JP2017196830A - 複合部材、接着剤および接着シート - Google Patents

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豊 守岡
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Abstract

【課題】高温多湿環境下において、接着剤層と接する金属面の腐食を抑制することが可能な複合部材、接着剤および接着シートを提供する。【解決手段】本発明は、金属面を有する第1部材と、上記第1部材の上記金属面と対向する接着面を有する第2部材と、上記第1部材の上記金属面と上記第2部材の上記接着面との間に配置された接着剤層と、を有する複合部材であって、上記接着剤層に用いられる接着剤は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で、銅メッシュ表面に上記接着剤を積層させた状態で1000時間保管処理を行った場合、保管前および保管後の上記接着剤側からのL*a*b*表色系のb*値が、それぞれ2.0以下となるものであることを特徴とする複合部材を提供することにより、上記課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は、接着剤層と部材の金属面との接着界面を有する複合部材、それに用いられる接着剤および接着シートに関する。
液晶ディスプレイ(LCD)等の表示装置や、タッチパネル等の入力装置の製造等においては、光学部材の貼合に感圧接着剤(粘着剤)等の接着剤が使用されている。例えば、カバーパネルや配線基板、反射防止フィルム等の部材の貼合の際には、接着剤層を有する透明な接着シートが使用され、部材間には上記接着剤層が配置される。
しかし、接着剤層と接する部材の接着面が、電極や外周配線等(以下、総じて金属配線と称する場合がある。)を含む金属面である場合、接着剤層中に含有され、若しくは、外部環境から浸入する水分や酸性ガス等により、上記金属面の金属が酸化され腐食しやすいという問題があった。中でも、金属配線等に好適に用いられる銅や銀等の電気導電性に優れた金属は、酸化や腐食が生じやすいことが公知である。また、金属面の腐食により生じる金属イオンと接着剤層を構成する有機材料とが反応し、接着剤層が変色や変質するという問題があった。
そして、金属の腐食により上記金属面や接着剤層が変色すると、複数の部材から成る複合部材の光学特性が損なわれ、上記複合部材を表示装置や入力装置に用いた場合に、視認性を阻害してしまうという問題がある。また、上記金属面が金属配線として機能する場合、腐食により金属面の抵抗が上昇すると、導通に不具合が生じる等の問題がある。
上記問題に対し、金属面の酸化や腐食を抑制する方法としては、例えば特許文献1で開示されるように、上記金属面上に保護層を設ける方法が公知である。特許文献1では、電極が設けられたセンシング領域および配線が設けられた配線領域上に絶縁膜層を設け、更に上記絶縁膜層上に腐食成分不透過膜を形成することが開示されている。
上記の方法によれば、金属配線上に他の部材を貼合するときは、上記金属配線上に設けられた上記保護層上に接着剤層を形成し、上記接着剤層を介して他の部材を貼合することができる。また、上記接着剤層が保護層を介して金属配線上に形成されるため、上記金属配線の腐食を防ぐことができる。
一方、部材の金属面と他の部材とを貼合して複合部材を製造する場合、上記金属面上に保護層を設けるための工程が増え、歩留まりの低下や製造費用コストの増大等の要因となる。このため、上記金属面に保護層を設けずに、上記金属面上に直接形成される接着剤層の組成を工夫し、上記接着剤層自体に上記金属面に対する防錆機能を付与することも検討されている。
例えば、特許文献2および特許文献3では、アクリルポリマー、架橋剤および防錆剤を含有する所定の組成の粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する金属貼付用粘着シートが提案されている。特許文献2および特許文献3によれば、上記粘着剤層が所定の組成を有することで、部材の金属面と他の部材とを粘着剤層で貼合して形成された複合部材を常温下で長時間保管しても、上記金属面由来の金属イオンに起因する上記粘着剤層の変色や変質を抑制し、且つ、上記粘着剤層に起因する金属面の金属の変色や変質を抑制することができることが開示されている。
特開2011−028594号公報 特許第5532994号公報 特許第5625625号公報
しかし、本発明者等が特許文献2および特許文献3で開示される粘着剤層と部材の金属面とを貼り合わせた複合部材を、高温多湿な環境下で長時間保管したところ、温度や湿度の程度によっては、上述した粘着剤層による防錆効果が得られにくく、金属面の金属の腐食が促進されてしまうという問題があることを知得した。中でも、近年、高温多湿環境として温度85℃湿度85%RH環境下でも使用可能となるように、複合部材の耐候性向上の要求が高まるところ、本発明者等が上記の高温多湿環境下での複合部材の耐候性を検討した結果、特許文献2および特許文献3で開示される金属貼付用粘着シートの粘着剤層を、部材の金属面に貼り合わせた複合部材では、接着剤層による防錆効果が十分に発揮されず、粘着剤層や部材の金属面の金属に変色や変質が生じてしまい、十分な信頼性を得ることができないことを見出した。
このように、高温多湿環境下では、金属の腐食による金属面や接着剤層の変色や変質、それに伴う複合部材の光学特性の低下や視認性の阻害、および金属面の抵抗上昇等の不具合を抑制することが困難である。
また、部材の金属面上に保護層を介して接着剤層を形成する場合、上記保護層の防湿性によっては、高温多湿環境下において、上記保護層上に形成される接着剤層の接着性や耐発泡剥がれ性等の接着信頼性が低下したり、上記接着剤層上に他の部材を配置して形成される複合部材の光学特性が低下する等の問題が生じてしまう。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温多湿環境下において、接着剤層と接する金属面の腐食を抑制することが可能な複合部材、接着剤および接着シートを提供することを主目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、金属面を有する第1部材、上記第1部材の上記金属面と対向する接着面を有する第2部材、および上記第1部材の上記金属面と上記第2部材の上記接着面との間に配置された接着剤層を有する複合部材であって、上記接着剤層に用いられる接着剤は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で、銅メッシュ表面に上記接着剤を積層させた状態で1000時間保管処理を行った場合、保管前および保管後の上記接着剤側からのL表色系のb値が、それぞれ2.0以下となるものであることを特徴とする複合部材を提供する。
本発明によれば、上記接着剤層に用いられる接着剤は、銅メッシュ表面上に積層させた状態で所定の高温多湿環境下で所定時間、保管処理を行った前後の、上記接着剤側からの上記b値がそれぞれ所定値以下を示すことから、高温多湿環境下において、接触する金属の腐食およびそれによる金属面や接着剤層の変色や変質を抑制することが可能である。
これにより、本発明の複合物品は、上記接着剤層と接する上記金属面の腐食に起因する変色に伴う視認性の低下を抑えることができ、安定した光学特性を保つことができる。また、上記金属面の腐食による抵抗上昇を防ぐことができるため、本発明の複合物品は、上記金属面が金属配線面であれば、その電気特性を保持することができる。
上記発明においては、上記接着剤が、アクリルポリマー架橋重合体と、防錆剤と、可塑剤とを含むことが好ましい。上記接着剤が上記可塑剤を含むことにより、上記アクリルポリマー架橋重合体が軟質化し、上記接着剤中を上記防錆剤が移動しやすくなる。これにより、金属面と上記防錆剤との接触割合を増加させることができ、上記金属面上に被膜が形成されやすくなる。よって、上記組成の接着剤により形成される接着剤層は、高温多湿環境下において、上記金属面の腐食をより効果的に防ぐことができるからである。中でも、高温下においては、アクリルポリマー架橋重合体がより軟質化しやすくなり、上記接着剤中を上記防錆剤が移動しやすくなるため、上述の効果を奏しやすくなる。
