JP7474796B2 - 粘着テープ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粘着テープ及びその製造方法に関する。
自動車、鉄道、航空機、船舶、家屋、工場等において、各種電気機器の配線を結束するための粘着テープとしては、適度な柔軟性と伸長性を有し、難燃性、機械的強度、耐熱変形性、電気絶縁性、及び成形加工性等の諸物性に優れ、さらに比較的安価であることから、ポリ塩化ビニル樹脂を含有する樹脂組成物を原料とした基材の片面に、粘着剤を塗布したポリ塩化ビニル樹脂系粘着テープが使用されている(例えば、特許文献1等)。
上記分野に用いられる粘着テープのうち、特に、自動車の車両内や航空機内に配置される電線類を結束する分野において、近年、コストダウン及び燃費向上の観点から、その小型化や軽量化が求められている。係る要求に対して、例えば特許文献2には、基材の薄膜化による粘着テープの軽量化が提案されている。
一方で、粘着テープの更なる軽量化のために粘着剤層も薄膜化した場合、粘着力の低下によって、テープの結束性が低下するという問題がある。
特開平11-209718号公報 国際公開第2019/049565号
本発明は、基材及び粘着剤層の両方を薄膜化しても、対象物を結束するために十分な粘着力を有する粘着テープ及びその製造方法を提供することを目的とする。
本願発明者らは鋭意検討した結果、粘着剤層が特定のエステル価を有することにより、基材及び粘着剤層の両方を薄膜化しても、対象物を結束するのに十分な粘着力を有する粘着テープが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の態様を有する。
[1]ポリ塩化ビニル樹脂を含む基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備える粘着テープであって、前記粘着剤層がゴム系粘着剤を含み、前記粘着剤層のエステル価が75mgKOH/g以上であり、前記基材の厚みが25~65μmであり、前記粘着剤層の厚みが0.5~12μmである、粘着テープ。
[2]前記粘着剤層のエステル価が90~150mgKOH/gである、[1]に記載の粘着テープ。
[3]前記粘着剤層が粘着付与剤を含む、[1]または[2]に記載の粘着テープ。
[4]前記粘着付与剤が石油樹脂を含む、[3]に記載の粘着テープ。
[5]前記粘着剤層が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、天然ゴム及び合成ゴムから選択される少なくとも1つのゴム成分とのグラフト共重合体を含む、[1]から[4]のいずれかに記載の粘着テープ。
[6]前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が500~2,000である、[1]から[5]のいずれかに記載の粘着テープ。
[7]前記基材が、前記ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、可塑剤を25~75質量部含む、[1]から[6]のいずれかに記載の粘着テープ。
[8]前記基材が、トリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤から選択される少なくとも1つの可塑剤を含む、[1]から[7]のいずれかに記載の粘着テープ。
[9]前記粘着剤層の厚みが0.5~9μmである、[1]から[8]のいずれかに記載の粘着テープ。
[10]電線類の結束用である、[1]から[9]のいずれかに記載の粘着テープ。
[11][1]から[10]のいずれかに記載の粘着テープの製造方法であって、厚みが25~65μmの、前記ポリ塩化ビニル樹脂を含む前記基材の少なくとも一方の面に、ゴム系粘着剤を含む水系エマルジョンを塗工して、厚みが0.5~12μmの前記粘着剤層を形成することを含む、粘着テープの製造方法。
[12]前記ゴム系粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、天然ゴム及び合成ゴムから選択される少なくとも1つのゴム成分とのグラフト共重合体を含む、[11]に記載の粘着テープの製造方法。
[13][1]から[10]のいずれかに記載の粘着テープで結束された、電線類。
本発明によれば、基材及び粘着剤層の両方を薄膜化しても、対象物を結束するために十分な粘着力を有する粘着テープ及びその製造方法を提供できる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜変更を加えて実施することができる。本明細書において、「~」は「以上以下」を意味する。すなわち、「0.5~12μm」とは、「0.5μm以上12μm以下」を意味する。
[粘着テープ]
本実施形態に係る粘着テープは、ポリ塩化ビニル樹脂を含む基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備える粘着テープであって、前記粘着剤層がゴム系粘着剤を含み、前記粘着剤層のエステル価が75mgKOH/g以上であり、前記基材の厚みが25~65μmであり、前記粘着剤層の厚みが0.5~12μmであることを特徴とする。本実施形態に係る粘着テープは、基材及び粘着剤層の両方が薄膜化されているが、電線類等の対象物を結束するのに十分な粘着力を有している。以下、本実施形態に係る粘着テープの詳細について説明する。
<粘着剤層>
本実施形態に係る粘着テープは、基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層を有する。粘着剤層はゴム系粘着剤を含み、かつエステル価が75mgKOH/g以上である。このような粘着剤層を備えることにより、粘着剤層を薄膜化しても、対象物(例えば、電線類)を結束するのに十分な粘着力を発現することができる。粘着剤層のエステル価は、75mgKOH/g以上であればその上限は特に限定されない。一態様において、粘着剤層のエステル価は75~160mgKOH/gであってもよく、75~150mgKOH/gであってもよく、90~150mgKOH/gであってもよい。なお、粘着剤層のエステル価は以下の条件で測定することができる。
(エステル価の測定方法)
JIS K0070(1992年)に準じて、けん化価及び酸価を中和滴定法により測定し、以下の式(1)よりエステル価を算出する。具体的には、粘着テープの粘着剤層からスパチュラ等を用いてサンプル1gを採取し、前記サンプルのけん化価と酸価を測定する。
エステル価(mgKOH/g)=けん化価(mgKOH/g)-酸価(mgKOH/g) ・・・(1)
なお、本実施形態に係る粘着テープの粘着剤層のエステル価は、製造直後の粘着テープを23℃±2℃の条件で18~24時間養生させたのち、測定された値であってもよい。
本実施形態に係る粘着テープの粘着剤層は、前述の通り、75mgKOH/g以上のエステル価を有している。このようなエステル価を有する粘着剤層を備える粘着テープは、例えば、粘着剤層を構成する粘着剤組成物中のエステル成分量を調整したり、基材から粘着剤層に移行するエステル成分量を調整したりすることによって得られやすくなる。
