JP4493288B2 - 粘着テープ又はシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材としてポリオレフィン系樹脂組成物を用いた粘着テープ又はシートに関し、さらに詳細には、従来の塩化ビニル系樹脂フィルムを基材とする粘着テープ又はシートの代替として、特に、自動車用電線等の配線類(各種電線やケーブル類など)の結束に有用な粘着テープ又はシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車用電線(自動車用ワイヤーハーネスなど)等の各種電線や、電力線用ケーブルや通信用ケーブル等のケーブル類などの配線類を結束する際には、耐熱性、柔軟性、耐候性などの観点から、軟質塩化ビニル系樹脂製フィルムを基材とした粘着テープ又はシート(「PVCテープ」と称する場合がある)が広く使用されている。前記軟質塩化ビニル系樹脂は、一般的には、塩化ビニル系樹脂に、フタル酸ジオクチル(「DOP」と称する場合がある。)や、フタル酸ジブチル(「DBP」と称する場合がある)などのフタル酸エステル系可塑剤により可塑化されている。
【0003】
また、PVCテープでは、基材の柔軟性や、粘着剤の特性が、基材に使用されている可塑剤の粘着剤層への移行により、変化することを防ぐために、予め、粘着剤にも、基材に含有されているフタル酸エステル系可塑剤を配合する場合がある。
【0004】
一方、PVCテープの代替として、各種ポリオレフィン系樹脂製フィルムを基材とした粘着テープ又はシートが種々提案されている(特許文献1〜特許文献5参照)。このようなポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体(EPM又はEPR)や、これらの複合物などが用いられている。
【0005】
なお、ポリオレフィン系樹脂の柔軟性は、一般的には、フィルム成型されるグレードでは、分子量などによりコントロールすることができ、可塑剤を用いる必要がない。従って、ポリオレフィン系樹脂製フィルムを基材とする粘着テープ又はシートでは、基材中に可塑剤が含有されていないため、粘着剤にも可塑剤を配合する必要がなく、しかも可塑剤を用いると、かえって粘着特性に温度等の環境要因による変化を与えるために、可塑剤を配合しない方がよいとされている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−336328号公報
【特許文献2】
特開2000−336329号公報
【特許文献3】
特開2001−131509号公報
【特許文献4】
特開2001−192629号公報
【特許文献5】
特開2001−311061号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
PVCテープにおいて、基材や粘着剤層中に、可塑化を目的として、一般的に可塑剤として使用されているDOPやDBPを使用した場合、DOPやDBPによる揮発性有機化合物(VOC)の問題が生じる場合がある。特に、密閉空間である自動車室内では、室内外の温度差によって、室内に揮発した可塑剤により、ガラスの曇り(特に、フロントガラスの曇り)の問題もあり、自動車メーカーでは、SAE J1756による試験方法(試料側恒温槽温度100℃、冷却ガラス板温度21℃)において、初期ガラス反射率計値に対する反射率比が60%以上であることが要求されている。
【0008】
この反射率の要求水準は高く、例えば、一般的に、自動車用ワイヤーハーネスの結束用として使用されているPVCテープでは、初期ガラス反射率計値に対する反射率比が20〜40%程度である。そのため、前述のような反射率の要求水準を達成するためには、使用する材料から見直す必要がある。
【0009】
そこで、配線類を結束する粘着テープ又はシートとして、ポリオレフィン系樹脂製フィルムを基材とするものを用いた場合、通常、可塑剤を使用する必要がないので、この点から、前記反射率の要求水準は達成でき解決できる。しかしながら、使用される配線類(結束される配線類)が、ポリ塩化ビニル系樹脂を被覆材とする電線(PVC被覆電線)である場合、結束する粘着テープ又はシートに対して、被覆材中に含まれる可塑剤の拡散が発生し、その結果、PVC被覆電線の被覆材が硬化して、ワイヤーハーネスの柔軟性が失われ、振動などの応力により被覆材の割れが発生して、絶縁機能が失われ、電線寿命を縮める可能性が指摘されている。
【0010】
また、ポリ塩化ビニル系樹脂を使用しないノンハロゲン系被覆材により被覆されている電線(ノンハロゲン被覆電線)の場合、PVC被覆電線と比較して、粘着テープ又はシートの接着性が悪いため、施工後、端末剥がれが発生しやすくなる問題がある。
【0011】
なお、特開2001−131509号公報では、「ポリオレフィン系樹脂100重量部及び無機系難燃剤60〜150重量部からなる粘着テープ用ノンハロゲン樹脂組成物において、可塑剤3〜5重量部を含有させたことを特徴とする粘着テープ用ノンハロゲン樹脂組成物」が記載されており、また、前記可塑剤として「フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル及びフタル酸ジトリイソデシル」が例示されている。しかしながら、このようなフタル酸エステル系可塑剤をポリオレフィン系樹脂に配合して基材を作製した場合、上記反射率比の値が60%以下となる場合が多く、仮に、最低基準である60%を達成できたとしても、近年の高品質化に伴う反射率比のさらなる向上に対して、満足する特性が得られない。
【0012】
従って、本発明の目的は、基材の樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を用いても、自動車用ワイヤーハーネスの結束用として用いた場合、SAE J1756による試験方法(試料側恒温槽温度100℃、冷却ガラス板温度21℃)における初期ガラス反射率計値に対する反射率比を向上させることができる粘着テープ又はシートを提供することにある。
本発明の他の目的は、基材の樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を用いても、PVC被覆電線の結束用として用いた場合、PVC被覆電線の被覆材中の可塑剤の移行を防止することができ、また、ノンハロゲン被覆電線の結束用として用いた場合、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性が良好である粘着テープ又はシートを提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、各種配線類の結束用粘着テープ又はシートとして有用な粘着テープ又はシートを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
まず、PVC被覆電線の結束用としての粘着テープ又はシートとしては、前記PVC被覆電線の被覆材中に含まれている可塑剤が拡散しないように、粘着テープ又はシート側にも、可塑剤を配合することが効果的であると言える。しかし、DOPやDBP等のフタル酸エステル系可塑剤は、基材や粘着剤層を柔軟にする可塑化効果が良好であるものの、自動車用途や住宅用途などの密閉した環境で使用される用途では、揮発性有機化合物(VOC)の問題などが発生する場合がある。
【0014】
また、ノンハロゲン被覆電線の結束用としての粘着テープ又はシートとしては、粘着テープ又はシート側の粘着面が、ノンハロゲン被覆電線の束の表面の凹凸に対して追従できるように、粘着剤層を形成する粘着剤として軟らかい粘着剤を使用することにより、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性を向上させることができ、これにより、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性を確保することができる。
【0015】
しかし、配線類の結束用として用いる粘着テープ又はシートとしては、使用する配線類の種類が限定されることは好ましくなく、PVC被覆電線およびノンハロゲン被覆電線の双方に対応が可能な粘着テープ又はシートが必要とされる。
【0016】
そこで、本発明者らは前記目的を達成するために鋭意検討した結果、可塑剤として特定の種類及び物性を有するものを用いると、基材の樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を用いても、自動車用ワイヤーハーネスの結束用として用いた場合、SAE J1756による試験方法(試料側恒温槽温度100℃、冷却ガラス板温度21℃)における初期ガラス反射率計値に対する反射率比を向上させることができ、また、PVC被覆電線の結束用として用いた場合、PVC被覆電線の被覆材中の可塑剤の移行を防止することができ、さらにまた、ノンハロゲン被覆電線の結束用として用いた場合、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性を良好とすることができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