上記発明の場合、上記接着剤が酸化防止剤を含むことが好ましい。上記接着剤がさらに酸化防止剤を含むことで、上記接着剤により形成される接着剤層中に含まれる、若しくは外部から接着剤層内に侵入する酸素や水分等の、上記接着剤層と接する金属面の酸化を促進させる成分(以下、酸化促進成分と称する場合がある。)を補捉し、防錆剤による被膜形成前の上記金属面の酸化を抑制することができる。したがって、上記接着剤層による防錆効果をさらに高めることができるからである。また、上記接着剤がさらに酸化防止剤を含むことで、金属の酸化防止に加えて、接着剤自体の酸化劣化を抑制することができるからである。
また、本発明は、アクリルポリマー架橋重合体と、防錆剤と、可塑剤とを含むことを特徴とする接着剤を提供する。
上記発明によれば、可塑剤を含有することで、上記アクリルポリマー架橋重合体が軟質化し、上記接着剤内を上記防錆剤が移動しやすくなる。これにより、本発明の接着剤が金属面と接する場合に、上記接着剤中の防錆剤と上記金属面との接触割合を増加させることができ、金属面上で被膜が形成されやすくなる。よって、本発明の接着剤は、高温多湿環境下において、金属面の腐食を防ぐことができる。
上記発明においては、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤により酸化促進成分を補捉することで、本発明の接着剤が金属面と接する場合に、防錆剤による被膜形成前の上記金属面の酸化を抑制して、防錆効果を高めることができるからである。また、接着剤自体の酸化劣化を抑制することができるからである。
また、本発明は、アクリルポリマー架橋重合体と、ベンゾトリアゾール化合物と、フタル酸エステルまたはアジピン酸ジエステルと、を含むことを特徴とする接着剤を提供する。
上記発明によれば、上記接着剤中でベンゾトリアゾール化合物が防錆剤として機能し、上記のいずれかのエステル化合物が可塑剤として機能することから、上述したように、本発明の接着剤が金属面と接する場合に、防錆剤であるベンゾトリアゾール化合物と上記金属面との接触割合が増加して、上記金属面上に被膜が形成されやすくなる。よって、本発明の接着剤は、高温多湿環境下において、金属面の腐食を防ぐことができる。
上記発明においては、ヒドラジン化合物を含むことが好ましい。上記接着剤中でヒドラジン化合物は酸化防止剤として機能することから、上述したように酸化促進成分を補捉することで、本発明の接着剤が金属面と接する際に、防錆剤による被膜形成前の上記金属面の酸化を抑制して、防錆効果を高めることができるからである。また、接着剤自体の酸化劣化を抑制することができるからである。
また、本発明は、第1剥離層、第2剥離層、および上記第1剥離層と上記第2剥離層との間に配置された接着剤層を有し、上記接着剤層に用いられる接着剤が、アクリルポリマー架橋重合体、防錆剤、および可塑剤を含むことを特徴とする接着シートを提供する。
本発明によれば、上記接着剤が上記可塑剤を含むことにより、上記アクリルポリマー架橋重合体が軟質化し、上記接着剤内を上記防錆剤が移動しやすくなる。これにより、本発明の接着シートを部材の金属面に貼合する際に、上記金属面と上記接着剤層中の防錆剤との接触割合を増加させることができ、上記金属面上に被膜が形成されやすくなる。よって、本発明の接着シートは、高温多湿環境下において、被着面となる金属面の腐食を防ぐことができる。
本発明によれば、高温多湿環境下において、接着剤層と接する金属面の腐食、およびそれに伴う変色や変質が抑制された複合部材等を提供することができるといった効果を奏する。
本発明の複合部材の一例を示す概略断面図である。 値の測定に使用される銅メッシュフィルムの一例を示す概略断面図である。 本発明の接着シートの一例を示す概略断面図である。
以下、本発明の複合部材、接着剤および接着シートについて説明する。
A.複合部材
本発明の複合部材は、金属面を有する第1部材、上記第1部材の上記金属面と対向する接着面を有する第2部材、および上記第1部材の上記金属面と上記第2部材の上記接着面との間に配置された接着剤層を有する複合部材であって、上記接着剤層に用いられる接着剤は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で、銅メッシュ表面に上記接着剤を積層させた状態で1000時間保管処理を行った場合、保管前および保管後の上記接着剤側からのL表色系のb値が、それぞれ2.0以下となるものであることを特徴とする。
本発明の複合部材について、図を参照して説明する。図1は、本発明の複合部材の一例を示す概略断面図である。本発明の複合部材10は、金属面Mを有する第1部材1と、第1部材1の金属面Mと対向する接着面を有する第2部材2と、第1部材1の金属面Mと第2部材2の接着面との間に配置された接着剤層3と、を有する。
接着剤層3に用いられる接着剤は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で、銅メッシュ表面に上記接着剤を積層させた状態で1000時間保管処理を行った場合、保管前および保管後の上記接着剤側からのL表色系のb値が、それぞれ2.0以下となるものである。
本発明によれば、上記接着剤層に用いられる接着剤は、銅メッシュ表面上に積層させた状態で所定の高温多湿環境下で所定時間、保管処理を行った前後の、上記接着剤側からの上記b値がそれぞれ所定値以下を示すことから、高温多湿環境下において、接触する金属の腐食およびそれによる金属面や接着剤層の変色や変質を抑制することが可能である。
これにより、本発明の複合部材は、表示装置や入力装置等の、光透過性や透明性等の高い光学特性が要求される用途において、高温多湿環境下で長期間保管される場合であっても、上記金属面の腐食に起因する変色に伴う視認性の低下を抑えることができ、安定した光学特性を保つことができる。また、上記金属面が金属配線面であれば、上記金属面の腐食による抵抗上昇を防ぐことができるため、上記金属配線面の電気特性を保持することができる。
なお、本明細書内においては、「温度85℃、湿度85%RHの環境下」のことを「高温多湿環境下」と称して説明する場合がある。湿度(%RH)は相対湿度とする。
また、保管時間である「1000時間」のことを「所定時間」と称する場合がある。
本発明においては、上記接着剤層に用いられる接着剤が、温度85℃、湿度85%RHの環境下で、銅メッシュ表面に上記接着剤を積層させた状態で1000時間保管処理を行った場合、保管前および保管後の上記接着剤側からのL表色系のb値が、それぞれ2.0以下となるものであることを特徴とする。
上記b値についてさらに詳しく規定すると、温度85℃、湿度85%RHの環境下で1000時間保管前後の上記b値が、それぞれ2.0以下であればよく、中でも1.7以下であることが好ましく、特に1.5以下であることが好ましい。b値が上記範囲よりも大きいと、本発明の複合部材を表示装置や入力装置等の高い光学特性が要求される用途に用いる場合に、変色が認識されやすくなることから、使用状態に不具合が生じる場合がある。また、保管後の上記b値が上記範囲よりも大きいと、腐食により金属面や接着剤層の変色が生じていることが示唆されるため、上記金属面を金属配線面として用いる場合に、抵抗が上昇して電気特性の低下が生じてしまうおそれがある。
本発明におけるL表色系とは、JIS Z8729−1994に規定されるCIE(国際照明委員会)で規格化されている表色系であり、L値は明度を表し、a値よびb値は色度を表す。b値は黄色味を表わす。本発明におけるb値は、以下の方法および条件により測定した値である。
値の測定は、銅メッシュ表面に上記接着剤を積層させた状態で行う。以下、銅メッシュと接着剤との積層体を評価サンプルと称する。
値の測定に使用する上記銅メッシュは、平均線幅15μm、平均厚み8.6μm、平均開口幅300μm、平均開口率95%とする。上記銅メッシュは、通常、透明樹脂基材上に形成されたメッシュフィルムの状態で、上記銅メッシュが接着剤と接するようにして用いられる。上記透明樹脂基材は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で1000時間保管前後の透明樹脂基材単体のb値が、接着剤層のb値に影響しないものが用いられ、具体的には、ポリエチレンテレフタラートフィルム(例えば、東洋紡製 コスモシャインA4100、厚み100μm)等のポリエステルフィルムを用いることができる。
