JP4745542B2 - 電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置に関し、詳しくは保護層に特定の粒子と特定の樹脂とを含有する電子写真感光体、その電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真感光体は、帯電、露光、現像、転写、クリーニング及び除電等の手段が繰り返し適用される。帯電及び露光により形成された静電潜像は、トナーといわれる微粒子状の現像剤によりトナー画像となる。更に、このトナー画像は、転写手段により紙等の転写材に転写されるが、全てのトナーが転写されるわけではなく、一部が電子写真感光体上に残留する。
【0003】
この残留トナーの量が多いと、転写材の画像は、更に転写不良が生じる所謂ボソ抜け状となり、画像の均一性に欠けるだけでなく、電子写真感光体へのトナーの融着やフィルミングの発生という問題が生じる。これらの問題に対して、電子写真感光体の表面層の離型性を向上することが求められている。
【0004】
また、電子写真感光体は上述のような電気的及び機械的外力が直接加えられるために、それらに対する耐久性が求められている。具体的には、摺擦による表面の磨耗や傷の発生、また、帯電時に発生するオゾンやNOx等の活性物質の付着による表面層の劣化等に対する耐久性が要求される。
【0005】
電子写真感光体に要求される上記のような要求を満たすために、各種の保護層を設ける試みがなされている。例えば、特開昭57−30846号公報には樹脂に導電性粒子として金属酸化物を添加することにより抵抗を制御することのできる保護層が開示されている。
【0006】
電子写真感光体の保護層に導電性粒子を分散するのは、保護層自体の電気抵抗を制御し、電子写真プロセスの繰り返しに伴う電子写真感光体内での残留電位の増加を防止するのがその主な目的であり、他方、電子写真感光体用の保護層の適切な体積抵抗率は1010〜1015Ω・cmであることが知られている。
【0007】
しかしながら、前記の範囲の抵抗値においては、保護層の電気抵抗は、イオン電導によって影響を受け易く、そのために環境の変化によって電気抵抗が大きく変化する傾向にある。特に、金属酸化物を膜中に分散している場合には、金属酸化物表面の吸水性が高いために、全環境において、しかも、電子写真プロセスの繰り返しを行う際に、保護層の抵抗を前記範囲に保つことはこれまで非常に困難であった。更に、樹脂自体も吸水性が高いものも多く、保護層の抵抗を下げる要因になっていることも多かった。
【0008】
特に、高湿の環境下においては、放置により抵抗が低下したり、また帯電により発生するオゾンやNOx等の活性物質が表面に繰り返し付着することにより、電子写真感光体表面の抵抗の低下や表面層からのトナーの離型性の低下を引き起こし、画像流れが発生する、画像均一性が不十分になる等の問題があった。
【0009】
また、一般的に保護層に導電性粒子を分散させる場合、分散粒子による入射光の散乱を防ぐために、粒子の粒径が入射光の波長よりも小さいこと、即ち、0.3μm以下であることが好ましい。しかし、通常、導電性粒子は樹脂溶液中において凝集する傾向があり、均一に分散しにくく、一旦分散しても二次凝集や沈殿が起こり易いので粒径0.3μm以下といった微粒子の良好な分散膜を安定して生産することは非常に困難であった。更に、透明度、導電均一性を向上させる観点から特に粒径の小さい超微粒子(一次粒径0.1μm以下)を分散することが好ましいが、このような超微粒子の分散性、分散安定性は更に悪くなる傾向にあった。
【0010】
上記の欠点を補うために、例えば特開平1−306857号公報にはフッ素含有シランカップリング剤、チタネートカップリング剤あるいはC7F15NCO等の化合物を添加した保護層が、特開昭62−295066号公報には結着樹脂中に、撥水処理することにより分散性及び耐湿性の向上した金属微粉末または金属酸化物微粉末を分散した保護層が、特開平2−50167号公報には結着剤樹脂中にチタネートカップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤またはアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートで表面処理された金属酸化物微粉末を分散した保護層が開示されている。
【0011】
また、特開昭62−192754号公報には、フッ化カーボンを含有する保護層が記載され、フッ化カーボンを含有する樹脂として、熱硬化性フェノール樹脂が挙げられている。そして、フッ化カーボンの効果としては、高過ぎない潤滑性を有すること、低過ぎない導電性を有すること、及び光散乱可能な屈折率を有することが挙げられ、熱硬化性フェノール樹脂の効果としては、フッ化カーボンの分散性及び耐磨耗性が挙げられている。
【0012】
しかしながら、フッ化カーボンの分散及び保護層の抵抗の環境安定性は十分なものではなく、低湿環境下では抵抗が上昇し、残留電位が上昇し、高湿環境下では抵抗が低下し、画像ボケが発生し易かった。
【0013】
また、特開平5−181299号公報には、電荷発生層を保護する保護層として熱硬化性樹脂と補強材を含有する層が記載され、熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂が挙げられ、補強材として様々な樹脂粒子とともに金属酸化物が挙げられている。
【0014】
しかしながら、金属酸化物は単に補強材として用いられており、また、好ましい粒径としては0.05〜3μmと記載されており、保護層の導電性や、環境安定性、更には透明性に関して、十分な考察はなされていない。