【0017】
すなわち、本発明は、基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着テープ又はシートであって、前記基材が、樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を含有し、且つ実質的にハロゲン原子を含んでおらず、また、基材と粘着剤層のうち少なくとも基材中に、トリメリット酸エステル系可塑剤が含有されており、且つ該トリメリット酸エステル系可塑剤が下記の特性(A)及び/又は(B)を有していることを特徴とする粘着テープ又はシートを提供する。
特性(A):揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)が2重量%以下である特性
特性(B):蒸気圧(温度:100℃)が0.087Pa以下である特性
【0018】
前記トリメリット酸エステル系可塑剤としては、トリメリット酸トリ(C8アルキル)エステルが好ましい。また、トリメリット酸エステル系可塑剤の割合としては、基材を構成する樹脂成分100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の粘着テープ又はシートでは、基材の少なくとも片面に粘着剤層が形成されており、前記基材は、樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を含有し、且つ実質的にハロゲン原子を含んでおらず、また、基材及び/又は粘着剤層中に、トリメリット酸エステル系可塑剤が含有されており、且つ該トリメリット酸エステル系可塑剤が下記の特性(A)及び/又は(B)を有している。
特性(A):揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)が2重量%以下である特性
特性(B):蒸気圧(温度:100℃)が0.087Pa以下である特性
【0020】
従って、本発明の粘着テープ又はシートには、下記の構成(1)〜(3)を有する粘着テープ又はシートが含まれる。
(1)基材の少なくとも片面に粘着剤層を有しており、前記基材が、樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を含有し、且つ実質的にハロゲン原子を含んでおらず、また、基材及び/又は粘着剤層中に、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)が2重量%以下のトリメリット酸エステル系可塑剤が含有されている構成
(2)基材の少なくとも片面に粘着剤層を有しており、前記基材が、樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を含有し、且つ実質的にハロゲン原子を含んでおらず、また、基材及び/又は粘着剤層中に、蒸気圧(温度:100℃)が0.087Pa以下のトリメリット酸エステル系可塑剤が含有されている構成
(3)基材の少なくとも片面に粘着剤層を有しており、前記基材が、樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を含有し、且つ実質的にハロゲン原子を含んでおらず、また、基材及び/又は粘着剤層中に、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)が2重量%以下で且つ蒸気圧(温度:100℃)が0.087Pa以下のトリメリット酸エステル系可塑剤が含有されている構成
【0021】
このように、本発明の粘着テープ又はシートでは、特定の物性を有するトリメリット酸エステル系可塑剤を用いていることが重要である。例えば、PVC被覆電線の結束用として用いた場合、粘着テープ又はシート中にトリメリット酸エステル系可塑剤が含まれているので、前記PVC被覆電線の被覆材中に含まれている可塑剤の拡散を防止することができる。また、ノンハロゲン被覆電線の結束用として用いた場合、粘着剤層の柔軟性の向上により、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性を良好にすることができる。
【0022】
しかも、トリメリット酸エステル系可塑剤として特定の物性を有するものを用いているので、揮発性有機化合物(VOC)の問題の発生を効果的に防止することができ、密閉環境下であっても、空気の汚染を防止又は抑制することができる。そのため、自動車用ワイヤーハーネスの結束用として用いた場合、SAE J1756による試験方法(試料側恒温槽温度100℃、冷却ガラス板温度21℃)における初期ガラス反射率計値に対する反射率比を、近年求められている高品質化として満足することができるレベルにまで向上させることができる。
【0023】
このように、本発明では、特定の物性を有するトリメリット酸エステル系可塑剤を用いていることが重要であり、前記特性を有していないトリメリット酸エステル系可塑剤では、前述のような効果を奏しない。なお、自動車用ワイヤーハーネス等の各種配線類を結束するための結束用粘着テープ又はシートにおいて、従来、可塑剤として広く用いられているフタル酸エステル系可塑剤[特に、フタル酸ジオクチル(DOP)や、フタル酸ジブチル(DBP)など]は、前記特性を有しておらず、そのため、前述のような効果を奏していない。例えば、DOPの揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)は7.9重量%あり、蒸気圧(温度:100℃)は0.1Paである。またDBPの揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)は15.8重量%あり、蒸気圧(温度:100℃)は5Paである。
【0024】
(トリメリット酸エステル系可塑剤)
トリメリット酸エステル系可塑剤としては、下記の特性(A)及び/又は(B)を有していることが重要である。
特性(A):揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)が2重量%以下である特性
特性(B):蒸気圧(温度:100℃)が0.087Pa以下である特性
【0025】
特性(A)において、トリメリット酸エステル系可塑剤の揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)としては、2重量%以下であれば特に制限されないが、好ましくは1重量%以下(さらに好ましくは0.5重量%以下)であり、なかでも0.3重量%以下(特に0重量%)であることが好ましい。
【0026】
また、特性(B)において、トリメリット酸エステル系可塑剤の蒸気圧(温度:100℃)としては、0.087Pa以下であれば特に制限されないが、好ましくは1.0×10-3Pa以下(さらに好ましくは4.2×10-4Pa以下)であり、特に1.0×10-4Pa以下であることが好ましい。
【0027】
なお、可塑剤(トリメリット酸エステル系可塑剤)の揮発減量は、下記の[揮発減量測定方法]により測定された値を採用することができる。
[揮発減量測定方法]
ポリ塩化ビニル(商品名「TK1300」信越化学工業社製)100重量部に対して、可塑剤50重量部、ステアリン酸カリウム0.3重量部、ステアリン酸亜鉛0.2重量部を配合して、適温(例えば、160〜170℃程度)で、ミキシングロールを用いてロール混練して樹脂組成物を調製した後、該樹脂組成物を、プレスにより約1mmの厚さの試料を作製して重量(加熱処理する前の重量;W1)を測定する。この試料を、165℃のギヤーオーブンの中で1時間放置して(加熱処理して)、試料の重量(加熱処理後の重量;W2)を測定して、次の式により揮発減量(重量%)を求める。
揮発減量(重量%)=[(W1−W2)/W1]×100
【0028】
また、可塑剤(トリメリット酸エステル系可塑剤)の蒸気圧は、静止法、気体流動法、沸点法、気体分子運動に基づく方法などの公知の蒸気圧測定方法を利用した測定装置を用いて、温度が100℃の条件で測定された値を採用することができる。なお、蒸気圧が、測定限界を越えて低い場合は、測定可能領域の結果をグラフ化して、外挿した値を採用することができる。
【0029】
なお、トリメリット酸エステル系可塑剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0030】