銅メッシュフィルムは、上述した線幅等を有するものであれば、市販品を使用してもよく、例えば後述する実施例の項で説明する銅メッシュフィルムの作製方法に従い作製したものを用いることもできる。図2は、後述する実施例においてb値の測定に使用した銅メッシュフィルムの概略断面図であり、その構成については後述する。
また、上記接着剤は、上記銅メッシュ表面全域を覆うように、平均厚さ50μmとなるようにメッシュフィルム上に配置する。すなわち、平均厚さ50μmの接着剤層を、銅メッシュ表面全域を覆うようにメッシュフィルムの上記銅メッシュが形成された側の面上に配置する。
なお、配置した接着剤(接着剤層)の上記平均厚さは、膜厚計(商品名:デジタルシックネスゲージ「G−205M」、メーカー:株式会社尾崎製作所製)を用いて、母体数5以上をとって平均値を算出する。
評価サンプルの保管は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で1000時間、スライドガラス立て(アズワン製「スライド立」)に評価サンプルを静置して行う。
評価サンプルの保管前後のb値の測定は、分光色差計(製品名:SE6000、日本電色工業製)を用いて、以下の条件で測定する。
(条件)
・光源:C光源
・光進入角:2°
・照明および受光条件:透過
・受光面:接着剤が配置された側の面(接着剤層側表面)
以下、本発明の複合部材の構成について、説明する。
1.接着剤層
本発明における接着剤層は、第1部材の上記金属面と上記第2部材の上記接着面との間に配置された層である。
上記接着剤層は、接着剤が層状になったものである。
(1)接着剤
上記接着剤層に用いられる接着剤は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で、銅メッシュ表面に上記接着剤を積層させた状態で1000時間保管処理を行った場合、保管前および保管後の上記接着剤側からのL表色系のb値が、それぞれ2.0以下となるものである。
本発明における接着剤は、通常、感圧接着剤(粘着剤)であり、溶剤は含まないものとする。
上記接着剤の組成としては、所定の高温多湿下で所定時間保管した前後でのb値が所定値以下となる組成であれば、特に限定されないが、中でも上記接着剤が、アクリルポリマー架橋重合体と、防錆剤と、可塑剤とを含むことが好ましい。
上記接着剤が上記可塑剤を含むことにより、上記アクリルポリマー架橋重合体が軟質化し、上記接着剤中を上記防錆剤が移動しやすくなる。これにより、金属面と上記防錆剤との接触割合を増加させることができ、上記金属面上に被膜が形成されやすくなる。よって、上記組成の接着剤により形成される接着剤層は、高温多湿環境下において、上記金属面の腐食をより効果的に防ぐことができるからである。
中でも、高温下においては、アクリルポリマー架橋重合体がより軟質化しやすくなり、上記接着剤中を上記防錆剤が移動しやすくなるため、上述の効果を奏しやすくなる。
以下、上記接着剤の各組成について説明する。
(a)アクリルポリマー架橋重合体
上記アクリルポリマー架橋重合体は、アクリルポリマー同士が架橋剤により架橋してなる重合体であり、三次元網目構造を有する。上記アクリルポリマー架橋重合体は、アクリルポリマーを構成単位に有する。
(i)アクリルポリマー
上記アクリルポリマー架橋重合体を構成するアクリルポリマーは、アクリル酸エステルを主成分とする。
ここで、主成分とは、アクリルポリマー中の共重合割合が51質量%以上であることを意味し、65質量%以上であることが好ましい。
アクリルポリマーは、特に限定されず、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも本発明では、アクリル酸ブチルあるいはアクリル酸2−エチルヘキシルが好ましい。可塑剤との相溶性が良好だからである。
他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸−n−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記アクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)としては、所望の接着力を発揮可能であれば特に限定されない。中でも耐久性の観点から、上記アクリルポリマーの重量平均分子量(Mw)は30万〜150万の範囲内であることが好ましく、30万〜130万の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
なお、重量平均分子量の測定装置として、Waters製のWaters2695を用い、カラムとして、昭和電工製のLF−804×3本(内径8mm、長さ300mm)を用い、サンプル濃度を0.5%(テトラヒドロフランで希釈)とし、移動相溶媒としてテトラヒドロフランを用い、流速を1ml/分とし、カラム温度を40℃とした。
また、上記アクリルポリマーは、アクリル酸エステルを主成分とし、上記アクリル酸エステルと、共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合体であってもよい。
共重合可能な水酸基含有モノマーは、その構造中に、共重合可能な重合性基と、水酸基とを有していれば、特に限定されず、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシブチル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。
アクリル酸エステルと、共重合可能な水酸基含有モノマーとの共重合比(質量比)は、アクリル酸エステルが主成分であれば、特に限定されず、所望の接着強度を示すように、適宜、設定することができるが、耐久性、接着性、光学特性等の観点から、99/1〜70/30の範囲内であることが好ましい。なお、上記共重合比は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。
上記アクリルポリマーは、酸性基を実質的に含有しないことが好ましい。アクリルポリマーに含有される酸性基により、上記接着剤と接する金属が腐食されやすくなるからである。ここで、酸性基とは、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。一般に、アクリルポリマーに含有される酸性基はカルボキシル基である。
また、上記アクリルポリマーが酸性基を実質的に含有しないとは、アクリルポリマー中の酸性基の含有量が25ppm未満であることが好ましい。アクリルポリマー中の酸性基の含有量を上記範囲内とすることで、酸成分によって金属が腐食されにくくなるからである。アクリルポリマー中の酸性基の含有量は、例えば、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。例えば、上記酸性基がカルボキシル基であれば、カルボキシル基とシリル化剤とを反応させ、1H−NMR(600MHz)にて、シリル化物に由来するピークを測定する(定量下限:25ppm)ことにより、カルボキシル基の含有量を特定することができる。
上記アクリルポリマーは通常、上述したように、上記接着剤中で架橋重合を形成して存在しているが、一部のアクリルポリマーは上記接着剤中で単体として存在していてもよい。
(ii)架橋剤
上記アクリルポリマー架橋重合体を構成する架橋剤は、特に限定されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。
また、エポキシ系架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ系化合物が挙げられる。
上記架橋剤は、単独または2種以上を組み合わせて用いることができ、上記アクリルポリマーの種類等に応じて、適宜選択することができる。なお、イソシアネート系架橋剤を用いる場合は、接着剤を黄変させない種類を選択することが好ましい。
架橋剤の含有量としては、アクリルポリマー(固形分)100質量部に対して、0.1質量部〜1.5質量部の範囲内が好ましく、中でも0.2質量部〜1.0質量部の範囲内が好ましく、特に0.4質量部〜0.8質量部の範囲内が好ましい。架橋剤の含有量を上記範囲内とすることで、好適な架橋密度が得られ、適度な弾性および接着強度を有する接着剤とすることができるからである。また、過剰量の架橋剤が存在せず、架橋剤同士の結合に由来する可撓性の低下を抑制することができるからである。
