JP2010250047A - 近赤外線吸収フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高い近赤外線遮蔽性を有するだけでなく、可視領域における光透過性や被着体に対する接着性が良好であり、耐久性にも優れ、且つ、生産効率も良い近赤外線吸収フィルムを提供すること。
【解決手段】本発明の近赤外線吸収フィルムは、基材上に、粘着剤層が形成され、該基材は、少なくとも可視域において透明であり、且つ、全可視域での光透過率が70%以上であって、該粘着剤層が、キレート化剤と無機顔料とを含有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、近赤外線の遮蔽域が広く、耐熱性や耐湿性に優れた、近赤外線吸収フィルムに関する。
近年、大型テレビ等の種々の電子機器の表示パネルとして、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPと略記する場合がある。)の需要が増大している。PDPは、2枚のガラス板の間に封入したキセノンとネオンとを含む混合ガスに、高電圧がかけられることで紫外線が発生し、この紫外線がガラス板に塗布された蛍光体に当たることで発光する。しかしながら、この紫外線と同時に発生する波長800〜1000nmの領域を含む近赤外線は、マイクやリモコン等の赤外線を利用したワイヤレス機器の誤作動を引き起こす原因となる。そこで、PDPの前面に、近赤外線吸収フィルムを設けることで、近赤外線の透過率を低減させることが行われている。
PDPに用いられる近赤外線吸収フィルムの特性としては、近赤外線の透過率を低減させることだけでなく、可視領域における光透過性が高いこと、耐久性が高いこと、被着体であるガラス等の部材に対する接着性が良好であること等が求められる。
これまで、近赤外線吸収フィルムとしては、近赤外線吸収能を有する有機顔料を粘着剤層に含有させたものが報告されている(特許文献1参照)。しかしながら、有機顔料を粘着剤層に含有させた近赤外線吸収フィルムは、長時間湿熱環境下にさらされると、近赤外線遮蔽機能が低下したり、ヘイズが上昇したりするため、実用化にはほど遠いものであった。このような耐久性の問題を解消する試みとして、近赤外線吸収能を有する無機顔料を含むバインダー樹脂を含有する近赤外線吸収層を設けたものが報告されている(特許文献2参照)。しかしながら、これによれば、PDPのガラス面等に貼付させるための粘着剤層を別途、形成する必要があるため、生産効率が良好とはいえず、また、耐久性についても更なる向上が望まれていた。
特開2001−207142号公報 特開2008−209485号公報
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高い近赤外線遮蔽性を有するだけでなく、可視領域における光透過性や被着体に対する接着性が良好であり、耐久性にも優れ、且つ、生産効率も良い近赤外線吸収フィルムを提供することにある。
本発明者らは、以上のような課題を解決するために、鋭意研究を重ねていたところ、近赤外線吸収能を付与する材料として、無機顔料を選択し、該無機顔料をキレート化剤とともに粘着剤層に含有させることにより、近赤外線吸収フィルムの耐久性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下のようなものを提供する。
(1)基材上に、粘着剤層が形成された近赤外線吸収フィルムにおいて、該基材は、少なくとも可視域において透明であり、且つ、全可視域での光透過率が70%以上であって、該粘着剤層が、キレート化剤と無機顔料とを含有する近赤外線吸収フィルム。
(2)該粘着剤層上に、電磁波遮蔽層が更に形成されている(1)に記載の近赤外線吸収フィルム。
(3)該キレート化剤が、アセチルアセトン、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、及び1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種である(1)又は(2)に記載の近赤外線吸収フィルム。
(4)該無機顔料が、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子である(1)〜(3)いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
(5)光透過率(T)の平均値が、波長域400〜500nmでは40%以上であり、波長域800〜1000nmでは30%以下であって、且つ、温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域400〜500nmでは6%未満であり、波長域800〜1000nmでは5%未満である(2)〜(4)いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
(6)温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.01であり、且つΔy<0.01である(2)〜(5)いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
(7)プラズマディスプレイパネル用光学フィルムとして用いられる(1)〜(6)いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
(8)(1)〜(7)いずれかに記載の近赤外線吸収フィルムが、プラズマディスプレイパネルの画像表示ガラス板前面に配置されているプラズマディスプレイ。
