本発明の光学フィルム用粘着剤組成物は、ベースポリマーとして(メタ)アクリル系ポリマー(A)を含む。(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、通常、モノマー単位として、アルキル(メタ)アクリレートを主成分として含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)の主骨格を構成する、アルキル(メタ)アクリレートとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の炭素数1〜18のものを例示できる。例えば、前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、イソデシル基、ドデシル基、イソミリスチル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、等を例示できる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらアルキル基の平均炭素数は3〜9であるのが好ましい。
また、フェノキシエチル(メタ)アクリレートのような芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートは、これを重合したポリマーを前記例示の(メタ)アクリル系ポリマーに混合して用いることができるが、透明性の観点から、芳香族環を含有するアルキル(メタ)アクリレートは、前記アルキル(メタ)アクリレートと共重合して用いるのが好ましい。
前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)中には、接着性や耐熱性の改善を目的に、(メタ)アクリロイル基またはビニル基等の不飽和二重結合を有する重合性の官能基を有する、1種類以上の共重合モノマーを共重合により導入することができる。そのような共重合モノマーの具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ) (メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリルや(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどのヒドロキシル基含有モノマー;(メタ)アクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミドやN−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N−置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N−(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN−(メタ)アクリロイル−6−オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N−(メタ)アクリロイル−8−オキシオクタメチレンスクシンイミド、N−アクリロイルモルホリンなどのスクシンイミド系モノマー;N−シクロヘキシルマレイミドやN−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミドやN−フェニルマレイミドなどのマレイミド系モノマー;N−メチルイタコンイミド、N−エチルイタコンイミド、N−ブチルイタコンイミド、N−オクチルイタコンイミド、N−2−エチルヘキシルイタコンイミド、N−シクロヘキシルイタコンイミド、N−ラウリルイタコンイミドなどのイタコンイミド系モノマー、なども改質目的のモノマー例としてあげられる。
さらに改質モノマーとして、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N−ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2−メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。さらには、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテル等があげられる。
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどがあげられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどがあげられる。
また、共重合モノマーとしては、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と多価アルコールとのエステル化物等の(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上有する多官能性モノマーや、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどの骨格にモノマー成分と同様の官能基として(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を2個以上付加したポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを用いることもできる。
(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、全構成モノマーの重量比率において、アルキル(メタ)アクリレートを主成分とし、(メタ)アクリル系ポリマー(A)中の前記共重合モノマーの割合は、特に制限されないが、前記共重合モノマーの割合は、全構成モノマーの重量比率において、0〜20%程度、0.1〜15%程度、さらには0.1〜10%程度であるのが好ましい。
これら共重合モノマーの中でも、接着性、長期保管後の耐久性の点から、ヒドロキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。(メタ)アクリル系ポリマー(A)がヒドロキシル基含有モノマーをモノマー単位として含有する場合には、長期保管後に、ポリエーテル化合物(B)の反応性シリル基が加水分解したシラノール基との相互作用が高まり、その結果、粘着剤層中のポリエーテル化合物(B)が被着体側に移行することを妨げることができ、長期保管後の耐久性の低下を抑制することができる。
