JP4191728B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体の製造方法に関する。
電子写真感光体(以後、単に感光体とも称する)は、光導電性物質を含有する感光層が導電性支持体に積層される構成を有する。電子写真感光体としては、セレン、酸化亜鉛、硫化カドミウムなどの無機光導電性物質を主成分とする感光層を備える無機感光体が用いられている。
感光体には、基本的な性質として、電気特性に優れること、たとえば電荷保持能力に優れ、暗所での放電が少ないこと、光感度に優れ、光照射によって速やかに放電することなどが要求される。また感光体には、長期間にわたって均質な画像を形成することができるように、繰返し使用されても前述の電気特性が安定しており、電気特性の安定性(以後、単に特性安定性とも称する)に優れることなども求められる。
無機感光体はこのような感光体としての基本的な性質を有するものの、感光層の成膜が困難である、感光体表面の可塑性が悪く傷がつきやすい、製造原価が高いなどの欠点を有する。また上記のような無機光導電性物質は毒性が強く、製造上および取扱い上、大きな制約がある。
このような無機光導電性物質を用いる無機感光体に代えて、有機光導電性物質を用いる有機感光体の研究開発が行われている。有機光導電性物質は、幅広く研究開発が行われ、電子写真感光体などの静電記録素子に利用されるだけでなく、センサ、有機エレクトロルミネセント(Electro Luminescent)素子などにも応用されている。
有機光導電性物質を用いる有機感光体は、感光層の成膜性がよく、可塑性に優れる上に、軽量で透明性に優れるという利点を有する。また有機感光体は、化学増感剤または光学増感剤を添加するなどの方法によって、広範囲の波長域に対する光に対してフリー電荷を発生させ、光感度を良好にすることができるという利点を有する。有機感光体は、耐久性が無機感光体に比べて若干劣るという問題があるけれども、前述の複数の利点を有しているので、電子写真感光体の主流となっている。
有機感光体としては、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型電子写真感光体が開発されている。機能分離型電子写真感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質および電荷輸送機能を担う電荷輸送物質として、別個の物質が用いられる。これによって、電荷発生物質および電荷輸送物質のそれぞれに用いる材料を容易に選択することができ、有機感光体の光感度をさらに良好にすることができるので、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作製できる。
機能分離型感光体は、バインダ樹脂と呼ばれる結着性を有する樹脂中に電荷発生物質と電荷輸送物質とが共分散された感光層を備える単層型感光体と、電荷発生物質が分散された電荷発生層と電荷輸送物質が分散された電荷輸送層とが積層される感光層を備える積層型感光体とに大別される。単層型感光体および積層型感光体はいずれも、電荷発生物質または電荷輸送物質を含む有機光導電性物質、バインダ樹脂と呼ばれる結着性を有する樹脂などの感光層形成材料を、バインダ樹脂を溶解可能な溶媒に溶解または分散させた塗布液を、導電性支持体に均一な厚さで塗布する塗布工程と(以後、導電性支持体に塗布された塗布液を塗膜と呼ぶ)、塗膜を乾燥させて塗膜に含まれる溶媒を除去する乾燥工程とを経て製造される。
積層型感光体としては、電荷発生層が導電性支持体側に設けられ、電荷輸送層が感光体の外表面側、すなわち電荷発生層に対して導電性支持体と反対側に設けられる正二層型感光体が汎用されている。正二層型感光体は、電荷発生層の表面、すなわち電荷発生層の導電性支持体と反対側に電荷輸送層が積層されており、また電荷輸送層が正孔輸送機能を有するので、負に帯電した状態において光感度を有し、負帯電下において使用される。また正帯電下において使用可能な積層型感光体として、電荷輸送層が導電性支持体側に設けられ、電荷発生層が感光体の表面側に設けられる逆二層型感光体も開発されている。
以上のように、感光体として様々な形態を有する有機感光体が提案されている。このような有機感光体は、幅広い要求に応じることができるけれども、有機感光体には特性安定性が充分でないという共通の問題がある。有機感光体は、繰返し使用されることによって帯電電位の低下、残留電位の上昇などの疲労劣化を生じる。このことによって、有機感光体を用いる画像形成装置では、解像度の低下、白抜け、黒帯などの画像不良が引起こされるという問題がある。白抜けとは、トナーが付着すべき部分にトナーが付着されない部分が発生する現象のことである。また黒帯とは、トナーが付着すべき部分とそれ以外の部分とにわたってトナーが帯状に付着する部分が生じる現象のことである。
特性安定性を低下させる感光体の疲労劣化は、感光体を帯電させるときに帯電手段として用いられる帯電器であって、コロナ放電方式を用いる帯電器(以後、コロナ放電帯電器と称する)によるコロナ放電に伴って発生するオゾンおよび発生したオゾンが空気中の窒素と反応して生成する窒素酸化物などの酸化性ガスによって生じると考えられる。このような酸化性ガスは、感光体の外表面側に形成されている感光層の該感光体外表面付近に存在する光導電性物質を酸化する。感光体が繰返し使用されて光導電性物質が酸化されると、該光導電性物質の酸化によって感光層の疲労劣化が生じ、感光体の寿命が短くなる。
感光層の疲労劣化の問題を解決する方法として、感光体が搭載される画像形成装置内に排気ユニットを設け、コロナ放電帯電器周辺の酸化性ガスを排気することが提案されている。このように画像形成装置内に排気ユニットを設けることによって、コロナ放電帯電器周辺の酸化性ガスを排気し、光導電性物質の酸化を防止することができるけれども、画像形成装置の構成が複雑化するという問題が生じる。
またたとえば感光層のバインダ樹脂としてガスバリア性に優れるビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂などを用いて感光層の表面のガスバリア性を向上させ、感光層に酸化性ガスを透過しにくくすることによって感光層の疲労劣化を抑制することも試みられているけれども、感光層に含まれる光導電性物質の電気特性を低下させることなく充分なガスバリア性を発揮することができる感光層は未だ実現されていない。
また感光層の表面付近に存在する光導電性物質の酸化性ガスによる酸化を防止する方法として、感光層に酸化防止剤、安定剤などを添加する方法が提案されている。たとえば、トリアジン環およびヒンダードフェノール骨格を有する化合物などのヒンダードフェノール系酸化防止剤を感光層に添加することが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
また別の先行技術では、特定のアリールアミン化合物を含有する感光層に、添加剤としてヒンダードフェノール骨格を有する化合物であるヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤などを添加することが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。さらに別の先行技術では、感光層に、ヒンダードアミン骨格を有する化合物とトリベンジルアミンなどの特定の構造を有するアミン化合物を添加することが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
これらの先行技術文献に開示されるヒンダードフェノール骨格を有する化合物とは、フェノール性水酸基の隣接位に、たとえば分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基などの嵩高い置換基を有するフェノール化合物のことである。またヒンダードアミン骨格を有する化合物とは、アミノ基の水素原子が、たとえば分岐状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、複素環基などの嵩高い置換基で置換されたアミン化合物のことである。
特許文献1〜3に開示の酸化防止剤などを感光層に添加すると、酸化性ガスによる光導電性物質の酸化が防止され、感光体の疲労劣化を防止することができる。しかしながら、光導電性物質の酸化が防止できるほどの量の酸化防止剤などを感光層に添加すると、感光波長域の変化などによる感光体の光感度の低下、光応答性の低下などが生じ、帯電、露光、除電などを施す一連の電子写真プロセスを繰返すうちに、帯電電位の低下および残留電位の上昇などが発生するという問題が生じる。このような問題が生じないように酸化防止剤の含有量を少なくすると、光導電性物質の酸化を充分に防止することができない。このように先行技術では、良好な電気特性と酸化性ガスに対する耐性との双方を満足する感光体が実現されていない。
このような問題に対して、感光層の構成材料自体に酸化防止剤などを添加することなく、感光層の表面に酸化防止剤であるヒンダードアミン骨格を有する化合物(以後、ヒンダードアミン系化合物と称する)を存在させることが提案されている(たとえば、特許文献4参照)。特許文献4に開示される技術では、弾性ローラ、弾性ブレードなどの接触部材と感光体とを接触させてヒンダードアミン系化合物を感光層の表面に供給すること、ヒンダードアミン系化合物を含有する保護層を感光層の表面に形成することなどが提案されている。このようにして感光層の表面に酸化防止剤を存在させることによって、感光層の感光体外表面付近に存在する光導電性物質の酸化性ガスによる酸化を防止することができ、感光体の特性安定性の低下を防止することができる。また感光層自体には酸化防止剤が含有されないので、感光体の電気特性の低下を防止することができる。
このような特許文献4に開示される技術は、光導電性物質の酸化性ガスによる酸化を防止することができるけれども、次のような問題がある。たとえば、弾性ローラ、弾性ブレードなどの接触部材と感光体とを接触させ、ヒンダードアミン系化合物を感光体の表面に供給する場合、接触部材を構成する弾性材料にヒンダードアミン系化合物を含有させる必要がある。このような接触部材の製造工程は煩雑であり、また接触部材と感光体との接触圧力の大きさによっては感光体の表面に酸化性ガスに対する耐性を付与できるほど充分な量のヒンダードアミン系化合物を供給できないことがある。感光体の表面に充分な量のヒンダードアミン系化合物を供給するために接触部材と感光体との接触圧力を大きくすると、該接触圧力によって感光体の表面層である感光層が摩耗し、感光層の厚み寸法が減少することによる電気特性の低下、感光体の寿命低下などの問題を生じる。
またヒンダードアミン系化合物を感光層の表面に設けられる保護層に添加する場合、感光体に必ず保護層を形成する必要があり、感光体の製造に用いる塗布液の種類が増加する。感光体の形成において、塗布液の粘度は感光層の厚み寸法を規定する上で重要な物性値であり、塗布液の粘度管理を高精度で行うことが感光体の製造を効率よく行うために必須の条件である。したがって、塗布液の種類が増加することは、塗布液の管理の煩雑化の問題、粘度管理のための生産設備への投資の問題、蒸発によって減少する溶媒を補充するための溶媒、すなわち粘度管理のために用いる溶媒などの材料の面でコストが高くなるという問題などが発生する。
このような問題に対し、簡便な方法によって、塗布液の種類を形成する感光層の数に対して増加させることなく、かつ電気特性を低下させることなく、酸化性ガスに対する感光層の耐性を向上させて感光体の特性安定性の低下を防止することが希求されている。
特開昭62−105151号公報 特開平8−292587号公報 特開平10−282696号公報 特開平2−146556号公報
本発明の目的は、塗布液によって形成される感光層の数以上に塗布液の種類を増加させることなく酸化性ガスに対する感光層の耐性を向上させ、電気特性および特性安定性の低下を防止することができる簡便な電子写真感光体の製造方法を提供することである。
本発明は、導電性支持体に少なくとも第1感光層と第2感光層とが順次積層される電子写真感光体の製造方法であって、
昇華性を有する酸化防止剤および光導電性物質を含む塗布液を導電性支持体に塗布して第1塗膜を形成する第1塗布工程と、
形成された第1塗膜を加熱することによって乾燥させ、第1感光層を形成する第1乾燥工程と、
第1塗布工程で用いた塗布液を、第1感光層に塗布して第2塗膜を形成する第2塗布工程と、
形成された第2塗膜を加熱することによって乾燥させ、第2感光層を形成する第2乾燥工程とを含み、
第2乾燥工程では、
酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように、第2塗膜の乾燥条件を第1乾燥工程での第1塗膜の乾燥条件と異ならせ
前記光導電性物質は、電荷輸送物質であり、
第1感光層は、第1電荷輸送層であり、
第2感光層は、第2電荷輸送層であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
また本発明は、昇華性を有する酸化防止剤は、
下記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする。
Figure 0004191728
は分岐状のアルキル基を示し、R〜Rは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基またはアリール基を示す。Rは分岐状のアルキル基またはアリール基を示す。R〜Rを構成する原子の原子量の総和は117以上400以下である。ヒンダードフェノール系化合物(1)は、R〜Rが同一の構成および異なる構成、ならびにR〜Rのうち少なくとも2つが相互に連結してR〜Rの結合する炭素原子とともに環を形成する構成を含む。
また本発明は、一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物が、
下記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする。
Figure 0004191728
また本発明は、前記乾燥条件は、
