JP2019218470A - 粘着剤溶液および粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】低温〜常温(−10〜25℃程度)での粘着力とタック性に優れると共に、高温(40℃以上)での保持力と加工性に優れた粘着剤を提供すること。【解決手段】共重合体、硬化剤およびテルペン樹脂を含んでなる粘着剤であって、上記共重合体が、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)およびカルボキシル基を有するモノマー(B)を含むモノマー混合物の共重合体であり、上記共重合体の含有率が、40質量%以上である、粘着剤。【選択図】 なし

Description

本発明は、粘着剤および粘着シートに関する。
粘着剤から形成した粘着剤層を有する粘着シートは、接着剤と比べて取り扱いが容易であることから、表示用ラベルや固定用テープとして幅広い分野で使用されている。粘着シートをプラスチックや金属等の容器の内容物を表示するラベルとして使用することは多々あるが、特に使用環境が低温の場合、ラベルが被着体から浮いたり剥がれが生じたりするという問題があった。
特許文献1には、20質量%以上のn−オクチルアクリレートを含む炭素数1〜14のアルキル基を有する1種以上のアルキルアクリレートと共重合可能な官能性モノマーとを主成分とし、溶剤中で共重合して得られたアクリル系溶剤型粘着剤が開示されている。しかし、実施例に記載されているアクリル系共重合体と併用するタッキファイヤが液状ロジンであり、これでは低温タックは発現するものの、加工性が不足しているという問題があった。
また、特許文献2には、(メタ)アクリル共重合体100質量部及び粘着付与樹脂5〜30質量部を含有する感圧接着剤組成物において、上記粘着付与樹脂が(A)20℃で粘稠体である粘着付与樹脂の少なくとも一種及び(B)20℃で固体である粘着付与樹脂の少なくとも一種を含有し、且つ該(A)成分の含有量と該(B)成分の含有量との質量比A/Bが0.1〜9であることを特徴とする感圧接着剤組成物が開示されている。しかし、低温環境下では十分にタック性が発現しないという問題があった。
特開平10−67974号公報 特開平08−283683号公報
本発明が解決しようとする課題は、低温〜常温(−10〜25℃程度)での粘着力とタック性に優れると共に、高温(40℃以上)での保持力と加工性に優れた粘着剤を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す感圧式接着剤により、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の実施態様は、共重合体、硬化剤およびテルペン樹脂を含んでなる粘着剤であって、上記共重合体が、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)およびカルボキシル基を有するモノマー(B)を含むモノマー混合物の共重合体であり、上記共重合体の含有率が、40質量%以上である、粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、上記モノマー混合物が、さらにアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(C)または炭素数1〜3のカルボン酸ビニルモノマー(D)を含む、上記粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、上記共重合体100質量部に対して、上記テルペン樹脂を5〜40質量部含む、上記粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、上記モノマー混合物中に、上記モノマー(A)を80〜97質量%含む、上記粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、上記モノマー混合物中に、上記モノマー(C)および(D)の合計を2〜20質量%含む、上記粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、カルボキシル基を有するモノマー(B)が、少なくとも(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸2‐カルボキシエチルを含む、上記粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、上記テルペン樹脂が、構造単位としてテルペンのみからなる樹脂である、上記粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、更に、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹、脂脂肪族/芳香族系石油樹脂およびロジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の粘着付与樹脂を含む、上記粘着剤である。
また、本発明の実施態様は、基材、および上記粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える、粘着シートである。
本発明によって、低温〜常温(−10〜25℃程度)での粘着力とタック性に優れると共に、高温(40℃以上)での保持力と加工性に優れた粘着剤を提供することができるようになった。
