JP2009157103A - 画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents
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Abstract
【課題】 初期段階のクリーニング性が良好であり、長期に亘って良好なクリーニング性を維持でき、初期段階から長期に亘り良好な画質の画像を形成できる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 導電性支持体2及び感光層3を有する電子写真感光体1と、帯電装置21と、露光装置30と、現像装置25と、転写装置40と、クリーニング装置27と、を備え、感光層3が、支持体2から最も遠い側に配置された保護層7を有し、該保護層7の表面が、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されており、クリーニング装置27が、感光体1に当接する弾性ゴム部材を有するクリーングブレードを備え、弾性ゴム部材の23℃におけるJIS A硬さが75以上95以下である、画像形成装置。
【選択図】 図9
【解決手段】 導電性支持体2及び感光層3を有する電子写真感光体1と、帯電装置21と、露光装置30と、現像装置25と、転写装置40と、クリーニング装置27と、を備え、感光層3が、支持体2から最も遠い側に配置された保護層7を有し、該保護層7の表面が、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されており、クリーニング装置27が、感光体1に当接する弾性ゴム部材を有するクリーングブレードを備え、弾性ゴム部材の23℃におけるJIS A硬さが75以上95以下である、画像形成装置。
【選択図】 図9
Description
本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
従来、電子写真方式の画像形成装置としては、電子写真感光体(以下、場合により「感光体」という)を用いて帯電、露光、現像、転写、クリーニング等の工程を順次行う装置が広く知られている。このような画像形成装置の分野では、近年、装置の高画質化及び長寿命化に対する要求が高く、また、省エネ等によるオフィス環境の変化により、あらゆる使用環境における高信頼性が求められ、かかる要求に応えるべく各部材、システムの改善が検討されている。
例えば、画像書き込みに使用される感光体は、帯電やクリーニング等の際にストレスを受けやすく、感光体表面に傷や磨耗が発生すると画像欠陥の原因となる。そこで、感光体の表面にフェノール樹脂を架橋させてなる保護層を設け、感光体の機械的強度を向上させる方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
しかし、上記のように感光体の耐久性を向上させた保護層における最大の課題として、帯電により発生した放電生成物が感光体の表面に付着し、耐磨耗性が優れるが故に放電生成物をクリーニング手段で十分に掻き取れないという課題がある。そのため、例えば高温高湿下において画像流れが発生する等の問題が生じやすい。
この課題に対して、感光体表面の弾性変位率を規定するとともに、感光体表面に傷を付け、その傷に放電生成物を誘導する等の手段が提案されている(例えば、下記特許文献3参照)。しかし、かかる感光体を用いた画像形成装置は、クリーニング時に放電生成物を線状傷に閉じ込めるものであるため、繰り返し使用時に問題が生じやすい。また、かかる感光体を用いた画像形成装置では、市場での高画質要求に対し、現像剤の粒径を小さくすることや面発光レーザーを使用することで高解像度化を図ることが困難である。
一方、クリーニング部材についても検討がなされている。有機感光体を用いて繰り返し画像形成を行う場合、その過程でクリーニング部材のブレードめくれによるクリーニング不良や、感光体表面層の摩耗、損傷による性能劣化が生じやすい。こうした問題を改善するため、反発弾性が35以上75%以下のウレタンゴムブレードを用い、且つ、クリーニングブレードに対する感光体の静止摩擦係数を0.1以上1.0以下に設定した画像形成方法が提案されている(下記特許文献4参照)。しかし、耐久性に優れた保護層を有する画像形成装置では、長期に亘るクリーニング性の維持に課題がある。
また、上記の他にもクリーニングブレードの物性等を規定した画像形成方法が提案されているが(例えば、下記特許文献5及び6参照)、依然として長期に亘るクリーニング性の維持に課題がある。
更に、摩耗量や表面粗さを規定した電子写真感光体が提案されているが(例えば、下記特許文献7参照)、このような感光体は、高温高湿下における初期トルクが高くなりやすく、クリーニングブレードの挙動が安定せずにクリーニング不良を起しやすい。
特開2002−82469号公報
特開2003−186234号公報
特開2006−11047号公報
特開平8−83028号公報
特開平8−320640号公報
特開2006−259312号公報
特開2001−255682号公報
上述したように、電子写真感光体の耐久性向上のために最表面層の機械的強度を高めると、帯電プロセス時に発生する放電生成物のクリーニングを従来の感光体と同様に十分に行うことが困難となり、高温高湿下で画像流れが発生しやすくなる。
このような課題に対して、クリーニングブレードの感光体との当接圧を高く設定することで放電生成物のクリーニング性を高め、画像流れの不具合を解消する方法が用いられている。また、高画質化のために重合トナーを用いる際、真球に近いトナーや小径のトナーが用いられるため、こうしたトナーのクリーニング性を確保するためにも、クリーニングブレードと感光体との当接圧を高く設定する手段が用いられている。