ヒドロキシル基含有モノマーの中でも、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。一方、(メタ)アクリル系ポリマー(A)中にヒドロキシル基含有モノマーを過多に含む場合には、接着力が上昇してリワーク性が不利になるおそれがある。共重合モノマーとして、ヒドロキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、全構成モノマーの重量比率において、0.01〜10%が好ましく、0.03〜7%がより好ましく、さらには0.05〜5%が好ましい。
また共重合モノマーとしては、カルボキシル基含有モノマーが好ましい。(メタ)アクリル系ポリマー(A)中にカルボキシル基含有モノマーを含有する場合、粘着剤の接着力が上昇し、長期保管後においても粘着剤層の剥がれが発生し難くなる。一方、(メタ)アクリル系ポリマー(A)中のカルボキシル基含有モノマーの含有量が多くなると、粘着剤層のリワーク性が低下するおそれがある。リワーク性と、長期保管後の耐久性とをよりバランス良く向上するためには、共重合モノマーとして、カルボキシル基含有モノマーを含有する場合、その割合は、全構成モノマーの重量比率において、0.1〜10%が好ましく、0.2〜8%がより好ましく、さらには0.6〜6%が好ましい。
本発明の(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、通常、重量平均分子量が50万〜400万の範囲のものが用いられる。耐久性、特に耐熱性を考慮すれば、重量平均分子量は80万〜300万であるものを用いることが好ましい。さらには140万〜270万であることが好ましく、さらには170万〜250万であることがより好ましく、180万〜240万であることがさらに好ましい。重量平均分子量が50万よりも小さいと、耐熱性の点で好ましくない。また、重量平均分子量が400万よりも大きくなると貼り合せ性、接着力が低下する点でも好ましくない。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
このような(メタ)アクリル系ポリマー(A)の製造は、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマー(A)は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、通常、50〜70℃程度で、5〜30時間程度の反応条件で行われる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜のその使用量が調整される。
重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.005〜1重量部程度であることが好ましく、0.02〜0.5重量部程度であることがより好ましい。
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを用いて、前記重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマー(A)を製造するには、重合開始剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.06〜0.2重量部程度とするのが好ましく、さらには0.08〜0.175重量部程度とするのが好ましい。
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量はモノマー成分の全量100重量部に対して、0.1重量部程度以下である。
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100重量部に対して、0.3〜5重量部、重合安定性や機械的安定性から0.5〜1重量部がより好ましい。
本発明の粘着剤組成物は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)に加えて、下記一般式(1):
(式中、R
1はt価の炭素数1〜10の炭化水素基を示し、tは3〜4の整数であり、R
2は置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の1価の有機基であり、Mは加水分解性基であり、aは0〜2の整数であり、R
3は炭素数2〜4のアルキレン基を示し、R
4は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、rは1〜10の整数である。但し、R
2が複数存在するとき複数のRは互いに同一であっても異なっていてもよく、Mが複数存在するとき複数のMは互いに同一であっても異なっていてもよい。)で表される反応性シリル基を有するポリエーテル化合物(B)を含有する。
前記ポリエーテル化合物(B)における、前記反応性シリル基の個数は、R1に係る炭素数1〜10の炭化水素基のt価に対応しており3個または4個である。前記炭化水素基のt価は、t=4の場合はt=3の場合に比べてより分岐構造になり、反応性シリル基の個数も多くなることからt=4であるのが好ましい。
前記一般式(1)において、−SiR2 aM(3-a)で表される反応性シリル基における、R2は置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の1価の有機基である。R2は、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のフルオロアルキル基又はフェニル基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。R2が同一分子中に複数存在するとき複数のR2は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Mは水酸基又は加水分解性基である。加水分解性基はケイ素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じるものである。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、カルバモイル基、アミノ基、アミノオキシ基、ケトキシメート基等があげられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合には、その炭素数は6以下であることが好ましく、例えば、直鎖または分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、直鎖または分岐鎖の炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数5〜6のシクロアルキル基、フェニル基、フェノキシ基等があげられる。前記加水分解性基合としては、特に、炭素数4以下のアルコキシ基又はアルケニルオキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、プロペニルオキシ基等があげられる。特に、炭素数2〜4のアルコキシ基が好ましい。Mが同一分子中に複数存在するとき複数のMは互いに同一であっても異なっていてもよい。
