JP2011116799A - 金属貼付用粘着シート - Google Patents
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Abstract
【課題】金属部材に長時間貼付しても、粘着剤に起因する金属部材の変質が生じ難く、且つ金属部材に起因する粘着剤の変色や変質が生じ難い、耐久性に優れた金属貼付用粘着シートを提供すること。
【解決手段】本発明の金属貼付用粘着シートは、透明基材上に、アクリル系粘着剤、架橋剤、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する粘着剤層が形成されている。また、本発明のプラズマディスプレイパネル用光学フィルムは、本発明の金属貼付用粘着シートの粘着剤層面と、電磁波シールドの金属面とが貼り合わされている。
【選択図】図1
【解決手段】本発明の金属貼付用粘着シートは、透明基材上に、アクリル系粘着剤、架橋剤、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する粘着剤層が形成されている。また、本発明のプラズマディスプレイパネル用光学フィルムは、本発明の金属貼付用粘着シートの粘着剤層面と、電磁波シールドの金属面とが貼り合わされている。
【選択図】図1
Description
本発明は、金属部材に長時間貼付しても、粘着剤に起因する金属部材の変質が生じ難く、且つ金属部材に起因する粘着剤の変色や変質が生じ難い、耐久性に優れた金属貼付用粘着シートに関する。
近年、大型テレビ等の種々の電子機器の表示パネルとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する。)の需要が増大している。PDPでは、電磁波の漏洩を防止するために、電磁波シールドが用いられている。一般に、電磁波シールドは、粘着剤層を介してPDPの前面に貼付される。
しかしながら、電磁波シールドの金属面と粘着剤層とが接すると、電磁波シールド由来の金属イオンと粘着剤層を構成する有機材料とが反応し、粘着剤層が変色したり、変質したりすることがあった。また、粘着剤層由来の酸成分と電磁波シールドの金属とが反応し、金属が変質することがあった。したがって、電磁波シールドの貼付の際に用いられる粘着剤には、金属によって変質せず、且つ金属を変質させない特性が求められる。
これまで、金属を腐食させない特性を有する粘着剤としては、特定の組成のアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系感圧性粘着剤が報告されている(特許文献1参照)。ここでは、高湿環境下に曝しても、銅箔を腐食させない粘着剤が提案されているが、金属によって変質しない特性については、何ら記載されていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、金属部材に長時間貼付しても、粘着剤に起因する金属部材の変質が生じ難く、且つ金属部材に起因する粘着剤の変色や変質が生じ難い、耐久性に優れた金属貼付用粘着シートを提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねたところ、粘着剤の材料として、アクリル系粘着剤と、ある特定のベンゾトリアゾール化合物とを選択することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
これまで、ベンゾトリアゾール化合物については、アクリル樹脂及び近赤外線吸収色素とともに粘着剤層に含有させることで、該粘着剤層と金属部材との接触により生じる近赤外線吸収色素の劣化を抑制できることが知られている(特許文献2参照)が、近赤外線吸収色素を含まない粘着剤自体の変色や変質を抑制し、長期にわたって、可視領域での光透過性を維持できるとする報告はない。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1)透明基材上に、アクリル系粘着剤、架橋剤、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する粘着剤層が形成されていることを特徴とする金属貼付用粘着シート。
(2)上記粘着剤層と、金属面とを貼り合わせた場合において、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで3.3%以下であり、且つ温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで4.2%以下である(1)に記載の金属貼付用粘着シート。
(3)上記粘着剤層と、金属面とを貼り合わせた場合において、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.002であって、Δy<0.002であり、且つ温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.002であって、Δy<0.002である(1)又は(2)に記載の金属貼付用粘着シート。
(4)(1)〜(3)いずれかに記載の粘着シートの粘着剤層面と、電磁波シールドの金属面とが貼り合わされているプラズマディスプレイパネル用光学フィルム。
(5)(4)に記載の光学フィルムが、プラズマディスプレイパネルの画像表示ガラス板前面に配置されているプラズマディスプレイ。
本発明の金属貼付用粘着シートは、粘着剤層面が金属部材の金属面と接するように貼付しても、粘着剤に起因する金属部材の変質が生じ難く、また、金属部材に起因する粘着剤の変色や変質が生じ難い。更に、本発明の金属貼付用粘着シートは、耐久性に優れ、高温下や高湿下で長時間使用しても、安定した光学特性を保つことができる。