本発明の近赤外線吸収フィルムは、高い近赤外線遮蔽性を有し、可視領域での光透過性やガラス等の部材に対する接着性が良好である。また、本発明の近赤外線吸収フィルムは、耐久性に優れ、高温下や高湿下で長時間使用しても、近赤外線遮蔽性や接着性の低下、フィルムの着色が生じ難い。更に、近赤外線吸収能を有する無機顔料を粘着剤層に配合しているので、従来の近赤外線吸収層を備える光学フィルムに比べて、積層数が少なくなるため、生産効率も良好である。
本発明に係る近赤外線吸収フィルムの一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る近赤外線吸収フィルムの他の一例を模式的に示した断面図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面(図1及び2)を参照しながら具体的に説明する。ここで、図1は、本発明の近赤外線吸収フィルムの一例を模式的に示した断面図である。また、図2は、本発明の近赤外線吸収フィルムの他の一例を模式的に示した断面図である。なお、いずれの図も、説明を容易にするために、大きさ等を適宜誇張して示している。
本発明の近赤外線吸収フィルム10は、図1に示すように、基材11上に、粘着剤層12が形成されており、該基材11は、少なくとも可視域において透明であり、且つ、全可視域での光透過率が70%以上であって、該粘着剤層12が、キレート化剤と無機顔料とを含有することを特徴とする。
本発明では、粘着剤層12に対して、良好な接着性、耐久性、近赤外線吸収能を付与するために、キレート化剤と無機顔料とが配合されている。粘着剤層12は基材11上に形成され、該粘着剤層12上には、電磁波遮蔽層13が更に形成されていてもよい。以下、本発明の近赤外線吸収フィルム10について、基材11、粘着剤層12、電磁波遮蔽層13、その他の層の順で説明する。
[基材]
本発明の近赤外線吸収フィルム10では、基材11は、少なくとも可視域において透明であることを特徴とする。ここで、透明とは、必ずしも無色透明である必要はなく、着色された透明であってもよいが、可視域(380〜780nm)における光透過率が70%以上でなければならない。基材11の光透過性は高いほど良く、可視域における光透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。なお、光透過率は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。
基材11の構成材料としては、上記光透過性と、必要な強度とを有していれば、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。一般的には、合成樹脂フィルムが用いられる。合成樹脂フィルムの材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、セルロース系樹脂、イミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂等の公知の樹脂が挙げられる。これらは、単独又は複数種類の混合樹脂として用いることができる。また、単層又は2層以上の積層体として用いることができる。なお、本発明では、上記の中でも、特に、ポリエステル系樹脂が透明性、耐熱性、価格等の点において好ましい。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体等が挙げられるが、これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記樹脂中には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、紫外線吸収剤、色補正色素、充填剤、可塑剤、帯電防止剤等の各種添加物を配合することができる。
上記基材11の厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。通常、25〜500μm程度であるが、好ましくは50〜300μmであり、より好ましくは50〜200μmである。上記未満の厚さであると、強度が不足するため、反り、弛み、破断等が生じ、上記を超える厚さであると、過剰性能でコスト高となる上、フィルムの薄型化が困難となる。
なお、樹脂フィルム等の透明樹脂基材フィルムは、その表面に適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理、予熱処理、除塵埃処理、蒸着処理、アルカリ処理等の公知の易接着処理を行ってもよい。
[粘着剤層]
本発明の近赤外線吸収フィルム10では、粘着剤層12が、キレート化剤と無機顔料とを含有することを特徴とする。本発明では、粘着剤層12に対して、近赤外線吸収能を付与するために、無機顔料を配合している。そして、粘着剤に対する無機顔料の相溶性を向上させたり、無機顔料の劣化を抑制したりするために、更にキレート化剤を配合している。無機顔料は、有機顔料とは異なり、粘着剤層12を構成する樹脂に対する溶解性が低い。本発明では、無機顔料をキレート化剤とともに粘着剤層12に配合しているため、無機顔料は粘着剤層12を構成する樹脂に対して、良好な分散性を示す。また、本発明の近赤外線吸収フィルム10をプラズマディスプレイパネル用光学フィルムとして用いる場合には、特に、ガラスや電磁波シールド等の部材に対して、良好な接着性が示すことが求められる。一般的に、これらの部材には金属イオンが含まれている。一方、粘着剤は、架橋可能な官能基を有するため、金属イオンの影響を受け易く、粘着力の低下を招く。しかしながら、本発明では、キレート化剤を粘着剤層12に配合しているため、ガラスや電磁波シールド等の部材に対して、良好且つ安定な接着性を示す。更に、無機顔料をキレート化剤とともに配合しているため、耐久性に優れ、高温下や高湿下で長時間使用しても、近赤外線遮蔽性や接着性の低下、フィルムの着色が生じ難い。上記のように、粘着剤層に近赤外線遮蔽性を付与しているため、従来の近赤外線吸収層を備える光学フィルムに比べて、積層数が少なくなり、生産効率も良好である。