より具体的には、トリメリット酸エステル系可塑剤としては、前記物性を有するものであれば特に制限されないが、前記特性(A)及び/又は(B)を有しているトリメリット酸アルキルエステル系可塑剤が好ましく、なかでもトリメリット酸トリ(C8アルキル)エステルを好適に用いることができる。なお、トリメリット酸トリ(C8アルキル)エステルとは、トリメリット酸のトリアルキルエステルにおけるアルキル基の炭素数が8であるトリメリット酸トリアルキルエステルのことを意味している。このような炭素数が8のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のいずれの形態を有していてもよい。具体的には、炭素数が8のアルキル基としては、例えば、n−オクチル基、イソオクチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
【0031】
トリメリット酸エステル系可塑剤としては、トリメリット酸トリ(C8アルキル)エステル[例えば、トリメリット酸トリn−オクチル(TnOTM)、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)など]や、これらの混合物などのトリメリット酸トリオクチル系可塑剤が好適であり、特に、トリメリット酸トリn−オクチル(TnOTM)、トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)を好適に用いることができる。
【0032】
トリメリット酸エステル系可塑剤の使用量としては、特に制限されないが、基材を構成する樹脂成分100重量部に対して、または粘着剤層を構成する粘着剤組成物100重量部(固形分)に対して、100重量部以下であることが望ましく、基材と粘着剤層とのうち、少なくともいずれか一方には、必ず含まれていることが重要である。
【0033】
具体的には、トリメリット酸エステル系可塑剤が基材中に用いられている場合、トリメリット酸エステル系可塑剤の使用量としては、基材を構成する樹脂成分100重量部に対して1〜100重量部(好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜50重量部)程度の範囲から選択することができる。
【0034】
一方、トリメリット酸エステル系可塑剤が粘着剤層中に用いられている場合、トリメリット酸エステル系可塑剤の使用量としては、粘着剤層を構成する粘着剤組成物100重量部(固形分)に対して、1〜100重量部(好ましくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜50重量部)程度の範囲から選択することができる。
【0035】
(基材)
本発明の粘着テープ又はシートにおける基材(「粘着テープ基材」と称する場合がある)は、ポリオレフィン系樹脂を樹脂成分の主成分として含有しており、且つ実質的にハロゲン原子を含んでいないプラスチック材料により構成されている。ここで、「実質的にハロゲン原子を含んでいない」とは、粘着テープ基材(プラスチックフィルム)の構成材料として、分子中にハロゲン原子を含む物質を使用していないことを意味している。従って、機器分析手段によって粘着テープ基材の組成分析をした場合に、極微量レベルで検出されるハロゲン原子(例えば、化合物(粘着テープ基材の構成材料)の合成時に触媒として使用したハロゲン原子含有物質によるハロゲン原子が、粘着テープ基材の構成材料中に混入した結果、粘着テープ基材から検出される極微量のハロゲン原子など)の含有等は許容される。
【0036】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン(例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンなど)、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブチレン、ポリブタジエンの他、エチレン−プロピレン共重合体(ランダム共重合体)等のエチレン及び/又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体(特にランダム共重合体)などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリエチレンが好適である。ポリオレフィン系樹脂は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0037】
ポリオレフィン系樹脂は、他の樹脂と併用することができる。このような樹脂としては、粘着テープ基材に適度な柔軟性を付与するという観点から、分子骨格中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂を好適に用いることができる。このような分子骨格中にカルボニル性の酸素原子(カルボニル基に帰属する酸素原子)を有する熱可塑性樹脂としては、分子骨格中にカルボニル性の酸素原子を有する軟質ポリオレフィン系樹脂(「カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂」と称する場合がある)を好適に用いることができる。もちろん、該カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂であるので、粘着テープ基材の構成材料としてのポリオレフィン系樹脂として用いることができる。すなわち、前記カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂として単独で用いてもよく、他のポリオレフィン系樹脂とともに用いてもよい。
【0038】
カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂の好適な例としては、例えば、モノマー成分として、エチレンと、ビニルエステル系化合物及び/又はα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体(無水物、エステル、塩化物など)とを用いて得られるカルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)などが挙げられる。なお、カルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)は、一般に、融点が120℃以下であり、好ましくは40〜100℃である。該融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定することができる。
【0039】
前記ビニルエステル系化合物としては、例えば、酢酸ビニル等のビニルアルコールと低級のカルボン酸とのエステル(低級カルボン酸のビニルエステル)などが挙げられる。また、α,β−不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸の誘導体として、α,β−不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の官能基含有(メタ)アクリル酸エステルなど]、マレイン酸エステル[例えば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸(モノ又はジ)アルキルエステルなど]、フマル酸エステル[例えば、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル等のフマル酸(モノ又はジ)アルキルエステルなど]などが挙げられる。ビニルエステル系化合物及び/又はα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[特に(メタ)アクリル酸エチル、中でもアクリル酸エチル]が好適である。ビニルエステル系化合物及び/又はα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0040】
カルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)の好適な具体例としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン−メタクリル酸グリシジル−アクリル酸エチル共重合体およびこれらの金属塩(アイオノマー)等が挙げられる。カルボニル基を有するエチレン系共重合体またはその金属塩(アイオノマー)は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
さらにまた、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン成分とプロピレン成分とを含むポリマーアロイを使用することもでき、なかでも、エチレン成分とプロピレン成分とを含むポリマーアロイと、分子骨格中にカルボニル性の酸素原子を有する熱可塑性樹脂(特に、カルボニル基含有ポリオレフィン系樹脂)とを含む樹脂組成物が好適である。
【0042】