前記アルコキシ基の炭素数が多い場合には、加水分解が起こりにくく、長期保管後の耐久性の点からは一般的に有利である。この点で、炭素数2〜4のアルコキシ基は、メトキシ基よりも好ましい。特に、エトキシ基が好ましい。
前記一般式(1)において、−SiR2 aM(3-a)で表される反応性シリル基における、aは、0〜2の整数であるが、0または1であるのが好ましく、さらには0であるのが好ましい。即ち、反応性シリル基は、−SiM3であるのが好ましい。前記のように、Mはアルコキシ基が好ましく、−SiM3としては、トリアルコキシシリル基が好ましい。特に、トリエトキシシリル基が好ましい。
前記一般式(1)において、R3は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、−(OR3)r−、はオキシアルキレン骨格を示す。前記炭素数2〜4のオキシアルキレン基は直鎖または分岐鎖であり、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等があげられる。これらオキシアルキレン基のなかでも、オキシエチレン基の構造単位を有するものは、骨格の親水性が高く、シラノールの発生による被着体への移行量の変化が小さいことから、長期保管後の耐久性がより低下しにくく特に好ましい。
前記rは1〜10の整数でありオキシアルキレン基の付加モル数である。rが2以上の場合には、−(OR3)r−、はオキシアルキレン基の繰り返し構造単位を示す。前記オキシアルキレン基の繰り返し構造単位は、1種のオキシアルキレン基の繰り返し構造単位であってもよく、2種以上のオキシアルキレン基のブロック単位またはランダム単位の繰り返し構造単位であってもよい。
前記一般式(1)における、−R4−は、炭素数1〜20のアルキレン基である。当該アルキレン基は、直鎖または分岐鎖のいずれでもよい。
なお、前記一般式(1)において、例えば、R1には、
下記一般式(A):−(OR3)r−O−CONH−R4−SiR2 aM(3-a)
で表わされる、オキシアルキレン骨格を含有する反応性シリル基が、3個または4個結合しているが、当該オキシアルキレン骨格を含有する反応性シリル基は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
前記ポリエーテル化合物(B)は、重量平均分子量がリワーク性の点から、1000〜20000であることが好ましい。前記重量平均分子量の下限は、1000以上、さらには1200以上であることが好ましく、一方、上限は10000以下、さらには5000以下であるのが好ましい。前記重量平均分子量は、前記上限値または下限値を採用して好ましい範囲を設定できる。
前記ポリエーテル化合物(B)としては、下記一般式(2):
(式中、n1、n2、n3、n4は1又は2であり、n1+n2+n3+n4=4〜5である。)で表される化合物が好ましく用いられる。n1、n2、n3、n4は、オキシエチレン基の付加モル数であり、一般式(1)におけるrに対応する。
また、前記ポリエーテル化合物(B)としては、下記一般式(3):
(式中、m1、m2、m3は1又は2であり、m1+m2+m3=5〜6である。)で表される化合物が好ましく用いられる。m1、m2、m3は、オキシエチレン基の付加モル数であり、一般式(1)におけるrに対応する。
前記一般式(1)、(2)または(3)で表されるポリエーテル化合物(B)は、例えば、分子末端に官能基を有するオキシアルキレン重合体を原料に用い、その分子末端にアルキレン基等の有機基を介して反応性シリル基を結合させて製造することができる。原料として用いるオキシアルキレン重合体としては、触媒および開始剤の存在下に環状エーテルを開環重合反応させて得られる水酸基末端の重合体が好ましい。
また、前記重合体のMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は、4.0以下が好ましく、1.4以下がより好ましい。Mw/Mnが小さな反応性シリル基を有するポリエーテル化合物(B)を得るためには、特に下記複合金属シアン化物錯体を触媒に用い、開始剤の存在下、環状エーテルを重合させて得られるオキシアルキレン重合体を用いることが特に好ましく、そのような原料オキシアルキレン重合体の末端を変性して反応性シリル基とする方法が最も好ましい。
上記開始剤としては1分子あたり3個または4個の水酸基を有し、かつ炭素数1〜10の炭化水素基を有する化合物、例えば、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
開始剤存在下に環状エーテルを開環重合させる際には、重合触媒を用いることができる。重合触媒としては、例えば水酸化カリウムおよびカリウムメトキシド等のカリウム化合物、ならびに水酸化セシウム等のセシウム化合物などのアルカリ金属化合物;複合金属シアン化物錯体;金属ポルフィリン錯体;ならびに、P=N結合を有する化合物などが例示できる。
前記一般式(1)で表されるポリエーテル化合物(B)におけるポリオキシアルキレン鎖は、炭素数2〜4のアルキレンオキシドの開環重合により形成されたオキシアルキレンの重合単位からなるのが好ましく、エチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびブチレンオキシドからなる群から選ばれる1種以上のアルキレンオキシドの開環重合により形成されたオキシアルキレン基の繰り返し構造単位からなるのがより好ましく、エチレンオキシドの開環重合により形成されたオキシアルキレンの繰り返し構造単位からなるのが特に好ましい。ポリオキシアルキレン鎖が2種以上のオキシアルキレン基の繰り返し構造単位からなる場合、2種以上のオキシアルキレン基の繰り返し構造単位の並び方は、ブロック状であってもよくランダム状であってもよい。