粘着剤としては、適度な接着性、透明性、塗工適性等を有していれば、特に限定されず、公知の粘着剤の中から、適宜選択することができる。例えば、天然ゴム系、合成ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコーン系等の公知の粘着剤が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本発明では、アクリル系粘着剤が、耐熱性等の耐久性や透明性に優れ、光学部材用途として好ましい特性を有するだけでなく、低コストであるので好ましい。
本発明のアクリル系粘着剤としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体とを共重合させたアクリル酸エステル共重合体が挙げられる。ここで、アクリル酸エステルとしては、アクリル酸のC1〜15の直鎖、分岐鎖又は環状アルキルエステル等のアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソアミル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。また、メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸のC1〜15の直鎖、分岐鎖又は環状アルキルエステル等のメタクリル酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
上記他の単量体としては、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−クロロプロピル、アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の水酸基含有モノマー;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−メトキシプロピル、アクリル酸3−メトキシプロピル、アクリル酸2−メトキシブチル、アクリル酸4−メトキシブチル等のアクリル酸アルコキシエステル;メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2−メトキシプロピル、メタクリル酸3−メトキシプロピル、メタクリル酸2−メトキシブチル、メタクリル酸4−メトキシブチル等のメタクリル酸アルコキシエステル;アクリル酸エチレングリコール、アクリル酸ポリエチレングリコール、アクリル酸プロピレングリコール、アクリル酸ポリプロピレングリコール等のアクリル酸アルキレングリコール;メタクリル酸エチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸プロピレングリコール、メタクリル酸ポリプロピレングリコール等のメタクリル酸アルキレングリコール;アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸アリール;メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸アリール;酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸アリル等が挙げられ、これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本発明では、これらの中でも、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等が、ガラスや電磁波シールド等の部材に対して良好な粘着性を示すので好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルと、他の単量体とのユニット比((メタ)アクリル酸エステル/他の単量体)は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体が所望の粘着力を発揮するものであれば、特に限定されず、適宜設定することができる。また、アクリル酸エステル共重合体の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、30〜150の範囲内であることが好ましく、50〜120の範囲内であることがより好ましい。上記範囲であれば、十分な粘着力を発揮することができる。なお、上記質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した際の、ポリスチレン換算値である。
上記アクリル系粘着剤の市販品としては、例えば、SKダインSK2094(綜研化学株式会社製)、SKダインSK2096(綜研化学株式会社製)等を好適に用いることができる。