【0015】
このように、保護層に求められる様々な特性の全てを高いレベルで満足する保護層を得ることは非常に困難であり、近年の更なる高画質化及び交代有価を考慮すると、高湿の環境下における抵抗が低くなり画像ボケが発生したり、摺擦による磨耗や傷に対する耐久性が十分ではなく、より優れた電子写真特性を示すものが検討されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低湿の環境下における残留電位の上昇が殆どなく、また高湿の環境下における画像ボケ、流れのない高品位の画像を得ることができ、かつ優れた離型性を有し、磨耗や傷の発生に対して優れた耐久性を有する表面層を有し、高品位の画質を保つことのできる電子写真感光体を提供することにある。
【0017】
また、本発明の目的は、上記電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、導電性支持体、及び該導電性支持体の上に感光層及び保護層をこの順に有する電子写真感光体において、該保護層が、1〜7μmの厚さを有し、かつ金属粒子または金属酸化物粒子及び硬化性フェノール樹脂を含有し、
該硬化性フェノール樹脂が、アミン化合物をアルカリ触媒として用いて製造されたレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とする電子写真感光体である。
【0019】
また、本発明は、上記電子写真感光体、及び帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0020】
更に、本発明は、上記電子写真感光体、帯電手段、露光手段、現像手段、及び転写手段を有することを特徴とする電子写真装置である。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0022】
本発明において、保護層に用いられる金属粒子としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等の粒子、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物粒子としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等の粒子が挙げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0023】
本願発明に用いられる金属粒子または金属酸化物粒子は、10−1〜106Ωcmであることが好ましく、特には100〜105Ωcmであることが好ましい。抵抗は錠剤法によって測定することができる。より詳細には、底面積2.23cm2の円筒内に約0.5gの試料を入れ、上下の電極間に15kgの加圧を行いながら、23℃/50%RH下で100Vの電圧をかけて抵抗値を計測する。
【0024】
本発明において用いられる金属または金属酸化物粒子の体積平均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下であることが好ましく、特には0.1μm以下であることが好ましい。体積平均粒径の測定は、保護層調合液の状態では超遠心式自動粒度分布測定装置等で測定可能である。
【0025】
また、本発明においては、上述した粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが特に好ましい。
【0026】
本発明においては、保護層が更に潤滑性粒子を含有することが好ましい。用いられる潤滑性粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、シリコン粒子及びシリコーン粒子が好ましく、より好ましくはフッ素原子含有樹脂粒子である。更に、これらを2種以上混合してもよい。
【0027】
フッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂及びフッ化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子量や粒子の粒径は、適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0028】
このフッ素原子含有樹脂を金属粒子または金属酸化物粒子と共に樹脂溶液中で相互の粒子をできるだけ凝集させないように、フッ素原子含有化合物を金属粒子または金属酸化物粒子の分散時に添加したり、金属粒子または金属酸化物粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理することが好ましい。フッ素原子含有化合物を添加または金属粒子または金属酸化物粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物のない場合に比べて、樹脂溶液中での金属粒子または金属酸化物粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が格段に向上する。また、フッ素原子含有化合物を添加し金属粒子または金属酸化物粒子を分散した液、または表面処理を施した金属粒子または金属酸化物粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性のよい塗工液を得ることができる。
【0029】
