分野で使用されている。
そして、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)はその高い粘着性を利用してホットメルト接着剤のベースポリマーとして使用されている。一般にEVA系ホットメルト接着剤はEVAと粘着付与剤及びワックスから構成され、EVAの酢酸ビニル含有量、分子量、配合処方の変更により広範な用途に適用可能なホットメルト接着剤を調整可能であることから、包装、製本、合板、木工などの分野で広く使用されている。ホットメルト接着剤は、塗布後の固化時間が短く、無溶剤であること等から年々使用量が増加している。
ホットメルト接着剤には種々の要求性能、例えば、耐熱接着性、耐熱クリープ性、耐寒接着性、低温可とう性、最適な溶融粘度、固化速度等があり、配合に用いるEVA、粘着付与剤、ワックス等の種類と配合比を最適化することで種々の用途に適合するホットメルト接着剤が工夫されてきた。
しかしながら、一般に、EVA系ホットメルト接着剤は耐熱性に問題があり、耐熱性を向上させると耐寒性が劣るという問題が発生する。耐熱性の高いホットメルト接着剤は低温特性に劣っており、耐熱性と耐寒性を両立することが課題の一つとなっていた。
そこで、耐寒性を保持しつつ、耐熱接着性を高めたホットメルト組成物を得るために、特定の融点および粘度のパラフィンワックスを用いた樹脂組成物(例えば特許文献1、特許文献2を参照)、特定の粘着性付与樹脂を用い、配合組成を限定した樹脂組成物(特許文献3)、分子量および酢酸ビニル含量の異なる2種類の、結晶性を高めたEVA同士を組み合わせたものをベースポリマーとして用いた樹脂組成物(例えば特許文献4、5を参照)等が提案されている。
特開平7−247468号公報 特開平11−323278号公報 特開2001−59078号公報 特開平10−130606号公報 特開平10−130436号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載の方法は、ある特定の原料を用いて配合技術を駆使したものであり、特許文献4、5に記載の方法は高結晶で高融点のEVAを構成成分に用いているために、耐熱接着性は従来のEVAよりも向上するものの、耐寒性、特に低温可とう性については劣るものであった。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体、有機化層状粘土、粘着付与剤からなるホットメルト接着剤が、耐寒性を維持したまま、耐熱接着性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、有機化層状粘土0.1〜50重量部、粘着付与樹脂10〜300重量部からなるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物、及びそれからなるホットメルト接着剤に関するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、特に制限は無く公知のものを用いることができる。中でも、得られるホットメルト接着剤が柔軟であることからJIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定した酢酸ビニル含有量が、5〜50重量%であることが好ましく、10〜42重量%がさらに好ましく、15〜35重量%が特に好ましい。
また、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体の、JIS K6924−1(1997年版)に準拠して測定したメルトマスフローレート(以下、MFRと記す。)は、得られるホットメルト接着剤の作業性が優れることから0.5〜5000g/10分であることが好ましく、1〜4000g/10分がより好ましく、10〜3000g/10分であることが更に好ましい。
また本発明に用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体で変性されていても良い。不飽和カルボン酸としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸等が挙げられ、不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば無水マレイン酸、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル等が挙げられる。中でも得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の接着性が向上することから無水マレイン酸が好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合体中の不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体の量は、有機化層状粘土との相溶性が向上することから0.01〜2.0重量%が好ましく、0.1〜1.0重量%がより好ましい。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニルは部分的に鹸化されていても構わない。
本発明で用いる有機化層状粘土は、層状粘土の層間の陽イオンを有機イオンでイオン交換されたものであれば特に制限は無く、公知のものを用いることができる。中でも、得られるホットメルト接着剤が耐熱性に優れることから有機化層状粘土は有機オニウムイオン変性層状粘土であることが好ましい。
有機イオンとしては、有機オニウムイオン等が挙げられる。有機オニウムイオンとしては、例えばアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、イミダゾリウムイオン等が挙げられる。中でも得られるホットメルト接着剤の耐熱性が向上することからアンモニウムイオンが好ましい。