第1乾燥工程および第2乾燥工程での加熱温度または加熱時間を含むことを特徴とする。
また本発明は、第1乾燥工程では、
常圧下において120℃よりも高い加熱温度で加熱することによって第1塗膜を乾燥させ、
第2乾燥工程では、
常圧下において120℃以下の加熱温度で加熱することによって第2塗膜を乾燥させることを特徴とする。
本発明によれば、昇華性を有する酸化防止剤および光導電性物質を含む塗布液を導電性支持体に塗布して第1塗膜を形成する第1塗布工程と、形成された第1塗膜を加熱することによって乾燥させ、第1感光層を形成する第1乾燥工程と、第1塗布工程で用いた塗布液を、第1感光層に塗布して第2塗膜を形成する第2塗布工程と、形成された第2塗膜を加熱することによって乾燥させ、第2感光層を形成する第2乾燥工程とを含み、第2乾燥工程では、酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように第2塗膜の乾燥条件を第1乾燥工程での第1塗膜の乾燥条件と異ならせ、導電性支持体に少なくとも第1感光層と第2感光層とが順次積層される電子写真感光体(以後、単に感光体とも呼ぶ)を製造する製造方法が提供される。
このような感光体の製造方法では、昇華性を有する酸化防止剤(以後、昇華性酸化防止剤とも呼ぶ)を用い、第2乾燥工程において、酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように乾燥条件を異ならせることによって、形成される第1感光層に残留する酸化防止剤の含有率よりも、第2感光層に残留する酸化防止剤の含有率を高くすることができる。これによって、第1感光層よりも導電性支持体から遠い側の層であって、感光体の表面に近い側の層である第2感光層では、第1感光層に比べて酸化防止剤の含有率を高めることができるので、第2感光層の表面付近に存在する光導電性物質の酸化を防止することができる。このことによって、第1感光層および第2感光層を含む感光層の酸化性ガスに対する耐性を向上させることができる。また第2感光層よりも感光体の表面から遠い層である第1感光層では、第2感光層に比べて、酸化防止剤の含有率を低くすることができるので、第1感光層の電気特性の低下を防止することができる。このようにして、酸化性ガスに対する耐性を向上させることによって感光体に優れた特性安定性を付与することができ、また感光層全体の電気特性に優れる感光体を製造することができる。
また同一の塗布液を用い、酸化防止剤の昇華率を異ならせることによって、酸化防止剤の含有率の異なる第1感光層と第2感光層とを形成することができる。このように、塗布液として同一の塗布液を用いるので、感光層形成のための塗布液の種類を増加させることがない。これによって塗布液の管理の煩雑化を防止することができ、塗布液の粘度管理のための生産設備への投資および粘度管理のために用いる溶媒などのコストの上昇を抑制することができる。
た、前記光導電性物質は、電荷輸送物質であり、第1感光層は、第1電荷輸送層であり、第2感光層は、第2電荷輸送層である感光体の製造方法が提供される。このような感光体の製造方法では、第2電荷輸送層に含まれる酸化防止剤の含有率を第1電荷輸送層に含まれる酸化防止剤の含有率よりも高くすることができる。これによって、第1電荷輸送層よりも導電性支持体から遠い側の層であって、感光体の表面に近い側の層である第2電荷輸送層では、第1電荷輸送層に比べて酸化防止剤の含有率を高めることができ、第2電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質の酸化を防止することができる。また第1電荷輸送層では、第2電荷輸送層に比べて酸化防止剤の含有率が低いので、酸化防止剤の含有率が高くなることによる第1電荷輸送層の電気特性の低下を防止することができる。よって、第1電荷輸送層および第2電荷輸送層を含む電荷輸送層全体として、電気特性および特性安定性に優れ、酸化性ガスに対する耐性を有する感光体を形成することができる。
また本発明によれば、昇華性を有する酸化防止剤は、上記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物である。第1乾燥工程および第2乾燥工程において塗布液を乾燥させるときの加熱温度は、たとえば、効率よく第1塗膜および第2塗膜に含まれる溶媒を除去することができるとともに、塗布液に使用される溶媒の沸点未満の温度であって、かつ光導電性物質の耐熱温度以下の温度である好適な温度範囲に含まれるように設定される。上記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、この好適な温度付近で昇華する性質を有するので、第1乾燥工程および第2乾燥工程における加熱温度を好適な温度としつつ、酸化防止剤の含有率を第1感光層と第2感光層との間で異ならせることができる。またこのような酸化防止剤を用いることによって第1乾燥工程および第2乾燥工程での加熱温度を好適な温度とすることができるので、第1塗膜および第2塗膜に含まれる溶媒の残留および光導電性物質の劣化を防止することができ、一層電気特性に優れる感光体を製造することができる。
また本発明によれば、一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物である。上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、上記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物の中でも昇華温度が低い低分子量の化合物であり、好適な加熱温度に一層近い温度で昇華するので、第1塗膜および第2塗膜の乾燥を良好に行いつつ酸化防止剤の含有率を第1感光層と第2感光層との間で異ならせることが容易に行える。
また本発明によれば、前記乾燥条件は、第1乾燥工程および第2乾燥工程での加熱温度または加熱時間を含む。たとえば、乾燥条件が第1乾燥工程および第2乾燥工程での加熱温度を含む場合、第2乾燥工程における加熱温度を第1乾燥工程における加熱温度よりも低くすることによって、第2乾燥工程での酸化防止剤の昇華率を第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低くすることができる。また乾燥条件が第1乾燥工程および第2乾燥工程での加熱時間を含む場合、第2乾燥工程における加熱時間を第1乾燥工程における加熱時間よりも長くすることによって、第2乾燥工程での酸化防止剤の昇華率を第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低くすることができる。このように、加熱温度または加熱時間を変更することによって、同一の塗布液を用いて、第1感光層および第2感光層の酸化防止剤の含有率を異ならせることができる。
また本発明によれば、第1乾燥工程では、120℃よりも高い加熱温度で加熱することによって第1塗膜を乾燥させ、第2乾燥工程では、120℃以下の加熱温度で加熱することによって第2塗膜を乾燥させる。たとえば一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物を酸化防止剤として用いる場合、第1乾燥工程における加熱温度を、常圧(1.013×10Pa)下における酸化防止剤の昇華温度(120〜140℃)に近い温度である120℃よりも高くすることによって酸化防止剤の昇華率を増大させ、第1感光層中の酸化防止剤の含有率を低くすることができる。また第2乾燥工程における加熱温度を120℃以下とすることによって酸化防止剤の昇華率を第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低減し、第2感光層中の酸化防止剤の含有率を高くすることができる。
図1は本発明の実施の一形態である電子写真感光体の製造方法の手順を示すフローチャートであり、図2は図1のフローチャートで示す第1実施形態の電子写真感光体の製造方法によって製造される電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施形態の電子写真感光体(以後、単に感光体とも呼ぶ)1の製造方法は、導電性支持体2に少なくとも第1感光層である第1電荷輸送層5と第2感光層である第2電荷輸送層6とが順次積層される感光体1の製造方法であって、光導電性物質である電荷輸送物質および昇華性を有する酸化防止剤を含む塗布液を導電性支持体2に塗布して第1塗膜を形成する第1塗布工程と、形成された第1塗膜を加熱することによって乾燥させ、第1電荷輸送層5を形成する第1乾燥工程と、第1塗布工程で用いた塗布液を、第1感光層に塗布して第2塗膜を形成する第2塗布工程と、形成された第2塗膜を加熱することによって乾燥させ、第2電荷輸送層6を形成する第2乾燥工程とを含み、第2乾燥工程では、酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように、第2塗膜の乾燥条件を第1乾燥工程での第1塗膜の乾燥条件と異ならせることを特徴とする。
本実施形態の感光体の製造方法によって製造される感光体1は、導電性支持体2と、下引層3と、電荷発生層4と、第1電荷輸送層5と、第2電荷輸送層6とを含み、この順に各層が積層されて構成される。第1電荷輸送層5と第2電荷輸送層6とは、電荷輸送層7を構成する。電荷輸送層7と電荷発生層4とは、感光層8を構成する。以下、感光体1を製造する本実施形態の感光体の製造方法について説明する。
本実施形態の感光体の製造方法は、導電性支持体2に下引層形成用の塗布液を塗布して下引層3を形成する下引層形成工程と、下引層3に電荷発生層形成用の塗布液を塗布して電荷発生層4を形成する電荷発生層形成工程と、前述の第1塗布工程、第1乾燥工程、第2塗布工程および第2乾燥工程とを含む。
導電性支持体2は、本実施形態では円筒形状を有する。導電性支持体2は、(a)アルミニウム、ステンレス鋼、銅もしくはニッケルなどの金属材料、または(b)ポリエステルフィルム、フェノール樹脂パイプ、紙管などの絶縁物の表面にアルミニウム、銅、パラジウム、酸化スズ、酸化インジウムなどの導電性材料から成る層を設けた積層材料、などによって形成される。金属材料、導電性材料としては、体積抵抗率が1010Ω・cm以下という導電性を有するものが好ましい。導電性支持体2には、前述の体積抵抗を調整する目的で表面に酸化処理が施されてもよい。
導電性支持体2は、感光体を接地する接地用導電性部材であるとともに、他の各層3,4,5,6の支持部材として機能する。導電性支持体2の形状は、本実施形態では円筒形状であるけれども、これに限定されることなく、たとえば、円柱状、板状、シート状、フィルム状、ベルト状などであってもよい。
ステップs1の下引層形成工程では、円筒形状の導電性支持体2の外周面に下引層形成用の塗布液を塗布し、導電性支持体2表面に下引層3を形成する。下引層3は、導電性支持体2と感光層8との接着層としての役割を果たすとともに、導電性支持体2から感光層8に電荷が流込むのを抑制するバリア層としての役割をも有する。したがって、下引層3を設けることによって導電性支持体2から感光層8への電荷の流入を抑え、感光体1の帯電特性を維持することができるとともに、感光体1の寿命を延ばすことができる。
下引層3は、たとえば、ポリアミド、ポリウレタン、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの樹脂材料、ゼラチン、でんぷん、カゼインなどの天然高分子材料、N−メトキシメチル化ナイロンなどによって形成される。また導電性支持体2がアルミニウムから成る場合または表面にアルミニウム層が形成された絶縁性物質から成る場合、アルミニウム陽極酸化皮膜を下引層3として用いることもできる。アルミニウム陽極酸化皮膜を下引層3として用いる場合、陽極酸化皮膜形成工程が行われ、導電性支持体2の外周面に下引層形成用の塗布液を塗布する後述の工程は行われない。
また下引層3には、金属酸化物などの粒子が含有されてもよい。これらの粒子を含有させることによって、下引層3の体積抵抗率を調節し、導電性支持体2から感光層8に対する電荷の注入をさらに抑制することができるとともに、温度、湿度などの変化があっても感光体1の電気特性を維持することができる。金属酸化物粒子としては、たとえば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズなどの粒子を挙げることができる。
下引層3を形成するための塗布液は、上記樹脂などの材料および必要に応じて用いられる金属酸化物粒子を溶媒中に分散させて作製される。樹脂用液の溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、水などの単独溶剤、水およびアルコール類、2種以上のアルコール類などの混合溶剤、アセトンなどのケトン類、ジオキソランなどのエーテル類とアルコール類との混合溶剤、ジクロロエタン、クロロホルム、トリクロロエタンなどの塩素系溶剤とアルコール類との混合溶剤を用いることができる。これらの中でも非塩素系有機溶剤を用いることが好ましい。
樹脂材料および体積抵抗率の調節のために必要に応じて用いられる金属酸化物粒子を溶媒中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などを用いる方法を使用することができる。
下引層形成用の塗布液中における溶媒の重量に対する樹脂材料および金属酸化物の合計重量の比率(樹脂材料および金属酸化物の合計重量/溶媒の重量)は、形成する下引層の厚みなどに応じて定められるけれども、1/99以上40/60以下(=0.01以上0.67以下)であることが好ましく、2/98以上30/70以下(=0.02以上0.43以下)であることがより好ましい。溶媒の重量に対する樹脂材料および金属酸化物の合計重量の比率が1/99未満であると、溶媒の重量が多くなりすぎて乾燥に長時間を要するとともに、所望の厚みを有する下引層の形成のために複数回の塗布を行わなければならないおそれがある。溶媒の重量に対する樹脂材料および金属酸化物の合計重量の比率が40/60を超えると、下引層形成用塗布液の粘度が高くなり過ぎ、形成される下引層の厚みが不均一となるおそれがある。
