JP2005326474A - 電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 生産可能な分散安定性を確保でき、かつ電子写真感光体とした際も、残留電位の上昇が殆どなく、高湿の環境下における画像ボケ、流れのない高品位の画像を保つことができ、更に優れた離型性を有し、磨耗や傷の発生に対して優れた耐久性を有する表面層を有することのできる電子写真感光体及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層をこの順で有し、該保護層が、フィラーもしくは電荷輸送物質の少なくとも一方を含有し、且つ熱硬化性フェノール樹脂を含有する電子写真感光体の製造方法において、該保護層の塗布液に、保護層の乾燥温度以下の沸点もしくは昇華点をもつ有機酸を含有させて形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】 導電性支持体上に、少なくとも電荷発生層、電荷輸送層及び保護層をこの順で有し、該保護層が、フィラーもしくは電荷輸送物質の少なくとも一方を含有し、且つ熱硬化性フェノール樹脂を含有する電子写真感光体の製造方法において、該保護層の塗布液に、保護層の乾燥温度以下の沸点もしくは昇華点をもつ有機酸を含有させて形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは保護層に特定の粒子と特定の樹脂とを含有する電子写真感光体、該電子写真感光体の製造方法、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
近年、電子写真感光体を使用したプリンター、複写機及びファクシミリ等は多種多様な分野で使用されるようになり、より様々な環境においても常に安定した画像を提供することが更に厳しく要求されていて、感光層の表面特性に対する化学的、電気的、機械的衝撃に対する要求が厳しくなっている。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生、また、帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による表面層の劣化等に対する耐久性が要求される。
ところで、電子写真感光体は、帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電等の手段が繰り返し適用される。帯電及び露光により形成された静電潜像はトナーをいわれる微粒子状の現像剤によりトナー画像となる。さらにこのトナー画像は転写手段により紙等の転写材に転写されるが、すべてのトナーが転写されるわけではなく、一部が感光体上に残留する。
この残留トナーの量が多いと、転写材上の画像は、所謂ボソ抜け状となり、画像の均一性に欠けるだけでなく、感光体へのトナーの融着やフィルミングの発生という問題が生じる。従ってこれらの問題に対して、感光体の表面層の離型性を向上することが求められている。
電子写真感光体に求められる上記のような要求を満たすために、各種の保護層を設ける試みがなされている。なかでも、樹脂を主成分とする保護層は数多く提案されている。例えば、下記特許文献1には樹脂に導電性粉末として金属酸化物を添加することにより体積抵抗を制御することのできる保護層が提案されている。
また、特許文献2には硬化性フェノール樹脂を保護層用樹脂に使用することが提案されている。
電子写真感光体の保護層に金属酸化物を分散するのは、保護層自体の体積抵抗を制御し、電子写真プロセスの繰り返しに伴う感光体内での残留電位の増加を防止するのがその主な目的であり、電子写真感光体用の保護層の適切な体積抵抗値は1010〜1015Ω・cmであることが知られている。しかしながら、前記の範囲の体積抵抗値においては、保護層の体積抵抗はイオン電導によって影響を受けやすく、そのために温湿度の変化によって体積抵抗が大きく変化する傾向にある。特に金属酸化物を保護層中に分散している場合には金属酸化物表面の吸水性が高いために、実使用環境下、かつ電子写真プロセスの繰り返し使用を通して、保護層の体積抵抗を前記範囲に保つことはこれまで非常に困難であった。
特に高湿下においては、放置により体積抵抗が徐々に低下したり、また、帯電により発生するオゾンやNOx等の活性物質が表面に繰り返し付着したりすることにより、感光体表面の体積抵抗の低下や表面層からのトナーの離型性の低下を引き起こし、所謂画像流れや画像ボケといったような欠陥が発生する、画像均一性が不十分になる等の問題があった。
また、一般的に保護層に粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために、0.3μm以下であることが好ましい。しかし、通常金属酸化物粒子は樹脂溶液中において凝集する傾向があり、均一に分散しにくく、一旦分散しても二次凝集や沈殿がおこりやすいので、粒径0.3μm以下といった微粒子の良好な分散膜を安定して生産することは非常に困難であった。さらに透明度、導電均一性を向上させる観点から特に粒径の小さい超微粒子(一次粒径0.1μm以下)を分散することが好ましいが、このような超微粒子の分散性、分散安定性はさらに悪くなる傾向にあった。
上記の欠点を補うために、例えば特許文献3にはフッ素含有シランカップリング剤、チタネートカップリング剤あるいはC7F15NCO等の化合物を添加した保護層が、特開昭62―295066号公報には結着樹脂中に、撥水処理することにより分散性及び耐湿性の向上した金属微粉末または金属酸化物微粉末を分散した保護層が、特開平2―50167号公報には結着剤樹脂中にチタネートカップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤及びアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートで表面処理された金属酸化物微粉末を分散した保護層が提案されている。
また、下記特許文献5では、硬化時には触媒として作用させ、硬化後も保護層中に残存し、保護層の体積抵抗を低下し伝導性を妨げる潜熱を放出する作用をだすために、更には、特許文献6では、フィラーを含有させたことによる著しい残留電位上昇を抑制することを目的として、保護層中に有機酸を含有させることが提案されている。しかし、これらの保護層では有機酸が硬化後も膜中の残存することを前提としているため、残存有機酸がイオン伝導性となるために、高湿下におけるボケに対して不利であることや、トラップとなって電子写真特性を十分に達成できていない。
