(電子写真感光体)
本実施形態に係る電子写真感光体は、導電性支持体と、該導電性支持体上に設けられ、硬化性樹脂と組成物に対する固形分濃度0.05質量%以上2.0質量%の塩基性化合物とを含む硬化性樹脂組成物の硬化物で構成される最表面層と、を備える。
但し、硬化性樹脂としては、メラミン樹脂、レゾール型フェノール樹脂、及びユリア樹脂から選択される硬化性樹脂が適用される。また、塩基性化合物の固形分濃度は、硬化性樹脂組成物に対する塩基性化合物の固形分濃度である。
本実施形態に係る電子写真感光体では、上記構成とすることで、耐久性と、電気的特性(残留電位の低減、及び潜像電位の維持)と、の両立が図れる。このため、本実施形態に係る電子写真装置を、画像形成装置に適用すると、長期にわたり、ゴースト(前画像の履歴が残ることで生じる残像現象)の発生を抑制すると共に、解像度及び画像濃度に優れた画像が形成される。この理由は定かではないが、以下の理由によるものと推測される。
熱硬化性樹脂の組成物は、塩基性化合物が含まれていることが多い。これは、熱可塑性樹脂を合成する際の触媒として、塩基性化合物が残留するためである。例えば、メラミン樹脂は、その原料としてメラミン及びホルムアルデヒドを塩基性化合物(触媒)下で反応させて得られる多置換メチロールメラミンとモノマーの混合物を主成分としたメラミン樹脂の場合では、当該塩基性化合物(触媒)が樹脂組成物に残留する。また、例えば、フェノール樹脂においても、その原料として、フェノール及びホルムアルデヒドを塩基性化合物(触媒)下でレゾール化させて得られる多置換メチロールフェノールとモノマーの混合物とするフェノール樹脂の場合も、同様に塩基性化合物(触媒)が樹脂組成物に残留する。
熱硬化性樹脂の組成物の硬化物は、電子写真感光体の最表面層の構成材料として適用すると耐久性が向上される一方で、上述のように、熱硬化性樹脂の組成物には塩基性化合物を残留するものが多く、残留する塩基性化合物の濃度(固形分濃度)により、残留電位が増加したり、潜像電位が維持され難くなる等の電気的特性の悪化が生じることがある。これは、残留する塩基性化合物の濃度(固形分濃度)が多すぎる場合には残留電位の増加し、少なすぎる場合には潜像電位が維持され難くなることが多い。
このため、最表面層を構成する熱硬化性樹脂組成物の架橋体における塩基性化合物の濃度(固形分濃度)を特定量とした電子写真感光体では、耐久性と、電気的特性(残留電位の低減、及び潜像電位の維持)と、の両立が図れると考えられる。
以下、最表面層が保護層として機能する層の場合の、本実施形態に係る電子写真感光体について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る電子写真感光体を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体1は、いわゆる機能分離型感光体(又は積層型感光体)であり、導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7が順次積層された構造を有するものである。電子写真感光体1においては、下引層4、電荷発生層5、及び電荷輸送層6により感光層3が構成されている。そして、図1に示す電子写真感光体1においては、保護層7が、導電性支持体2から最も遠い側に配置される最表面層となっており、当該最表面層が、上記所定の構成となっている。
以下、各要素について説明する。
導電性支持体2としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体2としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も使用され得る。ここで、「導電性」とは体積抵抗率が1013Ωcm未満であることをいう。
導電性支持体2の表面は、レーザ光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、支持体表面を粗面化することが望ましく、例えば十点平均粗さ(Rz)で0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが望ましい。導電性支持体2の表面の十点平均粗さ(Rz)が0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が不十分となる傾向がある。他方、十点平均粗さ(Rz)が0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が不十分となる傾向がある。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性支持体2表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行なう湿式ホーニング、又は回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行なうセンタレス研削、陽極酸化処理等が望ましい。
また、他の粗面化の方法としては、導電性支持体2表面を粗面化することなく、導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる粒子により粗面化する方法も望ましく用いられる。
上記陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は、化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行なうことがよい。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が望ましい。この膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、導電性支持体2には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸及びフッ酸を含む酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が望ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が望ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜が形成される。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が望ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行なわれる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が望ましい。これをさらに被膜溶解性の低い電解質溶液(アジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等)を用いて陽極酸化処理してもよい。
なお、非干渉光を光源(露光手段)に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性支持体2の表面の凹凸による欠陥の発生が抑制されることから、より長寿命化に適する。
下引層4は、導電性支持体2上に形成される。下引層4は、例えば、有機金属化合物及び/又は結着樹脂を含有して構成される。この下引き層4は、必要に応じて設けられるものである。
有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。
有機金属化合物としては、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物が望ましく使用される。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知のものが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて設定される。
また、下引層4には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させてもよい。
また、下引層4中には、低残留電位化や環境安定性の観点から、電子輸送性顔料を混合/分散して使用してもよい。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛又は酸化チタンが、他種に比べ、電子移動性が高いので望ましく使用される。
また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂等で表面処理してもよい。
電子輸送性顔料は多すぎると下引層4の強度を低下させ、塗膜欠陥の原因となるため、下引層4の固形分全量を基準として望ましくは95質量%以下、より望ましくは90質量%以下で使用される。
また、下引層4には、電気特性の向上や光散乱性の向上等の目的により、各種の有機化合物の微粉末若しくは無機化合物の微粉末を添加することが望ましい。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効である。
添加微粉末の体積平均粒子径は、0.01μm以上2μm以下のものが望ましい。微粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分全量を基準として、10質量%以上90質量%以下であることが望ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより望ましい。
下引層4は上述した各構成材料を含有する下引層形成用塗布液を用いて形成される。下引層形成用塗布液に使用される有機溶剤としては、有機金属化合物や結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合及び/又は分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常のものが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
各構成材料の混合及び/又は分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、振動ボールミル、コロイドミル、ペイントシェーカー超音波等を用いる常法が適用される。混合及び/又は分散は有機溶剤中で行われる。
下引層4を形成する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いられる。
乾燥は、通常、溶剤を蒸発させ、成膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性支持体2は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引層4を形成することが望ましい。
下引層4の膜厚は、望ましくは0.01μm以上30μm以下、より望ましくは0.05μm以上25μm以下である。
電荷発生層5は、電荷発生材料、さらには必要に応じて結着樹脂を含んで構成される。
電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛等の無機顔料等公知のものを使用してもよい。電荷発生材料としては、特に、380nm以上500nm以下の露光波長の光源を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料、三方晶セレン、ジブロモアントアントロン等が望ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報及び特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に望ましい。
また、上記のヒドロキシガリウムフタロシアニンの中でも特に、分光吸収スペクトルで、810nm以上839nm以下に吸収極大を有し、一次粒子径が0.10μm以下であり、且つ、BET法による比表面積値が45m2/g以上であるものが望ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択してもよい。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシランなどの有機光導電性ポリマーから選択してもよい。望ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