本発明の説明の前に用語を定義する。本明細書では、「被着体」とは、粘着シートを貼り付ける対象物をいう。「テープ」、「フィルム」、「シート」は同義である。また「(メタ)アクリル酸エステルモノマー」とは、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーを表し、単にモノマーと表記する場合もある。本明細書において、特に明記しない限り、「分子量」は、重量平均分子量(Mw)を意味する。
本発明で用いられる共重合体は、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)およびカルボキシル基を有するモノマー(B)を含むモノマー混合物を重合して得ることができる。共重合体の重合方法は、低温環境下の粘着力、タック性と加工性、保持力の両立の点で、溶液重合が好ましい。なお本明細書で溶液重合は、紫外線重合、塊状重合等の溶媒に水を含まない重合方法を包含している。
本発明では、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)およびカルボキシル基を有するモノマー(B)含むモノマー混合物の共重合体、硬化剤、ならびにテルペン樹脂を併用することで、低温環境下の粘着力、タック性と加熱環境下での加工性、保持力の両立を実現できた。一般に(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分としたアクリル共重合体を含む粘着剤を使用した粘着シートは、低温環境下での粘着力を付与するためにアルキル基の炭素数の長いモノマーを使用することで、共重合体のガラス転移温度を低くする手法、粘着付与樹脂を添加する手法が用いられる。しかし、アルキル基の炭素数の長いモノマーを使用することで凝集力が不足し、加工性の悪化や粘着付与樹脂を添加することでタック性が低下する問題が生じる。そこで本発明ではアルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)とカルボキシル基を有するモノマー(B)を併用することで加熱環境下での加工性の悪化を抑制し、十分な保持力を発現させた。また粘着付与樹脂にテルペン樹脂を選定することで低温環境化でも良好な粘着力とタック性を得ることができた。
本発明においてアルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)は、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを意味する。アルキル基の炭素数が8〜12の範囲にあることで共重合体のガラス転移温度を低くすることができ、低温環境下で良好な粘着力とタック性を得ることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどが挙げられる。アルキル基の構造は、直鎖構造、分岐構造のいずれの構造を有しても良い。さらに、これらの中でも(メタ)アクリル酸オクチルおよび(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが好ましく、特に(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルは、低温環境下での粘着力、タック性が優れるためより好ましい。これらのモノマーは、単独または2種以上を併用できる。
アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)は、共重合に使用するモノマー混合物100質量%中、70〜97質量%を含むことが好ましく、80〜97質量%がより好ましく、90〜97質量%が特に好ましい。70質量%以上であれば低温環境で良好な粘着力、タック性が得やすくなる。97質量%以下であれば加熱環境下での加工性、保持力が良好となる。
カルボキシル基を有するモノマー(B)は、カルボキシル基を含有することで粘着力、タック性、加工性のバランスの優れた共重合体を得ることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2‐カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸2−サクシノイルオキシエチル、マレイン酸、モノエチルマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フマル酸などが挙げられる。さらにこれらのなかでも(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2‐カルボキシエチルが共重合性の面で好ましい。これらのモノマーは、単独または2種以上を併用でき、(メタ)アクリル酸2‐カルボキシエチルを含むことがタック性の面で特に好ましい。
カルボキシル基を有するモノマー(B)は重合に使用するモノマー混合物100質量%中、0.5〜10質量%を含むことが好ましく、1〜8質量%がより好ましく、1.5〜6質量%が更に好ましく、2〜5質量%が特に好ましい。0.5質量%以上であれば加熱環境下で十分な加工性、保持力が得られ、10質量%以下であれば低温環境下での粘着力、タック性を維持することができる。