本実施形態に係る粘着剤層の厚みは、0.5~12μmであり、0.5~9μmであってもよく、1~9μmであってもよく、3~8μmであってもよい。本実施形態に係る粘着テープは、粘着剤層を0.5~12μm、好ましくは0.5~9μmに薄膜化しても、対象物を結束するのに十分な粘着力を有している。そのため、本実施形態に係る粘着テープは、自動車や航空機分野における軽量化、それによる燃費向上の要求に対して貢献できる。なお、本実施形態に係る粘着剤層の厚みは、シックネスゲージを用いて測定することができる。
(粘着剤組成物)
本実施形態において、粘着剤層はゴム系粘着剤を含む。すなわち、本実施形態に係る粘着テープにおいて、粘着剤層は、ゴム系粘着剤を含む粘着剤組成物で構成されている。ここで「ゴム系粘着剤」とは、ゴム成分を主成分として含む粘着剤のことを指す。また「ゴム成分を主成分として含む」とは、ゴム系粘着剤を構成する全成分(100質量%)中に50質量%を超えてゴム成分が含まれていることを意味する。粘着剤層がゴム系粘着剤を含み、かつ特定のエステル価を有することにより、粘着テープの自己背面に対する粘着力(以下、「自己背面粘着力」と記載する)を維持できる。その結果、粘着剤層を薄膜化しても、対象物を結束するために必要な粘着力を発現できる。
(ゴム系粘着剤)
本実施形態において、ゴム系粘着剤としては、例えば、天然ゴム(NR);スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、前記スチレン系ブロック共重合体の水素添加物(SIPS、SEBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリイソブチレン(PIB)、及びブチルゴム(IIR)等の合成ゴム;天然ゴム及び前記合成ゴムから選択される少なくとも1つのゴム成分と(メタ)アクリル酸アルキルエステルとのグラフト共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態において、ゴム系粘着剤は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、天然ゴム及び合成ゴムから選択される少なくとも1つのゴム成分とのグラフト共重合体(以下、「グラフトゴム」と記載することもある)を含むことが好ましい。ゴム系粘着剤としてグラフトゴムを含むことにより、粘着剤組成物中のエステル成分量を調整して、エステル価が75mgKOH/g以上の粘着剤層が得られやすくなる。また、粘着剤層の弾性率が向上しやすくなり、自己背面粘着力が向上しやすくなる。さらに、粘着剤層の凝集破壊抑制の効果が得られやすくなる。
グラフトゴムとして、天然ゴムと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとのグラフト共重合体(以下、「グラフト天然ゴム」と記載することもある)を含むことがより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を含み得る。
グラフト天然ゴムにおける、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと天然ゴムとの質量比((メタ)アクリル酸アルキルエステル/天然ゴム)は、3/97~30/70の範囲であってよく、3/97~24/76の範囲であってもよく、3/97~18/82の範囲であってもよい。また、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。このうち、エステル価が高く、ホモポリマーのガラス転移点(Tg)が高く、かつ弾性率の制御がより容易である観点から、メタクリル酸メチル(MMA)が特に好ましい。
粘着剤層中のグラフトゴムの割合は、粘着剤組成物の総質量に対して、3~50質量%が好ましく、4~40質量%がより好ましい。
本実施形態において、ゴム系粘着剤は、グラフトゴムと、天然ゴム及び/又は合成ゴムとの混合物であってもよい。
ゴム系粘着剤として天然ゴムを含む場合、粘着剤層中の天然ゴムの割合は、粘着剤組成物の総質量に対して、5~30質量%であってもよく、7~25質量%であってもよい。
ゴム系粘着剤として合成ゴムを含む場合、粘着剤組成物中の合成ゴムの割合は、粘着剤組成物の総質量に対して、5~30質量%であってもよく、7~20質量%であってもよい。なお、粘着剤層の弾性率を制御しやすい観点から、合成ゴムとして、SBRを含むことが好ましい。
粘着剤組成物中のゴム系粘着剤の合計量は、粘着剤組成物の総質量に対して、40~60質量%であることが好ましく、42~58質量%であることがより好ましく、45~55質量%であることがさらに好ましい。
一態様において、
本実施形態の一態様においては、ゴム系粘着剤は、天然ゴム、合成ゴム及びグラフトゴムの混合物であってもよい。グラフトゴムは高弾性率であることが多いため、グラフトゴムを、比較的低い弾性率を有する天然ゴム及び合成ゴムと組み合わせることで、得られる粘着剤層の弾性率を制御しやすくなる。その結果、粘着テープの低温粘着力が向上しやすくなる。また、ゴム系粘着剤がグラフトゴム、天然ゴム、及び合成ゴムの混合物である場合、粘着テープの巻き戻し力(粘着テープを展開する際の力)が適切となりやすい。なお、ゴム系粘着剤として前記混合物を用いる場合、グラフトゴムとしては、グラフト天然ゴムが好ましく、MMAグラフト天然ゴムがより好ましい。また合成ゴムとしては、SBRがより好ましい。
本実施形態に係る粘着剤層は、ゴム系粘着剤以外の粘着剤成分(その他の粘着剤)を含んでいてもよい。その他の粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。その他の粘着剤を含む場合、粘着力の向上、相溶性の観点から、粘着剤組成物の総質量に対して、0.5~20質量%であることが好ましい。
(粘着付与剤)
本実施形態に係る粘着剤層は、粘着付与剤を含むことが好ましい。粘着付与剤を含むことにより、粘着剤層を薄膜化しても(好ましくは、粘着剤層を0.5~9μmに薄膜化しても)、電線類等の対象物を結束するのに十分な粘着力が発現しやすくなる。
粘着付与剤としては、例えば、未変性ロジン、変性ロジン、ロジン誘導体等のロジン系樹脂;未変性テルペン、芳香族変性テルペン、水添テルペン、テルペンフェノール等のテルペン系樹脂;脂肪族石油樹脂、芳香族石油樹脂、脂肪族及び芳香族石油樹脂、並びにこれらの水素添加物等の石油樹脂;クマロン・インデン樹脂;フェノール樹脂、キシレン樹脂等の縮合系樹脂などが挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、より粘着力が向上しやすい観点から、テルペン系樹脂、及び石油樹脂から選択される少なくとも1つの粘着付与剤を含むことが好ましく、テルペンフェノール、及び脂肪族石油樹脂から選択される少なくとも1つの粘着付与剤を含むことがより好ましい。
粘着付与剤としてテルペン系樹脂を含む場合、粘着剤組成物中のテルペン系樹脂の割合は、粘着剤組成物の総質量に対して、2~50質量%であってもよく、5~45質量%であってもよく、5~40質量%であってもよい。同様に、粘着付与剤として石油樹脂を含む場合、粘着剤組成物中の石油樹脂の割合は、粘着剤組成物の総質量に対して、2~55質量%であってもよく、5~52.5質量%であってもよく、15~50質量%であってもよい。また、粘着付与剤の合計量は、粘着剤組成物の総質量に対して、60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましい。粘着剤組成物中の粘着付与剤の割合が前記範囲内となるように、テルペン系樹脂及び/又は石油樹脂を配合することにより、粘着付与の効果が得られやすくなる。