電荷発生層5は、電荷発生材料を蒸着により、又は電荷発生材料及び結着樹脂を含有する電荷発生層形成用塗布液により形成される。電荷発生層5を、電荷発生層形成用塗布液を用いて形成する場合、電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)は、10:1乃至1:10の範囲が望ましい。
電荷発生層形成用塗布液に、上記各構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いられる。この際、分散によって顔料の結晶型が変化しない条件が必要とされる。さらにこの分散の際、粒子を望ましくは0.5μm以下、より望ましくは0.3μm以下、さらに望ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
電荷発生層形成用塗布液を用いて電荷発生層5を形成する際には、塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いられる。
電荷発生層5の膜厚は、望ましくは0.1μm以上5μm以下、より望ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
電荷輸送層6は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して構成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。
また、電荷輸送材料としては、電荷移動度の観点から、下記一般式(a−1)、(a−2)又は(a−3)で示される化合物が望ましい。
上記式(a−1)中、R34は水素原子又はメチル基を示す。k10は1又は2を示す。また、Ar6及びAr7はそれぞれ独立に置換若しくは未置換のアリール基、−C6H4−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−C6H4−CH=CH−CH=C(Ar)2を示し、当該アリール基に置換し得る置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。また、R38、R39、R40はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arは置換もしくは未置換のアリール基を示す。
上記式(a−2)中、R35及びR35’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基又は炭素数1乃至5のアルコキシ基を示す。R36、R36’、R37及びR37’はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルコキシ基、炭素数1乃至2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)2を示す。R38、R39及びR40はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。Arは置換又は未置換のアリール基を示す。また、m4及びm5はそれぞれ独立に0乃至2の整数を示す。
上記式(a−3)中、R41は水素原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)2を示す。Arは、置換又は未置換のアリール基を示す。R42、R42’、R43、及びR43’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1乃至5のアルキル基、炭素数1乃至5のアルコキシ基、炭素数1乃至2のアルキル基で置換されたアミノ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。
電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いられる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1乃至1:5が望ましい。
また、高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いられる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、他の化合物に比べ、高い電荷輸送性を有しており、特に望ましいものである。
高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層6の構成材料として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層6には、無機粒子を含有させてもよい。無機粒子の材料としては、例えば、アルミナ、シリカ(二酸化珪素)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸銅、炭酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ニッケル、アンチモン、二酸化マンガン、酸化クロム、酸化錫、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化ホウ素、炭化タングステン、炭化ジルコニウムが挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2 種以上を選択して用いられる。これらの中でもシリカが望ましい。
シリカ粒子としては、化学炎CVD法により製造されるのが望ましく、具体例としてはクロルシランガスを酸素−水素混合ガス又は炭化水素−酸素混合ガスの火炎中で気相反応させてシリカ粒子を得る方法が望ましい。
また、無機粒子としては、粒子表面を疎水化されたものが望ましい。疎水化処理剤としては、例えば、シロキサン化合物、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高分子脂肪酸又はその金属塩等が用いられる。
シロキサン化合物としては、ポリジメチルシロキサン、ジヒドロキシポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、又、シランカップリング剤としては、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル) γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、無機粒子の一次粒径は0.005μm以上2.0μm以下が望ましく、0.01μm以上1.0μm以下がより望ましい。無機粒子の一次粒径が0.005μm未満であると、感光体表面の十分な機械的強度が得られ難くなる傾向があり、また、分散時の凝集が進みやすくなる傾向がある。他方、2μmを超えると、感光体表面粗さが大きくなりクリーニングブレードが摩耗、損傷してクリーニング特性が悪化し、画像ボケが発生し易くなる傾向がある。
無機粒子の含有量は、電荷輸送層6の固形分全量に対し、0.1質量%以上30質量%以下が望ましく、1質量%以上20質量%以下がより望ましい。無機粒子の含有量が1質量%未満では無機粒子の分散による改質効果が不十分となる傾向があり、他方、30質量%を越えると繰返し使用による残留電位の上昇が生じる傾向がある。
電荷輸送層6は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で或いは2種以上を混合して用いられる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いられる。
電荷輸送層6の膜厚は、望ましくは5μm以上50μm以下、より望ましくは10μm以上30μm以下である。
電荷輸送層6には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、又は光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加してもよい。なお、電荷輸送層6以外にも、これらの添加剤を添加してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
また、電荷輸送層6には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させてもよい。なお、電荷輸送層6以外にも、電子受容性物質を含有させてもよい。
電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に望ましい。
保護層7は、少なくとも硬化性樹脂と塩基性化合物を含む硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されている。
まず、塩基性化合物について説明する。塩基性化合物は、硬化性組成物に対する固形分濃度が0.05質量%以上2.0質量%であり、より望ましくは0.0.5質量%以上であり、さらに望ましくは0.5質量%以下0.1質量%以上である。上記塩基性化合物の固形分濃度が0.05質量%未満であると、電子写真感光体として用いた場合の潜像維持性が悪化し、2.0質量%を超えると、残留電位が上昇する傾向がある。
ここで、熱硬化性樹脂組成物中の塩基性化合物の固形分濃度は、以下の条件で測定する。
−条件−
・ヘッドスペースサンプラー:(HP7694、HP社製)
・測定機:(HP6890 series、HP社製)
・検出器:FID
・カラム:HP19091S−433、HP社製)
・試料加熱時間:10min
・Sprit Ratio:300:1
・流速:1.0ml/min
・カラム昇温設定:60℃(3min)、60℃/min、200℃(1min)
そして、具体的には、5.0mgの塩基性化合物溶液(メタノール溶媒)の測定を行い、塩基性化合物濃度とピーク面積の値から検量線を求める(0質量%から10質量%まで)。同質量の硬化性樹脂組成物を測定し、検量線から固形分濃度を算出する。硬化性樹脂組成物の測定結果の一例として示すと(図10参照)、硬化性樹脂にフェノール樹脂、塩基性化合物にトリエチルアミンを用いた場合に、リテンションタイムが2.35min、ピーク面積が741934であり、上記検量線から固形分濃度の値が1.6質量%となる。
また、塩基性化合物の固形分濃度の調整は、次のように行うことがよい。
1)硬化性樹脂を合成する際に用いられる塩基性化合物(触媒)の残留物を、減圧で留去させるか、酸で中和するか、シリカゲルなどの吸着剤や、イオン交換樹脂などと接触させることにより、当該塩基性化合物の一部を不活性化又は除去することで、その固形分濃度を調整する。
2)上記手法で、触媒としての塩基性化合物を完全に不活性化又は除去した後、新たに塩基性化合物を硬化性樹脂組成物に添加して、その固形分濃度を調整する。
3)硬化性樹脂を合成する際に用いられる塩基性化合物(触媒)以外の触媒を用いた場合、塩基性化合物を硬化性樹脂組成物に添加して、その固形分濃度を調整する。
塩基性化合物としては、アミン化合物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物、酢酸塩類等が挙げられる。
アミン化合物としては、1級化合物、2級化合物、又は3級アミン化合物が挙げられる。
1級アミン化合物としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ヘキシルアミン、2−エチルヘキシルアミン、セカンダリーブチルアミン、アリルアミン、メチルヘキシルアミン等が挙げられる。
2級アミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジヘキシルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、N−イソプロピル−N−イソブチルアミン、ジ(2−エチルヘキシル)アミン、ジセカンダリーブチルアミン、ジアリルアミン、N−メチルヘキシルアミン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、2,4−ルペチジン、2,6−ルペチジン、3,5−ルペチジン、モルホリン、N−メチルベンジルアミン等が挙げられる。
