JP7322607B2 - 溶剤型粘着剤および粘着シート - Google Patents
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Description
アクリル共重合体(A)、硬化剤(B)、カチオン性親水基を有する1種以上の界面活性剤(S)、および有機溶剤を含有し、
界面活性剤(S)は不揮発分換算でアミン価が0.1~150mgKOH/gであり、
アクリル共重合体(A)100質量部に対する界面活性剤(S)の含有量が0.01~20質量部である、溶剤型粘着剤である。
また、「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
本明細書において、「粘着剤」は再剥離性を有する粘着剤(再剥離型粘着剤)であり、「粘着シート」は再剥離性を有する粘着シート(再剥離粘着シート)である。
本発明の粘着剤は、アクリル共重合体(A)、硬化剤(B)、およびカチオン性親水基を有する1種以上の界面活性剤(S)、および有機溶剤を含有し、
界面活性剤(S)は不揮発分換算でアミン価が0.1~150mgKOH/gであり、
アクリル共重合体(A)100質量部に対する界面活性剤(S)の含有量が0.01~20質量部である。
アクリル共重合体(A)は、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを含むエチレン性不飽和結合を有するモノマーの重合体を意味する。
モノマー(a1):炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー
モノマー(a2):反応性官能基を有するモノマー
モノマー(a3):アルキレンオキシド基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー
モノマー(a4):上記モノマー(a1)~(a3)以外のラジカル重合性モノマー
モノマー(a1)は、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーであって、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
モノマー(a1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
モノマー(a1-1)の中でも、特にブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが、ガラス転移温度が低く適度な粘着物性を得やすい点から好ましく、アクリル共重合体(A)を構成する全モノマー100質量%中、2-エチルヘキシルアクリレートが30質量%以上であることが、適度な極性を有し、後述する界面活性剤(S)による低粘着力化および再剥離性向上効果、特に中速剥離時の粘着力低減効果が十分に得られやすくなる点でより好ましい。
モノマー(a2)は、反応性官能基を有するモノマーであって、アクリル共重合体(A)が、後述する硬化剤(B)が有する反応性官能基と反応し得るため、反応性官能基を有するモノマー(a2)を有することが好ましい。モノマー(a2)と硬化剤(B)との架橋反応によりポリマーネットワークを形成し、凝集力や再剥離性の向上が期待できる。
モノマー(a3)は、アルキレンオキシド基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマーであって、例えば、2-メトキシメチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート、4-エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール#400アクリレート(新中村化学工業社製)、メトキシポリエチレングリコール#600アクリレート(新中村化学工業社製)、メトキシポリエチレングリコール#1000アクリレート(新中村化学工業社製)等が挙げられる。
モノマー(a4)は、上記モノマー(a1)~(a3)以外のラジカル重合性モノマーであって、例えば、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類、酢酸ビニル、クロトン酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル等が挙げられる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn (1)
[式(1)中、Tgはアクリル共重合体(A)のTg(単位:K)、Tgi(i=1、2、・・・n)はラジカル重合性モノマーiがホモポリマーを形成した際のTg(単位:K)、Wi(i=1、2、・・・n)はラジカル重合性モノマーiの全モノマー成分中の質量分率を表す。なお、ホモポリマーのTgは文献値やカタログ値などの公表値を使用する。]
上記式(1)は、アクリル共重合体(A))が、モノマー1、モノマー2、・・・、モノマーnのn種類のモノマー成分から構成される場合の計算式である。