なお、前記ポリマーアロイの構成(形態)としては、特に制限されず、例えば、(1)2種以上の重合体が物理的に混合されたポリマーブレンド(物理的混合物)、(2)2種以上の重合体が共有結合で結合したブロック共重合体やグラフト共重合体、(3)2種以上の重合体が互いに共有結合で結合されることなく絡み合ったIPN(Interpenetrating Polymer Network)構造体等の種々の構成(形態)が挙げられる。また、ポリマーアロイは、組成的に必ずしも均一でなくてもよく(分布をもっていてもよく)、あるいは、2種以上の重合体が相溶したもの(相溶性ポリマーアロイ)でも、2種以上の重合体が非相溶で相分離構造を形成しているもの(非相溶性ポリマーアロイ)でもよい。また、示差走査熱量計による測定(DSC測定)で、発熱又は吸熱ピークを複数有するような熱特性を示すものでもよい。
【0043】
前記エチレン成分とプロピレン成分とを含むポリマーアロイとしては、例えば、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン)とポリエチレン(エチレンと少量の他のα−オレフィンとの共重合体を含む)との混合物(物理的混合物)、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレンとエチレンとこれら以外の他のα−オレフィンとの3元共重合体(他のα−オレフィンとしては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン等が挙げられ、1−ブテンが好ましい。)などが挙げられる。なお、前記「ホモポリプロピレン」とは、モノマー成分が実質的にプロピレンのみからなる(100%からなる)重合体(プロピレンの単独重合体)を意味しており、また「ランダムポリプロピレン」とは、全モノマー成分に対して数%程度のエチレン成分がプロピレンとランダムに共重合したポリプロピレン系ランダム共重合体を意味している。
【0044】
ポリマーアロイが共重合体(特にブロック共重合体)の場合は、該ポリマーアロイとしては、2段以上の多段重合により共重合された共重合体が好ましく、特にプロピレン/エチレン系共重合体が好適である。このような多段重合によって共重合された共重合体は、特開平4−224809号公報、特開2001−192629号公報に記載されているように、例えば、チタン化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒の存在下において、先ずプロピレン、またはプロピレンと他のα−オレフィンとを多段重合の第1段目で予備重合して、ポリプロピレン(プロピレンの単独重合体)、またはプロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体)を調製し、次いで、第2段目以降で、前記第1段目の予備重合で得られた樹脂組成物の存在下で、プロピレンと、エチレンと、必要に応じて他のα−オレフィンとを共重合させることにより調製することができる。これにより、第1段目の予備重合で生成するポリマー(ポリプロピレンまたはプロピレン−α−オレフィン共重合体)と、第2段目以降の共重合で生成するポリマー(プロピレン−エチレン共重合体またはプロピレン−エチレン−他のα−オレフィン共重合体)とが、第2段目以降の重合過程で分子レベルでブレンドされたポリマーアロイが得られる。
【0045】
前記チタン化合物としては、例えば、三塩化チタンと塩化マグネシウムを共粉砕し、オルトチタン酸n−ブチル、2−エチルヘキサノール、p−トルイル酸エチル、四塩化ケイ素、フタル酸ジイソブチル等で処理した球状で平均粒子径15μmの固体触媒などが挙げられる。また、有機アルミニウム化合物としては、例えば、トリエチルアルミニウム等のアルキルアルミニウム系化合物等を使用することができる。さらに、重合層において、電子供与体としてジフェニルジメトキシシラン等のケイ素系化合物を添加したり、ヨウ化エチル等のヨウ素系化合物を添加することもできる。
【0046】
このようなエチレン成分とプロピレン成分とを含むポリマーアロイとしては、高温下で高弾性を示すもの、すなわち、粘着テープの使用時の温度を考慮して、例えば、80℃における動的貯蔵弾性率(E´)が40MPa以上且つ180MPa未満(好ましくは45〜160MPa)であり、且つ120℃における動的貯蔵弾性率(E´)が12MPa以上且つ70MPa未満(好ましくは15〜65MPa)であるものが好ましい。このような動的貯蔵弾性率(E´)を示すことで、粘着テープ基材(または粘着テープ)の熱変形を十分に抑制又は防止することができる。
【0047】
このような動的貯蔵弾性率(E´)を有するポリマーアロイの具体例としては、例えば、サンアロマー(株)社製のキャタロイ製品(ADFLEX)のシリーズ(例えば、商品名「KS−353P」、商品名「KS−021P」、商品名「C200F」、商品名「Q200F」など)等が挙げられる。
【0048】
また、エチレン成分とプロピレン成分とを含むポリマーアロイとしては、室温付近での粘着テープの作業性(被着体又は被粘着物への粘着テープの追従性など)を考慮すると、23℃における動的貯蔵弾性率(E´)が200MPa以上且つ400MPa未満であることが好ましい。当該ポリマーアロイが、このような動的貯蔵弾性率(E´)を有することにより、粘着テープ基材は、良好な柔軟性を有し、被着体又は被粘着物への追従性が向上する。
【0049】
このような動的貯蔵弾性率(E´)を有するポリマーアロイの具体例としては、前記と同様に、例えば、サンアロマー(株)社製のキャタロイ製品(ADFLEX)のシリーズ(例えば、商品名「KS−353P」、商品名「KS−021P」、商品名「C200F」、商品名「Q200F」など)等が挙げられる。
【0050】
なお、ポリマーアロイの動的貯蔵弾性率(E´)は、ポリマーアロイによる試験片(厚み0.2mm、幅10mm、長さ20mm)を作製し、当該試験片の温度分散による動的貯蔵弾性率挙動を、測定器として商品名「DMS200(セイコーインスツルメンツ社製)」を用い、測定法:引張モード、昇温速度:2℃/min、周波数:1Hzの測定条件で測定した値を採用することができる。
【0051】
粘着テープ基材には、必要に応じて無機物が含まれていてもよい。無機物としては、特に制限されないが、例えば、クレーなどの粘土鉱物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物;塩基性炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウム−カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、ドロマイト等の金属炭酸塩;ハイドロタルサイト、硼砂等の金属水和物(金属化合物の水和物);メタホウ酸バリウム、酸化マグネシウム、赤リンなどが挙げられる。このような無機物は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。無機物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の金属水酸化物や、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトが好ましく、これらの無機物は、難燃性の付与効果に優れ、経済的にも有利である。
【0052】
なお、無機物の割合としては、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して20〜200重量部(好ましくは40〜150重量部)程度である。
【0053】
粘着テープ基材には、必要に応じて、充填剤(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機質充填剤など)、着色剤(例えば、顔料、染料など)、滑剤、紫外線吸収剤(例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤など)、酸化防止剤、老化防止剤(例えば、アミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤、ヒドロキノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、リン系老化防止剤、亜リン酸エステル系老化防止剤など)、可塑剤等の各種添加剤が配合されていてもよい。
【0054】
粘着テープ基材の製造方法(例えば、ポリオレフィン系樹脂の成膜方法)は、特に制限されない。粘着テープ基材は、通常、ポリオレフィン系樹脂と、必要に応じて無機物や、充填剤等の各種添加剤とを、ドライブレンドし、該混合物をバンバリミキサー、ロール、押出し機等を用いて混練し(この際、必要に応じて加熱することができる)、該混練物を公知乃至慣用の成形方法(例えば、圧縮成形方法、カレンダ成形方法、射出成形方法、押出成形方法等)により、フィルム状又はシート状に成形することにより得られる。粘着テープ基材の製造方法としては、カレンダ圧延方法やフラットダイによる押出方法(フラットダイ押出方法)を好適に採用することができる。