3級アミン化合物としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−t−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリ(2−エチルヘキシル)アミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアリルアミン、N−メチルジアリルアミン、トリアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,2−ジアミノエタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン、N−メチルピペリジン、ピリジン、4−エチルピリジン、N−ピロピルジアリルアミン、3−ジメチルアミノプロパノール、2−エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,4−ルチジン、2,5−ルチジン、3,4−ルチジン、3,5−ルチジン、2,4,6−コリジン、2−メチル−4−エチルピリジン、2−メチル−5−エチルピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N−エチル−3−ヒドロキシピペリジン、3−メチル−4−エチルピリジン、3−エチル−4−メチルピリジン、4−(5−ノニル)ピリジン、イミダゾール、N−メチルピペラジン等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物としては、例えば、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Mg(OH)2、Ba(OH)2等が挙げられる。
アルカリ金属又はアルカリ土類金属の酸化物としては、例えば、CaO、MgO等が挙げられる。
酢酸塩類としては、例えば、酢酸亜鉛、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
これら塩基性化合物の中も、アミン化合物が望ましく、特に3級アミン化合物(例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリヘキシルアミン、2,5−ルチジン、イミダゾール、N、N−ジメチルアリルアミン等)が望ましい。これらアミン化合物を用いると、アミン化合物以外の塩基性化合物を適用した場合に比べ、電子写真感光体における、耐久性と、電気的特性(残留電位の低減、及び潜像電位の維持)と、の両立が図れる。
また、特に、塩基性化合物としては、沸点が40℃以上130℃以下、より望ましくは50℃以上110℃以下、さらに望ましくは60℃以上90℃以下の塩基性化合物であることがよい。上記範囲の沸点を持つ塩基性化合物は、重合反応時に揮発し易いことから、その固形分濃度を上記範囲に調整し易く、当該上記範囲の沸点を持つ塩基性化合物を適用しない場合に比べ、電子写真感光体における、耐久性と、電気的特性(残留電位の低減、及び潜像電位の維持)と、の両立が図れる。
次に、硬化性樹脂について説明する。硬化性化合物は、加熱や光等により重合して高分子の網目構造を形成し、硬化してもとに戻らなくなる架橋性の樹脂である。硬化性樹脂としては、特に、熱硬化性樹脂が好適である。
熱硬化性樹脂としては、例えば、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド樹脂、硬化性アクリル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの熱硬化性樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ベンゾグアナミン化合物、又はメラミン樹脂が好適であり、特に、フェノール樹脂、又はメラミン樹脂が好適である。フェノール樹脂は塩基性化合物の固形分濃度が低すぎると潜像電位が維持され難い樹脂である一方、メラミン樹脂は塩基性化合物の固形分濃度が高すぎると残留電位が高くなり易い樹脂であることから、塩基性化合物の固形分濃度を上記範囲とすることで、これらが改善される。
ここで、熱硬化性樹脂を合成(重合)する際に用いる触媒としては、アルカリ触媒や、酸触媒のいずれでもよい。アルカリ触媒としては、上記塩基性化合物が挙げられる。一方、酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、リン酸等が挙げられる。
フェノール樹脂としては、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸又はアルカリ触媒下で反応させ、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類、トリメチロールフェノール類のモノマー、及びそれらの混合物、又はそれらをオリゴマー化されたもの、及びモノマーとオリゴマーの混合物を作製する。このうち、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子がオリゴマー、それ以下のものがモノマーである。
グアナミン樹脂は、グアナミン骨格(構造)を有する化合物であり、例えば、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン、ホルモグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、シクロヘキシルグアナミンなどが挙げられる。
グアナミン樹脂としては、特に下記一般式(A)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(A)で示される化合物は、一種単独で用いもよりが、2種以上を併用してもよい。特に、一般式(A)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
一般式(A)中、R1は、炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基、炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数4以上10以下の置換若しくは未置換の脂環式炭化水素基を示す。R2乃至R5は、それぞれ独立に水素、−CH2−OH、又は−CH2−O−R6を示す。R6は、水素、又は炭素数1以上10以下の直鎖状若しくは分鎖状のアルキル基を示す。
一般式(A)において、R1を示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上5以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。
一般式(A)中、R1を示すフェニル基は、炭素数6以上10以下であるが、より望ましくは6以上8以下である。当該フェニル基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R1を示す脂環式炭化水素基は、炭素数4以上10以下であるが、より望ましくは5以上8以下である。当該脂環式炭化水素基に置換される置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
一般式(A)中、R2乃至R5を示す「−CH2−O−R6」において、R6を示すアルキル基は、炭素数が1以上10以下であるが、望ましくは炭素数が1以下8以上であり、より望ましくは炭素数が1以上6以下である。また、当該アルキル基は、直鎖状であってもよし、分鎖状であってもよい。望ましくは、メチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(A)で示される化合物としては、特に望ましくは、R1が炭素数6以上10以下の置換若しくは未置換のフェニル基を示し、R2乃至R5がそれぞれ独立に−CH2−O−R6を示される化合物である。また、R6は、メチル基又はn−ブチル基から選ばれることが望ましい。
一般式(A)で示される化合物は、例えば、グアナミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成される。
以下、一般式(A)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
一般式(A)で示される化合物の市販品としては、例えば、”スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126”以上大日本インキ社製、”ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000”以上日本カーバイド社製、などが挙げられる。
また、一般式(A)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
メラミン樹脂としては、メラミン骨格(構造)であり、特に下記一般式(B)で示される化合物及びその多量体の少なくとも1種であることが望ましい。ここで、多量体は、一般式(A)と同様に、一般式(B)で示される化合物を構造単位として重合されたオリゴマーであり、その重合度は例えば2以上200以下(望ましくは2以上100以下)である。なお、一般式(B)で示される化合物又はその多量体は、一種単独で用いてもよいが、2種以上を併用してもよい。また、前記一般式(A)で示される化合物又はその多量体と併用してもよい。特に、一般式(B)で示される化合物は、2種以上混合して用いたり、それを構造単位とする多量体(オリゴマー)として用いたりすると、溶剤に対する溶解性が向上される。
一般式(B)中、R6乃至R11はそれぞれ独立に、水素原子、−CH2−OH、−CH2−O−R12を示し、R12は炭素数1以上5以下の分岐してもよいアルキル基を示す。当該アルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが挙げられる。
一般式(B)で示される化合物は、例えば、メラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページのメラミン樹脂と同様に合成される)で合成される。
以下、一般式(B)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限られるわけではない。また、以下の具体例は、単量体のものを示すが、これらを構造単位とする多量体(オリゴマー)であってもよい。
一般式(B)で示される化合物の市販品としては、例えば、スーパーメラミNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)、などが挙げられる。
また、一般式(B)で示される化合物(多量体を含む)は、合成後又は市販品の購入後、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
保護層7は、上記の構成材料に加えて、電気特性の改良のために導電性無機粒子、及び電荷輸送性有機化合物の少なくとも一方を更に含有することが望ましい。
導電性無機粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等が挙げられる。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は、保護層の透明性の点で0.3μm以下が望ましく、特には0.1μm以下が望ましい。また、上述した導電性無機粒子の中でも透明性の点で金属酸化物を用いることが特に望ましい。また、分散性のコントロールなどのために粒子の表面を処理することが望ましい。処理剤としては、シランカップリング剤、シリコーンオイル、シロキサン化合物、及び界面活性剤等が挙げられる。これらはフッ素原子を含有することが望ましい。
電荷輸送性有機化合物としては、硬化性樹脂と相溶するものが望ましく、さらに、用いる硬化性樹脂と化学結合を形成するものがより望ましい。
硬化性樹脂と化学結合を形成する反応性官能基を有する電荷輸送性有機化合物としては、下記一般式(I)、(II)、(III)(IV),(V)、(VI)、(VII)で示される化合物が、耐摩耗性及び電気特性の双方を更に向上させる観点から好適である。
一般式(I): F−((X1)n(R1)k−Z1H)m