アクリル共重合体(A)の製造方法としては、特に制限はなく、例えば公知のラジカル重合反応で、上記のエチレン性不飽和結合を有するモノマーを重合させて得ることができる。反応は無溶剤下でも構わないが、合成安定性およびハンドリングの観点から溶剤を使用することが好ましい。また、分子量制御の観点から、ラジカル重合開始剤(以下、「重合開始剤」と略記することがある)を使用することが好ましい。その他、連鎖移動剤等の公知の添加剤を用いてもよい。
本発明の溶剤型粘着剤は、硬化剤(B)を含む。
硬化剤(B)としては公知のものを使用でき、イソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤、金属キレート硬化剤、アジリジン硬化剤などが挙げられ、その中でもイソシアネート硬化剤、エポキシ硬化剤、アジリジン硬化剤が好ましい。これらの硬化剤を含むことで、粘着剤の凝集力が高まり低粘着力化と再剥離性が向上する。硬化剤(B)は単独または2種以上を併用できる。
本発明の粘着剤では、不揮発分換算でアミン価が0.1~150mgKOH/gである、カチオン性親水基を有する1種以上の界面活性剤(S)を含む。
界面活性剤(S)としては、公知のカチオン性界面活性剤および/または両性界面活性剤を1種または2種以上用いることができ、不揮発分換算でアミン価が0.1~150mgKOH/gであれば特に制限されない。カチオン性親水基としては、第1級~第3級のアミノ基、第1~第3級のアミン塩基、および第4級アンモニウム塩基等が挙げられる。
なお、市販の界面活性剤は、その構造または組成が不明であっても、界面活性剤(S)として、不揮発分換算でアミン価が0.1~150mgKOH/gである界面活性剤を選択すればよい。このようなアミン価を有する市販の1種の界面活性剤には、複数種の異なるカチオン性親水基が含まれていてもよい。
ルーブリゾール社製のソルスパーズ9000、ソルスパーズ11200、ソルスパーズ13240、ソルスパーズ13940、ソルスパーズ16000、ソルスパーズ17000、ソルスパーズ18000、ソルスパーズ20000、ソルスパーズ24000SC、ソルスパーズ24000GR、ソルスパーズ26000、ソルスパーズ28000、ソルスパーズ31845、ソルスパーズ32000、ソルスパーズ32500、ソルスパーズ32550、ソルスパーズ32600、ソルスパーズ33000、ソルスパーズ34750、ソルスパーズ35100、ソルスパーズ35200、ソルスパーズ37500、ソルスパーズ38500、ソルスパーズ39000、ソルスパーズ53095、ソルスパーズ56000、ソルスパーズ71000、ソルスパーズ76500、ソルスパーズD510、ソルスパーズD530、ソルスパーズL300、ソルスパーズK200、ソルスパーズK210、ソルスパーズK500、ソルスパーズR700;
共栄社製のフローレンDOPA-15B、フローレンDOPA-15BHFS、フローレンDOPA-17HF、フローレンDOPA-22、フローレンDOPA-35、フローレンG-600、フローレンG-820、フローレンNC-500、フローレンKDG-2400;
川研ファインケミカル社製のヒノアクトKF-1300M、ヒノアクトKF-1500、ヒノアクトKF-1700、ヒノアクトT-6000、ヒノアクトT-8000、ヒノアクトT-8000E、ヒノアクトT-9100、ヒノアクトA-110、ヒノアクトNB、
Evonik社製の、TEGODispers650、TEGODispers660C、TEGODispers662C、TEGODispers670、TEGODispers685、TEGODispers700、TEGODispers710、TEGODispers760W;
味の素ファインテクノ社製のアジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824、アジスパーPB881、
ビックケミー社製のDISPERBYK-106、DISPERBYK-108、DISPERBYK-140、DISPERBYK-142、DISPERBYK-145、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-167、DISPERBYK-168、DISPERBYK-180、DISPERBYK-182、DISPERBYK-184、DISPERBYK-185、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2013、DISPERBYK-2022、DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2026、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2055、DISPERBYK-2150、DISPERBYK-2155、DISPERBYK-2163、DISPERBYK-2164、BYK-9076、BYK-9077、ANTI-TERRA-U/U100、ANTI-TERRA-204、ANTI-TERRA-250、DISPERBYK、DISPERBYK-180、DISPERBYK-184、DISPERBYK-185、DISPERBYK-187、DISPERBYK-191、DISPERBYK-2010、DISPERBYK-2012、DISPERBYK-2013、DISPERBYK-2022、DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2026、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2055、DISPERBYK-2061等の顔料分散剤;