(iii)その他
上記アクリルポリマー架橋重合体は、酸性基を実質的に含有しないことが好ましい。その理由については、上述の「(i)アクリルポリマー」の項で説明した理由と同様である。
上述した酸性基を実質的に含有しないアクリルポリマーを架橋重合することで、酸性基を実質的に含有しないアクリルポリマー架橋重合体となる。
上記アクリルポリマー架橋重合体は、ゲル分率が85%以上99%以下であることが好ましい。ゲル分率(架橋度)を上記範囲とすることにより、接着剤層と接する第2部材からガスが発生した場合であっても、接着剤層の浮きや剥がれを効果的に防止することができるからである。
アクリルポリマー架橋重合体のゲル分率は、アクリルポリマーと反応する架橋剤の添加量を適宜調整することにより上記範囲とすることができる。ゲル分率は、接着剤をトルエン等の有機溶剤で溶解した後、溶剤中に残存する不溶成分(ゲル成分)を採取し、接着剤中に含まれていたゲル成分の質量割合を意味する。
上記接着剤層中のアクリルポリマー架橋重合体の含有量としては、接着剤層が所望の接着力を発揮可能な量であればよく、例えば、上記接着剤(固形分)100質量%中92質量%〜97質量%の範囲内であることが好ましく、中でも94質量%〜96質量%の範囲内であることが好ましい。アクリルポリマー架橋重合体の含有量が上記範囲内に無いと、接着剤層の耐久性が低下する場合があるからである。
(b)防錆剤
上記防錆剤は、金属面上の金属原子と化学結合を形成し、若しくは、上記金属原子に吸着し、被膜を形成するものである。
上記防錆剤は、可塑剤への溶解性が優れており、接着剤中を移動し易く、防錆効果を発揮し易い化合物であることが好ましく、このような防錆剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物が挙げられる。
上記ベンゾトリアゾール化合物は、ベンゾトリアゾール骨格を有すればよいが、骨格中にカルボキシル基を有するものは適さない。
また、上記ベンゾトリアゾール化合物は、アクリルポリマー架橋重合体や可塑剤に対する相溶性が良好であり、接着剤中を移動しやく金属面上に被膜を形成しやすいという観点から、低分子量であることが好ましい。具体的には、上記ベンゾトリアゾール化合物の分子量が119〜161の範囲内であることが好ましく、中でも119〜147の範囲内であることが好ましい。上記ベンゾトリアゾール化合物の分子量は、質量分析計(MS)を用いて測定することができる。
このようなベンゾトリアゾール化合物としては、例えば、ベンゾトリアゾール、メチルベンゾトリアゾール、ジメチルベンゾトリアゾール、エチルベンゾトリアゾール、エチルメチルベンゾトリアゾール、ジエチルベンゾトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾール、1,2,3−ベンゾトリアゾール、4−メチル−1,2,3ベンゾトリアゾール、5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール等、および特開2015−060770号公報で開示される化合物の中から上記重量平均分子量を満たす化合物等が挙げられる。中でも、入手が容易である点から1,2,3−ベンゾトリアゾールまたは5−メチル−1H−ベンゾトリアゾールであることが好ましい。
上記接着剤中の上記防錆剤の含有量は、本発明の効果を発揮することが可能な量であることが好ましく、例えば、上記接着剤(固形分)100質量%中0.1質量%〜2.0質量%の範囲内が好ましく、中でも0.2質量%〜1.0質量%の範囲内が好ましく、特に0.3質量%〜0.7質量%の範囲内が好ましい。防錆剤の含有量を上記範囲内とすることで、視認性を損なわず十分な防錆効果が得られるからである。一方、上記含有量が上記範囲よりも過剰量であると、それ以上の防錆性能の向上は見込めず、また、上記範囲よりも過少量であると、十分な防錆効果が得られない場合がある。
(c)可塑剤
上記可塑剤は、アクリルポリマー架橋重合体内に分散され、接着剤の貯蔵弾性率を下げるものである。
詳しくは、上記可塑剤は、アクリルポリマー架橋重合体の間隙に入り込むことで、アクリルポリマー間距離を広げ、上記接着剤を軟質化する。そして、アクリルポリマー間距離が広がることにより、上記接着剤内で防錆剤が移動しやすくなり、金属面との接触割合が増加する。
上記可塑剤としては、公知の材料を用いることができるが、中でも極性を有し、且つ、アクリルポリマー架橋重合体や防錆剤と極性が近い可塑剤が好ましい。アクリルポリマー架橋重合体、および、防錆剤として好適であるベンゾトリアゾール化合物は、それぞれ極性を有することから、これらに対する可塑剤の相溶性を良好とすることができ、上記接着剤中での上記防錆剤の拡散移動を促進させることができるからである。
上記可塑剤は、上記の理由から極性基もしくは極性部分を有するものが好ましく、例えば、エステル化合物からなるエステル系可塑剤、塩素化合物からなる塩素化パラフィン系可塑剤、エポキシ化合物からなるエポキシ化大豆油系可塑剤等を用いることができる。中でも、エステル系可塑剤が好適である。アクリルポリマーに対する相溶性が良好だからである。
エステル系可塑剤として機能するエステル化合物は、従来公知の化合物を用いることができ、例えば、フタル酸ジエステル化合物、アジピン酸ジエステル化合物、ポリエステル化合物、リン酸エステル化合物、スルホン酸エステル化合物、トリメリット酸ジエステル化合物、クエン酸ジエステル化合物、テレフタル酸ジエステル化合物、安息香酸ジエステル化合物等が挙げられる。中でも本発明においては、上記可塑剤は、アジピン酸ジエステル化合物またはフタル酸ジエステル化合物であることが好ましい。これらの化合物は、アクリルポリマーに対する相溶性が良好だからである。
アジピン酸ジエステル化合物としては、具体的には、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジn−アルキルアジピン酸ビス(2−ブトキシエチル)、アジピン酸ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]等が挙げられる。
また、フタル酸ジエステル化合物としては、具体的は、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジイソノニル等が挙げられる。
上記接着剤中の上記可塑剤の含有量は、本発明の効果を発揮することが可能な量であることが好ましく、例えば、上記接着剤(固形分)100質量%中2質量%〜5質量%の範囲内が好ましく、中でも3質量%〜4.5質量%の範囲内が好ましく、特に3.5質量%〜4.0質量%の範囲内が好ましい。
上記接着剤中の可塑剤の含有量を上記範囲内とすることで、十分な防錆性能補助効果が得られるからである。一方、上記含有量が上記範囲よりも過剰量である場合、接着剤層の形状を保持できなくなるおそれがあり、上記範囲よりも過少量である場合、防錆性能補助効果が得られず金属が腐食し、視認性が低下する恐れがあるである。
(d)酸化防止剤
上記接着剤は酸化防止剤を含むことが好ましい。上記接着剤がさらに酸化防止剤を含むことで、酸化防止剤により酸化促進成分を補捉されるため、防錆剤による被膜形成前の上記金属面の酸化を抑制して防錆効果を高めることができるからである。また、上記接着剤がさらに酸化防止剤を含むことで、金属の酸化防止に加えて、接着剤自体の酸化を抑制することができるからである。
上記酸化防止剤としては、酸化促進成分を補捉することが可能であり、金属を不活性化する機能を有する酸化防止剤(以下、金属不活性化剤と称する。)が好適に用いられる。金属不活性化剤により金属面の金属を不活性化させることで、酸化促進成分の存在下であっても金属の腐食を抑制することができるからである。
金属不活性化剤としては、例えば、2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド等のヒドラジン化合物が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも、2’,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジドが好ましい。ヒドラジン構造に加えてヒンダードフェノール構造を有するため、金属面上での錯体形成による不活性化機能に加え酸化防止効果が得られるからである。