しかしながら、クリーニングブレードと感光体との当接圧を高く設定した場合、ゴム部材で構成されているクリーニングブレードは、感光体との摩擦によりゴム部材がスティックアンドスリップ現象を引き起こし、トナーのすり抜けによるクリーニング不良が発生して画質欠陥を引き起こしやすいという問題がある。この現象は、クリーニングブレード及び感光体が新品の時に顕著に発生しやすく、初期段階から長期に亘って画像形成装置として十分な機能を果たせず、高画質化を達成することが困難である。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、使用初期段階のクリーニング性が良好であるとともに、長期に亘って良好なクリーニング性を維持することができ、初期段階から長期に亘って良好な画質の画像を形成することができる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、上記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した上記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光装置と、上記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、上記トナー像を上記電子写真感光体から被転写体に転写する転写装置と、上記電子写真感光体上に残存したトナーを除去するクリーニング装置と、を備える画像形成装置であって、上記感光層が、上記導電性支持体から最も遠い側に配置された最表面層としての保護層を有し、該保護層の表面が、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されており、上記クリーニング装置が、上記電子写真感光体に当接する弾性ゴム部材を有するクリーングブレードを備え、上記弾性ゴム部材の23℃におけるJIS A硬さがA75以上A95以下であることを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明はまた、導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、上記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した上記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光装置、及び、上記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置からなる群より選ばれる少なくとも一種と、上記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング装置と、を備えるプロセスカートリッジであって、上記感光層が、上記導電性支持体から最も遠い側に配置された最表面層としての保護層を有し、該保護層の表面が、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されており、上記クリーニング装置が、上記電子写真感光体に当接する弾性ゴム部材を有するクリーングブレードを備え、上記弾性ゴム部材の23℃におけるJIS A硬さがA75以上A95以下であることを特徴とするプロセスカートリッジを提供する。
かかる画像形成装置及びプロセスカートリッジにおいては、上記特定の電子写真感光体と上記特定のクリーニング装置とを組み合わせて用いることにより、使用初期段階で良好なクリーニング性が得られるとともに、長期に亘って良好なクリーニング性を維持することができ、初期段階から長期に亘って良好な画質の画像を形成することが可能となる。特に、上記電子写真感光体が最表面に耐磨耗性の高い保護層を有していても、研磨又は表面加工処理により表面を粗面化することでクリーニング装置の弾性ゴム部材との摩擦を低減することができ、クリーニングブレードとの当接圧を高くしても画像形成装置の使用開始時から安定したクリーニング動作を行うことが可能となる。また、クリーニング装置の弾性ゴム部材の硬さを上記の範囲内とし、且つ、耐磨耗性に優れた保護層を用いることで、長期に亘って使用した場合でも良好なクリーニング性が維持され、良好な画質の画像を形成することができる。但し、保護層表面の十点平均粗さ(Rz)が0.2μm未満では、クリーニングブレードと感光体との摩擦により弾性ゴム部材がスティックアンドスリップ現象を引き起こし、トナーのすり抜けによるクリーニング不良やブレード鳴きが発生し、1.5μmを超えると、長期にわたり繰り返し使用すると、クリーニング不良が発生して画質に影響する。保護層表面の十点平均粗さ(Rz)を上記本願特定の範囲内とすることにより、これらの問題を解決し、使用初期段階から長期に亘って良好なクリーニング性が得られ、良好な画質の画像を形成することが可能となる。
また、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジにおいて、上記電子写真感光体は、初期の表面のダイナミック硬度に対して、最表面から1μm減膜した時の表面のダイナミック硬度の変化率が35%以下であることが好ましい。
ここで、本発明でいう「ダイナミック硬度」とは、以下のように定義される。すなわち、本発明のダイナミック硬度とは、ベルコビッチ型圧子(三角錐型、稜間角115°、先端曲率半径0.1μm以下のダイアモンド圧子)を電子写真感光体の感光層表面に対して垂直に0.3mNの応力で押し込んだときの押込み深さから、下記式(A)に基づき算出される値を言う。
DH=3.8584×(P/D2) (A)
[式中、DHはダイナミック硬度(単位:N/m2)を示し、Pは押込み荷重(単位:N)を示し、Dは押込み深さ(単位:m)を示す。ここで、ダイアモンド圧子は、微小硬度測定装置(島津製作所社製、「DUH−201」)に装着されているものであり、押込み深さは圧子の変位から、押込み荷重は圧子につけたロードセルからそれぞれ読み取る。]