日油社製のフィラノールPA-075F、フィラノールPA-085C、フィラノールPA-107P、エスリームAD-3172M、エスリームAD-374M、エスリームAD-508E;
第一工業製薬社製のシャロールDC902P、シャロールDC303P;
日本乳化剤社製のテクスノールIL55、テクスノールCP-81等の高分子界面活性剤;等が挙げられる。
このメカニズムは必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
ガラス基板、SUS基板等の高極性被着体と粘着層との界面相互作用をカチオン性親水基を有する界面活性剤(S)が断ち切ることで、経時前および経時後のいずれにおいても、粘着層が低粘着力化し、再剥離性が向上すると考えられる。
界面活性剤(S)のアミン価が高すぎると、被着体と界面活性剤(S)との相互作用が大きくなりすぎるため、経時前、(湿)熱経時後の粘着力低下効果が十分に得られず良好な再剥離性を得られない恐れがある。アミン価が不揮発分換算で150mgKOH/g以下であれば、被着体と粘着層との相互作用を断ち切ることができると考えられる。
重量平均分子量(Mw)の上限値としては好ましくは、50000以下であり、より好ましくは20000以下であり、更に好ましくは15000以下である。50000以下であることによって、アクリル共重合体(A)との相溶性が向上し、粘着力低下効果を十分に得ることが出来る。
界面活性剤(S)の重量平均分子量(Mw)は、カタログ値または実測値を採用することができる。
界面活性剤(S)の添加量が0.01よりも少ないと、継時前、(湿)熱経時後、および中速剥離時の粘着層の粘着力低下効果が十分に得られず、良好な再剥離性が得られない。界面活性剤(S)の添加量が20質量部超えでは、(湿)熱環境に曝された場合に、界面活性剤(S)のブリードアウトによる被着体汚染に繋がる。
本発明の溶剤型粘着剤は、有機溶剤を含む。
有機溶剤は、粘着剤に含有していればよく、配合するタイミングは特に問わず、アクリル共重合体(A)の製造時に使用してもよく、粘着剤の製造時に使用してもよい。
有機溶剤を含有することで、アクリル共重合体(A)と界面活性剤(S)の相溶性が向上し、粘着剤中に界面活性剤(S)が均一に溶解または分散され、粘着シートにした際に界面活性剤(S)の効果を十分に発現することができる。
本発明の粘着剤が触媒を含む場合、粘着剤のポットライフを向上させる目的で、アセチルアセトン等の公知の触媒作用抑制剤を添加することが好ましい。
粘着層の粘着力の低下および濡れ性向上の観点から、本発明の粘着剤はさらに必要に応じて、1種以上の可塑剤(P)を含むことができる。可塑剤(P)としては特に制限されないが、アクリル共重合体(A)との相溶性等の観点から、有機酸エステルが好ましい。
酸化防止剤(C)としては、ラジカル捕捉剤および過酸化物分解剤等が挙げられる。ラジカル捕捉剤としては、フェノール系化合物およびアミン系化合物等が挙げられる。過酸化物分解剤としては、硫黄系化合物およびリン系化合物等が挙げられる。
酸化防止剤(C)の添加量は特に制限されず、アクリル共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部、特に好ましくは0.2~2質量部である。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸系化合物、シュウ酸アニリド系化合物、シアノアクリレート系化合物、およびトリアジン系化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤の添加量は特に制限されず、アクリル共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01~3質量部、より好ましくは0.1~2.5質量部、特に好ましくは0.2~2質量部である。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物およびヒンダードピペリジン系化合物等が挙げられる。光安定剤の添加量は特に制限されず、アクリル共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01~2質量部、より好ましくは0.1~1.5質量部、特に好ましくは0.2~1質量部である。
触媒としては公知のものを使用でき、例えば、有機金属系化合物および3級アミン系化合物等が挙げられる。
有機金属系化合物としては、錫系化合物および非錫系化合物等が挙げられる。
