JP4174245B2 - 電子写真装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置及びプロセスカートリッジに関し、詳しくは、電子写真感光体に接触する帯電部材から電荷を電子写真感光体表面に直接注入する帯電が支配的である帯電方式を用いる電子写真装置及びプロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法においては、例えば、セレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、アモルファスシリコン及び有機光導電体等を用いた電子写真感光体に、帯電、露光、現像、転写及び定着等の基本的なプロセスを行うが、その帯電プロセスには、従来より、殆どが金属ワイヤーに高電圧(DC5〜8kV)を印加することによって発生するコロナを利用している。しかしながら、この方法では、オゾンやNOx等のコロナ生成物が電子写真感光体を変質させ、画像ボケや劣化を進行させたり、ワイヤーの汚れが画像品質に影響し、画像白抜けや黒スジを生じる等の問題があった。
【0003】
特に、感光層が有機光導電体を主体として構成される電子写真感光体は、他のセレン感光体やアモルファスシリコン感光体に比べて、化学的安定性が低く、コロナ生成物に晒されると、化学反応(主に酸化反応)が起こり、劣化し易い傾向にある。従って、コロナ帯電下で、繰り返し使用した場合には、前述の劣化による画像ボケや感度の低下、残留電位増加によるコピー濃度薄が起こり、耐印刷(耐複写)寿命が短くなる傾向にあった。
【0004】
また、コロナ帯電では、電子写真感光体に向かう電流が、その5〜30%にすぎず、ほとんどがシールド板に流れてしまうため、帯電手段としては電力的にも効率の悪いものであった。
【0005】
そこで、このような問題点を補うために、例えば、特開昭57−178267号公報、特開昭56−104351号公報、特開昭58−40566号公報、特開昭58−139156号公報及び特開昭58−150975号公報等に提案されているように、コロナ放電器を利用しないで、帯電させる方法が研究されている。これを具体的に述べれば、外部より1〜2kV程度の直流電圧を印加した導電性弾性ローラー等の帯電部材を、電子写真感光体表面に接触させることにより、電子写真感光体表面を所定の電位に帯電させる方式である。
【0006】
しかしながら、この方式は、コロナ帯電方式に比べて、帯電の不均一性及び電子写真感光体の絶縁破壊の発生といった点で不利である。例えば、被帯電面の移動方向に対して、直角の方向に、長さ2〜200mm、幅0.5mm以下程度のスジ状の帯電ムラを生じてしまい、正現像方式の場合には白スジ(ベタ黒またはハーフトーン画像に白いスジが現れる現象)、反転現像方式の場合には黒スジといった画像欠陥となる。
【0007】
このような問題点を解決して、帯電の均一性を向上させるために、直流電圧に交流電圧を重畳して、帯電部材に印加する方法が提案されている(特開昭63−149668号公報参照)。この帯電方法は、直流電圧(Vdc)の交流電圧(Vac)を重畳することによって得た脈流電圧を印加することによって、均一な帯電を行うものである。
【0008】
この場合、帯電の均一性を保持して、正現像方式における白ポチ、反転現像方式における黒ポチ、カブリといった画像欠陥を防ぐためには、重畳する交流電圧のピーク間電位差(Vpp)が、パッシェンの法則に従う放電開始電圧Vthの2倍以上であることが必要である。
【0009】
しかしながら、画像欠陥を防ぐために、重畳する交流電圧を上げていくと、脈流電圧の最大印加電圧も増加するので、電子写真感光体内部のわずかな欠陥部位において、放電により絶縁破壊が起き易くなってしまう。特に、電子写真感光体が絶縁耐圧の低い有機光導電体の場合には、この絶縁破壊が著しい。絶縁破壊が生じると、正現像方式においては、接触部分の長手方向に沿って画像が白ヌケし、反転現像方式においては、黒スジが発生してしまう。
【0010】
また、あくまでも微少空隙における放電を利用しているため、NOxやオゾン等による表面層の劣化や低抵抗物の付着等の影響による画像ボケ等の問題が発生する。更に、帯電部材が電子写真感光体に接触しており、かつ、コロナ帯電に比較して電界強度が非常に高くなるため、電子写真感光体が削れ易く、耐久性が劣るという問題もあった。
【0011】
これらの問題点を解決するために、放電をほとんど伴わず、電荷を電子写真感光体に直接注入することによって、帯電を行うプロセスが検討されている。
【0012】
この電荷を電子写真感光体に直接注入する帯電(以下、注入帯電ともいう)が支配的な場合と、放電が支配的な帯電(以下、放電帯電ともいう)の場合とでは、そのメカニズムに大きな違いがある。
【0013】
放電帯電の場合は、図1に示すように、帯電部材への印加電圧が放電開始電圧以上で初めて放電が開始され、その後、印加電圧が放電開始電圧を超えた分が電子写真感光体の表面電位となる。つまり、DC電圧のみでの放電を利用した帯電の場合は、印加電圧Vdcと電子写真感光の体表面電位Vdの関係は下記式(6)のようになる。なお、図1中、横軸(V)は電源からの印加電圧Vdc(V)である。また、Vdの暗減衰分は考慮していない。
|Vd|≒|Vdc|−|Vth| (6)
{式中、Vth(放電開始電圧)=(7737.7×D)1/2+312+6.2×DD=L(感光層の膜厚μm)/K(感光層の比誘電率)}
【0014】
一方、注入帯電の場合は、図1に示すように、帯電部材の印加電圧と電子写真感光体の表面電位がほぼ同じで、放電の場合の放電開始電圧のような閾値を持たないのが特徴である。つまり、少なくとも下記式(7)が成り立つ時は、注入帯電が起こっている可能性がある。
|Vdc|−|Vd|<|Vth| (7)
しかしながら、この条件だけでは、摩擦帯電で電子写真感光体の表面電位Vdがより高くなった場合をも包含してしまっている。また、式(6)が放電を利用した帯電とすると、式(7)での(Vdc−Vd)の値が、Vthに近いところでは、注入帯電が起こっているかもしれないが、放電が支配的であると考えられる。
【0015】
そこで、放電が支配的な帯電を下記式(8)とすると
|Vth/2|<|Vdc|−|Vd|<Vth (8)
注入帯電が支配的な帯電は下記式(3)で示すことができる。
|Vdc|−|Vd|≦|Vth/2| (3)
【0016】
また、帯電部材から電子写真感光体に直流電圧Vdcに加えて交流電圧Vac(V)を印加する場合を図2を参照しながら考えてみる。この帯電は、一般的にはAC/DC重畳系といわれている。交流電圧Vacのピーク間電圧をVpp(V)とした時、放電帯電の場合は、帯電を安定させるために、下記式(9)を満足するようにVppを設定すると、電子写真感光体の表面電位は、下記式(10)で示される。
|Vpp|≧2×|Vth| (9)
|Vd|≒|Vdc| (10)
つまり、AC/DC放電帯電時には、帯電性を安定させるために、式(9)の条件を満足するように一次帯電部材への印加電圧を設定している。
【0017】
しかしながら、Vppが下記式(11)のような条件の時は、電子写真感光体の表面電位は、下記式(12)のような値となる。
|Vpp|<2×|Vth| (11)
|Vd|≒|Vpp/2|+|Vdc|−|Vth| (12)
つまり、印加電圧のDC分Vdc(V)と放電開始電圧Vth(V)が一定だとすると、交流電圧のピーク間電圧Vpp(V)を徐々に下げていくと、電子写真感光体の表面電位Vd(V)は、それにつれて下がっていき、Vppが0となると、DC帯電と同様になり、式(6)と同じとなる。また、式(12)は、電子写真感光体の暗減衰等も考慮すると、下記式(13)と書いた方がより正確である。
|Vd|≦|Vpp/2|+|Vdc|−|Vth| (13)
【0018】