また下引層3に金属酸化物を含有させる場合、樹脂材料の含有量に対する金属酸化物の含有量の比率(金属酸化物の含有量/樹脂材料の含有量)は、1/99以上90/10以下(=0.01以上9.0以下)であることが好ましく、5/95以上70/30以下(=0.05以上2.33以下)であることがより好ましい。樹脂材料の含有量に対する金属酸化物の含有量の比率が1/99未満であると、金属酸化物を含有させることによって体積抵抗率を調節する効果が充分に得られず、90/10以上であると、下引層の体積抵抗率が小さくなり過ぎて導電性支持体2から感光層8に電荷が流込むおそれがある。
導電性支持体2への下引層形成用の塗布液の塗布方法としては、導電性支持体2が本実施形態のような円筒形状または円柱形状である場合、スプレイ法、垂直型リング法、浸漬塗布法などを用いることができる。また下引層3の形成される導電性支持体2の形状が板状、シート状、フィルム状などである場合、ベーカアプリケータ、バーコータ、キャスティング、スピンコータなどを用いて塗布液を塗布することができる。導電性支持体2への下引層形成用の塗布液の塗布後、塗布液を乾燥させ塗布液中の溶媒を除去する。導電性支持体2に塗布される下引層形成用の塗布液の乾燥は、後述の第1電荷輸送層5または第2電荷輸送層6を形成する場合の乾燥と同様に加熱によって行われてもよく、特に加熱を行うことなく室温で放置されることによって行われてもよい。
下引層3は、乾燥後の厚みが0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。乾燥後の下引層3の厚みが0.1μm未満であると、下引層3を設ける効果が充分に発揮されず、導電性支持体2から感光層8に電荷が流入して感光体1の帯電性が低下するおそれがある。下引層3の厚みが10μmを超えると、感光体1の光感度が低下するおそれがある。
導電性支持体2上に下引層3が形成されると、下引層3上、すなわち下引層3の導電性支持体2と反対側の表面に電荷発生層4を形成するステップs2の電荷発生層形成工程が行われる。ステップs2の電荷発生層形成工程では、導電性支持体2上に形成された下引層3の表面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、下引層3上に電荷発生層4を形成する。
電荷発生層4は、電荷発生物質を含んで構成される。電荷発生物質としては、光を吸収してフリー電荷を発生する物質が用いられる。このような光を吸収してフリー電荷を発生する物質を構成する材料としては、たとえば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。無機顔料としては、セレンおよびその合金、ヒ素−セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコンなどの無機光導電性物質が挙げられる。有機顔料としては、フタロシアニン系化合物、アゾ系化合物、キナクリドン系化合物、多環キノン系化合物、ペリレン系化合物などが挙げられる。有機染料としては、チアピリリウム塩、スクアリリウム塩などが挙げられる。前述の電荷発生物質の中でも、有機顔料および有機染料などの有機光導電性物質が好ましい。さらに有機光導電性物質の中でもフタロシアニン系化合物が好適に用いられ、特に下記一般式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を用いることが最適である。下記一般式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を用いることによって、感光体1の光感度および帯電性が向上され、画像再現性に優れる感光体1が実現される。
Figure 0004191728
一般式(2)において、R11、R12、R13およびR14はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基を示す。r、s、yおよびzはそれぞれ1〜4の整数を示す。符号R11、R12、R13およびR14で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、これらの中でもフッ素原子、塩素原子が好ましい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基などの直鎖状アルキル基、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐状アルキル基などが挙げられ、これらの中でも炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基などの直鎖状アルコキシ基、イソプロポキシ基などの分岐状アルコキシ基などが挙げられ、これらの中でも炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましい。
前記一般式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物は、たとえばモーザ
(Moser)およびトーマス(Thomas)による「フタロシアニン化合物(Phthalocyanine
Compounds)」に記載されている方法などの、たとえば次のような製造方法によって製造することができる。たとえば、一般式(2)で表されるチタニルフタロシアニン化合物のうち、R11、R12、R13およびR14がいずれも水素原子であるチタニルフタロシアニンは、フタロニトリルと四塩化チタンとを加熱融解するか、またはα−クロロナフタレンなどの適当な溶媒中で加熱反応させてジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基または水で加水分解することによって得られる。またイソインドリンとテトラブトキシチタンなどのチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドンなどの適当な溶媒中で加熱反応させることによっても、チタニルフタロシアニンを製造することができる。
電荷発生層4には、前述の電荷発生物質の他に、化学増感剤、光学増感剤などの増感剤を添加してもよい。化学増感剤としては、電子受容性物質、具体的には、テトラシアノエチレン、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタンなどのシアノ化合物、アントラキノン、p−ベンゾキノンなどのキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどのニトロ化合物などが挙げられる。光学増感剤としては、キサンテン系色素、チアジン系色素、トリフェニルメタン系色素などが挙げられる。
電荷発生層4を形成するための塗布液は、適当な溶媒中に前述の電荷発生物質を分散させ、さらに結着剤であるバインダ樹脂などが加えられて作製される。前述の増感剤を加える場合、この増感剤についても溶媒中に分散させる。電荷発生物質は、溶媒中に分散される前に、予め粉砕機などによって粉砕されてもよい。粉砕機としては、ボールミル、サンドグラインダ、ペイントシェイカ、超音波分散機などが挙げられる。
電荷発生層4を形成するための塗布液に加えられるバインダ樹脂としては、結着性を有する材料が用いられる。バインダ樹脂としては、たとえば、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアクリレートなどが挙げられる。
電荷発生物質は、電荷発生層4全体の重量に対して10重量%以上99重量%以下の範囲で含まれることが好ましい。電荷発生物質の含有率が10重量%未満であると、感光体1の光感度が低下するおそれがある。電荷発生物質の含有率が99重量%を超えると、電荷発生層4中のバインダ樹脂の含有率が低くなり、機械的強度が低下するだけでなく、電荷発生物質のバインダ樹脂中での分散性が低下して粗大粒子となり、表面電荷が減少されるべき部分以外の表面電荷が露光によって減少するので、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像のかぶりが多く発生するおそれがある。
電荷発生層4を形成するための塗布液に用いられる溶媒としては、たとえば、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、シクロヘキサノン、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類、エチルセロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタンなどのエチレングリコールアルキルエーテル類、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類などが挙げられる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
電荷発生物質として、結晶転移を起こしやすい無機顔料または有機顔料を用いる場合、電荷発生物質の粉砕およびミリング時の結晶転移に基づく光感度低下、ならびにポットライフによる特性低下を防ぐために、溶媒としてはシクロヘキサノン、1,2−ジメトキシエタン、メチルエチルケトンおよびテトラヒドロフランのいずれか、またはこれらの混合溶媒を用いることが好ましい。
電荷発生層形成用の塗布液中における溶媒の重量に対する電荷発生物質およびバインダ樹脂の合計重量の比率(電荷発生物質およびバインダ樹脂の合計重量/溶媒の重量)は、1/99以上40/60以下(=0.01以上0.67以下)であることが好ましく、2/98以上30/70以下(=0.02以上0.43以下)であることがより好ましい。溶媒の重量に対する電荷発生物質およびバインダ樹脂の合計重量の比率が1/99未満であると、溶媒の重量が多くなりすぎて乾燥に長時間を要するおそれがある。溶媒の重量に対する溶媒の重量に対する電荷発生物質およびバインダ樹脂の合計重量の比率が40/60を超えると、電荷発生層形成用塗布液の粘度が高くなり過ぎ、形成される電荷発生層の厚みが不均一となるおそれがある。
電荷発生層4を形成するための塗布液の下引層3表面への塗布は、前述の下引層3を形成するための塗布液の導電性支持体2への塗布と同様にして行われる。
電荷発生層4は、乾燥後の厚みが0.05μm以上5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがより好ましい。電荷発生層4の厚みが0.05μm未満であると、光吸収率が低下し、感光体1の光感度が低下するおそれがある。電荷発生層4の厚みが5μmを超えると、電荷発生層4内部での電荷移動が感光層8表面の電荷を減少させる過程の律速段階となり、感光体1の光感度が低下するおそれがある。
下引層3上に電荷発生層4が形成されると、電荷発生層4上に第1電荷輸送層5を形成するための第1塗布工程(s3)および第1乾燥工程(s4)と、第1電荷輸送層5上に第2電荷輸送層6を形成するための第2塗布工程(s5)および第2乾燥工程(s6)とが行われる。第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6から構成される電荷輸送層7は、電荷発生層4に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させるバインダ樹脂とを含んで構成される。
本実施形態の感光体の製造方法では、第1電荷輸送層5の形成と、第2電荷輸送層6の形成とに、同一の塗布液が用いられる。
電荷輸送層7に含まれる電荷輸送物質としては、電荷発生層4に含まれる電荷発生物質で発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有するものであれば特に限定されない。電荷輸送物質としては、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−g−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物、エナミン系化合物、ブタジエン系化合物などの電子供与性物質などが挙げられる。
本発明の感光体の製造方法によって製造される感光体1の電荷輸送層7には、昇華性を有する酸化防止剤が含まれる。このような昇華性酸化防止剤は、常圧(1気圧;1.013×10Pa)下における昇華温度が、120℃以上140℃以下であることが好ましい。第1塗布工程で形成される第1塗膜を乾燥させる第1乾燥工程および第2塗布工程で形成される第2塗膜を乾燥させる第2乾燥工程では、塗布液に含まれる溶媒の種類、光導電性物質である電荷輸送物質、電荷発生物質の耐熱温度などに応じて好適な温度で加熱が行われる。この第1乾燥工程および第2乾燥工程での好適な温度については後述する。
昇華性酸化防止剤の昇華温度が120℃以上140℃以下であると、感光体の製造における好適な温度での加熱によって昇華性酸化防止剤が昇華されるので、後述の第1乾燥工程と第2乾燥工程とによって、第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率と、第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせることができる。ここで、第1電荷輸送層5中での昇華性酸化防止剤の含有率とは、第1電荷輸送層5に含まれる光導電性物質、すなわち本実施形態では電荷輸送物質の重量に対する昇華性酸化防止剤の重量の比率である。また第2電荷輸送層6中での昇華性酸化防止剤の含有率とは、第2電荷輸送層6に含まれる光導電性物質、すなわち本実施形態では電荷輸送物質の重量に対する昇華性酸化防止剤の重量の比率である。
このような昇華性酸化防止剤としては、たとえば、下記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物(以後、ヒンダードフェノール系化合物(1)と称する)を用いることができる。ヒンダードフェノール系化合物(1)とは、下記一般式(1)に示すように、フェノール性水酸基の隣接位に嵩高い置換基が存在することで特徴付けられるフェノール系構造単位であるヒンダードフェノール構造単位を分子内に有する化合物である。