本発明の近赤外線吸収フィルム10に含まれるキレート化剤としては、特に限定されず、例えば、アセチルアセトン、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、又は1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、エチレンジアミン四酢酸等のアミノカルボン酸及びその誘導体が挙げられる。これらの中でも、アセチルアセトン、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、又は1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンが、粘着剤に対して良好な相溶性を示す点において好ましい。
上記キレート化剤の含有量は、粘着剤100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10量部であることがより好ましい。上記範囲であれば、粘着剤に対する無機顔料の相溶性を向上させることができ、また、粘着剤層12に良好な接着性を付与することができる。
本発明の近赤外線吸収フィルム10は、近赤外線吸収能を有する色素として、一般的な有機顔料ではなく、無機顔料を含有する。例えば、代表的な有機顔料であるジイモニウムは、可視域の透過率が高く、近赤外線の遮蔽域が広く、しかも安価ではあるが、耐熱性、耐湿熱性、耐光性が低い。また、同じく代表的な有機顔料であるフタロシアニンは、耐熱性、耐湿熱性は高いものの、可視域での透過率が低く、また、近赤外線の遮蔽域が狭く、しかも高価である。これに対し、無機顔料は、一般に可視域の透過率が高く、近赤外線の遮蔽域が広く、しかも安価であるだけでなく、耐熱性、耐湿熱性、耐光性も高い。
本発明の近赤外線吸収フィルム10に含まれる無機顔料としては、特に限定されず、例えば、複合タングステン酸化物の微粒子、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。これらの中でも、複合タングステン酸化物の微粒子が好ましい。
複合タングステン酸化物は、耐熱性、耐湿性、耐光性が高く、また、その1種類のみで、プラズマディスプレイの前面から発生する波長800〜1000nmの近赤外線を吸収することができる。本発明の近赤外線吸収フィルム10によれば、上記のような複合タングステン酸化物の微粒子を含むので、近赤外線の遮蔽域が広く、また、高温下や高湿下での長時間の使用によっても、安定な分光特性を示す。したがって、特に、プラズマディスプレイパネル用光学フィルムとして好適に使用することができる。
上記複合タングステン酸化物微粒子としては、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表されるものが、有用な近赤外線吸収特性を得ることができるので好ましい。このような複合タングステン酸化物微粒子は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、一般式MxWyOzで表される複合タングステン酸化物微粒子は、六方晶、正方晶、立方晶の結晶構造を有する場合に優れた耐久性を示すことから、これらいずれかの結晶構造を有することが好ましい。特に、アルカリ金属であるセシウムを含むタングステン酸化物微粒子が、六方晶の結晶構造を有し、耐久性がより優れる点において好ましい。この場合、セシウム元素の添加量xは、0.33付近がより好ましい。六方晶の結晶構造から理論的に算出される値が0.33であり、この前後の量を添加することで、好ましい光学特性が得られるからである。具体的には、Cs0.33WOが挙げられる。
上記複合タングステン酸化物微粒子の平均分散粒径は、透明性の点において、800nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下、更により好ましくは100nm以下である。なお、本発明における平均分散粒径とは、体積平均粒径をいい、市販の粒度分布・粒子径分布測定装置、例えば、日機装社製のナノトラック粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
セシウムタングステン酸化物の市販品としては、例えば、YMF−02(住友金属鉱山社製)を好適に用いることができる。
上記無機顔料の含有量は、粘着剤100質量部に対して、0.05〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましい。上記範囲であれば、十分な近赤外線吸収能を発現することができ、また、十分な量の可視光を透過させることができる。
粘着剤層12の形成方法としては、特に限定されず、例えば、粘着剤層12を構成する上記材料を、適当な溶剤、水で希釈し、コーティングにより塗布形成する方法が挙げられる。例えば、ロールコート、リバースコート、スプレーコート、コンマコート、ナイフコート、ダイコート、リップコート等が挙げられる。
粘着剤層12の厚みは、特に限定されず、用途に応じて、適宜選択することができる。通常、5〜200μm程度であるが、好ましくは10〜100μmであり、より好ましくは15〜50μmである。上記未満の厚さであると、粘着力が不足し、上記を超える厚さであると、過剰性能でコスト高となる上、フィルムの薄型化が困難となる。
粘着剤層12には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、キレート化剤や無機顔料を良好に溶解又は分散させるために、各種分散剤を配合してもよい。また、粘着剤層12の経時劣化を防止するための安定剤や紫外線吸収剤、色補正色素、更に、被着体に金属が含まれる場合には酸化防止剤を配合することができる。これらの機能を有する物質を、粘着剤層12に配合することは、複数の機能層を別途、設ける必要がなくなり、フィルムの総厚み、工程数、原価を低減することできるので好ましい。