DH=3.8584×(P/D2) (A)
[式中、DHはダイナミック硬度(単位:N/m2)を示し、Pは押込み荷重(単位:N)を示し、Dは押込み深さ(単位:m)を示す。ここで、ダイアモンド圧子は、微小硬度測定装置(島津製作所社製、「DUH−201」)に装着されているものであり、押込み深さは圧子の変位から、押込み荷重は圧子につけたロードセルからそれぞれ読み取る。]
従来の感光体において初期画像流れが発生するのは、初期の最表面の硬度が内部に比べて高いことが要因の一つになっていることを本発明者らは見出した。そこで、上述した最表面層の粗面化により表面の硬い部分を除去し、上記硬度の変化率が上記範囲内となるようにすることで、初期段階での画像流れの発生を十分に抑制することが可能となる。
また、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジにおいて、上記電子写真感光体は、上記保護層の表面に研磨又は表面加工処理により形成された線状痕を有し、該線状痕は、上記電子写真感光体と上記クリーニングブレードとの接線に対して30°以上150°以下の角度を成すように形成されていることが好ましい。
線状痕の角度が上記範囲外であると、感光体とクリーニングブレードとの接線に平行に近づくため、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れが発生しやすくなる。線状痕の角度を上記範囲内とすることにより、クリーニング不良やクリーニングブレードの捲れの発生をより十分に抑制することができる。更に、感光体と弾性ゴム部材との摩擦を低減することができ、感光体を駆動させる力を低減できるとともに、感光体と弾性ゴム部材との摩擦により生じるブレード鳴きを防止することができる。
また、上記線状痕は、上記電子写真感光体と上記クリーニングブレードとの接線に対して全て略同一の角度を成すように形成されていることが好ましい。弾性ゴム部材は、線状痕に対して追従する傾向があることから、線状痕が感光体とクリーニングブレードとの接線に対して複数の方向から進入すると、クリーニング不良やクリーニングブレードの微振動等が生じやすくなる。線状痕が、感光体とクリーニングブレードとの接線に対して全て略同一の角度を成すように形成されていることにより、上記の問題を十分に改善することができ、良好なクリーニング性を得ることができる。
更に、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジにおいて、上記クリーニング装置は、支持部材と、該支持部材に板バネを介して取り付けられた上記クリーニングブレードと、を有することが好ましい。クリーニングブレードが板バネを介して支持部材に取り付けられていることにより、弾性ゴム部材の感光体に当接する圧力が板バネによりコントロールされ、環境変動や経時による劣化(へたり等)を防止でき、さらに、板バネを用いる事によりクリーニングブレードの反転や捲れが発生し難くなることから、様々なクリーニングパラメータを実現することができる。
本発明によれば、使用初期段階のクリーニング性が良好であるとともに、長期に亘って良好なクリーニング性を維持することができ、初期段階から長期に亘って良好な画質の画像を形成することができる画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(電子写真感光体)
図1は、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジに用いられる電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2と、感光層3とから構成されている。感光層3は、導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7がこの順序で積層された構造を有している。図1に示す電子写真感光体1において、最表面層である保護層7の表面は、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されている。
図1は、本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジに用いられる電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。図1に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2と、感光層3とから構成されている。感光層3は、導電性支持体2上に、下引層4、電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7がこの順序で積層された構造を有している。図1に示す電子写真感光体1において、最表面層である保護層7の表面は、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されている。
また、図2乃至5は、それぞれ電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。図2及び3に示す電子写真感光体は、図1に示す電子写真感光体と同様に電荷発生層5と電荷輸送層6とに機能が分離された感光層3を備えるものである。また、図4及び5は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層(単層型感光層8)に含有するものである。