錫系化合物としては、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート(DBTDL)、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、トリブチル錫アセテート、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫クロライド、トリブチル錫トリクロロアセテート、および2-エチルヘキサン酸錫等が挙げられる。
非錫系化合物としては、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、およびブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン系;オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、およびナフテン酸鉛等の鉛系;2-エチルヘキサン酸鉄および鉄アセチルアセトネート等の鉄系;安息香酸コバルトおよび2-エチルヘキサン酸コバルト等のコバルト系;ナフテン酸亜鉛および2-エチルヘキサン酸亜鉛等の亜鉛系;ナフテン酸ジルコニウム等のジルコニウム系が挙げられる。
3級アミン系化合物としては、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、および1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)等が挙げられる。
触媒の使用量は特に制限されず、アクリル共重合体(A)100質量部に対して、好ましくは0.01~1.0質量%である。
本発明の粘着剤は必要に応じて、1種以上の帯電防止剤(AS剤)(ただし、界面活性剤(S)に該当するものは除く)を含むことができる。帯電防止剤としては、無機塩、イオン性液体、イオン固体、および界面活性剤等が挙げられ、中でもイオン性液体およびイオン固体が好ましい。なお、「イオン性液体」は常温溶融塩ともいい、25℃で流動性がある塩である。
アニオン性の低分子界面活性剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、およびアルキルホスフェート等が挙げられる。
両性の低分子界面活性剤としては、アルキルベタインおよびアルキルイミダゾリウムベタイン等が挙げられる。
アニオン性の高分子界面活性剤としては、ポリスチレンスルホン酸型等が挙げられる。
両性の高分子界面活性剤としては、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両性界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、および高級アルキルジヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
本発明の粘着剤は必要に応じて、レベリング剤を含むことができる。レベリング剤を添加することで、粘着層のレベリング性を向上させることができる。レベリング剤としては、アクリル系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、およびシリコーン系レベリング剤等が挙げられる、粘着シート再剥離後の被着体汚染抑制の観点から、アクリル系レベリング剤等が好ましい。
本発明の粘着剤の製造方法は、特に制限されない。
アクリル共重合体(A)に対して、硬化剤(B)、界面活性剤(S)、有機溶剤、および必要に応じて任意成分を添加混合することで、本発明の粘着剤を製造することができる。
本発明の粘着シートは、基材シートと、上記の本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む。粘着層は、基材シートの片面または両面に形成することができる。必要に応じて、粘着層の露出面は、剥離シートで被覆することができる。なお、剥離シートは、粘着シートを被着体に貼着する際に剥離される。
ポリウレタンシートを除く樹脂シートの厚みは特に制限されず、好ましくは15~300μmである。ポリウレタンシート(発泡体を含む)の厚みは特に制限されず、好ましくは20~50,000μmである。
金属箔の構成金属としては特に制限されず、アルミニウム、銅、およびこれらの組合せ等が挙げられる。
はじめに、基材シートの表面に本発明の粘着剤を塗工して、本発明の粘着剤からなる塗工層を形成する。塗布方法は公知方法を適用でき、ロールコーター法、コンマコーター法、ダイコーター法、リバースコーター法、シルクスクリーン法、およびグラビアコーター法等が挙げられる。
次に、塗工層を乾燥および硬化して、本発明の粘着剤の硬化物からなる粘着層を形成する。加熱乾燥温度は特に制限されず、60~150℃程度が好ましい。粘着層の厚み(乾燥後の厚み)は用途によって異なるが、好ましくは0.1~200μmである。
次に必要に応じて、公知方法により粘着層の露出面に剥離シートを貼着する。
以上のようにして、片面粘着シートを製造することができる。