一態様において、粘着剤組成物中の粘着付与剤の合計量は、20質量%超55質量%未満であってもよく、25~50質量%であってもよい。
(可塑剤)
本実施形態において、粘着剤層は可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤を含むことにより、粘着剤層のエステル価を調整しやすい。また粘着剤層が柔軟になり、対象物に対する濡れ性が向上しやすくなる。さらに、粘着剤層の弾性率を制御しやすい。その他、基材からの可塑剤の移行が抑制されやすくなり、製造直後の粘着テープの物性が安定しやすくなる。
可塑剤としては、例えば、トリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、アジピン酸エステル系可塑剤等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。これらトリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤としては、後述の基材で例示する可塑剤と同じものが挙げられる。また、これらトリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤以外のその他の可塑剤を含んでいてもよい。その他の可塑剤も、後述の基材で例示する可塑剤と同じものが挙げられる。
一態様においては、粘着剤層は、トリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤から選択される少なくとも1つの可塑剤を含むことが好ましく、トリメリット酸トリ-n-オクチル、フタル酸ジイソノニル、及び質量平均分子量(Mw)が300~5,000のアジピン酸ポリエステルから選択される少なくとも1つの可塑剤を含むことがより好ましい。なお、アジピン酸ポリエステルのMwは、350~4,000であってもよく、400~3,000であってもよい。
一態様において、粘着剤層に含まれる可塑剤の、JIS K0070(1992年)に記載の中和滴定法に準じて測定したエステル価は、50~500mgKOH/gであってもよく、100~450mgKOH/gであってもよく、200~400mgKOH/gであってもよい。エステル価が前記範囲内の可塑剤を含むことで、粘着剤層のエステル価を75mgKOH/g以上に調整しやすくなる。なお、エステル価が70mgKOH/g以上の可塑剤の一例としては、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジ-n-オクチル(n-DOP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、イソフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOIP)等のフタル酸エステル系可塑剤;トリメリット酸トリ-n-オクチル、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(TOTM)、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリ-n-ノニル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリ-n-デシル、トリメリット酸トリイソデシル等のトリメリット酸エステル系可塑剤;アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル、アジピン酸-ブチレングリコール系ポリエステル等のアジピン酸エステル系可塑剤が挙げられる。
粘着剤層が可塑剤を含む場合、粘着剤層中の可塑剤の割合は、粘着剤組成物の総質量に対して、5~35質量%であってもよく、9~20質量%であってもよい。また、粘着剤組成物中の可塑剤の含有量は、ゴム系粘着剤(合計量)100質量部に対して、10~35質量部であってもよく、15~20質量部であってもよい。
(その他添加剤)
本実施形態に係る粘着剤層には、軟化剤、表面潤滑剤、レベリング剤、酸化防止剤、界面活性剤、腐食防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、滑剤、無機または有機の充填剤、金属粉、顔料等のその他の添加剤が含まれていてもよい。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。その他の添加剤としては、粘着テープ保管時の熱や光に対する粘着特性の維持、被着体に対する濡れ性及び親和性の観点から、界面活性剤、酸化防止剤、レベリング剤、光安定剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤、及び無機又は有機の充填剤から選択される少なくとも1つであることが好ましく、界面活性剤、及び/又は酸化防止剤がより好ましい。
粘着剤層がその他の添加剤を含む場合、その合計量は、粘着剤組成物の総質量に対して、0.1~10質量%が好ましく、0.3~5質量%がより好ましい。
本実施形態において、粘着剤組成物は水系エマルジョンであってもよい。すなわち、分散媒として、水を含んでいてもよい。粘着剤組成物が水系エマルジョンであれば、粘着テープ中に残留する溶媒が少なくなる(又は残留溶媒が全くない)ため、低VOCの粘着テープとなりやすい。また、製造工程から溶剤揮発工程を省略でき、製造時の環境負荷も小さくなりやすい。
粘着剤組成物が水系エマルジョンである場合、粘着剤組成物中の水の割合は、粘着剤組成物の固形分濃度が、5~70質量%、好ましくは7~65質量%、より好ましくは9~60質量%となる範囲内で適宜調整できる。
一態様においては、粘着剤組成物のJIS K0070(1992年)の中和滴定法に沿って測定したエステル価は、70mgKOH/g以上が好ましく、90~150mgKOH/gがより好ましく、95~145mgKOH/gがさらに好ましく、100~140mgKOH/gが特に好ましい。本実施形態に係る粘着テープは、粘着剤層のエステル価が75mgKOH/g以上であることを特徴とする。本実施形態に係る粘着テープの粘着剤層のエステル価は、後述の通り、基材から粘着剤層に移行したエステル成分と、粘着剤組成物のエステル成分の合計量となる。よって、粘着テープの粘着剤層のエステル価を75mgKOH/g以上に調整しやすく、かつ高い粘着力を発現しやすい観点から、粘着剤組成物自体のエステル価は70mgKOH/g以上とすることが好ましい。
<基材>
本実施形態に係る粘着テープは、ポリ塩化ビニル樹脂を含む基材を備える。また、基材の厚みは25~65μmである。粘着テープの更なる軽量化の観点からは、基材の厚みは、25~62μmであってもよく、29~60μmであってもよい。なお基材の厚みは、粘着テープの粘着剤層のみを溶剤で除去したのち、シックネスゲージ((株)ミツトヨ製)を用いてその厚みを測定することで確認できる。