前記ポリエーテル化合物(B)において反応性シリル基の導入手法としては、ポリオキシアルキレン鎖とヒドロキシ基を有する重合体とイソシアネート基を有するシランカップリング剤とをウレタン化反応させることにより得ることができる。
開始剤存在下に環状エーテルを開環重合させて得られる水酸基末端のオキシアルキレン重合体(原料オキシアルキレン重合体とも記す)の末端基に反応性シリル基を導入する方法は特に限定されないが、通常は前記末端の水酸基にさらに有機基を介して反応性シリル基を連結させる方法が好ましい。
例えば、末端に水酸基を有する原料オキシアルキレン重合体を、反応性シリル基を有するイソシアネートシラン化合物と反応させる方法が挙げられる。当該化合物としては、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、1−イソシアネートメチルトリエトキシシラン、1−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、1−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1−イソシアネートメチルメチルジメトキシシラン、1−イソシアネートメチルジメチルモノメトキシシラン、1−イソシアネートメチルメチルジエトキシシラン、1−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、1−イソシアネートプロピルジメチルモノメトキシシラン、1−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルメチルジメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルジメチルモノメトキシシラン、および3−イソシアネートプロピルメチルジエトキシシランなどのイソシアネートシラン系化合物が例示できる。この中で、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1−イソシアネートメチルメチルジエトキシシランがさらに好ましく、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランが特に好ましい。
原料オキシアルキレン重合体の水酸基(OH)に対し、イソシアネートシラン系化合物のイソシアネート基(NCO)が、モル比でNCO/OH=0.70〜1.05となるようにして反応を行うことが好ましい。この方法は製造工程数が少ないために工程時間を大幅に短縮でき、製造工程途中で副生する不純物もなく、精製等の煩雑な操作も不要である。さらに好ましいNCO基とOH基の比率は、NCO/OH(モル比)=0.80〜0.95である。NCO比率が少ない場合には、残ったOH基と反応性シリル基との反応等が起こり、貯蔵安定性が好ましくない。そのような場合には、新たにイソシアネートシラン化合物かもしくはモノイソシアネート化合物を反応させ、過剰のOH基を消費し、所定のシリル化率に調整することが好ましい。
原料オキシアルキレン重合体の水酸基を上記イソシアネートシラン化合物と反応させる際には、公知のウレタン化反応触媒を用いてもよい。ウレタン化反応触媒の使用の有無および使用量によって反応温度および反応が完結するまでに要する反応時間は異なるが、一般に20〜200℃、好ましくは50〜150℃の温度で数時間反応を行うことが好ましい。
本発明の粘着剤組成物におけるポリエーテル化合物(B)の割合は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましい。ポリエーテル化合物(B)が0.001重量部未満では、リワーク性の向上効果が十分ではない場合がある。ポリエーテル化合物(B)は、0.005重量部以上が好ましく、さらには0.01重量部以上であるのが好ましい。一方、ポリエーテル化合物(B)は5重量部より多いと、耐湿性が十分ではなく、信頼性試験等で剥がれが生じやすくなる。ポリエーテル化合物(B)は、1重量部以下が好ましく、さらには0.5重量部以下であるのが好ましい。前記ポリエーテル化合物(B)の割合は、前記上限値または下限値を採用して好ましい範囲を設定できる。
本発明の粘着剤組成物には、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)およびポリエーテル化合物(B)に加えて、架橋剤を含有することできる。架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートを用いることができる。有機系架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤、過酸化物系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などがあげられる。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
架橋剤としては、イソシアネート系架橋剤および/または過酸化物形架橋剤が好ましい。イソシアネート系架橋剤に係る化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアナート、テトラメチレンジイソシアナート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマー及びこれらイソシアネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシアネート化合物やイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物、さらにはポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなど付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネートなどを挙げることができる。特に好ましくは、ポリイソシアネート化合物であり、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物である。ここで、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートからなる群より選択される1種またはそれに由来するポリイソシアネート化合物には、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリオール変性ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリオール変性水添キシリレンジイソシアネート、トリマー型水添キシリレンジイソシアネート、およびポリオール変性イソホロンジイソシアネートなどが含まれる。例示したポリイソシアネート化合物は、水酸基との反応が、特にポリマーに含まれる酸、塩基を触媒のようにして、迅速に進む為、特に架橋の早さに寄与し、好ましい。
