JP2007057840A - 電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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Kazuyuki Nakamura
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Abstract

【課題】 機械的強度に十分優れるとともに、長期使用された場合であっても剥がれの発生を十分防止でき、長期に亘って高品質の画像を形成できる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供すること。
【解決手段】 上記課題を解決する電子写真感光体は、導電性支持体及び該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体であって、感光層が、導電性支持体から最も遠い側に、架橋構造を有するフェノール樹脂を含むフェノール樹脂含有層を備え、フェノール樹脂含有層が、フェノール樹脂含有層を研磨することによって形成された被研磨領域を有していることを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電子写真感光体、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、電子写真感光体(以下、場合により「感光体」という)を用いて帯電、露光、現像、転写、クリーニング等の工程を順次行う装置が広く知られている。このような画像形成装置の分野では、近時、装置の高画質化及び長寿命化に対する要求が高まりつつあり、かかる要求に応えるべく各部材、システムの改善が検討されている。
例えば、画像書き込みに使用される感光体は帯電やクリーニング等の際にストレスを受けやすく、感光体表面に傷や磨耗が発生すると画像欠陥の原因となる。そこで、感光体の表面にフェノール樹脂を架橋させてなる保護層を設け、感光体の機械的強度を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1および2を参照)。
特開2002−82469号公報 特開2003−186234号公報
しかしながら、上記の方法により感光体の傷や磨耗の発生を抑制できたとしても、画像形成装置の使用期間が長期に及ぶと画質が低下することがあり、実用上十分な高画質化及び長寿命化を達成することができない。
本発明者らの検討によると、上述の画質低下の要因の一つが感光体表面に発生する剥がれにあることが判明した。より具体的には、感光体の保護層として設けられたフェノール樹脂架橋膜がクリーニングブレードなどによって繰り返しストレスを受けると、スジ状に剥がれる場合があることが判明した。
機械的強度に優れるフェノール樹脂を感光体の構成材料として使用することは、画像形成装置の高画質化及び長寿命化を実現する上で有効であると期待されているが、剥がれの防止については未だ十分な検討がなされていないのが実情である。
そこで、本発明は、上記実情を鑑み、機械的強度に十分優れるとともに、長期使用された場合であっても剥がれの発生を十分防止でき、長期に亘って高品質の画像を形成できる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の電子写真感光体は、導電性支持体及び該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体であって、感光層が、導電性支持体から最も遠い側に、架橋構造を有するフェノール樹脂を含むフェノール樹脂含有層を備え、フェノール樹脂含有層が、フェノール樹脂含有層を研磨することによって形成された被研磨領域を有していることを特徴とする。
本発明の電子写真感光体によれば、上記構成を有することにより、機械的強度に十分優れるとともに長期使用された場合であっても剥がれの発生が十分抑制され、長期に亘って高品質の画像を形成することができる。
上記従来の感光体に剥がれが発生する要因について、本発明者らが検討したところ、フェノール樹脂を架橋させて形成した膜には突起状の欠陥が生じやすく、この突起状欠陥が起点となりスジ状の剥がれが起こることが判明している。したがって、本発明の電子写真感光体が剥がれの発生を十分防止できる理由としては、上記フェノール樹脂含有層を研磨することにより上述の突起状欠陥が被研磨領域(研磨痕)へと変換されたためと考えられる。
また、通常、感光体を構成する保護層などの機能層は膜厚数十μm以下の薄膜であり、樹脂をマトリックスとする薄膜に対して研磨加工を施すと、機能層が著しく損傷して電子写真特性への影響が避けられない。これに対して、本発明の電子写真感光体は、最外層が機械的強度に優れるフェノール樹脂含有層であるため、研磨によって良好な部分を損傷させることなく突起状欠陥のみを被研磨領域へと変換できる。これにより、機械的強度、剥がれの防止性及び電子写真特性のすべてが両立可能となり、長期に亘って高品質の画像を形成できたものと推察される。
さらに、本発明の電子写真感光体によれば、クリーニング不良を十分防止できるとともに、高温高湿条件においても高品質の画像を形成することができる。これは、研磨によって上述の突起状欠陥が被研磨領域へと変換されるとともに、形成された被研磨領域によって感光体表面に適度な表面粗さが付与されるためと考えられる。すなわち、突起状欠陥が十分に除去されていることにより、クリーニングブレードへのダメージを低減でき、欠落した突起状欠陥によって感光体表面が傷つけられる虞も低減できる。また、適度な表面粗さの付与によって、クリーニングブレードと感光体とが密着しすぎてクリーニングブレードの挙動が不安定になること(特に、低温低湿環境下において不安定になること)を防止できる。そして、優れたクリーニング性が長期に亘って維持されることによって、付着物(放電生成物等)の堆積が抑制され、高温高湿条件においても高品質の画像が形成可能となるものと考えられる。したがって、本発明の電子写真感光体によれば、厳しい環境下においても高品質の画像形成が可能な画像形成装置を実現できる。
本発明の電子写真感光体において、上記被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層の膜厚差が0.2〜2μmであることが好ましい。
ここで、250μm×250μmの上記領域は以下のようにして定めればよい。すなわち、上記フェノール樹脂含有層表面の被研磨領域を確認し、この被研磨領域が中央に位置するように250μm×250μmの範囲を定めればよい。なお、複数の被研磨領域が互いに近い位置にある場合や被研磨領域の最大径が250μmを超えるような場合、250μm×250μmの領域は、かかる領域に含まれる被研磨領域の面積が最大となるように定める。
上記膜厚差が0.2μm未満であると、クリーングブレードと感光体との密着性が高くなり、摩擦抵抗が増加することによりクリーニングブレードの部分的な磨耗が発生しやすくなる傾向にある。一方、膜厚差が2μmを超えると、クリーニングブレードの欠けが発生しやすくなり、トナーのクリーング性が低下する傾向にある。
また、上記被研磨領域におけるフェノール樹脂含有層の算術平均粗さ(Ra)が0.01〜0.03μmであること好ましい。
また、上記Raが、0.01μm未満であると、クリーニングブレードと感光体との密着性が部分的に高くなり、クリーニングブレードの挙動が安定せず、特に低温低湿環境下においてクリーニング不良が発生しやすくなる傾向にある。一方、上記Raが、0.03μmを超えると、被研磨領域にトナーの外添剤等が付着するトナーフィルミング等の問題が発生しやすくなる傾向にある。
本発明の電子写真感光体においては、上記膜厚差が0.2〜2μmであり、且つ、上記Raが0.01〜0.03μmであることが好ましい。これにより、剥がれの発生をより確実に防止できるとともに優れたクリーニング性及び付着物防止性を得ることができ、高画質化及び長寿命化をさらに高水準で達成できる画像形成装置が実現可能となる。
本発明の電子写真感光体においては、剥がれの防止効果、クリーニング性及び付着物防止性を更に向上させる観点から、上記被研磨領域の最大径が50〜200μmの範囲にあることが好ましい。
また、クリーニング性及び付着物防止性を更に向上させる観点から、上記被研磨領域における算術平均粗さRaが0.02〜0.03μmの範囲にあることが好ましい。
本発明の電子写真感光体においては、上記フェノール樹脂含有層が、メチロール基を有するフェノール誘導体と反応性官能基を有する電荷輸送性物質とを含んで構成されるフェノール樹脂を含むことが好ましい。これにより、高画質化及び長寿命化をさらに高水準で達成できる。このような効果が得られる理由としては、上記のフェノール誘導体と電荷輸送性物質とを用いてフェノール樹脂含有層を形成した場合、フェノール樹脂の架橋構造の中に上記電荷輸送性物質が化学的に結合されることにより、形成されるフェノール樹脂含有層の機械的強度及び電気特性の双方がより一層高められ、さらには、研磨によって突起状欠陥に起因する微小な電気特性のムラが低減されることで、画質欠陥が極めて発生しにくくなっているためと推察される。
また、上記電荷輸送性物質が、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カーボネート基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種の官能基を有することが好ましい。
さらに、上記電荷輸送性物質が、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)で示される化合物であることが好ましい。
F[−(X−R−ZH] …(I)
ここで、式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Xは酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基を、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、nは0又は1を、mは1〜4の整数を示す。
F[−(Xn1−(Rn2−(Zn3G]n4 …(II)
ここで、式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Xは酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基を、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、Gはエポキシ基を、n1、n2及びn3はそれぞれ独立に0又は1を、n4は1〜4の整数を示す。
F[−D−Si(R(3-a) …(III)
ここで、式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Dは可とう性を有する2価の基を、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、aは1〜3の整数を、bは1〜4の整数を示す。
Figure 2007057840


ここで、式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn5価の有機基を、Tは2価の基を、Yは酸素原子又は硫黄原子を、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を、Rは1価の有機基を、m1は0又は1を、n5は1〜4の整数を、それぞれ示す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
Figure 2007057840