一方、注入帯電が支配的な帯電におけるAC/DC重畳系では、AC分はあくまで補助的な意味合いが強く、通常はVppをあまり強くしない。つまり、式(11)が成り立つくらいのVppを与えている。ここで、注入帯電が放電帯電と大きく異なる点は、注入帯電が支配的な帯電においては、やはり、電子写真感光体の表面電位は帯電部材の印加電圧のDC分とほぼ同じになる点である。つまり、注入帯電が支配的な帯電においては、式(3)が成り立つ。更に、式(13)ではなく、下記式(14)が成り立つ。
|Vd|>|Vpp/2|+|Vdc|−|Vth| (14)
【0019】
以上のように、注入帯電が支配的な帯電と放電帯電では、帯電部材への印加電圧がDCのみであっても、AC/DC重畳系であっても、全く異なる帯電方式であることがわかる。
【0020】
注入帯電が支配的な帯電においては、電荷が電子写真感光体に直接注入されるため、放電を伴わない、または、放電を伴っても僅かであるので、放電に伴うNOxやオゾンによる劣化がほとんどなく、また、電子写真感光体に与える電気的なダメージも少なく、理想的な帯電であるといえる。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の注入帯電を良好に行うためには、帯電部材が電子写真感光体に対して速度差を持っていて、かつ、帯電部材と電子写真感光体との接触面に比較的高硬度の帯電粒子を担持する必要がある。そのため、このプロセスでは特に電子写真感光体表面に大きな負荷がかかり、傷が付き易い。また、高湿下における耐久によるカブリというこの帯電方式特有の問題が生じ易かった。
【0022】
本発明の目的は、帯電起因の傷に対して優れた耐久性を有し、高湿の環境下における繰り返し使用の耐久後も、上記帯電システム特有のカブリもなく、高品位の画質を安定に保つことのできる電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、(a)支持体上に感光層及び表面層としての電荷注入層を有する電子写真感光体、並びに、
(b)表面に導電性と弾性を有する導電性粒子担持体、及び、該導電性粒子担持体上に担持され、該電子写真感光体に接触配置される、粒径が10nm〜10μmの導電性粒子を有する帯電手段
を具備し、該電子写真感光体に電荷を直接注入することによって該電子写真感光体を帯電する電子写真装置において、
該電荷注入層の膜厚をd(μm)とし、該電子写真感光体の該電荷注入層上から測定した弾性変形率をWe(OCL)(%)とし、該電子写真感光体から該電荷注入層を取り除いた後に該感光層上から測定した弾性変形率をWe(CTL)(%)としたとき、d(μm)、We(OCL)(%)及びWe(CTL)(%)が下記式(1)
−0.71×d+We(CTL)≦We(OCL)≦0.03×d 3 −0.89×d 2 +8.43×d+We(CTL) (1)
を満足し、かつ、42≦We(CTL)≦43.1および1≦d≦7であることを特徴とする電子写真装置である。
【0024】
また、本発明は、(a)支持体上に感光層及び表面層としての電荷注入層を有する電子写真感光体、並びに、
(b)表面に導電性と弾性を有する導電性粒子担持体、及び、該導電性粒子担持体上に担持され、該電子写真感光体に接触配置される、粒径が10nm〜10μmの導電性粒子を有する帯電手段
を一体に支持し、該電子写真感光体に電荷を直接注入することによって該電子写真感光体を帯電する電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、該電荷注入層の膜厚をd(μm)とし、該電子写真感光体の該電荷注入層上から測定した弾性変形率をWe(OCL)(%)とし、該電子写真感光体から該電荷注入層を取り除いた後に該感光層上から測定した弾性変形率をWe(CTL)(%)としたとき、d(μm)、We(OCL)(%)及びWe(CTL)(%)が下記式(1)
−0.71×d+We(CTL)≦We(OCL)≦0.03×d 3 −0.89×d 2 +8.43×d+We(CTL) (1)
を満足し、かつ、42≦We(CTL)≦43.1および1≦d≦7であることを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明においては、d(μm)、We(OCL)(%)及びWe(CTL)(%)が、下記式(2)を満足することが更に好ましい。
−0.71×d+We(CTL)≦We(OCL)≦
−0.247×d2+4.19×d+We(CTL) (2)
【0026】
本発明における弾性変形率We%は、フィッシャー(株)社製硬度計(H100VP−HCU)を用いて測定した。以後、これをフィッシャー硬度計と呼ぶ。測定環境は、全て23℃/55%RHの環境下で行った。
【0027】
フィッシャー硬度計は、従来のマイクロビッカース法のように、圧子を試料表面に押し込み、除荷後の残留くぼみを顕微鏡で測定し、硬さを求める方法ではなく、圧子に連続的に荷重をかけ、荷重下での押し込み深さを直読し、連続的硬さを求める方法である。
【0028】
弾性変形率の測定は、次のようにして行われる。すなわち、四角錐で先端の対面角136゜のダイヤモンド圧子で荷重をかけ、膜に1μmまで押し込み、その後、荷重を減少させて荷重が0になるまでの押し込み深さと荷重を測定する。図3は、膜厚30μmの塗膜に対して、上記硬度計を用いて約3μm押し込み深さで測定した場合の例であるが、図中、荷重と押し込み深さの関係は、A→B→Cである。この時の弾性変形の仕事量We(nJ)は、図3中のC−B−D−Cで囲まれる面積で表され、塑性変形の仕事量Wr(nJ)は、図3中のA−B−C−Aで囲まれる面積で表され、本発明における弾性変形率We%は、下記式(15)で表される。
We%={We/(We+Wr)}×100 (15)
【0029】
一般に、弾性とは外力によってひずみ(変形)を受けた物体がそのひずみを元に戻そうとする性質であり、その物体が弾性限界を超すか、またはその他の影響で外力を取り去った後もひずみの一部として残るのが塑性変形分である。つまり、弾性変形率We%の値が大きいほど弾性変形分が大きく、We%の値が小さいほど塑性変形分が大きいことを意味する。
【0030】
本発明においては、感光層上に電荷注入層を形成している電子写真感光体に対して、電荷注入層上からフィッシャー硬度計を用いて測定した電荷注入層の弾性変形率We(OCL)(%)及び電荷注入層を剥離した後に感光層上から測定した感光層の弾性変形率We(CTL)(%)に基づいて、それらの関係を求めている。電荷注入層及び感光層の弾性変形率は、図4に示すように下地である感光層の弾性変形率We(CTL)(%)(電荷注入層膜厚0の位置)を通り、電荷注入層膜厚に依存する曲線がひける関係となった。
【0031】
式(1)に示す左辺{−0.71×d+We(CTL)}は、実施例の結果から得られた近似式であるが、電荷注入層の膜厚が1〜8μmまでほぼ直線で近似できたため、膜厚に対して一次式となっている。電荷注入層の弾性変形率がこの左辺以上の時は問題が生じず、小さい時は電荷注入層が感光層よりもかなり脆い膜であることより、キズが付き易くなる。
【0032】
また、右辺{0.03×d3−0.89×d2+8.43×d+We(CTL)}も、実施例の結果から得られた近似式であるが、電荷注入層の弾性変形率We(OCL)(%)がこれを超えるまでは問題が生じず、これを超えると、高湿下における耐久によりカブリが生じる。これは、電荷注入層の弾性変形分が大きくなり過ぎると、紙粉やトナーの外添材等の高抵抗微粒子が電荷注入層に埋め込まれ易くなり、埋め込まれた場所には電荷を注入することができないため、電位が下がり、カブリが生じるのではないかと考えられる。この現象は、本発明のような、弾性を有する担持体と電子写真感光体との間に導電性粒子が存在する場合、かかる導電性粒子によって電子写真感光体の表面を粗面化するために、特に顕著に生じる。また、導電性粒子担持体が電子写真感光体との接触部分で逆方向に回転する場合も、電子写真感光体の表面が粗面化され易いので、この現象は特に顕著に生じる。また、この現象が、高湿下において特に顕著になる原因としては、紙粉やトナーの外添材の高湿下における水分の吸着も影響していると考えられるが、その本当の理由はまだ解明されていない。