ここで、被着体に金属が含まれる場合とは、例えば、後述する電磁波遮蔽層13が合成樹脂等で覆われていない金属の導電性メッシュ層である場合が挙げられる。粘着剤層12を構成する樹脂に含まれ得る酸成分によって、粘着剤層12と金属メッシュ層とが接触することで、金属メッシュ層が酸化され、経時的に変色することがあるからである。
[電磁波遮蔽層]
本発明の近赤外線吸収フィルム10では、図2に示すように、上記粘着剤層12上に、電磁波遮蔽の機能を有する機能層として、電磁波遮蔽層13が更に形成されていることが好ましい。電気的又は電子的な装置からは、コンピュータやその関連機器、人体等に影響を与える電磁波が発生する。例えば、プラズマディスプレイからは、周波数30〜130KHzの電磁波が発生する。電磁波遮蔽の機能を有する層を備えることで、機器や人体等に影響を与える電磁波を遮蔽することができる。電磁波遮蔽層13としては、導電性メッシュ層が、電磁波遮蔽性が高いという点において好ましい。なお、導電性メッシュ層は、機械的強度が弱いため、独立した層として存在することが困難である。そのため、導電性メッシュ層は、通常、ポリエチレンテレフタレート等の透明樹脂基材等の表面に金属箔等の導電層を積層し、該導電層をエッチングによりメッシュ形状とすることで形成される。
導電性メッシュ層は、導電性を有することで電磁波遮蔽の機能を発揮する層である。それ自体は、不透明な材料からなるが、多数の開口部が存在するメッシュ形状に加工することにより、電磁波遮蔽性と光透過性とを兼ね備えている。導電性メッシュ層の材料としては、電磁波遮蔽の機能を発揮するに足る導電性を有するものであれば、特に限定されないが、金属が、導電性が良いという点において好ましい。金属の種類は、特に限定されず、例えば、銅、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウム、金、銀、ステンレス、タングステン、クロム、チタン等が挙げられる。これらの金属は、合金であってもよく、これらの金属からなる層は単層であっても、多層であってもよい。なお、上記金属の中でも、銅が、加工特性に優れ、且つ低価格であるという点において好ましい。銅からなる導電層としては、圧延銅箔、電解銅箔等の銅箔が挙げられるが、均一性の良い厚みにすることができ、また、後述する黒化処理の際に、酸化クロム等に対して良好な密着性を示す、電解銅箔が好ましい。
上記導電性メッシュ層は、その一方の面又は両面が黒化処理されていることが好ましい。黒化処理とは、酸化クロム等により金属メッシュの表面を黒化する処理をいう。金属メッシュ層は、黒化処理面が外光の入射してくる側になるように配置する。このように配置すると、外光が酸化クロム等に吸収されるので、金属メッシュ層の表面で光が散乱することを防止できる。
なお、金属を材料とする導電性メッシュ層の厚みは、通常、1〜50μm程度、好ましくは2〜15μmである。上記未満の厚さであると、電気抵抗の上昇により、十分な電磁波遮蔽性を発揮し難くなり、上記を超える厚さであると、メッシュ形状の均一性が低下する。
また、本発明の近赤外線吸収フィルム10は、電磁波遮蔽層13以外にも、紫外線遮蔽、反射防止、防眩、汚染防止等の機能を有する機能層を1層以上備えてもよい。
紫外線遮蔽の機能を有する層を備えることは、紫外線による本発明の近赤外線吸収フィルム10の劣化を抑制することができるので好ましい。紫外線遮蔽には、公知の技術を用いることができる。
反射防止の機能を有する層を備えることは、プラズマディスプレイパネルに表示される画像や映像のコントラストが高まるので好ましい。反射防止には、公知の技術を用いることができる。反射防止の機能を有する層としては、例えば、低屈折率のものや屈折率の異なる層が順に積層されたものが挙げられる。
防眩の機能を有する層を備えることは、プラズマディスプレイの前面に配置した際に、ディスプレイの特定の位置や方向に生じるシンチレーションを防止することができるので好ましい。防眩には、公知の技術を用いることができる。防眩の機能を有する層としては、例えば、直径数μm程度のポリスチレン樹脂やアクリル樹脂等の微粒子を透明樹脂中に分散させたものや表面に微細な凹凸を有する層が挙げられる。
汚染防止の機能を有する層を備えることは、ごみや汚染物質の付着を防止する、あるいは付着しても除去し易くすることができるので好ましい。汚染防止には、公知の技術を用いることができる。汚染防止の機能を有する層としては、例えば、シリコーン系、フッ素系、シリコーン・フッ素系等の汚染防止剤を含有する層が挙げられる。
これら機能層を設ける位置は、特に限定されないが、例えば、紫外線遮蔽の機能を有する層は、本発明の近赤外線吸収フィルムをプラズマディスプレイパネルの画像表示ガラス板前面に配置した場合には、外光が入射してくる外側に設けることが好ましく、反射防止や防眩の機能を有する層は、最外層に設けることが好ましい。なお、汚染防止の機能を有する層を設ける場合には、該層が最外層であることが好ましい。
[剥離層]
剥離層は、剥離性を有する剥離部材からなり、粘着剤層12の表面を保護する機能を有し、粘着剤層12の上に積層される。剥離部材は、必要な強度や柔軟性を有するものであれば、特に限定されず、一般的には、シリコーン離型処理した合成樹脂フィルムが用いられる。合成フィルムの材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリテトラメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が好ましい。なお、剥離層の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.1〜5μmである。