ここで、式(V)中、Fは正孔輸送性を有するn6価の有機基を、Tは2価の基を、Rは1価の有機基を、m2は0又は1を、n6は1〜4の整数を、それぞれ示す。
上記フェノール樹脂含有層が、上記一般式(I)〜(V)で表される化合物のうちの少なくとも1種の化合物を含むことにより、高画質化及び長寿命化をさらに高水準で達成できる。このような効果が得られる理由としては、フェノール樹脂の架橋構造に上記の化合物が組み込まれることによって、フェノール樹脂含有層の機械的強度及び電気特性がより一層高められるとともに、被研磨領域とその他の領域とで電気特性の差がより一層生じにくくなるためと考えられる。
本発明の電子写真感光体において、上記フェノール樹脂含有層が、酸化防止剤をさらに含有することが好ましい。これにより、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、又は光、熱による感光体の劣化を抑制でき、クリーニング手段によって感光体表面から汚染物質を除去することがさらに容易となる。
また、上記フェノール樹脂含有層が、アルコール系又はケトン系溶剤に可溶な樹脂をさらに含有することが好ましい。このような樹脂を含有させることにより、感光体を作製する際に、膜特性の制御が容易となるとともに、フェノール樹脂含有層形成用塗工液のポットライフの延長及び下層との接着性向上を図ることができ、本発明の電子写真感光体を生産性に優れたものとすることができる。
さらに、本発明の電子写真感光体においては、感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御する観点から、上記フェノール樹脂含有層が、体積平均粒子径5〜1000nmの微粒子を0.1〜30質量%更に含むことが好ましい。ここで、体積平均粒子径は、微粒子をメタノールに分散したものをサンプルとし、「サブミクロン粒度分布、ゼータ電位測定器」(Nicomp 380:横浜理化製)により測定して求めることができる。
本発明はまた、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、及び、電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種とを備えることを特徴とするプロセスカートリッジを提供する。
本発明はまた、上記本発明の電子写真感光体と、電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、帯電した電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、トナー像を電子写真感光体から被転写体に転写するための転写手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
これらのプロセスカートリッジ及び画像形成装置は、本発明の電子写真感光体を備えることにより、長期に亘って高品質の画像を形成することができる。
また、本発明は、平均形状係数100〜150のトナーを用いて画像形成するための上記画像形成装置を提供する。上記平均形状係数を有するトナーを用いるとクリーニング不良が発生しやすくなる傾向にあるが、上記感光体を備えることにより、剥がれの発生及び感光体の磨耗、傷の発生を防止できるとともにクリーニング不良を十分低減することができる。したがって、本発明の画像形成装置と上記トナーとを組み合わせることによって、高速化及び長寿命化を十分達成しつつ、より一層の高画質化(例えば写真画質)が実現可能となる。
本発明よれば、機械的強度に十分優れるとともに、長期使用された場合であっても剥がれの発生を十分防止でき、長期に亘って高品質の画像を形成できる電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置を提供することができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
(電子写真感光体)
図1は、本発明の電子写真感光体1の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、電子写真感光体1は、導電性支持体11と、感光層12とから構成されている。感光層12は、導電性支持体11上に、下引層13、電荷発生層14及び電荷輸送層15がこの順序で積層された構造を有している。図1に示す電子写真感光体1では、電荷輸送層15が最外層でありフェノール樹脂含有層である。そして、電荷輸送層15は、後述する研磨加工が施され、被研磨領域を有している。
また、図2〜5はそれぞれ本発明に係る画像形成装置に設けられる電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。図2及び3に示す電子写真感光体は、図1に示す電子写真感光体と同様に電荷発生層14と電荷輸送層15とに機能が分離された感光層12を備えるものである。また、図4及び5は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層17)に含有するものである。
図2に示す電子写真感光体1は導電性支持体11上に下引層13、電荷発生層14、電荷輸送層15及び保護層16が順次積層された構造を有するものである。また、図3に示す電子写真感光体1は、導電性支持体11上に下引層13、電荷輸送層14、電荷発生層15、保護層16が順次積層された構造を有するものである。図2及び3に示す電子写真感光体1において、保護層16が最外層でありフェノール樹脂含有層である。そして、保護層16は、後述する研磨加工が施され、被研磨領域を有している。
また、図4に示す電子写真感光体1は、導電性支持体11上に下引層13、単層型感光層17が順次積層された構造を有するものであり、単層型感光層17が最外層でありフェノール樹脂含有層である。そして、単層型感光層17は、後述する研磨加工が施され、被研磨領域を有している。
また、図5に示す電子写真感光体1は、導電性支持体11上に下引層13、単層型感光層17、保護層16が順次積層された構造を有するものであり、保護層16が最外層でありフェノール樹脂含有層である。そして、保護層16は、後述する研磨加工が施され、被研磨領域を有している。なお、電子写真感光体1においては、下引層13は必ずしも設けられなくともよい。
以下、図2に示す電子写真感光体1に基づいて、各要素について説明する。
導電性支持体11としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体11としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等が挙げられる。
なお、感光体1がレーザープリンターに使用される場合には、レーザーの発振波長としては350nm〜850nmのものが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。導電性支持体11表面は、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、中心線平均粗さRaで0.04μm〜0.5μmに粗面化することが好ましい。Raが0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が得られなくなる傾向があり、他方、Raが0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が粗くなる傾向がある。また、非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性支持体11表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング処理、回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削処理、陽極酸化処理、又は有機若しくは無機の半導電性微粒子を含有する層を形成する方法等が挙げられる。
陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、処理後そのままの多孔質陽極酸化膜は化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜は、加圧水蒸気又は沸騰水(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)による処理を行い、微細孔水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行うことが好ましい。
陽極酸化膜の膜厚は、0.3〜15μmが好ましい。膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。また、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、導電性支持体11には、酸性処理液による処理、又はベーマイト処理を施してもよい。酸性処理液による処理は、リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液を用いて以下の様に実施される。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10〜11質量%の範囲、クロム酸が3〜5質量%の範囲、フッ酸が0.5〜2質量%の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5〜18質量%の範囲が好ましい。処理温度は、42〜48℃であるが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚は、0.3〜15μmが好ましい。膜厚が0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。また、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、90〜100℃の純水中に導電性支持体11を5〜60分間浸漬するか、90〜120℃の加熱水蒸気に5〜60分間接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚は、0.1〜5μmが好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
有機若しくは無機の半導電性微粒子を含有する層を形成する場合、有機又は無機の半導電性微粒子としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミ等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中では、酸化亜鉛、酸化チタンが電荷輸送能が高く厚膜化に有効であり、好ましい。
これら顔料の表面は、分散性改善又はエネルギーレベルの調整等の目的でチタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等で表面処理してもよい。特に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理することが好ましい。
有機又は無機の半導電性微粒子は多すぎると層の強度が低下して塗膜欠陥を生じるため、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下で使用される。
有機又は無機の半導電性微粒子の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる方法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、有機又は無機の半導電性微粒子を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上混合して用いることができる。
下引層13は、有機金属化合物及び結着樹脂を含有して構成される。有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。有機金属化合物としては、特に、有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物が残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、好ましく使用される。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレノキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知の結着樹脂を用いることができる。これらの混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、下引層13には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させることもできる。
また、下引層13中には、電子輸送性顔料を混合/分散することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が上げられる。これらの顔料の中ではペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料と多環キノン顔料、酸化亜鉛、酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。
また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂等で表面処理しても良い。電子輸送性顔料は多すぎると下引層の強度を低下させ、塗膜欠陥を生じる原因となるため、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下で使用される。
下引層13は、上記各構成材料を含有する下引層形成用塗布液を用いて構成される。
下引層形成用塗布液の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる常法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、下引層13を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
塗布後、塗膜を乾燥させて下引層を得るが、通常、乾燥は溶剤を蒸発させ、製膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性支持体11は、その欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引層13を形成することが好ましい。
下引層13の膜厚は、好ましくは0.1〜30μm、より好ましくは0.2〜25μmが適当である。
電荷発生層14は、電荷発生材料を含有して、又は電荷発生材料及び結着樹脂を含有して構成される。
電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や、三方晶セレン、酸化亜鉛等の無機顔料等既知のもの全て使用することができる。電荷発生材料としては、380nm〜500nmの露光波長の光源を用いる場合には無機顔料が好ましく、700nm〜800nmの露光波長の光源を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び特開平5ー140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、又は特開平4−189873号公報及び特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
また、電荷発生材料としては、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の27.2°に強い回折ピークを持つチタニルフタロシアニン、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニンも好ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(例えば、ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体などのビスフェノール類と芳香族2価カルボン酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層14は、上記電荷発生材料を用いて蒸着により、又は上記電荷発生材料及び結着樹脂を含有する電荷発生層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷発生層形成用塗布液は、電荷発生材料と結着樹脂の配合比(質量比)が、10:1〜1:10であることが好ましい。また、これらを分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。これらの分散方法によれば、分散による電荷発生材料の結晶型の変化を防止することができる。
さらに、この分散の際、粒子を好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
また、これらの分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、電荷発生層14を設けるときに用いる塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷発生層14の膜厚は、好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは0.2〜2.0μmである。
電荷輸送層15は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して構成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられる。これらの電荷輸送材料は1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、下記一般式(a−1)、(a−2)又は(a−3)で示される化合物が好ましい。
Figure 2007057840

上記式(a−1)中、R34は水素原子又はメチル基を、k10は1又は2を示す。また、Ar及びArは置換又は未置換のアリール基、−C−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−C−CH=CH−CH=C(Ar)を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、又は炭素数1〜3のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。また、R38、R39、R40は水素原子、置換又は未置換のアルキル基、置換又は未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を示す。
Figure 2007057840

ここで、上記式(a−2)中、R35及びR35’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のアルコキシ基を、R36、R36’、R37及びR37’はそれぞれ独立にハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)を、R38、R39及びR40はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を、Arは置換又は未置換のアリール基を示す。m3及びm4はそれぞれ独立に0〜2の整数を示す。
Figure 2007057840