【0033】
更に、式(2)の右辺{−0.247×d2+4.19×d+We(CTL)}以下の場合は、上記カブリが全く生じず、非常に良好な画像が安定に得られた。
【0034】
本発明においては、電荷注入層が、導電性粒子及び潤滑性粒子を含有することが好ましい。
【0035】
電荷注入層に用いられる導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等が挙げられる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、またはこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは、単独で用いることも2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。
【0036】
電荷注入層に用いられる導電性粒子の体積平均粒径は、電荷注入層の透明性の点で0.3μm以下が好ましく、特には0.1μm以下が好ましい。
【0037】
また、本発明においては、上述した導電性粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが特に好ましい。
【0038】
電荷注入層に用いられる潤滑性粒子としては、フッ素原子含有樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、シリカ粒子及びアルミナ粒子等であるが、本発明においては、フッ素原子含有樹脂粒子が特に好ましい。本発明に用いられるフッ素原子含有樹脂粒子としては、四フッ化エチレン、三フッ化塩化エチレン樹脂、六フッ化エチレンプロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂及びこれらの共重合体の中から1種あるいは2種以上を適宜選択するのが好ましいが、特に、四フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂が好ましい。樹脂粒子の分子量や粒子の粒径は適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
【0039】
また、シリカ粒子やアルミナ粒子等の無機粒子単独では潤滑性粒子としては働かないかもしれないが、これらを分散、添加することにより、電荷注入層の表面の面粗さが大きくなり、感光体表面に接するものに対して、接触点が少なくなり、結果的に電荷注入層の潤滑性が増す。本発明に用いられる潤滑性粒子とは、このような潤滑性を付与する粒子も含めたものである。
【0040】
フッ素原子含有樹脂を電荷注入層用溶液中で粒子を凝集させないためには、フッ素原子含有化合物を添加するとよい。また、導電性粒子を含有する場合は、フッ素原子含有化合物を導電性粒子の分散時に添加したり、導電性粒子の表面をフッ素原子含有化合物で表面処理するとよい。フッ素原子含有化合物を添加または導電性粒子に表面処理を行うことにより、フッ素原子含有化合物のない場合に比べて、樹脂溶液中での導電性粒子とフッ素原子含有樹脂粒子の分散性及び分散安定性が格段に向上する。また、フッ素原子含有化合物を添加し導電性粒子を分散した液、または表面処理を施した導電性粒子を分散した液に、フッ素原子含有樹脂粒子を分散することによって分散粒子の二次粒子の形成もなく、経時的にも非常に安定した分散性のよい塗工液が得られる。
【0041】
本発明におけるフッ素原子含有化合物としては、含フッ素シランカップリング剤、フッ素変性シリコーンオイル及びフッ素系界面活性剤等が挙げられる。表1〜表3に好ましい化合物例を挙げるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
導電性粒子の表面処理方法としては、導電性粒子と表面処理剤とを適当な溶剤中で混合、分散し、表面処理剤を導電性粒子表面に付着させる方法等が挙げられる。分散手段としては、ボールミルやサンドミル等の通常の分散手段を用いることができる。そして、得られた分散溶液から溶剤を除去し、導電性粒子表面に固着させればよい。また、必要に応じて、この後に更に熱処理を行ってもよい。また、処理液中には反応促進のための触媒を添加することもできる。更に、必要に応じて表面処理後の導電性粒子に更に粉砕処理を施すことができる。
【0046】
導電性粒子に対するフッ素原子含有化合物の割合は、粒子の粒径にも影響を受けるが、表面処理済みの導電性粒子全質量に対し1〜65質量%であることが好ましく、特には1〜50質量%であることが好ましい。
【0047】
以上のように、フッ素原子含有化合物を添加した後に導電性粒子を分散する、またはフッ素原子含有化合物によって表面処理された導電性粒子を用いることにより、フッ素原子含有樹脂粒子の分散が安定し、滑り性や離型性に優れた電荷注入層を形成することができる。しかしながら、最近の高耐久化が進み、更なる高硬度、高耐刷性及び高安定性が求められるようになってきた。
【0048】
本発明において用いる電荷注入層用の結着樹脂としては、硬化型の樹脂が好ましく、特には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びシロキサン樹脂であることが好ましい。中でも、電荷注入層の抵抗の環境変動が小さい点からフェノール樹脂を用いることが好ましい。更に、表面硬度が硬く、耐磨耗性に優れ、微粒子の分散性、分散後の安定性にも優れるという点から硬化性フェノール樹脂、特には、熱硬化性レゾール型フェノール樹脂を用いることが好ましい。
【0049】
通常、レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類化合物とアルデヒド類化合物をアルカリ触媒下で製造される。用いられる主たるフェノール類としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシン及びビスフェノール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール及びアセトアルデヒド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
これらのフェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、またはそれらをオリゴマー化したもの、及びモノマーとオリゴマーの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子がオリゴマー、一つのものがモノマーである。
【0051】
用いられるアルカリ触媒としては、金属系アルカリ化合物、アンモニア及びアミン化合物が挙げられ、金属系アルカリ化合物としては、NaOH、KOH及びCa(OH)2等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物等が、アミン化合物としては、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びトリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、高湿の環境下での抵抗の変動を考慮するとアンモニア及びアミン化合物を用いることが好ましく、更に、溶液の安定性を考慮するとアミン化合物を用いることがより好ましい。
【0052】
本発明における電荷注入層が熱硬化性の樹脂を含有する場合は、電荷注入層を感光層上に塗布した後に、通常、熱風乾燥炉等で硬化させる。この時の、硬化温度は、100℃〜300℃であることが好ましく、特には120℃〜200℃であることが好ましい。
【0053】
なお、本発明において「樹脂が硬化している」とは、樹脂が、メタノールやエタノール等のアルコール溶剤に溶解しない状態のことをいう。