以下、本発明の具体的な実施形態について、詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本発明の金属貼付用粘着シート(以下、粘着シートという。)は、透明基材上に、アクリル系粘着剤、架橋剤、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する粘着剤層が形成されていることを特徴とする。以下、基材、粘着剤層、粘着シートの順に説明する。
[基材]
本発明の粘着シートでは、基材は、透明であることを特徴とする。ここで、透明とは、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよいが、可視領域(380〜780nm)における光透過率が80%以上でなければならない。基材の光透過性は高いほどよく、可視域における光透過率が85%以上であることが好ましい。なお、光透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。
本発明の粘着シートでは、基材は、透明であることを特徴とする。ここで、透明とは、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよいが、可視領域(380〜780nm)における光透過率が80%以上でなければならない。基材の光透過性は高いほどよく、可視域における光透過率が85%以上であることが好ましい。なお、光透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。
基材は、上記のような光透過性、必要な強度、及び柔軟性を有していれば、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。一般的には、合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド系樹脂、フェノール系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、単層であってもよいし、2層以上の積層体であってもよい。機械的強度の観点から、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが好ましい。なお、本発明では、上記合成樹脂の中でも、透明性、耐熱性、寸法安定性、剛性、柔軟性、積層適性、価格等の観点から、ポリエステル系樹脂を用いることが特に好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等が挙げられるが、この中でも、取り扱い易さ、低価格等の観点から、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
基材の厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。通常、12〜188μm程度であるが、好ましくは25〜188μmである。上記範囲であれば、機械的強度が十分であり、反り、弛み、破断等を生じ難く、作業性が良好であり、また、連続帯状で供給して加工することも可能である。なお、上記の厚さを超えると、過剰性能でコスト高になる場合がある。
基材の形成方法は、特に限定されず、例えば、溶液流延法、溶融押出法、カレンダー法等の従来公知の製膜方法を用いることができる。また、上記方法によりあらかじめフィルム状に製膜された市販の基材を使用してもよい。
なお、基材には、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等の公知の易接着処理を行ってもよい。
[粘着剤層]
本発明の粘着シートでは、粘着剤層は、アクリル系粘着剤、架橋剤、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する。アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、透明性、塗工適性等に優れ、また、低コストである点において好ましい。
本発明の粘着シートでは、粘着剤層は、アクリル系粘着剤、架橋剤、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する。アクリル系粘着剤は、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、透明性、塗工適性等に優れ、また、低コストである点において好ましい。
アクリル系粘着剤は、特に限定されず、例えば、アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記アクリル酸エステルの中でも、アクリル酸−n−ブチル及びアクリル酸−2−エチルヘキシルが、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、透明性に優れる点において好ましい。他の単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリル酸ヒドロキシルエチル、メタクリル酸ヒドロキシルエチル、アクリル酸プロピレングリコール、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸−tert−ブチルアミノエチル、メタクリル酸−n−エチルヘキシル等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、上記他の単量体の中でも、メタクリル酸−n−エチルヘキシルが好ましい。