(基材用樹脂組成物)
本実施形態において、基材はポリ塩化ビニル樹脂を含む。すなわち、本実施形態に係る粘着テープにおいて、基材は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む樹脂組成物(以下、「基材用樹脂組成物」と記載する)で構成されている。
(ポリ塩化ビニル樹脂)
基材に含まれるポリ塩化ビニル樹脂としては、例えば、塩化ビニルのホモポリマー(以下、「ポリ塩化ビニル」と記載する)、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル-エチレン共重合体、塩化ビニル-プロピレン共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、強度に優れ、かつ耐摩耗性、防水性、防塵性に優れることから、ポリ塩化ビニルが好ましい。
ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度は、本発明の効果を有する限り特に限定されない。基材の製膜性の観点からは、500以上が好ましい。また、粘着テープの巻き付き性(基材が硬くなりすぎない)観点からは2,000以下が好ましい。一態様において、前記平均重合度は、700~1,800であってもよく、1,000~1,300であってもよい。なお、前記平均重合度は、JIS K6720-2に従い測定した値である。
基材中のポリ塩化ビニル樹脂の割合は、基材用樹脂組成物の総質量に対して、50~75質量%であってもよく、50~70質量%であってもよい。
(可塑剤)
本実施形態において、基材はさらに可塑剤を含むことが好ましい。基材の伸びや製膜性が向上しやすくなり、かつ粘着剤層のエステル価を75mgKOH/g以上に調整しやすくなる観点から、可塑剤としては、トリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤から選択される少なくとも1つを含むことがより好ましい。
トリメリット酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリメリット酸トリ-n-オクチル、トリメリット酸トリ-2-エチルヘキシル(TOTM)、トリメリット酸トリイソオクチル、トリメリット酸トリ-n-ノニル、トリメリット酸トリイソノニル、トリメリット酸トリ-n-デシル、トリメリット酸トリイソデシル等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、トリメリット酸トリ-n-オクチルを含むことが好ましい。
フタル酸エステル系可塑剤としては、例えば、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジヘプチル(DHP)、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)、フタル酸ジ-n-オクチル(n-DOP)、フタル酸ジイソデシル(DIDP)、イソフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOIP)、テレフタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DOTP)、フタル酸-プロピレングリコール系ポリエステル等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、フタル酸ジイソノニル(DINP)を含むことが好ましい。
アジピン酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル(DOA)、アジピン酸ジイソノニル(DINA)、アジピン酸ジイソデシル(DIDA)、アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル、アジピン酸-ブチレングリコール系ポリエステル等が挙げられる。れらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、アジピン酸-プロピレングリコール系ポリエステル、又はアジピン酸-ブチレングリコール系ポリエステルを含むことが好ましい。また、質量平均分子量(Mw)が400~3,000のアジピン酸ポリエステルを含んでいてもよい。なお、アジピン酸ポリエステルのMwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製)を用いて、GPCカラムにShodex社製、製品名「KF-806L」を2本、「KF-802」及び「KF-801」を各1本の合計4本を、上流側からKF-806L、KF-806L、KF-802、及びKF-801の順に連結して使用し、高速液体クロマトグラフ用テトラヒドロフラン(安定剤不含)(富士フィルム和光純薬(株)製)を移動相として、流速1.0mL/分、カラム温度40℃、試料濃度1mg/mL、及び試料注入量100μLの条件で測定した値を指す。
基材には、上記トリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤以外の可塑剤(その他の可塑剤)が含まれていてもよい。その他の可塑剤としては、例えば、ベンジルブチルフタレート(BBP)、アゼライン酸ジ2-エチルヘキシル(DOZ)、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル(DOS)、トリクレジルホスフェート(TCP)、ベンジルオクチルアジペート(BOA)、ジフェニルクレジルホスフェート(DPCP)、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、塩素化パラフィン等が挙げられる。これらその他の可塑剤は1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一態様において、基材に含まれる可塑剤のJIS K0070(1992年)の中和滴定法に沿って測定したエステル価は、50~500mgKOH/gであってもよく、100~450mgKOH/gであってもよく、200~400mgKOH/gであってもよい。エステル価が前記範囲内の可塑剤を含むことで、基材から粘着剤層へ可塑剤が移行して、エステル価を75mgKOH/g以上の粘着剤層が得られやすくなる。前記エステル価を有する可塑剤としては、前述の粘着剤層に含まれる、エステル価が50~500mgKOH/gの可塑剤と同じものが例示できる。
本実施形態において、基材に含まれる可塑剤の割合は、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、25~75質量部であることが好ましく、28~71質量部であることがより好ましく、35~60質量部であることがさらに好ましい。基材中の可塑剤の割合が前記範囲内であれば、基材から粘着剤層に移行するエステル成分量を調整しやすくなり、粘着剤層のエステル価が75mgKOH/g以上となりやすい。