本発明においてアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(C)および炭素数1〜3のカルボン酸ビニルモノマー(D)は、炭素数が1〜3の範囲にあることで共重合体に凝集力を付与することができ、加熱環境下で良好な加工性を得ることができる。具体的には、例えば、(C)として(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(D)として酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなどが挙げられる。アルキル基の構造は、直鎖構造、分岐構造のいずれの構造を有しても良い。さらに、これらの中でも(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、酢酸ビニルは高い凝集力を付与することができるためより好ましい。これらのモノマーは、単独または2種以上を併用できる。
アルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(C)および炭素数1〜3のカルボン酸ビニルモノマー(D)は、共重合に使用するモノマー混合物100質量%中、合計で1〜40質量%を含むことが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%が更に好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。1質量%以上を含むことで共重合体に凝集力を付与することができ、40質量%以下にすることで低温環境下での粘着力、タック性を維持することができる。
本発明では共重合体の合成にその他モノマーを使用することができる。その他モノマーとは、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)、カルボキシル基を有するモノマー(B)、アルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(C)または炭素数1〜3のカルボン酸ビニルモノマー(D)以外の共重合可能なモノマーを指す。
具体的には、反応性官能基含有モノマー、アルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(ただし、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を除く)、芳香環含有モノマー、アルコキシ(ポリ)アルキレンオキサイド含有モノマーおよびその他ビニルモノマーが好ましい。
反応性官能基含有モノマーとしては、水酸基含有モノマー、アミド結合含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー等が好ましい。
アルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(ただし、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を除く)としては、例えば、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イコシルなどが挙げられる。
アルキル基の炭素数が4〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー(ただし、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)を除く)は、モノマー混合物100質量%中、1〜15質量部含むことが好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリル酸エステルなどのグリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル、カプロラクトン変性(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。
水酸基含有モノマーは、モノマー混合物100質量%中、0.1〜8質量%を含むことが好ましく、0.2〜6質量%がより好ましい。0.1〜8質量%含むことで硬化剤との架橋密度を適切な範囲に調整し易くなる。
アミド結合含有モノマーとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N−(ブトキシメチル)アクリルアミド、などの(メタ)アクリルアミド系の化合物、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アクリロイルモルホリンなどの複素環を含有した化合物、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミドなどが挙げられる。
エポキシ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチルなどが挙げられる。
アミノ基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸モノエチルアミノプロピルなどの(メタ)アクリル酸モノアルキルアミノエステルなどが挙げられる。
アミド結合含有モノマー、エポキシ基含有モノマーおよびアミノ基含有モノマーは、モノマー混合物100質量%中、それぞれ0.1〜15質量部含むことが好ましい。反応性官能基含有モノマーは、単独または2種以上を併用できる。
芳香環含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸エチレンオキサイド変性ノニルフェノール、(メタ)アクリル酸ビフェニル、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンなどが挙げられる。芳香環含有モノマーは、モノマー混合物100質量%中、1〜15質量部含むことが好ましい。