【0054】
また、電荷注入層の膜厚は0.5μm〜10μmであることが好ましく、特には1μm〜7μmであることが好ましい。
【0055】
本発明においては、電荷注入層中に、酸化防止剤等の添加物を加えてもよい。
【0056】
本発明が規定する電荷注入層の物性は、電荷注入層に用いられる材料の種類、用いる材料の混合比、含有する粒子の粒径や分散状態、硬化前の溶液の固形分濃度、硬化条件、膜厚、更には感光層の構成等様々な要因に影響を受けるが、本発明においては、上記物性を満足することが重要なのであって、その達成手段は特に限定されない。一般的には、例えば、硬化温度が高い、硬化時間が長い、溶液の固形分濃度が大きい、固形分中の樹脂の割合が小さい、溶剤の沸点が低い、と弾性変形率の値は大きくなる傾向にある。
【0057】
次に、感光層について説明する。
【0058】
本発明の感光体は積層構造を有する。図5(a)の電子写真感光体は、導電性支持体54の上に電荷発生層53、電荷輸送層52が順に設けており、更に最表面に電荷注入層51を設けている。
【0059】
また、図5の(b)及び(c)のように、導電性支持体と電荷発生層の間に、下引き層55、更には干渉縞防止等を目的とする導電層56を設けてもよい。
【0060】
導電性支持体54としては、支持体自身が導電性を持つもの、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレス等を用いることができ、その他にアルミニウム、アルミニウム合金または酸化インジウム−酸化スズ合金等を真空蒸着によって被膜形成された層を有する前記導電性支持体やプラスチック、導電性微粒子(例えば、カーボンブラック、酸化スズ、酸化チタン及び銀粒子等)を適当な結着樹脂と共にプラスチックや紙に含浸した支持体、導電性バインダーを有するプラスチック等を用いることができる。
【0061】
また、導電性支持体と感光層の間には、バリアー機能と接着機能を持つ下引き層を設けることができる。下引き層は、感光層の接着性改良、塗工性改良、支持体の保護、支持体の欠陥の被覆、支持体からの電荷注入性改良、感光層の電気的破壊に対する保護等のために形成される。
【0062】
下引き層には、カゼイン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリアミド、変性ポリアミド、ポリウレタン、ゼラチンまたは酸化アルミニウム等によって形成できる。下引き層の膜厚は、5μm以下が好ましく、0.2〜3μmがより好ましい。
【0063】
本発明に用いられる電荷発生材料としては、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、インジコ顔料、多環キノン顔料、ペリレン顔料、キナクリドン顔料、アズレニウム塩顔料、ピリリウム染料、チオピリリウム染料、スクアリリウム染料、シアニン染料、キサンテン色素、キノンイミン色素、トリフェニルメタン色素、スチリル色素、セレン、セレン−テルル、アモルファスシリコン、硫化カドミウム及び酸化亜鉛等が挙げられる。
【0064】
電荷発生層用塗料に用いる溶剤は、使用する樹脂や電荷発生材料の溶解性や分散安定性から選択されるが、有機溶剤としては、アルコール類、スルホキシド類、ケトン類、エーテル類、エステル類、脂肪族ハロゲン化炭化水素類または芳香族化合物等を用いることができる。
【0065】
電荷発生層は、前記の電荷発生材料を質量比で0.3〜4倍量の結着樹脂及び溶媒と共に、ホモジナイザー、超音波、ボールミル、サンドミル、アトライターまたはロールミル等の方法で均一に分散し、塗布、乾燥されて形成される。その厚みは、5μm以下が好ましく、特には0.01〜1μmの範囲が好ましい。
【0066】
電荷輸送材料としては、ヒドラゾン系化合物、ピラゾリン系化合物、スチリル系化合物、オキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、トリアリールメタン系化合物またはポリアリールアルカン系化合物等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
電荷輸送層は、一般的には前記の電荷輸送材料と結着樹脂を溶剤に溶解し、塗布して形成する。電荷輸送材料と結着樹脂との混合割合は、質量比で2:1〜1:2程度であることが好ましい。溶剤としては、アセトン及びメチルエチルケトン等のケトン類、酢酸メチル及び酢酸エチル等のエステル類、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類、クロロベンゼン、クロロホルム及び四塩化炭素等の塩素系炭化水素類等が用いられる。
【0068】
また、電荷輸送層を形成するのに用いられる結着樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂及び不飽和樹脂等から選ばれる樹脂が好ましい。特に好ましい樹脂としては、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、ポリカーボネート樹脂及びポリアリレート樹脂が挙げられる。電荷輸送層の膜厚は5〜40μmが好ましく、特には10〜30μmが好ましい。
【0069】
また、電荷発生層あるいは電荷輸送層には、酸化防止剤、紫外線吸収剤及び潤滑剤等の種々の添加剤を含有させることができる。
【0070】
これらの溶液を塗布する際には、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法及びスピンナーコーティング法等のコーティング法を用いることができ、乾燥は10℃〜200℃が好ましく、より好ましくは20℃〜150℃の範囲の温度であり、好ましくは5分〜5時間、より好ましくは10分〜2時間の時間で送風乾燥または静止乾燥下で行うことができる。
【0071】
本発明においては、上記感光層上に、前記電荷注入層を塗布、硬化して形成する。また、逆に電荷輸送層の上に電荷発生層を塗布した後に前記電荷注入層を塗布、硬化してもよい。更に、電荷発生材料及び電荷輸送材料を同一の層に含有する単層感光層上に前記電荷注入層を塗布、硬化して形成してもよい。
【0072】
本発明のプロセスカートリッジを具備する電子写真装置の概略構成の例を図6に示す。この装置は、電子写真感光体1の周囲に一次帯電部材2、露光手段5、現像手段6、転写手段7が配置されている。
【0073】
まず、一次帯電部材2に電圧を印加し、感光体1の表面を帯電し、露光手段5によって原稿に対応した画像を感光体1表面に露光し、静電潜像を形成する。次に、現像手段6中のトナーを現像部位aにおいて感光体1に付着させることにより、感光体1上の静電潜像を現像(可視像化)する。更に、感光体1上に形成されたトナー像を供給された紙等の転写材P上に転写手段7によって転写し、転写材に転写されずに感光体1上に残った残トナーをクリーナー等で回収する。近年、クリーナーレスシステムも研究され、残トナーを直接、現像手段で回収することもできる。更に、前露光手段からの前露光により除電処理がされた後、繰り返し画像形成に使用される。なお、前露光手段は必ずしも必要ではない。
【0074】
転写材Pに転写されたトナー像は、定着手段8によって転写材P上に定着される。
【0075】
図6に示す画像形成装置において、露光手段5の光源はハロゲン光、蛍光灯、レーザー光、LED等を用いることができる。また、必要に応じて他の補助プロセスを加えてもよい。
【0076】
本発明においては、上述の感光体1、一次帯電部材2、現像手段6及びクリーニング手段等の構成要素のうち、複数のものをプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンター等の電子写真装置本体に対して着脱自在に構成してもよい。例えば、一次帯電部材2、現像手段6及びクリーニング手段の少なくとも一つを感光体1と共に一体に支持してカートリッジ化し、装置本体のレール10等の案内手段を用いて装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジ9とすることができる。