図2に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に電荷発生層5、電荷輸送層6及び保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図3に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、電荷輸送層6、電荷発生層5、保護層7が順次積層された構造を有するものである。図2及び3に示す電子写真感光体1において、最表面層である保護層7の表面は、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されている。
また、図4に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に下引層4、単層型感光層8及び保護層7が順次積層された構造を有するものである。また、図5に示す電子写真感光体1は、導電性支持体2上に単層型感光層8及び保護層7が順次積層された構造を有するものである。図4及び5に示す電子写真感光体1において、最表面層である保護層7の表面は、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されている。
上記のように、電子写真感光体が備える感光層は、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含有する単層型感光層、又は電荷発生材料を含有する層(電荷発生層)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層)とを別個に設けた機能分離型感光層のいずれであってもよい。機能分離型感光層の場合、電荷発生層と電荷輸送層の積層順序はいずれが上層であってもよい。なお、機能分離型感光層の場合、それぞれの層がそれぞれの機能を満たせばよいという機能分離ができるため、より高い機能を実現できる。
以下、代表例として図1に示す電子写真感光体1に基づいて、各要素について説明する。
導電性支持体2としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、ステンレス、クロム、ニッケル、モリブデン、バナジウム、インジウム、金、白金等の金属又は合金を用いて構成される金属板、金属ドラム、金属ベルト等が挙げられる。また、導電性支持体2としては、導電性ポリマー、酸化インジウム等の導電性化合物やアルミニウム、パラジウム、金等の金属又は合金を塗布、蒸着又はラミネートした紙、プラスチックフィルム、ベルト等も使用できる。
なお、感光体1がレーザープリンターに使用される場合には、レーザーの発振波長としては350nm以上850nm以下のものが好ましく、短波長のものほど解像度に優れるため好ましい。導電性支持体2の表面は、レーザー光を照射する際に生じる干渉縞を防止するために、中心線平均粗さRaで0.04μm以上0.5μm以下に粗面化することが好ましい。導電性支持体2の表面のRaが0.04μm未満であると、鏡面に近くなるので干渉防止効果が不十分となる傾向がある。他方、Raが0.5μmを越えると、被膜を形成しても画質が不十分となる傾向がある。非干渉光を光源に用いる場合には、干渉縞防止の粗面化は特に必要なく、導電性支持体2表面の凹凸による欠陥の発生が防げるため、より長寿命化に適する。
粗面化の方法としては、研磨剤を水に懸濁させて支持体に吹き付けることによって行う湿式ホーニング、又は回転する砥石に支持体を圧接し、連続的に研削加工を行うセンタレス研削、陽極酸化処理、又は、有機若しくは無機の半導電性微粒子を含有する層を形成する方法等が挙げられる。
また、他の粗面化の方法としては、導電性支持体2表面を粗面化することなく、有機又は無機の導電性又は半導電性粉体を樹脂中に分散させて、支持体表面上に層を形成し、その層中に分散させる微粒子により粗面化する方法も好ましく用いられる。
上記陽極酸化処理は、アルミニウムを陽極とし電解質溶液中で陽極酸化することによりアルミニウム表面に酸化膜を形成するものである。電解質溶液としては、硫酸溶液、シュウ酸溶液等が挙げられる。しかし、そのままの多孔質陽極酸化膜は、化学的に活性であり、汚染され易く、環境による抵抗変動も大きい。そこで、陽極酸化膜の微細孔を加圧水蒸気又は沸騰水中(ニッケル等の金属塩を加えてもよい)で水和反応による体積膨張でふさぎ、より安定な水和酸化物に変える封孔処理を行う。
陽極酸化膜の膜厚については、0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
また、導電性支持体2には、酸性水溶液による処理又はベーマイト処理を施してもよい。リン酸、クロム酸及びフッ酸からなる酸性処理液による処理は以下のようにして実施される。先ず、酸性処理液を調整する。酸性処理液におけるリン酸、クロム酸及びフッ酸の配合割合は、リン酸が10質量%以上11質量%以下の範囲、クロム酸が3質量%以上5質量%以下の範囲、フッ酸が0.5質量%以上2質量%以下の範囲であって、これらの酸全体の濃度は13.5質量%以上18質量%以下の範囲が好ましい。処理温度は42℃以上48℃以下が好ましいが、処理温度を高く保つことにより、一層速く、かつ厚い被膜を形成することができる。被膜の膜厚は、0.3μm以上15μm以下が好ましい。0.3μm未満であると、注入に対するバリア性が乏しく効果が不十分となる傾向がある。他方、15μmを超えると、繰り返し使用による残留電位の上昇を招く傾向がある。
ベーマイト処理は、90℃以上100℃以下の純水中に5分間以上60分間以下浸漬すること、又は90℃以上120℃以下の加熱水蒸気に5分間以上60分間以下接触させることにより行うことができる。被膜の膜厚は、0.1μm以上5μm以下が好ましい。これをさらにアジピン酸、硼酸、硼酸塩、燐酸塩、フタル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩等の被膜溶解性の低い電解質溶液を用いて陽極酸化処理してもよい。