アルコキシ(ポリ)アルキレンオキサイド含有モノマーとしては、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−フェノキシエチル、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、エトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。アルコキシ(ポリ)アルキレンオキサイド含有モノマーは、モノマー混合物100質量%中、1〜15質量部含むことが好ましい。
その他ビニルモノマーは、スチレン、アクリロニトリルなどが挙げられる。これら以外の共重合可能なモノマーを適宜選択することができる。その他ビニルモノマーは、モノマー混合物100質量%中、1〜15質量部含むことが好ましい。
溶液重合で使用できる溶媒は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、およびイソプロパノール等が好ましい。これらは単独また2種類以上を適宜選択できる。溶剤は、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ヘプタンといった炭化水素系溶剤を含有することが好ましい。
炭化水素系溶剤は、共重合に使用するモノマー混合物100質量部に対して、10〜200質量部含むことが好ましい。10〜200質量部含むことで共重合体とテルペン樹脂の相溶性を向上させることができる。
溶液重合は、モノマー混合物の合計100質量部に対して、重合開始剤を0.001〜1質量部用いるのが好ましい。通常、重合反応は、窒素気流下で、50℃〜90℃程度の温度で6時間〜20時間行うことができる。また、重合反応に連鎖移動剤を使用して共重合体の重量平均分子量を適宜調整することができる。
本発明において共重合体の重量平均分子量は、20万〜120万が好ましく、40万〜100万がより好ましく、50万〜90万がさらに好ましく、50万〜80万が特に好ましい。重量平均分子量を20万〜120万の範囲にすることで、粘着物性と塗工性のバランスを両立することができる。
連鎖移動剤は、例えば、n−ドデシルメルカプタン、メルカプトイソブチルアルコール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、グリシジルメルカプタン、α−メチルスチレンダイマー、四塩化炭素、クロロホルム、ハイドロキノン等が挙げられる。
重合開始剤は、アゾ系化合物、有機過酸化物が一般的である。アゾ系化合物は、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)等が挙げられる。
有機過酸化物は、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。これら重合開始剤は単独または2種以上を併用できる。
共重合体は粘着剤中に40質量部以上100質量部未満含まれることが好ましい。40質量部以上100質量部未満含むことで良好なタック性と加工性を発現することができる。
本発明において硬化剤は、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、エチレンイミン系化合物、金属キレート系化合物、アミン系化合物などが好ましく、加熱環境下での加工性の観点からエポキシ系化合物が特に好ましい。
イソシアネート系化合物は、例えばトリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのイソシアネートモノマーとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、ビュレット体またはイソシアヌレート体、およびこれらイソシアネートモノマーと公知のポリエーテルポリオールまたはポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等とのアダクト体などの分子内に3個以上のイソシアネート基を有する化合物、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等のイソシアネートモノマー、ヘキサメチレンジイソシアネートのアロファネート体(コロネート2770:日本ポリウレタン工業社製)などの分子内に2個のイソシアネート基を有する化合物などが挙げられる。中でも、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体が、粘着物性を容易に調整できるため好ましい。なお、イソシアネート基の個数は平均個数である。
エポキシ系化合物は、例えばビスフェノールA−エピクロロヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1、3−ビス(N、N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N',N'−テトラグリシジルアミノフェニルメタン等が挙げられる。
エチレンイミン系化合物は、例えばN,N’−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N’−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサイト)、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリジニル)プロピオネート]、トリメチロールプロパントリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ−β−アジリジニルプロピオネート、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1、3、5−トリアジン等が挙げられる。