アクリル系粘着剤として用いられるアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量(Mw)は、上記アクリル系粘着剤が所望の粘着力を発揮するものであれば、特に限定されないが、300,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましく、300,000〜800,000の範囲内であることがより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算の値である。
なお、上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、SKダイン2094(綜研化学株式会社製)、SKダイン1811L(綜研化学株式会社製)、SKダイン1442(綜研化学株式会社製)等を好適に用いることができる。
本発明の粘着シートにおいて、架橋剤は、上記アクリル系粘着剤を架橋できるものであれば、特に限定されず、例えば、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤等が挙げられる。エポキシ系架橋剤としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ系化合物が挙げられる。また、イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ポリイソシアネート化合物の3量体、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物とを反応させて得られるイソシアネート基を末端に有するウレタンプレポリマー、該ウレタンプレポリマーの3量体等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,5−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4′−ジイソシアネート、リジンイソシアネート等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができ、粘着剤の種類等に応じて、適宜選択するとよい。なお、本発明では、イソシアネート系架橋剤の場合には、粘着剤層を黄変させない種類のものを選択することが好ましい。
なお、上記エポキシ系架橋剤の市販品としては、例えば、E−5XM(綜研化学株式会社製)、E−5C(綜研化学株式会社製)等を好適に用いることができる。また、上記イソシアネート系架橋剤の市販品としては、例えば、TD75(綜研化学株式会社製)、BXX5627(東洋インキ製造株式会社製)、X−301−422SK(サイデン化学株式会社製)等を好適に用いることができる。
上記架橋剤の配合量は、粘着剤固形分100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましい。上記範囲であれば、好適な架橋密度が得られ、適度な弾性と粘着強度とを有する粘着剤層を形成することができる。また、過剰な架橋剤が生じないので、架橋剤同士の結合に由来する可撓性の低下を引き起こすおそれがない。
本発明の粘着シートでは、粘着剤層は、1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有することを特徴とする。本発明では、粘着剤の材料として、1,2,3−ベンゾトリアゾールを選択することで、金属部材に長時間貼付しても、粘着剤に起因する金属部材の変質が生じ難く、且つ金属部材に起因する粘着剤の変色や変質が生じ難くなる。すなわち、ベンゾトリアゾール化合物であればよいというわけではない。1,2,3−ベンゾトリアゾールは、上記アクリル系粘着剤及び上記架橋剤との相溶性が低く、直接、添加しても、沈殿等を生じ、良好に溶解・分散しない。そのため、粘着剤層形成用塗工液を調製する際には、あらかじめ、1,2,3−ベンゾトリアゾールを、該1,2,3−ベンゾトリアゾールに対する良溶媒に溶解・分散した後、上記アクリル系粘着剤及び上記架橋剤と混合する必要がある。なお、良溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルイソブチルケトン、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒等を好適に用いることができる。
1,2,3−ベンゾトリアゾールの市販品としては、例えば、1,2,3−ベンゾトリアゾール(東京化成工業株式会社製)の商品名で市販されているものを好適に用いることができる。
1,2,3−ベンゾトリアゾールの配合量は、粘着剤固形分100質量部に対して、0.3〜3質量部であることが好ましく、0.3〜2質量部であることがより好ましく、0.5〜2質量部が更により好ましい。上記範囲であれば、金属面から粘着剤層面への金属イオンの供給が増大する高温・高湿条件下においても、光学特性が劣化し難い。
その他、本発明の目的を損なわない範囲で必要に応じて、シランカップリング剤、粘着付与剤、金属キレート剤、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、着色剤、耐電防止剤、防腐剤、消泡剤、ぬれ性調整剤等の各種添加剤を配合することができる。