有機若しくは無機の半導電性微粒子を含有する層を形成する場合、有機又は無機の半導電性微粒子としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミ等の無機顔料が挙げられる。これらの顔料の中では、酸化亜鉛、酸化チタンが電荷輸送能が高く厚膜化に有効であり、好ましい。
これら顔料の表面は、分散性改善又はエネルギーレベルの調整等の目的で、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等で表面処理してもよい。特に、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス−2−メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤で処理することが好ましい。
有機又は無機の半導電性微粒子は、多すぎると層の強度が低下して塗膜欠陥を生じるため、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下で使用される。
有機又は無機の半導電性微粒子の混合/分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、超音波等を用いる方法が適用される。混合/分散は有機溶剤中で行われるが、有機溶剤としては、有期金属化合物や樹脂を溶解し、また、有機又は無機の半導電性微粒子を混合/分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤を単独で又は2種以上混合して用いることができる。
下引層4は、有機金属化合物及び/又は結着樹脂を含有して構成される。
有機金属化合物としては、ジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムアルコキシド化合物、ジルコニウムカップリング剤等の有機ジルコニウム化合物、チタンキレート化合物、チタンアルコキシド化合物、チタネートカップリング剤等の有機チタン化合物、アルミニウムキレート化合物、アルミニウムカップリング剤等の有機アルミニウム化合物のほか、アンチモンアルコキシド化合物、ゲルマニウムアルコキシド化合物、インジウムアルコキシド化合物、インジウムキレート化合物、マンガンアルコキシド化合物、マンガンキレート化合物、スズアルコキシド化合物、スズキレート化合物、アルミニウムシリコンアルコキシド化合物、アルミニウムチタンアルコキシド化合物、アルミニウムジルコニウムアルコキシド化合物等が挙げられる。
有機金属化合物としては、残留電位が低く良好な電子写真特性を示すため、特に有機ジルコニウム化合物、有機チタニル化合物、有機アルミニウム化合物が好ましく使用される。
結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリアミド、ポリイミド、カゼイン、ゼラチン、ポリエチレン、ポリエステル、フェノール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリウレタン、ポリグルタミン酸、ポリアクリル酸等の公知のものが挙げられる。これらを2種以上組み合わせて使用する場合には、その混合割合は、必要に応じて適宜設定することができる。
また、下引層4には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス2メトキシエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−2−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、β−3,4−エポキシシクロヘキシルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を含有させてもよい。
また、下引層4中には、低残留電位化や環境安定性の観点から、電子輸送性顔料を混合/分散して使用することもできる。電子輸送性顔料としては、特開昭47−30330号公報に記載のペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、インジゴ顔料、キナクリドン顔料等の有機顔料、また、シアノ基、ニトロ基、ニトロソ基、ハロゲン原子等の電子吸引性の置換基を有するビスアゾ顔料やフタロシアニン顔料等の有機顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機顔料が挙げられる。
これらの顔料の中では、ペリレン顔料、ビスベンズイミダゾールペリレン顔料、多環キノン顔料、酸化亜鉛又は酸化チタンが、電子移動性が高いので好ましく使用される。
また、これらの顔料の表面は、分散性、電荷輸送性を制御する目的で上記カップリング剤や、結着樹脂等で表面処理してもよい。
電子輸送性顔料は多すぎると下引層4の強度を低下させ、塗膜欠陥の原因となるため、下引層4の固形分全量を基準として好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下で使用される。
また、下引層4には、電気特性の向上や光散乱性の向上等の目的により、各種の有機化合物の微粉末若しくは無機化合物の微粉末を添加することが好ましい。特に、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料やアルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やポリテトラフルオロエチレン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が有効である。