Figure 0004191728
一般式(1)において、Rは分岐状のアルキル基を示し、R〜Rは水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基またはアリール基を示す。Rは分岐状のアルキル基またはアリール基を示す。R〜Rを構成する原子の原子量の総和は117以上400以下である。ヒンダードフェノール系化合物(1)は、R〜Rが同一の構成および異なる構成、ならびにR〜Rのうち少なくとも2つが相互に連結してR〜Rの結合する炭素原子とともに環を形成する構成を含む。
ヒンダードフェノール系化合物(1)におけるR〜Rを構成する原子の原子量の総和が400を超えると、ヒンダードフェノール系化合物の昇華温度が高くなり、第1乾燥工程および第2乾燥工程における前記好適な温度ではヒンダードフェノール系化合物が昇華しないおそれがある。ヒンダードフェノール系化合物が昇華しないと、第1電荷輸送層5と第2電荷輸送層6との間で、昇華性酸化防止剤の含有率を異ならせることができない。また一般式(1)におけるR〜Rを構成する原子の原子量の総和が117未満であると、ヒンダードフェノール系化合物を構成することができない。
一般式(1)において、符号Rで示される分岐状のアルキル基としては、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基などのt−アルキル基、s−ブチル基、s−オクチル基、s−オクタデシル基などのs−アルキル基が挙げられる。これらの中でも、分子量が小さく嵩高い置換基であるt−ブチル基は特に好ましい。
一般式(1)において符号R、RおよびRで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基、オクチル基などの直鎖状アルキル基、t−ブチル基、t−ペンチル基などの分岐状アルキル基が挙げられるまた符号R、RおよびRで示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基などが挙げられる。
一般式(1)において符号Rで示される分岐状のアルキル基としては、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基などのt−アルキル基、s−ブチル基、s−オクチル基、s−オクタデシル基などのs−アルキル基が挙げられる。また符号Rで示されるアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ビフェニリル基などが挙げられる。このようなアルキル基およびアリール基の中でも、Rは、炭素数が小さく嵩高い置換基であることが好ましい。またRは、フェノール性水酸基の電子密度が高くなるように、電子供与性の置換基が配置されることが特に好ましい。Rとしては、炭素数が小さく嵩高い置換基であって、電子供与性の置換基であるt−ブチル基が特に好ましい。
これらのアルキル基およびアリール基は、置換基を有してもよく、置換基としては、たとえばエステル基、カルボン酸基、リン酸基、チオエーテル基などを挙げることができる。
さらにヒンダードフェノール系化合物(1)の中でも、下記構造式(1a)で表されるものが好ましい。ただし符号R3aはアルキル基またはアリール基を示す。
Figure 0004191728
このようなヒンダードフェノール系化合物(1)の具体例としては、たとえば下記構造式(1aa)〜(1ac)に示すヒンダードフェノール系化合物を挙げることができるけれども、これらに限定されるものではない。
Figure 0004191728
Figure 0004191728
Figure 0004191728
上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、上記一般式(1)においてR〜Rを構成する原子の原子量の総和が131である。また上記構造式(1ab)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、上記一般式(1)においてR〜Rを構成する原子の原子量の総和が251である。また上記構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、上記一般式(1)においてR〜Rを構成する原子の原子量の総和が273である。上記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、たとえば上記構造式(1aa)〜(1ac)から成る群から選ばれる1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
ヒンダードフェノール系化合物(1)の中でも、上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物が用いられることが最も好ましい。上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、ヒンダードフェノール系化合物(1)の中でも昇華温度が最も低い低分子量の化合物であり、好適な加熱温度に一層近い温度で昇華する。このような上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用いることによって、第1塗膜および第2塗膜の乾燥を良好に行いつつ昇華性酸化防止剤の含有率を第1感光層と第2感光層との間で異ならせることが容易に行える。
このような昇華性酸化防止剤と電荷輸送物質とを含む電荷輸送層形成用塗布液には、少なくとも昇華性酸化防止剤および電荷輸送物質を分散させる溶媒と、結着剤であるバインダ樹脂とが含まれる。
バインダ樹脂としては、電荷輸送物質と相溶性を有するものであればよく、たとえば、ポリカーボネート、共重合ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリケトン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂およびポリスルホン樹脂、ならびにこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いられてもよく、2種以上が混合されて用いられてもよい。前述のバインダ樹脂の中でもポリスチレン、ポリカーボネート、共重合ポリカーボネート、ポリアリレートおよびポリエステルは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上であって電気絶縁性に優れており、また成膜性、電位特性などにも優れているので、好適に用いられる。
また電荷輸送層に1種以上の電子受容性物質などを含有させることによって、感光体1の光感度の向上を図り、繰返し使用時の残留電位の上昇、疲労などを抑制するようにしてもよい。電子受容性物質としては、たとえば、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物などの酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリルなどのシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノンなどのアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノンなどの多環または複素環ニトロ化合物などが挙げられ、これらを化学増感剤として用いることができる。
電荷輸送層形成用の塗布液に含まれる溶媒としては、たとえば、メタノール、エタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル類、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類などを用いることができる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が併用されてもよい。
電荷輸送物質、昇華性酸化防止剤、バインダ樹脂、電子受容性物質などの固形分を溶媒中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機などを用いる方法を使用することができる。
塗布液中における溶媒の重量に対する電荷輸送物質、昇華性酸化防止剤、バインダ樹脂、電子受容性物質などの合計重量である固形分の重量の比率(固形分の重量/溶媒の重量)は、形成する第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6の厚みなどに応じて定められるけれども、1/99以上40/60以下(=0.01以上0.67以下)であることが好ましく、2/98以上30/70以下(=0.02以上0.43以下)であることがより好ましい。溶媒の重量に対する固形分の重量の比率が1/99未満であると、加熱による溶媒の除去に長時間を要し、加熱温度によっては昇華性酸化防止剤の昇華率が高くなり過ぎるおそれがある。溶媒の重量に対する固形分の重量の比率が40/60を超えると、塗布液の粘度が高くなり過ぎて、均一な厚みの第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6を得られないおそれがある。
また電荷輸送層7中に含まれる電荷輸送物質は、電荷輸送層7を構成する電荷輸送物質、昇華性酸化防止剤、バインダ樹脂、電子受容性物質などの合計重量である固形分の重量に対して、30重量%以上80重量%以下の割合で塗布液中に含まれることが好ましい。電荷輸送物質の含有率が30重量%未満であると、電荷輸送層7中でのバインダ樹脂の含有率が低くなることによって耐刷性が低くなり、電荷輸送層7の摩耗量が増加するので、耐久寿命が短くなるおそれがある。電荷輸送物質の含有率が80重量%を超えると、電荷輸送層7中でのバインダ樹脂の含有率が高くなることによって塗布液の粘度が増大し、塗布速度低下を招き生産性が著しく低下するおそれがある。さらにこの粘度の増大を抑えるために塗布液中の溶媒の量を前記好ましい量よりも多くすると、形成された電荷輸送層に白濁が生じるブラッシング現象が発生するおそれがある。
また第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6を形成するための塗布液中での昇華性酸化防止剤の含有率は、電荷輸送物質に対して5重量%以上45重量%以下であること、すなわち、電荷輸送物質100重量部に対して5重量部以上45重量部以下で含まれることが好ましい。昇華性酸化防止剤は、後述する第1乾燥工程および第2乾燥工程において昇華性酸化防止剤が昇華することによって、第1電荷輸送層4および第2電荷輸送層5中での昇華性酸化防止剤の含有率が低下するので、塗布液中には乾燥後の第2電荷輸送層6に含有されるべき量以上の昇華性酸化防止剤を含有させておく。
ステップs3の第1塗布工程では、光導電性物質である電荷輸送物質および昇華性酸化防止剤を含む電荷輸送層形成用の塗布液を、下引層3および電荷発生層4が形成された導電性支持体2に塗布して第1塗膜を形成する。第1塗布工程での塗布液の塗布は、前述の下引層3を形成するための下引層形成用塗布液の塗布および電荷発生層4を形成するための電荷発生層形成用塗布液の塗布と同様にして行われる。第1塗布工程で形成される第1塗膜は、第1乾燥工程において乾燥されることによって第1電荷輸送層5となる。
第1塗布工程では、形成すべき第1電荷輸送層5の厚みに応じて塗布液を塗布し、第1塗膜を形成する。形成すべき第1電荷輸送層5の厚みについては、形成すべき第2電荷輸送層6の厚みに応じて塗布される後述の第2塗布工程における第2塗膜の形成の説明とともに述べる。
第1塗布工程にて第1塗膜が形成されると、ステップs4にて第1乾燥工程が行われる。ステップs4の第1乾燥工程では、第1塗布工程にて形成された第1塗膜を加熱することによって乾燥させ、第1電荷輸送層5を形成する。
第1乾燥工程では、たとえば熱風、遠赤外線などを熱源とする乾燥機を用いて第1塗膜が乾燥される。第1乾燥工程では、マイクロ波加熱法、誘電加熱法、誘導加熱法などの加熱方法によって加熱され、第1塗膜が乾燥されてもよい。第1乾燥工程における加熱温度、加熱時間などの乾燥条件は、塗布液に使用される溶媒、第1電荷輸送層5の厚みなどの各種条件に応じて適宜設定される。この第1乾燥工程における第1塗膜の乾燥条件については、後述の第2乾燥工程での第2塗膜の乾燥条件とともに説明する。
第1乾燥工程における加熱によって第1塗膜中の溶媒が除去され、第1電荷輸送層5が形成されると、次いで第2電荷輸送層6を形成するための第2塗布工程(s5)および第2乾燥工程(s6)が行われる。
ステップs5の第2塗布工程では、第1塗布工程で用いた塗布液を、第2乾燥工程で形成された第1電荷輸送層5上に塗布して第2塗膜を形成する。第2塗布工程における塗布液の塗布は、前述の下引層3を形成するための下引層形成用塗布液の塗布と同様にして行われる。第2塗布工程で形成される第2塗膜は、第2乾燥工程において乾燥されることによって第2電荷輸送層6となる。
第2塗布工程では、形成すべき第2電荷輸送層6の厚みに応じて塗膜の厚みを調整して塗布液を塗布する。以下、好ましい第1電荷輸送層5の厚みおよび第2電荷輸送層6の厚みについて説明する。電荷輸送層7の厚み、すなわち本実施形態における第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6の厚みの合計は、10μm以上50μm以下であることが好ましく、15μm以上40μm以下であることがさらに好ましい。電荷輸送層7の厚みが10μm未満であると、感光体1表面の帯電保持能力が低下するおそれがある。電荷輸送層7の厚みが50μmを超えると、感光体1の解像度が低下するおそれがある。
また電荷輸送層7に含まれる第2電荷輸送層6の厚み寸法は、第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率によって定められる。本実施形態のように第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6の2層によって電荷輸送層7が構成される場合、第2電荷輸送層6の厚みは、第1荷輸送層5の厚みよりも薄く形成されることが好ましい。第2電荷輸送層6が、第1荷輸送層5よりも薄く形成されることによって、電荷輸送層7の電気特性の低下を防止することができる。