過酸化物としては、加熱または光照射によりラジカル活性種を発生して粘着剤組成物のベースポリマーの架橋を進行させるものであれば適宜使用可能であるが、作業性や安定性を勘案して、1分間半減期温度が80℃〜160℃である過酸化物を使用することが好ましく、90℃〜140℃である過酸化物を使用することがより好ましい。
用いることができる過酸化物としては、たとえば、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:90.6℃)、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.4℃)、t−ブチルパーオキシネオデカノエート(1分間半減期温度:103.5℃)、t−ヘキシルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:109.1℃)、t−ブチルパーオキシピバレート(1分間半減期温度:110.3℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジ−n−オクタノイルパーオキシド(1分間半減期温度:117.4℃)、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(1分間半減期温度:124.3℃)、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド(1分間半減期温度:128.2℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)、t−ブチルパーオキシイソブチレート(1分間半減期温度:136.1℃)、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン(1分間半減期温度:149.2℃)などがあげられる。なかでも特に架橋反応効率が優れることから、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(1分間半減期温度:92.1℃)、ジラウロイルパーオキシド(1分間半減期温度:116.4℃)、ジベンゾイルパーオキシド(1分間半減期温度:130.0℃)などが好ましく用いられる。
なお、過酸化物の半減期とは、過酸化物の分解速度を表す指標であり、過酸化物の残存量が半分になるまでの時間をいう。任意の時間で半減期を得るための分解温度や、任意の温度での半減期時間に関しては、メーカーカタログなどに記載されており、たとえば、日本油脂株式会社の「有機過酸化物カタログ第9版(2003年5月)」などに記載されている。
架橋剤の使用量は、(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、さらには0.03〜10重量部が好ましい。なお、架橋剤が0.01重量部未満では、粘着剤の凝集力が不足する傾向があり、加熱時に発泡が生じるおそれがあり、一方、20重量部より多いと、耐湿性が十分ではなく、信頼性試験等で剥がれが生じやすくなる。
上記イソシアネート系架橋剤は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、前記ポリイソシアネート化合物架橋剤を0.01〜2重量部含有してなることが好ましく、0.02〜2重量部含有してなることがより好ましく、0.05〜1.5重量部含有してなることがさらに好ましい。凝集力、耐久性試験での剥離の阻止などを考慮して適宜含有させることが可能である。
前記過酸化物は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、前記過酸化物0.01〜2重量部であり、0.04〜1.5重量部含有してなることが好ましく、0.05〜1重量部含有してなることがより好ましい。加工性、リワーク性、架橋安定性、剥離性などの調整の為に、この範囲内で適宜選択される。
なお、反応処理後の残存した過酸化物分解量の測定方法としては、たとえば、HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により測定することができる。
より具体的には、たとえば、反応処理後の粘着剤組成物を約0.2gずつ取り出し、酢酸エチル10mlに浸漬し、振とう機で25℃下、120rpmで3時間振とう抽出した後、室温で3日間静置する。次いで、アセトニトリル10ml加えて、25℃下、120rpmで30分振とうし、メンブランフィルター(0.45μm)によりろ過して得られた抽出液約10μlをHPLCに注入して分析し、反応処理後の過酸化物量とすることができる。
さらに、本発明の粘着剤組成物には、シランカップリング剤(C)を含有することできる。シランカップリング剤(C)を用いることにより、耐久性を向上させることができる。シランカップリング剤としては、具体的には、たとえば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有シランカップリング剤;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基含有シランカップリング剤;アセトアセチル基を有するシランカップリング剤などが挙げられる。
前記シランカップリング剤(C)は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は前記(メタ)アクリル系ポリマー(A)100重量部に対し、前記シランカップリング剤0.001〜5重量部が好ましく、さらには0.01〜1重量部が好ましく、さらには0.02〜1重量部がより好ましく、さらには0.05〜0.6重量部が好ましい。耐久性を向上させ、液晶セル等の光学部材への接着力を適度に保持する量である。
さらに本発明の粘着剤組成物には、その他の公知の添加剤を含有していてもよく、たとえば、着色剤、顔料などの粉体、染料、界面活性剤、可塑剤、粘着性付与剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、無機または有機の充填剤、金属粉、粒子状、箔状物などを使用する用途に応じて適宜添加することができる。また、制御できる範囲内で、還元剤を加えてのレドックス系を採用してもよい。