[近赤外線吸収フィルム]
本発明の近赤外線吸収フィルム10では、光透過率(T)の平均値が、波長域400〜500nmでは40%以上であり、波長域800〜1000nmでは30%以下であって、且つ、温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域400〜500nmでは6%未満であり、波長域800〜1000nmでは5%未満であることが好ましい。より好ましくは、波長域400〜500nmでは50%以上であり、波長域800〜1000nmでは20%以下であって、且つ、温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域400〜500nmでは4%未満であり、波長域800〜1000nmでは4%未満である。更により好ましくは、波長域400〜500nmでは60%以上であり、波長域800〜1000nmでは15%以下であって、且つ、温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域400〜500nmでは3%未満であり、波長域800〜1000nmでは4%未満である。これにより、可視領域では光透過性が高く、近赤外線領域では吸収性が高く、また、長時間使用しても安定した光学特性を示す近赤外線吸収フィルムとすることができる。なお、本発明における光透過率(T)は、市販の分光光度計、例えば、島津製作所社製のUV−3100PCを用いて測定(JIS−Z8701準拠)することができる。
上記光透過率変化(ΔT)は、次式により算出する。
光透過率変化(ΔT)=|Tint(W)−Tend(W)
ここで、Tint(W)は耐湿熱性試験前の波長Wでの光透過率、Tend(W)は耐湿熱性試験後の波長Wでの光透過率を表す。
また、本発明の近赤外線吸収フィルム10では、温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.01であり、且つΔy<0.01であることが好ましく、より好ましくはΔx<0.005であり、且つΔy<0.005である。これにより、長時間使用してもフィルムの着色が生じ難い近赤外線吸収フィルムとすることができる。
上記色度変化(Δx、Δy)は次式により算出する。
色度変化(Δx)=|xint−xend
色度変化(Δy)=|yint−yend
ここで、xint及びyintは、耐湿熱性試験前の透過光の色度、xend及びyendは耐湿熱性試験後の透過光の色度を表す。
本発明の近赤外線吸収フィルム10は、例えば、表面平滑なガラス板に対する剥離強度が5N/25mm以上であることが好ましく、20N/25mm以上であることがより好ましい。上記剥離強度は、以下のように測定することができる。例えば、金属メッシュ層の面上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように該粘着剤層形成用塗工液をアプリケータにより全面塗工し、粘着剤層12を形成したフィルムを、25mm×150mmに切断し、これを粘着剤層12側がガラス板側を向くようにして、ガラス板に2kgのローラーを用いて貼合し、温度80℃、湿度95%の耐湿熱雰囲気下にて72時間放置する。その後、引張り試験機を用いて、剥離強度を測定(JIS Z0237準拠,速度:300mm/min,剥離距離:150mm,剥離角:180°)する。
剥離強度が上記範囲であれば、電磁波遮蔽層と粘着剤層とが自然剥離したり、気泡が生じたりするおそれがない。また、ディスプレイパネルと貼り合わせる際に、何らかの不具合が生じても、再剥離する際に、凝集破壊や界面破壊を生じることなく、容易に剥離することができる。
なお、表面平滑なガラス板としては、例えば、通常のフロートガラス、液晶やPDP用パネルで使用するガラス等が挙げられる。具体的には、旭硝子社製の高歪点ガラス板(PD−200:商品名、厚み2.8mm)が挙げられる。なお、PD−200は、プラズマディスプレイメーカー各社が共通に使用しているプラズマディスプレイ用の前面ガラス板である。
本発明の近赤外線吸収フィルム10の製造方法は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の透明樹脂基材等の表面に金属箔等の導電層を積層し、該導電層をエッチングによりメッシュ形状とすることで形成した電磁波遮蔽層13である導電性メッシュ層の面上に、粘着剤、キレート化剤、無機顔料等を溶剤に溶解又は分散させた粘着剤層形成用塗工液を塗工し、これを乾燥して所望の厚さの粘着剤層12を形成する。溶剤は、特に限定されず、例えば、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類;シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン、スクアラン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;あるいはこれらの混合物が挙げられる。粘着剤層形成用塗工液の塗工方法としては、従来公知の方法、例えば、ロールコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、リバースコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法、ダイコート法、ドクターブレード法、コンマコート法等が挙げられる。塗工された粘着剤層の乾燥条件は、特に限定されず、通常、60〜120℃の温度範囲において、1〜10分間乾燥する。次いで、塗工した粘着剤層12上に基材11をラミネートし、近赤外線吸収フィルム10を製造する。