本発明におけるフッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。表1〜表3に好ましい化合物例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
金属粒子または金属酸化物粒子の表面処理は、金属粒子または金属酸化物粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を金属粒子または金属酸化物粒子表面に付着させることによって行うことができる。分散の方法としては、ボールミルやサンドミル等の通常の分散手段を用いることが挙げられる。次に、この分散溶液から溶剤を除去し、金属粒子または金属酸化物粒子表面に固着させればよい。また、必要に応じて、この後に更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。更に、必要に応じて表面処理後の金属粒子または金属酸化物粒子に更に粉砕処理を施すことができる。
【0034】
金属粒子または金属酸化物粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径にも影響を受けるが、表面処理済みの金属粒子または金属酸化物粒子全質量に対し、1〜65質量%であることが好ましく、特には1〜50質量%であることが好ましい。表面処理量は、表面処理された金属粒子または金属酸化物粒子をTG−DTA(熱重量−示差熱分析)によって505℃に加熱した後の質量変化量から、または、るつぼによる強熱減量法を用いて500℃/2時間後の質量変化量から求めることができる。
【0035】
以上のように、フッ素原子含有化合物を添加した後に金属粒子または金属酸化物粒子を分散する、または、フッ素原子含有化合物によって表面処理された金属粒子または金属酸化物粒子を用いることにより、フッ素原子含有樹脂粒子の分散が安定し、滑り性、離型性に優れた保護層を形成することができる。しかしながら、最近のカラー化、高画質化、高安定化が進み、より環境に対する安定化を求めるようになり、保護層にもより一層の環境安定性を求めるようになってきた。
【0036】
本発明においては、用いる保護層用の結着剤樹脂として、保護層の抵抗の環境変動が小さく、表面硬度が硬く、耐磨耗性に優れ、更に微粒子の分散性、分散後の安定性の点から硬化型のフェノール樹脂、具体的には、アミン化合物をアルカリ触媒として用いて製造された硬化性のレゾール型フェノール樹脂を用いた。
【0037】
更に、本発明においては、より環境安定性のある保護層とするために、下記一般式(1)で示されるシロキサン化合物を金属粒子または金属酸化物粒子分散時に添加したり、または、予め表面処理を施した金属粒子または金属酸化物粒子を混合することにより、更に環境安定性により優れた保護層を得ることができた。
【0038】
【外1】
【0039】
(式中、Aは水素原子またはメチル基であり、かつ、Aの全部における水素原子の割合は0.1〜50%の範囲、nは0以上の整数である。)
【0040】
このシロキサン化合物を添加後分散した塗工液、または、これを表面処理した導電性微粒子を溶剤に溶かした結着剤樹脂中に分散することによって、分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも安定した分散性の良い塗工液が得られ、更にこの塗工液より形成した保護層は透明性が高く、耐環境性に特に優れた膜が得られた。更に、保護層に用いる樹脂が硬化型フェノール樹脂の場合、保護層の膜厚またはその他の条件により、スジ状のムラになったりベナールセルを形成したりする場合もみられるが、前述のシロキサン化合物を添加、またはこれを表面処理した導電性微粒子を用いることにより、スジ状のムラやベナールセルの形成を抑制することができ、レベリング剤の効果という予期せぬ効果もあった。
【0041】
一般式(1)で示されるシロキサン化合物の分子量は、特に制限されるものではないが、表面処理をする場合は、その容易さからは粘度が高すぎない方がよく、重量平均分子量で数百〜数万程度が適当である。
【0042】
表面処理の方法としては、湿式・乾式の二通りがある。湿式処理では、金属粒子または金属酸化物粒子と一般式(1)で示されるシロキサン化合物とを溶剤中で分散し、該シロキサン化合物を微粒子表面に付着させる。分散の手段としては、ボールミルやサンドミル等の一般の分散手段を使用することができる。次に、この分散溶液を導電性微粒子表面に固着させる。この熱処理においては、シロキサン中のSi−H結合が熱処理過程において空気中の酸素によって水素原子の酸化が起こり、新たなシロキサン結合ができる。その結果、シロキサンが三次元構造にまで発達し、金属粒子または金属酸化物粒子表面がこの網状構造で包まれる。このように表面処理は、該シロキサン化合物を金属粒子及び金属酸化物粒子表面に固着させることによって完了するが、必要に応じて処理後の微粒子に粉砕処理を施しても良い。
【0043】
乾式処理においては、溶剤を用いずに該シロキサン化合物と金属粒子及び金属酸化物粒子とを混合し混練を行うことによってシロキサン化合物を粒子表面に付着させる。その後は、湿式処理と同様に熱処理、粉砕処理を施して表面処理を完了する。
【0044】
本発明における金属粒子及び金属酸化物粒子に対するシロキサン化合物の割合は、粒子の粒径やシロキサン中のメチル基と水素原子の比率等に依存するが、金属粒子及び金属酸化物粒子全質量に対し、1〜50質量%であることが好ましく、特には3〜40質量%であることが好ましい。
【0045】