ここで、上記式(a−3)中、R41は水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、−CH=CH−CH=C(Ar)を示す。Arは、置換又は未置換のアリール基を示す。R42、R42’、R43、及びR43’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数1〜2のアルキル基で置換されたアミノ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。
結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材等高分子電荷輸送材を用いることもできる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は10:1〜1:5が好ましい。
また、高分子電荷輸送材を単独で用いることもできる。高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、とくに好ましいものである。高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層15は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて構成される。電荷輸送層形成用塗布液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法を使用できる。
電荷輸送層形成用塗布液を電荷発生層14上に塗布する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層15の膜厚は、好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
保護層16は、架橋構造を有するフェノール樹脂を含んで構成されているが、本実施形態においては、電荷輸送性を有し且つ架橋構造を有するフェノール樹脂から形成されていることが好ましい。このようなフェノール樹脂としては、例えば、メチロール基を有するフェノール誘導体と、反応性官能基を有する電荷輸送性物質とを含んで構成されるフェノール樹脂が挙げられる。なお、反応性官能基を有する電荷輸送性物質は、フェノール樹脂の構成成分として架橋構造に組み込まれていることが好ましい。
メチロール基を有するフェノール誘導体としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーの混合物が挙げられる。このようなメチロール基を有するフェノール誘導体は、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸触媒又はアルカリ触媒下で反応させることで得られるもので、一般にフェノール樹脂として市販されているものも使用できる。なお、本明細書では、分子の構造単位の繰り返しが2〜20程度の比較的大きな分子をオリゴマーといい、それ以下のものをモノマーという。
上記酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等が用いられる。また、アルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)、Ba(OH)等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。
アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる傾向がある。そのため、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化又は除去することが好ましい。
また、メチロール基を有するフェノール誘導体としては、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。
反応性官能基を有する電荷輸送性物質としては、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カーボネート基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送性物質が挙げられる。
また、反応性官能基を有する電荷輸送性物質としては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)又は(V)で示される化合物が、成膜性、機械強度及び安定性に優れるため、特に好ましい。
F[−(X−R−ZH] …(I)
式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Xは酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基を、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、nは0又は1を、mは1〜4の整数を示す。
F[−(Xn1−(Rn2−(Zn3G]n4 …(II)
式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Xは酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基を、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、Gはエポキシ基を、n1、n2及びn3はそれぞれ独立に0又は1を、n4は1〜4の整数を示す。
F[−D−Si(R(3-a) …(III)
式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を、Dは可とう性を有する2価の基を、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基(炭素数は1〜15が好ましく、1〜10がより好ましい)又は置換若しくは未置換のアリール基(炭素数は6〜20が好ましく、6〜15がより好ましい)を、Qは加水分解性基を、aは1〜3の整数を、bは1〜4の整数を示す。
Figure 2007057840


式(IV)中、Fは正孔輸送性を有するn5価の有機基を、Tは2価の基を、Yは酸素原子又は硫黄原子を、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を、Rは1価の有機基を、m1は0又は1を、n5は1〜4の整数を、それぞれ示す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
Figure 2007057840


式(V)中、Fは正孔輸送性を有するn6価の有機基を、Tは2価の基を、Rは1価の有機基を、m2は0又は1を、n6は1〜4の整数を、それぞれ示す。
また、上記式(I)〜(V)で示される電荷輸送性物質のうち、さらに好ましいものとして、下記一般式(VI)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2007057840


式(VI)中、Ar〜Arは同一でも異なっていてもよく、それぞれ置換又は未置換のアリール基を示し、Arは置換又は未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、cはそれぞれ独立に0又は1を示し、kは0又は1を示し、Dは、下記一般式(VII)、(VIII)、(IX)、(X)又は(XI)で示される1価の有機基を示し、cの総数は1〜4である。
−(X−R−ZH …(VII)
式(VII)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基を、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、nは0又は1を示す。
−(Xn1−(Rn2−(Zn3G …(VIII)
式(VIII)中、Xは酸素原子又は硫黄原子を、Rはアルキレン基を、Zは酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを、Gはエポキシ基を、n1、n2及びn3はそれぞれ独立に0又は1を示す。
−D−Si(R(3-a) …(IX)
式(IX)中、Dは可とう性を有する2価の基を、Rは水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、aは1〜3の整数を示す。
Figure 2007057840


式(X)中、Tは2価の基を、Yは酸素原子又は硫黄原子を、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を、Rは1価の有機基を、m1は0又は1を、それぞれ示す。但し、RとRは互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。
Figure 2007057840


式(XI)中、Tは2価の基を、Rは1価の有機基を、m2は0又は1を、それぞれ示す。
また、上記一般式(VI)中のAr〜Arで示される置換又は未置換のアリール基としては、具体的には、下記式(1)〜(7)に示されるアリール基が好ましい。
Figure 2007057840

式(1)〜(7)中、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7〜10のアラルキル基を示し、R10〜R12はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基又はハロゲン原子を示し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を示し、Dは上記一般式(VII)〜(XI)で表される構造のいずれかを示し、c及びsはそれぞれ0又は1を示し、tは1〜3の整数を示す。
上記式(7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(8)又は(9)で示されるアリーレン基が好ましい。
Figure 2007057840

式(8)、(9)中、R13及びR14はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、tは1〜3の整数を示す。
また、上記式(7)で示されるアリール基におけるZ’としては、下記式(10)〜(17)で示される2価の基が好ましい。
Figure 2007057840

式(10)〜(17)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7〜10のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、Wは2価の基を示し、q及びrはそれぞれ1〜10の整数を示し、tはそれぞれ1〜3の整数を示す。
また、上記式(16)〜(17)中、Wは下記式(18)〜(26)で示される2価の基を示す。なお、式(25)中、uは0〜3の整数を示す。
Figure 2007057840

また、上記一般式(VI)におけるArの具体的構造としては、k=0の時は上記Ar〜Arの具体的構造におけるc=1の構造が、k=1の時は上記Ar〜Arの具体的構造におけるc=0の構造が挙げられる。
また、上記一般式(I)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(I−1)〜(I−37)が挙げられる。なお、下記表中、結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を示す。
Figure 2007057840

Figure 2007057840

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また、上記一般式(II)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(II−1)〜(II−47)が挙げられる。なお、下記表中、Me又は結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を、Etはエチル基を示す。
Figure 2007057840

Figure 2007057840

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また、上記一般式(III)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(III−1)〜(III−61)が挙げられる。なお、下記化合物(III−1)〜(III−61)は、一般式(VI)で示される化合物のAr〜Ar及びkを下記の表に示されるように組み合わせ、且つ、アルコキシシリル基(s)を下記の表に示される特定のものとしたものである。
Figure 2007057840

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また、上記一般式(IV)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(IV−1)〜(IV−40)が挙げられる。なお、下記表中、Me又は結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を、Etはエチル基を示す。
Figure 2007057840

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また、上記一般式(V)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(V−1)〜(V−55)が挙げられる。なお、下記表中、Me又は結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を示す。
Figure 2007057840

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また、保護層16には、保護層16の強度、膜抵抗等の種々の物性をコントロールするために、下記一般式(XII)で示される化合物を添加することもできる。
Si(R50(4−c) (XII)
上記式(XII)中、R50は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、cは1〜4の整数を示す。
上記一般式(XII)で示される化合物の具体例としては以下のようなシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン(c=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の三官能性アルコキシシラン(c=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン(c=2);トリメチルメトキシシラン等の1官能アルコキシシラン(c=1)等を挙げることができる。膜の強度を向上させるためには3及び4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1及び2官能のアルコキシシランが好ましい。
シランカップリング剤は任意の量で使用できるが、含フッ素化合物を用いる場合、含フッ素化合物の含有量はフッ素を含まない化合物に対して質量で0.25倍以下とすることが好ましい。かかる含有量を超えると、架橋膜の成膜性に問題が生じる場合がある。
また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコン系ハードコート剤も用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、及びAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。
また、保護層16には、その強度を高めるために、下記一般式(XIII)に示すような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
B−(Si(R51(3−d) (XIII)
上記式(XIII)中、Bは2価の有機基を、R51は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、dは1〜3の整数を示す。一般式(XIII)で示される化合物としては、より具体的には、下記化合物(XIII−1)〜(XIII−16)が好ましいものとして挙げることができる。
Figure 2007057840

さらに、膜特性のコントロール、液寿命の延長等のため、アルコール系、ケトン系溶剤に可溶な樹脂を添加してもよい。このような樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂及びポリビニルフェノール樹脂が好ましい。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長等の目的で種々の樹脂を添加することができる。本実施形態においては、アルコールに溶解する樹脂を更に加えることが好ましい。アルコール系溶剤に可溶な樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(たとえば積水化学社製エスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、ポリビニルフェノール樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂及びポリビニルフェノール樹脂が好ましい。
上記樹脂の分子量は2000〜100000が好ましく、5000〜50000がさらに好ましい。分子量は2000より小さいと所望の効果が得られなくなる傾向があり、100000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする傾向がある。添加量は1〜40質量%が好ましく、さらに好ましくは1〜30質量%であり、5〜20質量%が最も好ましい。添加量が1質量%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40質量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる恐れがある。また、上記の樹脂は単独で用いてもよいが、それらを混合して用いてもよい。
また、ポットライフの延長、膜特性のコントロールのため、下記一般式(XIV)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、若しくはその化合物からの誘導体を含有させることが好ましい。
Figure 2007057840