上記操作を両面に行うことで、両面粘着シートを製造することができる。
本発明の粘着シートは、テープ、ラベル、シール、および両面テープ等の形態で、使用することができる。本発明の粘着シートは、表面保護シート、化粧用シート、および滑り止めシート等として好適に使用される。
液晶ディスプレイ(LCD)および有機エレクトロルミネセンスディスプレイ(OLED)等のフラットパネルディスプレイ、並びに、かかるフラットパネルディスプレイとタッチパネルとを組み合わせたタッチパネルディスプレイは、テレビ(TV)、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話、および携帯情報端末等の電子機器に広く使用されている。
本発明の粘着シートは、フラットパネルディスプレイおよびタッチパネルディスプレイ(これらを総称して単に「ディスプレイ」とも言う)、並びに、これらの製造工程で製造または使用される基板(ガラス基板、およびガラス基板上にITO(インジウム酸化錫)膜が形成されたITO/ガラス基板等)および光学部材等の表面保護シートとして好適に用いられる。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りとした。なお、Mn、Mwはいずれも、ポリスチレン換算値である。
<測定条件>
装置:島津製作所社製、LC-GPCシステム「Prominence」、
カラム:東ソー社製GMHXL 4本、東ソー社製HXL-H 1本を直列に連結、
検出器:示差屈折率検出器(RID-10A)、
溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
流速:1mL/分、
溶媒温度:40℃、
試料濃度:0.2%、
試料注入量:100μL。
共栓三角フラスコ中に試料1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=1/1)混合液100mlを加えて溶解した後、0.1N-アルコール性塩酸溶液を用いて滴定を行う。アミン価(単位:mgKOH/g)は次式により求める。
アミン価={(5.61×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
式中、各符号は以下のパラメータを示す。
S:試料の採取量(g)、
a:0.1N-アルコール性塩酸溶液の消費量(ml)、
F:0.1N-アルコール性塩酸溶液のファクター。
共栓三角フラスコ中に試料1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mlを加えて溶解した後、0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液を用いて滴定を行う。酸価(単位:mgKOH/g)は次式により求める。
酸価={(5.61×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
式中、各符号は以下のパラメータを示す。
S:試料の採取量(g)、
a:0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
F:0.1N-アルコール性水酸化カリウム溶液のファクター。
試料溶液約1gを金属容器に秤量し、150℃オーブンにて20分間乾燥して、残分を秤量して残率計算をし、不揮発分(不揮発分濃度)とした。
使用した材料は、以下の通りである。
<アクリル共重合体(A)>
(モノマー(a1):炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー)
2EHA:アクリル酸2-エチルヘキシル(Tg:-70℃)
BA:アクリル酸ブチル(Tg:-55℃)
EA:アクリル酸エチル(Tg:-24℃)
(モノマー(a2):反応性官能基を有するモノマー)
AA:アクリル酸(Tg:106℃)
HEA:アクリル酸2-ヒドロキシエチル(Tg:-15℃)
(モノマー(a3):アルキレンオキシド基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー)
2MTA:アクリル酸2-メトキシエチル(Tg:-50℃)
(モノマー(a4):上記モノマー(a1)~(a3)以外のラジカル重合性モノマー)
VAc:酢酸ビニル(Tg:32℃)
B-1:TDIアダクト(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体)
B-2:TETRAD-X(エポキシ系硬化剤、三菱ガス化学社製)
B-3:ケミタイト PZ-33(アジリジン系硬化剤、日本触媒社製)
用いたカチオン性親水基を有する界面活性剤(S)およびその他界面活性剤(R)のリストを表1に示す。表中、アミン価および酸価は不揮発分換算値(単位はmgKOH/g)である。
(P-1):アセチルクエン酸トリブチル(ATBC、三菱化学社製)
(P-2):アデカサイザー RS700(ポリエーテルエステル系可塑剤、ADEKA社製
<酸化防止剤(C)>