一般式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導されるm価の有機基を表し、R1はアルキレン基を表し、Z1は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、mは1以上4以下の整数を示し、X1は、酸素原子又は硫黄原子を表し、nは0又は1を示し、kは0又は1を示す。
一般式(II): F−[(X2)n1−(R2)n2−(Z2)n3G]n4
一般式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導されるn4価の有機基を表し、X2は酸素原子又は硫黄原子を表し、R2はアルキレン基を表し、Z2は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、Gはエポキシ基を表し、n1、n2及びn3は各々独立に0又は1を表し、n4は1以上4以下の整数を表す。
一般式(III): F−[D−Si(R3)(3−a)Qa]b
一般式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導されるb価の有機基を表し、Dは可とう性を有する2価の連結基を表し、R3は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基(炭素数は1以上15以下が望ましく、1以上10以下がより望ましい)又は置換若しくは未置換のアリール基(炭素数は6以上20以下が望ましく、6以上15以下がより望ましい)を表し、Qは加水分解性基を表し、aは1以上3以下の整数を表し、bは1以上4以下の整数を表す。
一般式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn5価の有機基を表し、Tは2価の連結基を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表し、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、R7は1価の有機基を表し、m1は0又は1を表し、n5は1以上4以下の整数を表す。但し、R6とR7は互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
一般式(V)中、Fは正孔輸送性を有するn6価の有機基を表し、T2は2価の連結基を表し、R8は1価の有機基を表し、m2は0又は1を表し、n6は1以上4以下の整数を表す。
一般式(VI)中、Fは正孔輸送性を有するn7価の有機基を表し、Lはアルキレン基を表し、R9は1価の有機基を表す。また、n7は1以上4以下の整数を示す。
一般式(VII)中、Fは正孔輸送性を有するn8価の有機基を表し、T3は2価の連結基を表し、R10は水素原子又は1価の有機基を表し、m3は0又は1を表し、n8は1以上4以下の整数を表す。
また、上記一般式(I)乃至(VII)で示される電荷輸送材料のうち、さらに望ましいものとして、下記一般式(VIII)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
一般式(VIII)中、Ar1乃至Ar4は同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換又は未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、cは各々独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、D1は、下記一般式(IX)、(X),(XI),(XII)、(XIII)、(XIV)又は(XV)で示される1価の有機基を示し、cの総数は1以上4以下である。
一般式(IX): −(X1)n−(R1)k−Z1H
一般式(IX)中、X1は酸素原子又は硫黄原子を表し、R1はアルキレン基を表し、Z1は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、nは0又は1を示し、kは0又は1を表す。
一般式(X): −(X2)n1−(R2)n2−(Z2)n3G
一般式(X)中、X2は酸素原子又は硫黄原子を表し、R2はアルキレン基を表し、Z2は、酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを表し、Gはエポキシ基を表し、n1、n2及びn3は各々独立に0又は1を表す。
一般式(XI): −D−Si(R3)(3−a)Qa
式(XI)中、Dは可とう性を有する2価の連結基を表し、R3は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Qは加水分解性基を表し、aは1以上3以下の整数を示す。ここで、R3で表されるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していても未置換であってもよい。
一般式(XII)中、Tは2価の連結基を表し、Yは酸素原子又は硫黄原子を表し、R4、R5及びR6は各々独立に水素原子又は1価の有機基を表し、R7は1価の有機基を表し、m1は0又は1を表す。但し、R6とR7は互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
一般式(XIII)中、Tは2価の連結基を表し、R8は1価の有機基を表し、m2は0又は1を表す。
一般式(XIV)中、Lはアルキレン基を表し、R9は1価の有機基を表す。
一般式(XV)中、Tは2価の連結基を表し、R10は水素原子又は1価の有機基を表し、m3は0又は1を表す。
また、上記一般式(VIII)中のAr1乃至Ar4で示される置換又は未置換のアリール基としては、具体的には、下記式(1)乃至(7)に示されるアリール基が望ましい。
式(1)乃至(7)中、R9は水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7以上10以下のアラルキル基を示し、R10乃至R12はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基又はハロゲン原子を示し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を示し、D1は上記一般式(IX)乃至(XV)で表される構造のいずれかを示し、Z’は2価の連結基を表し、c及びsは各々独立に0又は1を示し、tは1以上3以下の整数を示す。
上記式(7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(8)又は(9)で示されるアリーレン基が望ましい。
式(8)、(9)中、R13及びR14は各々独立に、水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、又は未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、tは1以上3以下の整数を示す。
また、上記式(7)におけるZ’としては、下記式(10)乃至(17)で示される2価の基が望ましい。
式(10)乃至(17)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、又は未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、Wは2価の連結基を示し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を示し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を示す。
また、上記式(16)乃至(17)中、Wは下記式(18)乃至(26)で示される2価の連結基のうち、いずれかであることが望ましい。なお、式(25)中、uは0以上3以下の整数を示す。
また、上記一般式(VIII)におけるAr5の具体的構造としては、k=0の時は上記Ar1乃至Ar4の具体的構造におけるc=1の構造が、k=1の時は上記Ar1乃至Ar4の具体的構造として例示した(1)乃至(7)の構造に結合手を1つ加えたアリーレン基が挙げられる。
上記一般式(I)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(I−A)乃び特開2007−34255号公報における表5乃至表13に記載の化合物(I−1)乃至(I−37)が挙げられる。加えて、上記一般式(I)で示される化合物としては、下記化合物(I−A)も挙げられる。
また、上記一般式(II)で示される化合物としては、特開2007−34255号公報における表14乃至表27に記載の化合物(II−1)乃至(II−47)が挙げられる。
また、上記一般式(III)で示される化合物としては、特開2007−34255号公報における表28乃至表35に記載の化合物(III−1)乃至(III−61)が挙げられる。
また、上記一般式(IV)で示される化合物としては、特開2007−34255号公報における表36乃至表45に記載の化合物(IV−1)乃至(IV−40)が挙げられる。
また、上記一般式(V)で示される化合物としては、特開2007−34255号公報における表46乃至表55に記載の化合物(V−1)乃至(V−55)が挙げられる。
また、上記一般式(VI)で示される化合物としては、特開2007−34255号公報における表56乃至表59に記載の化合物(VI−1)乃至(VI−17)が挙げられる。
また、上記一般式(VII)で表される化合物としては、より具体的には、下記化合物(VII−1)乃至(VII−19)が挙げられる。なお、下記表中、Meはメチル基を、Etはエチル基を示す。また、結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を示す。
保護層7は、上記の構成材料に加えて、電気特性の改良のために導電性無機粒子を更に含有することが望ましい。
保護層7には、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長等の目的で種々の樹脂を用いてもよい。
当該目的の樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂が望ましい。
上記樹脂の重量平均分子量は2000乃至100000が望ましく、5000乃至50000がさらに望ましい。重量平均分子量は2000より小さいと所望の効果が得られなくなる傾向があり、100000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする傾向がある。添加量は1質量%以上40質量%以下が望ましく、さらに望ましくは1質量%以上30質量%以下であり、5質量%以上20質量%以下が最も望ましい。添加量が1質量%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40質量%よりも多くなると高温高湿下(例えば28℃、80%RH)での画像ボケが発生しやすくなる恐れがある。また、上記の樹脂は単独で用いてもよいが、それらを混合して用いてもよい。
保護層7には、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、各種粒子を添加してもよい。これら粒子は、1種単独で用いもよいし、2種以上併用してもよい。
粒子の一例として、ケイ素原子含有粒子が挙げられる。ケイ素原子含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、体積平均粒子径が望ましくは1nm以上100nm以下、より望ましくは10nm以上30nm以下であり、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、或いはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。硬化性樹脂組成物中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として望ましくは0.1質量%以上50質量%以下の範囲、より望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素原子含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、球状で、体積平均粒子径が望ましくは1nm以上500nm以下、より望ましくは10nm以上100nm以下であり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子及びシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用してもよい。
シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状が改善される。即ち、強固な架橋構造中にバラツキなく取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性が維持される。硬化性樹脂組成物中のシリコーン粒子の含有量は、硬化性樹脂組成物中の固形分全量を基準として望ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲であり、より望ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲である。
また、その他の粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される如く、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物が挙げられる。
また、粒子と同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加してもよい。
シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等が挙げられる。これらは、保護層形成用塗布液に予め添加してもよいし、感光体を作製後、減圧、或いは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、保護層7には、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用してもよい。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
また、保護層7には、ヒンダートフェノール、ヒンダートアミン、チオエーテル又はホスファイト部分構造を持つ酸化防止剤を添加することができ、環境変動時の電位安定性・画質の向上に効果的である。
酸化防止剤としては以下の如く化合物が挙げられる。例えば、ヒンダートフェノール系としては、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」以上住友化学社製、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」以上旭電化製、ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」以上三共ライフテック社製、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」以上アデカ・アーガス製、「スミライザーTPS」以上住友化学社製、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」以上住友化学社製、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」以上アデカ・アーガス製が挙げられ、特にヒンダートフェノール、ヒンダートアミン系酸化防止剤が望ましい。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
以上説明した保護層7は、上述した構成材料を含有する保護層形成用塗布液(硬化性樹脂組成物)を、例えば、下層(本実施形態では電荷輸送層6)上に塗布し、必要に応じて熱、酸などによる重合又は架橋によって、硬化させることで形成される。
保護層形成用塗布液には、その調製時に、触媒を添加してもよい。触媒としては、塩酸、酢酸、硫酸などの無機酸、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸などの有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミンなどのアルカリ触媒が用いることがよい。
保護層形成用塗布液は、無溶媒で調整するか、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の他、種々の溶媒が使用される。なお、電子写真感光体の生産に一般的に使用される浸漬塗布法を適用するためには、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が望ましい。また、使用される溶媒の沸点は50℃以上150℃以下のものが望ましく、それらを任意に混合して使用してもよい。
なお、溶剤としてアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が望ましいことから、使用される保護層7の形成に使用される電荷輸送材料としては、それらの溶剤に可溶であることが望ましい。
また、溶媒量は任意に設定されるが、少なすぎると構成材料が析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し望ましくは0.5質量部以上30質量部以下、より望ましくは1質量部以上20質量部以下とすることが望ましい。
保護層形成用塗布液を用いて保護層7を形成する際の塗布方法としては、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いてもよい。なお、塗布の際には1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚が得られる。複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
保護層形成用塗布液を硬化させる際の反応温度及び反応時間は特に制限されないが、形成される保護層7の機械的強度及び化学的安定性の点から、反応温度は望ましくは60℃以上、より望ましくは80℃以上200℃以下であり、反応時間は望ましくは10分以上5時間以下である。また、硬化性樹脂組成物の硬化により得られる保護層7を高湿度状態に保つことは、保護層7の特性の安定化を図る上で有効である。さらには、用途に応じてヘキサメチルジシラザンやトリメチルクロロシランなどを用いて保護層7に表面処理を施して疎水化してもよい。
保護層7の膜厚は、0.5μm以上15μm以下が望ましく、1μm以上10μm以下がより望ましく、1μm以上5μm以下がさらに望ましい。
以上、本実施形態に係る電子写真感光体の好適な一例について説明したが、上記のものに限定されるものではない。例えば、本実施形態に係る電子写真感光体において、下引層4は必ずしも設けられなくともよい。
また、図1に示した電子写真感光体1は、上記所定の組成物の硬化物からなる保護層7を備えるものであるが、当該硬化物は優れた機械強度を有する上に光電特性も高いため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層として用いてもよい。この電子写真感光体の一例を図2に示す。図2に示す電子写真感光体1は導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5及び電荷輸送層6が順次積層された構造を有するもので、電荷輸送層6が上記硬化物で構成された最表面層となる。なお、導電性支持体2上に下引層4、電荷発生層5は図1に示した電子写真感光体の場合と同様である(以下、同様である)。
また、電荷発生層5と電荷輸送層6との積層の順序は上記実施形態の場合と逆であってもよい。この電子写真感光体の一例を図3に示す。図3に示した電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、電荷輸送層6、電荷発生層5及び保護層7が順次積層された構造を有するもので、保護層7が上記硬化物からなる最表面層となる。
また、図1に示した電子写真感光体1は、機能分離型感光体であるが、電荷発生物質及び電荷輸送性物質の双方を含む層(電荷発生/電荷輸送層:以下、単層型感光層と称する)を備えるものであってもよい。単層型感光層を備える電子写真感光体の例を図4及び図5に示す。
図4に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4及び単層型感光層8が順次積層された構造を有するもので、単層型感光層が上記硬化物で構成された最表面層である。この単層型感光層8は、保護層7で説明した構成に加え、電荷発生物質、必要に応じて硬化性樹脂以外の結着樹脂及び他の添加剤等を配合した塗布液を用いて形成してもよい。電荷発生物質としては機能分離型感光層における電荷発生層に使用されるものと同様のものを、硬化性樹脂以外の結着樹脂としてはポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂などを用いてもよい。単層型感光層8中の電荷発生物質の含有量は、単層型感光層8における固形分全量に対して望ましくは10質量%以上85質量%以下、より望ましくは20質量%以上50質量%以下である。単層型感光層8には、光電特性を改善する等の目的で他の電荷輸送材料や他の高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は単層型感光層8における固形分全量に対して5質量%以上50質量%以下とすることが望ましい。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いてもよい。単層型感光層8の膜厚は、5μm以上50μm以下程度が望ましく、10μm以上40μm以下とすることがさらに望ましい。
また、図5に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、単層型感光層8及び保護層7が順次積層された構造を有するもので、保護層7が上記硬化物で構成された表面層である。
(画像形成装置及びプロセスカートリッジ)
図6は、実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図6に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、上述した本実施形態に係る電子写真感光体1を備えるプロセスカートリッジ20と、露光装置30と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその少なくとも一部が電子写真感光体1に接触するように配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に電子写真感光体1とともに帯電装置21、現像装置25、クリーニング装置27及び繊維状部材(平ブラシ状)29を、組み合わせて一体化したものである。なお、一体化したものを収納するケースには、露光のための開口部が設けられている。
ここで、帯電装置21は、電子写感光体1を接触方式により帯電させるものである。また、現像装置25は、電子写真感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
以下、現像装置25に使用されるトナーについて説明する。かかるトナーとしては、平均形状係数(ML2/A×π/4×100、ここでMLはトナー粒子の最大長を表し、Aはトナー粒子の投影面積を表す)が100以上150以下であることが望ましく、100以上140以下であることがより望ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が2μm以上12μm以下であることが望ましく、3μm以上12μm以下であることがより望ましく、3μm以上9μm以下であることがさらに望ましい。この如く平均形状係数及び体積平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、他のトナーと比べ、高い現像、転写性、及び高画質の画像が得られる。
トナーは、上記平均形状係数及び体積平均粒子径を満足する範囲のものであれば特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用してもよい。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が望ましく、乳化重合凝集法が特に望ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤からなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等が挙げられる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示される。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示される。