これらの保護層においても、未だ近年の高耐久、高画質化の要求に応えるべく、表面への様々な衝撃や、磨耗や傷の発生に対する耐久性、離型性、高湿下における画像ボケなど保護層として満足できる電子写真特性を示すものが得られていないのが現状である。
また、フィラーを分散した液の分散性、分散安定性も生産性という観点から、長期間、分散安定性を保有し、電子写真特性に悪影響を与えないという観点からも満足できる物が提案されていない。
特開昭57―30846号公報
特開平5−181299号公報
特開平01―306857号公報
特開昭62―295066号公報
特開2003−084474号公報
特開2003−149849号公報
本発明の目的は、生産可能な分散安定性を確保でき、かつ電子写真感光体とした際も、残留電位の上昇が殆どなく、高湿の環境下における画像ボケ、流れのない高品位の画像を保つことができ、更に優れた離型性を有し、磨耗や傷の発生に対して優れた耐久性を有する表面層を有することのできる電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
本発明者等は鋭意検討の結果、電子写真感光体の製造方法の、下記(1)〜(10)に示す構成により、上記課題を解決できることを見出した。また、下記(11)〜(20)に示すように構成した、保護層を保有した電子写真感光体、及び(21)に示す該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び(22)に示す電子写真装置であれば、上記課題を解決できることを見出した。
(1)熱硬化性フェノール樹脂及び酸を含有し、フィラーもしくは電荷輸送物質の少なくとも一方を含有する保護層用塗料を用いた場合でも、該酸の沸点もしくは昇華点以上の温度で加熱処理を行うことで保護層を形成する電子写真感光体の製造方法。
(2)前記酸の沸点もしくは昇華点が100℃以上200℃以下である前記(1)記載の電子写真感光体の製造方法。
(3)前記酸の沸点もしくは昇華点が120℃以上180℃以下である前記(2)記載の電子写真感光体の製造方法。
(4)前記酸が有機酸である前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
(5)前記有機酸のpKaが3以上6未満の有機酸である前記(4)記載の電子写真感光体の製造方法。
(6)前記有機酸がカルボン酸である前記(5)記載の電子写真感光体の製造方法。
(7)前記カルボン酸が脂肪族カルボン酸である前記(6)記載の電子写真感光体の製造方法。
(8)前記脂肪族カルボン酸が酢酸である前記(7)記載の電子写真感光体の製造方法。
(9)前記フェノール樹脂がレゾールであり、中和酸として(1)乃至(8)のいずれか記載の有機酸を用いた樹脂である電子写真感光体の製造方法。
(10)前記フィラーが比抵抗10E4Ω・cm以下である前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
(11)熱硬化性フェノール樹脂及び酸を含有し、フィラーもしくは電荷輸送物質の少なくとも一方を含有する保護層用塗料を用い、該酸の沸点もしくは昇華点以上の温度で加熱処理を行うことで保護層を形成した電子写真感光体。
(12)前記酸の沸点もしくは昇華点が100℃以上200℃以下である前記(11)記載の電子写真感光体。
(13)前記酸の沸点もしくは昇華点が120℃以上180℃以下である前記(12)記載の電子写真感光体。
(14)前記酸が有機酸である前記(11)乃至(13)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(15)前記有機酸のpKaが3以上6未満の有機酸である前記(14)記載の電子写真感光体。
(16)前記有機酸がカルボン酸である前記(15)記載の電子写真感光体。
(17)前記カルボン酸が脂肪族カルボン酸である前記(16)記載の電子写真感光体。
(18)前記脂肪族カルボン酸が酢酸である前記(17)記載の電子写真感光体。
(19)前記フェノール樹脂がレゾールであり、中和酸として前記(11)乃至(18)のいずれか記載の有機酸を用いた樹脂である電子写真感光体。
(20)前記フィラーが比抵抗10E4Ω・cm以下である前記(11)乃至(19)のいずれかに記載の電子写真感光体。
(21)前記(11)乃至(20)のいずれか1項に記載の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジ。
(22)前記(11)乃至(21)のいずれか1項に記載の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有する電子写真装置。
本発明によれば、熱硬化性フェノール樹脂及び酸を含有し、フィラーもしくは電荷輸送物質の少なくとも一方を含有する保護層用塗料を用いた場合でも、保護層に沸点もしくは昇華点が乾燥温度以下に調整することで、抵抗変動が小さく、残留電位も少なく、実用可能な感度がとれ、液安定性に優れた保護層を有する電子写真感光体の製造方法及び、電子写真感光体が提供される。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
フェノール樹脂は、製造上、アルカリ性下でレゾール化が行われる。有機酸を加えずにアルカリ性のままレゾールを放置した場合、メチレン基の酸化がおこり、キノンタイプに変性することが知られている。このキノン化合物はアクセプター分子として広く知られており、電荷輸送層との界面に存在することで、電荷のトラップとなると考えている。従って、本発明において、保護層中に有機酸を含有することが必須である。
一方、保護層中の残留酸が多いと、残されたわずかな酸がイオン伝導性を示すために、高湿下において保護層全体が水分を吸着することで、表面抵抗が低下し、画像流れやボケを発生する。従って、本発明に用いる酸は、保護層の乾燥温度以下の沸点もしくは昇華点をもつ酸を用いる事が必須である。
本発明における保護層は、熱硬化型であるため感光層上に塗布した後に通常は熱風乾燥炉等で硬化させる。この時の硬化温度は、100℃〜200℃が好ましく、特には120℃〜180℃が好ましい。このため、用いる有機酸の沸点もしくは昇華点も200℃以下が好ましく、特には180℃以下が好ましい。
また、中和酸としては有機酸が好ましい。詳細はいまだ不明だが、無機酸を用いた場合、液をゲル化させ、液安定性を低下させることが分かった。そのため、有機酸を用いることが好ましい。
更に、用いる有機酸のpKaは、3以上6未満が好ましい。pKaが3未満であると有機酸の解離度大きいために、有機酸が解離したイオンが多くなり、そのため抵抗変動が大きくなる。また、pKaが6以上であれば逆に解離度が小さいため、酸としての機能を発揮できないため、中和する際により多くの酸を必要とするために、結果的に多くの酸が膜中に存在することになる。この酸が解離度は小さくても、解離したイオンの絶対量が多くなるため、高湿下において表面抵抗が低下し、画像流れやボケを発生する。