本発明における保護層が含有する結着樹脂には、熱硬化性のレゾール型のフェノール樹脂を用いる。通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物をアルカリ触媒下で製造される。用いられる主たるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン及びビスフェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及びアセトアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
これらのフェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、またはそれらをオリゴマー化したもの、及びモノマーとオリゴマーの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、ひとつのものがモノマーである。用いられるアルカリ触媒は、アミン化合物である。アミン化合物としては、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、高湿の環境下での抵抗の変動、及び溶液の安定性を考慮してアミン化合物を用いる。
【0047】
硬化性のフェノール樹脂と金属粒子または金属酸化物粒子との割合は、直接的に保護層の抵抗を決定する値であり、保護層の抵抗が1010〜1016Ω・cmの範囲になるように設定する。好ましくは1011〜1014Ω・cm、更に好ましくは1011〜1013Ω・cmである。膜強度的には、通常、金属粒子または金属酸化物粒子の量が増えれば増えるほど弱くなるため、金属粒子または金属酸化物粒子の量は、保護層の抵抗及び残留電位が許容できる範囲において、少なくする方が好ましい。
【0048】
本発明における保護層に用いられるフェノール樹脂は、硬化性であり、より好ましくは熱硬化性であるため、感光層上に塗布した後に通常は熱風乾燥炉等で硬化させる。この時の硬化温度は、100〜200℃であることが好ましく、特には120〜180℃であることが好ましい。
【0049】
なお、本発明において「樹脂が硬化している」とは、樹脂が、メタノールやエタノール等のアルコール溶剤に溶解しない状態のことをいう。
【0050】
また、保護層の厚さは、1〜7μmである。1μmに満たないと、十分な耐久性が得られず、7μmを超えると表面性が悪化し、画像欠陥が生じ易くなったり、残留電位が高くなる。
【0051】
本発明においては、前記保護層中に、更に酸化防止剤等の添加物を加えてもよい。
【0052】
次に、感光層について説明する。
【0053】
本発明の電子写真感光体は、電荷発生材料及び電荷輸送材料を含有する単層型電子写真感光体、または電荷発生材料を含有する電荷発生層及び電荷輸送材料を含有する電荷輸送層を有する積層型電子写真感光体のどちらを用いてもよいが、電子写真特性から支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を順次形成する積層型電子写真感光体であることが好ましい。
【0054】
図1(a)の電子写真感光体は、導電性支持体4の上に電荷発生層3、電荷輸送層2が順に設けており、更に最表面に保護層1を設けている。また、図1の(b)、(c)の様に導電性支持体と電荷発生層の間に、下引き層5、更には干渉縞防止等を目的とする導電層6を設けてもよい。
【0055】
導電性支持体4としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレス等を用いることができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成された層を有する前記導電性支持体やプラスチック、導電性微粒子(例えばカーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及び銀粒子等)を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性樹脂を有するプラスチック等を用いることができる。
【0056】
また、導電性支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ下引き層(接着層)を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良及び感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。下引き層には、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチンまたは酸化アルミニウム等によって形成できる。下引き層の厚さは、5μm以下であることが好ましく、特には0.2〜3μmであることが好ましい。
【0057】
本発明に用いられる電荷発生材料としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、インジコ顔料、多環キノン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、ピリリウム染料、チオピリリウム染料、スクアリリウム染料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、トリフェニルメタン色素、スチリル色素、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛等が挙げられる。
【0058】