なお、本発明の粘着シートにおいて、粘着剤層に配合することができるシランカップリング剤は、特に限定されないが、分子内にアルコキシシリル基を少なくとも1つ以上有する有機ケイ素化合物であって、上記粘着剤との相溶性が良好であるものが好適である。例えば、テトラエトキシシラン、トリメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、アミノシラン、クロロシラン、ジクロロシラン等が挙げられ、被貼付体面の性質、粘着剤の種類等を勘案し、適宜選択することができる。なお、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。シランカップリング剤の配合量は、粘着剤固形分100質量部に対して、0.01〜1.5質量部であることが好ましく、0.1〜1.2質量部であることがより好ましい。上記範囲であれば、粘着剤層に良好な接着性、密着性、耐熱性、耐湿熱性、耐久性、作業性を付与することができる。
粘着剤層の厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。通常、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。上記範囲であれば、粘着物性が安定する。なお、厚みが5μm未満であると、十分な接着強度が得られない場合があり、100μmを超えると、光線透過率等の光学特性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明の粘着シートの貼付対象である金属は、特に限定されず、例えば、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、銀、金等の金属単体、これら2種以上からなる合金等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせたものであってもよい。具体的な被貼付対象としては、少なくとも部分的に金属面を有する窓材、金属箔から形成された導電性メッシュ、メッキ法により形成された導電性メッシュ等が挙げられる。
本発明の粘着シートでは、上記粘着剤層面と、上記金属面とを貼り合わせた場合において、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで3.3%以下であり、且つ温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで4.2%以下であることが好ましい。より好ましくは、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで3.0%以下であり、且つ温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで3.5%以下である。高温・高湿条件下では、金属面から粘着剤層面への金属イオンの供給が増大する。この金属イオンと、粘着剤材料とが錯体を形成することで、可視領域での光透過率が低下すると考えられる。なお、この可視領域での光透過率の低下には、粘着剤層由来の酸成分による金属の酸化も関係するものと考えられる。しかしながら、本発明の粘着シートによれば、高温・高湿条件下で、金属部材に長期間貼付しても、可視領域での光透過率が変化し難い。なお、本発明における光透過率(T)は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。
上記光透過率変化(ΔT)は、次式により算出する。
光透過率変化(ΔT)=|Tint(W)−Tend(W)|
光透過率変化(ΔT)=|Tint(W)−Tend(W)|
ここで、Tint(W)は、耐熱試験前又は耐湿熱試験前の波長Wでの光透過率、Tend(W)は、耐熱性試験後又は耐湿熱性試験後の波長Wでの光透過率を表す。
また、本発明の粘着シートでは、上記粘着剤層と、金属面とを貼り合わせた場合において、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.002であって、Δy<0.002であり、且つ温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.002であって、Δy<0.002であることが好ましい。より好ましくは、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.0015であって、Δy<0.0015であり、且つ温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.0015であって、Δy<0.0015である。上述のように、高温・高湿条件下では、金属面から粘着剤層面への金属イオンの供給が増大する。この金属イオンと、粘着剤材料とが錯体を形成することで、粘着剤層が変色すると考えられる。なお、この粘着剤層の変色には、粘着剤層由来の酸成分による金属の酸化も関係するものと考えられる。しかしながら、本発明の粘着シートによれば、高温・高湿条件下で、金属部材に長期間貼付しても、色度が変化し難い。なお、本発明における色度(x,y)は、市販の分光色彩計、例えば、日本電色工業株式会社製のSD 5000を用いて測定(JIS−Z8722準拠)することができる。
上記色度変化(Δx、Δy)は次式により算出する。
色度変化(Δx)=|xint−xend|
色度変化(Δy)=|yint−yend|
色度変化(Δx)=|xint−xend|
色度変化(Δy)=|yint−yend|
ここで、xint及びyintは、耐熱試験前又は耐湿熱試験前の透過光の色度、xend及びyendは、耐熱性試験後又は耐湿熱性試験後の透過光の色度を表す。