上記式(XIV)中、A及びAは、それぞれ独立に一価の有機基を示す。
一般式(XIV)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、保護層16に各種微粒子を添加することもできる。これらの微粒子は1種を単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。また、微粒子の体積平均粒子径は、1〜1000nmが好ましく、5〜1000nmがより好ましい。さらに、保護層16中の微粒子の含有量は、保護層16の固形分全量を基準として0.1〜50質量%の範囲、より好ましくは0.1〜30質量%の範囲で用いられる。
微粒子の一例として、ケイ素原子含有微粒子又はフッ素原子含有樹脂粒子を挙げることができる。ケイ素原子含有微粒子とは、構成元素にケイ素を含む微粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン微粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有微粒子として用いられるコロイダルシリカは、体積平均粒子径が好ましくは1〜100nm、より好ましくは10〜30nmであり、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、或いはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。保護層16中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から保護層16の固形分全量を基準として好ましくは0.1〜50質量%の範囲、より好ましくは0.1〜30質量%の範囲で用いられる。
ケイ素原子含有微粒子として用いられるシリコーン微粒子は、球状で、体積平均粒子径が好ましくは1〜500nm、より好ましくは10〜100nmであり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子及びシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
シリコーン微粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐磨耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。保護層16中のシリコーン微粒子の含有量は、保護層16の固形分全量を基準として好ましくは0.1〜30質量%の範囲であり、より好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。
フッ素原子含有樹脂粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系微粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示されるような、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる微粒子が挙げられる。
また、その他の微粒子としては、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、In、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。
また、同様な目的でシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらは、保護層形成用塗布液に予め添加してもよいし、感光体を作製後、減圧、或いは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、保護層16は、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
保護層16には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが特に好ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。保護層16における酸化防止剤の添加量としては20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシーベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
さらに、ヒンダートフェノール系の酸化防止剤で商業的に入手可能なものとしては、例えば、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」以上住友化学社製、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」以上旭電化社製、ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」以上三共ライフテック社製、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」以上旭電化社製、「スミライザーTPS」以上住友化学社製、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」以上住友化学社製、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」以上旭電化社製が挙げられる。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
また、保護層16には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を含有させてもよい。この場合、絶縁性樹脂は、所望の割合で添加することができ、これにより、電荷輸送層15との接着性、熱収縮やハジキによる塗布膜欠陥等を抑制することができる。
保護層16は、上述した各構成材料を含有する保護層形成用塗布液を用いて形成される。
保護層16は、上述した反応性の電荷輸送材料を用いて形成されることから、保護層形成用塗布液に触媒を添加すること、又は保護層形成用塗布液作製時に触媒を用いることが好ましい。用いられる触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸等の無機酸、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン等のアルカリ触媒、さらに系に不溶な固体触媒を用いることもできる。
また、メチロール基を有するフェノール誘導体から、合成時の触媒を除去するために、フェノール誘導体をメタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿等の処理を行うか、イオン交換樹脂、又は無機固体を用いて処理を行うことが好ましい。
例えば、イオン交換樹脂としては、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)等の陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂が挙げられる。
また、無機固体としては、Zr(OPCHCHSOH),Th(OPCHCHCOOH)等のプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン等のプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸等のイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO等の単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類等複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物;LiSO,MgSO等の金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタン等の金属リン酸塩;LiNO,Mn(NO等の金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体等のアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂等のアミノ基を含有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
保護層形成用塗布液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の他、種々の溶媒が使用できる。なお、電子写真感光体の生産に一般的に使用されるディップコーティング法を適用するためには、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましい。また、使用される溶媒の沸点は50〜150℃のものが好ましく、それら任意に混合して使用することができる。
なお、溶剤としてアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましいことから、保護層の形成に使用される電荷輸送材料としては、それらの溶剤に可溶であることが好ましい。
また、溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると構成材料が析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対し好ましくは0.5〜30質量部、より好ましくは1〜20質量部とすることが好ましい。
保護層形成用塗布液を用いて保護層を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。なお、複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
また、上記の保護層形成用塗布液から形成される保護層16は、優れた機械強度を有する上に光電特性も十分であるため、これをそのまま積層型感光体の電荷輸送層として用いることもできる。すなわち、本実施形態において、架橋構造を有するフェノール樹脂を含む層は保護層16としたが、かかるフェノール樹脂含有層は例えば図1に示す電子写真感光体においては電荷輸送層15とすることもできる。
また、図4に示す電子写真感光体のように単層型感光層を構成し、かかる層が架橋構造を有するフェノール樹脂を含有する層である場合、単層型感光層17が、電荷発生材料と、上述のフェノール樹脂と、反応性官能基を有する電荷輸送性物質とを含んで構成されるフェノール樹脂と、必要に応じて、フェノール樹脂以外の結着樹脂を含有して形成されていてもよい。電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層に使用されるものと同様のものを、フェノール樹脂以外の結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層及び電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを用いることができる。単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、単層型感光層における固形分全量を基準として好ましくは10〜85質量%、より好ましくは20〜50質量%である。単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は単層型感光層における固形分全量を基準として5〜50質量%とすることが好ましい。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。単層型感光層の膜厚は、5〜50μm程度が好ましく、10〜40μmとすることがさらに好ましい。
また、感光層12には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
また、感光層12には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、又は光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
<保護層16の研磨加工>
上記電子写真感光体1は、感光層12の最外層である保護層16が研磨されている。そして、保護層16は、研磨によって形成された被研磨領域(研磨痕)をその表面に有する。図6は、電子写真感光体1の表面を研磨する研磨工程に使用される研磨装置を説明するための概略構成図である。また、図7は、図6に示されるVII−VII線方向の研磨装置の概略断面図である。なお、図6及び7中には、研磨装置とともに研磨部材が当接する電子写真感光体1を示す。先ず、本実施形態において好適に使用される研磨装置について説明する。
(研磨装置)
図6に示される研磨装置300は、電子写真感光体1を保持するためのワークホルダー2と、研磨部200とから構成されている。ワークホルダー2はエアーシリンダーにより感光体のワークを挟んで保持する機構を有しており、図示しない駆動機構により電子写真感光体1を所定の速度で回転させる。なお、ワークを保持する機構については特に限定されるものではない。
研磨部200は、図7に示されるように、研磨部材としての研磨テープ3をロール状にセットできる供給スプール4と、供給スプール4から送り出された研磨テープ3を支持し案内するテンションローラ5及びガイドローラ6と、研磨テープ3を所定の圧力で押圧し感光体1に当接させるバックアップローラ7と、使用された研磨テープ3を支持し案内するガイドローラ8及びテンションローラ9と、使用された研磨テープ3を回収する回収スプール10とを備えている。この研磨部200は、研磨時には研磨テープ3を感光体1に当接させ、研磨後には離れるように(図6における矢印A方向に)移動可能であり、また、感光体の長手方向(図6における矢印B方向)に移動可能となっている。