さらに第2電荷輸送層6の厚みは、電荷輸送層7の厚みの25%以上40%以下であることが好ましい。換言すると、第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6の2層によって電荷輸送層7が形成される場合、第1電荷輸送層5の厚みは、電荷輸送層7の厚みの60%以上75%以下であることが好ましい。
第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6の2層によって電荷輸送層7が形成される場合の第2電荷輸送層6の厚みが電荷輸送層7の厚みの25%未満であると、電荷輸送層7の酸化性ガスに対する耐性が充分に得られないおそれがある。また第2電荷輸送層6の厚みが40%を超えると、昇華性酸化防止剤の含有率が高い第2電荷輸送層6の占める部分が多くなり、電荷輸送層7全体としての昇華性酸化防止剤の含有率が高くなり過ぎるので、電荷輸送層7の電気特性を低下させるおそれがある。
第2塗布工程にて第2塗膜が形成されると、ステップs6の第2乾燥工程が行われる。ステップs6の第2乾燥工程では、第2塗布工程にて形成された第2塗膜を加熱することによって乾燥させ、第2電荷輸送層6を形成する。
第2乾燥工程では、昇華性酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように、第2塗膜の乾燥条件を第1乾燥工程での第1塗膜の乾燥条件と異ならせる。昇華性酸化防止剤の昇華率とは、塗布液中に含有される昇華性酸化防止剤の重量に対する昇華した昇華性酸化防止剤の重量の比率(昇華した昇華性酸化防止剤の重量/塗布液中に含有される昇華性酸化防止剤の重量)である。昇華性酸化防止剤の昇華率が高くなると、塗布液中に含有される昇華性酸化防止剤の重量に対する昇華していない昇華性酸化防止剤の重量の比率である昇華性酸化防止剤の残留率が低くなる。また電荷輸送材料は昇華性を有しない。これによって、昇華性酸化防止剤の昇華率を高くすると、電荷輸送材料の重量に対する昇華性酸化防止剤の重量である昇華性酸化防止剤の含有率が低くなる。
このようにして、第1乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華率と第2乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華率とを異ならせることによって、第1電荷輸送層5に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率と、第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせることができる。さらに第2乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華率を第1乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くすることによって、導電性支持体2に近い側の第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率を低くし、感光体1の外表面に近い側の第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率を高くすることができる。
ここで、第1乾燥工程および第2乾燥工程における乾燥条件とは、たとえば、加熱温度、加熱時間、乾燥機内の気体の圧力などである。第2乾燥工程での乾燥条件を第1乾燥工程での乾燥条件と異ならせることによって、第2乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華率を、第1乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くする方法を以下説明する。
まず加熱温度を異ならせることによって第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせる方法について説明する。ここで、第1乾燥工程における加熱温度とは、第1乾燥工程にて加熱乾燥される対象である第1塗膜の温度であり、第2乾燥工程における加熱温度とは、第2乾燥工程にて加熱乾燥される対象である第2塗膜の温度である。第1塗膜と第2塗膜とが同じ時間加熱される場合、第2乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率を第1乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くするために、第2乾燥工程における加熱温度を第1乾燥工程における加熱温度よりも低くする。
第1乾燥工程における加熱温度と、第2乾燥工程における加熱温度とを異なる温度にする場合、これらの乾燥工程における加熱温度は、いずれの乾燥工程においても、塗布液に使用される溶媒、第1電荷輸送層5の厚みなどの各種条件に応じた好適な温度の範囲内にあることが必要である。この好適な温度範囲は、より具体的には、塗布液に使用される溶媒の沸点、光導電性物質の耐熱温度、光導電性物質の中でも耐熱温度の低い電荷発生物質の温度などによって決定される。加熱温度が溶媒の沸点を大きく超えると、溶媒から気泡が多量に発生し、乾燥後の第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6に気泡、厚みむらなどを生じる。また加熱温度が光導電性物質の耐熱温度を超えると、感光体1の電気特性が低下するおそれがある。
したがって、第1乾燥工程および第2乾燥工程での加熱温度は、塗布液に使用される溶媒の沸点以上であり溶媒の沸点を大きく超えない温度であって、かつ光導電性物質の耐熱温度以下の温度であることが必要である。上記例示したような溶媒および光導電性物質を用いる場合、第1乾燥工程および第2乾燥工程の加熱温度は、70℃以上180℃以下であることが好ましく、70℃以上140℃以下であることがさらに好ましい。乾燥工程の加熱温度が70℃未満であると、加熱効率が低く、短時間での塗膜の乾燥が困難となる。
さらに、第1乾燥工程では、120℃よりも高い加熱温度で加熱することによって第1塗膜を乾燥させ、第2乾燥工程では、120℃以下の加熱温度で加熱することによって第2塗膜を乾燥させることが好ましい。昇華性酸化防止剤としてたとえば上記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用いる場合、第1乾燥工程における加熱温度を120℃よりも高くすることによって昇華性酸化防止剤の昇華率を高くし、第1感光層中の昇華性酸化防止剤の含有率を、塗布液中での昇華性酸化防止剤の含有率よりも低くすることができる。また第1乾燥工程における加熱温度を120℃以下とすることによって昇華性酸化防止剤の昇華が起こりにくくなり、昇華性酸化防止剤の昇華率が低減されるので、第2感光層中の昇華性酸化防止剤の含有率を、第1感光層中の昇華性酸化防止剤の含有率よりも高くすることができる。
以下具体的な実験例を示すことによって、ヒンダードフェノール系化合物(1)を昇華性酸化防止剤の一例として用いる場合、該昇華性酸化防止剤の昇華が120℃以下の加熱温度では起こりにくく、昇華性酸化防止剤の昇華率が低減されることを示す。実験例の感光体として、円筒形状の導電性支持体の外周面に下引層および電荷発生層を順次積層して形成し、電荷発生層の表面に、昇華性酸化防止剤を含む電荷輸送層形成用の塗布液を塗布して加熱温度120℃で加熱し、塗膜を乾燥させて電荷輸送層を形成したものを作製した。導電性支持体、下引層および電荷発生層の構成は、後述する実施例1に記載のものと同様であるので、ここでは説明を省略する。
電荷輸送層形成用の塗布液について説明する。電荷輸送物質として下記構造式(3)で示すブタジエン系化合物T405(商品名、株式会社高砂ケミカル製)100重量部と、バインダ樹脂としてTS2020(商品名、帝人化成株式会社製)200重量部と、昇華性酸化防止剤としてヒンダードフェノール系化合物30重量部とを混合し、テトラヒドロフラン980重量部に分散させて電荷輸送層形成用の塗布液を調製した。ヒンダードフェノール系化合物としては、上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用い、電荷輸送層形成用の塗布液Aを調製した。
Figure 0004191728
またヒンダードフェノール系化合物として上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物の代わりに上記構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用いること以外は塗布液Aと同様にして、電荷輸送層形成用の塗布液Bを調製した。
またヒンダードフェノール系化合物として上記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物の代わりに下記構造式(4)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用いること以外は塗布液Aと同様にして、電荷輸送層形成用の塗布液Cを調製した。
Figure 0004191728
このような塗布液Aを、Cu−Ni合金のT熱電対(石福金属興業株式会社製)が表面に装着された電荷発生層、および下引層が形成される導電性支持体の前記熱電対装着側の電荷発生層上に、それぞれ浸漬塗布法にて乾燥後の厚みが8μmとなるように塗膜を形成した。その後、このように形成された塗膜を有する3本の導電性支持体を送風定温乾燥機(商品名:WINDY OVEN WFO-1001SD、東京理化器械株式会社製)によって加熱し、それぞれの塗膜の温度が120℃となる時間を1時間、1.5時間、2時間として導電性支持体上に電荷輸送層を形成し、感光体を作製した。作製された感光体から電荷輸送層の一部を剥離してアセトンに溶出させ、不溶分であるバインダ樹脂を分離したサンプル液を、以下の分析条件によって液体クロマトグラフィー−質量分析法(Liquid Chromatography-Mass
Spectrometry;略称LC−MS)で分析し、得られた結果をもとにして標準物質(電荷輸送物質であるブタジエン系化合物T405;非昇華性)の検量線を作成した。
測定装置 ;Agilent 1100 Series(横河アナリティカルシステムズ株式会社製)
カラム ;Inertsil ODS-3 2.1x100mm(ジーエルサイエンス株式会社製)
カラム温度;40℃
溶離液 ;メタノール(MeOH)/HO=90/10重量%
注入量 ;5μL
検出器 ;波長254nmの紫外線(UV)検出器
検量線に基づく定量値によって、ヒンダードフェノール系化合物と標準物質(ブタジエン系化合物T405)との比率を算出した。塗布液Aによって形成され、加熱することなく常温(25℃)にて4日放置された電荷輸送層中には、電荷輸送物質であるブタジエン系化合物を100重量%としたとき、前述の構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物が30重量%存在した。
塗布液B、塗布液Cを用いて形成した電荷輸送層についても、塗布液Aを用いて形成した電荷輸送層と同様に、ヒンダードフェノール系化合物と標準物質(ブタジエン系化合物T405)との比率を算出した。塗布液B,Cによって形成され、加熱されることなく常温(25℃)にて4日放置された各電荷輸送層中には、電荷輸送物質を100重量%としたとき、前述の構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物および構造式(4)で表されるヒンダードフェノール系化合物がそれぞれ30重量%存在した。
120℃の加熱温度で塗膜を加熱乾燥させて電荷輸送層を形成したときの加熱時間と、加熱後の電荷輸送層に含まれるヒンダードフェノール系化合物の含有率との関係を表1に示す。
Figure 0004191728
表1に示されるように、加熱温度が120℃の条件下では、加熱時間を長くしても昇華性酸化防止剤の昇華率があまり高くならず、すべての電荷輸送層に含まれるヒンダードフェノール系化合物の含有率が約30重量%であることが判る。
次に、前述の塗布液A,B,Cを用いて、シートカップル熱電対が装着された電荷発生層および下引層が形成される導電性支持体の前記熱電対装着側の面上に、それぞれ浸漬塗布法にて乾燥後の厚みが12μmとなるように塗膜を形成した。その後、各塗膜が形成された導電性支持体を、前述と同様に加熱して加熱温度が120℃、130℃、135℃となる時間をそれぞれ1時間、1.5時間、2時間として塗膜を乾燥させ、導電性支持体上に電荷輸送層が形成される感光体を作製した。作製された感光体の電荷輸送層に含まれるヒンダードフェノール系化合物の含有率を、前述と同様の方法によって算出した。塗膜を加熱乾燥して電荷輸送層を形成したときの加熱温度および加熱時間と、加熱後の電荷輸送層に含まれるヒンダードフェノール系化合物の含有率との関係を表2に示す。
Figure 0004191728
表2に示されるように、前述の構造式(4)で示される化合物は、ヒンダードフェノール系化合物であるけれども、一般式(1)におけるR〜Rを構成する原子の原子量の総和が400よりも大きいことによって昇華温度が高くなるので、感光体を加熱するときの好適な温度付近の加熱温度ではほとんど昇華しない。その結果、電荷輸送層中での構造式(4)で示される化合物の含有率を低減することができなかった。
