JP7354835B2 - 粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Description
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置とタッチパネルを組み合わせて用いるスマートデバイス、カーナビゲーション等の表示デバイスが普及してきている。これら表示デバイスには、偏光板、位相差板、反射防止フィルム、ガラスカバーパネル、透明導電性ガラス、透明導電性フィルム等の光学部材が使用されている。これら光学部材の製造、組み立ておよび次工程への搬送時には、光学部材の傷つきを防止するために、工程保護として表面保護シートが貼付される。
しかしこのような従来の表面保護シートでは、150℃環境下で30~60分における密着性、再剥離性、耐汚染性を満足するものはあったが、その品質には限界がある。そのため、長時間(最長3時間程度)の高温環境下においては、粘着剤の分解による再剥離性の悪化、粘着剤に含まれる揮発成分による汚染性の悪化が問題となっているのが現状である。
即ち、本発明の実施態様である粘着剤は、アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)、可塑剤(C)、および酸化防止剤(D)を含み、前記アクリル系共重合体(A)は、炭素数8~10の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)、およびカルボキシル基を有するモノマー(a2)を含有するモノマー混合物の共重合体であり、前記可塑剤(C)の含有量は、前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であり、前記酸化防止剤(D)は、フェノール系化合物である。
耐熱保護用として好適である。
また、被着体とは、粘着シートを貼り付ける相手方をいう。本発明でシート、フィルムおよびテープは同義語である。
本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。
本発明の粘着剤は、アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)、可塑剤(C)、および酸化防止剤(D)を含み、前記アクリル系共重合体(A)は、炭素数8~10の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)、およびカルボキシル基を有するモノマー(a2)を含有するモノマー混合物の共重合体であり、前記可塑剤(C)の含有量は、前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であり、前記酸化防止剤(D)は、フェノール系化合物である。
このような粘着剤により、高速剥離耐性に優れるだけでなく、さらに長時間の加熱工程においても再剥離性の悪化、粘着剤に含まれる揮発成分による汚染性の悪化がないため、初期粘着力及び耐熱粘着力が共に低く、剥離後の耐熱汚染性に優れる粘着剤とすることができる。
アクリル系共重合体(A)は、炭素数8~10の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)、カルボキシル基を有するモノマー(a2)、および必要に応じてその他モノマーを含有するモノマー混合物の共重合体である。
モノマー(a1)は、炭素数8~10の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。炭素数8~10の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル中の、アルキル基の炭素数が8~10であり、前記アルキル基が分岐構造を有するものを意味する。モノマー(a1)を含むことで、架橋密度が高くても塗膜に柔軟性を付与でき、高速剥離耐性が向上する。
これらの中でも、アクリル酸2-エチルヘキシルが好ましい。
モノマー(a2)は、カルボキシル基を有するモノマーである。モノマー(a2)を含むことで、塗膜の凝集力が向上し、耐熱後の粘着力上昇や被着体汚染が抑制される。
含有率がこの範囲内であることで、より凝集力と柔軟性のバランスに優れ、耐熱汚染性と高速剥離耐性を両立しやすくなる。
アクリル系共重合(A)は、共重合体を構成するモノマーとして、上記モノマー(a1)、(a2)以外に、その他モノマーを含んでもよい。その他モノマーとしては、水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アミノ基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アミド基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2-メトキシメチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシメチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチル等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル及び(メタ)アクリル酸2-エトキシエチルが好ましい。
アミノ基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸アミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノメチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノプロピル等が挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチルが好ましい。