研磨テープ3としては、市販の物を使用することが可能であり、本実施形態においてはラッピングテープと呼ばれる物を用いることが好ましい。商業的に入手可能なラッピングテープとしては、例えば、「Imperial」(住友スリーエム社製、商品名)が挙げられる。また、研磨テープが有する砥粒種としては、例えば、酸化アルミニウム、シリコンカーバイト、酸化クロム、ダイヤモンド等が用いられる。
砥粒の粒径(粒度)としては、0.1μm〜10μmが好ましく、0.1μm〜0.5μmがより好ましい。砥粒の粒径が0.1μm未満であると、研磨を精密に行うことは可能であるが、研磨に要する時間が増加して生産性が低下するため好ましくない。一方、粒径が10μmを超えると、被研磨領域の平均表面粗さが大きくなりすぎ、この領域を起点としてトナーフィルミング等の問題が発生しやすくなる傾向にある。
研磨テープ3の砥粒の種類及び粒径は、保護層16の硬度および突起状欠陥の数並びに生産効率を考慮して適宜選択することが好ましい。
バックアップローラ7としては、ウレタンゴム等の弾性体を使用できるが、硬度が高すぎるものを使用すると研磨テープ3を均一に押圧することが困難となり偏磨耗が発生しやすくなるため、JISゴム硬度で10〜80°の弾性体であることが好ましい。
(研磨工程)
図6に示されるように、上述の研磨装置300によって電子写真感光体1の表面が研磨される(研磨工程)。図8は、かかる研磨工程前後における電子写真感光体を示す模式断面図であり、図8(a)及び(b)はそれぞれ研磨前及び研磨後の状態を示している。このように、研磨工程によって感光層12の表面(本実施形態においては保護層16表面)に存在する突起状欠陥18が研磨され、感光層12の表面(本実施形態においては保護層16表面)に被研磨領域19が形成される。
研磨工程では、上記研磨装置300において電子写真感光体1を回転させるとともに、電子写真感光体1に所定の圧力をかけて当接させた研磨テープ3を感光体の長手方向(図6中、矢印B)に微小往復運動(オシレーション)させながら感光体の全長にわたって所定のトラバース速度で移動させることにより、電子写真感光体1表面を研磨する。そして、この間、研磨テープ3は所定の設定速度で回収スプール10に巻き取られる。このような方法を行うことにより、感光体表面の突起状欠陥を均一に研磨できるとともに研磨粉が感光体表面に再付着することを軽減できる。
電子写真感光体1の回転速度は、研磨テープの送り速度及び生産性等に応じて適宜設定することができるが、500〜2000rpmの範囲が好ましい。また、感光体の回転方向は、バックアップロール7の当接位置に応じて選択することができるが、研磨紛や研磨によって欠落した突起などの噛み込みを防止する観点から、研磨テープ3の移動方向と同じ方向であることが好ましい。すなわち、感光体1とバックアップロール7とが順方向に回転することが好ましい。
研磨テープ3の送り速度(回収スプール10に巻き取る速度)は、砥粒や砥粒の結着樹脂が感光体表面に付着しないようにトラバース速度及び感光体の回転数に応じて適宜設定することが好ましく、例えば、1〜200mm/分が好ましい。
上記トラバース速度は、10〜500mm/分の範囲で設定することができる。
微小往復運動(オシレーション)のオシレーション回数は、500〜1500cpmの範囲で設定することができる。
バックアップローラ7によって研磨テープを感光体表面に押圧する際の圧力(当接圧)は、0.05MPa〜10MPaの範囲であることが好ましい。かかる当接圧が0.05MPaより小さいと、十分な生産性を確保することが困難となり、一方、当接圧が10MPaを越えると、研磨テープの砥粒、砥粒を保持していた結着樹脂及び研磨された突起状欠陥などが感光体上に堆積するフィルミングが発生しやすくなる傾向にある。また、研磨テープの当接圧についても、上記した、研磨テープ送り速度、研磨テープの砥粒の種類及び粒径、感光体の回転速度、トラバース速度等の条件に応じて適宜設定することが好ましい。
本実施形態の電子写真感光体1においては、下記の条件の少なくとも1つを満たすように上記研磨工程を行うことが好ましい。
(i)上記被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層12の膜厚差が0.2〜2μmである。
(ii)上記被研磨領域における保護層16(フェノール樹脂含有層)表面の算術平均粗さ(Ra)が0.01〜0.03μmである。
ここで、被研磨領域を確認する方法としては、例えば、レーザー顕微鏡、表面粗度計等を用いる方法が挙げられる。本発明においては、被研磨領域を確認するとともに感光層の膜厚差あるいは表面平均粗さを測定できることから、レーザー顕微鏡を用いることが好ましい。
以下、レーザー顕微鏡を用いて、上記(i)および(ii)の条件を満たすか否かを確認する方法について説明する。
図9は、研磨工程前及び研磨工程後の感光体表面のレーザー顕微鏡画像である。図9(a)に示される突起状欠陥を研磨することにより、図9(b)に示される研磨痕が形成され、この研磨痕が被研磨領域を意味する。このように、被研磨領域はレーザー顕微鏡によって十分確認することができる。
先ず、被研磨領域を含む250μm×250μmの領域を定める方法について説明する。図10は、保護層16上にある被研磨領域19を含む250μm×250μmの領域を示す模式図である。図10(a)は、250μm×250μmの範囲に一つの被研磨領域19が含まれる場合を示しており、この場合、被研磨領域19が中央に位置するように250μm×250μmの範囲を定めることができる。このとき、被研磨領域19の重心と、250μm×250μmの領域の対角線の交点とを一致させることが好ましい。また、本発明においては、250μm×250μmの領域は、かかる領域に含まれる被研磨領域の面積が最大となるように定めることができる。具体的には、例えば、複数の被研磨領域が互いに近い位置にある場合、図10(b)に示されるように被研磨領域の面積が最大となるように250μm×250μmの領域を定めればよい。また、被研磨領域の最大径が250μmを超えるような場合も、図10(c)に示されるように被研磨領域の面積が最大となるように250μm×250μmの領域を定めればよい。
次に、上記で定めた領域において(i)に係る膜厚差を求める方法を説明する。
上記被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層12の膜厚差は、例えば、レーザー顕微鏡(オリンパス/島津社製、「OLS1100」)により求めることができる。
上記の方法により求めた、上記被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層12の膜厚差は、好ましくは0.2〜2μmであるが、より好ましくは0.2〜1.5μmである。かかる膜厚差が0.2μm未満であると、クリーングブレードと感光体との密着性が高くなり摩擦抵抗が大きくなることにより、クリーニングブレードの部分的な磨耗が発生しやすくなる傾向にある。一方、膜厚差が2μmを超えると、クリーニングブレードの欠けが発生しやすくなり、トナーのクリーング性が低下する傾向にある。
また、上記被研磨領域における保護層16(フェノール樹脂含有層)表面の算術平均粗さ(Ra)は、例えば、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、「VK−8500」)により求めることができる。本実施形態においては、上記被研磨領域内で任意の10μm×10μmの領域を3箇所選択し、これらの領域で測定した算術平均粗さの平均値を上記Raとすることができる。
また、上記の方法により求めた、上記被研磨領域における保護層16(フェノール樹脂含有層)表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは0.01〜0.03μmであるが、より好ましくは0.015μm〜0.025μmである。かかるRaが、0.01μm未満であると、クリーニングブレードと感光体との密着性が部分的に高くなりクリーニングブレードの挙動が安定せず、特に低温低湿環境下においてクリーニング不良が発生しやすくなる傾向にある。一方、Raが、0.03μmを超えると、被研磨領域にトナーの外添剤等が付着するトナーフィルミング等の問題が発生しやすくなる傾向にある。
また、本実施形態においては、上記(i)及び(ii)の条件を同時に満たすように研磨工程を行うことがより好ましい。
さらに、剥がれの防止効果、クリーニング性及び付着物防止性を更に向上させる観点から、上記被研磨領域の最大径が50〜200μmの範囲となるように研磨工程を行うことが好ましい。被研磨領域の直径は突起状欠陥周辺における膜厚差を制御するための目安となる場合もあり、被研磨領域の最大径を上記範囲に制御することで上記(i)の条件を満たすことが更に容易となる場合もある。
また、クリーニング性及び付着物防止性を更に向上させる観点から、上記被研磨領域における算術平均粗さRaが0.02〜0.03μmの範囲となるように研磨工程を行うことが好ましい。
本発明に係る上記研磨工程では、上記(i)及び(ii)の条件を満たす感光体を歩留まりよく製造する観点から、研磨テープの砥粒の粒径を0.1〜10μm、当接圧を0.05〜10MPaに設定し、研磨処理することが好ましい。
(画像形成装置及びプロセスカートリッジ)
図11は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式図である。図11に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、上述した本発明の電子写真感光体1を備えるプロセスカートリッジ20と、露光装置30と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体1に当接可能に配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に電子写真感光体1とともに帯電装置21、現像装置25、クリーニング装置27及び繊維状部材(歯ブラシ形状)29を、取り付けレールにより組み合わせて一体化したものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。
ここで、帯電装置21は、電子写感光体1を接触方式により帯電させるものである。また、現像装置25は、電子写真感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
以下、現像装置25に使用されるトナーについて説明する。かかるトナーとしては、平均形状係数(ML/A)が100〜150であることが好ましく、100〜140であることがより好ましい。さらに、トナーとしては、体積平均粒子径が2〜12μmであることが好ましく、3〜12μmであることがより好ましく、3〜9μmであることがさらに好ましい。このような平均形状係数及び体積平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、高い現像、転写性、及び高画質の画像を得ることができる。
トナーは、上記平均形状係数及び体積平均粒子径を満足する範囲のものであれば特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用することができる。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤からなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることもできる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置25に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
現像装置25に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用できる。但し、平均粒径としては0.1〜10μmの範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05〜2.0質量%、より好ましくは0.1〜1.5質量%の範囲である。
現像装置25に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子等を加えることができる。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機微粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
本実施形態に係るトナーとしては、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の観点から、酸化アルミニウム、酸化セリウムおよび硫酸バリウムなどの無機粒子が添加されているものがより好ましい。また、これらの無機粒子のうち酸化セリウムが特に好ましい。更に、かかる無機粒子の体積平均粒径が、0.1〜3.0μmであることが好ましく、0.5〜2.0μmであることがより好ましい。体積平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが好ましい。これにより、平均形状係数(ML/A)が100〜150であるトナーを用いる場合であっても、放電生成物に対するクリーニング性とトナーに対するクリーニング性とを両立されることが可能となる。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために好ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂コーティングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
クリーニング装置27は、繊維状部材(ロール形状)27aと、クリーニングブレード(ブレード部材)27bとを備える。