前記粘着剤組成物により、粘着剤層を形成するが、粘着剤層の形成にあたっては、架橋剤全体の添加量を調整することとともに、架橋処理温度や架橋処理時間の影響を十分考慮することが好ましい。
使用する架橋剤によって架橋処理温度や架橋処理時間は、調整が可能である。架橋処理温度は170℃以下であることが好ましい。
また、かかる架橋処理は、粘着剤層の乾燥工程時の温度で行ってもよいし、乾燥工程後に別途架橋処理工程を設けて行ってもよい。
また、架橋処理時間に関しては、生産性や作業性を考慮して設定することができるが、通常0.2〜20分間程度であり、0.5〜10分間程度であることが好ましい。
本発明の粘着剤層付光学フィルムなどの粘着型光学部材は、光学フィルムの少なくとも片面に、前記粘着剤により粘着剤層を形成したものである。
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、前記粘着剤組成物を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成した後に光学フィルムに転写する方法、または光学フィルムに前記粘着剤組成物を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を光学フィルムに形成する方法などにより作製される。なお、粘着剤の塗布にあたっては、適宜に、重合溶剤以外の一種以上の溶剤を新たに加えてもよい。
剥離処理したセパレーターとしては、シリコーン剥離ライナーが好ましく用いられる。このようなライナー上に本発明の接着剤組成物を塗布、乾燥させて粘着剤層を形成する工程において、粘着剤を乾燥させる方法としては、目的に応じて、適宜、適切な方法が採用され得る。好ましくは、上記塗布膜を過熱乾燥する方法が用いられる。加熱乾燥温度は、好ましくは40℃〜200℃であり、さらに好ましくは、50℃〜180℃であり、特に好ましくは70℃〜170℃である。加熱温度を上記の範囲とすることによって、優れた粘着特性を有する粘着剤を得ることができる。
乾燥時間は、適宜、適切な時間が採用され得る。上記乾燥時間は、好ましくは5秒〜20分、さらに好ましくは5秒〜10分、特に好ましくは、10秒〜5分である。
また、光学フィルムの表面に、アンカー層を形成したり、コロナ処理、プラズマ処理などの各種易接着処理を施した後に粘着剤層を形成することができる。また、粘着剤層の表面には易接着処理をおこなってもよい。
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。具体的には、例えば、ロールコート、キスロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、ディップロールコート、バーコート、ナイフコート、エアーナイフコート、カーテンコート、リップコート、ダイコーターなどによる押出しコート法などの方法があげられる。
粘着剤層の厚さは、特に制限されず、例えば、1〜100μm程度である。好ましくは、2〜50μm、より好ましくは2〜40μmであり、さらに好ましくは、5〜35μmである。
前記粘着剤層が露出する場合には、実用に供されるまで剥離処理したシート(セパレーター)で粘着剤層を保護してもよい。
セパレーターの構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルム、紙、布、不織布などの多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔、およびこれらのラミネート体などの適宜な薄葉体などをあげることができるが、表面平滑性に優れる点からプラスチックフィルムが好適に用いられる。
そのプラスチックフィルムとしては、前記粘着剤層を保護し得るフィルムであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフイルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルムなどがあげられる。
前記セパレーターの厚みは、通常5〜200μm、好ましくは5〜100μm程度である。前記セパレーターには、必要に応じて、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系もしくは脂肪酸アミド系の離型剤、シリカ粉などによる離型および防汚処理や、塗布型、練り込み型、蒸着型などの帯電防止処理もすることもできる。特に、前記セパレーターの表面にシリコーン処理、長鎖アルキル処理、フッ素処理などの剥離処理を適宜おこなうことにより、前記粘着剤層からの剥離性をより高めることができる。
なお、上記の粘着剤層付光学フィルムの作製にあたって用いた、剥離処理したシートは、そのまま粘着剤層付光学フィルムのセパレーターとして用いることができ、工程面における簡略化ができる。
光学フィルムとしては、液晶表示装置等の画像表示装置の形成に用いられるものが使用され、その種類は特に制限されない。例えば、光学フィルムとしては偏光フィルムがあげられる。偏光フィルムは偏光子の片面または両面には透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
前記偏光子としては厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることができる。薄型化の観点から言えば当該厚みは1〜7μmであるのが好ましい。このような薄型の偏光子は、厚みムラが少なく、視認性が優れており、また寸法変化が少ないため耐久性に優れ、さらには偏光フィルムとしての厚みも薄型化が図れる点が好ましい。しかしながら、一般的に偏光フィルムが薄くなるにつれて、リワーク性と長期保管後の耐久性との両立が難しくなり、特に薄型偏光子を使用することに起因して、偏光フィルムが薄くなる場合には、リワークの際に特に偏光フィルムが破断しやすくなるため、リワーク性と長期保管後の耐久性との両立が著しく困難になるのが実情であった。これに対して、本発明に係る粘着剤組成物から得られた粘着剤層は、リワーク性を向上させても長期保管後の耐久性が低下しないため、本発明に係る粘着剤組成物から得られた粘着剤層は、透明保護フィルムが片側または両側に積層された薄型偏光子を有する、粘着剤層付偏光フィルム用の粘着剤層として特に有用である。