本発明の粘着シートの製造方法は、粘着剤層形成用塗工液の調製以外の点においては、特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。一般に、粘着剤層形成用塗工液の調製では、粘着剤の材料は、全てを一度に混合し、必要に応じて、溶媒で希釈し、分散させる。しかしながら、上述のように、1,2,3−ベンゾトリアゾールは、上記アクリル系粘着剤及び架橋剤との相溶性が低く、直接、添加しても、沈殿、凝集等を生じ、良好に溶解・分散しない。そこで、まず、1,2,3−ベンゾトリアゾールを、該1,2,3−ベンゾトリアゾールに対する良溶媒、例えば、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(質量比1:1)に、十分に溶解・分散させ、1,2,3−ベンゾトリアゾール溶液を調製する。次に、上記アクリル系粘着剤に上記架橋剤を配合し、トルエン等の溶媒で希釈し、十分に分散させた後、上記1,2,3−ベンゾトリアゾール溶液を添加し、更に分散させることにより、塗工液を得る。そして、基材上に、上記塗工液をアプリケータ等により全面塗工し、粘着剤層を形成する。その後、乾燥させ、剥離シートをラミネートすることにより、本発明の粘着シートを形成することができる。
本発明の粘着シートの厚みは、特に限定されないが、17〜350μmであることが好ましく、35〜238μmであることがより好ましい。上記範囲であれば、適度な柔軟性を有するので、取り扱いが容易となる。
本発明の粘着シートは、電磁波シールドの金属面、すなわち、導電性メッシュ層面に貼り合わせることにより、プラズマディスプレイパネル用光学フィルムとして好適に用いることができる。本発明の粘着シートは、高熱・高湿条件下において長期間使用しても、紫外線領域や可視領域の光透過率変化や色度変化が少なく、安定した光学特性を保つので、光学フィルムとして好適に用いることができる。また、本発明の粘着シートによれば、導電性メッシュ層の金属を変質し難いので、ディスプレイから放射される電磁波を安定に遮蔽することができる。したがって、上記光学フィルムを画像表示ガラス板前面に配置したプラズマディスプレイパネルでは、ディスプレイから発せられる色調や電磁波遮蔽効果が変わらない。なお、本発明の粘着シートをプラズマディスプレイパネルの画像表示ガラス板前面に貼り付ける方法としては、特に限定されないが、通常、圧着方式が用いられる。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの記載に何ら制限を受けるものではない。
<製造例1>
銅、コバルト、クロム、及びニッケルの合金粒子からなる黒化層が電解メッキ形成された、厚さ10μmの連続帯状の電解銅箔の両面に、亜鉛メッキを施した後、ディッピング法にて公知のクロメート処理を行い、表裏両面に防錆層を形成した。次いで、この銅箔を、黒化層面側であって、且つ、透明樹脂基材プライマー層上に、主剤(平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール)12質量部と、硬化剤(キシレンジイソシアネート系プレポリマー)1質量部とからなる透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤でドライラミネートした後、50℃、3日間養生し、銅箔(防錆層)と透明樹脂基材との間に、厚さ7μmの透明接着剤層を有する連続帯状の電磁波遮蔽層を形成した。なお、基材には、一方の面上にポリエステル樹脂系プライマー層を形成した厚さ100μmの、連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
銅、コバルト、クロム、及びニッケルの合金粒子からなる黒化層が電解メッキ形成された、厚さ10μmの連続帯状の電解銅箔の両面に、亜鉛メッキを施した後、ディッピング法にて公知のクロメート処理を行い、表裏両面に防錆層を形成した。次いで、この銅箔を、黒化層面側であって、且つ、透明樹脂基材プライマー層上に、主剤(平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール)12質量部と、硬化剤(キシレンジイソシアネート系プレポリマー)1質量部とからなる透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤でドライラミネートした後、50℃、3日間養生し、銅箔(防錆層)と透明樹脂基材との間に、厚さ7μmの透明接着剤層を有する連続帯状の電磁波遮蔽層を形成した。なお、基材には、一方の面上にポリエステル樹脂系プライマー層を形成した厚さ100μmの、連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。
そして、上記連続帯状の電磁波遮蔽層の、防錆層を形成させた銅箔、黒化層をフォトリソグラフィー法によりエッチングし、開口部及びライン部からなるメッシュ状領域と、メッシュ状領域の4周を囲繞する外縁部に額縁状のメッシュ非形成の接地用領域とを有する導電性メッシュ層を形成した。なお、エッチングは、防錆層を形成させた銅箔全面に感光性のエッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングし、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い様なパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、導電体層及び黒化層を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