クリーニング装置27は、繊維状部材27a及びクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはどちらか一方を備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに感光体軸方向にオシレーション可能に支持されていてもよい。繊維状部材27aとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリル等や、トレシー(東レ社製)等の極細繊維からなる布状のもの、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を基材状又は絨毯状に植毛したブラシ状のもの等を挙げることができる。また、繊維状部材27aとしては、上述したものに、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部又は外部に導電層が形成されたもの等を用いることもできる。導電性を付与した場合、その抵抗値としては繊維単体で10〜10Ωのものが好ましい。また、繊維状部材27aの繊維の太さは、好ましくは30d(デニール)以下、より好ましくは20d以下であり、繊維の密度は好ましくは2万本/inch以上、より好ましくは3万本/inch以上である。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められる。この目的を長期に渡って達成すると共にクリーニング部材の機能を安定化させるために、クリーニング部材には、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を供給することが好ましい。
例えば、繊維状部材27aとしてロール状のものを用いる場合、金属石鹸、ワックス等の潤滑性物質と接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが好ましい。クリーニングブレード27bとしては、通常のゴムブレードが用いられる。このようにクリーニングブレード27bとしてゴムブレードを使用する場合には、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することは、ブレードの欠けや磨耗を抑制することに特に効果的である。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザを用いることが好ましい。
転写装置40としては、電子写真感光体1上のトナー像を被転写媒体(中間転写体50)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いることもできる。なお、この中間転写体を備えていない直接転写方式の画像形成装置もあるが、本発明の電子写真感光体はこのような画像形成装置に好適である。その理由は、直接転写方式の画像形成装置では、プリント用紙からの紙粉やタルク等が発生しそれが電子写真感光体へ付着しやすく、付着物に起因する画質欠陥が発生する傾向にある。しかし、本発明の電子写真感光体によれば、クリーニング性に優れているため紙粉やタルク等の除去が容易であり、直接転写方式の画像形成装置であっても安定した画像を得ることができる。
なお、本発明でいう被転写媒体とは、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体1から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図12は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。図12に示す画像形成装置110は、電子写真感光体1が画像形成装置本体に固定され、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。なお、帯電装置22は、コロナ放電方式により帯電させる帯電装置を備えている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体1とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27が画像形成装置本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能である。
本発明の電子写真感光体は耐磨耗性に優れるため、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置22、現像装置25又はクリーニング装置27をそれぞれ本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能な構成とすることで、1プリント当りの部材コストを低減することができる。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱可能とすることもでき、それにより1プリント当りの部材コストをさらに低減することができる。
なお、画像形成装置110は、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図13は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用できる構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
タンデム方式の画像形成装置120では、各色の使用割合により各電子写真感光体の磨耗量が異なってくるために、各電子写真感光体の電気特性が異なってくる傾向がある。これに伴い、トナー現像特性が初期の状態から除々に変化してプリント画像の色合いが変化し、安定な画像を得ることができなくなる傾向にある。特に、画像形成装置を小型化するために、小径の電子写真感光体が使用される傾向にあり、30mmΦ以下のものを用いたときにはこの傾向が顕著になる。ここで、電子写真感光体に、本発明の電子写真感光体の構成を採用すると、その直径を30mmΦ以下とした場合にもその表面の磨耗が十分に抑制される。また、感光体を小径化すると回転数が増え、クリーニング部材や感光体へのストレスの増加によってクリーニング不良や感光体表面の剥がれが生じやすくなる傾向にあるが、電子写真感光体に、本発明の電子写真感光体の構成を採用することでこのような傾向も十分抑制される。したがって、本発明の電子写真感光体は、タンデム方式の画像形成装置に対して特に有効である。
図14は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。図14に示した画像形成装置130は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、所謂4サイクル方式の画像形成装置である。画像形成装置130は、駆動装置(図示せず)により所定の回転速度で図中の矢印Aの方向に回転される感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の上方には、感光体ドラム1の外周面を帯電させる帯電装置22が設けられている。
また、帯電装置22の上方には面発光レーザアレイを露光光源として備える露光装置30が配置されている。露光装置30は、光源から射出される複数本のレーザビームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム1の外周面上を感光体ドラム1の軸線と平行に走査させる。これにより、帯電した感光体ドラム1の外周面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム1の側方には現像装置25が配置されている。現像装置25は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器25Y,25M,25C,25Kが設けられている。現像器25Y,25M,25C,25Kは各々現像ローラ26を備え、内部に各々Y,M,C,Kの色のトナーを貯留している。
画像形成装置130でのフルカラーの画像の形成は、感光体ドラム1が4回転する間に行われる。すなわち、感光体ドラム1が4回転する間、帯電装置22は感光体ドラム1の外周面の帯電、露光装置20は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザビームを感光体ドラム1の外周面上で走査させることを、感光体ドラム1が1回転する毎にレーザビームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また現像装置25は、現像器25Y,25M,25C,25Kの何れかの現像ローラ26が感光体ドラム1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム1が1回転する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。これにより、感光体ドラム1が1回転する毎に、感光体ドラム1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が互いに重なるように順次形成されることになり、感光体ドラム1が4回転した時点で感光体ドラム1の外周面上にフルカラーのトナー像が形成されることになる。
また、感光体ドラム1の略下方には無端の中間転写ベルト50が配設されている。中間転写ベルト50はローラ51,53,55に巻掛けられており、外周面が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置されている。ローラ51,53,55は図示しないモータの駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト50を図1矢印B方向に回転させる。
中間転写ベルト50を挟んで感光体ドラム1の反対側には転写装置(転写器)40が配置されており、感光体ドラム1の外周面上に形成されたトナー像は転写装置40によって中間転写ベルト50の画像形成面に転写される。
また、感光体ドラム1を挟んで現像装置25の反対側には、感光体ドラム1の外周面に潤滑剤供給装置29及びクリーニング装置27が配置されている。感光体ドラム12の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト50に転写されると、潤滑剤供給装置29により感光体ドラム1の外周面に潤滑剤が供給され、当該外周面のうち転写されたトナー像を担持していた領域がクリーニング装置27により清浄化される。
中間転写ベルト50よりも下方側にはトレイ60が配置されており、トレイ60内には記録材料としての用紙Pが多数枚積層された状態で収容されている。トレイ60の左斜め上方には取り出しローラ61が配置されており、取り出しローラ61による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対63、ローラ65が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラ61が回転されることによりトレイ60から取り出され、ローラ対63、ローラ65によって搬送される。
また、中間転写ベルト50を挟んでローラ55の反対側には転写装置42が配置されている。ローラ対63、ローラ65によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト50と転写器42の間に送り込まれ、中間転写ベルト50の画像形成面に形成されたトナー像が転写装置42によって転写される。転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着装置44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着装置44によって溶融定着された後に画像形成装置130の機体外へ排出され、排紙トレイ(図示せず)上に載置される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<電子写真感光体の作製>
(感光体−1)
JIS H4080 材質記号A3003アルミニウム合金よりなる引き抜き管(直径:84mm、長さ:340mm)を用意し、ホーニング研磨装置により研磨して表面粗さRを0.6μmとした。次に、この引き抜き管の外周面に対して、脱脂処理、2質量%水酸化ナトリウム溶液による1分間のエッチング処理、中和処理、及び純水洗浄をこの順に行った。次に、陽極酸化処理工程として10質量%硫酸溶液によりシリンダー表面に陽極酸化膜(電流密度1.0A/dm)を形成した。水洗後、1質量%酢酸ニッケル溶液80℃に20分間浸漬して封孔処理を行った。さらに、純水洗浄、乾燥処理を行った。このようにして、引き抜き管の外周面に7μmの陽極酸化膜を形成して導電性支持体を得た。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部及び酢酸n−ブチル80質量部と混合し、これをガラスビーズと共にペイントシェーカーで1時間分散処理することにより電荷発生層用塗布液を調製した。得られた塗布液を陽極酸化膜が形成された導電性支持体上に浸漬コートし、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(CT−1)で表されるベンジジン化合物2.5質量部、及び下記式(B−1)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量:69,000)3質量部をクロロベンゼン25質量部に溶解させて電荷輸送層用塗布液を調製した。得られた塗布液を上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、110℃、40分の加熱を行い膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
Figure 2007057840