薄型の偏光子としては、代表的には、特開昭51−069644号公報や特開2000−338329号公報や、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。これら薄型偏光膜は、ポリビニルアルコール系樹脂(以下、PVA系樹脂ともいう)層と延伸用樹脂基材を積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法による得ることができる。この製法であれば、PVA系樹脂層が薄くても、延伸用樹脂基材に支持されていることにより延伸による破断などの不具合なく延伸することが可能となる。
前記薄型偏光膜としては、積層体の状態で延伸する工程と染色する工程を含む製法の中でも、高倍率に延伸できて偏光性能を向上させることのできる点で、WO2010/100917号パンフレット、PCT/JP2010/001460の明細書、または特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるようなホウ酸水溶液中で延伸する工程を含む製法で得られるものが好ましく、特に特願2010−269002号明細書や特願2010−263692号明細書に記載のあるホウ酸水溶液中で延伸する前に補助的に空中延伸する工程を含む製法により得られるものが好ましい。
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等が挙げられる。電子線硬化型偏光フィルム用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
また光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光フィルムに、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
偏光フィルムに前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光フィルムと他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
本発明の粘着剤層付光学フィルムは液晶表示装置等の各種画像表示装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セル等の表示パネルと粘着剤層付光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による粘着剤層付光学フィルムを用いる点を除いて特に限定は無く、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型、VA型、IPS型などの任意なタイプなどの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セル等の表示パネルの片側又は両側に粘着剤層付光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による光学フィルムは液晶セル等の表示パネルの片側又は両側に設置することができる。両側に光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。以下に特に規定のない室温放置条件は全て23℃65%RHである。
<(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量の測定>
(メタ)アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製、HLC−8120GPC
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8ml/min
・注入量:100μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
<ポリエーテル化合物(B)の重量平均分子量の測定>
ポリエーテル化合物(B)の重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定した。
・分析装置:東ソー社製,HLC−8120GPC
・カラム:TSKgel,SuperHZM‐H/HZ4000/HZ2000
・カラムサイズ:6.0mmI.D.×150mm
・カラム温度:40℃
・流量:0.6ml/min
・注入量:20μl
・溶離液:テトラヒドロフラン
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
<ポリエーテル化合物(B)のIRスペクトルの測定>
IRスペクトルは、Thermo sientific製NICOLET6700を用いて、KBr板を用いた液膜法にて測定した。
(偏光フィルムの作成)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、速度比の異なるロール間において、30℃、0.3%濃度のヨウ素溶液中で1分間染色しながら、3倍まで延伸した。その後、60℃、4%濃度のホウ酸、10%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に0.5分間浸漬しながら総合延伸倍率が6倍まで延伸した。次いで、30℃、1.5%濃度のヨウ化カリウムを含む水溶液中に10秒間浸漬することで洗浄した後、50℃で4分間乾燥を行い偏光子(厚さ30μm)を得た。当該偏光子の両面に、けん化処理した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤により貼り合せて偏光フィルムを作成した。
製造例1
<アクリル系ポリマー(A1)の調製>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート99部、4−ヒドロキシブチルアクリレート1部、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル100gと共に仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って8時間重合反応を行い、重量平均分子量160万のアクリル系ポリマー(A1)の溶液を調製した。
製造例2
<ポリエーテル化合物(B1)の調製>