電荷発生層用塗料に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷発生材料の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としてはアルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類または芳香族化合物等を用いることができる。
【0059】
電荷発生層3は、前記の電荷発生材料を質量比で0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶剤と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミル等の方法でよく分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚さは、5μm以下であることが好ましく、特には0.01〜1μmであることが好ましい。
【0060】
電荷輸送材料としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物またはポリアリールアルカン系化合物等を用いることができる。
【0061】
電荷輸送層2は、一般的には前記の電荷輸送材料と結着剤樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送材料と結着剤樹脂との混合割合(質量比)は、2:1〜1:2程度である。溶剤としては、アセトンやメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル類、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素類、またはクロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素等の塩素系炭化水素類等が用いられる。この溶液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法を用いることができ、乾燥温度は10℃〜200℃であることが好ましく、特に好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度で、5分〜5時間乾燥することが好ましく、特には10分〜2時間送風乾燥または静止乾燥することが好ましい。
【0062】
電荷輸送層2を形成するのに用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリサルホン、ポリフェニレンオキシド、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂等から選ばれる樹脂であることが好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂及びジアリルフタレート樹脂が挙げられる。電荷輸送層の厚さは、5〜40μmであることが好ましく、特には10〜30μmであることが好ましい。
【0063】
しかしながら、画質の観点から感光層を薄膜にする方がドット再現性がより良好であり、特に、本発明のように保護層に硬化性フェノール樹脂を用いるときは、電荷輸送層の膜厚が25μm以上となると急激に画質が悪化することがある。よって、保護層に硬化性フェノール樹脂を用いたときの電荷輸送層の厚さは、5〜24μmであることが好ましく、更に高湿下等の悪条件での黒ぽちをより減少させるためには、10〜24μm以下であることが好ましい。
【0064】
また、本発明においては、電荷発生層あるいは電荷輸送層に、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び潤滑剤等の種々の添加剤を含有させることができる。
【0065】
図2に本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを用いた電子写真装置の概略構成を示す。
【0066】
図において、11はドラム状の本発明の電子写真感光体であり、軸12を中心に矢印方向に所定の周速度で回転駆動される。電子写真感光体11は、回転過程において、一次帯電手段13によりその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受け、次いで、スリット露光やレーザービーム走査露光等の露光手段(不図示)から出力される目的の画像情報の時系列電気デジタル画像信号に対応して強調変調された露光光14を受ける。こうして電子写真感光体11の周面に対し、目的の画像情報に対応した静電潜像が順次形成されていく。
【0067】
形成された静電潜像は、次いで現像手段15によりトナー現像され、不図示の給紙部から電子写真感光体11と転写手段16との間に電子写真感光体11の回転と同期して取り出されて給紙された転写材17に、電子写真感光体11の表面に形成担持されているトナー画像が転写手段16により順次転写されていく。
【0068】
トナー画像の転写を受けた転写材17は、電子写真感光体面から分離されて像定着手段18へ導入されて像定着を受けることにより画像形成物(プリント、コピー)として装置外へプリントアウトされる。
【0069】
像転写後の電子写真感光体11の表面は、クリーニング手段19によって転写残りトナーの除去を受けて清浄面化され、更に前露光手段(不図示)からの前露光光20により除電処理された後、繰り返し画像形成に使用される。なお、前露光は必ずしも必要ではない。
【0070】