アクリル系共重合体(A)は、公知の方法により製造することができるが、溶液重合により製造することが好ましい。溶液重合においては、重合する際に使用する溶剤としては、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤を使用することが好ましい。
酸価がこの範囲内であることにより、凝集力と柔軟性のバランスに優れ、耐熱汚染性と高速剥離耐性を両立しやすくなる。
本発明の粘着剤は、硬化剤(B)を含む。硬化剤(B)は、アクリル系共重合体(A)のカルボキシル基と反応することで、塗膜の凝集力が向上し、適度な粘着力が付与され、被着体への糊残りが抑制される。
これら硬化剤(B)は、単独または2種以上を併用できる。
これらの中でも、アジリジン化合物、エポキシ化合物、または金属キレートが、長時間の高温環境下の耐性に優れ、高い凝集力を付与し、耐熱後の粘着力上昇を抑制できる観点から好ましく、特にエポキシ化合物が好ましい。
硬化剤を2種以上併用する場合には、エポキシ化合物を50質量%以上含むことが好ましい。
硬化剤(B)は、共重合体(A)のカルボキシル基と反応することで粘着剤層の凝集力を向上させるが、硬化剤(B)が共重合体(A)中のカルボキシル基に対して0.5当量未満の場合、粘着剤層中に架橋構造に関与しない共重合体(A)成分が多く存在しやすい。一方、硬化剤(B)が共重合体(A)中のカルボキシル基に対して3当量以上の場合、架橋反応に関与しない過剰の硬化剤(B)が多く存在しやすい。
それに対し、含有量が0.5当量以上になると、粘着剤層が十分な架橋構造を形成し、凝集力が向上し、耐熱粘着力、密着性、耐熱汚染性がより向上する。3当量以下になると凝集力と柔軟性を両立しやすくなり、高速剥離耐性が担保され、過剰な硬化剤による耐熱後の被着体汚染も起きにくい。
そのため、硬化剤(B)は、アクリル系共重合体(A)中のカルボキシル基1当量に対して、0.5当量以上含有することが好ましい。
また、2種以上の硬化剤(B)を併用する場合には、カルボキシル基1当量に対して、エポキシ化合物を0.3当量以上含むことが好ましい。
当量=[{(硬化剤の添加部数)/(硬化剤の分子量)}×(硬化剤の官能基数)]/(アクリル系共重合体(A)100部中のカルボキシル基のmol数)
また、2種以上の硬化剤(B)を併用する場合には、それぞれの当量を算出した後、合算して求める。
可塑剤とは、粘着シートを被着体から剥離する際、容易に剥離できる性能を付与できる材料のことをいう。本発明の粘着剤は、可塑剤(C)を含み、これをアクリル系共重合体(A)に配合することで、粘着力が低減し、高速剥離耐性を向上させることができる。
炭素数8~10の分岐アルキル基を有する可塑剤としては、アジピン酸ビス-2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、フタル酸ビス-2-エチルヘキシル、フタル酸ジイソノニル、ピロメリット酸テトラ-2-エチルヘキシル、トリメリット酸トリス-2-エチルヘキシル、ジ-2-エチルヘキシル酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
これらの中でも、トリメリット酸トリス-2-エチルヘキシル、ジ-2-エチルヘキシル酸ポリエチレングリコールが特に好ましい。
これらのうち、150℃3時間加熱後の揮発減量が15質量%以下の可塑剤(C)としては、ミリスチン酸オクチルドデシル、ピロメリット酸テトラ-n-オクチル、ピロメリット酸テトラ-2-エチルヘキシル、トリメリット酸トリ-n-オクチル、トリメリット酸トリス-2-エチルヘキシル、トリメリット酸トリオレイル、ジ-2-エチルヘキシル酸ポリエチレングリコール、o-アセチルクエン酸トリ(2-エチルヘキシル)等が挙げられる。
これらの可塑剤(C)を用いることにより、初期粘着力と耐熱粘着力の粘着力比のバランスに優れるだけでなく、耐熱粘着力および耐熱汚染性にもより、優れたものとすることができる。
可塑剤(C)は、アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下である。好ましくは3質量部以上であり、より好ましくは5質量部以上である。また、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。上記範囲内とすることで高速剥離耐性が向上し、必要な粘着力が維持され、被着体汚染が起こりにくい。
可塑剤(C)は、単独または2種類以上併用できる。
酸化防止剤(D)は、フェノール系化合物である。本発明の粘着剤は、フェノール系化合物を用いることで、アクリル系共重合体(A)の熱劣化を防ぐことができ、熱経時による粘着力上昇や被着体汚染が抑制される。
酸化防止剤(D)は、フェノール系化合物に加えて、その他酸化防止剤を併用してもよく、ラジカル補足剤、過酸化物分解剤のいずれも用いることができる。ラジカル補足剤としては、アミン系化合物等、過酸化物分解剤としては、硫黄系化合物およびリン系化合物等が挙げられる。
本発明の粘着剤には、本発明の効果を損なわない範囲であれば、所望により各種樹脂や添加剤を添加することができる。例えば、タッキファイヤ、シランカップリング剤、熱または光安定剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、消泡剤、抗菌剤、保湿剤、ビタミン類、顔料、染料、香料などを挙げることができる。これらは、必要に応じて有効量を配合する。
粘着シートは、基材と、本発明の粘着剤から形成されてなる粘着剤層とを備える。