(C-1):IRGANOX 1010(フェノール系酸化防止剤、BASF社製)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下漏斗、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と称することがある)に、アクリル酸2-エチルヘキシル25部、アクリル酸ブチル23部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル2.0部、酢酸エチル50部、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.02部を仕込んだ後、反応容器内の空気を窒素ガスで置換した。更に、滴下漏斗に、アクリル酸2-エチルヘキシル25部、アクリル酸ブチル23部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル2.0部、酢酸エチル20部、AIBN0.02部を仕込んだ。次いで、反応容器内を窒素雰囲気下で撹拌しながら、80℃まで加熱し、反応を開始した後、滴下漏斗内容物を2時間かけて滴下しながら、窒素雰囲気下にて還流温度で8時間重合反応を行った。反応終了後、冷却し、酢酸エチルを加えて希釈し、不揮発分40%のアクリル系共重合体(A)溶液を得た。また、GPCを用いてアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、重量平均分子量は80万であった。
表2の材料および配合比率に変更した以外は、合成例1と同様の方法でそれぞれアクリル共重合体を合成した。
(実施例1)
アクリル系共重合体(A-1)100部に対し、硬化剤(B-1)2部、界面活性剤(S-11)0.5部、可塑剤(P-1)10部、酸化防止剤(C-1)1部をそれぞれ不揮発分換算にて配合し、更に、有機溶剤として酢酸エチルを不揮発分が35%となるように加え、均一になるよう混合して溶剤型粘着剤を得た。
但し、実施例1は参考例である。
得られた溶剤型粘着剤を、厚さ38μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート製)以下「剥離性フィルム基材」という)の剥離処理面上に、乾燥後の厚みが25μmとなるように上記で得られた粘着剤を塗工し、熱風オーブンにて100℃、2分間乾燥して粘着剤層を作製した。乾燥後、厚さ50μmの基材(ポリエチレンテレフタレート製)にラミネートし、さらに23℃50%RHで7日間養生し、粘着シートを得た。
実施例1と同様の方法で、アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)、界面活性剤(S)、可塑剤(P)、および酸化防止剤(C)の種類および配合量を表3~表7に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれ粘着剤組成物と粘着シートを得た。
但し、実施例2、6、7、35は参考例である。
実施例1と同様の方法で、アクリル系共重合体(A)、硬化剤(B)、界面活性剤(S)、可塑剤(P)、および酸化防止剤(C)を表8に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、それぞれ粘着剤組成物と粘着シートを得た。
粘着剤および粘着シートの評価項目および評価方法は、以下の通りである。
(ゲル分率)
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅30mm長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片を、SUSメッシュ(目開き:0.077mm、線径:0.05mm)に貼り付けた後、酢酸エチルに浸漬した。50℃で24時間抽出した後、100℃で30分乾燥し、下記式(1)に基づいて、硬化後のゲル分率(質量%)を算出した。
ゲル分率(質量%)=(G2/G1)×100・・・(1)
上記式中、各符号は以下のパラメータを示す。
G1:酢酸エチルで抽出する前の粘着層の質量、
G2:酢酸エチルによる抽出および乾燥後の粘着層の質量。
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅25mm長さ100mmの試験片を切り出した。次いで、23℃-50%RHの雰囲気下で、試験片から剥離シートを剥離し、露出した粘着層を苛性ソーダガラス板の表面に貼着し、2kgロールを1往復して圧着した。その後、23℃-50%RHの雰囲気下に24時間放置した。次いで、JISZ0237に準拠し、引張試験機(テンシロン:オリエンテック社製)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力(加熱前の粘着力)を測定した。評価基準は以下の通りである。
◎:100mN/25mm未満、優良。
○:100mN/25mm以上300mN/25mm未満、良好。
△:300mN/25mm以上500mN/25mm未満、実用可。
×:500mN/25mm以上、実用不可。