【0055】
粘着テープ基材は、フィルム状またはシート状の形態を有している。粘着テープ基材(プラスチックフィルム又はシート)の厚みは、特に制限されず、粘着テープの用途によっても異なるが、一般に、0.01〜1mm(好ましくは0.05〜5mm)程度である。なお、粘着テープ基材は単層の形態を有していてもよく、また、複層の形態を有していてもよい。粘着テープ基材には、必要に応じて、背面処理、帯電防止処理、下塗り処理などの各種処理を施してもよい。
【0056】
(粘着剤層)
粘着テープにおける粘着剤層を構成する粘着剤(感圧接着剤)としては、特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤(天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤など)、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、フッ素系粘着剤などの公知の粘着剤を用いることができる。また、粘着剤は、ホットメルト型粘着剤であってもよい。粘着剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。粘着剤は、エマルジョン系粘着剤、溶剤系粘着剤、オリゴマー系粘着剤、固系粘着剤などのいずれの形態の粘着剤であってもよい。
【0057】
なお、粘着剤は、粘着性成分(ベースポリマー)等のポリマー成分の他に、粘着剤の種類等に応じて、可塑剤(軟化剤)、粘着付与樹脂、増粘剤、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、帯電防止剤、発泡剤、界面活性剤などの適宜な添加剤を含んでいてもよい。
【0058】
粘着剤としては、耐久性や製品の使用作業性などの観点から、アクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤を好適に用いることができる。
【0059】
アクリル系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体(単独重合体又は共重合体)をベースポリマーとしている。アクリル系粘着剤において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1-14アルキルエステル]などが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチルが好適である。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、目的とする粘着性などに応じて適宜選択することができる。
【0060】
また、前記アクリル系粘着剤において、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとともに、必要に応じて前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な他のモノマー(共重合性モノマー)が併用されていてもよい。このような共重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有単量体又はその無水物;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有単量体;スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリロニトリルなどのシアノ基含有単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン類;酢酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニル;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジメタクリレートなどの水酸基含有単量体;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有単量体;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有単量体;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有単量体などが挙げられる。また、共重合性単量体としては、例えば、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性の共重合性単量体(多官能モノマー)などが挙げられる。共重合性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0061】
粘着剤層は、公知乃至慣用の形成方法を採用することができ、例えば、粘着テープ基材上に、粘着剤を塗布する方法(塗布方法)、剥離ライナーなどの剥離フィルム上に、粘着剤を塗布して粘着剤層を形成した後、該粘着剤層を基材上に転写する方法(転写方法)などが挙げられる。なお、粘着剤層の形成に際しては、公知乃至慣用の方法(流延方法、ロールコーター方法、リバースコータ方法、ドクターブレード方法など)を適宜利用することができる。
【0062】
粘着剤層は、単層、積層体のいずれの形態を有していてもよい。粘着剤層の厚さとしては、特に制限されず、例えば、1〜100μm(好ましくは10〜50μm)程度の範囲から選択することができる。
【0063】
(粘着テープ又はシート)
本発明の粘着テープ又はシートは、粘着テープ基材の少なくとも片面に、粘着剤層を有しているとともに、基材及び/又は粘着剤層中に、前記特性(A)及び/又は(B)を有するトリメリット酸エステル系可塑剤が含有されている。従って、粘着テープ又はシートは、粘着テープ基材の片面のみに粘着剤層が形成された形態を有していてもよく、粘着テープ基材の両面に粘着剤層が形成された形態を有していてもよい。なお、粘着テープ又はシートが、粘着テープ基材の片面のみに粘着剤層が形成された形態を有している場合、粘着テープ又はシートが、例えば、粘着テープ基材と、前記粘着テープ基材の一方の面に形成された粘着剤層と、前記粘着テープ基材の他方の面に形成された背面処理層とで構成されていると、粘着剤層をシート背面(背面処理層の面)と重ね合わせてロール状に巻回することにより、ロール状に巻回された状態又は形態の粘着テープとして作製することができる。この際、粘着剤層はシート背面の背面処理層により保護されている。
【0064】
もちろん、粘着テープ又はシートが両面粘着テープである場合や、粘着テープ基材のシート背面が剥離処理面となっていない場合などでは、粘着剤層を、剥離フィルム(剥離ライナ;セパレータ)により保護した状態でロール状に巻回して、粘着テープを作製することができる。
【0065】
粘着テープ又はシートは、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層(例えば、中間層、下塗り層など)を有していてもよい。
【0066】
本発明の粘着テープ又はシートは、前述のように、基材及び/又は粘着剤層中に含有されているトリメリット酸エステル系可塑剤が、前記特性(A)及び/又は(B)を有しているので、SAE J1756による試験方法(試料側恒温槽温度100℃、冷却ガラス板温度21℃)に準じて反射率を測定した際に、初期ガラス反射率計値に対する反射率比を60%以上(好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上)とすることができる。従って、本発明の粘着テープ又はシートを自動車用ワイヤーハーネスの結束用として用いると、可塑剤によりガラス(特に、フロントガラス)に曇りが生じることを効果的に抑制又は防止することができる。
【0067】
もちろん、粘着テープ又はシート中に可塑剤が含まれているので、基材の樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂が用いられていても、PVC被覆電線(ポリ塩化ビニル系樹脂を被覆材とする電線)の結束用として用いた場合、PVC被覆電線の被覆材中の可塑剤の移行を防止することができる。
【0068】
また、粘着剤層中に可塑剤を含むことができるので、粘着剤層の柔軟性を高めることができ、これにより、ノンハロゲン被覆電線(ポリ塩化ビニル系樹脂を使用しないノンハロゲン系被覆材により被覆されている電線)に対する接着性を良好とすることができる。
【0069】