一態様において、基材に含まれる可塑剤(以下、「可塑剤(B)」と記載することもある)と、粘着剤層に含まれる可塑剤(以下、「可塑剤(A)」と記載することもある)とは、同じ可塑剤であってもよい。例えば、可塑剤(B)として、フタル酸エステル系可塑剤を含む場合、可塑剤(A)もフタル酸エステル系可塑剤を含んでいてもよい。また、粘着剤層中の可塑剤(A)の割合(質量%)と、基材中の可塑剤(B)の割合(質量%)の差(可塑剤(B)(質量%)-可塑剤(A)(質量%))は、10~30質量%の範囲であってもよく、10~25質量%の範囲であってもよい。可塑剤(B)の割合が可塑剤(A)の割合よりも高くなるように設計することにより、基材中のエステル成分が粘着剤層に移行しやすくなり、その結果、粘着剤層のエステル価が75mgKOH/g以上である粘着テープが得られやすくなる。
(その他の樹脂)
基材には、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリ塩化ビニル樹脂以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」と記載する)が含まれていてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。基材がその他の樹脂を含む場合、基材用樹脂組成物の総質量に対して、20質量%以下であることが好ましい。
(その他の添加剤)
基材には、本発明の効果を阻害しない範囲で、その他の添加剤が含まれていてもよい。その他の添加剤としては、例えば、無機充填剤、改質剤、分散剤、着色剤、光吸収剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、加工助剤等が挙げられる。このうち、無機充填剤、安定剤、及び滑剤から選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。
無機充填材としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化モリブデン、リン酸グアニジン、スメクタイト、硼酸亜鉛、無水硼酸亜鉛、メタ硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、酸化アンチモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、赤燐、ハイドロタルサイト、タルク、マイカ、カオリン、クレー、アルミナ、シリカ、ベーマイト、ベントナイト、珪酸ソーダ、珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カーボンブラック等が挙げられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト、タルク、シリカ、及びマイカから選択される少なくとも1つを含むことが好ましい。
一態様において、無機充填剤として、シリカとハイドロタルサイトとを併用してもよい。シリカとハイドロタルサイトとを併用する場合、その混合比(シリカ:ハイドロタルサイト)は、3:1~1:3の範囲であってもよい。
ハイドロタルサイトは、一般に下記化学式(2)で表される不定比の塩基性炭酸マグネシウムアルミニウムである。
Mg1-xAl(OH)(COx/2O ・・・(2)
化学式(2)中、xは0超0.33以下、mは0以上0.5以下の範囲であることが好ましい。
ハイドロタルサイトとしては、市販品を用いてもよい。例えば、協和化学工業(株)製の、製品名「アルカマイザー(登録商標)1」、製品名「マグセラー(登録商標)1」等が挙げられる。
一態様において、無機充填剤の粒子形状は、鱗片状又は棒状のものが好ましい。鱗片状又は棒状であれば、基材の厚みを薄くした場合でも、基材の表面平滑性が保たれやすくなる。また、無機充填剤の比重は、粘着テープの軽量化の観点から、5.0以下が好ましい。
無機充填剤の平均粒径(D50)は、基材の膜厚を制御しやすくなる観点から、0.001~20μmが好ましく、0.01~12μmがより好ましく、0.05~5μmがさらに好ましい。無機充填剤の平均粒径(D50)が前記範囲内であれば、基材の粘着剤層側の表面平滑性が低下して、粘着剤層との接触面積が小さくなることを抑制しやすい。その結果、基材と粘着剤層との接触面積が小さくなることによって粘着力が発現しにくくなる現象が起きにくくなる。なお、無機充填剤の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定される、体積基準の累積粒度分布において、累積値が50%に相当する粒子径のことを指す。累積粒度分布は、横軸を粒子径(μm)、縦軸を累積値(%)とする分布曲線で表される。
一態様において、基材中に含まれる無機充填剤の割合は、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、1~20質量部がより好ましく、1~15質量部がさらに好ましい。
安定剤としては、例えば、金属石ケン(金属系複合安定剤)等が挙げられる。金属石ケン等の安定剤を含むことで、基材の熱安定性が向上しやすくなる。
金属系複合安定剤としては、例えば、脂肪酸カルシウム、脂肪酸亜鉛、及び脂肪酸バリウムから選択される少なくとも1つが挙げられる。金属系複合安定剤の脂肪酸成分としては、例えば、ラウリン酸、ステアリン酸、リシノール酸等が挙げられる。このような金属系複合安定剤の具体例としては、例えば、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸カルシウム、ラウリン酸亜鉛、リシノール酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、リシノール酸バリウム等が好ましく用いられる。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、組み合わせることでより熱安定性効果が高まりやすくなる観点から、脂肪酸カルシウムと脂肪酸亜鉛とを含むCa-Zn系金属安定剤が好ましく用いられる。
一態様において、基材中に含まれる金属系複合安定剤の割合は、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、1~5質量部であることがさらに好ましい。またその他の態様において、基材用樹脂組成物の総質量に対する、金属系複合安定剤の割合は、基材用樹脂組成物の総質量に対して、0.5~10質量%であることが好ましく、1~5質量%であることがより好ましい。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;パルミチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸ナトリウム等の高級脂肪酸の金属塩;ステアリン酸ブチル、グリセリルモノステアレート等の高級脂肪酸エステル;オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド等の高級脂肪酸アミド等を挙げることができる。ここで、「高級」とは、炭素数9以上であり、好ましくは炭素数が9以上30以下である。これらは1種単独で用いられてもよく、2種以上を併用してもよい。このうち、基材の製膜性の観点から、ステアリン酸を含むことが好ましい。