有機酸としては、カルボン酸、スルホン酸、アミノ酸などが用いられるが、適正なpKaや沸点、昇華点の観点から、カルボン酸が望ましい。さらにカルボン酸でも、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等の飽和脂肪族酸、オレイン酸、マレイン酸、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸、サリチル酸、フタル酸、イソフタル酸などの芳香族カルボン酸など、いかなるカルボン酸などが用いられる。しかし、保護層の乾燥温度を高温にしすぎると、感光層の劣化が大きくなる。そのため、比較的、沸点や分解点の低い、脂肪族カルボン酸が望ましい。更に、脂肪族カルボン酸のなかでも、特に安定した特性が得られることから、酢酸が望ましい。
本発明において、保護層に用いられる導電剤としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
本発明において用いられる導電性フィラーの平均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以下が好ましい。平均粒径の測定は、保護層調合液の状態では超遠心式自動粒度分布測定装置等で測定可能であり、保護層の状態では直接TEM等で観察できる。
また、本発明においては、上述した粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが特に好ましい。
本発明において、現像材の離型性の向上、装置における感光体の駆動力低減の観点から、保護層に潤滑性粒子を含有させることが望ましい。
本発明において用いられる潤滑性粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、シリコン粒子及びシリコーン粒子が好ましく、より好ましくはフッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種以上混合してもよい。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子量や粒子の粒径は、適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
このフッ素原子含有樹脂粒子を金属又は金属酸化物粒子と共に樹脂溶液中で凝集させないように、フッ素原子含有化合物を金属又は金属酸化物粒子の分散時に添加したり、また金属又は金属酸化物粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理するとよい。フッ素原子含有化合物を添加又は金属又は金属酸化物粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物のない場合に比べて、樹脂溶液中での金属又は金属酸化物粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が格段に向上する。また、フッ素原子含有化合物を添加し金属又は金属酸化物粒子を分散した液、又は表面処理を施した金属又は金属酸化物粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性のよい塗工液が得られる。
本発明におけるフッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。表1〜表3に好ましい化合物例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
金属又は金属酸化物粒子の表面処理方法としては、金属又は金属酸化物粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を金属又は金属酸化物粒子表面に付着させる。分散の方法としては、ボールミルやサンドミル等の通常の分散手段を用いることができる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、金属又は金属酸化物粒子表面に固着させればよい。また、必要に応じて、この後に更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。更に、必要に応じて表面処理後の金属又は金属酸化物粒子に更に粉砕処理を施すことができる。
金属又は金属酸化物粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径にも影響を受けるが、表面処理済みの金属又は金属酸化物粒子全質量に対し、1〜65質量%、好ましくは1〜50質量%である。表面処理量の測定は、表面処理された金属又は金属酸化物粒子をTG−DTAを用いて505℃に加熱した後の質量変化量から、又は、るつぼによる強熱減量法を用いて500℃/2時間後の質量変化量から求められる。
以上のように、フッ素原子含有化合物を添加した後に金属又は金属酸化物粒子を分散する、又は、フッ素原子含有化合物によって表面処理された金属又は金属酸化物粒子を用いることにより、フッ素原子含有樹脂粒子の分散が安定し、滑り性、離型性に優れた保護層を形成することができる。しかしながら、最近のカラー化、高画質化、高安定化が進み、より環境に対する安定化を求めるようになり、保護層にもより一層の環境安定性を求めるようになってきた。
更に、本発明においては、より環境安定性のある保護層とするために、下記一般式(1)で示されるシロキサン化合物を金属又は金属酸化物粒子分散時に添加したり、又は、予め表面処理を施した金属又は金属酸化物粒子を混合することにより、更に環境安定性により優れた保護層を得ることができた。
式中、Aは水素原子又はメチル基であり、かつ、Aの全部における水素原子の割合は0.1〜50%の範囲、nは0以上の整数である。
このシロキサン化合物を添加後分散した塗工液、又は、これを表面処理した導電性微粒子を溶剤に溶かした結着剤樹脂中に分散することによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良い塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成した保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られた。更に、保護層に用いる樹脂が硬化型フェノール樹脂の場合、保護層の膜厚又はその他の条件により、スジ状のムラになったりセルを形成したりする場合もみられるが、前述のシロキサン化合物を添加、又はこれを表面処理した導電性微粒子を用いることにより、スジ状のムラやセルの形成を抑制することができ、レベリング剤の効果という予期せぬ効果もあった。