添加微粉末の粒径は、0.01μm以上2μm以下のものが好ましい。微粉末は必要に応じて添加されるが、その添加量は下引層4の固形分全量を基準として、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
下引層4は上述した各構成材料を含有する下引層形成用塗布液を用いて形成される。下引層形成用塗布液に使用される有機溶剤としては、有機金属化合物や結着樹脂を溶解し、また、電子輸送性顔料を混合及び/又は分散したときにゲル化や凝集を起こさないものであればよい。
有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常のものが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
各構成材料の混合及び/又は分散方法は、ボールミル、ロールミル、サンドミル、アトライター、振動ボールミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、超音波等を用いる常法が適用される。混合及び/又は分散は有機溶剤中で行われる。
下引層4を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
乾燥は、通常、溶剤を蒸発させ、成膜可能な温度で行われる。特に、酸性溶液処理、ベーマイト処理を行った導電性支持体2は、基材の欠陥隠蔽力が不十分となり易いため、下引層4を形成することが好ましい。
下引層4の膜厚は、好ましくは0.1μm以上30μm以下、より好ましくは0.2μm以上25μm以下である。
電荷発生層5は、電荷発生材料、さらには必要に応じて結着樹脂を含んで構成される。
電荷発生材料は、ビスアゾ、トリスアゾ等のアゾ顔料、ジブロモアントアントロン等の縮環芳香族顔料、ペリレン顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料等の有機顔料や三方晶セレン、酸化亜鉛等の無機顔料等、公知のものを使用することができる。電荷発生材料としては、380nm以上500nm以下の露光波長の光源を用いる場合には、無機顔料が好ましく、700nm以上800nm以下の露光波長の光源を用いる場合には、金属及び無金属フタロシアニン顔料が好ましい。その中でも、特開平5−263007号公報及び特開平5−279591号公報に開示されたヒドロキシガリウムフタロシアニン、特開平5−98181号公報に開示されたクロロガリウムフタロシアニン、特開平5−140472号公報及び特開平5−140473号公報に開示されたジクロロスズフタロシアニン、特開平4−189873号公報及び特開平5−43813号公報に開示されたチタニルフタロシアニンが特に好ましい。
また、電荷発生材料としては、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、及び28.3°に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の27.2°に強い回折ピークを持つチタニルフタロシアニン、CuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、16.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを持つクロロガリウムフタロシアニンも好ましい。
結着樹脂としては、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。また、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン、ポリビニルピレン、ポリシラン等の有機光導電性ポリマーから選択することもできる。
好ましい結着樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層5は、電荷発生材料を蒸着により、又は電荷発生材料及び結着樹脂を含有する電荷発生層形成用塗布液を用いて形成される。電荷発生層5を電荷発生層形成用塗布液を用いて形成する場合、電荷発生材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1乃至1:10の範囲が好ましい。
電荷発生層形成用塗布液に上記各構成材料を分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法等の通常の方法を用いることができる。これらの分散方法によれば、分散による電荷発生材料の結晶型の変化を防止することができる。さらにこの分散の際、粒子を好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.3μm以下、さらに好ましくは0.15μm以下の粒子サイズにすることが有効である。
分散に用いる溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエン等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
電荷発生層形成用塗布液を用いて電荷発生層5を形成する際には、塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷発生層5の膜厚は、好ましくは0.1μm以上5μm以下、より好ましくは0.2μm以上2.0μm以下である。
電荷輸送層6は、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有して、又は高分子電荷輸送材を含有して構成される。