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、ペンタエリスリトールポリオキシエチレンエーテル(日本乳化剤社製、PNT−40)100g、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−9007)276g(NCO/OH=0.9)を仕込み、105℃に加熱して8時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量2400、粘度1530mm2/sであった。この化合物について反応終了後のIRスペクトルを図1以下に示す。なお、得られたポリエーテル化合物(B1)は、前記一般式(2)で表わすことができる。
製造例3
<ポリエーテル化合物(B2)の調製>
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、トリメチロールプロパンポリオキシエチレンエーテル(日本乳化剤社製、TMP−60)50g、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−9007)84g(NCO/OH=0.9)を仕込み、105℃に加熱して8時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量1950、粘度520mm2/sであった。この化合物について反応終了後のIRスペクトルを以下に示す。なお、得られたポリエーテル化合物(B2)は、前記一般式(3)で表わすことができる。
製造例4
<ポリエーテル化合物(B3)の調製>
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート及び温度計を備えた1Lセパラブルフラスコに、ポリエチレングリコール(日本油脂社製、PEG−600)73g、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE−9007)56g(NCO/OH=0.9)を仕込み、105℃に加熱して8時間加熱撹拌した。その後、IR測定により原料のイソシアネート基由来の吸収ピークが完全に消失し、代わりにウレタン結合由来の吸収ピークが生成したことを確認し、反応終了とした。得られた反応生成物は淡黄色液体であり、重量平均分子量1990、粘度240mm
2/sであった。この化合物について反応終了後のIRスペクトルを以下に示す。なお、得られたポリエーテル化合物(B3)は、前記一般式(4)
(式中、lは12〜14である。)で表わすことができる。
実施例1
(粘着剤組成物の調製)
製造例1で得られたアクリル系ポリマー(A1)溶液の固形分100部に対して、製造例2で調製したポリエーテル化合物(B1)0.001部、イソシアネート架橋剤(三井武田ケミカル社製のタケネートD110N、トリメチロールプロパンキシレンジイソシアネート)0.1部、およびベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製のナイパーBMT)0.3部を配合して、アクリル系粘着剤組成物の溶液(固形分15%)を調製した。
(粘着剤層付偏光フィルムの作製)
次いで、上記アクリル系粘着剤溶液を、シリコーン処理を施した、38μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(三菱化学ポリエステルフィルム(株)製,MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが23μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行って粘着剤層を形成した。得られた粘着剤層を、上記で得られた偏光フィルムに転写し、粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
実施例2〜8および比較例1〜2
実施例1において、ポリエーテル化合物(B)の種類またはその使用量を表1に示すように変えたこと、シランカップリング剤(C)を表1に示す割合で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着剤層付偏光フィルムを作製した。
上記実施例および比較例で得られた、粘着剤層付偏光フィルムについて以下の評価を行った。評価結果を表1に示す。
<塗工直後の耐久性試験>
粘着剤層付偏光フィルムを、37インチサイズとし、厚さ0.7mmの無アルカリガラス(コーニング社製,EG−XG)にラミネーターを用いて貼着した。次いで、50℃、0.5MPaで15分間オートクレーブ処理して、粘着剤層付偏光フィルムを完全に無アクリルガラスに密着させた。かかる処理の施された粘着剤層付偏光フィルム(サンプル)に、85℃の雰囲気下で500時間処理を施した後(加熱試験)、60℃/95%RHの雰囲気下で500時間処理を施した後(加湿試験)、85℃と−40℃の環境を1サイクル1時間で300サイクルを施した後(ヒートショック試験)、偏光板とガラスの間の外観を下記基準で目視にて評価した。
◎:発泡、剥がれなどの外観上の変化が全くなし。
○:わずかながら端部に剥がれ、または発泡があるが、実用上問題なし。
△:端部に剥がれ、または発泡があるが、特別な用途でなければ、実用上問題なし。
×:端部に著しい剥がれあり、実用上問題あり。
<長期保管後の耐久性試験>
粘着剤層付偏光フィルムを、粘着塗工後から12ヶ月室温にて保管した。かかるサンプルを、上記と同様の耐久性試験に投入し、偏光板とガラスの間の外観を下記基準で目視にて評価した。
◎:発泡、剥がれなどの外観上の変化が全くなし。
○:わずかながら端部に剥がれ、または発泡があるが、実用上問題なし。
△:端部に剥がれ、または発泡があるが、特別な用途でなければ、実用上問題なし。
×:端部に著しい剥がれあり、実用上問題あり。
<リワーク性>
粘着剤層付偏光フィルムを、縦420mm×横320mmに裁断し、厚さ0.7mmの無アルカリガラス板(コーニング社製,EG−XG)に、ラミネーターを用いて貼り付け、次いで50℃、5atmで15分間オートクレーブ処理して完全に密着させたもの(サンプル)の接着力を測定した(初期接着力)。また、粘着剤層付偏光フィルムを、前記同様にしてガラス板に貼り付け、オートクレーブ処理したサンプルを、60℃乾燥条件下で48時間加熱処理を施した後、かかるサンプルの接着力を測定した(加熱後)。接着力は、かかるサンプルを引張り試験機(オートグラフSHIMAZU AG−1 10KN)にて、剥離角度90°、剥離速度300mm/minで引き剥がす際の接着力(N/25mm、測定時80m長)を測定することにより求めた。測定は、1回/0.5sの間隔でサンプリングし、その平均値を測定値とした。
表1において、シランカップリング剤(C)には、信越化学工業(株)製のKBM403を用いた。