本発明において用いる保護層の結着樹脂としては、熱硬化型のフェノール樹脂を用いた。特に、硬化剤を必要とせずに硬化するため取り扱いが簡便であることから、レゾール型のフェノール樹脂を用いることがより好ましい。通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物をアルカリ触媒下で製造される。これに用いられる主なるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン及びビスフェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及びアセトアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらのフェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、又はそれらをオリゴマー化されたもの、及びモノマーとオリゴマーの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、それ以下のものがモノマーである。この時、用いられるアルカリ触媒として、NaOH、KOH及びCa(OH)2等のアルカリ金属、及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられるが、高湿の環境下での抵抗の変動を考慮するとアミン系触媒を用いることがより好ましい。アミン系触媒として、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、溶液の安定性よりアンモニアを除くアミン系触媒を用いることがより好ましい。
硬化型のフェノール樹脂と金属又は金属酸化物粒子との割合は、直接的に保護層の抵抗を決定する値であり、保護層の抵抗が10E11〜10E13(Ω・cm)の範囲になるように設定する。膜強度的には、通常、金属又は金属酸化物粒子の量が増えれば増えるほど弱くなるため、金属又は金属酸化物粒子の量は、保護層の抵抗及び残留電位が許容できる範囲において、少なくする方が好ましい。また、保護層に電荷輸送物質のみを含有させた場合、10E12〜10E16が望ましい。
本発明における保護層は、熱硬化型であるため感光層上に塗布した後に通常は熱風乾燥炉等で硬化させる。硬化温度が高すぎると、感光層の熱劣化による感度低下、硬化温度が低すぎると、室温で粘度アップ等弊害を起こし、液安定性に問題が生じるために、硬化温度は、100℃〜200℃が好ましく、特には120℃〜180℃が好ましい。また、保護層の膜厚は0.5μm〜10μmが好ましく、特には1μm〜7μmが好ましい。
本発明においては、前記保護層中に、酸化防止剤等の添加物を加えてもよい。
次に、感光層について説明する。
出力画像の品質の観点からは、感光層の膜厚は5μm以上であることが好ましい。感光層が薄すぎると、出力画像にカブリが発生しやすくなる。
また、感光層は、電荷輸送物質と電荷発生物質を同一の層に含有する単層型感光層であっても、電荷発生物質を含有する電荷発生層と電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とに分離した積層型(機能分離型)感光層であってもよいが、電子写真特性の観点からは積層型感光層が好ましい。また、積層型感光層には、支持体側から電荷発生層、電荷輸送層の順に積層した順層型感光層と、支持体側から電荷輸送層、電荷発生層の順に積層した逆層型感光層があるが、電子写真特性の観点からは順層型感光層が好ましい。
支持体としては、導電性を有していればよく、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレスなどの金属製の支持体を用いることができる。また、アルミニウム、アルミニウム合金、酸化インジウム−酸化スズ合金などを真空蒸着によって被膜形成された層を有する上記金属製支持体やプラスチック製支持体を用いることもできる。また、カーボンブラック、酸化スズ粒子、酸化チタン粒子、銀粒子などの導電性粒子を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体や、導電性結着樹脂を被覆したプラスチックなどを用いることもできる。
支持体上には、レーザー光などの散乱による干渉縞の防止や、支持体の傷の被覆を目的とした導電層を設けてもよい。導電層は、カーボンブラック、金属粒子などの導電性粒子を結着樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることがより好ましい。
また、支持体または導電層と感光層(単層、電荷発生層、電荷輸送層)との間には、バリア機能や接着機能を有する中間層を設けてもよい。中間層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護などのために形成される。中間層は、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチン、酸化アルミニウムなどの材料を用いて形成することができる。中間層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.1〜3μmであることがより好ましい。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷発生物質としては、例えば、モノアゾ、ジスアゾ、トリスアゾなどのアゾ顔料、金属フタロシアニン、非金属フタロシアニンなどのフタロシアニン顔料、インジゴ、チオインジゴなどのインジゴ顔料、ペリレン酸無水物、ペリレン酸イミドなどのペリレン顔料、アンスラキノン、ピレンキノンなどの多環キノン顔料、スクワリリウム色素や、ピリリウム塩およびチアピリリウム塩や、トリフェニルメタン色素、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコンなどの無機物質、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、スチリル色素、硫化カドミウム、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの中でも、プロセススピードが高速であっても高い感度を有するという点で、アゾ顔料およびフタロシアニン顔料が好ましく、特には、金属フタロシアニン顔料が好ましい。また、これら電荷発生物質は1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