<実施例1>
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2094,固形分:25%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を0.27質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させた。これに、上記アクリル系粘着剤100質量部に対して0.125質量部の防錆剤(1,2,3−ベンゾトリアゾール,商品名:1,2,3−ベンゾトリアゾール,固形分:100%,東京化成工業株式会社製)を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(質量比1:1)に溶解・分散させた溶液(1,2,3−ベンゾトリアゾール:トルエン:MEK=1:4.5:4.5)を添加し、更に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2094,固形分:25%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を0.27質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させた。これに、上記アクリル系粘着剤100質量部に対して0.125質量部の防錆剤(1,2,3−ベンゾトリアゾール,商品名:1,2,3−ベンゾトリアゾール,固形分:100%,東京化成工業株式会社製)を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(質量比1:1)に溶解・分散させた溶液(1,2,3−ベンゾトリアゾール:トルエン:MEK=1:4.5:4.5)を添加し、更に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
そして、基材(PETフィルム,商品名:コスモシャインA4100,膜厚:100μm,全光線透過率:92%,東洋紡社製)の易接着面側上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、上記粘着剤層形成用塗工液をアプリケータにより全面塗工し、粘着剤層を形成した。その後、乾燥させ、剥離シート(PETセパレーター,商品名:セラピールMFA,膜厚:38μm,東レフィルム加工社製)をラミネートし、実施例1の粘着シートを得た。
<実施例2>
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン1811L,固形分:23%,綜研化学社製)100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名:TD75,固形分:75%,綜研化学社製)を0.2質量部、及びシランカップリング剤(商品名:A50,固形分:50%,綜研化学社製)を0.09質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させた。これに、上記アクリル系粘着剤100質量部に対して0.12質量部の防錆剤(1,2,3−ベンゾトリアゾール,商品名:1,2,3−ベンゾトリアゾール,固形分:100%,東京化成工業株式会社製)を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(質量比1:1)に溶解・分散させた溶液(質量比:1,2,3−ベンゾトリアゾール/トルエン/MEK=1/4.5/4.5)を添加し、更に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン1811L,固形分:23%,綜研化学社製)100質量部に対して、イソシアネート系架橋剤(商品名:TD75,固形分:75%,綜研化学社製)を0.2質量部、及びシランカップリング剤(商品名:A50,固形分:50%,綜研化学社製)を0.09質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させた。これに、上記アクリル系粘着剤100質量部に対して0.12質量部の防錆剤(1,2,3−ベンゾトリアゾール,商品名:1,2,3−ベンゾトリアゾール,固形分:100%,東京化成工業株式会社製)を、トルエンとメチルエチルケトンの混合溶媒(質量比1:1)に溶解・分散させた溶液(質量比:1,2,3−ベンゾトリアゾール/トルエン/MEK=1/4.5/4.5)を添加し、更に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
そして、基材(PETフィルム,商品名:コスモシャインA4100,膜厚:100μm,全光線透過率:92%,東洋紡社製)の易接着面側上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、上記粘着剤層形成用塗工液をアプリケータにより全面塗工し、粘着剤層を形成した。その後、乾燥させ、剥離シート(PETセパレーター,商品名:セラピールMFA,膜厚:38μm,東レフィルム加工社製)をラミネートし、実施例2の粘着シートを得た。
<比較例1>