金属キレート系化合物は、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウムなどの多価金属と、アセチルアセトンまたはアセト酢酸エチルとの配位化合物などが挙げられる。
アミン系化合物は、例えばヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチルテトラミン、イソホロンジアミン、アミノ樹脂およびメチレン樹脂などが挙げられる。
これら硬化剤は、単独または2種以上を併用できる。
硬化剤は、共重合体100質量部に対して、0.005〜15質量部を含むことが好ましく、0.01〜10質量部がより好ましく、0.02〜5質量部が更に好ましく、0.03〜3質量部が特に好ましい。0.005〜15質量部を含むと粘着剤層の凝集力と粘着力のバランスを取ることが容易になる。
本発明においてテルペン樹脂を添加することで、低温環境下の粘着性、タック性と加熱環境下での加工性を両立することができる。テルペン樹脂とは、イソプレンを構造単位として有する粘着付与樹脂を意味する。タック性の観点から、構造単位として、イソプレンを有し、テルペンのみからなる樹脂が好ましい。
テルペン以外の構造単位を有するテルペン樹脂としては、芳香族変性テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂を使用することができる。
テルペンのみを構造単位とするテルペン樹脂の具体例としては、例えばヤスハラケミカル(株)製のYSレジンPX800、YSレジンPX1000、YSレジンPX1150、YSレジンPX1250やアリゾナケミカル社製のSYLVARES TRA90、SYLVARES TRM1115、SYLVARES TR7125などが挙げられる。また、テルペン以外の構造単位を有するテルペン樹脂の具体例として、芳香族変性テルペン樹脂としては、ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンTO105、YSレジンTO115、テルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターT100、YSポリスターT115、水添テルペンフェノール樹脂としては、ヤスハラケミカル(株)製のYSポリスターUH115などが挙げられる。
また、テルペン樹脂の軟化点は80〜130℃の範囲内であることがより好ましい。軟化点を80〜130℃にすることで低温環境下と加熱環境下の粘着剤層の凝集力と粘着力のバランスを取ることが容易になる。
テルペン樹脂は、共重合体100質量部に対して、2〜50質量部を含むことが好ましく、5〜40質量部がより好ましく、8〜30質量部が更に好ましく、10〜28質量部が特に好ましい。2〜50質量部含むと、粘着剤層の凝集力と粘着力のバランスを取ることが容易になる。これらは単独また2種類以上を適宜選択できる。
本発明の粘着剤は、さらにテルペン樹脂以外のその他粘着付与樹脂を含むこともできる。その他粘着付与樹脂を含むと粘着力がより向上する。その他粘着付与樹脂は、例えば、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン、及びそれらのグリセリン、ペンタエリスリトール等とのエステル、樹脂酸ダイマー等)、アクリル樹脂など既存の全てのものが使用可能である。これらは、単独または2種以上を併用できる。
ポリプロピレン(PP)のように一般的に粘着させることが困難な非極性な被着体に対する粘着力という観点から、その他粘着付与樹脂としては、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族/芳香族系石油樹脂およびロジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の粘着付与樹脂が好ましい。
脂肪族系石油樹脂としては、日本ゼオン(株)製のクイントンB170、芳香族系石油樹脂としては、JXTG(製)の日石ネオポリマーL−90、脂肪族/芳香族系石油樹脂としては、三井化学(株)製のFTR6100、ロジン誘導体としては、アリゾナケミカル社製のSylvatacRE85、荒川化学工業(株)のスーパーエステルA−75などが挙げられる。
その他粘着付与樹脂は、共重合体100質量部に対して、1〜10質量部配合することが好ましく、1〜5質量部がより好ましい。1〜10質量部含むことでPPに対して良好な粘着力を得ることができる。
本発明の粘着剤は、さらにシランカップリング剤を含むこともできる。シランカップリング剤は、例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリロキシ基を有するアルコキシシラン化合物;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシランなどのビニル基を有するアルコキシシラン化合物;
3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するアルコキシシラン化合物;
3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基を有するアルコキシシラン化合物;