また、帯電制御剤としては、公知のものが使用されるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤が用いられ得る。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが望ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置25に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造される。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
現像装置25に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等の如く脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等の如く植物系ワックス、ミツロウの如く動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の如く鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用される。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用される。但し、体積平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が望ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は望ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より望ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置25に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機粒子、有機粒子、該有機粒子に無機粒子を付着させた複合粒子等を加えてもよい。
無機粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも望ましく使用される。
有機粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等が挙げられる。
粒子径としては、体積平均平均粒子径で望ましくは5nm以上1000nm以下、より望ましくは5nm以上800nm以下、さらに望ましくは5nm以上700nm以下でのものが使用される。体積平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが望ましい。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが望ましい。これらの無機酸化物粒子は公知のものを使用してもよいが、精密な帯電制御を行なう為にはシリカと酸化チタンを併用することが望ましい。また、小径無機粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために望ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、任意に設定される。
クリーニング装置27は、繊維状部材(ロール形状)27aと、クリーニングブレード(ブレード部材)27bとを備える。
クリーニング装置27は、繊維状部材27a及びクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状(平ブラシ状)としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに感光体軸方向にオシレーション可能に支持されていてもよい。繊維状部材27aとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリル等や、トレシー(東レ社製)等の極細繊維からなる布状のもの、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を基材状又は絨毯状に植毛したブラシ状のもの等が挙げられる。また、繊維状部材27aとしては、上述したものに、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部又は外部に導電層が形成されたもの等を用いてもよい。導電性を付与した場合、その抵抗値としては繊維単体で102Ω以上109Ω以下のものが望ましい。また、繊維状部材27aの繊維の太さは、望ましくは30d(デニール)以下、より望ましくは20d以下であり、繊維の密度は望ましくは2万本/inch2以上、より望ましくは3万本/inch2以上である。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められる。この目的を長期に渡って達成すると共にクリーニング部材の機能を安定化させるために、クリーニング部材には、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を供給することが望ましい。
例えば、繊維状部材27aとしてロール状のものを用いる場合、金属石鹸、ワックス等の潤滑性物質と接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが望ましい。クリーニングブレード27bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。このようにクリーニングブレード27bとしてゴムブレードを使用する場合には、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することは、ブレードの欠けや磨耗を抑制することに特に効果的である。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザを用いることが望ましい。
転写装置40としては、電子写真感光体1上のトナー像を被転写媒体(中間転写体50)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものが用いられる。なお、この中間転写体を備えていない直接転写方式の画像形成装置もあるが、本実施形態に係る電子写真感光体はこの如く画像形成装置に好適である。
なお、被転写媒体とは、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体1から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図7は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図7に示す画像形成装置110は、電子写真感光体1が画像形成装置本体に固定され、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。なお、帯電装置22は、コロナ放電方式により帯電させる帯電装置を備えている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体1とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27が画像形成装置本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能である。
本実施形態に係る電子写真感光体は耐久性に優れるため、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置22、現像装置25又はクリーニング装置27をそれぞれ本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能な構成とすることで、1プリント当りの部材コストが低減される。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱可能とすることもでき、それにより1プリント当りの部材コストがさらに低減される。
なお、画像形成装置110は、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図8は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用される構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
タンデム方式の画像形成装置120では、各色の使用割合により各電子写真感光体の磨耗量が異なってくるために、各電子写真感光体の電気特性が異なってくる傾向がある。これに伴い、トナー現像特性が初期の状態から除々に変化してプリント画像の色合いが変化し、安定な画像を得ることができなくなる傾向にある。特に、画像形成装置を小型化するために、小径の電子写真感光体が使用される傾向にあり、30mmφ以下のものを用いたときにはこの傾向が顕著になる。ここで、電子写真感光体に、本実施形態に係る電子写真感光体の構成を採用すると、その直径を30mmφ以下とした場合にもその表面の磨耗が抑制される。したがって、本実施形態に係る電子写真感光体は、タンデム方式の画像形成装置に対して特に有効である。
図9は、他の実施形態に係る画像形成装置を示す模式図である。図9に示した画像形成装置130は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、所謂4サイクル方式の画像形成装置である。画像形成装置130は、駆動装置(図示せず)により所定の回転速度で図中の矢印Aの方向に回転される感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の上方には、感光体ドラム1の外周面を帯電させる帯電装置22が設けられている。
また、帯電装置22の上方には面発光レーザアレイを露光光源として備える露光装置30が配置されている。露光装置30は、光源から射出される複数本のレーザービームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム1の外周面上を感光体ドラム1の軸線と平行に走査させる。これにより、帯電した感光体ドラム1の外周面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム1の側方には現像装置25が配置されている。現像装置25は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器25Y,25M,25C,25Kが設けられている。現像器25Y,25M,25C,25Kは各々現像ローラ26を備え、内部に各々イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),黒(K)の色のトナーを貯留している。
画像形成装置130でのフルカラーの画像の形成は、感光体ドラム1が4回画像形成することにより行われる。すなわち、感光体ドラム1が4回画像形成する間、帯電装置22は感光体ドラム1の外周面の帯電、露光装置30は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザビームを感光体ドラム1の外周面上で走査させることを、感光体ドラム1が1回画像形成する毎にレーザビームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また現像装置25は、現像器25Y,25M,25C,25Kの何れかの現像ローラ26が感光体ドラム1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム1が1画像形成する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。これにより、感光体ドラム1が1画像形成転する毎に、感光体ドラム1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が順次形成されることになる。