上記接着剤中の酸化防止剤の含有量は、上述した効果を発揮することが可能な量であれば特に限定されないが、例えば、上記接着剤(固形分)100質量%中0.1質量%〜2.0質量%の範囲内が好ましく、中でも0.2質量%〜1.0質量%の範囲内が好ましく、特に0.3質量%〜0.7質量%の範囲内が好ましい。
接着剤中の酸化防止剤の含有量を上記範囲内とすることで、十分な金属の酸化防止効果および接着剤自体の酸化防止効果が得られるからである。一方、上記含有量が上記範囲よりも過剰量であると、それ以上の酸化防止効果は見込めず、上記範囲よりも過少量であると、十分な酸化防止効果が得られない場合がある。
(e)添加剤
本発明における接着剤は、上述の組成の他、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、シランカップリング剤、接着付与剤、金属キレート剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、着色剤、耐電防止剤、防腐剤、消泡剤、ぬれ性調整剤等が挙げられ、各種適量含んでいてもよい。上記添加剤の含有量の総量としては、特に限定されないが、例えば、上記接着剤(固形分)100質量%中0.02質量%〜1質量%の範囲内とすることができる。
(f)その他
上記接着剤は、アクリルポリマー架橋重合体と、ベンゾトリアゾール化合物と、フタル酸エステルまたはアジピン酸ジエステルと、を含むことが好ましく、さらにヒドラジン化合物を含むことが好ましい。ベンゾトリアゾール化合物が防錆剤として機能し、上記のいずれかのエステル化合物が可塑剤として機能することで、上述した効果を奏することができるからである。また、ヒドラジン化合物が酸化防止剤として機能することで、酸化防止剤を含有することによる上述の効果を奏することができるからである。
上記接着剤は、アクリルポリマー、可塑剤、防錆剤、および可塑剤を含む接着剤組成物を用いて形成することができる。
上記接着剤組成物は、通常、溶剤を含み、上記溶剤を除去する際に、アクリルポリマーおよび可塑剤が架橋してアクリルポリマー架橋重合体が形成される。
(2)その他
上記接着剤層の厚みは、特に限定されず、本発明の複合部材の用途に応じて、適宜選択することができる。上記接着剤層の厚みは、例えば5μm〜100μmの範囲内とすることができ、好ましくは10μm〜50μmの範囲内である。上記接着剤層の厚みが上記範囲よりも小さいと、十分な接着強度が得られない場合がある。一方、上記範囲よりも大きいと、例えば本発明の複合部材を、表示装置等の高い光学特性が要求される用途に用いる場合に、光線透過率等に悪影響を及ぼす場合がある。
2.第1部材および第2部材
本発明における第1部材は、金属面を有する。
また、第2部材は、上記第1部材の上記金属面と対向する接着面を有する。
(1)第1部材
上記第1部材が有する金属面は、メッシュ状やパターン状に形成されている。このような金属面を有する部材としては、例えば、透明基材上に金属メッシュ層が形成された部材、透明基材上に金属パターン層が形成された部材等が挙げられる。
上記金属面を構成する金属としては、特に限定されず、部材の種類や本発明の複合部材の用途等に応じて選択することができ、例えば、銅、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウム、チタン、銀、金、インジウム、錫等の金属単体、これら2種以上からなる合金等が挙げられる。これらは、単独または2種以上を組み合わせてもよい。
中でも、上記金属が銅または銀であることが好ましい。これらの金属は腐食しやすいことから、上述の接着剤を用いることにより、腐食防止の顕著な効果を得ることができるからである。
上記金属面を担う金属メッシュ層や金属パターン層は、本発明の複合部材を用いた表示装置や入力装置において、センサ電極や外周配線等の金属配線として機能することができる。上記金属メッシュ層や金属パターン層には、黒化層や防錆層が設けられていてもよい。
上記金属メッシュ層や金属パターンの線幅、開口幅、開口率、および厚み等は、特に限定されず、部材に要求される光学特性や、上記金属メッシュ層の機能に応じて適宜設計することができる。
(2)第2部材
本発明における第2部材が有する接着面は、金属面であってもよく、金属面でなくてもよい。上記第2部材が接着面として金属面を有する場合、本発明における接着剤層は、上記第2部材の金属面の腐食も抑制することが可能となる。
第2部材が有する接着面が金属面である場合、上記金属面および金属面を有する部材としては、上述の「(1)第1部材」の項で説明した金属面および金属面を有する部材と同様とすることができる。
また、第2部材が有する接着面が金属面でない場合、金属面を有さない部材としては、特に限定されず、本発明の複合部材の用途に応じて適宜選択して用いることができる。本発明の複合部材を表示装置や入力装置に用いる場合、上記金属面を有さない部材としては、例えば、偏光板、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、導光板、反射フィルム、反射防止フィルム、ハードコートフィルム、意匠フィルム、装飾フィルム、表面保護板、プリズム、レンズ、カラーフィルター、ガラスセンサー、ガラス製表示パネル(LCD)等の透明基板、さらにはこれらの積層体等が挙げられる。
上記第2部材の厚さ等については、特に限定されず、第2部材の種類や要求される光学特性に応じて適宜選択することができる。
(3)その他
上記第1部材および第2部材(以下、総じて部材と称する場合がある。)は、通常、光透過性を有する光透過性部材である。本発明の複合部材は、高温多湿環境下で使用される場合であっても、接着剤層と接する金属面の腐食が抑制され、それに伴う金属面や接着剤層の変色や変質等が生じにくいことから、第1部材および第2部材を光透過性部材とすることで、表示装置や入力装置に好適に用いることができるからである。
上記部材が有する光透過性とは、可視領域(380nm〜780nm)における光透過率が80%以上であればよく、85%以上であることがより好ましい。光透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いてJIS Z8701に準拠した方法で測定することができる。なお、第1部材の光透過率は、金属面を有した状態での値である。
また、上記部材は、光透過性部材でなくてもよい。この場合であっても、上記接着剤層により金属面の腐食を抑制することが可能であるため、本発明の複合部材を、光透過性が要求されないが、高い電気特性が要求される用途に好適に用いることができるからである。
上記部材の形態は特に限定されず、例えば、シート状、フィルム状、板状等の各種形態を用いることができる。
3.その他
本発明の複合部材は、上述した第1部材、第2部材および接着剤層を少なくとも有していればよいが、他の任意部材を有していてもよい。
また、本発明の複合部材を光学部材として用いる場合、上記複合部材全体としての光学特性については、用途や選択される部材等に応じて適宜設定することができる。
本発明の複合部材は、部材同士の貼合に際し、部材の金属面と接着剤層との接触界面が生じる用途に好適に用いることができ、例えば、表示装置や入力装置に用いることができる。上記表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置、PDP(プラズマディスプレイパネル)、電子ペーパー等が挙げられる。また、上記入力装置としては、タッチパネルのセンサ部分等が挙げられる。
B.接着剤
本発明の接着剤は、以下の2つの態様に大別される。
1.第1態様
本態様の接着剤は、アクリルポリマー架橋重合体と、防錆剤と、可塑剤とを含むことを特徴とする。
本態様によれば、可塑剤を含有することで、上記アクリルポリマー架橋重合体が軟質化し、上記接着剤内を上記防錆剤が移動しやすくなる。これにより、本発明の接着剤が金属面と接する場合に、上記接着剤中の防錆剤と上記金属面との接触割合を増加させることができ、金属面上で被膜が形成されやすくなる。よって、本態様の接着剤は、高温多湿環境下において、金属面の腐食を防ぐことができる。