感光層が積層型感光層である場合、電荷発生層に用いる結着樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリスルホン樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられる。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷発生層用塗布液に用いる溶剤は、使用する結着樹脂や電荷発生物質の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール、スルホキシド、ケトン、エーテル、エステル、脂肪族ハロゲン化炭化水素、芳香族化合物などが挙げられる。
電荷発生層は、電荷発生物質を結着樹脂および溶剤と共に分散して得られる電荷発生層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。分散方法としては、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミルなどを用いた方法が挙げられる。電荷発生物質と結着樹脂との割合は、1:0.3〜1:4の範囲が好ましい。
電荷発生層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。
また、電荷発生層の膜厚は5μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることがより好ましい。
また、電荷発生層には、種々の増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
本発明の電子写真感光体に用いられる電荷輸送物質としては、トリアリールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチリル化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合物、チアゾール化合物、トリアリールメタン化合物などが挙げられる。
感光層が積層型感光層である場合、電荷輸送層に用いる結着樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、不飽和樹脂などが挙げられる。特には、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂などが好ましい。これらは単独、混合または共重合体として1種または2種以上用いることができる。
電荷輸送層は、電荷輸送物質と結着樹脂を溶剤に溶解して得られる電荷輸送層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送物質と結着樹脂との割合は、2:1〜1:2(質量比)の範囲が好ましい。
電荷輸送層用塗布液に用いる溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン、酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、クロロベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン原子で置換された炭化水素などが用いられる。
電荷輸送層用塗布液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ローラーコーティング法、マイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法などの塗布方法を用いることができる。塗布後に乾燥させる際、乾燥温度は10℃〜200℃の範囲が好ましく、特には20℃〜150℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5分〜5時間の範囲が好ましく、特には10分〜2時間の範囲が好ましい。乾燥は、送風乾燥であっても静止乾燥であってもよい。
電荷輸送層の膜厚は5〜30μmであることが好ましく、特には10〜24μmであることがより好ましい。
また、電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤などを必要に応じて添加することもできる。
感光層が単層型感光層である場合、該単層型感光層は、上記電荷発生物質および上記電荷輸送物質を上記結着樹脂および上記溶剤と共に分散して得られる単層型感光層用塗布液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。
また、本発明の電子写真装置用の電子写真感光体の感光層には、潤滑剤などを必要に応じて添加することもできる。
図1に本発明の電子写真装置の概略構成を示す。
図1において、11はドラム状の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体11は、回転過程において、帯電手段13により、その周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光などの露光手段(不図示)から出力される露光光(画像露光光)14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。帯電手段13には、交流電圧を重畳した直流電圧、または直流電圧のみが印加される。
形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給送された紙などの転写材17に、電子写真感光体11の周面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。
トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体の周面から分離されて定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
像転写後の電子写真感光体11の周面は、クリーニング手段19であるクリーニングブレード等によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、さらに前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、前露光やクリーニング手段は必ずしも必要ではない。