基材中の滑剤の割合は、基材用樹脂組成物の総質量に対して、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
<下塗層>
本実施形態に係る粘着テープは、基材と粘着剤層との間に下塗層が設けられていてもよい。下塗層としては、例えば、水系ラテックスを含む水系下塗剤により形成されていてもよい。水系下塗剤としては、例えば、グラフト天然ゴムを含むことが好ましく、グラフト天然ゴムと、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体エマルジョンとの混合物であることがより好ましい。下塗層の厚みは、0.1~1μmが好ましく、0.3~0.5μmがより好ましい。
粘着テープ全体の厚みを低減する観点からは、下塗層を設けず、基材の上に直接粘着剤層が積層された構成としてもよい。
本実施形態に係る粘着テープの総厚みは、粘着テープの軽量化の観点からは、35~65μmであってもよく、35~60μmであってもよく、35~55μmであってもよい。
また、本実施形態に係る粘着テープの単位面積当たりの重量は、軽量化の観点から、3~9mg/cmであってもよく、6~8mg/cmであってもよい。
本実施形態に係る粘着テープの、自己背面に対する粘着力は、0.40N/10mm以上であってもよく、0.60N/10mm以上であってもよい。前述の通り、本実施形態に係る粘着テープは、エステル価が75mgKOH/g以上の粘着剤層を備えている。このような粘着テープは、基材と粘着剤層の両方を薄膜化しても、テープの自己背面に対する粘着力が低下しにくい。なお、粘着テープの自己背面に対する粘着力は、以下の条件で測定した値を指す。
<粘着テープの自己背面粘着力の測定方法>
JIS Z 0237に従って測定する。具体的には、まず幅10mmの粘着テープを温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内に24時間以上静置する。養生後、厚さ1mmの金属板に長さ150mmの粘着テープを貼り合わせ、自己背面測定用の粘着テープ基材面サンプルを作製する。その後、長さ150mmの粘着テープを用意し、その粘着剤層面を自己背面測定用の粘着テープの基材面上に貼り合わせたのち、重さ2,000gのローラーを5mm/sの速度で1往復させて貼り合わせる。貼り合わせから20分後に、引張試験機((株)島津製作所製、製品名「オートグラフAGX」)を用いて、テープ粘着面とテープ基材面との間の180度剥離強度(N/10mm)を測定する。
各種電気機器の配線や電線類を固定する場合、通常、これら対象物を束にした状態で粘着テープをハーフラップ巻き等の方法で巻きつけて所定の位置に固定する。そのため、粘着テープには対象物表面への粘着力だけでなく、自己背面に対する粘着力も要求される。軽量化の観点から粘着テープの基材や粘着剤層を薄膜化した場合、特に自己背面に対する粘着力が低下して、対象物を結束することが難しくなる。本願発明者らは、粘着剤層のエステル価を一定値以上として、粘着剤層の極性を高くすることで基材を構成するポリ塩化ビニル樹脂との馴染みをよくすること、それと合わせて粘着剤層の弾性率も制御することにより、粘着剤層を薄膜化しても粘着力が低下しにくい粘着テープが得られることを見出した。特に、粘着剤層にゴム系粘着剤を配合して、粘着剤層のエステル価を調整することにより、基材のSP値とのバランス及び粘着剤層の弾性率を制御しつつ、低極性の被着体に対しても粘着力を発現できる粘着テープが得られることも見出した。本実施形態に係る粘着テープは、基材及び粘着剤層の両方を薄膜化しても、対象物を結束するのに十分な粘着力(対象物表面への粘着力及び自己背面粘着力)を発現できる。なお、本実施形態に係る粘着テープは、自己背面に対する粘着力は高いが、テープの巻き戻し力は高くないという特徴も有している。そのため、軽い力でテープを繰り出すことができる。
[粘着テープの製造方法]
本実施形態に係る粘着テープの製造方法は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む、厚みが25~65μmの基材の少なくとも一方の面に、ゴム系粘着剤を含む水系エマルジョンを塗工して、厚みが0.5~12μmの粘着剤層を形成することを含む。本実施形態に係る粘着テープの製造方法は、前述の基材用樹脂組成物を溶融混錬して厚みが25~65μmの基材を得ること(工程(I))と、前記基材の少なくとも一方の面に、ゴム系粘着剤を含む水系エマルジョンを塗工して、厚みが0.5~12μmの粘着剤層を形成すること(工程(II))を含んでいてもよい。以下、工程(I)及び工程(II)を含む、本実施形態に係る製造方法の一態様について説明する。
<工程(I)>
工程(I)は基材の製膜工程である。工程(I)において基材用樹脂組成物を溶融混錬する方法は、本発明の効果を有する限り特に限定されず、例えば、二軸押出機、連続式、及びバッチ式のニーダー、ロール、バンバリーミキサー等の加熱装置を備えた各種混合器、混錬機を使用できる。前記方法によって原料を均一に分散させた基材用樹脂組成物を慣用の方法、例えばカレンダー法、Tダイ法、インフレーション法等によりシート状に製膜して、基材とすることができる。成形機としては、生産性、色変え、形状の均一性、厚み精度等の観点からは、カレンダー法を用いることがより好ましい。
カレンダー成形におけるロール配列方式は、例えば、L型、逆L型、Z型などの公知の方式を採用でき、また、ロール温度は通常150~200℃、好ましくは155~190℃に設定される。
工程(I)は、基材の薄膜化工程であってもよい。基材を薄膜化する方法としては、例えば、カレンダー法にて基材を形成する場合、“カレンダーロールのロール間隔を狭くして、基材の厚みを25~65μm、好ましくは25~62μmに調整する方法”(以下、「薄膜方法1」と記載する)、“基材を引き伸ばして延伸比を上げることによって、基材の厚みを25~65μm、好ましくは25~62μmに調整する方法”(以下、「薄膜方法2」と記載する)等が挙げられる。本実施形態に係る粘着テープの製造方法においては、工程(I)は、薄膜方法2を含むことが好ましい。また、薄膜方法1のあと、薄膜方法2を実施してもよい。
なお、カレンダーロールで圧延された溶融樹脂を、次工程のロール(例えば、テイクオフロール等)の速度を上げて回収する場合、カレンダーロールの速度と、テイクオフロールとの速度比(テイクオフロールの速度/カレンダーロールの速度)は、1.6~3.3であることが好ましく、2.0~3.3であることがより好ましい。上記速度比であれば、基材の厚みを25~65μm、好ましくは30~60μmに調整しやすい。
カレンダーロールの速度としては、30~50m/minが好ましく、35~45m/minがより好ましい。また、テイクオフロールの速度としては、50~170m/minが好ましく、70~150m/minがより好ましい。
また、圧延された樹脂(基材)を引き伸ばして延伸比を上げる場合、圧延された樹脂の厚みに対する、引き伸ばし後の樹脂の厚み(すなわち、基材の最終厚み/圧延後の基材の厚み)は、0.3~0.6であることが好ましく、0.3~0.5であることがより好ましい。
<工程(II)>