さらにまた、粘着テープ又はシートの基材は、樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂が含まれており、実質的にハロゲン原子を含んでいないので、焼却時には有毒ガスが発生しない。また、粘着テープ又はシートの基材中に、無機物を含有させることにより耐熱性を高めることができる。
【0070】
従って、本発明の粘着テープ又はシートは、各種配線類の結束用粘着テープ又はシートとして好適に用いることができる。前記配線類としては、各種電線やケーブル類などのいずれの配線であってもよく、なかでも電化製品用電線や自動車用電線(特に、自動車用電線)が好適に用いられる。
【0071】
【発明の効果】
本発明の粘着テープ又はシートによれば、前記構成を有しているので、基材の樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を用いても、自動車用ワイヤーハーネスの結束用として用いた場合、SAE J1756による試験方法(試料側恒温槽温度100℃、冷却ガラス板温度21℃)における初期ガラス反射率計値に対する反射率比を向上させることができる。また、基材の樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を用いても、PVC被覆電線の結束用として用いた場合、PVC被覆電線の被覆材中の可塑剤の移行を防止することができ、また、ノンハロゲン被覆電線の結束用として用いた場合、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性が良好である。従って、各種配線類の結束用粘着テープ又はシートとして有用である。
【0072】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例5及び6は、参考例として記載するものである。
【0073】
[基材]
基材を形成するための樹脂組成物として、下記の基材用樹脂組成物(1)を用いた。
・基材用樹脂組成物(1):エチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名「エバフレックスP−1905」(三井デュポンポリケミカル社製):30重量部と、商品名「ADFLEX KS−353P」(サンアロマー社製):70重量部とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物
【0074】
[粘着剤]
粘着剤層を形成するための粘着剤として、下記の粘着剤組成物(1)、粘着剤組成物(2)を用いた。
【0075】
粘着剤組成物(1):天然ゴム(商品名「RSS」野村貿易社製)70重量部と、スチレン−ブタジエンゴム(SBR;商品名「SBR1502」JSR社製):30重量部と、タッキファイアー(商品名「A−100」ゼオン社製):80重量部とを含有するゴム系粘着剤組成物
【0076】
粘着剤組成物(2):下記の[アクリル系ポリマーの調製例]により調製された(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマー組成物:100重量部(固形分)と、下記の[アクリル系オリゴマーの調製例]により調製されたアクリル系オリゴマー組成物:20重量部(固形分)と、粘着付与樹脂(商品名「ナノレットR−1050」ヤスハラケミカル社製):20重量部と、増粘剤としてトルエン:30重量部とを含有するアクリル系粘着剤組成物(具体的には、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマー組成物に、アクリル系オリゴマー組成物、粘着付与樹脂、増粘剤を前記割合で配合して、常温(20〜25℃)でホモミキサーにより、約1,000〜2,000rpmの回転速度で約10分間混合して得られるアクリル系粘着剤組成物)
【0077】
[アクリル系ポリマーの調製例]
モノマー成分としてアクリル酸2−エチルヘキシル:92重量部、アクリル酸ブチル:5重量部、アクリロニトリル:2重量部、メタクリル酸:1重量部(以上、全重量を100重量部とし、この組成を「一括重合用モノマー成分」とする)、乳化剤としてラウリル硫酸アンモニウム(商品名「エマールAD−25R」花王社製):2重量部、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン二塩酸塩):0.03重量部、溶媒としてイオン交換水:126.5重量部を、1Lのフラスコに投入し、ホモジナイザーにて20分以上撹拌して乳化した。その後、攪拌機、コンデンサー、滴下漏斗、窒素導入管をフラスコに取り付け、回転数28〜32rpm(平均30rpm)で撹拌しながら、窒素ガスを流量10L/minで1時間以上流して、窒素置換した。窒素置換後、ウォーターバスに浸し、内浴の温度が52〜56℃(平均54℃)になるようにコントロールしながら重合を開始させ、そのままの温度で2時間以上重合を継続させた。その後、別途調製した、アクリル酸2−エチルヘキシル:92重量部、アクリル酸ブチル:5重量部、アクリロニトリル:2重量部、メタクリル酸:1重量部(以上、全重量を100重量部とし、この組成を「滴下重合用モノマー成分」とする)、乳化剤としてラウリル硫酸アンモニウム(商品名「エマールAD−25R」花王社製):2重量部、重合開始剤として過硫酸アンモニウム:0.3重量部からなる乳化物を、一括重合用モノマー成分と滴下重合用モノマー成分との比率が70/30(=一括重合用モノマー成分/滴下重合用モノマー成分)となる割合で、滴下漏斗から全量を約3時間かけてチューブポンプを用いて滴下した。その後、さらに、内浴の温度を75℃まで上げ、約2時間重合を行い、重合終了後、25重量%のアンモニア水溶液を0.4重量部添加して、アクリル系ポリマーとしての(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマー組成物(水分散体)を得た。
【0078】
なお、該(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマー組成物(水分散体)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル系ポリマーについて、その重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により求めたところ、約75万であった。
【0079】
[アクリル系オリゴマーの調製例]
モノマー成分としてアクリル酸n−ブチル:95重量部、アクリル酸:5重量部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン:0.8重量部、溶媒としてトルエン:10重量部、重合開始剤として2,2´−アゾビスイソブチロニトリル:0.1重量部を、窒素導入管、冷却管を備えた4つ口フラスコに投入し、充分に窒素置換を行った後、窒素気流下で撹拌しながら、55℃で12時間重合を行い、アクリル系オリゴマー組成物を得た。
【0080】
このアクリル系オリゴマー組成物におけるアクリル系オリゴマーについて、その重量平均分子量を、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)により求めたところ、2.7万であった。
【0081】
(実施例1)
前記の基材用樹脂組成物(1):100重量部に対して、可塑剤として商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM);分子量:546、沸点:430℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):0.3重量%、蒸気圧(温度:100℃):4.2×10-4Pa]を20重量部添加し、ミキシングロールにて混練して、可塑剤含有樹脂組成物(「可塑剤含有樹脂組成物A」と称する場合がある)を調製し、該可塑剤含有樹脂組成物Aを、カレンダーにて製膜して、厚み:100μmの基材用樹脂フィルム(「基材用樹脂フィルムA」と称する場合がある)を作製した。
【0082】
一方、前記の粘着剤組成物(1):100重量部(固形分)に対して、可塑剤として商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM);分子量:546、沸点:430℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):0.3重量%、蒸気圧(温度:100℃):4.2×10-4Pa]を20重量部添加して、可塑剤含有粘着剤組成物(「可塑剤含有粘着剤組成物A」と称する場合がある)を調製し、該可塑剤含有粘着剤組成物Aを、前記の基材用樹脂フィルムA(厚み:100μm)の片面に、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布して粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有している基材用樹脂フィルムAが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有している可塑剤含有粘着剤組成物Aが用いられている。