また、感光体ドラム1の下方には無端の中間転写ベルト50が配設されている。中間転写ベルト50はローラ51,53,55に巻掛けられており、外周面が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置されている。ローラ51,53,55は図示しないモータの駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト50を図中矢印B方向に回転させる。
中間転写ベルト50を挟んで感光体ドラム1の反対側には転写装置(転写器)40が配置されており、感光体ドラム1の外周面上に順次形成されたY,M,C,Kのトナー像は1色づつ転写装置40によって中間転写ベルト50の画像形成面に転写され、最終的には、Y,M,C,K全ての画像が中間転写ベルト50上に積層される。
また、感光体ドラム1を挟んで現像装置25の反対側には、感光体ドラム1の外周面に潤滑剤供給装置29及びクリーニング装置27が配置されている。感光体ドラム1の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト50に転写されると、潤滑剤供給装置29により感光体ドラム1の外周面に潤滑剤が供給され、当該外周面のうち転写されたトナー像を保持していた領域がクリーニング装置27により清浄化される。
中間転写ベルト50よりも下方側には給紙装置60が配置されており、給紙装置60内には記録材料としての用紙Pが多数枚積層された状態で収容されている。給紙装置60の左斜め上方には取り出しローラ61が配置されており、取り出しローラ61による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対63、ローラ65が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラ61が回転されることにより給紙装置60から取り出され、ローラ対63、ローラ65によって搬送される。
また、中間転写ベルト50を挟んでローラ55の反対側には転写装置42が配置されている。ローラ対63、ローラ65によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト50と転写器42の間に送り込まれ、中間転写ベルト50の画像形成面に形成されたトナー像が転写装置42によって転写される。転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着装置44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着装置44によって溶融定着された後に画像形成装置130の機体外へ排出され、排紙受け(図示せず)上に載る。
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例によって何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(合成例1)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、メラミン(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。次いで、メタノール100g、水100gを添加し、分液ロートでメタノール部を分離後、減圧下で溶剤及びメタノールを留去し、メラミン樹脂(Me−1)を得た。
次に、下記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、メラミン樹脂(Me−1)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を得た。
(合成例2)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、メラミン(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリヘキシルアミン(東京化成社製、沸点 291℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。その後、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ローム・アンド・ハース社製)を0.3質量部混合し、攪拌することにより30分、塩基性化合物との交換反応を行った。さらに、陽イオン交換樹脂を濾過分離後、減圧下で溶剤を留去し、メラミン樹脂(Me−2)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、メラミン樹脂(Me−2)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−2)を得た。
(合成例3)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、メラミン(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、イソブチルアミン(純正化学社製、沸点 70℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。次いで、減圧下で溶剤を留去し、メラミン樹脂(Me−3)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、メラミン樹脂(Me−3)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−3)を得た。
(合成例4)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、フェノール(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。次いで、メタノール100g、水100gを添加し、分液ロートでメタノール部を分離後、減圧下で溶剤及びメタノールを留去し、フェノール樹脂(Ph−1)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、フェノール樹脂(Ph−1)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−4)を得た。
(合成例5)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、尿素(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。次いで、メタノール100g、水100gを添加し、分液ロートでメタノール部を分離後、減圧下で溶剤及びメタノールを留去し、ユリア樹脂(Ur−1)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、ユリア樹脂(Ur−1)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−4)を得た。
(合成例6)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、メラミン(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。次いで、減圧下で溶剤を留去し、メラミン樹脂(Me−4)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、メラミン樹脂(Me−4)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−6)を得た。
(合成例7)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、メラミン(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。その後、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ローム・アンド・ハース社製)を0.3質量部混合し、攪拌することにより30分、塩基性化合物との交換反応を行った。さらに、陽イオン交換樹脂を濾過分離後、減圧下で溶剤を留去し、メラミン樹脂(Me−5)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、メラミン樹脂(Me−5)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−7)を得た。
(合成例8)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、フェノール(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。次いで、減圧下で溶剤を留去し、フェノール樹脂(Ph−2)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、フェノール樹脂(Ph−2)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−8)を得た。
(合成例9)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、フェノール(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。その後、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ローム・アンド・ハース社製)を0.3質量部混合し、攪拌することにより30分、塩基性化合物との交換反応を行った。さらに、陽イオン交換樹脂を濾過分離後、減圧下で溶剤を留去し、フェノール樹脂(Ph−3)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、フェノール樹脂(Ph−3)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−9)を得た。
(合成例10)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、尿素(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。次いで、減圧下で溶剤を留去し、ユリア樹脂(Ur−2)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、ユリア樹脂(Ur−2)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−10)を得た。
(合成例11)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、尿素(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。その後、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ローム・アンド・ハース社製)を0.3質量部混合し、攪拌することにより30分、塩基性化合物との交換反応を行った。さらに、陽イオン交換樹脂を濾過分離後、減圧下で溶剤を留去し、ユリア樹脂(Ur−3)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、及び、ユリア樹脂(Ur−3)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−11)を得た。