本態様の接着剤に含まれるアクリルポリマー架橋重合体、防錆剤、および可塑剤、ならびに各配合量等については、上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤」の項中の「(a)アクリルポリマー架橋重合体」、「(b)防錆剤」および「(c)可塑剤」の各項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本態様の接着剤は、酸化防止剤を含むことが好ましい。上記酸化防止剤により酸化促進成分を補捉することで、本態様の接着剤が金属面と接する場合に、防錆剤による被膜形成前の上記金属面の酸化を抑制して、防錆効果を高めることができるからである。また、上記酸化防止剤を含むことで、接着剤自体の酸化劣化を抑制することができるからである。上記酸化防止剤およびその配合量等については、上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤 (d)酸化防止剤」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本態様の接着剤は、必要に応じて上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤 (e)添加剤」の項で説明した添加剤を含んでいてもよい。
2.第2態様
本態様の接着剤は、アクリルポリマー架橋重合体と、ベンゾトリアゾール化合物と、フタル酸エステルまたはアジピン酸ジエステルと、を含むことを特徴とする。
本態様によれば、接着剤に含まれるベンゾトリアゾール化合物が防錆剤として機能し、上記のいずれかのエステル化合物が可塑剤として機能することから、上述した理由により、高温多湿環境下において本態様の接着剤と接する金属面の腐食を防ぐことができる。
本態様の接着剤に含まれるアクリルポリマー架橋重合体、ベンゾトリアゾール化合物、およびエステル化合物、ならびに各配合量等については、上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤」の項中の「(a)アクリルポリマー架橋重合体」、「(b)防錆剤」および「(c)可塑剤」の各項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本態様の接着剤は、ヒドラジン化合物を含むことが好ましい。ヒドラジン化合物が酸化防止剤として機能することから、上述の理由により、上記金属面上に被膜を形成する前の上記金属面の酸化を防止することができるからである。上記ヒドラジン化合物およびその配合量等については、上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤 (d)酸化防止剤」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本態様の接着剤は、必要に応じて添加剤を含んでいても良い。上記添加剤については上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤 (e)添加剤」の項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.その他
本発明の接着剤は、いずれの形態を有していてもよく、例えば、シート型、フィルム型、等が挙げられる。また、上記接着剤は、通常、感圧接着剤(粘着剤)とすることができる。
上記接着剤は、アクリルポリマー、架橋剤、防錆剤、および可塑剤を少なくとも含み、更に溶媒を加えて上記の各組成を分散させた接着剤組成物を調製し、上記接着剤組成物に含有される溶剤を除去することで得られる。溶媒の除去に際し、アクリルポリマーと架橋剤とが反応して、アクリルポリマー架橋重合体が形成される。接着剤組成物の調製方法については後述する。
C.接着シート
本発明の接着シートは、第1剥離層、第2剥離層、および上記第1剥離層と上記第2剥離層との間に配置された接着剤層を有し、上記接着剤層に用いられる接着剤が、アクリルポリマー架橋重合体、防錆剤、および可塑剤を含むことを特徴とする。
本発明の接着シートについて、図を参照して説明する。図3は本発明の接着シートの一例を示す概略断面図である。本発明の接着シート20は、第1剥離層11A、第2剥離層11B、および第1剥離層11Aと第2剥離層11Bとの間に配置された接着剤層3を有し、接着剤層3に用いられる接着剤が所定の組成を含む。
本発明によれば、上記接着剤が上記可塑剤を含むことにより、上記アクリルポリマー架橋重合体が軟質化し、上記接着剤内を上記防錆剤が移動しやすくなる。これにより、本発明の接着シートを部材の金属面に貼合する際に、上記金属面と上記接着剤層中の防錆剤との接触割合を増加させることができ、上記金属面上に被膜が形成されやすくなる。よって、本発明の接着シートは、高温多湿環境下において、被着面となる金属面の腐食を防ぐことができる。
本発明における接着剤層については、上述の「A.複合部材 1.接着剤層」の項で説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
中でも、上記接着剤層は酸化防止剤を含むことが好ましい。その理由については上記の項で説明した理由と同様である。
本発明における第1剥離層および第2剥離層(以下、総じて剥離層と称する場合がある。)としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂等の樹脂シート、上質紙、リンター紙、硫酸紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙の表面にシリコン樹脂等の離型剤を塗工したものが用いられる。
第1剥離層および第2剥離層は、剥離強度が同一であってもよく、剥離強度が異なってもよい。例えば、第1剥離層および第2剥離層のうち一方を、剥離強度の大きい重剥離層とし、他方を剥離強度の小さい軽剥離層とすることができる。これにより、本発明の接着シートを用いて2つの部材を貼合する際に、まず軽剥離層を剥離して露出した接着剤層を所望の部材に貼付し、その後、重剥離層を剥離して露出した接着剤層上に他の部材を貼付することができる。
本発明の接着シートは、従来公知の方法を用いて製造することができ、例えば、アクリルポリマー、架橋剤、防錆剤、および可塑剤を少なくとも含み、さらに溶媒を加えた接着剤組成物を第1剥離層の片面に塗布し、上記溶媒を除去して接着剤層を形成後、上記接着剤層上に第2剥離層を配置して得ることができる。溶媒の除去に際し、アクリルポリマーと架橋剤とが反応して、アクリルポリマー架橋重合体が形成されるため、上記接着剤層中には、アクリルポリマー架橋重合体が含まれる。
D.接着剤組成物
本発明の接着剤組成物は、アクリルポリマー、架橋剤、防錆剤、および可塑剤を含む。
本発明によれば、接着剤組成物が上記の組成を有することで、アクリルポリマーと架橋剤とが反応したアクリルポリマー架橋重合体を含む接着剤を得ることができる。そして上記接着剤組成物により得られる接着剤は、可塑剤により上記アクリルポリマー架橋重合体が軟質化し、上記接着剤内を上記防錆剤が移動しやすくなる。これにより、上記接着剤中の防錆剤と、上記接着剤と接する金属面との接触割合を増加させることができ、上記金属面上で被膜が形成されやすくなる。よって、本発明の接着剤組成物は、高温多湿環境下において、被着体の金属面の腐食を防ぐことが可能な接着剤を得ることができる。
本発明の接着剤組成物に含まれるアクリルポリマー、架橋剤、防錆剤、および可塑剤については、上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤」の項中の「(a)アクリルポリマー架橋重合体」、「(b)防錆剤」および「(c)可塑剤」の各項で説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
上記接着剤組成物の固形分100質量%中のアクリルポリマーおよび架橋剤の含有量は、記「(a)アクリルポリマー架橋重合体」の項で説明した、上記接着剤組成物の固形分100質量%中のアクリルポリマー架橋重合体の含有量と同様とすることができる。また、このとき、上記架橋剤は、上記「(a)アクリルポリマー架橋重合体」の項で規定した、アクリルポリマー(固形分)100質量部に対する架橋剤の含有量と同量を含むことができる。