前述の構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物および構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、加熱温度が120℃であると、昇華率が低く電荷輸送層に含まれるヒンダードフェノール系化合物の含有率が約30重量%となったけれども、加熱温度が120℃よりも高い温度であると、化合物が昇華し、電荷輸送層に含まれるヒンダードフェノール系化合物の含有率が低減された。このように、構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物および構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物は、一般式(1)におけるR〜Rを構成する原子の原子量の総和が117以上400以下と小さく、感光体を加熱するときの好適な温度の範囲の加熱温度で昇華するので、電荷輸送層中での昇華性酸化防止剤の含有率を異なる値としやすい。
このように、加熱温度を異ならせることによって第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせることができる。さらに昇華性酸化防止剤として構造式(1aa)、(1ac)で表される化合物などの一般式(1)で表されるヒンダードフェノール化合物を用いる場合、第1乾燥工程では、120℃よりも高い加熱温度で加熱することによって第1塗膜を乾燥させ、第2乾燥工程では、120℃以下の加熱温度で加熱することによって第2塗膜を乾燥させることによって、第2乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率を第1乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くすることができる。
第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせる方法としては、第1乾燥工程と第2乾燥工程との間で加熱温度を異ならせることなく、加熱時間を異ならせるものであってもよい。
表2に示されるように、加熱温度が一定である場合、構造式(1aa)および構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物の昇華率は加熱時間が長くなるほど高くなるので、電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が低くなる。このように加熱時間を異ならせることによっても、第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせることができる。このとき、加熱温度は120℃よりも高い温度であることが好ましい。
第1乾燥工程および第2乾燥工程における加熱時間とは、表2に示す実験においては加熱温度、すなわち塗膜の温度が120℃、130℃、135℃となる時間であるけれども、塗膜の温度が120℃を超える時間であってもよい。第2乾燥工程での加熱時間を第1乾燥工程での加熱時間よりも短くすることによって、第2乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率を第1乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くすることができ、第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率を第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率よりも高くすることができる。
第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせる方法としては、加熱温度と加熱時間との両方を第1乾燥工程と第2乾燥工程との間で異ならせるものであってもよい。またたとえば第1乾燥工程および第2乾燥工程が行われる乾燥機内の空間が密閉空間である場合、乾燥機内の気体の圧力を第1乾燥工程と第2乾燥工程との間で異ならせてもよい。第2乾燥工程での乾燥機内の気体の圧力を第1乾燥工程での乾燥機内の気体の圧力よりも高めることによって、第2乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華温度が第1乾燥工程における昇華性酸化防止剤の昇華温度よりも高くなり、第2乾燥工程において昇華性酸化防止剤が昇華しにくくなる。このようにして乾燥機内の気体の圧力を異ならせることによっても、第1乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率と第2乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率とを異ならせることができる。
また第1電荷輸送層5中の昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層6中の昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせる方法としては、乾燥条件を異ならせることに限定されるものではなく、第1塗布工程および第2塗布工程における塗布条件を異ならせるものであってもよい。第1塗布工程および第2塗布工程における塗布条件とは、たとえば、第1塗布工程で形成する第1塗膜および第2塗布工程で形成する第2塗膜の厚み寸法などである。
第1塗布工程で形成する第1塗膜の厚みと、第2塗布工程で形成する第2塗膜の厚みとを異ならせることによって、第1電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせることができることを示すために、以下のような実験を行った。
前述の塗布液A,Bを用いて、シートカップル熱電対が装着された電荷発生層および下引層が形成される導電性支持体の前記熱電対装着側の面上に、それぞれ浸漬塗布法にて乾燥後の厚みが8μm、12μm、20μmとなるように塗膜を形成した。その後、各塗膜が形成された導電性支持体を前述と同様に加熱し、加熱温度が130℃となる時間を1時間として導電性支持体上に電荷輸送層が形成される感光体を作製した。また同様に塗布液A,Bを用いて電荷発生層および下引層が形成される導電性支持体上に乾燥後の厚みが20μmとなるように塗膜を形成し、加熱温度が135℃となる時間を1時間として塗膜を乾燥させ電荷輸送層を形成した。このようにして電荷輸送層が形成され、作製された感光体の電荷輸送層に含まれるヒンダードフェノール系化合物の含有率を、前述と同様の方法によって算出した。乾燥後の塗膜の厚みと、加熱後の電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率との関係を表3に示す。
Figure 0004191728
表3に示すように、加熱温度および加熱時間が等しい同一の乾燥条件であっても、塗布工程において塗膜の厚みが異なるように塗布液を塗布することによって、電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率を異ならせることができる。より具体的には、乾燥後の第2電荷輸送層の厚みが乾燥後の第1電荷輸送層の厚みよりも大きくなるように第1塗布工程および第2塗布工程で塗布液を塗布することによって、加熱温度、加熱時間などの乾燥条件が同一の条件であっても、第2電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率を第1電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率よりも高くすることができる。
このようにして、乾燥条件または塗布条件を異ならせることによって、第1電荷輸送層5に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率と第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率とを異ならせることができる。
第1乾燥工程後に第1電荷輸送層5に含まれる電荷輸送物質の重量に対する昇華性酸化防止剤の重量の割合である昇華性酸化防止剤の含有率は、第2乾燥工程後における第2電荷輸送層6の昇華性酸化防止剤の含有率よりも低い値であればよい。
第2電荷輸送層の昇華性酸化防止剤の含有率に対する第1電荷輸送層の昇華性酸化防止剤の含有率の比率(第1電荷輸送層の昇華性酸化防止剤の含有率/第2電荷輸送層の昇華性酸化防止剤の含有率)としては、60%以上100%未満であることが好ましい。
さらに第1乾燥工程後に第1電荷輸送層5に含まれる電荷輸送物質の重量に対する昇華性酸化防止剤の重量の割合である昇華性酸化防止剤の含有率は、27重量%以下であることが好ましく、20重量%未満であることがさらに好ましい。第1電荷輸送層5に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が27重量%以上であると、電荷輸送層7全体に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が高くなり過ぎ、電気特性が低下するおそれがある。
また第2乾燥工程後に第2電荷輸送層6に含まれる電荷輸送物質の重量に対する昇華性酸化防止剤の重量の割合である昇華性酸化防止剤の含有率は、28重量%以上であることが好ましく、30重量%程度であることが最も好ましい。第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が28重量%未満であると、酸化性ガスに対する耐性を充分に得ることができないおそれがある。第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率を上記好適な範囲とする場合、塗布液中での昇華性酸化防止剤の含有率は、28重量%以上45重量%とすることが好ましい。
以上のようにして、第2乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように第2乾燥工程を行い、第2電荷輸送層を形成する。このような各工程を経て、第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が第1電荷輸送層5に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率よりも高い電荷輸送層7を有する感光体1の製造を終了する。
図3は、本発明の感光体の製造方法によって製造された感光体1の第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率を示す図である。本発明の感光体1の製造方法では、図3に示すように、第1電荷輸送層5よりも導電性支持体2から遠い側の層であって、感光体1の表面に近い側の層である第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率を第1電荷輸送層5に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率よりも大きくすることができる。
このような電荷輸送層7が形成される感光体1によれば、感光体1の表面に近い側の層である第2電荷輸送層6の表面付近に存在する電荷輸送物質の酸化を防止することができ、電荷輸送層7の酸化性ガスに対する耐性を向上させることができる。また第2電荷輸送層よりも感光体1の表面から遠い層である第1電荷輸送層では、昇華性酸化防止剤の含有率が高くなることによって生じる第1電荷輸送層の電気特性の低下を防止することができる。このように、酸化性ガスに対する耐性を有し、第1電荷輸送層および第2電荷輸送層を含む電荷輸送層全体、すなわち感光層全体の電気特性および特性安定性に優れる感光体1を得ることができる。
また昇華性酸化防止剤の含有率の異なる第1電荷輸送層と第2電荷輸送層とを形成するための塗布液として、同一の塗布液を用いるので、感光層形成のための塗布液の種類を、第1電荷輸送層形成用の塗布液と第2電荷輸送層形成用の塗布液とをそれぞれ用いる場合に比べて増加させることがない。これによって塗布液の粘度管理などの煩雑化を防止することができ、生産設備への投資および粘度管理のために用いる溶媒などのコストの上昇を抑制することができる。
以下感光体1における静電潜像形成動作について簡単に説明する。感光体1に設けられる感光層8は、帯電器などでたとえば負に一様に帯電され、帯電された状態で電荷発生層4に吸収波長を有する光が照射されると、電荷発生層4中に電子および正孔の電荷が発生する。正孔は、電荷輸送層7に含まれる電荷輸送物質によって感光体1表面に輸送されて表面の負電荷を中和し、電荷発生層4中の電子は、正電荷が誘起された導電性支持体2の側に移動し、正電荷を中和する。このようにして、露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じ、感光層8に静電潜像が形成される。
本実施形態では、感光層8は電荷発生層4と電荷輸送層7とが積層されて構成される。このように、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることによって、各層を構成する材料として電荷発生機能および電荷輸送機能のそれぞれに最適な材料を選択することが可能となるので、特に良好な光感度、帯電特性および画像再現性を有する感光体1を得ることができる。
本発明の感光体1の製造方法は、上記に限定されることなく、種々の変更が可能である。たとえば、電荷輸送層7は、第1電荷輸送層および第2電荷輸送層の2層によって構成されることに限定されるものではなく、3層以上の層によって構成されてもよい。電荷輸送層が3層以上の層によって構成される場合、各層を構成するための塗布液としては同一の塗布液が用いられる。
また電荷輸送層が3層以上の層によって構成される場合、導電性支持体から遠い側の層、すなわち感光体1の表面に近い側の層ほど電荷輸送層中の昇華性酸化防止剤の含有率を高く、導電性支持体に近い側の層、すなわち感光体1の表面から遠い側の層ほど電荷輸送層中の昇華性酸化防止剤の含有率を低くするように乾燥工程が行われることが好ましい。このことによって、電荷輸送層中で昇華性酸化防止剤の含有率について勾配を持たせることができ、感光体の外表面に近い感光層表面付近の光導電性物質の酸化性ガスに対する耐性を持たせることができるとともに、感光層全体としての昇華性酸化防止剤の含有率を低減することができ、電気特性に優れる感光体を製造することができる。