【0077】
また、露光光Lは、電子写真装置が複写機やプリンターである場合には、原稿からの反射光や透過光を用いる、あるいは、信号化された原稿を、この信号に従って行われるレーザービームの走査、LEDアレイの駆動及び液晶シャッターアレイの駆動等により照射される光である。
【0078】
なお、図6中、6aは回転現像スリーブ、6bはマグネットロール、S1〜S3は電源を示す。
【0079】
図6及び7に示される本発明の帯電手段は、導電性弾性ローラー2(以降、帯電ローラーと称する)、帯電促進を目的とした導電性粒子3(以降、帯電粒子ともいう)及び帯電粒子供給手段である規制部材4を有する。帯電ローラーと感光体1の接触部分nには、帯電粒子3が塗布された状態で感光体1の帯電が行われる。これにより、帯電ローラー2は感光体1と速度差をもって接触できると同時に、帯電粒子3を介して非常に密に感光体1に電荷を直接注入できる。従って、本発明においては従来のローラー帯電では得られなかった高い帯電効率を得られ、帯電ローラーに印加した電位とほぼ同等の電位を感光体に与えることができる。
【0080】
次に、本発明に用いられる帯電手段の主たる構成部材について述べる。
【0081】
<帯電ローラー>
帯電ローラー2は、芯金2a上にゴムあるいは発泡体の中抵抗層2bを形成することにより作製される。中抵抗層2bは、樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤及び発泡剤等により処方され、芯金2a上にローラー状に形成した。その後、必要に応じて表面を研磨して直径12mm、長手長さ250mmの弾性導電ローラー2を作製した。本実施例のローラー抵抗を測定したところ100kΩであった。ローラー2の芯金に総圧1kgの荷重がかかるようφ30mmのアルミニウムドラムに圧着した状態で、芯金2aとアルミニウムドラムに100Vを印加し、計測した。ここで、弾性ローラー2は電極として機能することが重要である。つまり、弾性を持たせ十分な接触状態を得ると同時に、移動する感光体1を帯電するに十分低い抵抗を有する必要がある。一方では、感光体1にピンホール等の欠陥部位が存在した場合に電圧のリークを防止する必要がある。感光体1として有機系感光体を用いた場合、十分な帯電性と耐リーク性を得るには104〜107Ωの抵抗が好ましい。
【0082】
帯電ローラーの硬度は、硬度が低過ぎると形状安定しないために接触性が悪くなり、高過ぎると十分な接触面積を確保できないだけでなく、感光体表面へのミクロな接触性が悪くなるので、アスカーC硬度で25度〜50度が好ましい範囲である。
【0083】
帯電ローラーの材質としては、弾性発泡体に限定するものではなく、弾性体の材料として、EPDM、ウレタン、NBR、シリコーンゴムやIR等に抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散したゴム剤や、またこれらを発泡させたものが挙げられる。また、特に導電性物質を分散せずに、イオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0084】
帯電部材は、帯電ローラーに限定されるものではなく、パイル1本1本が弾性を持つファーブラシ等の弾性体も使用可能である。ここでファーブラシローラは、抵抗調整された繊維(ユニチカ製Rec等)を植え密度155本/mm2、繊維長3mmでパイル上に形成し、その後そのパイルをφ6mmの芯金に巻き固定し、ローラー状に成形したものである。
【0085】
<帯電粒子>
本実施例では、比抵抗が106Ω・cm、平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子3を用いた。
【0086】
粒子の材料としては、他の金属酸化物等の導電性無機粒子や有機物との混合物等の各種導電性粒子が使用可能である。粒子の抵抗は、粒子を介した電荷の授受を行うために、1010Ω・cm以下であることが好ましい。抵抗は、錠剤法により測定し正規化して求めた。具体的には、底面積2.26cm2の円筒内に、およそ0.5gの粉体試料を入れ上下電極に15kgの加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加し、抵抗値を計測後、正規化して比抵抗を算出した。
【0087】
また、粒径は、10nm〜10μmである。10nmに満たないと、粒子を安定して得られない。逆に、10μmを超えると、帯電部材が電子写真感光体に十分密に電荷を注入することができないため、良好な帯電均一性を得ることができない。粒径の測定には、光学あるいは電子顕微鏡による観察から、100個以上抽出し、水平方向最大弦長をもって体積粒度分布を算出しその50%平均粒径をもって決定した。なお、本発明においては、粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、凝集体としての平均粒径として定義した。
【0088】
図8も本発明の電子写真装置の概略構成を示す図であるが、トナーリサイクルプロセス(クリーナーレスシステム)を採用している。以下に、図6に示される電子写真装置と異なる点について述べる。
【0089】
<電子写真装置の全体的概略構成>
この電子写真装置は、独立した帯電粒子供給器は備えていない。帯電粒子は現像剤に添加して蓄積され、トナーの現像と共に感光体1を介して帯電ローラー2に供給される。
【0090】
60は現像手段である。感光体1上の静電潜像は、この現像装置60により現像部位aにてトナー画像として現像される。現像装置60内には現像剤tに導電粒子mを添加した混合剤tmが備えられている。
【0091】
本実施例の電子写真装置は、トナーリサイクルプロセスを採用しており、画像転写後の感光体1上に残留した転写残トナーは専用のクリーナー(クリーニング装置)で除去されることなく、感光体1とその接触部分nでカウンター方向に回転する帯電ローラー2に一時的に回収され、ローラー外周を周回するにつれて、反転したトナー電荷が正規化され順次感光体1上に吐き出されて現像部位aに至り、現像手段60において現像同時クリーニングにて回収、再利用される。
【0092】
<帯電ローラー>
帯電粒子供給器を配していないことを除けば、上記の構成に準ずる。
【0093】
<現像手段>
現像手段60は、現像剤tとして一成分磁性トナー(ネガトナー)を用いた反転現像器である。現像装置内には、現像剤(トナー)tと帯電粒子mの混合剤tmを備えている。
【0094】
60aはマグネットロール60bを内包させた、現像剤担持搬送部材としての非磁性回転現像スリーブであり、現像容器60e内に備える現像前混合剤tm内のトナーtは、回転現像スリーブ60a上を搬送される過程において、規制ブレード60cで層厚規制及び電荷付与を受ける。60dは、容器内のトナーの循環を行い順次スリーブ周辺にトナーを搬送する攪拌部材である。
【0095】
回転現像スリーブ60aにコートされたトナーtはスリーブ60aの回転により、感光体1とスリーブ60aの対向部である現像部位(現像領域部)aに搬送される。また、スリーブ60aには現像バイアス印加電源S5より現像バイアス電圧が印加される。
【0096】
本実施例において、現像バイアス電圧はDC電圧とAC電圧の重畳電圧とした。これにより、感光体1上の静電潜像がトナーtにより反転現像される。
【0097】
<トナー>
現像剤である一成分磁性トナーtは、結着樹脂、磁性体粒子及び電荷制御剤を混合し混練、粉砕、分級の各行程を経て作製し、更に、帯電粒子mや流動化剤等を外添剤として添加して作製されたものである。トナーの平均粒径(D4)は7μmであった。
【0098】
<帯電粒子担持量、被覆率>