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2094,固形分:25%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を0.27質量部、防錆剤(商品名:IRGANOX MD1024,固形分:100%,チバ・ジャパン株式会社製)を0.125質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2094,固形分:25%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を0.27質量部、防錆剤(商品名:IRGANOX MD1024,固形分:100%,チバ・ジャパン株式会社製)を0.125質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
そして、基材(PETフィルム,商品名:コスモシャインA4100,膜厚:100μm,全光線透過率:92%,東洋紡社製)の易接着面側上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、上記粘着剤層形成用塗工液をアプリケータにより全面塗工し、粘着剤層を形成した。その後、乾燥させ、剥離シート(PETセパレーター,商品名:セラピールMFA,膜厚:38μm,東レフィルム加工社製)をラミネートし、比較例1の粘着シートを得た。
<比較例2>
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2094,固形分:25%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を0.27質量部、防錆剤(商品名:IRGAMET 39,固形分:100%,チバ・ジャパン株式会社製)を0.125質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン2094,固形分:25%,綜研化学社製)100質量部に対して、エポキシ系架橋剤(商品名:E−5XM,固形分:5%,綜研化学社製)を0.27質量部、防錆剤(商品名:IRGAMET 39,固形分:100%,チバ・ジャパン株式会社製)を0.125質量部配合し、トルエン10質量部で希釈し、十分に分散させて、粘着剤層形成用塗工液を調製した。
そして、基材(PETフィルム,商品名:コスモシャインA4100,膜厚:100μm,全光線透過率:92%,東洋紡社製)の易接着面側上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように、上記粘着剤層形成用塗工液をアプリケータにより全面塗工し、粘着剤層を形成した。その後、乾燥させ、剥離シート(PETセパレーター,商品名:セラピールMFA,膜厚:38μm,東レフィルム加工社製)をラミネートし、比較例2の粘着シートを得た。
[耐熱性評価]
上記実施例1,2及び比較例1,2で得られた粘着シートを100mm×50mmに切断し、試験片とした。この試験片を製造例1の方法にて形成された導電性メッシュ層に2kgのローラーを用いて貼合した後、オートクレーブ装置を用いて貼合加工(加工条件:0.7MPa,50℃,3時間)し、温度80℃の加熱条件下にて1000時間放置した。そして、放置前、放置後における300〜800nmの波長域の光透過率(T)を分光光度計(製品名:UV−3100PC,島津製作所社製)にて測定(JIS−Z8701準拠)し、380〜780nmの波長域の色度(x,y)を分光色彩計(製品名:SD 5000,日本電色工業株式会社製)にて測定(光源:C光源,光の進入角:2°,照明・受光条件:透過,測定面積:28mmφ,JIS−Z8722準拠)した。放置前後の光透過率(T)及び色度(x、y)の測定値から、光透過率変化(ΔT)及び色度変化(Δx、Δy)を求めた。放置前後の光透過率変化(ΔT)を表1及び図1〜4に示す。また、放置前後の色度変化(Δx、Δy)を表2に示す。更に、放置後の導電性メッシュ層の金属面の変色を目視にて確認した結果を表3に示す。
上記実施例1,2及び比較例1,2で得られた粘着シートを100mm×50mmに切断し、試験片とした。この試験片を製造例1の方法にて形成された導電性メッシュ層に2kgのローラーを用いて貼合した後、オートクレーブ装置を用いて貼合加工(加工条件:0.7MPa,50℃,3時間)し、温度80℃の加熱条件下にて1000時間放置した。そして、放置前、放置後における300〜800nmの波長域の光透過率(T)を分光光度計(製品名:UV−3100PC,島津製作所社製)にて測定(JIS−Z8701準拠)し、380〜780nmの波長域の色度(x,y)を分光色彩計(製品名:SD 5000,日本電色工業株式会社製)にて測定(光源:C光源,光の進入角:2°,照明・受光条件:透過,測定面積:28mmφ,JIS−Z8722準拠)した。放置前後の光透過率(T)及び色度(x、y)の測定値から、光透過率変化(ΔT)及び色度変化(Δx、Δy)を求めた。放置前後の光透過率変化(ΔT)を表1及び図1〜4に示す。また、放置前後の色度変化(Δx、Δy)を表2に示す。更に、放置後の導電性メッシュ層の金属面の変色を目視にて確認した結果を表3に示す。
[耐湿熱性評価]
上記実施例1,2及び比較例1,2で得られた粘着シートを100mm×50mmに切断し、試験片とした。この試験片を製造例1の方法にて形成された導電性メッシュ層に2kgのローラーを用いて貼合した後、オートクレーブ装置を用いて貼合加工(加工条件:0.7MPa,50℃,3時間)し、温度60℃、湿度90%の加熱・加湿条件下にて1000時間放置した。そして、放置前、放置後における300〜800nmの波長域の光透過率(T)を分光光度計(製品名:UV−3100PC,島津製作所社製)にて測定(JIS−Z8701準拠)し、380〜780nmの波長域の色度(x,y)を分光色彩計(製品名:SD 5000,日本電色工業株式会社製)にて測定(光源:C光源,光の進入角:2°,照明・受光条件:透過,測定面積:28mmφ,JIS−Z8722準拠)した。放置前後の光透過率(T)及び色度(x、y)の測定値から、光透過率変化(ΔT)及び色度変化(Δx、Δy)を求めた。放置前後の光透過率変化(ΔT)を表1及び図1〜4に示す。また、放置前後の色度変化(Δx、Δy)を表2に示す。更に、放置後の導電性メッシュ層の金属面の変色を目視にて確認した結果を表3に示す。