アンモニウムイオンとしては特に制限は無く、例えばメチルアンモニウムイオン、ヘキシルアンモニウムイオン、オクチルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシルアンモニウムイオン、ドデシルアンモニウムイオン、ラウリルアンモニウムイオン、オクタデシルアンモニウムイオン、ステアリルアンモニウムイオン、水素化タローアンモニウムイオン、ジオクチルジメチルアンモニウムイオン,トリオクチルアンモニウムイオン,トリメチルステアリルアンモニウムイオン、トリメチルオクタデシルアンモニウムイオン、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、トリメチル水素化タローアンモニウムイオン、ジメチルオクタデシルベンジルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、ジステアリルジメチルアンモニウムイオン、水素化タロージメチルベンジルアンモニウムイオン、2−エチルヘキシル水素化タローメチルアンモニウムイオン、ジ水素化タローメチルアンモニウムイオン、ジ水素化タロージメチルアンモニウムイオン、ジヤシアルキルジメチルアンモニウムイオン等のアルキルアンモニウムイオン;ジヒドロキシエチルタローアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチルメチルタローアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチル水素化タローアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチルメチル水素化タローアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチルオレイルアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチルメチルオレイルアンモニウムイオン、ヤシアルキルメチルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムイオン等のヒドロキシアルキルアンモニウムイオン;ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウムイオン等のポリオキシアルキルアンモニウムイオンを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
中でも得られるホットメルト接着剤の耐熱性が特に向上することから、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、ジメチルオクタデシルベンジルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、ジ水素化タロージメチルアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチルメチル水素化タローアンモニウムイオンが好ましく、トリオクチルメチルアンモニウムイオン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオン、ジ水素化タロージメチルアンモニウムイオン、ヤシアルキルメチルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウムイオン、ジヤシアルキルジメチルアンモニウムイオン、ジヒドロキシエチルメチル水素化タローアンモニウムイオンが特に好ましい。
層状粘土としては、例えばモンモリロナイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイト等のスメクタイト;合成マイカ等のマイカ;バーミキュライト、パイロフィライト等が挙げられ、1種又は2種以上を用いることができる。中でも得られる樹脂中への分散性が良いことからモンモリロナイト、合成マイカが好ましい。
本発明で用いる有機化層状粘土は、得られるホットメルト接着剤の耐熱接着性が向上することから、450℃に加熱した際の熱減量が20〜60wt%であることが好ましく、25〜45wt%であることが更に好ましい。熱減量は、有機化層状粘土を室温から10℃/分で450℃まで加熱した際の、加熱前の重量と加熱後の重量の差をいう。
本発明で用いる有機化層状粘土の量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し0.1〜50重量部であり、0.5〜20重量部がより好ましく、1〜10重量部が特に好ましい。0.1重量部未満では得られるホットメルト接着剤の耐熱接着性の改良効果が不充分である。又、50重量部を超えると、得られるホットメルト接着剤の溶融粘度が高くなり、塗工作業性が悪くなってしまう。
本発明で用いる有機化層状粘土は、例えば層状粘土の層間の陽イオンを有機オニウムイオンでイオン交換することにより得られる。
具体的には、例えば層状粘土を水中に分散させた後、有機塩を添加し攪拌後に生成物を固液分離、洗浄して副生塩を除去した後、乾燥、粉砕して得ることができる。
有機塩としては、有機オニウム塩等が挙げられる。有機オニウム塩としては、例えばアンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられる。アンモニウム塩としては、例えばトリオクチルメチルアンモニウム塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウム塩、ジ水素化タロージメチルアンモニウム塩、ヤシアルキルメチルビス(ヒドロキシエチル)アンモニウム塩、ジヤシアルキルジメチルアンモニウム塩及び/又はジヒドロキシエチルメチル水素化タローアンモニウム塩等のアンモニウム塩を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
有機イオンの対イオンとしては、例えば塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、硝酸イオン、酢酸イオン、水酸化物イオン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
有機塩の量は、得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物の耐熱性が優れることから、層状粘土100重量部に対して25〜150重量部が好ましく、30〜100重量部が更に好ましい。