また、上述の電子写真感光体11、帯電手段13、現像手段15、クリーニング手段19などの構成要素のうち、複数のものを容器に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンターなどの電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、帯電手段13、現像手段15およびクリーニング手段19の少なくとも1つを電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレールなどの案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ21とすることができる。
尚、露光光14は、例えば、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読み取り、信号化し、この信号にしたがって行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動または液晶シャッターアレイの駆動などにより照射される光である。
本発明の電子写真感光体は、複写機やレーザービームプリンターに利用するのみならず、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター、レーザー製版などの電子写真応用分野にも幅広く適用し得るものである。
以下に、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「質量部」を意味する。
(実施例1)
共重合ナイロン(登録商標)樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部をメタノール60部/ブタノール40部の混合液に溶解した溶液を、アルミニウムシリンダーの上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
共重合ナイロン(登録商標)樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ(株)製)10部をメタノール60部/ブタノール40部の混合液に溶解した溶液を、アルミニウムシリンダーの上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥し、膜厚が0.5μmの中間層を形成した。
次に、下記式(2)で示される構造を有し、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2°)の7.4°16.6°、25.5°および28.2°に強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン顔料3部、
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部、シクロヘキサノン70部からなる混合溶液をサンドミルで10時間分散した後、酢酸エチル100部を加えて電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を上記で作製した中間層上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
ポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBX−1、積水化学工業(株)製)2部、シクロヘキサノン70部からなる混合溶液をサンドミルで10時間分散した後、酢酸エチル100部を加えて電荷発生層用塗工液を調製した。この塗工液を上記で作製した中間層上に浸漬塗布し、90℃で10分間加熱乾燥して、膜厚が0.17μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(3)で示される構造を有するトリアリールアミン系化合物7部と、
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部をクロロベンゼン70部に溶解して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間加熱乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
ポリカーボネート(商品名:ユーピロンZ−200、三菱ガス化学(株)製)10部をクロロベンゼン70部に溶解して調製した溶液を、上記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間加熱乾燥して、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
保護層用に、下記式(4)で示される構造を有する化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子50部、
エタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行った(平均粒径0.03μm)。更にポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて、2時間分散を行った。その後、中和酸として蟻酸を用いたレゾール型熱硬化型フェノール樹脂を樹脂成分として30部を溶解し、調合液とした。
エタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行った(平均粒径0.03μm)。更にポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて、2時間分散を行った。その後、中和酸として蟻酸を用いたレゾール型熱硬化型フェノール樹脂を樹脂成分として30部を溶解し、調合液とした。
また、調合した液は、ダイヤフラム(テフロン(登録商標)製)を有する定量ポンプを有する循環器中で循環を行い、1日後に浸漬塗布法により先の電荷輸送層上に膜を形成し、145℃の温度で1時間、熱風乾燥して膜厚4μmの保護層を有する電子写真感光体を得た。
(実施例2〜14、比較例1〜5)
実施例1で用いた保護層用の熱硬化型フェノール樹脂を、表4に記載した有機酸を用いて、調合液とした他は、全く同様にして保護層用の液を調合した。
実施例1で用いた保護層用の熱硬化型フェノール樹脂を、表4に記載した有機酸を用いて、調合液とした他は、全く同様にして保護層用の液を調合した。
また、保護層の乾燥温度を表4に記載した乾燥温度に変えた以外は、全く同様にして、保護層を有する電子写真感光体を得た。
(実施例15,比較例6)