本実施形態においてはトナーリサイクル構成であるため、トナーが帯電ローラー表面を汚染し易い。トナーは摩擦帯電による電荷を表面に保持する必要があるため、1013Ω・cm以上の抵抗を有する。従って、帯電ローラーがトナーにより汚染されると、帯電ローラー上に担持している帯電粒子の抵抗が増加し、帯電性能が低下する。たとえ、帯電粒子の抵抗が低くとも、トナーの混入により担持している粉体の抵抗は上昇し、帯電性に障害を生じる。従って、帯電粒子の担持量は0.1〜100mg/cm2であることが好ましく、特には0.1〜10mg/cm2であることが好ましい。本実施例においては、5mg/cm2とした。しかしながら、その成分に多くのトナーが含まれていることがあると、当然に帯電性能は低下する。この場合、担持粒子の抵抗が上昇しその状況を捉えることができる。つまり、実使用状態において、帯電ローラーに担持している粒子(トナーや紙粉等の混入物も含む)の抵抗は、10-1〜1012Ω・cmであることが好ましく、特には10-1〜1010Ω・cmであることが好ましい。抵抗の測定方法は、前記と同様である。
【0099】
更に、帯電粒子の帯電における実効的な存在量を把握するために、帯電粒子の被覆率を調整することが更に重要となる。帯電粒子は、白色であるため磁性トナー黒色と区別可能である。顕微鏡における観察において白色を呈している領域を面積率として求める。被覆率が0.1以下の場合は、帯電ローラーの周速度を高めても帯電性能としては不十分であることから帯電粒子の被覆率を0.2〜1の範囲に保つことが好ましい。本実施例においては、0.6とした。
【0100】
また、担持量の調節は、基本的には帯電粒子の現像剤への添加量の調整により行うことができる。また、必要に応じて、帯電ローラーの外周の一部に弾性ブレードを当接することにより調整を行うこともできる。部材を当接することで、トナーの摩擦帯電極性を正規化する効果があり、帯電ローラーに担持されている粒子量を調整することが可能となるからである。
【0101】
帯電粒子の供給手段が、現像手段であるようなシステムにおいては、帯電粒子が紙等の被記録体に転写される量が少ない方がより好ましく、感光体上に残留する量が多い方がより好ましい。また、帯電粒子は、ポジ性に帯電している方が好ましい。反転現像系においては、感光体の明電位部に現像剤が転移し、暗電位部に該帯電粒子が転移し、転写プロセスにおいて、現像剤のみが転写材に転写され、帯電粒子が感光体上に残留し、帯電ローラーに供給され、帯電が安定することになるからである。
【0102】
【実施例】
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によって制限されるものではない。なお、実施例中の「部」は質量部を示す。
【0103】
(実施例1〜3)
φ30mm×260.5mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を設けた。
【0104】
次に、下記式で示され、CuKα特性X線回折におけるブラッグ角(2θ±0.2゜)の9.0°、14.2°、23.9°及び27.1゜に強いピークを有するオキシチタニウムフタロシアニン顔料4部、
【外1】
【0105】
ポリビニルブチラール樹脂BX−1(積水化学(株)製)2部及びシクロヘキサノン80部を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で、4時間ほど分散した。この分散液を前記下引き層上に塗布し、膜厚が0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0106】
次いで、下記式で示される化合物10部
【外2】
【0107】
及びビスフェノールZ型ポリカーボネート(商品名:Z−200、三菱ガス化学(株)社製)10部を、モノクロロベンゼン100部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に塗布し、105℃で1時間をかけて熱風乾燥し、膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0108】
次に、電荷注入層として、下記式で示される化合物で表面処理した(処理量7%)アンチモンドープ酸化スズ超微粒子20部、
【外3】
【0109】
メチルハイドロジェンシリコーンオイル(商品名:KF99、信越シリコーン(株)製)で表面処理した(処理量20%)アンチモンドープ酸化スズ微粒子30部、エタノール150部を、サンドミルにて、66時間かけて分散を行い、更に、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(平均粒径0.18μm)20部を加えて2時間分散を行った。その後、レゾール型熱硬化型フェノール樹脂(商品名:PL−4804;アミン化合物触媒、群栄化学工業(株)製:GPCによるポリスチレン換算平均分子量約800)を樹脂成分として30部を溶解し、調合液とした。
【0110】
この調合液を用いて、先の電荷輸送層上に浸漬塗布法により、複数の厚さの膜を形成し、145℃の温度で1時間熱風乾燥して電荷注入層を得た。この時、得られた電荷注入層の膜厚測定は、薄膜のため光の干渉による瞬間マルチ測光システムMCPD−2000(大塚電子(株)製)を用いて測定し、その膜厚は1μm、2μm、3μm、4μm、7μm及び10μmであった。膜厚は、感光体の膜の断面をSEM等で直接観察測定することもできる。また、電荷注入層調合液の分散性は良好で、膜表面はムラのない均一な面であった。
【0111】
弾性変形率We%の測定は、前述したフィッシャー硬度計(H100VP−HCU)を用いて行った。弾性変形率We%は、四角錐で先端の対面角136゜のダイヤモンド圧子で荷重をかけて測定する膜に1μmまで押し込み、荷重をかけた状態での押し込み深さを電気的に検出して読みとる。弾性変形率We%は、前述の通りに図3に示すように、弾性変形の仕事量We(nJ)と塑性変形の仕事量Wr(nJ)より、前記式(15)を用いて得られる。測定は、同一サンプルで任意の10箇所で行い、最大値と最小値を除く8点の平均で求めた。
【0112】
電荷注入層上からの弾性変形率{We(OCL)}の測定は、電子写真感光体の電荷注入層上から直接測定し、感光層の弾性変形率{We(CTL)}の測定は、電荷注入層を取り除いた後の感光層上で測定した。
【0113】
電荷注入層を取り除く方法としては、キヤノン(株)製ドラム研磨装置にてラッピングテープ(C2000:富士写真フィルム(株)製)を用いて行ったが、これに限定されるものではない。しかしながら、感光層の硬度測定は、なるべく電荷注入層を研磨し過ぎて感光層まで研磨しないように膜厚を順次測定しながら、または表面を観察しながら、電荷注入層が全てなくなるところで測定する。
【0114】
しかしながら、感光層の残膜厚が10μm以上ある時は、ほぼ同じ値が得られることは確認されているので、感光層を多少研磨し過ぎても、感光層の残膜厚が10μm以上ある場合は、ほぼ同じ値が得られるが、できるだけ電荷注入層がなくなり、感光層ができるだけ研磨しないような状態で測定するのが好ましい。
【0115】
試験の評価は、目視により感光体表面性を見た後、ヒューレットパッカード(株)製レーザージェット4000を以下のようにして、図6に示されるように改造して行った。
【0116】
評価として、32℃/86%RHの環境下において、10000枚の耐久後に目視による画像評価を行った。フィッシャー硬度計による弾性変形率の測定は、電荷注入層の膜厚1μm、2μm、3μm、4μm、7μm及び10μmのもので行ったが、画像評価等の実機評価は、電荷注入層の膜厚が1μm(実施例1)、3μm(実施例2)及び7μm(実施例3)のものを用いた。
【0117】
弾性変形率、初期電位Vd(V)及び耐久後の画像評価の結果は表4に示す。
【0118】
<評価装置1>
作製した電子写真感光体を、ヒューレットパッカード社製プリンター(レーザージェット4000)を以下のように改造した電子写真装置に装着して評価した。