本発明で用いる粘着付与剤は、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例えば脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族系炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明で用いる粘着付与剤の量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、10〜300重量部であり、20〜200重量部がより好ましく、50〜150重量部が特に好ましい。10重量部未満では得られるホットメルト接着剤の接着性や耐熱性が不十分であり、一方、300重量部を超える場合は得られるホットメルト接着剤の耐寒性や柔軟性が不十分となる。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物は、耐熱性、流動性に優れたホットメルト接着剤が得られることからワックスをさらに含むことが好ましい。ワックスとしては、特に制限はなく、公知のものを用いることができる。例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、サゾールワックス等の石油ワックス、木ロウ、カルナバワックス、蜜蝋等の天然ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、結晶性ポリエチレンワックス、結晶性ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレン、EVAワックス等の合成ワックス、酸変性ポリエチレンワックス、酸変性ポリプロピレンワックス、酸変性EVAワックス等の変性ワックス等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明で用いるワックスの量は、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して、1〜100重量部が好ましく、5〜90重量部がより好ましく、10〜80重量部が特に好ましい。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体組成物は、着色を抑制できることから酸化防止剤をさらに含むことが好ましい。
酸化防止剤としては、何ら制限はなく、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ビタミンE系酸化防止剤等が挙げられ、これらの酸化防止剤は、より大きな効果を発現するために2種以上を併用して用いることができる。
これらの酸化防止剤の中でも、着色を抑制する効果が大きいことから、フェノール系酸化防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が好ましい。
酸化防止剤の量は、得られるホットメルト接着剤の着色を抑制できることから、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して0.1〜5000ppm添加することが好ましく、1〜3000ppmがさらに好ましく、10〜2000ppmが特に好ましい。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で各種ポリマー、各種添加剤を含有していても良い。
各種ポリマーとしては、何ら制限はなく、例えば、ポリエチレン、エチレン系共重合体、ポリプロピレン、ポリプロピレン系共重合体、さらにこれらポリオレフィン樹脂の塩素化物等を挙げることができる。さらに詳しくは、ポリエチレンとしては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等が挙げられる。エチレン系共重合体としては、例えば、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体等が挙げられ、具体的には、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体の鹸化物、エチレン−ビニルアルコール樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系共重合体としては、例えば、ポリプロピレンブロックコポリマー、ポリプロピレンランダムコポリマー等が挙げられる。
各種添加剤としては、例えば、染料、有機顔料、無機顔料、無機補強剤、可塑剤、アクリル加工補強剤等の加工助剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、ワックス、結晶核剤、可塑剤、離型剤、加水分解防止剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、防徽剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤、無機充填剤、有機充填剤等を挙げることができる。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を得る方法は、本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を製造することが可能であればいかなる方法も用いることが可能であり、エチレン−酢酸ビニル共重合体、有機化層状粘土、粘着付与剤等を、例えば溶液混合、溶融混合等の混合方法により製造することが可能であり、中でも効率良く混合できることから溶融混合が好ましく用いられる。
溶融混合には、例えばバンバリーミキサー(ファレル社製)、加圧ニーダー((株)森山製作所製)、インターナルミキサー(栗本鉄工所製)、インテンシブミキサー(日本ロール製造(株)製)等の機械加圧式混練機;ロール成形機、単軸押出し機、二軸押出し機等の押出し成形機;等のプラスチックまたはゴムの加工に使用される混練成形機が使用できる。溶融混合する際の温度は、エチレン−酢酸ビニル共重合体の融点以上で、エチレン−酢酸ビニル共重合体、有機化層状粘土が分解しない温度以下であることが好ましく、例えば70〜200℃が好ましく、特に好ましくは120〜180℃である。特に押出機を使用する際には、押出機のダイから吐出する溶融樹脂組成物の温度が120℃以上180℃以下になるように温度設定することが好ましい。