【0083】
(実施例2)
粘着剤組成物(1)に代えて、粘着剤組成物(2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして可塑剤含有粘着剤組成物(「可塑剤含有粘着剤組成物B」と称する場合がある)を調製した。すなわち、可塑剤含有粘着剤組成物Bには、粘着剤組成物(2):100重量部(固形分)に対して、可塑剤として商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM);分子量:546、沸点:430℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):0.3重量%、蒸気圧(温度:100℃):4.2×10-4Pa]が20重量部配合されている。
【0084】
そして、前記可塑剤含有粘着剤組成物Bを用いたこと以外は実施例1と同様にして、厚みが25μmの粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有している基材用樹脂フィルムAが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有している可塑剤含有粘着剤組成物Bが用いられている。
【0085】
(実施例3)
実施例1と同様の基材用樹脂フィルムA(厚み:100μm)の片面に、粘着剤組成物(1)を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布して粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有している基材用樹脂フィルムAが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有していない粘着剤組成物(1)が用いられている。従って、可塑剤は、基材中にのみ含有されている。
【0086】
(実施例4)
実施例1と同様の基材用樹脂フィルムA(厚み:100μm)の片面に、粘着剤組成物(2)を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布して粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有している基材用樹脂フィルムAが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有していない粘着剤組成物(2)が用いられている。従って、可塑剤は、基材中にのみ含有されている。
【0087】
(実施例5)
基材用樹脂組成物(1)を、カレンダーにて製膜して、厚み:100μmの基材用樹脂フィルム(「基材用樹脂フィルムB」と称する場合がある)を作製した。
【0088】
基材用樹脂フィルムB(厚み:100μm)の片面に、実施例1と同様の可塑剤含有粘着剤組成物Aを、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布して粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有していない基材用樹脂フィルムBが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有している粘着剤組成物Aが用いられている。従って、可塑剤は、粘着剤層中にのみ含有されている。
【0089】
(実施例6)
実施例5と同様の基材用樹脂フィルムB(厚み:100μm)の片面に、実施例2と同様の可塑剤含有粘着剤組成物Bを、乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布して粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有していない基材用樹脂フィルムBが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有している粘着剤組成物Bが用いられている。従って、可塑剤は、粘着剤層中にのみ含有されている。
【0090】
(比較例1)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジオクチル[商品名「サンソサイザーDOP」新日本理化社製;DOP;分子量:390、沸点:386℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):7.9重量%、蒸気圧(温度:100℃):0.1Pa]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0091】
(比較例2)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジオクチル[商品名「サンソサイザーDOP」新日本理化社製;DOP;分子量:390、沸点:386℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):7.9重量%、蒸気圧(温度:100℃):0.1Pa]を用いたこと以外は、実施例2と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0092】
(比較例3)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジオクチル[商品名「サンソサイザーDOP」新日本理化社製;DOP;分子量:390、沸点:386℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):7.9重量%、蒸気圧(温度:100℃):0.1Pa]を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0093】
(比較例4)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジオクチル[商品名「サンソサイザーDOP」新日本理化社製;DOP;分子量:390、沸点:386℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):7.9重量%、蒸気圧(温度:100℃):0.1Pa]を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0094】
(比較例5)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジオクチル[商品名「サンソサイザーDOP」新日本理化社製;DOP;分子量:390、沸点:386℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):7.9重量%、蒸気圧(温度:100℃):0.1Pa]を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0095】
(比較例6)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジオクチル[商品名「サンソサイザーDOP」新日本理化社製;DOP;分子量:390、沸点:386℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):7.9重量%、蒸気圧(温度:100℃):0.1Pa]を用いたこと以外は、実施例6と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0096】
従って、比較例1〜6に係る粘着テープは、用いられている可塑剤の種類が異なること以外は、それぞれ、実施例1〜6に係る粘着テープと同様の構成を有している(可塑剤として、比較例1〜6に係る粘着テープではDOPが用いられ、実施例1〜6に係る粘着テープではトリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)が用いられている)。
【0097】
(比較例7)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジブチル[商品名「サンソサイザーDBP」新日本理化社製;DBP;分子量:278、沸点:340℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):15.8重量%、蒸気圧(温度:100℃):5Pa]を用いたこと以外は実施例1と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0098】