【0119】
まず、電子写真感光体の帯電部分について、帯電ローラーは芯金上にゴムの中抵抗層を形成することにより作製した。ここで、中抵抗層はウレタン樹脂、導電性粒子(カーボンブラック)、硫化剤及び発泡剤等により処方され、芯金の上にローラー状に成形した後、表面を研磨して直径12mm、長手長さ250mmの弾性導電ローラーを作製した。このローラーの抵抗を測定したところ100kΩであった。ローラーの芯金に総圧1kgの荷重がかかるように電子写真感光体に圧着した状態で、芯金と導電性支持体に100Vを印加することで計測した。
【0120】
本実施例では、帯電粒子として、比抵抗が106Ω・cm、平均粒径3μmの導電性酸化亜鉛粒子を用いた。
【0121】
また、帯電粒子をローラーと感光体の接触部分に均一に供給するために、帯電粒子塗布手段を設けた。供給手段としては規制ブレードを帯電ローラーに当接させ、帯電ローラーと規制ブレードの間に帯電粒子を保持する構成をとる。そして一定量の帯電粒子が帯電ローラーに塗布される。
【0122】
本実施例では、帯電ローラーを電子写真感光体に対して速度差を持って回転させている。本電子写真感光体は直径30mmのドラム状であり、周速が約110mm/secの一定速度で回転する。帯電ローラーはローラー表面が感光体との接触部分で互いに逆方向に等速度で移動するよう約150rpmで駆動し、そのローラー芯金に印加電圧としてDC電圧−620Vを印加した。
【0123】
これにより、感光体表面は印加電圧とほぼ等しい電位に帯電される。本実施例において帯電は、ローラーと電子写真感光体の接触部分に存在する帯電粒子が電子写真感光体表面を隙間無く摺擦することで注入帯電が行われるものである。また、クリーニング手段を取り外した。
【0124】
(実施例4及び5)
実施例2において、電荷注入層に用いるレゾール型フェノール樹脂をPL−4804からBKS−316(アミン化合物触媒、昭和高分子(株)製)及びPL−4804のGPCによる分子量を約3000に上げたものに代えた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0125】
(実施例6〜8)
実施例5において、添加する樹脂成分を50部、100部及び150部に代えた以外は、実施例5と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0126】
(実施例9)
実施例4において、樹脂の添加量を15部にした以外は、実施例4と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0127】
(実施例10〜12)
実施例6〜8において、電荷輸送層の結着樹脂のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20000)を粘度平均分子量100000のものに代えた以外は、実施例6〜8と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0128】
(実施例13)
実施例9において、電荷輸送層の結着樹脂のポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量20000)を粘度平均分子量100000のものに代えた以外は、実施例9と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0129】
(比較例1〜3)
実施例1〜3において、電荷注入層に用いるフェノール樹脂を下記式で示されるアクリル樹脂100部に代え、光重合開始剤として2−メチルチオキサンソン6部を溶解して調合液を作製し、前記感光層上に浸漬塗布法により膜を形成し、高圧水銀灯にて800mW/cm2の光強度で30秒間光硬化を行い、その後120℃で100分間熱風乾燥し、電荷注入層を作製した以外は、実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0130】
【外4】
【0131】
(比較例4)
実施例2において、電荷注入層に用いる導電性粒子及びポリテトラフルオロエチレン粒子を含有せず、フェノール樹脂をメチルフェニルポリシロキサン(KF−50500CS:信越シリコーン(株)製)に代え、樹脂のみで電荷注入層とした以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0132】
(比較例5)
実施例10において、電荷注入層に用いるフェノール樹脂を比較例1で用いたアクリル樹脂100部に代え、光重合開始剤として2−メチルチオキサンソン6部を溶解して調合液を作製し、前記感光層上に浸漬塗布法により膜を形成し、高圧水銀灯にて800mW/cm2の光強度で30秒間光硬化を行い、その後120℃で100分熱風乾燥し、電荷注入層を作製した以外は、実施例10〜12と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0133】
(比較例6)
実施例10において、電荷注入層に用いる導電性粒子及びポリテトラフルオロエチレン粒子を含有せず、フェノール樹脂をメチルフェニルポリシロキサン(KF−50500CS:信越シリコーン(株)製)に代え、樹脂のみで電荷注入層とした以外は、実施例10と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0134】
(実施例14〜16)
実施例1〜3において、電子写真装置を図8に示すような注入帯電方式、トナーリサイクルプロセス(クリーナーレスシステム)に代えた以外は、実施例1〜3と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0135】
(実施例17及び18)
実施例15において、PL−4804のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量を約3000に上げ、樹脂の添加量を100部及び150部に代えた以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0136】
(実施例19)
実施例15において、樹脂をBKS−316(アミン化合物触媒、昭和高分子(株)製)に代え、樹脂の添加量を15部に代えた以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0137】
(比較例7〜9)
実施例14〜16において、電荷注入層に用いるフェノール樹脂を前記構造式(5)で示されるアクリル樹脂100部に代え、光重合開始剤として2−メチルチオキサンソン6部を溶解して調合液を作製し、前記前記感光層上に浸漬塗布法により膜を形成し、高圧水銀灯にて800mW/cm2の光強度で30秒間光硬化を行い、その後120℃で100分間熱風乾燥し、電荷注入層を作製した以外は、実施例14〜16と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0138】
(比較例10)
実施例15において、電荷注入層に用いる導電性粒子及びポリテトラフルオロエチレン粒子を含有せず、フェノール樹脂をメチルフェニルポリシロキサン(KF−50500CS:信越シリコーン(株)製)に代え、樹脂のみで電荷注入層とした以外は、実施例15と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。結果を表4に示す。
【0139】
(実施例20)
実施例2において、一次帯電器に印加する電圧をDC電圧−620VにAC電圧のピーク間電圧Vppを200V重畳した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
【0140】
(比較例11)