本発明においては、上述の電子写真感光体11、一次帯電手段13、現像手段15及びクリーニング手段19等の構成要素のうち、複数のものを容器21に納めてプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やレーザービームプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電手段13、現像手段15及びクリーニング手段19の少なくとも一つを電子写真感光体11と共に一体に支持してカートリッジ化して、装置本体のレール等の案内手段22を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジとすることができる。
【0071】
また、露光光14は、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光、あるいは、センサーで原稿を読取り、信号化し、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0072】
本発明の電子写真感光体は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、FAX、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例中の「部」は質量部を表す。
【0074】
(実施例1)
φ30mm×260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、厚さが0.5μmの下引き層を設けた。
【0075】
次に、下記構造式(2)
【0076】
【外2】
【0077】
で示され、CuKαの特性X線回折におけるブラッグ角2θ±0.2゜の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1゜に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:BX−1、積水化学(株)製)2部、及びシクロヘキサノン80部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で、4時間ほど分散した。この溶液を、前記下引き層上に塗布し、105℃で10分間熱風乾燥して、厚さが0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0078】
次いで、下記構造式(3)
【0079】
【外3】
【0080】
で示されるスチリル化合物10部、及びビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−200、三菱ガス化学(株)製)10部を、モノクロロベンゼン100部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に塗布し、105℃で1時間をかけて熱風乾燥して、厚さが20μmの電荷輸送層を形成した。
【0081】
次に、下記構造式(4)
【0082】
【外4】
【0083】
で示されるフッ素シランカップリング剤で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子50部、エタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行い(体積平均粒径0.03μm)、更にポリテトラフルオロエチレン微粒子(体積平均粒径0.18μm)20部を加えて、更に2時間分散を行った。その後、レゾール型フェノール樹脂(商品名:PL−4804、アミン化合物触媒使用、群栄化学工業(株)製)を樹脂成分として30部を溶解し、保護層用調合液とした。なお、上記表面処理済の酸化スズ微粒子の体積抵抗値は、1×102Ωcmであった。
【0084】
この調合液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、膜を形成し、145℃の温度で1時間熱風乾燥して保護層を得た。この時、得られた保護層の厚さの測定は、保護層が薄膜のため、光の干渉による瞬間マルチ測光システムMCPD−2000(大塚電子(株)製)を用いて行い、その厚さは3μmであった。また、保護層調合液の分散性は良好で、層表面はムラのない均一な面であった。
【0085】
保護層の体積抵抗は、ポリエチレンテレフタレート上に180μmのギャップをもつ櫛形電極を金蒸着により作製し、その上に保護層用調合液を塗布し、硬化条件等は上記電子写真感光体の作製時と同様にして行い、サンプルを作製して、このサンプルに横河ヒューレットパッカード(株)製PAメーター4140Bを用いて100V印加することによって測定した。測定は、温度/湿度が23℃/50%RH、23℃/5%RH及び30℃/80%RHの3環境下に1日間放置した後に行った。
【0086】
評価は、目視によって電子写真感光体の表面性を観察した後、ヒューレットパッカード(株)製レーザージェット4000(ローラー接触帯電、AC/DC印加)を用いて行った。評価としては、23℃/50%RHの環境下における、0.4μJ/cm2の光量での明部電位(感度。明部電位の絶対値が低い方が感度が高いことを示す)の測定、3000枚の耐久による削れ量の測定と、その耐久済み電子写真感光体を30℃/80%RHの環境下で1日間放置した後に得られた画像の目視観察を行った。また、残留電位の測定は、23℃/5%RHの環境下でジェンテック(社)製ドラム試験器により強露光後0.2秒後の位置での残留電位を測定した。感度測定時及び残留電位測定時の初期の帯電電位は−600Vとした。更に、調合液を3ヶ月放置し、保存安定性を見た。抵抗測定の結果を表4に、その他の結果を表5に示す。