上記接着剤組成物の固形分100質量%中の防錆剤および可塑剤の含有量は、上記各項で規定した接着剤(固形分)中の上記防錆剤および可塑剤の含有量と同様である。
上記接着剤組成物中の各組成の含有量を上記の範囲とする理由については、「A.複合部材 1.接着剤層」の項で説明した理由と同様である。
上記接着剤組成物は、アクリルポリマー、架橋剤、防錆剤、および可塑剤に加え、さらに酸化防止剤を含むことが好ましい。その理由および具体的な酸化防止剤については、上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤 (d)酸化防止剤」の項で説明したため、ここでの説明は省略する。また、上記接着剤組成物の固形分100質量%中の上記酸化防止剤の含有量は、上記各項で規定した接着剤(固形分)100質量%中の酸化防止剤の含有量と同様である。
本発明の接着剤組成物は、上述の組成の他、上述の「A.複合部材 1.接着剤層 (1)接着剤 (e)添加剤」の項で説明した添加剤を含んでいてもよい。上記接着剤組成物の固形分100質量%中の上記添加剤の含有量は、上記項で規定した接着剤(固形分)100質量%中の含有量と同様である。
本発明の接着剤組成物は、通常、溶媒を含む。溶媒としては特に限定されず、一般にアクリルポリマーを含む接着剤組成物に用いられる従来公知の有機溶媒を用いることができる。
接着剤組成物中の溶媒の含有量は、その接着剤組成物の塗工性等の観点から固形分量との比率に応じて適宜選択して調整することができる。
本発明の接着剤組成物中の固形分量としては、例えば、20質量%〜70質量%の範囲内が好ましく、中でも35質量%〜55質量%の範囲内が好ましい。上記固形分量が少なすぎると、十分に乾燥できず残量溶剤量が多くなり、接着力などの物性が低下するおそれがあり、一方、上記固形分量が多すぎると、粘度が高くなり、塗工に適さない場合がある。
本発明の接着剤組成物は、上記した各成分を混合し、必要に応じて混連、分散して調製することができる。混合ないし分散方法は、従来公知の方法を用いることができる。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。
[材料および部材]
実施例および比較例中の各材料および部材の詳細は、下記の通りである。
(1)アクリルポリマー
・アクリル系酸性基フリー粘着剤(商品名:SKダイン2980、綜研化学製、固形分量37.5質量%)
・アクリル系酸性基含有粘着剤(商品名:SKダイン2094、綜研化学製、固形分量20.0質量%)
(2)架橋剤(商品名:Y−75(イソシアネートHDI系硬化剤)、綜研化学製)
(3)シランカップリング剤(商品名:A100、綜研化学製)
(4)防錆剤
・防錆剤A(1,2,3−ベンゾトリアゾール、商品名:BT−120、城北化学製)
・防錆剤B(5−メチルベンゾトリアゾール、商品名:5M−BTA、城北化学製)
(5)可塑剤
・可塑剤A(アジピン酸ジエステル化合物、商品名:DOA、ジェイ・プラス製)
・可塑剤B(フタル酸ジエステル化合物、商品名:DOP、ジェイ・プラス製)
(6)酸化防止剤(商品名:IRGANOX MD1024、BASFジャパン製)
(7)セパレータ
・PETセパレータA(商品名:E7004、東洋紡製、膜厚50μm)
・PETセパレータB(商品名:E7006、東洋紡製、膜厚38μm)
[製造例]
(銅メッシュフィルムの作製)
以下の方法で、図2に示す銅メッシュフィルム30を作製した。
金属箔には、銅、コバルト、クロム及びニッケルの合金粒子からなる黒化層24が電解メッキによって両面に形成された厚さ10μmのフィルム上の電解銅箔23を用いた。この電解銅箔23を、ポリエステル樹脂系のプライマー層22が両面に形成された基材21上に、主剤(平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール)12質量部と、硬化剤(キシリレンジイソシアネート系プレポリマー)1質量部とからなる透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤を乾燥後の厚みが2μmとなるよう塗工し、ラミネートした。
続いて、基材21のもう一方の面に上記と同様の方法にて電解銅箔23をラミネートした後、50℃、3日間養生し、電解銅箔両面ラミネートフィルムを得た。
なお、基材21には、厚み100μmの無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(コスモシャインA4300東洋紡製)を用いた。
次に、上記銅箔両面ラミネートフィルムの両面の黒化層24および電解銅箔23をフォトリソグラフィー法によりエッチングし、開口部及びライン部からなるメッシュ形状を有する銅メッシュフィルム30を得た。詳細には、黒化層24全面に感光性のエッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングし、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い様なパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、黒化層24および電解銅箔23をエッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行うことにより、銅メッシュ層25を形成した。銅メッシュ層25の銅メッシュは、平均線幅15μm、平均厚み8.6μm、平均開口幅300μm、平均開口率95%であった。
[実施例1]
(接着シートの作製)
アクリル系酸性基フリー粘着剤100重量部に対して、架橋剤を0.2重量部と、シランカップリング剤を0.02重量部と、防錆剤Aを0.19重量部と、可塑剤Aを1.5重量部と、酸化防止剤を0.19重量部とを配合して接着剤組成物溶液を調製した。
上記接着剤溶液をPETセパレータAの剥離処理面上に、乾燥後の厚みが50μmとなるように塗工し、乾燥して、アクリルポリマー架橋重合体と、防錆剤と、可塑剤とを含む接着剤からなる接着剤層を形成した。
その後、上記接着剤層上にPETセパレータBをラミネートして、接着シートを得た。
(評価用サンプルの作製)
次に、得られた接着シートを25mm×60mmのサイズに2枚切断し、それぞれのPETセパレータBを剥離して、接着剤層の露出面を上記の銅メッシュフィルムの両面に貼付した。その後、一方の接着シートのPETセパレータAを剥離してスライドガラスに貼付した。これにより、スライドガラス/第1接着剤層/銅メッシュフィルム/第2接着剤層/PETセパレータAの層構成を有する評価用サンプルを得た。なお、銅メッシュフィルムは、第1部材であり、銅メッシュ層と第2接着層とが接するように配置した。
[実施例2]
可塑剤Aにかえて可塑剤Bを1.5重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[実施例3]
防錆剤Aにかえて防錆剤Bを0.19重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[実施例4]
可塑剤Aにかえて可塑剤Bを1.5重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例3と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[実施例5]
酸化防止剤を配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[実施例6]
酸化防止剤を配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例2と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[実施例7]
酸化防止剤を配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例3と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[実施例8]
酸化防止剤を配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例4と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例1]