図4は、電子写真感光体の製造方法によって製造される感光体11の構成を簡略化して示す部分断面図である。本形態の感光体の製造方法によって製造される感光体11は、図2に示す実施の第1形態の感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。感光体11において注目すべきは、下引層3上に、電荷発生物質と電荷輸送物質との両方を含有する第1感光層12および第2感光層13からなる感光層14が設けられることである。
本形態の感光体11の製造方法は、導電性支持体2に少なくとも第1感光層12と第2感光層13とが順次積層される感光体の製造方法であって、光導電性物質である電荷発生物質および電荷輸送物質ならびに昇華性を有する酸化防止剤を含む塗布液を導電性支持体2に塗布して第1塗膜を形成する第1塗布工程と、形成された第1塗膜を加熱することによって乾燥させ、第1感光層12を形成する第1乾燥工程と、第1塗布工程で用いた塗布液を、第1感光層12に塗布して第2塗膜を形成する第2塗布工程と、形成された第2塗膜を加熱することによって乾燥させ、第2感光層13を形成する第2乾燥工程とを含み、第2乾燥工程では、昇華性酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での昇華性酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように、乾燥条件を第1乾燥工程での乾燥条件と異ならせることを特徴とする。
本形態の感光体11の製造方法は、第1塗布工程と第2塗布工程とにおいて、感光層形成用の塗布液に前述の電荷発生物質が含有されること、および電荷発生層形成工程が行われないこと以外は、前述の実施の第1形態で示す感光体1の製造方法と同様である。
本形態の感光体11は、オゾン発生の少ない正帯電型画像形成装置用の感光体として好適である。また本形態の感光体11は、下引層3上に塗布されるべき層が第1感光層12および第2感光層13の2層のみであるので、下引層3上に電荷発生層4、第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6が積層される実施の第1形態の感光体の製造方法で製造される感光体1に比べて製造原価および歩留の点で優れる。
以下感光体11における静電潜像形成動作について簡単に説明する。感光体11に設けられる感光層14は、帯電器などでたとえば正に一様に帯電され、帯電された状態で電荷発生物質に吸収波長を有する光が照射されると、感光層14の表面付近に電子および正孔の電荷が発生する。電子は、感光層14表面付近の正電荷を中和し、正孔は、負電荷が誘起された導電性支持体2の側に電荷輸送物質によって輸送され、導電性支持体2に誘起された負電荷を中和する。このようにして、露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じ、感光層14に静電潜像が形成される。
本形態の感光体の製造方法によれば、光導電性物質として電荷発生物質および電荷輸送物質を含む感光層として、第1感光層と第2感光層とを形成し、第2感光層に含有される昇華性酸化防止剤の含有率を、第1感光層に含有される昇華性酸化防止剤の含有率よりも高くすることができる。このことによって、塗布液の種類を増加させることなく感光層14の酸化性ガスに対する耐性が確保され、電気特性および特性安定性の低下が防止される感光体11を製造することができる。
本形態において、感光層14は、第1感光層12および第2感光層13の2層からなる構成であるけれども、これに限定されることなく、3層以上の層から構成されるものであってもよい。このような場合も、各層の形成には同一の塗布液が用いられ、感光体の表面から遠ざかるにつれ昇華性酸化防止剤の含有率が低くなるように各層が構成されることが好ましい。
図5は、本発明の感光体の製造方法によって製造される感光体を備える画像形成装置21の構成を簡略化して示す配置側面図である。図5に示す画像形成装置21は、本発明の感光体の製造方法で製造される感光体として、前述の図2に示す円筒状の感光体1を搭載する。
画像形成装置21は、図示しない装置本体に回転自在に支持される感光体22と、感光体22を回転軸線23まわりに矢符24方向に回転駆動させる図示しない駆動手段とを備える。駆動手段は、たとえば動力源としてモータを備え、モータからの動力を図示しない歯車を介して感光体22の芯体を構成する導電性支持体に伝えることによって、感光体22を所定の周速度で回転駆動させる。
感光体22の周囲には、帯電器25と、露光手段26と、現像器27と、転写器28と、クリーナ29とが、矢符24で示される感光体22の回転方向の上流側から下流側に向かってこの順序で設けられる。クリーナ29は、図示しない除電ランプと共に設けられる。
帯電器25は、感光体22の表面30を所定の電位に帯電させる帯電手段である。帯電器25は、たとえばコロナ放電帯電器などの非接触式の帯電手段である。
露光手段26は、たとえば半導体レーザなどを光源として備え、光源から画像情報に応じて出力されるレーザ光などの光31で、帯電された感光体22の表面30を露光し、これによって感光体22の表面30に静電潜像を形成させる。
現像器27は、感光体22の表面に形成された静電潜像を現像剤によって現像し、可視像であるトナー像を形成する現像手段である。現像器27は、感光体22に対向して設けられ感光体22の表面30にトナーを供給する現像ローラ32と、現像ローラ32を感光体22の回転軸線23と平行な回転軸線まわりに回転可能に支持するとともにその内部空間にトナーを含む現像剤を収容するケーシング33とを備える。
転写器28は、感光体22の表面30に形成されたトナー画像を、感光体22の表面30から記録媒体である記録紙34上に転写させる転写手段である。転写器28は、たとえば、コロナ放電帯電器などの帯電手段を備え、記録紙34にトナーと逆極性の電荷を与えることによってトナー画像を記録紙34上に転写させる非接触式の転写手段である。
クリーナ29は、トナー画像が転写された後の感光体22の表面30を清掃する清掃手段である。クリーナ29は、感光体表面30に弾発的に当接し、転写器28による転写動作後に感光体22の表面30に残留するトナー、紙粉などの異物を前記表面30から剥離させるクリーニングブレード35と、クリーニングブレード35によって剥離されたトナーなどの異物を収容する回収用ケーシング36とを備える。感光体22の表面30でトナー画像を形成するトナーはすべてが記録紙34上に転写されることなく、わずかに感光体22の表面30に残留することがある。この感光体表面30に残留するトナーは、残留トナーと呼ばれ、残留トナーの存在は、形成される画像品質悪化の原因となるので、感光体表面30に当接する前記クリーニングブレード35によって、紙粉などの他の異物とともに感光体22の表面30から残留トナーが除去される。
また感光体22と転写器28との間を通過した後に記録紙34が搬送される方向には、転写されたトナー画像を定着させる定着手段である定着器37が設けられる。定着器37は、図示しない加熱手段を有する加熱ローラ38と、加熱ローラ38に対向して設けられ加熱ローラ38に弾発的に当接して当接部を形成する加圧ローラ39とを備える。
このような画像形成装置21は、電子写真方式を用いて画像を形成し、複写機、プリンタ、ファクシミリ装置などに搭載される。電子写真方式は、感光体22の光導電現象を利用した情報記録方式の一つであり、以下のような電子写真プロセスによって画像を形成する。
まず図示しない制御部からの指示に応じて、感光体22が駆動手段によって矢符24方向に回転駆動され、露光手段26からの光31の受光位置よりも感光体22の回転方向の上流側に設けられる帯電器25によって、その表面が正または負の所定電位に一様に帯電される。
次いで、制御部からの指示に応じて、露光手段26から、帯電された感光体22の表面30に対して光31が照射される。光源からの光31は、画像情報に基づいて、主走査方向である感光体22の回転軸線方向に繰返し走査される。感光体22を回転駆動させ、光源からの光31を画像情報に基づいて繰返し走査することによって、感光体22の表面30に対して画像情報に対応する露光を施すことができる。この露光によって、光31が照射された部分の表面電荷が減少し、光31が照射された部分の表面電位と光31が照射されなかった部分の表面電位とに差異が生じ、感光体22の表面30に静電潜像が形成される。また記録紙34が、図示しない搬送手段によって転写器28と感光体22との間の転写位置に、矢符40方向に供給される。
次いで、光源からの光31の受光位置よりも感光体22の回転方向の下流側に設けられる現像器27の現像ローラ32から、静電潜像の形成された感光体22の表面30に可視像であるトナー画像が形成される。感光体22と転写器28との間に記録紙34が供給されると、転写器28によってトナーと逆極性の電荷が記録紙34に与えられ、これによって感光体22の表面30に形成されたトナー画像が記録紙34上に転写される。
トナー画像の転写された記録紙34は、搬送手段によって定着器37に搬送され、定着器37の加熱ローラ38と加圧ローラ39との間を通過するときに、加熱ローラ38と加圧ローラ39とによって挟持されて加熱および加圧される。これによって、記録紙34上のトナー画像が記録紙34に定着されて堅牢な画像となる。このようにして画像が形成された記録紙34は、搬送手段によって画像形成装置21の外部へ排出される。
トナー画像が記録紙34に転写された後に、さらに矢符24方向に回転する感光体22は、その表面30がクリーナ29に備わるクリーニングブレード35によって擦過され、清掃される。このようにしてトナーなどの異物が除去された感光体22の表面30は、除電ランプからの光によって電荷が除去される。これによって感光体22の表面30の静電潜像が消失する。その後、感光体22はさらに回転駆動され、再度感光体22の帯電から始まる一連の動作が繰返される。以上のようにして、連続的に画像が形成される。
以上のような電子写真方式に関する技術は、複写機などの分野に限らず、銀塩写真方式が用いられていた印刷版材、スライドフィルム、マイクロフィルムなどの分野にも利用されている。
本発明の製造方法によって製造される感光体22は、良好な電気特性を有し、また光導電性物質の酸化性ガスに対する耐性が向上されることによって特性安定性に優れる。画像形成装置21は、このような感光体22が搭載されるので、繰返し使用しても白抜け、黒帯などの画像不良のない良好な画像を形成することができる。
以上に述べたように、本形態の画像形成装置21に搭載される感光体22は、前述の図2に示す実施の第1形態の感光体1である。感光体22は、以上の構成に限定されることなく、たとえば、前述の図4に示す感光体11と同様の層構成を有してもよい。
本発明の製造方法によって製造される感光体22が搭載された画像形成装置は、以上に述べた図5に示す画像形成装置21の構成に限定されるものではなく、本発明の製造方法によって製造される感光体を使用することのできるものであれば、他の異なる構成であってもよい。
たとえば、本形態の画像形成装置21では、露光手段26は半導体レーザであるけれども、発光ダイオード(Light Emitting Diode;略称LED)、陰極線管(Cathode
Ray Tube;略称CRT)などであってもよい。また帯電器25は、非接触式の帯電手段
であるけれども、これに限定されることなく、たとえば帯電ローラなどの接触式の帯電手段であってもよい。また転写器28は、押圧力を用いずに転写を行う非接触式の転写手段であるけれども、これに限定されることなく、押圧力を利用して転写を行う接触式の転写手段であってもよい。接触式の転写手段としては、たとえば、転写ローラを備え、記録紙34の感光体22の表面30との当接面の反対側の表面から転写ローラを感光体22に対して押圧し、感光体22と記録紙34とを圧接させた状態で、転写ローラから記録紙34にトナーと逆極性の電荷を付与することによって、トナー画像を記録紙34上に転写させるものなどを用いることができる。
このような画像形成装置21によれば、感光体22が良好な光感度および光応答性を有し、繰返し使用されてもこれらの光感度および光応答性が低下しないので、長期間にわたって、白抜け、黒帯などの画像不良のない良好な画像を形成することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。
〔実施例1〕
以下のようにして下引層形成工程、電荷発生層形成工程、第1塗布工程、第1乾燥工程、第2塗布工程および第2乾燥工程を行い、外径30mm、長手方向の長さ寸法346mmのアルミニウム製円筒状導電性支持体の外周面に下引層、電荷発生層、第1電荷輸送層および第2電荷輸送層を形成し、実施例1の感光体を作製した。
(下引層形成工程)
酸化チタン(商品名:TTO−D1(AlおよびZrOで表面処理された樹枝状ルチル型、チタン成分85%)、石原産業株式会社製)3重量部と、アルコール可溶性ナイロン樹脂(商品名:CM8000、東レ株式会社製)3重量部とを、メタノール60重量部と1,3−ジオキソラン40重量部との混合溶剤に加え、ペイントシェイカにて10時間分散処理して下引層形成用塗布液を調製した。この塗布液を塗布液槽に満たし、導電性支持体を浸漬した後引上げ、自然乾燥させて厚み寸法0.9μmの下引層を形成した。
(電荷発生層形成工程)
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:S−LEC BL−2、積水化学工業株式会社製)10重量部と、1,3−ジオキソラン1400重量部と、チタニルフタロシアニン(前記一般式(2)において、R11、R12、R13およびR14がそれぞれ水素原子であり、r、s、yおよびzがそれぞれ4であるもの)15重量部とを、ボールミルにて72時間分散処理して電荷発生層用塗布液を調製した。この塗布液を、下引層の形成と同様の浸漬塗布法にて先に形成した下引層上に塗布し、自然乾燥させて厚み寸法0.2μmの電荷発生層を形成した。