上記実施例1,2及び比較例1,2で得られた粘着シートを100mm×50mmに切断し、試験片とした。この試験片を製造例1の方法にて形成された導電性メッシュ層に2kgのローラーを用いて貼合した後、オートクレーブ装置を用いて貼合加工(加工条件:0.7MPa,50℃,3時間)し、温度60℃、湿度90%の加熱・加湿条件下にて1000時間放置した。そして、放置前、放置後における300〜800nmの波長域の光透過率(T)を分光光度計(製品名:UV−3100PC,島津製作所社製)にて測定(JIS−Z8701準拠)し、380〜780nmの波長域の色度(x,y)を分光色彩計(製品名:SD 5000,日本電色工業株式会社製)にて測定(光源:C光源,光の進入角:2°,照明・受光条件:透過,測定面積:28mmφ,JIS−Z8722準拠)した。放置前後の光透過率(T)及び色度(x、y)の測定値から、光透過率変化(ΔT)及び色度変化(Δx、Δy)を求めた。放置前後の光透過率変化(ΔT)を表1及び図1〜4に示す。また、放置前後の色度変化(Δx、Δy)を表2に示す。更に、放置後の導電性メッシュ層の金属面の変色を目視にて確認した結果を表3に示す。
1,2,3−ベンゾトリアゾールを配合した粘着シート(実施例1,2)では、高温、高温・高湿のいずれの条件においても、光透過率変化及び色度変化が小さかった。これに対して、1,2,3−ベンゾトリアゾールを配合せず、別の防錆剤を配合した粘着シート(比較例1)では、高温・高湿条件において、光透過率変化及び色度変化(Δx)が大きかった。また、1,2,3−ベンゾトリアゾールとは異なるベンゾトリアゾール化合物を配合した粘着シート(比較例2)では、高温条件において、光透過率変化及び色度変化(Δy)が大きかった。なお、比較例1の長波長側における光透過率及び色度の大きな変化は、粘着剤層由来の酸成分による金属の酸化よるものであり、比較例2の短波長側における光透過率及び色度の大きな変化は、粘着剤材料と金属イオンとが反応し、錯体が形成されたことによるものであると考えられる(図3,4)。
また、高温・高湿条件において、光透過率変化及び色度変化(Δx)が大きかった比較例1では、導電性メッシュ層の金属面に変色が認められた。また、高温条件において、光透過率変化及び色度変化(Δy)が大きかった比較例2でも、導電性メッシュ層の金属面に変色が認められた。
以上のことから、粘着剤の材料として、ベンゾトリアゾール化合物の中でも、1,2,3−ベンゾトリアゾールを選択することにより、高温・高湿条件下で、金属面に長時間貼付しても、粘着剤に起因する金属部材の変質が生じ難く、また、金属部材に起因する粘着剤の変色や変質が生じ難くなることが明らかとなった。
Claims (5)
- 透明基材上に、アクリル系粘着剤、架橋剤、及び1,2,3−ベンゾトリアゾールを含有する粘着剤層が形成されていることを特徴とする金属貼付用粘着シート。
- 前記粘着剤層と、金属面とを貼り合わせた場合において、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで3.3%以下であり、且つ
温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域380〜780nmで4.2%以下である請求項1に記載の金属貼付用粘着シート。 - 上記粘着剤層と、金属面とを貼り合わせた場合において、温度80℃、試験時間1000時間の耐熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.002であって、Δy<0.002であり、且つ
温度60℃、湿度90%、試験時間1000時間の耐湿熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.002であって、Δy<0.002である請求項1又は2に記載の金属貼付用粘着シート。 - 請求項1〜3いずれかに記載の粘着シートの粘着剤層面と、電磁波シールドの金属面とが貼り合わされているプラズマディスプレイパネル用光学フィルム。
- 請求項4に記載の光学フィルムが、プラズマディスプレイパネルの画像表示ガラス板前面に配置されているプラズマディスプレイ。
Priority Applications (1)
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JP2009272703A JP2011116799A (ja) | 2009-11-30 | 2009-11-30 | 金属貼付用粘着シート |
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JP2014136778A (ja) * | 2013-01-18 | 2014-07-28 | Dic Corp | 導電性粘着シート |
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- 2009-11-30 JP JP2009272703A patent/JP2011116799A/ja active Pending
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