可塑剤Aを配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例2]
防錆剤Aにかえて防錆剤Bを0.19重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例5と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例3]
酸化防止剤を配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例4]
酸化防止剤を配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例2と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例5]
防錆剤Aを配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例6]
防錆剤Aを配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例5と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例7]
防錆剤Aを配合せずに接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例6と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例8]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例9]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例2と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例10]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例3と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例11]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例4と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例12]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例5と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例13]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例6と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例14]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例7と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例15]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、実施例8と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例16]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例1と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例17]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例2と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例18]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例3と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例19]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例4と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例20]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例5と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例21]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例6と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[比較例22]
アクリル系酸性基フリー粘着剤にかえてアクリル系酸性基含有粘着剤を100重量部配合して、接着剤組成物を調製したこと以外は、比較例7と同様の方法で接着シートおよび評価用サンプルを得た。
[評価]
実施例1〜8および比較例1〜22で得られた評価用サンプルについて、初期および温度85℃、湿度85%RH環境下で1000時間保管後の、第2接着剤側からの黄色味b[-]を分光色差計(製品名:SE6000、日本電色工業製)にて測定(光源:C光源、光進入角:2°、照明・受光条件:透過、JIS−8729準拠法)した。また、温度60℃湿度90%RH環境下で1000時間保管後の黄色味b[-]も同様に測定した。
測定は、評価用サンプルの第2接着剤層の片面に配置されたPETセパレータを剥離して行った。初期および耐熱性試験後のb値がともに2.0以下を○、2.0超を×として判定した。結果を表1に示す。
1 … 第1部材
M … 金属面
2 … 第2部材
3 … 接着剤層
10 … 複合部材
11A … 第1剥離層
11B … 第2剥離層
20 … 接着シート

Claims (8)

  1. 金属面を有する第1部材、
    前記第1部材の前記金属面と対向する接着面を有する第2部材、
    および前記第1部材の前記金属面と前記第2部材の前記接着面との間に配置された接着剤層
    を有する複合部材であって、
    前記接着剤層に用いられる接着剤は、温度85℃、湿度85%RHの環境下で、銅メッシュ表面に前記接着剤を積層させた状態で1000時間保管処理を行った場合、保管前および保管後の前記接着剤側からのL表色系のb値が、それぞれ2.0以下となるものであることを特徴とする複合部材。
  2. 前記接着剤が、アクリルポリマー架橋重合体と、防錆剤と、可塑剤とを含むことを特徴とする請求項1に記載の複合部材。
  3. 前記接着剤が酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項2に記載の複合部材。
  4. アクリルポリマー架橋重合体と、防錆剤と、可塑剤とを含むことを特徴とする接着剤。
  5. 酸化防止剤を含むことを特徴とする請求項4に記載の接着剤。
  6. アクリルポリマー架橋重合体と、ベンゾトリアゾール化合物と、フタル酸エステルまたはアジピン酸ジエステルと、を含むことを特徴とする接着剤。
  7. ヒドラジン化合物を含むことを特徴とする請求項6に記載の接着剤。
  8. 第1剥離層、第2剥離層、および前記第1剥離層と前記第2剥離層との間に配置された接着剤層を有し、
    前記接着剤層に用いられる接着剤が、アクリルポリマー架橋重合体、防錆剤、および可塑剤を含むことを特徴とする接着シート。
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JP2021102674A (ja) * 2019-12-25 2021-07-15 東洋インキScホールディングス株式会社 粘着剤および粘着シート
JP2021123655A (ja) * 2020-02-05 2021-08-30 高圧ガス工業株式会社 一液型アクリル系接着剤

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