粘着シートは、例えば、基材上に粘着剤を塗工、乾燥し、粘着剤の硬化物である粘着剤層を形成することにより製造できる。粘着剤層は基材の少なくとも一方の面に設けられていれば良い。
本発明の粘着シートは、再剥離性に優れ、かつ高速再剥離耐性、ならびに加熱工程に対する耐熱粘着力および耐熱汚染性が良好であることより、表面保護シートとして好適に用いることができる。
本発明の粘着シートは、被着体として光学部材に用いられる光学粘着シートとして好適に用いることができる。
光学部材の傷つきを防止するために貼付された表面保護シートは、光学部材の製造工程後に剥離される。その際、剥離工程時間の短縮によるコストダウンを目的とし、表面保護シートは高速で剥離される。
剥離時、光学部材への密着性が十分でない場合、ジッピングと呼ばれる断続的な剥離モードが生じることがある。このジッピングは、局所的に剥離応力が集中して起きる現象であるが、ジッピングによって光学部材を損傷する恐れがある。
また、光学部材への密着性が高すぎる場合、剥離後、保護対象の光学部材に粘着層が付着して残留し光学部材を汚染する。
本発明の粘着剤を用いた表面保護シートは、ジッピングの抑制と、耐汚染性とを両立することができる。
被着体が、透明導電性ガラス、透明導電性フィルム等の製造工程において熱処理を必要とする光学部材の場合、貼付される表面保護シートには、高温環境下に長時間(例えば150℃3時間)曝されても、光学部材からの浮き、剥がれが生じないという密着性と、再剥離性、および耐汚染性の両立が必要とされる。
本発明の粘着剤を用いた表面保護シートは、高温環境下でも熱劣化しにくく、高温暴露の前後での粘着力変化(粘着力比)を小さくできる。これにより、密着性と再剥離性が両立でき、さらに分解物等による被着体汚染が生じにくい。
なお、粘着力比は、初期粘着力に対する耐熱粘着力(150℃3時間)の割合であり、下記式で表される。
粘着力比=(耐熱粘着力/初期粘着力)
また、表中の配合量は、質量部である。なお、表中の空欄は配合していないことを表す。
なお、アクリル共重合体の酸価、アクリル共重合体の重量平均分子量(Mw)、および可塑剤の揮発減量の測定方法は以下の通りである。
共栓三角フラスコ中に試料1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した後、0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液を用いて滴定を行う。酸価(単位:mgKOH/g)は次式により求める。
酸価={(5.61×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
式中、各符号は以下のパラメータを示す。
S:試料の採取量(g)、
a:0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
F:0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液のファクター。
Mwは、下記の条件により測定した。Mwの決定は、重量平均分子量が既知のポリスチレンを標準物質に用いた検量線法により決定した。
装置名:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」
カラム:東ソー社製GMHXL 4本、東ソー社製HXL-H 1本を直列に連結
移動相溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
流量:1.0ml/分
カラム温度:40℃
可塑剤の揮発減量は、メンタム缶に可塑剤を約3g量りとり、150℃3時間加熱前後での質量を測定することにより算出した。
《材料》
<モノマー>
[モノマー(a1)]
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル
iDA:アクリル酸イソデシル
[モノマー(a2)]
AA:アクリル酸
MAA:メタクリル酸
[その他モノマー]
BA:アクリル酸ブチル
MA:アクリル酸メチル
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル
TGXA:N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン(分子量360.5、官能基数4)
HBAP:2,2’-ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート](分子量425.5、官能基数3)
AlAA:アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(分子量324.3、官能基数3)
TDI-TMP:トリレンジイソシネートのトリメチロールプロパンアダクト体(分子量656.8、官能基数3)
D-1:テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
D-2:3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン
D-3:1,3,5-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)-S-トリアジン-2,4,6-(1H、3H、5H)トリオン
<その他酸化防止剤>
DC-1:N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン
(合成例1;アクリル共重合体(A-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と称することがある)に、アクリル酸2-エチルヘキシル45.0部、アクリル酸ブチル4.25部、アクリル酸0.25部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.5部、アセトン20部、酢酸エチル20部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.02部を仕込んだ後、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。さらに、滴下漏斗に、アクリル酸2-エチルヘキシル45.0部、アクリル酸ブチル4.25部、アクリル酸0.25部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル0.5部、酢酸エチル20部、AIBN0.02部を仕込んだ。次いで、反応容器内を窒素雰囲気下で撹拌しながら、80℃まで加熱し、反応を開始した後、滴下漏斗内容部を2時間かけて滴下し、窒素雰囲気下にて還流温度で7時間重合反応を行った。反応終了後、冷却し、酢酸エチルを加えて希釈し、不揮発分35%のアクリル系共重合体(A)溶液を得た。また、GPCを用いてアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、重量平均分子量は91万であった。得られた共重合体を、共重合体(A-1)とする。
表1の材料および配合比率に変更した以外は、合成例1と同様の方法でそれぞれアクリル系共重合体を合成した。
表1の材料および配合比率に変更し、さらに合成例1における反応容器内の溶剤を酢酸エチル40部へ変更した以外は、合成例1と同様の方法でそれぞれアクリル系共重合体を合成した。
上記合成例で得られたアクリル系共重合体の内、合成例1~8で得られたアクリル系共重合体がアクリル系共重合体(A)に該当し、合成例9および10で得られたアクリル系共重合体がアクリル系共重合体(A)ではないアクリル系共重合体に該当する。
(可塑剤:C-1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に、2-エチルヘキサン酸100部、PEG-300[ポリエチレングリコール、Mw=300:(三洋化成工業株式会社製)]46部、及び触媒としてテトライソプロポキシチタン0.01部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、220℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を220℃で8時間反応させた。さらに、圧力4000Pa 、220℃で1時間反応させ、反応終了後、冷却し可塑剤(C-1)ジ-2-エチルヘキシル酸ポリエチレングリコールを得た。
反応容器に、トリメリット酸100部、オクタノール186部、及び触媒としてテトライソプロポキシチタン0.01部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、220℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を220℃で8時間反応させた。さらに、圧力4000Pa 、220℃で1時間反応させ、反応終了後、冷却し可塑剤(C-2)トリメリット酸トリ-n-オクチルを得た。
反応容器に、フタル酸100部、2-エチルヘキサノール235部、及び触媒としてテトライソプロポキシチタン0.01部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、220℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を220℃で8時間反応させた。さらに、圧力4000Pa 、220℃で1時間反応させ、反応終了後、冷却し可塑剤(C-3)フタル酸ビス-2-エチルヘキシルを得た。
反応容器に、ミリスチン酸100部、イソプロパノール26部、及び触媒としてテトライソプロポキシチタン0.01部を仕込み、この反応容器内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、窒素雰囲気下で撹拌しながら、220℃まで加熱し反応を開始した。その後、反応溶液を220℃で8時間反応させた。さらに、圧力4000Pa 、220℃で1時間反応させ、反応終了後、冷却し可塑剤(C-4)ミリスチン酸イソプロピルを得た。
<粘着剤の作製>
得られたアクリル系共重合体(A-1)の不揮発分100部に対して、硬化剤(B)TGXAを不揮発分換算で0.6部、可塑剤(C-1)ジ-2-エチルヘキシル酸ポリエチレングリコールを5部、酸化防止剤(D-1)テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンを0.5部、希釈溶剤として酢酸エチルを添加し、撹拌し、粘着剤を得た。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製フィルム上に、乾燥後の厚みが15μmとなるように上記で得られた粘着剤を塗工し、熱風オーブンにて100℃、2分間乾燥して粘着剤層を作製した。乾燥後、厚さ38μmのポリエステル製セパレーターにラミネートし、さらに23℃-50%RHで7日間養生し、粘着シートを得た。
当量=[{(硬化剤の添加部数)/(硬化剤の分子量)}×(硬化剤の官能基数)]/(アクリル系共重合体(A)100部中のカルボキシル基のmol数)
={(0.6/360.5)×4}/0.007=1.0
表1~6に示す材料、組成、量になるよう変更した以外は、実施例1と同様に、それぞ
れ粘着剤および粘着シートを製造し、測定および評価を行った。なお、表中の数値は、特
に断りがない限り、部を表し、空欄は使用していないことを表す。
但し、実施例22は参考例である。
粘着層の物性値、粘着剤および粘着シートの評価項目および評価方法は、以下の通りである。