工程(II)は、ポリ塩化ビニル樹脂を含む、厚みが25~65μmの基材の少なくとも一方の面に、ゴム系粘着剤を含む水系エマルジョンを塗工して、厚みが0.5~12μmの粘着剤層を形成する工程である。塗工方法としては、粘着剤層の厚みを0.5~12μmに調整しやすい観点から、グラビア塗工、コンマ塗工、又はダイコーター塗工が好ましい。
本実施形態に係る製造方法において、工程(I)と工程(II)の間に、下塗層形成工程(I’)を設けてもよい。下塗層形成工程としては、例えば、前述の水系ラテックスを含む水系下塗剤をグラビア方式、スプレー方式、キスロール方式、バー方式、又はナイフ方式などによって、基材の一方の面に塗工して、厚みが0.1~1μmの下塗層を形成する工程が挙げられる。
また、工程(II)の後、粘着剤層のエステル価を75mgKOH/g以上に調整する観点から、熱処理を施してもよい。熱処理としては、例えば、100~120℃で1~8時間処理することが挙げられる。
[用途]
本実施形態に係る粘着テープは、自動車等に配置される電線類を結束、保護するためのテープとして好適に利用できる。本実施形態に係る粘着テープは、基材及び粘着剤層の両方を薄膜化しても、電線類を結束するために十分な粘着力を有している。そのため、従来の粘着テープよりも、さらなる軽量化が可能であり、自動車や航空機分野における軽量化の要望、それによる燃費向上の要求に対する貢献が可能である。なお、当然のことながら、本実施形態に係る粘着テープはその用途が自動車や航空機の電線類の結束、保護に限定されるわけではない。
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
[実施例1]
(粘着テープの作成)
ポリ塩化ビニル(大洋塩ビ(株)製、製品名「TH-700」、平均重合度700)100質量部に対し、可塑剤として、フタル酸ジイソノニル(DINP)28質量部、無機充填剤として、炭酸カルシウム12質量部、その他添加剤として、金属系複合安定剤2質量部及び滑剤0.5質量部を配合して基材用樹脂組成物を得た。この基材用樹脂組成物をバンバリーミキサーで各成分が均一に分散するように溶融混錬したのち、カレンダー成形機を用いて、ロール温度165℃にて成形し、厚みが55μmの基材を得た。
ゴム系粘着剤として、天然ゴム((株)レヂテックス製、製品名「HA-LATEX」。ゲル分率68%)20質量部と、天然ゴムにメチルメタクリレートをグラフト重合させたグラフト重合体ラテックス((株)レヂテックス製、製品名「MG-40S」)40質量部と、合成ゴム(スチレン-ブタジエンゴム;JSR(株)製、製品名「T-093A」)40質量部の混合物を用いた。また、前記ゴム系粘着剤100質量部に対して、可塑剤(DINP)20質量部、粘着付与樹脂(石油樹脂;荒川化学工業(株)製、製品名「AP-1100」)80質量部、その他添加剤として、界面活性剤(花王(株)製、製品名「OT-P」)1質量部、酸化防止剤/可塑剤(三愛石油(株)製、製品名「DIEM」)10質量部、分散媒として水を配合して、粘着剤組成物の水系エマルジョンを得た。
次に、基材の一方の面に、下塗剤(水系ラテックス;(株)イーテック製、製品名「KT-4612-A」)をグラビア方式により塗布して乾燥させ、厚み0.5μmの下塗層を形成した。
前記下塗層上に、前述の粘着剤組成物の水系エマルジョンをコンマ方式により塗工、乾燥させて、厚みが3μmの粘着剤層を形成した。得られた粘着テープをテープログ形状に巻き取った後10mm幅に切断して、サンプルテープを作成した。このサンプルテープを用いて、粘着剤層のエステル価、粘着テープの軽量性、自己背面に対する粘着力、粘着特性、電線類の結束性、及び糊残り性を、以下の条件で評価した。結果を表1に示す。
JIS K0070(1992年)に準じて、けん化価及び酸価を中和滴定法により測定し、以下の式(1)よりエステル価を算出した。具体的には、サンプルテープの粘着剤層からスパチュラ等を用いてサンプル1gを採取し、前記サンプルのけん化価と酸価を測定した。
エステル価(mgKOH/g)=けん化価(mgKOH/g)-酸価(mgKOH/g) ・・・(1)
<粘着テープの軽量性評価>
粘着テープの重量を、精密天秤を用いて測定し、単位面積当たりの重量(mg/cm)を算出した。具体的には、精密天秤で測定した粘着テープの重量(mg)を、粘着テープの両面の片面側の面積(cm)で除して、単位面積当たりの重量を算出した。また以下の評価基準に沿って、粘着テープの軽量性を評価し、B評価以上を合格とした。
(評価基準)
A:単位面積当たりの重量が8.0mg/cm未満。
B:単位面積当たりの重量が8.0mg/cm以上8.5mg/cm未満。
C:単位面積当たりの重量が8.5mg/cm以上。
<粘着テープの自己背面粘着力評価>
JIS Z 0237に従って測定した。具体的には、まず幅10mmのサンプルテープを温度23±2℃、湿度50±5%RHに設定された評価試験室内に24時間以上静置した。養生後、厚さ1mmの金属板に長さ150mmのサンプルテープを貼り合わせ、自己背面測定用の基材面サンプルを作製する。その後、長さ150mmのサンプルテープを用意し、その粘着剤層面を自己背面測定用の基材面上に貼り合わせたのち、重さ2,000gのローラーを5mm/sの速度で1往復させて貼り合わせた。貼り合わせから20分後に、引張試験機((株)島津製作所製、製品名「オートグラフAGX」)を用いて、テープ粘着面とテープ基材面との間の180度剥離強度(N/10mm)を測定した。また、以下の評価基準に沿って評価し、B評価以上を合格とした。
(評価基準)
A:自己背面粘着力が0.45N/10mm以上。
B:自己背面粘着力が0.15N/10mm以上0.45N/10mm未満。
C:自己背面粘着力が0.15N/10mm未満。
<粘着テープの粘着特性評価>
プローブタックは、室温23±2℃、湿度50±2%の室内にて、プローブタックテスター(テスター産業(株)製、製品名「TE-6001-S」)を用いて、材質がSUS、接触面積が0.25cmのプローブを、0.2秒間、100gf/cmの荷重でサンプルテープに押し付け、10mm/secの速さでプローブを上昇させたときの荷重を測定した。同様の試験を10回実施し、その平均値をプローブタック(N)とした。また、以下の評価基準に沿って評価し、B評価以上を合格とした。
(評価基準)
A:プローブタックが0.25N以上。
B:プローブタックが0.1N以上0.25N未満。
C:プローブタックが0.1N未満。
<電線類の結束性評価>
電線(住友電装(株)製、製品名「AVX0.5f」)10本に、テープをハーフラップ状で巻きつけた。また、巻き付け時にテープの剥がれの有無を目視で評価し、以下の評価基準に沿って結束性を評価した。なお、B評価以上を合格とした。
(評価基準)
A:巻き付け時にテープを手で押さえなくともテープが剥がれず巻き付け可能であった。
B:巻き付け時にテープを手で押さえることでテープが剥がれず巻き付け可能であった。
C:巻き付け時にテープを手で押さえてもテープが剥がれてしまい、巻き付けできなかった。
<粘着テープの糊残り性評価>
サンプルテープの展開時に、テープの基材背面上(テープの粘着剤層と接触していた側の面)に粘着剤の糊残りが発生するか目視で評価した。また以下の評価基準に沿って評価し、B評価以上を合格とした。
(評価基準)