Figure 2007057840

次に、式(I−1)で表される化合物3質量部、レゾール型フェノール樹脂(商品名「レジトップPL−2211」、群栄化学社製)3質量部、及び、ポリビニルフェノール樹脂(Aldrich社製)0.5質量部を、イソプロピルアルコール5質量部、メチルイソブチルケトン5質量部及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4質量部の混合溶媒に加えて保護層形成用塗布液を調製した。この塗布液を電荷輸送層の上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で10分風乾した後、150℃で50分間加熱処理して硬化させ、膜厚約4μmの保護層を形成して電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−1」とした。
(感光体−2)
先ず、感光体−1の作製と同様にして電荷輸送層まで形成した。次に、式(I−1)で表される化合物に代わりに、上記式(II−5)で表される化合物を用いたこと以外は感光体−1の作製と同様にして電荷輸送層上に保護層を形成し、電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−2」とした。
(感光体−3)
先ず、感光体−1の作製と同様にして電荷輸送層まで形成した。次に、式(I−1)で表される化合物に代わりに、上記式(IV−3)で表される化合物を用いたこと以外は感光体−1の作製と同様にして電荷輸送層上に保護層を形成し、電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−3」とした。
(感光体−4)
先ず、感光体−1の作製と同様にして電荷輸送層まで形成した。次に、式(I−1)で表される化合物に代わりに、上記式(V−15)で表される化合物を用いたこと以外は感光体−1の作製と同様にして電荷輸送層上に保護層を形成し、電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−4」とした。
(感光体−5)
保護層形成用塗布液の調製において、コロイダルシリカ(商品名「スノーテックス 30」、日産化学社製、体積平均粒子径10nm、30質量%メタノール分散液)0.3質量部を更に加えたこと以外は感光体−1と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−5」とした。
(感光体−6)
保護層形成用塗布液の調製において、フッ素樹脂粒子(商品名「ルブロン L−2」、ダイキン工業社製)0.2質量部をさらに加えたこと以外は感光体−1と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−6」とした。
(感光体−7)
保護層形成用塗布液の調製において、ポリエーテル変性シリコンオイル(商品名「KF354」、信越化学社製)0.03質量部をさらに加えたこと以外は感光体−1と同様にして電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−7」とした。
なお、上記感光体−1〜7の表面をレーザー顕微鏡で観察したところ、突起状欠陥が多数形成されていることが確認された。かかる突起状欠陥の平均的なものの高さは19μm、最大直径は150μmであった。なお、突起状欠陥の最大直径は、レーザー顕微鏡観察視野範囲内で突起部の最高部を中央に置いた際、図15に示されるように突起部周囲の平均的な膜厚から変化し始めた所を計測して得られる値とした(図15においてはDmax)。
(感光体−8)
感光体−1と同様にして電荷輸送層までを形成し、保護層を設けずに電子写真感光体を得た。この電子写真感光体を「感光体−8」とした。
<現像剤の作製>
現像剤は、先ずトナー母粒子及びキャリアを製造し、そして、それらを用いて製造した。以下の説明において、トナー及び複合粒子の粒度分布は、マルチサイザー(日科機社製)を用い、アパーチャー径100μmのもので測定した。また、トナー及び複合粒子の平均形状係数ML/Aは、下記式で計算された値を意味し、真球の場合、ML/A=100となる。
ML/A=(最大長)×π×100/(投影面積×4)。
なお、平均形状係数は、トナー投影画像を光学顕微鏡から画像解析装置(LUZEX(III)、ニレコ社製)に取り込み、1000個のトナー粒子について円相当径を測定して、個々の粒子について最大長及び面積を上記式に当てはめることで求めたものを平均することで算出できる。
(現像剤−1の調製)
トナーを製造する際には、先ず、樹脂微粒子分散液、着色剤分散液及び離型剤分散液を製造し、それらを用いてトナー母粒子を製造した。次に、それを用いてトナーを製造した。
(樹脂微粒子分散液)
スチレンを370質量部、n−ブチルアクリレートを30質量部、アクリル酸を8質量部、ドデカンチオールを24質量部、四臭化炭素を4質量部混合して溶解した。その溶液を、非イオン性界面活性剤(ノニポール400:三洋化成(株)製)を6質量部、アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC:第一工業製薬(株)製)を10質量部、及びイオン交換水550質量部混合したフラスコに添加して乳化重合させ、10分間ゆっくり混合しながら、これに過硫酸アンモニウム4質量部を溶解したイオン交換水50質量部を投入した。窒素置換を行った後、上記フラスコ内を攪拌しながら内容物が70℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。その結果、体積平均粒子径が150nmであり、ガラス転移温度Tgが58℃であり、質量平均分子量(Mw)が11500である樹脂粒子が分散された樹脂微粒子分散液を得た。この分散液の固形分濃度は、40質量%であった。
(着色剤分散液−1)
カーボンブラック(モーガルL、キャボット製)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)6質量部及びイオン交換水240質量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒子径が250nmである着色剤(カーボンブラック)粒子が分散された着色剤分散剤−1を調製した。
(着色剤分散液−2)
シアン顔料(B15:3、大日精化社製)360質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒子径が250nmである着色剤(シアン顔料)粒子が分散された着色剤分散剤−2を調製した。
(着色剤分散液−3)
マジェンタ顔料(R122、大日精化社製)60質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒子径が250nmである着色剤(マジェンタ顔料)粒子が分散された着色剤分散剤−3を調製した。
(着色分散液−4)
イエロー顔料(Y180、クラリアント社製)90質量部、ノニオン性界面活性剤(ノニポール400、三洋化成(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合・溶解した。この混合液をホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間攪拌し、その後、アルティマイザーにて分散処理して体積平均粒子径が250nmである着色剤(イエロー顔料)粒子が分散された着色剤分散剤−4を調製した。
(離型剤分散液)
パラフィンワックス(HNP0190、日本精蝋(株)製、融点85℃)100質量部、カチオン性界面活性剤(サニゾールB50、花王(株)製)5質量部及びイオン交換水240質量部を混合し、丸型ステンレス鋼製フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて10分間分散処理した。さらに、圧力吐出型ホモジナイザーで分散処理し、体積平均粒子径が550nmである離型剤粒子が分散された離型剤分散液を調製した。
(トナー母粒子K1)
樹脂微粒子分散液を234質量部、着色剤分散液−1を30質量部、離型剤分散液を40質量部、ポリ水酸化アルミニウム(Paho2S、浅田化学社製)を0.5質量部及びイオン交換水を600質量部混合し、丸型ステンレス鋼鉄フラスコ中でホモジナイザー(ウルトラタラックスT50、IKA社製)を用いて分散処理した後、加熱用オイルバス中でフラスコ内を攪拌しながら40℃まで加熱した。40℃で30分保持した後、体積平均粒子径D50が4.5μmの凝集粒子が生成していることを確認した。さらに、加熱用オイルバスの温度を上げて56℃で1時間保持したところ、体積平均粒子径D50は5.3μmとなった。その後、この凝集体粒子を含む分散液に樹脂微粒子分散液26質量部を追加した後、加熱用オイルバスの温度を50℃として30分間保持した。この凝集体粒子を含む分散液に1N水酸化ナトリウムを追加して系のpHを5.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、磁気シールを用いて攪拌を継続しながら95℃まで加熱して4時間保持した。冷却後、トナー母粒子を濾別し、イオン交換水で4回洗浄した後、凍結乾燥してトナー母粒子K1を得た。トナー母粒子K1の体積平均粒子径D50は5.8μm、平均形状係数ML/Aは100であった。
(トナー母粒子C1)
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−2を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子C1を作製した。トナー母粒子C1の体積平均粒子径D50は5.6μm、平均形状係数ML/Aは102であった。
(トナー母粒子M1)
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−3を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子M1を作製した。トナー母粒子M1の体積平均粒子径D50は5.3μm、平均形状係数ML/Aは104であった。
(トナー母粒子Y1)
着色粒子分散液−1の代わりに着色粒子分散液−4を用いたこと以外はトナー母粒子K1と同様にしてトナー母粒子Y1を作製した。トナー母粒子Y1の体積平均粒子径D50は5.7μm、平均形状係数ML/Aは102であった。
(トナー−1)
上記トナー母粒子K1、C1、M1、Y1のそれぞれ100質量部にルチル型酸化チタン(体積平均粒子径20nm、n−デシルトリメトキシシランで処理したもの)1質量部、シリカ(体積平均粒子径40nm、気相酸化法により調製し、シリコーンオイル処理したもの)2質量部、酸化セリウム(体積平均粒子径0.7μm)1質量部、及び、高級脂肪酸アルコール(分子量700の高級脂肪酸アルコールをジェットミルで粉砕し、体積平均粒子径8.0μmとしたもの0.3質量部を5Lヘンシェルミキサーを用いて周速30m/sで15分間ブレンドを行った。その後、45μmの目開きのシーブを用いて粗大粒子を除去してトナー−1を得た。
(キャリア)
まず、トルエン14質量部、スチレン−メタクリレート共重合体(成分比:90/10)2質量部及びカーボンブラック(R330、キャボット社製)0.2質量部を10分間スターラーで撹拌させて、分散処理した被覆液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒子径50μm)100質量部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃で30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを得た。このキャリアは、1000V/cmの印加電界時の体積固有抵抗値が1011Ωcmであった。
次に、このキャリア100質量部を上記で得られたトナー−1の5質量部に加え、V−ブレンダーを用いて40rpmで20分間攪拌した。その後、212μmの目開きを有するシーブで篩分することにより現像剤1(ブラック、シアン、マジェンタ、イエローの4色)を得た。
(実施例1〜27、比較例1)
<感光体の研磨>
図6及び7に示されるものと同様の構成を有する研磨装置を用い、上記で作成した感光体−1〜7の表面を、研磨テープの粒度(0.1μm、1.0μm、10μm)とバックアップロールの感光体に対する当接圧(0.1MPa、0.5MPa、10MPa)とを表57に示される組み合わせで設定し研磨することにより、実施例1〜27の感光体を得た。なお、研磨テープは、「Imperial」(住友スリーエム社製、砥粒:酸化アルミニウム)を用いた。また、研磨処理に係る他の条件は、生産性を考慮して以下の通りとした。
感光体回転数:1000rpm
研磨テープ送り速度:25mm/分
オシレーション回数:1250cpm
バックアップロール硬度:40°
トラバース速度:30mm/分。
次に、上記の研磨処理を経て得られた実施例1〜27の感光体について、被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層の膜厚差(μm)、及び、被研磨領域における感光体表面の算術平均粗さRa(μm)を測定した。なお、膜厚差は、レーザー顕微鏡(オリンパス/島津社製、「OLS1100」)を用いて測定した。また、算術平均粗さRaは、レーザー顕微鏡(キーエンス社製、「VK−8500」)を用いて測定した。なお、算術平均粗さRaは、被研磨領域内で任意の10μm×10μmの領域を3箇所選択し、これらの領域を測定して得られた算術平均粗さを平均することにより求めた。得られた結果を表57に示す。
また、研磨処理を施さない感光体−1を比較例1の感光体とした。
<実機走行試験>
実施例1〜27の感光体及び比較例1の感光体を、図14に示すものと同様の構成を有するカラー画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docu Centre Color 500の改造機、プロセススピード:220mm/秒)の感光体としてそれぞれ搭載し、画像形成装置を構成した。そして、これらの画像形成装置を用いて実機走行試験を行った。すなわち、先ず、高温高湿(30℃、80%RH)の環境下で10万枚の画像形成(画像濃度約5%)を行い、次に、低温低湿(10℃、20%RH)の環境下にて10万枚の画像形成(画像濃度約5%)を行った。その後、剥がれの評価を下記の方法に基づいて行った。得られた結果を表57に示す。
<剥がれの評価1>
実機走行試験後の感光体表面を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
無し:最外層の剥がれが見られない。
有り:最外層の剥がれが見られる。
<感光体の磨耗量>
また、実機走行試験前後で感光体の膜厚を測定し、感光体1,000回転あたりの膜厚減量(nm/kcycle)を算出した。得られた結果を表57に示す。
Figure 2007057840