【0087】
(実施例2)
実施例1において、保護層の膜厚を7μmにした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0088】
(実施例3及び4)
実施例1及び2において、前記構造式(4)で示されるフッ素シランカップリング剤で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子を20部に代え、前記構造式(1)で示されるメチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(20%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子30部を添加分散した以外は、実施例1及び2と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。上記表面処理済の酸化スズ微粒子の体積抵抗値は、5×102Ωcmであった。結果を表4及び表5に示す。
【0089】
(実施例5)
実施例1において、前記構造式(4)で示されるフッ素シランカップリング剤で表面処理したアンチモンドープ酸化スズ微粒子に代えて、表面処理を施す以前のアンチモンドープ酸化スズ微粒子(商品名:T−1、三菱マテリアル(株)製)50部、上記構造式(4)で示されるフッ素シランカップリング剤(商品名:LS−1090、信越シリコーン(株)製)5部を添加し分散した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。上記表面未処理の酸化スズ微粒子の体積抵抗値は、1×100Ωcmであった。結果を表4及び表5に示す。
【0090】
(実施例6)
実施例5において、更に前記構造式(1)で示されるメチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越シリコーン(株)製)5部を添加し分散した以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0091】
(比較例1)
実施例1において、表面処理済アンチモンドープ酸化スズ微粒子を用いず、更にポリテトラフルオロエチレンも添加しなかった以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0092】
(実施例7〜8、参考例1)
実施例3において、レゾール型フェノール樹脂(PL−4804)を、レゾール型フェノール樹脂PL−4852(群栄化学工業(株)製、アミン化合物触媒使用)、BKS−316(昭和高分子(株)製、アミン化合物触媒使用)及びPL−5294(群栄化学工業(株)製、金属系アルカリ触媒使用)に代えた以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0093】
(参考例2)
実施例3において、レゾール型フェノール樹脂(PL−4804)を、ノボラック型フェノール樹脂(CMK−2400、昭和高分子(株)製)に代え、更に硬化剤としてヘキサメチレンテトラアミンを1.5部を添加した以外は、実施例3と全く同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0094】
(比較例2及び3)
実施例1及び3において、レゾール型フェノール樹脂を下記構造式(5)
【0095】
【外5】
【0096】
で示されるアクリル樹脂に代え、光重合開始剤として2−メチルチオキサントン2部を溶解して保護層用調合液とした。この調合液を用いて、前記電荷輸送層上に浸漬塗布して、膜を形成し、高圧水銀灯にて800mW/cm2の光強度で、60秒間光硬化を行い、その後120℃で2時間熱風乾燥することによって、厚さが3μmの保護層を形成した以外は、実施例1及び3と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0097】
(比較例4及び5)
実施例1及び3において、溶剤をエタノールからテトラヒドロフランに代え、レゾール型フェノール樹脂(PL−4804)をポリカーボネート樹脂(Z−200、三菱ガス化学(株)製)に代え、スプレー塗布法により成膜した以外は、実施例1及び3と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0098】
(比較例6)
参考例2において、硬化剤のヘキサメチレンテトラミンを添加せずにノボラック型フェノール樹脂を熱可塑性樹脂として使用した以外は、参考例2と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0099】
(比較例7)
実施例1において、保護層に用いる導電性粒子として、下記式(6)
【0100】
【外6】
【0101】
で示されるフッ化カーボン(ダイキン(株)製)を用い、これを10部と熱硬化型フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ325、アンモニア触媒使用、大日本インキ化学工業(株)製)100部とをメタノール500部で分散及び溶解し保護層溶液とし保護層を作製した以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。上記フッ化カーボンの体積平均粒径は1μmであった。結果を表4及び表5に示す。
【0102】
(実施例9)