得られた粘着シートを幅25mm、長さ100mmの大きさに切り出した。次いで23℃-50%RHの環境下、粘着シートからセパレーターを剥がして露出した粘着剤層を、厚さ100μmのアルカリガラス板に貼付し、50℃、5気圧の条件のオートクレーブ内に20分間保持して測定試料を作製した。この測定試料を、23℃-50%RHの環境下で24時間保存した後、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度10m/分、剥離角度180°の条件で剥離した際の挙動、およびガラス板表面の様子を観察した。評価基準は以下の通りである。
◎:剥離時にジッピング現象が認められず、かつガラス板表面に曇りや糊残りが認められない。(優良)
○:剥離時にジッピング現象が認められるが、ガラス板表面に曇りや糊残りが認められない。(良好)
△:剥離時にジッピング現象が認められ、ガラス板表面に曇りが認められる。(使用可)
×:剥離時にジッピング現象が認められ、かつガラス板表面に糊残りが認められる。(使用不可)
得られた粘着シートを幅25mm、長さ100mmの大きさに切り出した。次いで23℃-50%RHの環境下、粘着シートからセパレーターを剥がして露出した粘着剤層を、厚さ100μmのアルカリガラス板に貼付し、2kgロールにより1往復させて測定試料を作製した。圧着20分後、引張試験機(オリエンテック社製「テンシロン」)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で、剥離強度を測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:粘着力が60mN/25mm未満(優良)
○:粘着力が60mN/25mm以上100mN/25mm未満(良好)
△:粘着力が100mN/25mm以上150mN/25mm未満(使用可)
×:粘着力が150mN/25mm以上(使用不可)
得られた粘着シートを幅25mm、長さ100mmの大きさに切り出した。次いで23℃-50%RHの環境下、粘着シートからセパレーターを剥がして露出した粘着剤層を、厚さ100μmのアルカリガラス板に貼付し、2kgロールにより1往復させて測定試料を作製した。圧着後、150℃環境下に1時間または3時間放置、さらにその後23℃-50%RH環境下に30分間放置し、上記初期粘着力と同様に剥離強度を測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:粘着力150mN/25mm未満(優良)
○:粘着力が150mN/25mm以上250mN/25mm未満(良好)
△:粘着力が250mN/25mm以上400mN/25mm未満(使用可)
×:粘着力が400mN/25mm以上(使用不可)
上記初期粘着力と耐熱粘着力(150℃3時間)との比率(耐熱粘着力/初期粘着力)を算出し、以下の基準に基づいて評価を行った。
◎:2.0未満(優良)
○:2.0以上3.5未満(良好)
△:3.5以上5.0未満(使用可)
×:5.0以上(使用不可)
上記耐熱粘着力(150℃3時間)試験後のアルカリガラス板に、市販ポリエステル粘着テープ(日東電工(株)製No.31Bテープ)を貼付し、上記初期粘着力と同様に剥離強度を測定した(耐熱剥離強度)。それとは別に、未使用のアルカリガラス板に上記ポリエステル粘着テープを貼付し、上述と同様に剥離強度を測定(初期剥離強度)し、初期剥離強度と耐熱剥離強度の剥離強度比率(耐熱剥離強度/初期剥離強度)を算出し、以下の基準に基づいて評価を行った。
◎:剥離強度比率が0.8以上(優良)
○:剥離強度比率が0.6以上0.8未満(良好)
△:剥離強度比率が0.4以上0.6未満(使用可)
×:剥離強度比率が0.4未満(使用不可)
Claims (7)
- アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)、可塑剤(C)、および酸化防止剤(D)を含み、
前記アクリル系共重合体(A)は、炭素数8~10の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)、およびカルボキシル基を有するモノマー(a2)を含有するモノマー混合物の共重合体であり、
前記可塑剤(C)は、150℃3時間加熱後の揮発減量が15質量%以下であり、
前記可塑剤(C)の含有量は、前記アクリル系共重合体(A)100質量部に対し、1質量部以上20質量部以下であり、
前記酸化防止剤(D)は、フェノール系化合物である、粘着剤。 - 前記アクリル系共重合体(A)中のカルボキシル基1当量に対し、前記硬化剤(B)を0.5当量以上含有する、請求項1記載の粘着剤。
- 前記アクリル系共重合体(A)の重量平均分子量は、60万以上300万以下である、
請求項1または2記載の粘着剤。 - 前記硬化剤(B)は、アジリジン化合物、エポキシ化合物、および金属キレートからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3いずれか1項記載の粘着剤。
- 前記アクリル系共重合体(A)は、前記モノマー混合物の共重合体100質量%中、炭素数8~10の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)を50質量%以上含有する、請求項1~4いずれか1項記載の粘着剤。
- 前記可塑剤(C)は、炭素数8~10の分岐アルキル基を有する、請求項1~5いずれか1項記載の粘着剤。
- 基材と、請求項1~6いずれか1項記載の粘着剤から形成されてなる粘着剤層とを備えてなる粘着シート。
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