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するアルコキシシラン化合物;
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン化合物;
3−クロロプロピルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、1,3,5−トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、分子内にアルコキシシリル基を有するシリコーンレジンなどが挙げられる。
本発明の粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分として、各種樹脂、硬化触媒、オイル、軟化剤、染料、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候安定剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤及び帯電防止剤等を配合しても良い。
本発明の粘着剤は、非極性被着体の貼り付け用粘着剤として好適である他、一般ラベル・シール、粘着性光学フィルム、塗料、弾性壁材、塗膜防水材、床材、粘着性付与剤、粘着剤、積層構造体用粘着剤、シーリング剤、成形材料、表面改質用コーティング剤、バインダー(磁気記録媒体、インキバインダー、鋳物バインダー、焼成レンガバインダー、グラフト材、マイクロカプセル、グラスファイバーサイジング等)、ウレタンフォーム(硬質、半硬質、軟質)、ウレタンRIM、UV・EB硬化樹脂、ハイソリッド塗料、熱硬化型エラストマー、マイクロセルラー、繊維加工剤、可塑剤、吸音材料、制振材料、界面活性剤、ゲルコート剤、人工大理石用樹脂、人工大理石用耐衝撃性付与剤、インキ用樹脂、フィルム(ラミネート粘着剤、保護フィルム等)、合わせガラス用樹脂、反応性希釈剤、各種成形材料、弾性繊維、人工皮革、合成皮革等の原料として、又、各種樹脂添加剤およびその原料等としても非常に有用に使用できる。
本発明の粘着シートは、基材と、本発明の粘着剤から形成した粘着剤層を備えていることが好ましい。また別の態様として、芯材の両面に粘着剤層を有する両面粘着シート、または基材および芯材を有さず粘着剤層のみで構成されたキャスト粘着シートも好ましい。粘着剤層は、粘着剤を基材上に塗工し、乾燥することで形成できる。または、粘着剤を剥離性シート上に塗工し、乾燥して粘着剤層を形成した後、基材を貼り合わせることで形成できる。なお粘着剤層の基材と接しない面に剥離性シートを貼り合わせることはいうまでもない。
粘着剤を塗工する際に、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、メトキシトルエン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、その他の炭化水素系溶剤等の有機溶剤を添加して、粘度を調整することもできる。
基材としては、例えば、セロハン、プラスチック、ゴム、発泡体、布帛、ゴムびき布、樹脂含浸布、ガラス、および木材等が好ましい。基材の形状は、板状およびフィルム状が選択できるが、取り扱いが容易であるフィルムが好ましい。基材は、単独または2種以上の積層体を使用できる。
プラスチックは、例えば、ポリビニルアルコール、トリアセチルセルロース、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、ポリノルボルネン、ポリアリレート、ポリアクリル、ポリフェニレンサルファイドム、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミドのフィルム、エポキシなどが挙げられる。
粘着剤の塗工方法は、特に制限は無く、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーター等が挙げられる。乾燥方法には特に制限はなく、熱風乾燥、赤外線や減圧法を利用したものが挙げられる。乾燥条件としては硬化剤種、粘着剤層の厚さ、または溶剤種により、通常60〜160℃程度の熱風加熱ができる。
粘着剤層の厚さは、0.1〜300μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。0.1〜300μmの範囲にあることで粘着物性を適切な範囲に調整できる。
本発明の粘着シートは、ポリオレフィンを始めとするプラスチック、ガラス、ダンボール、および金属等といった高極性から低極性まで被着体を選ばずに様々な用途で使用できる。具体的には、冷凍、冷蔵環境下で保管する食料品ラベル用途や寒冷地等で使用するラベルで好ましく使用できる。
次に、本発明の実施例を示して詳細を説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。例中、「部」とは「質量部」、「%」とは「質量%」をそれぞれ意味するものとする。
(合成例1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下装置、窒素導入管を備えた反応容器(以下、単に「反応容器」と記述する。)に窒素雰囲気下、アクリル酸2−エチルヘキシル90.4部、アクリル酸1.2部、アクリル酸2‐カルボキシエチル2.4部、アクリル酸メチル6部、酢酸エチル60部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(以下「AIBN」と記述する。)0.03部を仕込んだ。撹拌しながら加熱を行い重合反応の開始を確認して還流温度で2時間反応した。次いで、AIBN 0.03部を反応溶液に添加し6時間反応を継続した。その後、反応容器を冷却し酢酸エチル25部、ヘキサン25部を加え、重量平均分子量が87万の共重合体溶液を得た。