(比較例8)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジブチル[商品名「サンソサイザーDBP」新日本理化社製;DBP;分子量:278、沸点:340℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):15.8重量%、蒸気圧(温度:100℃):5Pa]を用いたこと以外は実施例2と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0099】
(比較例9)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジブチル[商品名「サンソサイザーDBP」新日本理化社製;DBP;分子量:278、沸点:340℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):15.8重量%、蒸気圧(温度:100℃):5Pa]を用いたこと以外は実施例3と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0100】
(比較例10)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジブチル[商品名「サンソサイザーDBP」新日本理化社製;DBP;分子量:278、沸点:340℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):15.8重量%、蒸気圧(温度:100℃):5Pa]を用いたこと以外は実施例4と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0101】
(比較例11)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジブチル[商品名「サンソサイザーDBP」新日本理化社製;DBP;分子量:278、沸点:340℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):15.8重量%、蒸気圧(温度:100℃):5Pa]を用いたこと以外は実施例5と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0102】
(比較例12)
可塑剤として、商品名「サンソサイザーTOTM」[新日本理化社製;トリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)]に代えて、フタル酸ジブチル[商品名「サンソサイザーDBP」新日本理化社製;DBP;分子量:278、沸点:340℃、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間):15.8重量%、蒸気圧(温度:100℃):5Pa]を用いたこと以外は実施例6と同様にして、可塑剤含有粘着剤組成物を調製するとともに、粘着テープを作製した。
【0103】
従って、比較例7〜12に係る粘着テープは、用いられている可塑剤の種類が異なること以外は、それぞれ、実施例1〜6に係る粘着テープと同様の構成を有している(可塑剤として、比較例7〜12に係る粘着テープではDBPが用いられ、実施例1〜6に係る粘着テープではトリメリット酸トリ2−エチルヘキシル(TOTM)が用いられている)。
【0104】
(比較例13)
実施例5と同様の基材用樹脂フィルムB(厚み:100μm)の片面に、粘着剤組成物(1)を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布して粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有していない基材用樹脂フィルムBが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有していない粘着剤組成物(1)が用いられている。従って、可塑剤は、粘着テープ中には含有されていない。
【0105】
(比較例14)
実施例5と同様の基材用樹脂フィルムB(厚み:100μm)の片面に、粘着剤組成物(2)を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布して粘着剤層を形成して、粘着テープを作製した。すなわち、該粘着テープでは、基材として、可塑剤を含有していない基材用樹脂フィルムBが用いられ、粘着剤層として、可塑剤を含有していない粘着剤組成物(2)が用いられている。従って、可塑剤は、粘着テープ中には含有されていない。
【0106】
(評価)
実施例1〜6および比較例1〜14で得られた粘着テープについて、下記の「ノンハロゲン被覆電線接着性の測定方法」、「反射率比の測定方法」により、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性と、SAE J1756による試験方法による反射率比とを評価した。なお、評価結果は、それぞれ、表1の「ノンハロゲン被覆電線接着性」、「反射率比」の欄に示した。
【0107】
(ノンハロゲン被覆電線接着性の測定方法)
ノンハロゲン被覆電線(ポリ塩化ビニル系樹脂を使用しないノンハロゲン系被覆材により被覆されている電線)に、粘着テープを荒巻し、40℃で48時間放置した後、粘着テープの端末部の剥がれ具合を、目視により、確認して、剥がれが10mm未満となっているものを「○」とし、10mm以上剥がれているものを「×」として、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性を評価した。
【0108】
(反射率比の測定方法)
測定装置として商品名「REFO 60 REFLEKTOMETER」(PRLANGE社製)を用い、SAE J1756による試験方法(試料側恒温槽温度100℃、冷却ガラス板温度21℃)に準じて反射率を測定して、初期ガラス反射率計値に対する反射率比を求める。
【0109】
【表1】
【0110】
表1から明らかなように、実施例1〜6に係る粘着テープは、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性が良好であり、しかも、反射率比も80%以上であり、極めて優れた反射率比を発揮している。
【0111】
また、実施例1〜6に係る粘着テープを、PVC被覆電線(ポリ塩化ビニル系樹脂を被覆材とする電線)に対して、ワイヤーハーネス結束を行い、結束(貼付)後、80℃で2時間放置した後、解体したところ、電線の柔軟性は良好であった。一方、比較例13〜14に係る粘着テープを、PVC被覆電線に対して、ワイヤーハーネス結束を行い、結束(貼付)後、80℃で2時間放置した後、解体したところ、電線の被覆に硬化が認められた。
【0112】
しかも、実施例1〜6に係る粘着テープにおける基材は、オレフィン系樹脂により構成されているので、ハロゲン原子を含んでおらず、焼却時などで有害ガスを発生させない。
【0113】
従って、実施例1〜6に係る粘着テープは、配線類の結束用粘着テープとして好適に用いることができる。
【0114】
なお、比較例1〜12では、可塑剤が用いられているので、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性が良好であるが、可塑剤が、いずれも、揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)が2重量%を越えているか、または、蒸気圧(温度:100℃)が0.087Paを越えている特性を有しているので、反射率比が低い。また、比較例13〜14では、可塑剤が用いられていないので、反射率比が良好であるが、ノンハロゲン被覆電線に対する接着性が不良である。
Claims (3)
- 基材の少なくとも片面に粘着剤層を有する粘着テープ又はシートであって、前記基材が、樹脂成分の主成分としてポリオレフィン系樹脂を含有し、且つ実質的にハロゲン原子を含んでおらず、また、基材と粘着剤層のうち少なくとも基材中に、トリメリット酸エステル系可塑剤が含有されており、且つ該トリメリット酸エステル系可塑剤が下記の特性(A)及び/又は(B)を有していることを特徴とする粘着テープ又はシート。
特性(A):揮発減量(温度:165℃、加熱時間:1時間)が2重量%以下である特性
特性(B):蒸気圧(温度:100℃)が0.087Pa以下である特性 - トリメリット酸エステル系可塑剤が、トリメリット酸トリ(C8アルキル)エステルである請求項1記載の粘着テープ又はシート。
- トリメリット酸エステル系可塑剤の割合が、基材を構成する樹脂成分100重量部に対して、1〜100重量部である請求項1又は2記載の粘着テープ又はシート。
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