保護層用の塗料を以下のように変更して調合した。その保護層用の塗料を用いて表4に示した乾燥温度で、保護層を形成した以外は全く同様にして、電子写真感光体を作製した。
保護層用の塗料を以下のように変更して調合した。その保護層用の塗料を用いて表4に示した乾燥温度で、保護層を形成した以外は全く同様にして、電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
実施例1で用いた保護層用の熱硬化型フェノール樹脂を、硫酸で中和した物で保護層用塗料を作製した他は、全く同様にして塗料を調合し、電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた保護層用の熱硬化型フェノール樹脂を、硫酸で中和した物で保護層用塗料を作製した他は、全く同様にして塗料を調合し、電子写真感光体を作製した。
(比較例8)
実施例1で用いた保護層用の熱硬化型フェノール樹脂を、有機酸で中和しなかった物で保護層用塗料を作製した他は、全く同様にして塗料を調合し、電子写真感光体を作製した。
実施例1で用いた保護層用の熱硬化型フェノール樹脂を、有機酸で中和しなかった物で保護層用塗料を作製した他は、全く同様にして塗料を調合し、電子写真感光体を作製した。
(評価及び結果)
実施例1〜15、比較例1〜8で得た調合液と電子写真感光体を以下に記載した手法で、感度の測定、保護層の体積抵抗の測定、残留電位の測定、液循環安定性試験の測定を行った。得られた結果は、表5にまとめた。
実施例1〜15、比較例1〜8で得た調合液と電子写真感光体を以下に記載した手法で、感度の測定、保護層の体積抵抗の測定、残留電位の測定、液循環安定性試験の測定を行った。得られた結果は、表5にまとめた。
(感度の測定)
試験の評価は、目視による電子写真感光体表面性を見た後、ヒューレットパッカード(株)製レーザージェット4200を用いて行った。評価としては、23℃/50%RHの環境下における、0.4μJ/cm2の光量での明部電位(感度:明部電位の絶対値が低い方が感度が高いことを示す)の測定を行った。感度測定時の初期の帯電電位は−600Vとした。
試験の評価は、目視による電子写真感光体表面性を見た後、ヒューレットパッカード(株)製レーザージェット4200を用いて行った。評価としては、23℃/50%RHの環境下における、0.4μJ/cm2の光量での明部電位(感度:明部電位の絶対値が低い方が感度が高いことを示す)の測定を行った。感度測定時の初期の帯電電位は−600Vとした。
(体積抵抗の測定)
保護層の体積抵抗は、ポリエチレンテレフタレート上に180μmのギャップをもつ櫛形電極を金蒸着により作製し、その上に保護層用調合液を塗布し、硬化条件等は上記電子写真感光体の作製時と同様にして、サンプルを作製し、このサンプルに横河ヒューレットパッカード(株)製PAメーター4140Bを用いて100V印加することによって測定した。測定は、温度/湿度が23℃/50%RH、35℃/90%RHの2環境下に1日間放置した後に行った。
保護層の体積抵抗は、ポリエチレンテレフタレート上に180μmのギャップをもつ櫛形電極を金蒸着により作製し、その上に保護層用調合液を塗布し、硬化条件等は上記電子写真感光体の作製時と同様にして、サンプルを作製し、このサンプルに横河ヒューレットパッカード(株)製PAメーター4140Bを用いて100V印加することによって測定した。測定は、温度/湿度が23℃/50%RH、35℃/90%RHの2環境下に1日間放置した後に行った。
(残留電位の測定)
残留電位は、23℃/50%RHの環境下で干渉フィルターを用いた前露光ユニット(780nm)を装着したジェンテック(社)製ドラム試験器に、電子写真感光体を装着し、強露光(15nJ/m2)を露光した後の表面電位とした。
残留電位は、23℃/50%RHの環境下で干渉フィルターを用いた前露光ユニット(780nm)を装着したジェンテック(社)製ドラム試験器に、電子写真感光体を装着し、強露光(15nJ/m2)を露光した後の表面電位とした。
(液循環安定性試験)
保護層用塗料をダイヤフラム(テフロン(登録商標)製)を有する定量ポンプを有する循環器中で循環させた。循環器には、プレフィルターとして、PFY1UY700J(日本ポール製)、メインフィルターとして、PFY1UY500J(日本ポール製)を設置し、ポンプによる液の送り量を15L/minに調整し、24時間連続循環を一週間行い、循環液圧を測ることで、液安定性を確認した。
保護層用塗料をダイヤフラム(テフロン(登録商標)製)を有する定量ポンプを有する循環器中で循環させた。循環器には、プレフィルターとして、PFY1UY700J(日本ポール製)、メインフィルターとして、PFY1UY500J(日本ポール製)を設置し、ポンプによる液の送り量を15L/minに調整し、24時間連続循環を一週間行い、循環液圧を測ることで、液安定性を確認した。
表5に示したとおり、中和酸を用いなかったものでは、残留電位の増大が観察された。また、中和酸として硫酸を用いた物は、液安定性に問題が生じた。更に、中和酸の沸点より保護層の乾燥温度が低かった場合、常温常湿下の抵抗と、高温高湿下においた抵抗の変動が大きい物になった。
つまり、本発明のように保護層に沸点もしくは昇華点が乾燥温度以下である中和酸を用いた物に関しては、抵抗変動が小さく、残留電位も少なく、実用可能な感度がとれ、液安定性優れた保護層用の塗料と、電子写真感光体が提供される。
一方で、乾燥温度が180℃を越えるものは、実用可能範囲ではあるが、若干の感度の悪化が認められた。また、有機酸として、pKaが3未満のものを用いた場合、液安定性が短くなる傾向が見られた。更に、pKaが6以上の物を用いた場合、抵抗変動は大きめであった。
このため、乾燥温度が120℃以上180℃未満で、かつpKaが3以上6未満の場合、更に良好な結果が得られる。
11 電子写真感光体
12 軸
13 帯電手段
14 露光光
15 現像手段
16 転写手段
17 転写材
18 定着手段
19 クリーニング手段
20 前露光光
21 プロセスカートリッジ
22 案内手段
12 軸
13 帯電手段
14 露光光
15 現像手段
16 転写手段
17 転写材
18 定着手段
19 クリーニング手段
20 前露光光
21 プロセスカートリッジ
22 案内手段
Claims (22)