(合成例2〜14)
モノマーの種類及び配合量を表1の記載に従った他は、合成例1と同様に行うことで合成例2〜21の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液について、重量平均分子量を以下の方法に従って求めた。その結果を表1に示す。
<重量平均分子量の測定>
重量平均分子量(Mw)の測定は島津製作所製GPC「LC−GPCシステム」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、重量平均分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
装置名 : 島津製作所製、LC−GPCシステム「Prominence」
カラム : 東ソー(株)製GMHXL 4本、東ソー(株)製HXL-H 1本を直列に連結した。
移動相溶媒 : テトラヒドロフラン
流量 : 1.0ml/分
カラム温度 : 40℃
表中の略号を以下に列記する。
2EHA : アクリル酸2−エチルヘキシル
2EHMA: メタクリル酸2−エチルヘキシル
LMA : メタクリル酸ラウリル
MA : アクリル酸メチル
MMA : メタクリル酸メチル
EA : アクリル酸エチル
AA : アクリル酸
HEA : アクリル酸2−ヒドロキシエチル
β−CEA: アクリル酸2‐カルボキシエチル
BA : アクリル酸ブチル
VAc : 酢酸ビニル
(実施例1)
合成例1で得られた共重合体溶液中の共重合体100部に対して、硬化剤としてTETRAD−X(N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、三菱ガス化学(株)製)0.03部(不揮発分換算)、テルペン樹脂としてYSレジンPX1250(ヤスハラケミカル(株)製)10部(不揮発分換算)、ロジン誘導体としてSylvatac RE85(アリゾナケミカル社製)5部(不揮発分換算)を配合し、更に溶剤としてヘキサンを加え、不揮発分を35%に調整して粘着剤溶液を得た。
粘着剤溶液を、厚さ38μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート(PET)製)上に、乾燥後の厚さが50μmになるようにコンマコーターで塗工を行い、100℃で2分間乾燥することで粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層に、厚さ50μmの基材(ポリエチレンテレフタレート製、以下、PETシートという)を貼り合せ、温度23℃相対湿度50%の条件で1週間熟成することで「剥離性シート/粘着剤層/PETシート」という構成の粘着シートを得た。
(実施例2〜39、比較例1〜4)
表1の材料及び配合に変更した以外は、実施例1と同様に行うことで実施例2〜39および比較例1〜4の粘着剤溶液および粘着シートをそれぞれ得た。
表1の略号を以下に記載する。
TETRAD−X :N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン(三菱ガス化学(株)製)
TDI/TMP : トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体 PZ−33:2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノール−トリス[3−(1−アジリ ジニル)プロピオネート]((株)日本触媒製)
PX1250 :構造単位として、イソプレンを有し、テルペンのみからなる樹脂(ヤ スハラケミカル(株)製)
PX800 :構造単位として、イソプレンを有し、テルペンのみからなる樹脂(ヤ スハラケミカル(株)製)
TO125 :芳香族変性テルペン樹脂(ヤスハラケミカル(株)製)
RE85 : ロジン誘導体 (アリゾナケミカル社製)
FTR6100 :脂肪族/芳香族系石油樹脂(三井化学(株)製)
得られた粘着シートを以下の方法で評価した。結果を表2に示す。
(1)粘着力
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。5℃または2 3℃、相対湿度50%雰囲気下、粘着シートから剥離性シートを剥がしてステンレス( SUS)板に貼り付け、2kgロールで1往復圧着した24時間放置した後に引張試験 機を用いて180度方向に300mm/分の速度で引き剥がす180°ピール試験にお いて粘着力を測定した。上記同様にポリプロピレン(PP)板に対する粘着力を測定し た。評価基準は下記の通りである。
SUS(23℃)
◎:「粘着力が36N/25mm以上。非常に良好。」
○:「粘着力が30N/25mm以上36N/25mm未満。良好。」
△:「粘着力が24N/25mm以上30N/25mm未満。実用可能レベル。」
×:「粘着力が24N/25mm未満。実用不可。」
SUS(5℃)
◎:「粘着力が16N/25mm以上。非常に良好。」
○:「粘着力が13N/25mm以上16N/25mm未満。良好。」
△:「粘着力が10N/25mm以上13N/25mm未満。実用可能レベル。」
×:「粘着力が13N/25mm未満。実用不可。」
PP(23℃)
◎:「粘着力が17N/25mm以上。非常に良好。」
○:「粘着力が14N/25mm以上17N/25mm未満。良好。」