(第1塗布工程)
電荷輸送物質として前述の構造式(3)で示すブタジエン系化合物(商品名;T405、高砂ケミカル社製)100重量部と、バインダ樹脂としてTS2020(商品名、帝人化成社製)200重量部と、昇華性酸化防止剤として前述の構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物30重量部とを混合し、テトラヒドロフラン980重量部に分散させて電荷輸送層用塗布液を調製した。この塗布液を、下引層の形成と同様の浸漬塗布法にて先に形成した電荷発生層上に塗布し、第1塗膜を形成した。
(第1乾燥工程)
形成された第1塗膜を、送風定温乾燥機(商品名:WINDY OVEN WFO-1001SD、東京理化器械株式会社製)によって加熱温度130℃、加熱時間1時間で加熱乾燥させ、厚み寸法12μmの第1電荷輸送層を形成した。加熱温度の測定は、実施例1の感光体と同様にして別途作製される加熱温度測定用の感光体に形成される塗膜の温度を、Cu−Ni合金のT熱電対(石福金属興業株式会社製)にて測定することによって行った。
(第2塗布工程)
第1塗布工程で調製した塗布液を、下引層の形成と同様の浸漬塗布法にて先に形成した第1電荷輸送層上に塗布し、第2塗膜を形成した。
(第2乾燥工程)
形成された第2塗膜を、加熱温度120℃、加熱時間1時間としたこと以外は第1乾燥工程と同様の方法によって加熱乾燥させ、厚み寸法8μmの第2電荷輸送層を形成した。
〔実施例2〕
昇華性酸化防止剤として前述の構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の感光体を作製した。
〔実施例3〕
第1乾燥工程における加熱温度を135℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の感光体を作製した。
〔実施例4〕
昇華性酸化防止剤として前述の構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用い、第1乾燥工程における加熱温度を135℃としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の感光体を作製した。
〔実施例5〕
第1乾燥工程における加熱時間を1.5時間としたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の感光体を作製した。
〔比較例1〕
酸化防止剤として前述の構造式(4)で表されるヒンダードフェノール系化合物を用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の感光体を作製した。
〔比較例2〕
第1塗布工程および第1乾燥工程で厚み20μmの電荷輸送層を形成し、第2塗布工程および第2乾燥工程を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の感光体を作製した。
〔比較例3〕
第1乾燥工程における加熱温度を120℃としたこと以外は比較例2と同様にして、比較例3の感光体を作製した。
以上のようにして作製した実施例1〜5および比較例1〜3の感光体の電気特性および酸化性ガスに対する耐性を、以下のようにして評価した。また電気特性および酸化性ガスに対する耐性の評価結果から、以下のようにして総合評価を行った。
[感光体電気特性評価]
実施例1〜5および比較例1〜3の各感光体を画像形成装置(市販のレーザプリンタ、商品名;AR−450、シャープ株式会社製から感光体を取外したもの)にそれぞれ搭載し、温度5℃、相対湿度20%の低温/低湿(L/L:Lo w Temperature/Low Humidity)環境下および温度35℃、相対湿度85%の高温/高湿(H/H:High Temperature/High Humidity)環境下のそれぞれの環境下において、以下のようにして光応答性を評価した。画像形成装置には、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器が備えられる。また画像形成装置には、画像形成過程における感光体の表面電位を測定できるように表面電位計(商品名:CATE751、ジェンテック社製)を設けた。またレーザプリンタAR−450は、感光体の表面を負に帯電して電子写真プロセスを行う負帯電型の画像形成装置である。
実施例1〜5および比較例1〜3の各感光体が搭載された画像形成装置を用い、感光体表面を帯電器によって接地電位からマイナス(−)550Vに帯電させた後、レーザ光による露光を施した直後の感光体の表面電位の絶対値を露光電位VL〔V〕として測定した。露光電位VLが小さいほど、光応答性に優れると評価した。評価基準は次のようである。
◎:優。L/L環境下でのVLが135V以下であり、かつH/H環境下でのVLが40V以下である。
○:良。L/L環境下でのVLが135Vより大きく170V以下であり、かつH/H環境下でのVLが40Vより大きく80V以下である。
×:不可。L/L環境下でのVLが170Vより大きい。またはH/H環境下でのVLが80Vより大きい。
[酸化性ガスに対する耐性評価]
実施例1〜5および比較例1〜3の各感光体を、感光体の帯電手段としてコロナ放電帯電器を備える市販のフルカラー複写機(商品名:ARC−150、シャープ株式会社製)にそれぞれ搭載し、温度5℃、相対湿度20%の低温/低湿(L/L)環境下において、所定のパターンのテスト画像を記録用紙5000枚に連続して複写させた。その後複写機の電源を切り、一晩(約20時間)放置した後、記録用紙にハーフトーン画像を複写させ、これを評価用画像とした。ここで、ハーフトーン画像とは、画像の濃淡を白黒のドットによって階調表現した画像のことである。
形成された評価用画像を目視によって観察し、各ドットがぼやけているか否か、すなわち画像ぼけが発生しているか否かを判断した。また複写機の電源を切っている間に、最もコロナ放電帯電器寄りに配置されていた感光体の該近接部分からトナー像が転写された部分に該当する記録用紙の部分に、白抜けおよび黒帯が発生しているか否かを判断した。これらの判断結果に基づき、画像ぼけ、白抜け、黒帯などの画像欠陥の発生度合によって感光体の酸化性ガスに対する耐性を評価した。感光体の酸化性ガスに対する耐性の評価基準は次のようである。
◎:優。画像欠陥が全く発生していない。
○:良。若干の画像欠陥が発生しているけれども、無視できる程度である。
×:不可。多数の画像欠陥が発生し、実使用不可。
[総合評価]
電気特性の評価結果および酸化性ガスに対する耐性の評価結果の双方によって、総合評価を行った。評価基準は次のようである。
◎:優。電気特性および酸化性ガスに対する耐性について双方とも判定が優(◎)であり、非常に特性が良好である。
○:良。電気特性および酸化性ガスに対する耐性について双方とも良(○)以上の評価であり、実使用上問題ないレベルである。
×:不可。電気特性もしくは耐酸化性ガス特性において、いずれかで不可(×)の評価がされている。
実施例1〜5および比較例1〜3の感光体の電気特性、酸化性ガスに対する耐性および総合評価の結果を表4に示す。
Figure 0004191728
表4に示されるように、前述の構造式(4)で示される化合物を酸化防止剤として用いる場合(比較例1)、昇華温度が高いことによって加熱温度が130℃程度では構造式(4)で示される化合物が昇華せず、第1電荷輸送層と第2電荷輸送層とで酸化防止剤の含有率を異ならせることができなかった。このことによって、導電性支持体に近い側の第1電荷輸送層の酸化防止剤の含有率を低下させることができず、H/H環境下およびL/L環境下のいずれにおいても露光電位VLが高く、感光体としての光応答性に劣るものとなった。
電荷輸送層が単層である場合(比較例2および3)、電荷輸送層全体に昇華性酸化防止剤が均一に含有される。このような単層の電荷輸送層のうち、電荷輸送層全体に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が21%と低い比較例2の感光体は、酸化性ガスに対する耐性を得ることができなかった。また電荷輸送層全体に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が30%と高い比較例3は、酸化性ガスに対する耐性を得ることはできたけれども、H/H環境下およびL/L環境下のいずれにおいても露光電位VLが高く、光応答性の面で劣るものであった。
電荷輸送層が第1電荷輸送層および第2電荷輸送層によって構成され、さらに第2電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率が第1電荷輸送層に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率よりも高い感光体(実施例1〜5)は、酸化性ガスに対する耐性を有するとともに、電気特性に優れるものであった。中でも、昇華性酸化防止剤として前述の構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール化合物を用いた実施例1,3および5は、第1電荷輸送層中の昇華性酸化防止剤の含有率を低下させることができ、特に良好な電気特性を得ることができた。
昇華性酸化防止剤として前述の構造式(1ac)で表されるヒンダードフェノール化合物を用いた実施例2および4については、特に良好な酸化性ガスに対する耐性を得ることができた。
また実施例1と実施例2とを比較すると、構造式(1aa)に示すヒンダードフェノール系化合物は、構造式(1ac)に示すヒンダードフェノール化合物よりも分子量が小さいので昇華温度が低くなり、第1電荷輸送層中の昇華性酸化防止剤の含有率を一層低下させることができ、特に良好な電気特性を得ることができた。また構造式(1aa)に示すヒンダードフェノール系化合物は、構造式(1ac)に示すヒンダードフェノール化合物よりも昇華温度が低いので、昇華性酸化防止剤の含有率の制御を容易に行うことができた。これによって、第1乾燥工程での加熱温度をより低温とすることができ、加熱に要するエネルギのコストを低減することができる。
本発明の実施の一形態である電子写真感光体の製造方法の手順を示すフローチャートである。 図1のフローチャートで示す第1実施形態の電子写真感光体の製造方法によって製造される電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。 本発明の感光体の製造方法によって製造された感光体1の第1電荷輸送層5および第2電荷輸送層6に含まれる昇華性酸化防止剤の含有率を示す図である。 子写真感光体の製造方法によって製造される感光体11の構成を簡略化して示す部分断面図である。 本発明の感光体の製造方法によって製造される感光体を備える画像形成装置21の構成を簡略化して示す配置側面図である。
符号の説明
1,11,22 電子写真感光体
2 導電性支持体
3 下引層
4 電荷発生層
5 第1電荷輸送層
6 第2電荷輸送層
7 電荷輸送層
8,14 感光層
12 第1感光層
13 第2感光層
21 画像形成装置
25 帯電器
26 露光手段
27 現像器
28 転写器
29 クリーナ
34 記録紙
37 定着器

Claims (5)

  1. 導電性支持体に少なくとも第1感光層と第2感光層とが順次積層される電子写真感光体の製造方法であって、
    昇華性を有する酸化防止剤および光導電性物質を含む塗布液を導電性支持体に塗布して第1塗膜を形成する第1塗布工程と、
    形成された第1塗膜を加熱することによって乾燥させ、第1感光層を形成する第1乾燥工程と、
    第1塗布工程で用いた塗布液を、第1感光層に塗布して第2塗膜を形成する第2塗布工程と、
    形成された第2塗膜を加熱することによって乾燥させ、第2感光層を形成する第2乾燥工程とを含み、
    第2乾燥工程では、
    酸化防止剤の昇華率が第1乾燥工程での酸化防止剤の昇華率よりも低くなるように、第2塗膜の乾燥条件を第1乾燥工程での第1塗膜の乾燥条件と異ならせ
    前記光導電性物質は、電荷輸送物質であり、
    第1感光層は、第1電荷輸送層であり、
    第2感光層は、第2電荷輸送層であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 昇華性を有する酸化防止剤は、
    下記一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 0004191728
    は分岐状のアルキル基を示し、R 〜R は水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基またはアリール基を示す。R は分岐状のアルキル基またはアリール基を示す。R 〜R を構成する原子の原子量の総和は117以上400以下である。ヒンダードフェノール系化合物(1)は、R 〜R が同一の構成および異なる構成、ならびにR 〜R のうち少なくとも2つが相互に連結してR 〜R の結合する炭素原子とともに環を形成する構成を含む。
  3. 一般式(1)で表されるヒンダードフェノール系化合物が、
    下記構造式(1aa)で表されるヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする請求項記載の電子写真感光体の製造方法。
    Figure 0004191728
  4. 前記乾燥条件は、
    第1乾燥工程および第2乾燥工程での加熱温度または加熱時間を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 第1乾燥工程では、
    常圧下において120℃よりも高い加熱温度で加熱することによって第1塗膜を乾燥させ、
    第2乾燥工程では、
    常圧下において120℃以下の加熱温度で加熱することによって第2塗膜を乾燥させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の電子写真感光体の製造方法。
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