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅25mm長さ100mmの試験片を切り出した。次いで、23℃-50%RHの雰囲気下で、試験片から剥離シートを剥離し、露出した粘着層を苛性ソーダガラス板に貼着し、2kgロールを1往復して圧着した。その後、150℃の雰囲気下に1時間放置した。次いで、23℃-50%RHの雰囲気下で30分空冷した後、JISZ0237に準拠し、引張試験機(テンシロン:オリエンテック社製)を用いて、剥離速度300mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力(150℃加熱後の粘着力)を測定した。下記式(3)に基づいて、加熱後の粘着力の上昇率を算出した。
加熱後の粘着力の上昇率(%)=(N2/N1)×100・・・(3)
上記式中、各符号は以下のパラメータを示す。
N1:評価2で測定された粘着力の値、
N2:評価3で測定された150℃加熱後の粘着力の値。
評価基準は以下の通りである。
◎:200%未満、優良。
○:200%以上300%未満、良好。
△:300%以上500%未満、実用可。
×:500%以上、実用不可。
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅25mm長さ100mmの試験片を切り出した。次いで、23℃-50%RHの雰囲気下で、試験片から剥離シートを剥離し、露出した粘着層を苛性ソーダガラス板の表面に貼着し、2kgロールを1往復して圧着した。その後、23℃-50%RHの雰囲気下に24時間放置した。次いで、JISZ0237に準拠し、引張試験機(テンシロン:オリエンテック社製)を用いて、剥離速度5000mm/分、剥離角度180°の条件で粘着力を測定した。下記式(4)に基づいて、中速剥離性を算出した。
加熱後の粘着力の上昇率(%)=(N3/N1)×100・・・(4)
上記式中、各符号は以下のパラメータを示す。
N1:評価2で測定された粘着力の値、
N3:評価4で測定された中速剥離時の粘着力の値。
評価基準は以下の通りである。
◎:300%未満、優良。
○:300%以上500%未満、良好。
△:500%以上1000%未満、実用可。
×:1000%以上、実用不可。
23℃-50%RHの雰囲気下で1週間養生した後の粘着シートから幅70mm長さ100mmの2枚の試験片を切り出した。各試験片について、23℃-50%RHの雰囲気下で、剥離シートを剥離し、露出した粘着層の表面に苛性ソーダガラス板を貼着し、ラミネータで圧着した。得られた積層体を60℃-90%RHにセットしたオーブン内に72時間および120時間放置した。
積層体をそれぞれオーブンから取り出し、23℃-50%RHの雰囲気下で3時間空冷した後、ガラス板から粘着シートを剥離し、被着体汚染を評価した。暗室内で粘着シートを貼ってあった側のガラス板の表面にLED(発光ダイオード)ランプ光を照射し、目視観察にて評価した。評価基準は以下の通りである。
◎:72時間および120時間いずれの放置条件下おいても、ガラス表面に粘着層成分の付着が一切見られない、優良。
○:72時間条件下ではガラス表面に粘着層成分の付着が一切見られないが、120時間でガラス表面に1~3箇所に薄い粘着層成分の付着が見られる、良好。
△:72時間条件下でガラス表面に1~3箇所に薄い粘着層成分の付着が見られ、120時間条件下でガラス表面の4箇所以上に薄い粘着層成分の付着が見られる/もしくはガラス表面の1~2箇所に濃い粘着層成分の付着が見られる、実用可。
×:72時間および120時間いずれの放置条件下おいても、ガラス表面の4箇所以上に薄い粘着層成分の付着が見られる/もしくはガラス表面の1~2箇所に濃い粘着層成分の付着が見られる、実用不可。
評価結果を表3~8に示す。
Claims (3)
- アクリル共重合体(A)、硬化剤(B)、カチオン性親水基を有する1種以上の界面活性剤(S)、および有機溶剤を含有し、
アクリル共重合体(A)は、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a1)および反応性官能基を有するモノマー(a2)を含むラジカル重合性モノマー混合物の共重合体であって、
アクリル共重合体(A)を構成する全モノマー100質量%中、モノマー(a2)の割合が0.4~15質量%、アルキレンオキシド基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a3)の割合が10質量%未満であり、
界面活性剤(S)は不揮発分換算でアミン価が0.1~60mgKOH/gであり、
アクリル共重合体(A)100質量部に対する界面活性剤(S)の含有量が0.01~20質量部であり、
硬化後のゲル分率が50%以上である無機フィラーを含有しない溶剤型粘着剤。 - 界面活性剤(S)は、不揮発分換算で酸価が10mgKOH/g以下である、請求項1記載の溶剤型粘着剤。
- 基材シートと、請求項1または2に記載の溶剤型粘着剤の硬化物からなる粘着層とを含む、粘着シート。
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