△:「粘着力が11N/25mm以上14N/25mm未満。実用可能レベル。」
×:「粘着力が14N/25mm未満。実用不可。」
PP(5℃)
◎:「粘着力が16N/25mm以上。非常に良好。」
○:「粘着力が13N/25mm以上16N/25mm未満。良好。」
△:「粘着力が10N/25mm以上13N/25mm未満。実用可能レベル。」
×:「粘着力が13N/25mm未満。実用不可。」
(2)保持力
得られた粘着シートを幅25mm・縦150mmの大きさに準備した。粘着シートから剥離性シートを剥がして研磨した幅30mm・縦150mmのステンレス板の下端部幅25mm・横25mmの部分に粘着剤層を貼着し、2kgロールで1往復圧着した後、40℃雰囲気で1kgの荷重をかけ、7万秒放置することで保持力を測定した。評価は、粘着シート貼付面上端部が下にずれた長さを測定した。
評価基準
◎:「ずれがみられなかった。非常に良好。」
○:「ずれが発生し、ずれた長さが2mm未満である。良好。」
△:「ずれた長さが2mm以上5mm未満である。実用可能レベル。」
×:「ずれた長さが5mm以上である。実用不可。」
(3)ボールタック
得られた粘着シートを幅25mm・縦250mmの大きさに準備した。粘着シートから剥離性シートを剥がして傾斜角30度の傾斜版に粘着面を上にして固定した。助走路用のPETフィルムを上部に貼り付け、助走10cm糊面10cmとした試料にスチールボール(1/32〜32/32インチ)を転がし、糊面の中央付近に停止するボールの径の番号を記録した。測定は5℃もしくは23℃、相対湿度50%雰囲気下で実施した。
5℃雰囲気下での評価基準
◎:「ボール径が10以上。非常に良好。」
○:「ボール径が7から9。良好。」
△:「ボール径が4から6。実用可能レベル。」
×:「ボール径が3以下。実用不可。」
23℃、相対湿度50%雰囲気下での評価基準
◎:「ボール径が19以上。非常に良好。」
○:「ボール径が15から18。良好。」
△:「ボール径が11から14。実用可能レベル。」
×:「ボール径が10以下。実用不可。」
(4)加工性試験
得られた粘着シートを幅10mm・縦10mmの大きさに準備した。粘着シートから剥離性シートを剥がして、上下を厚さ38μmの剥離性シート(ポリエチレンテレフタレート製)で挟み、プレス試験機を用いて40℃の環境下、50Kg/cm2の圧力を加え、2時間放置した。試験終了後サンプルを取り出し試験片端部からはみ出している糊の幅を(最大値)測定した。
評価基準
◎:「はみだしが0以上0.4mm未満。非常に良好。」
○:「はみだしが0.4以上0.6mm未満。良好。」
△:「はみだしが0.6以上0.8mm未満。実用可能レベル。」
×:「はみだしが0.8mm以上である。実用不可。」
表2の実施例に示すように、本発明の粘着剤は、低温、常温環境下での粘着力、ボールタック、高温下での保持力、加工性に優れていることが明らかとなった。これに対して、比較例では、いずれかの項目が不良となっており、実用不可であることが明らかとなった。
次に、本発明の実施例を示して詳細を説明するが、本発明はこれらによって限定される
ものではない。例中、「部」とは「質量部」、「%」とは「質量%」をそれぞれ意味する
ものとする。
また、後述する実施例18〜39は、請求項1に係る発明と整合するために参考例と読み替えるものとする。

Claims (9)

  1. 共重合体、硬化剤およびテルペン樹脂を含んでなる粘着剤であって、
    前記共重合体が、アルキル基の炭素数が8〜12の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(A)およびカルボキシル基を有するモノマー(B)を含むモノマー混合物の共重合体であり、前記共重合体の含有率が、40質量%以上である、粘着剤。
  2. 前記モノマー混合物が、さらにアルキル基の炭素数が1〜3の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(C)または炭素数1〜3のカルボン酸ビニルモノマー(D)を含む、請求項1記載の粘着剤。
  3. 前記共重合体100質量部に対して、前記テルペン樹脂を5〜40質量部含む、請求項1または2に記載の粘着剤。
  4. 前記モノマー混合物中に、前記モノマー(A)を80〜97質量%含む、請求項1〜3いずれか1項に記載の粘着剤。
  5. 前記モノマー混合物中に、前記モノマー(C)および(D)の合計を2〜20質量%含む、請求項2〜4いずれか1項に記載の粘着剤。
  6. カルボキシル基を有するモノマー(B)が、少なくとも(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリル酸2‐カルボキシエチルを含む、請求項1〜5いずれか1項に記載の粘着剤。
  7. 前記テルペン樹脂が、構造単位としてテルペンのみからなる樹脂である、請求項1〜6いずれか1項に記載の粘着剤。
  8. 更に、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹、脂脂肪族/芳香族系石油樹脂およびロジン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の粘着付与樹脂を含む、請求項1〜7いずれか1項に記載の粘着剤。
  9. 基材、および請求項1〜8いずれか1項に記載の粘着剤の硬化物である粘着剤層を備える、粘着シート。
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