本発明の近赤外線吸収フィルム10の厚みは、特に限定されないが、10〜150μmであることが好ましく、15〜100μmであることがより好ましい。上記範囲であれば、適度な柔軟性を有するので、取り扱いが容易となる。
本発明の近赤外線吸収フィルム10は、光学用、農業用、建築用、車両用、画像記録用等のフィルムや窓材等として用いることができるが、特に、プラズマディスプレイパネル用光学フィルムとして好適に用いることができる。光学フィルタとして用いるためには、耐熱性、耐湿熱性、耐光性が高いことが好ましい。本発明の近赤外線吸収フィルム10は、高熱・高湿下においても、可視域や近赤外線域の透過率の変化が少ないので、光学フィルタとして好適に用いることができる。
本発明のプラズマディスプレイは、本発明の近赤外線吸収フィルム10がプラズマディスプレイパネル21の画像表示ガラス板前面に配置されていることを特徴とする。本発明の近赤外線吸収フィルム10をプラズマディスプレイパネル21の画像表示ガラス板前面に配置することで、ディスプレイから放射される近赤外線を遮蔽することができる。これにより、近赤外線を利用したマイクやリモコン等のワイヤレス機器の誤動作を防止することができる。また、本発明の近赤外線吸収フィルム10は、上記のように、優れた耐久性を有するので、ディスプレイから発せられる色調や近赤外線遮蔽効果が変わらない。本発明の近赤外線吸収フィルム10をプラズマディスプレイパネル21の画像表示ガラス板前面に貼り付ける方法としては、特に限定されないが、通常、圧着方式が用いられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
銅−コバルト合金粒子からなる黒化層が電解メッキ形成された、厚さ10μmの連続帯状の電解銅箔の両面に、亜鉛メッキを施した後、ディッピング法にて公知のクロメート処理を行い、表裏両面に防錆層を形成した。次いで、この銅箔を、黒化層面側であって、且つ、透明樹脂基材プライマー層上に、主剤(平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール)12質量部と、硬化剤(キシレンジイソシアネート系プレポリマー)1質量部とからなる透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤でドライラミネートした後、50℃、3日間養生し、銅箔(防錆層)と透明樹脂基材との間に、厚さ7μmの透明接着剤層を有する連続帯状の電磁波遮蔽層を形成した。なお、基材には、一方の面上にポリエステル樹脂系プライマー層を形成した厚さ100μmの、連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。そして、上記連続帯状の電磁波遮蔽層の、防錆層を形成させた銅箔、黒化層をフォトリソグラフィー法によりエッチングし、開口部及びライン部からなるメッシュ状領域と、メッシュ状領域の4周を囲繞する外縁部に額縁状のメッシュ非形成の接地用領域とを有する導電性メッシュ層を形成した。なお、エッチングは、防錆層を形成させた銅箔全面に感光性のエッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングし、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い様なパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、導電体層及び黒化層を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
次に、アクリル系粘着剤(商品名:SKダイン 2094,綜研化学社製)100質量部に対して、硬化剤(商品名:E−5XM,綜研化学社製)0.25質量部、無機顔料としてセシウム含有タングステン酸化物懸濁液(Cs0.33WO含有量:18.5質量%,商品名:YMF−02,住友金属鉱山社製,平均分散粒径:800nm以下)1.32質量部、及びキレート化剤として1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(東京化成社製)0.5質量部を添加し、十分分散させて粘着剤層形成用塗工液を調製した。そして、上記方法により形成した導電性メッシュ層の面上に、乾燥後の膜厚が25μmとなるように該粘着剤層形成用塗工液をアプリケータにより全面塗工し、粘着剤層を形成した。その後、乾燥させ、剥離シート(片面にシリコーン系剥離剤による剥離処理が施されてなるポリエステルフィルム,商品名:SP−PET−01,膜厚:38μm,東セロ社製)をラミネートし、実施例1の近赤外線吸収フィルムを製造した。
<実施例2>
粘着剤層形成用塗工液を調製する際に、キレート化剤として1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン0.5質量部の代わりに、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン(東京化成社製)0.5質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例2の近赤外線吸収フィルムを製造した。