(合成例12)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、フェノール(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン(東京化成社製、沸点 88℃)40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。その後、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ローム・アンド・ハース社製)を0.3質量部混合し、攪拌することにより30分、塩基性化合物との交換反応を行った。さらに、陽イオン交換樹脂を濾過分離後、減圧下で溶剤を留去し、フェノール樹脂(Ph−4)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、トリエチルアミン0.021質量部、及び、フェノール樹脂(Ph−4)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−12)を得た。
(合成例13)
ジムロート、窒素導入管及び攪拌機を設置した三口フラスコに、メラミン(和光純薬社製)200g、ホルマリン(和光純薬社製)344.8g、トリエチルアミン40gを入れ、80℃ にて5時間加熱攪拌した。その後、陽イオン交換樹脂(アンバーリスト15E、ローム・アンド・ハース社製)を0.3質量部混合し、攪拌することにより30分、塩基性化合物との交換反応を行った。さらに、陽イオン交換樹脂を濾過分離後、減圧下で溶剤を留去し、メラミン樹脂(Me−6)を得た。
次に、上記化合物(I−1)を3質量部、ブチルアルコールを13質量部、p−トルエンスルホン酸0.045質量部、トリエチルホスフィン(10wt% in hexane、和光純薬工業社製、沸点 113℃)0.21質量部、及び、メラミン樹脂(Me−6)4質量部を加えて、熱硬化性樹脂組成物(Re−13)を得た。
(熱硬化性樹脂組成物における塩基性化合物の固形分濃度の測定)
得えられた各熱硬化性樹脂組成物について、塩基性化合物の固形分濃度を測定した。具体的には、10μlをサンプル瓶に密栓し、ガスクロマトグラフィー測定器(ヒューレッドパカード社製)を用い、上述した測定条件及び手法に則り、測定を行い、検量線から当該熱硬化性樹脂組成物の塩基性化合物の固形分濃度(含有量)を得た。その結果を表1に示す。
(実施例1)
円筒状のアルミニウム基材をセンタレス研磨装置により研磨し、表面粗さをRz=0.6μmとした。このセンタレス研磨処理が施されたアルミニウム基材を洗浄するために、脱脂処理、2質量%水酸化ナトリウム溶液で1分間エッチング処理、中和処理、及び純水洗浄をこの順に行った。次に、アルミニウム基材に対して、10質量%硫酸溶液により基材表面に陽極酸化膜(電流密度1.0A/dm2)を形成した。水洗後、80℃の1質量%酢酸ニッケル溶液に25分間浸漬して封孔処理を行った。更に、純水洗浄、乾燥処理を行った。このようにして、表面に約7.5μmの陽極酸化膜が形成されたアルミニウム基材を得た。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、27.2°に強い回折ピークを持つチタニルフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部、及び、酢酸n−ブチル100質量部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散させ、電荷発生層形成用塗布液を得た。得られた塗布液を、上記アルミニウム基材上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記(CT−1)で表わされるベンジジン化合物2質量部、及び、下記(B−1)で表わされる構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)2.5質量部をクロロベンゼン25質量部に溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
得られた塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、130℃で40分間の加熱を行なって、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
次に、熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を、上記電荷輸送層上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で5分風乾した後、150℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約3μmの保護層(最表面層)を形成した。これにより、電子写真感光体の作製を完了した。
(実施例2)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−2)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(実施例3)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−3)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(実施例4)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−4)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(実施例5)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−5)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(実施例6)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−12)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(実施例7)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−13)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−6)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−7)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−8)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(比較例4)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−9)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(比較例5)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−10)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(比較例6)
実施例1において用いた熱硬化性樹脂組成物(Re−1)を上記熱硬化性樹脂組成物(Re−11)に変更した以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(比較例7)
実施例1において、電荷輸送層の膜厚を23μmとし、保護層の形成工程を省いた以外は、同様の方法により電子写真感光体を作製した。
(残留電位、残留電位の変動量測定)
各実施例及び各比較例の電子写真感光体について、低温低湿(10℃、15%RH)下で、下記工程(A)乃至(C)を行った。
(A):グリッド印加電圧−700Vのスコロトロン帯電器で電子写真感光体を帯電させる帯電工程、
(B):工程(A)の1秒後に波長780nmの半導体レーザーを用いて10.0erg/cm2の光を照射する露光工程、
(C):工程(A)の3秒後に50.0erg/cm2の赤色LED光を照射する除電工程。
このとき、レーザープリンター改造スキャナー(富士ゼロックス社製XP−15を改造したもの)を用いて、工程(A)及び工程(B)を100kcycle繰り返し、1kcycle時に工程(C)を行った際の電位(VRP)と、100kcycle時に工程(C)を行った際の残留電位(VRP)とから、残留電位の変動量ΔVRPを求めた。この変動量ΔVRPに基づいて、電子写真感光体の繰り返し安定性を以下の評価基準に基づいて評価した。その結果を表2に示す。
A:ΔVRPが10V以内(問題なし)
B:ΔVRPが20V以内(実用上問題なし)
C:ΔVRPが30V以内(長期使用で問題になる可能性が高い)
D:ΔVRPが30V以上(実用上問題になる)
(潜像維持性試験)
各実施例及び各比較例の電子写真感光体について、室温下(20℃、50%RH)で静電潜像測定装置(自社製、特開2006−276055号公報記載)を用いて、潜像維持時間を求めた。
・検出器:微小面積表面電位計(CATE_88H7、GENE−TECH社)
・測定ピッチ(測定位置):60μm(32pulse/turn)
・測定ピッチ(測定時間):1sec
・測定用レーザースポット径:Φ10μm
・測定用レーザー照射時間:1000μsec
・書込用レーザーライン間隔:1354μm
・書込用レーザースポット径:Φ90μm
具体的には、潜像維持時間は、書込みから350secまでの測定により得られる、横軸に測定時間又は測定位置、縦軸に検出電位をとったグラフにおいて、静電潜像維持性が良好である場合には、正規分布で近似できるピークの半値全幅が300μm以下のピークが検出される。しかしながら、静電潜像維持性が不良である場合には、潜像書込みから潜像測定までの時間が長くなるにつれ、上記半値全幅が大きく広がっていく。そして、潜像維持時間は、上記半値全幅が1000μmを超える時間を計測する。評価基準は以下の通りである。結果を表2に示す。
A:潜像維持時間が300sec以上(問題なし)
B:潜像維持時間が100sec以上、300sec未満(実用上問題なし)
C:潜像維持時間が50sec以上、100sec未満(実用上やや問題になる)
D:潜像維持時間が50sec未満(実用上問題になる)
(画質評価)
各実施例及び比較例の電子写真感光体を、中間転写体、ブレード部材、繊維状クリーニング部材、及び、潤滑性材料供給部材を備えた富士ゼロックス社製プリンターDocu Centre color 500に搭載し、画像形成装置を作製した。この画像形成装置を用い、低温低湿下(10℃ 、15%RH)の環境下で、普通紙(富士ゼロックス社製、C2紙)に図11に示すパターンの画像を形成し、以下の評価基準に基づいてゴースト画質評価を行った。また、画像のゴーストは図11に示すパターンのベタ黒のパッチが電子写真感光体の次の周のハーフトーン上に周りよりも高濃度又は低濃度の画質として現れるため、その濃度差により評価を行った。さらに、同条件下で、ハーフトーン画像(黒の50%)を形成し、以下の評価基準に基づいて解像度を評価した。
また、ノーペーパーモードにて低温低湿下(10℃ 、15%RH)の環境下で5000枚分の画像形成テスト(画像濃度約5%)を行った後、ハーフトーン画像(黒の50%)を形成し、以下の評価基準に基づいて画像濃度低下を評価した。
また、高温高湿(30℃、75%RH)の環境下で、画像形成テスト(画像濃度50%のハーフトーン画像、A3プリント枚数5万枚)を終了後、渦電流式膜厚測定装置を用いて、画像形成テスト前後の感光層膜厚を測定し、その変化量から、感光体の摩耗量を評価した。
なお、電子写真感光体に突起状故障やスジ状ハガレ故障等の欠陥がある場合、画質は、これらの欠陥がない場所で評価した。その結果を表2に示す。
−ゴースト−
◎:濃度差が確認できない。
○:濃度差が若干確認できるが、実用上問題にならない。
△:濃度差が確認でき、実用上やや問題になる。
×:濃度差が明確に確認でき、実用上問題になる。
−解像度−
◎:ドットの拡大が確認できない。
○:ドットの拡大が若干確認できるが、実用上問題にならない。
△:ドットの拡大が確認でき、実用上やや問題になる。
×:ドットの拡大が明確に確認でき、実用上問題になる。
−画像濃度低下−
◎:濃度低下が確認できない。
○:濃度低下が若干確認できるが、実用上問題にならない。
△:濃度低下が確認でき、実用上やや問題になる。
×:濃度低下が明確に確認でき、実用上問題になる。
上記結果から、本実施例は、比較例に比べ、残像電位の増加、及び潜像電位の低減が抑制され、ゴースト、解像度の低下、及び画像濃度低下の発生がされることがわかる。