溶融混合する際の原料の添加順序は、特に制限はないが、有機化層状粘土の樹脂中への分散性が向上することから、エチレン−酢酸ビニル共重合体と有機化層状粘土を混合した後、粘着付与剤等を添加し混合することが好ましい。
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなるホットメルト接着剤の180℃における溶融粘度は、作業性や接着剤の強度を考慮すると100〜20000mPa・sが好ましく、さらには500〜10000mPa・sがより好ましい。溶融粘度の調整方法に特に制限はなく、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、粘着付与剤それぞれの溶融粘度やそれらの配合量等によって調整することができる。
本発明のホットメルト接着剤は、従来知られている用途、即ち、紙、ポリエステルフィルム、金属、合板等の木材、布、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム等の接着に用いることができる。
本発明で得られるエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を利用したホットメルト接着剤は、耐寒性を維持しつつ、耐熱接着性に優れており、例えば、紙、ポリエステルフィルム、金属、合板等の木材、布、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム等の接着等に有用である。
以下に実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明の理解を助けるための例であって、本発明はこれらの実施例により何等の制限を受けるものではない。尚、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
[原料]
実施例、比較例の中で用いた試薬等は、以下の略号を用いて表す。
<エチレン−酢酸ビニル共重合体>
EVA−1;ウルトラセン(商標登録)725(酢酸ビニル含量28重量%、MFR=1000g/10分)、東ソー株式会社製
EVA−2;ウルトラセン(商標登録)722(酢酸ビニル含量28重量%、MFR=400g/10分)、東ソー株式会社製
EVA−3;ウルトラセン(商標登録)720(酢酸ビニル含量28重量%、MFR=150g/10分)、東ソー株式会社製
EVA−4;ウルトラセン(登録商標)683(酢酸ビニル含量20重量%、MFR=800g/10分)、東ソー株式会社製
EVA−5;ウルトラセン(登録商標)760(酢酸ビニル含量42重量%、MFR=70g/10分)、東ソー株式会社製
<有機化層状粘土>
有機化モンモリロナイト−1;Cloisite(登録商標)30B(ジヒドロキシエチルメチル水素化タローアンモニウムイオン変性モンモリロナイト、450℃熱減量;25wt%)、SOUTHERN CLAY PRODUCTS社製
<層状粘土>
マイカ−1;ソマシフ(登録商標)ME−100(層間にナトリウムイオンを有する膨潤性合成フッ素マイカ)、コープケミカル株式会社製
<粘着付与剤>
粘着付与樹脂−1;エステルガムHP(ロジン系樹脂)、荒川化学工業株式会社製
粘着付与樹脂−2;YSレジンTO−115(テルペン系樹脂)、ヤスハラケミカル株式会社製
<ワックス>
ワックス−1;サゾールワックスH1(炭化水素系ワックス)、日本サゾール株式会社製
<酸化防止剤>
イルガノックス1010(フェノール系酸化防止剤)、日本チバガイギー株式会社
[物性試験方法]
(1)溶融粘度
JAI−7(日本接着剤工業会規格)に準拠し、ブルックフィールド型単一円筒回転粘度計を用いて180℃における溶融粘度を測定した。
(2)接着試験片の作成
JAI−7(日本接着剤工業会規格)に準拠して、幅50mm×長さ100mmに裁断した段ボール(Kライナー、Bフルート、220g/m2)2枚を被着体とし、接着力測定器(JTトーシ製ASM−15N)を用いて、塗布温度180℃、塗布速度104cc/min、塗布量3g/mの条件で、一方の被着体の片面にホットメルト接着剤をビード状に塗布し、オープンタイム2秒後に他方の被着体を張り合わせ、2kgのプレス荷重をかけて、放冷し、接着試験片を作成した。
(3)耐熱接着性
上記作成の接着試験片をJAI−7(日本接着剤工業会規格)に準拠して、C法剥離法で測定した。オーブン(クリープテスター)中において、一方の被着体 の片面に300g荷重を吊るして、40℃で30分放置後、昇温速度0.4℃/分条件でセットし、被着体の接着剤が荷重に耐え兼ねて接着破壊(被着体が落ちる)する温度を耐熱接着性の指標とした。
(4)耐寒性(低温可とう性)
JAI−7(日本接着剤工業会規格)に準拠して、ホットメルト接着剤を150℃でプレス成形し、厚さ1mmのシートを作成し(1.0cm×12cm)、試験片とした。折り曲げ試験機に試験片を固定し、低温恒温槽内で所定温度で2時間放置した時点で180度折り曲げ試験を行い、サンプルが破壊しない最低温度を耐寒性の指標とした。
(5)熱減量
示差熱熱重量同時測定装置(TG/DTA6200、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製)を用いて、有機化層状粘土を室温から10℃/分で450℃まで加熱し、加熱前の重量と加熱後の重量の差より熱減量を求めた。
参考例1
水500mlに合成マイカ−1を15g分散させた。これに、水150mlにヤシアルキルメチルビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウムクロライドを5.4g溶解した水溶液を撹拌しながら添加し2時間撹拌した。生成物を固液分離、洗浄して副生塩類を除去した後、乾燥、粉砕しアンモニウムイオン変性合成マイカを得た。これを有機化合成マイカ−1とする。450℃に加熱された際の熱減量は26wt%であった。
参考例2
ヤシアルキルビス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムクロライド5.4gの代わりに、ジメチルジ水素化タローアンモニウムクロライド10.2gを使用した以外は参考例1と同様にしてアンモニウムイオン変性合成マイカを得た。これを有機化合成マイカ−2とする。450℃に加熱された際の熱減量は40wt%であった。