表57に示されるように、架橋構造を有するフェノール樹脂を含む保護層を有し、且つ、かかる保護層が研磨された実施例1〜27の感光体は、十分な機械的強度を有するとともに、繰り返し画像形成を行った場合であっても保護層の剥がれが十分抑制されていることが確認された。
さらに、本実施例においては、剥がれの防止に有利な感光体を見出すために、実施例及び比較例を更に追加してより精密な剥がれの評価を行うとともに、環境下における画像形成の信頼性に対してより有効な感光体を見出すため、剥がれ以外の評価も行った。
(実施例28〜48、比較例2〜7)
図6及び7に示されるものと同様の構成を有する研磨装置を用い、上記で作成した感光体−1〜7の表面を、研磨テープの粒度(0.1μm、1.0μm、10μm、15μm)とバックアップロールの感光体に対する当接圧(0.1MPa、0.5MPa、10MPa)とを表58〜60に示される組み合わせで設定し研磨することにより、実施例28〜48の感光体を得た。研磨テープ及びその他の研磨条件については、上記実施例1〜27で行った場合と同様とした。
また、研磨処理を施さなかった感光体−2〜7をそれぞれ比較例2〜7の感光体とした。
次に、実施例28〜48及び比較例2〜7の感光体について、被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層の膜厚差(μm)、及び、被研磨領域における感光体表面の算術平均粗さRa(μm)を上記と同様にして測定した。結果を表58〜60に示す。
<実機走行試験>
実施例1〜27の感光体及び比較例1の感光体、並びに、実施例28〜48の感光体及び比較例2〜7の感光体を、図14に示すものと同様の構成を有するカラー画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docu Centre Color 500の改造機、プロセススピード:220mm/秒)の感光体としてそれぞれ搭載し、画像形成装置を構成した。そして、これらの画像形成装置を用いて実機走行試験を行った。すなわち、先ず、高温高湿(30℃、80%RH)の環境下で10万枚の画像形成(画像濃度約5%)を行い、次に、低温低湿(10℃、20%RH)の環境下にて10万枚の画像形成(画像濃度約5%)を行った。その後、ストレスモード(低温低湿環境下)におけるブレードダメージの評価、クリーニング性の評価、感光体表面の付着物の評価、高温高湿環境下における画質評価、及び、剥がれの評価を下記の方法に基づいて行った。得られた結果を表58〜60に示す。
<ストレスモード(低温低湿環境下)におけるブレードダメージの評価>
上記の実機走行試験後、低温低湿(10℃、10%RH)の環境下で、A3用紙に100%濃度未転画像を5枚出力し、その直後に画像形成装置を強制的に停止させ、感光体表面のトナーのすり抜け具合を目視にて観察し、ブレードダメージを以下の評価基準に基づいて評価した。
A:問題なし。
B:部分的(全体の2%以下)にトナーのすり抜けが見られる。
C:部分的(全体の4%以下)にトナーのすり抜けが見られる。
D:広範な領域にトナーのすり抜けが見られる。
<クリーニング性の評価>
上記の実機走行試験後、28℃、80%RHの環境下で、A3用紙に100%濃度未転写画像を1枚出力し、その直後に画像形成装置を強制的に停止させ、感光体の表面を目視にて観察し、クリーニング不良の度合いを以下の評価基準に基づいて評価した。
A:問題なし。
B:部分的(全体の2%以下)にクリーニング不良が見られる。
C:部分的(全体の5%以下)にクリーニング不良が見られる。
D:広範な領域にクリーニング不良が見られる。
<付着物の評価>
実機走行試験後の感光体表面を目視により観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:付着物なし。
B:部分的(全体の3%以下)に付着物が見られる。
C:部分的(全体の6%以下)に付着物が見られる。
D:広範な領域に付着物が見られる。
<高温高湿環境下における画質評価>
上記実機走行試験を行った後、高温高湿(28℃、80%RH)の環境下での画像形成を行い、そのときの画質(1dotライン斜め45度細線再現性および30%ハーフトーン再現性)を、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:問題なし。
B:若干の細線の細り、又は、ごく僅かにハーフトーンの濃度異常が見られる。
C:細線の細り、又は、僅かにハーフトーンの濃度異常が見られる。
D:細線の一部消失、又は、ハーフトーンの濃度異常が見られる。
<剥がれの評価2>
上記実機走行試験を行った後の電子写真感光体の表面(保護層の表面)を目視にて観察し、表面のスジ状ハガレ(プロセス方向1mm、幅0.5mm以上のハガレ)の個数をカウントし、以下の評価基準に基づいて評価した。なお、ハガレの大きさは光学顕微鏡により確認した。
A:感光体上にスジ状ハガレが発見されない。
B:感光体上にスジ状ハガレが5個以下確認される。
C:感光体上にスジ状ハガレが5個を超え20個以下確認される。
D:感光体上にスジ状ハガレが20個を超え確認される。
Figure 2007057840

Figure 2007057840

Figure 2007057840

表58〜60に示されるように、被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層の膜厚差が0.2〜2.0μmの範囲内であり、被研磨領域における保護層表面の平均粗さRaが0.01〜0.03μmの範囲内にある実施例1〜27の感光体は、ストレスモード(低温低湿環境下)におけるブレードダメージの評価、クリーニング性の評価、感光体表面の付着物の評価、高温高湿環境下における画質評価、及び、剥がれの評価2のすべてにおいて良好な結果を示すことが確認された。
さらに、本実施例においては、本発明の感光体を歩留まりよく製造する観点から、研磨処理の条件について更に検討を行った。研磨条件の検討にあたっては、上記実施例1〜48に追加して、以下の実施例49〜64を更に行った。
(実施例49〜64)
上記で得られた感光体−1〜7の表面を、研磨テープの粒度(0.1μm、1.0μm、10μm、15μm)と当接圧(0.1MPa、0.5MPa、10MPa、13MPa)とを表61及び62に示される組み合わせで設定し研磨することにより、実施例49〜64の感光体を得た。研磨テープ及びその他の研磨条件については、上記実施例1〜27で行った場合と同様とした。
実施例49〜64の感光体について、被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層の膜厚差(μm)、及び、被研磨領域における感光体表面の算術平均粗さRa(μm)を上記と同様にして測定した。結果を表61及び62に示す。
<研磨時のフィルミングの評価>
研磨処理後の実施例1〜64の感光体の表面を目視にて観察し、フィルミング発生の有無について、以下の評価基準に基づいて評価した。結果を表61及び62に示す。
A:研磨テープの研磨粒子及び結着樹脂に起因するフィルミングが見られる。
B:フィルミングが見られない。
Figure 2007057840

Figure 2007057840

表61及び62に示されるように、10MPa以下の当接圧で研磨処理を行った実施例では、生産性を十分確保しつつ研磨時のフィルミングの発生を十分防止できることが確認された。また、研磨テープの粒度が10μmを超えると被研磨領域における保護層表面の平均粗さRaを上記した好ましい範囲に制御することが困難となるため、優れた特性を有する感光体を歩留まりよく製造する観点からは、当接圧を10MPa以下、研磨テープの粒度を10μm以下として研磨処理を行うことが好ましいことが分かった。
(比較例8〜11)
図6及び7に示されるものと同様の構成を有する研磨装置を用い、上記で作成した感光体−8の表面を、研磨テープの粒度(0.1μm)とバックアップロールの感光体に対する当接圧(0.1MPa、0.5MPa、10MPa、13MPa)とを表63に示される組み合わせで設定し研磨することにより、比較例8〜11の感光体を得た。研磨テープ及びその他の研磨条件については、上記実施例1〜27で行った場合と同様とした。
次に、比較例8〜11の感光体について、被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における感光層の膜厚差(μm)、及び、被研磨領域における感光体表面の算術平均粗さRa(μm)を上記と同様にして測定した。結果を表63に示す。
Figure 2007057840

比較例8の感光体は、粒度を0.1μm、当接圧0.1MPaの条件で研磨されたものであるが、感光体表面に局所的なスクラッチ(深い溝)が多数発生し、使用初期から画質欠陥を発生した。また、比較例9〜11の感光体も同様に、感光体表面に局所的なスクラッチ(深い溝)が多数発生し、使用初期から画質欠陥を発生した。
本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明の電子写真感光体の好適な他の実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る研磨工程で使用される研磨装置の好適な実施形態を示す概略構成図である。 本発明に係る研磨工程を本発明に係る研磨工程で使用される研磨装置の好適な実施形態を示す模式断面図である。 本発明に係る研磨工程前後における電子写真感光体を示す模式断面図である。 本発明に係る電子写真感光体の(a)研磨前及び(b)研磨後の表面のレーザー顕微鏡画像である。 本発明に係る、被研磨領域を含む250μm×250μmの領域を示す模式図である。 本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の好適な他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の好適な他の実施形態を示す概略構成図である。 本発明の画像形成装置の好適な他の実施形態を示す概略構成図である。 突起状欠陥の断面を示す模式図である。
符号の説明
1…電子写真感光体、2…ワークホルダー、3…研磨テープ、4…供給スプール、5,9…テンションローラ、6,8…ガイドローラ、7…バックアップローラ、10…回収スプール、11…導電性支持体、12…感光層、13…下引き層、14…電荷発生層、15…電荷輸送層、16…保護層、17…電荷発生/電荷輸送層、18…突起状欠陥、19…被研磨領域、20…プロセスカートリッジ、100,110,120,130…画像形成装置。

Claims (5)

  1. 導電性支持体及び該支持体上に設けられた感光層を有する電子写真感光体であって、
    前記感光層が、前記導電性支持体から最も遠い側に、架橋構造を有するフェノール樹脂を含むフェノール樹脂含有層を備え、
    前記フェノール樹脂含有層が、前記フェノール樹脂含有層を研磨することによって形成された被研磨領域を有していることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記被研磨領域を含む250μm×250μmの領域における前記感光層の膜厚差が0.2〜2μmであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記被研磨領域における前記フェノール樹脂含有層表面の算術平均粗さ(Ra)が0.01〜0.03μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段、及び、前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するためのクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
    を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、
    帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成するための露光手段と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、
    前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体に転写するための転写手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012203028A (ja) * 2011-03-23 2012-10-22 Ricoh Co Ltd 電子写真感光体、画像形成装置、プロセスカートリッジ
JP2021039194A (ja) * 2019-09-02 2021-03-11 株式会社リコー 感光体ドラム、画像形成装置および感光体ドラム再生方法

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