- 熱硬化性フェノール樹脂及び酸を含有し、フィラーもしくは電荷輸送物質の少なくとも一方を含有する保護層用塗料を用い、該酸の沸点もしくは昇華点以上の温度で加熱処理を行うことで保護層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記酸の沸点もしくは昇華点が100℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記酸の沸点もしくは昇華点が120℃以上180℃以下であることを特徴とする請求項2記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記酸が有機酸であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記有機酸のpKaが3以上6未満の有機酸であることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記有機酸がカルボン酸であることを特徴とする請求項5記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記カルボン酸が脂肪族カルボン酸であることを特徴とする請求項6記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記脂肪族カルボン酸が酢酸であることを特徴とする請求項7記載の電子写真感光体の製造方法。
- 前記フェノール樹脂がレゾールであり、中和酸として請求項1乃至8のいずれか記載の有機酸を用いた樹脂であることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
- 前記フィラーが比抵抗10E4Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
- 熱硬化性フェノール樹脂及び酸を含有し、フィラーもしくは電荷輸送物質の少なくとも一方を含有する保護層用塗料を用い、該酸の沸点もしくは昇華点以上の温度で加熱処理を行うことで保護層を形成したことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記酸の沸点もしくは昇華点が100℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項11記載の電子写真感光体。
- 前記酸の沸点もしくは昇華点が120℃以上180℃以下であることを特徴とする請求項12記載の電子写真感光体。
- 前記酸が有機酸であることを特徴とする請求項11乃至13のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記有機酸のpKaが3以上6未満の有機酸であることを特徴とする請求項14記載の電子写真感光体。
- 前記有機酸がカルボン酸であることを特徴とする請求項15記載の電子写真感光体。
- 前記カルボン酸が脂肪族カルボン酸であることを特徴とする請求項16記載の電子写真感光体。
- 前記脂肪族カルボン酸が酢酸であることを特徴とする請求項17記載の電子写真感光体。
- 前記フェノール樹脂がレゾールであり、中和酸として請求項11乃至18のいずれか記載の有機酸を用いた樹脂であることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記フィラーが比抵抗10E4Ω・cm以下であることを特徴とする請求項11乃至19のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 請求項11乃至20のいずれか1項に記載の電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段およびクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項11乃至21のいずれか1項に記載の電子写真感光体、帯電手段、像露光手段、現像手段及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004142358A JP2005326474A (ja) | 2004-05-12 | 2004-05-12 | 電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
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JP2004142358A JP2005326474A (ja) | 2004-05-12 | 2004-05-12 | 電子写真感光体の製造方法及び電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
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Country | Link |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007240899A (ja) * | 2006-03-09 | 2007-09-20 | Ricoh Co Ltd | クリーニング装置、並びにこれを備えるプロセスユニット及び画像形成装置 |
US7767374B2 (en) * | 2005-12-15 | 2010-08-03 | Sharp Kabushiki Kaisha | Method for producing electrophotographic photoreceptor having sublimable antioxidant in coating liquid |
US11796928B2 (en) | 2021-03-26 | 2023-10-24 | Fujifilm Business Innovation Corp. | Electrophotographic photosensitive member, process cartridge, and image forming apparatus |
US12032323B2 (en) | 2022-09-26 | 2024-07-09 | Fujifilm Business Innovation Corp. | Image forming apparatus and process cartridge |
-
2004
- 2004-05-12 JP JP2004142358A patent/JP2005326474A/ja not_active Withdrawn
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JP2007240899A (ja) * | 2006-03-09 | 2007-09-20 | Ricoh Co Ltd | クリーニング装置、並びにこれを備えるプロセスユニット及び画像形成装置 |
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