実施例3において、アルミニウムシリンダーの長さを357.5mmに代え、キヤノン(株)製複写機GP−55(コロナ帯電器)を用いて評価を行った以外は、実施例3と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0103】
(参考例3)
実施例9において、レゾール型フェノール樹脂(PL−4804)をノボラック型フェノール樹脂(CKM−2400、昭和高分子(株)製)に代え、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンを1.5部添加した以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0104】
(参考例4)
実施例1において、レゾール型フェノール樹脂(PL−4804)をレゾール型フェノール樹脂(商品名:プライオーフェンJ325、アンモニア触媒使用、大日本インキ化学工業(株)製)に代えた以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0105】
(比較例8)
実施例9において、レゾール型フェノール樹脂を前記構造式(5)で示されるアクリル樹脂に代え、光重合開始剤として2−メチルチオキサントン2部を溶解して保護層用調合液とした。この調合液を用いて、前記電荷輸送層上に浸漬塗布して、膜を形成し、高圧水銀灯にて800mW/cm2の光強度で、60秒間光硬化を行い、その後120℃で2時間熱風乾燥することによって、厚さが3μmの保護層を形成した以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0106】
(比較例9)
参考例3において、硬化剤のヘキサメチレンテトラミンを添加しなかった以外は、参考例3と全く同様にして行った。結果を表4及び表5に示す。
【0107】
(比較例10)
実施例1において、保護層の膜厚を11μmにした以外は、実施例1と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4及び表5に示す。
【0108】
【表4】
【0109】
【表5】
*:セル:ベナールセル発生
【0110】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、保護層の抵抗の環境安定性に優れ、残留電位の上昇が最も厳しい低湿環境下においても残留電位が低く、更に高湿の環境下での画像流れも殆どなく、膜強度を保ち、削れ量が少なく、高耐久で、高安定で、良好な画像を得ることができる電子写真感光体、該電子写真感光体を有するプロセスカートリッジ及び電子写真装置を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の層構成を示す図である。
【図2】本発明の電子写真感光体を有するプロセスカートリッジを具備する電子写真装置の概略構成の例を示す図である。
【符号の説明】
1 保護層
2 電荷輸送層
3 電荷発生層
4 導電性支持体
5 下引き層
6 導電層
11 電子写真感光体
12 軸
13 帯電手段
14 露光光
15 現像手段
16 転写手段
17 転写材
18 定着手段
19 クリーニング手段
20 前露光光
21 プロセスカートリッジ
22 案内手段
Claims (8)
- 導電性支持体、及び該導電性支持体の上に感光層及び保護層をこの順に有する電子写真感光体において、該保護層が、1〜7μmの厚さを有し、かつ金属粒子または金属酸化物粒子及び硬化性フェノール樹脂を含有し、
該硬化性フェノール樹脂が、アミン化合物をアルカリ触媒として用いて製造されたレゾール型フェノール樹脂であることを特徴とする電子写真感光体。 - 前記アミン化合物が、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリエタノールアミンからなる群より選択される請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記保護層が、潤滑性粒子を含有する請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記潤滑性粒子が、フッ素原子含有樹脂粒子である請求項3に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生層上に電荷輸送層を有する請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電荷輸送層が、5〜24μmの厚さを有する請求項5に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体を、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、静電潜像の形成された電子写真感光体をトナーで現像する現像手段、及び電子写真感光体上の転写残りトナーを除去するクリーニング手段からなる群より選ばれた少なくとも一つの手段と共に一体に支持し、電子写真装置本体に着脱自在であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真感光体、該電子写真感光体を帯電させる帯電手段、帯電した電子写真感光体に対し露光を行い静電潜像を形成する露光手段、静電潜像の形成された電子写真感光体にトナーで現像する現像手段、及び電子写真感光体上のトナー画像を転写材に転写する転写手段を備えることを特徴とする電子写真装置。
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