実施例1
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−1を100重量部、有機化層状粘土として有機化合成マイカ−1を2重量部の比率で合計量70gを内容量100ccのミキサー(ラボプラストミル、東洋精機製作所製)に充填し、150℃で10分間溶融混合した。
その後、得られた樹脂に、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して粘着付与剤として粘着付与剤−1を150重量部の比率で合計量200gを180℃に設定したテフロン(登録商標)(商標登録)ビーカー内で1時間混練し、ホットメルト接着剤を作成した。耐熱接着性及び低温特性試験を行った。結果を表1に示す。
Figure 2011148876
得られたホットメルト接着剤は、耐寒性を維持しつつ、耐熱接着性が優れていた。
比較例1〜4
表1に示した配合でエチレン−酢酸ビニル共重合体、有機化合成マイカ、粘着付与剤を混合したこと以外は実施例1と同様にしてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を作製した。溶融粘度、耐熱接着性、耐寒性の評価結果を表1に示す。
比較例1では、有機化層状粘土を添加しなかったため、耐熱接着性が劣っていた。
比較例2では、有機化層状粘土の量が多かった為、耐寒性が悪く、又、溶融粘度が高く作業性が悪かった。
比較例3では、粘着付与剤の量が少なかった為、耐熱接着性が悪く、又、溶融粘度が高く作業性が悪かった。
比較例4では、粘着付与剤の量が多かった為、耐寒性が悪かった。
実施例2
エチレン−酢酸ビニル共重合体としてEVA−2を100重量部、有機化層状粘土として有機化合成マイカ−1を2重量部の比率で合計量70gを内容量100ccのミキサー(ラボプラストミル、東洋精機製作所製)に充填し、150℃で10分間溶融混合した。
その後、得られた樹脂に、エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対して粘着付与剤として粘着付与剤−1を50重量部、粘着付与剤−2を50重量部、ワックスとしてワックス−1を50重量部の比率で合計量200gを180℃に設定したテフロン(登録商標)(商標登録)ビーカー内で1時間混練し、ホットメルト接着剤を作製した。溶融粘度、耐熱接着性、耐寒性の評価結果を表1に示す。
得られたホットメルト接着剤は、耐寒性を維持しつつ、耐熱接着性が優れていた。
実施例3〜5
表1に示した配合でエチレン−酢酸ビニル共重合体、有機化合成マイカ、粘着付与剤、ワックスを混合したこと以外は実施例2と同様にしてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を作製した。溶融粘度、耐熱接着性、耐寒性の評価結果を表1に示す。
得られたホットメルト接着剤は、耐寒性を維持しつつ、耐熱接着性が優れていた。
比較例5〜6
表1に示した配合でエチレン−酢酸ビニル共重合体、有機化合成マイカ、粘着付与剤、ワックスを混合したこと以外は実施例2と同様にしてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物を作製した。溶融粘度、耐熱接着性、耐寒性の評価結果を表1に示す。
比較例5では、有機化層状粘土を添加しなかったため、耐熱接着性が低かった。
比較例6では、有機化合成マイカではなく合成マイカを使用したため耐熱接着性が低かった。

Claims (9)

  1. エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、有機化層状粘土0.1〜50重量部、粘着付与樹脂10〜300重量部からなることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物。
  2. エチレン−酢酸ビニル共重合体100重量部に対し、更にワックス1〜100重量部を含んでなることを特徴とする請求項1に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物。
  3. 有機化層状粘土が有機オニウムイオン変性層状粘土であることを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかの項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物。
  4. 有機オニウムイオン変性層状粘土がアンモニウムイオン変性層状粘土であることを特徴とする請求項3に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物。
  5. 有機化層状粘土の層状粘土がモンモリロナイト及び/又は合成マイカであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物。
  6. エチレン−酢酸ビニル共重合体のMFR(JIS K6924−1(1997年版)に準拠)が10〜40,000g/10分であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物。
  7. エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル量(JIS K6924−1(1997年版)に準拠)が5〜50重量%であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物。
  8. 請求項1〜請求項7のいずれかの項に記載のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂組成物からなることを特徴とするホットメルト接着剤。
  9. 180℃における溶融粘度(JAI−7(1991年版)に準拠)が100〜20,000mPa・sであることを特徴とする請求項8に記載のホットメルト接着剤。
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