実施例2において、評価装置1をヒューレットパッカード社製プリンター(レーザージェット4000)の一次帯電部材に印加する電圧をDC電圧のみを−620V印加するように改造し、かつクリーニング手段を取り外しただけの電子写真装置に代えた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
【0141】
(比較例12)
実施例2において、評価装置1をヒューレットパッカード社製プリンター(レーザージェット4000)の一次帯電部材に印加する電圧をDC電圧−620VにAC電圧のピーク間電圧Vppを200V重畳して印加するように改造し、かつクリーニング手段を取り外しただけの電子写真装置に代えた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
【0142】
(実施例21)
実施例2において、電荷注入層に用いるレゾール型フェノール樹脂をPL−4804からプライオーフェンJ325(アンモニア触媒、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)に代えた以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を作成し、評価した。なお、電荷注入層の膜厚が10μmのものはベナードセルが発生し、また、調合液は3日でゲル化した。結果を表4に示す。
【0143】
(比較例13)
実施例1において、電荷注入層を下記のようにして形成した以外は、実施例2と同様にして電子写真感光体を評価した。結果を表4に示す。
【0144】
Ta2O5ドープ酸化スズ粒子100部、レゾール型フェノール樹脂(プライオーフェンJ325、アンモニア触媒、大日本インキ化学工業(株)製、固形分70%)90部及びメチルイソブチルケトン300部を混合してサンドミルにて72時間分散した。この溶液を電荷輸送層上にスプレー塗布し、140℃で30分間加熱することによって、膜厚4μmの電荷注入層を形成した。
【0145】
得られた感光体は、本発明が規定する物性を満足しなかったが、その理由としては、実施例21と比較して、固形分濃度が小さいこと、沸点が高い溶剤を用いていること、硬化温度が低いこと、硬化時間が短いことが挙げられる。
【0146】
また、電荷注入層の膜厚が7μm及び10μmのものはベナードセルが発生し、調合液は5日でゲル化した。
【0147】
【表4】
【0148】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、傷の発生に対して優れた耐久性を有し、高湿下における耐久後も、この帯電システム特有のカブリもなく、高品位の画質を安定に保つことのできる電子写真装置及びプロセスカートリッジを提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】帯電部材にDC電圧のみを印加した時の電子写真感光体の表面電位における、放電帯電と注入帯電の違いを示す図である。
【図2】帯電部材にDC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加した時の電子写真感光体の表面電位における、放電帯電と注入帯電の違いを示す図である。
【図3】フィッシャー硬度計による測定チャートの例である。
【図4】電荷注入層上から測定した弾性変形率We(OCL)(%)である{ただし、電荷注入層の膜厚が0の位置は、電荷輸送層上で測定した弾性変形率We(CTL)(%)}。
【図5】本発明の電子写真感光体の層構成を示す図である。
【図6】実施例1における本発明の電子写真装置の概略構成を示す図である。
【図7】実施例1における本発明の電子写真装置の導電性粒子供給手段を詳細に示す図である。
【図8】実施例14における本発明の電子写真装置の概略構成を示す図である。
Claims (14)
- (a)支持体上に感光層及び表面層としての電荷注入層を有する電子写真感光体、並びに、
(b)表面に導電性と弾性を有する導電性粒子担持体、及び、該導電性粒子担持体上に担持され、該電子写真感光体に接触配置される、粒径が10nm〜10μmの導電性粒子を有する帯電手段
を具備し、該電子写真感光体に電荷を直接注入することによって該電子写真感光体を帯電する電子写真装置において、
該電荷注入層の膜厚をd(μm)とし、該電子写真感光体の該電荷注入層上から測定した弾性変形率をWe(OCL)(%)とし、該電子写真感光体から該電荷注入層を取り除いた後に該感光層上から測定した弾性変形率をWe(CTL)(%)としたとき、d(μm)、We(OCL)(%)及びWe(CTL)(%)が下記式(1)
−0.71×d+We(CTL)≦We(OCL)≦0.03×d 3 −0.89×d 2 +8.43×d+We(CTL) (1)
を満足し、かつ、42≦We(CTL)≦43.1および1≦d≦7であることを特徴とする電子写真装置。 - d(μm)、We(OCL)(%)及びWe(CTL)(%)がさらに下記式(2)を満足する請求項1に記載の電子写真装置。
−0.71×d+We(CTL)≦We(OCL)≦−0.247×d2+4.19×d+We(CTL) (2) - 前記電荷注入層が硬化性樹脂を含有する請求項1または2に記載の電子写真装置。
- 前記硬化性樹脂がレゾール型フェノール樹脂である請求項3に記載の電子写真装置。
- 前記レゾール型フェノール樹脂がアミン化合物を用いて合成された樹脂である請求項4に記載の電子写真装置。
- 前記電荷注入層が導電性粒子を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記電荷注入層が潤滑性粒子を含有する請求項6に記載の電子写真装置。
- 前記導電性粒子の抵抗が1010Ω・cm以下である請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記導電性粒子の前記導電性粒子担持体の被覆率が0.2〜1.0である請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記導電性粒子担持体が前記電子写真感光体との接触部分で逆方向に回転する請求項1〜9のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記導電性粒子担持体の抵抗が104〜107Ωである請求項1〜10のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記導電性粒子担持体の硬度がアスカーC硬度で25度〜50度である請求項1〜11のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記導電性粒子担持体が弾性発泡体を含有する表面層を有する請求項1〜12のいずれかに記載の電子写真装置。
- (a)支持体上に感光層及び表面層としての電荷注入層を有する電子写真感光体、並びに、
(b)表面に導電性と弾性を有する導電性粒子担持体、及び、該導電性粒子担持体上に担持され、該電子写真感光体に接触配置される、粒径が10nm〜10μmの導電性粒子を有する帯電手段
を一体に支持し、該電子写真感光体に電荷を直接注入することによって該電子写真感光体を帯電する電子写真装置に着脱自在なプロセスカートリッジにおいて、該電荷注入層の膜厚をd(μm)とし、該電子写真感光体の該電荷注入層上から測定した弾性変形率をWe(OCL)(%)とし、該電子写真感光体から該電荷注入層を取り除いた後に該感光層上から測定した弾性変形率をWe(CTL)(%)としたとき、d(μm)、We(OCL)(%)及びWe(CTL)(%)が下記式(1)
−0.71×d+We(CTL)≦We(OCL)≦0.03×d 3 −0.89×d 2 +8.43×d+We(CTL) (1)
を満足し、かつ、42≦We(CTL)≦43.1および1≦d≦7であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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