A:テープ基材背面上に糊残りがなかった。
B:テープ基材背面上に僅かに糊残りがあった。
C:テープ基材背面全体に、糊残りがあった。
[実施例2~28、比較例1~4]
基材用樹脂組成物及び粘着剤組成物の組成、及び各層の厚みを表1~2に示す通りとした以外は、実施例1と同様の方法で粘着テープを得た。各粘着テープについて、実施例1と同様の方法で、、粘着剤層のエステル価、粘着テープの軽量性、自己背面に対する粘着力、粘着特性、電線類の結束性、及び糊残り性を、以下の条件で評価した。結果を表1~2に示す。
表1~2に記載の原材料の詳細は以下のとおりである。
[基材]
<ポリ塩化ビニル樹脂>
ポリ塩化ビニル1:ポリ塩化ビニル(平均重合度700)(大洋塩ビ(株)製、製品名「TH-700」)。
ポリ塩化ビニル2:ポリ塩化ビニル(平均重合度1000)(大洋塩ビ(株)製、製品名「TH-1000」)。
ポリ塩化ビニル3:ポリ塩化ビニル(平均重合度1300)(大洋塩ビ(株)製、製品名「TH-1300」)。
ポリ塩化ビニル4:ポリ塩化ビニル(平均重合度1800)(大洋塩ビ(株)製、製品名「TH-1800」)。
<可塑剤>
フタル酸ジイソノニル:(株)ジェイ・プラス製、製品名「DINP」。
トリメリット酸トリオクチル:(株)ジェイ・プラス製、製品名「TOTM」。
アジピン酸ポリエステル:DIC(株)、製品名「ポリサイザー(登録商標)W-2050」(Mw:2,300)。
<無機充填剤>
ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製、製品名「アルカマイザー1」(平均粒径:0.62μm)。
タルク:日本タルク(株)製、製品名「P-8」(平均粒径:2.8μm)。
マイカ:(株)ヤマグチマイカ製、製品名「SJ-005」(平均粒径:5μm)。
炭酸カルシウム:神島化学工業(株)製、製品名「カルシーズ P」(平均粒径:0.18μm)。
<その他添加剤>
金属系複合安定剤:Ca-Zn-Mg系複合安定剤(堺化学(株)製、製品名「OW-5200」)。
滑剤:ステアリン酸(日本油脂(株)製、製品名「ステアリン酸さくら」)。
[下塗層]
水系ラテックス:天然ゴムにMMAをグラフト重合させたグラフト天然ゴムと、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体エマルジョンとの混合物((株)イーテック製、製品名「KT-4612-A」)。
[粘着剤層]
<ゴム系粘着剤>
天然ゴム:(株)レヂテックス製、製品名「HA-LATEX」(ゲル分率68%)。
グラフト天然ゴム:天然ゴムにメチルメタクリレートをグラフト重合させたグラフト重合体ラテックス((株)レヂテックス製、製品名「MG-40S」)。
合成ゴム:スチレン-ブタジエンゴム(JSR(株)製、製品名「T-093A」)。
<アクリル系粘着剤>
ポリアクリレート:アクリル系エマルジョン(日本カーバイド(株)製、製品名「L-145」)。
<可塑剤>
フタル酸ジイソノニル:(株)ジェイ・プラス製、製品名「DINP」。
トリメリット酸トリオクチル:(株)ジェイ・プラス製、製品名「TOTM」。
アジピン酸ポリエステル:DIC(株)、製品名「ポリサイザー(登録商標)W-2050」(Mw:2300)。
<粘着付与剤>
石油樹脂:C5C9系石油樹脂(荒川化学工業(株)製、製品名「AP-1100」)。
テルペンフェノール:荒川化学工業(株)製、製品名「E-200」。
<その他添加剤>
界面活性剤:ジアルキルスルホコハク酸ナトリウム(花王(株)製、製品名「ペレックス(登録商標)OT-P」)。
酸化防止剤/可塑剤:フェノール-硫黄系酸化防止剤/DINP(三愛石油(株)製、製品名「DIEM」)。
Figure 0007474796000001
Figure 0007474796000002
表1~2に示す通り、本実施形態に係る粘着テープは、基材及び粘着剤層の両方を薄膜化した場合でも、電線類を結束するのに十分な粘着力を有していた。一方で、本実施形態の要件を満たさない比較例の粘着テープでは、十分な粘着力が得られなかった。
以上の結果より、本実施形態に係る粘着テープとその製造方法によれば、基材及び粘着剤層の両方を薄膜化しても、対象物を結束するために十分な粘着力を有する粘着テープが得られることが確認された。

Claims (11)

  1. ポリ塩化ビニル樹脂と可塑剤(B)とを含む基材と、前記基材の少なくとも一方の面に設けられた粘着剤層とを備える粘着テープであって、
    前記粘着剤層がゴム系粘着剤と、可塑剤(A)とを含み、前記粘着剤層のエステル価が75mgKOH/g以上であり、
    前記ゴム系粘着剤が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、天然ゴム及び合成ゴムから選択される少なくとも1つのゴム成分とのグラフト共重合体を含み、
    前記基材中の可塑剤(B)の割合と、前記粘着剤層中の可塑剤(A)の割合との差(可塑剤(B)-可塑剤(A))が、10~30質量%であり、
    前記基材の厚みが25~65μmであり、前記粘着剤層の厚みが0.5~12μmである、粘着テープ。
  2. 前記粘着剤層のエステル価が90~150mgKOH/gである、請求項1に記載の粘着テープ。
  3. 前記粘着剤層が粘着付与剤を含む、請求項1または2に記載の粘着テープ。
  4. 前記粘着付与剤が石油樹脂を含む、請求項3に記載の粘着テープ。
  5. 前記ポリ塩化ビニル樹脂の平均重合度が500~2,000である、請求項1から4のいずれか一項に記載の粘着テープ。
  6. 前記基材が、前記ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対して、前記可塑剤(B)を25~75質量部含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の粘着テープ。
  7. 前記基材が、前記可塑剤(B)として、トリメリット酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、及びアジピン酸エステル系可塑剤から選択される少なくとも1つの可塑剤を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の粘着テープ。
  8. 前記粘着剤層の厚みが0.5~9μmである、請求項1から7のいずれか一項に記載の粘着テープ。
  9. 電線類の結束用である、請求項1から8のいずれか一項に記載の粘着テープ。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の粘着テープの製造方法であって、
    厚みが25~65μmの、前記ポリ塩化ビニル樹脂と前記可塑剤(B)とを含む前記基材の少なくとも一方の面に、前記ゴム系粘着剤と前記可塑剤(A)とを含む水系エマルジョンを塗工して、厚みが0.5~12μmの前記粘着剤層を形成することを含む、粘着テープの製造方法。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載の粘着テープで結束された、電線類。
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