<実施例3>
粘着剤層形成用塗工液を調製する際に、キレート化剤として1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン0.5質量部の代わりに、アセチルアセトン(東京化成社製)0.5質量部を添加したこと以外は、実施例1と同様の方法にて、実施例3の近赤外線吸収フィルムを製造した。
<比較例1>
粘着剤層形成用塗工液を調製する際に、キレート化剤を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法にて、比較例3の近赤外線吸収フィルムを製造した。
[接着性評価]
上記実施例1〜3で得られた近赤外線吸収フィルムを25mm×150mmに切断し、剥離シートを剥がして、試験片を作成した。この試験片をガラス板(商品名:PD−200,旭硝子社製,厚さ:2.8mm)に2kgのローラーを用いて貼合し、温度80℃、湿度95%の耐湿熱雰囲気下にて72時間放置した。その後、引張り試験機(製品名:RTF−1150H,A&D社製)を用いて、ガラス面に対する剥離強度を測定(JIS Z0237準拠,速度:300mm/min,剥離距離:150mm,剥離角:180°)した。結果を表1に示す。
[耐久性評価]
上記実施例1〜3、及び比較例1で得られた近赤外線吸収フィルムを50mm×50mmに切断し、剥離シートを剥がして、試験片を作成した。この試験片をガラス板(商品名:PD−200,旭硝子社製,厚さ:2.8mm)に2kgのローラーを用いて貼合し、温度80℃、湿度95%の耐湿熱雰囲気下にて72時間放置した。そして、放置前、放置後における300〜1300nmの波長域の光透過率(T)及び色度(x,y)を分光光度計(製品名:UV−3100PC,島津製作所社製)にて測定(JIS−Z8701準拠)した。そして、放置前後の光透過率(T)及び色度(x、y)の測定値から、光透過率変化(ΔT)の平均値及び色度変化(Δx、Δy)を求めた。結果を表2に示す。
Figure 2010250047
Figure 2010250047
キレート化剤を粘着剤層に含む近赤外線吸収フィルム(実施例1〜3)は、可視領域では良好な光透過性を示し、近赤外線領域では高い近赤外線遮蔽性を示した。そして、これらの分光特性及び粘着性は、高温高湿下で長時間使用しても維持されており、耐久性に優れるフィルムであることがわかった。特に、色度については、キレート化剤を粘着剤層に含まない近赤外線吸収フィルム(比較例1)と比較して、変化が非常に小さく、着色が生じ難いことがわかった。
10 近赤外線吸収フィルム
11 基材
12 粘着剤層
13 電磁波遮蔽層
21 プラズマディスプレイパネル

Claims (8)

  1. 基材上に、粘着剤層が形成された近赤外線吸収フィルムにおいて、
    前記基材は、少なくとも可視域において透明であり、且つ、全可視域での光透過率が70%以上であって、
    前記粘着剤層が、キレート化剤と無機顔料とを含有する近赤外線吸収フィルム。
  2. 前記粘着剤層上に、電磁波遮蔽層が更に形成されている請求項1に記載の近赤外線吸収フィルム。
  3. 前記キレート化剤が、アセチルアセトン、1,4,7,10,13,16−ヘキサオキサシクロオクタデカン、及び1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカンからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の近赤外線吸収フィルム。
  4. 前記無機顔料が、一般式MxWyOz(但し、M元素は、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Re、Be、Hf、Os、Bi、Iのうちから選択される1種類以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1.1、2.2≦z/y≦3.0)で表される複合タングステン酸化物微粒子である請求項1〜3いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
  5. 光透過率(T)の平均値が、波長域400〜500nmでは40%以上であり、波長域800〜1000nmでは30%以下であって、且つ、
    温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における各波長での光透過率変化(ΔT)の平均値が、波長域400〜500nmでは6%未満であり、波長域800〜1000nmでは5%未満である請求項2〜4いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
  6. 温度80℃、湿度95%、試験時間72時間の耐湿熱性試験の前後における色度変化(Δx、Δy)が、Δx<0.01であり、且つΔy<0.01である請求項2〜5いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
  7. プラズマディスプレイパネル用光学フィルムとして用いられる請求項1〜6いずれかに記載の近赤外線吸収フィルム。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の近赤外線吸収フィルムが、プラズマディスプレイパネルの画像表示ガラス板前面に配置されているプラズマディスプレイ。
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