電荷輸送材料としては、p−ベンゾキノン、クロラニル、ブロマニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン等のフルオレノン化合物、キサントン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノビニル系化合物、エチレン系化合物等の電子輸送性化合物、トリアリールアミン系化合物、ベンジジン系化合物、アリールアルカン系化合物、アリール置換エチレン系化合物、スチルベン系化合物、アントラセン系化合物、ヒドラゾン系化合物等の正孔輸送性化合物が挙げられるが、特にこれらに限定されない。これらの電荷輸送材料は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
また、電荷輸送材料としては、モビリティーの観点から、下記一般式(a−1)、(a−2)又は(a−3)で示される化合物が好ましい。
上記式(a−1)中、R34はメチル基を、k10は0以上2以下の整数を示す。また、Ar6及びAr7はそれぞれ独立に置換もしくは未置換のアリール基、−C6H4−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−C6H4−CH=CH−CH=C(Ar’)2を示し、置換基としてはハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、又は炭素数1以上3以下のアルキル基で置換された置換アミノ基が挙げられる。また、R38、R39、R40は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は、置換若しくは未置換のアリール基を、Ar’は置換又は未置換のアリール基を示す。
上記式(a−2)中、R35及びR35’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基又は炭素数1以上5以下のアルコキシ基を、R36、R36’、R37及びR37’はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、置換若しくは未置換のアリール基、−C(R38)=C(R39)(R40)、又は、−CH=CH−CH=C(Ar’)2を、R38、R39及びR40はそれぞれ独立に水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基、又は置換若しくは未置換のアリール基を、Ar’は置換又は未置換のアリール基を示す。また、m4及びm5はそれぞれ独立に0以上2以下の整数を示す。
上記式(a−3)中、R41は水素原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、又は、−CH=CH−CH=C(Ar’)2を示す。Ar’は、置換又は未置換のアリール基を示す。R42、R42’、R43、及びR43’はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上5以下のアルキル基、炭素数1以上5以下のアルコキシ基、炭素数1以上2以下のアルキル基で置換されたアミノ基、又は置換若しくは未置換のアリール基を示す。
電荷輸送層6に用いる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(質量比)は、10:1乃至1:5が好ましい。
また、高分子電荷輸送材としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の電荷輸送性を有する公知のものを用いることができる。特に、特開平8−176293号公報や特開平8−208820号公報に示されているポリエステル系高分子電荷輸送材は、高い電荷輸送性を有しており、特に好ましいものである。
高分子電荷輸送材はそれだけでも電荷輸送層6の構成材料として使用可能であるが、上記結着樹脂と混合して成膜してもよい。
電荷輸送層6は、上記構成材料を含有する電荷輸送層形成用塗布液を用いて形成される。
電荷輸送層形成用塗布液の溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロンゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等の環状若しくは直鎖状のエーテル類等の通常の有機溶剤が挙げられる。これらは1種を単独で或いは2種以上を混合して用いることができる。また、上記各構成材料の分散方法としては、公知の方法を使用できる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。
電荷輸送層6の膜厚は、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは10μm以上30μm以下である。
保護層7は、導電性支持体2から最も遠い側に配置された最表面層であり、最表面の磨耗、傷などに対する耐性を持たせ、且つ、トナーの転写効率を上げるために設けられる層である。そして、保護層7は、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されている。
保護層7は、架橋構造を有するフェノール樹脂を含んで構成されていることが好ましく、電荷輸送性を有し且つ架橋構造を有するフェノール樹脂を含んで構成されていることがより好ましい。また、保護層7は、メラミン樹脂及び/又はグアナミン樹脂を含んで構成されていることも好ましい。これらメラミン樹脂及びグアナミン樹脂も、架橋構造を有していることが好ましく、電荷輸送性を有し且つ架橋構造を有していることが好ましい。これらフェノール樹脂、メラミン樹脂及びグアナミン樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記フェノール樹脂としては、例えば、メチロール基を有するフェノール誘導体と、反応性官能基を有する電荷輸送性物質とを含んで構成されるフェノール樹脂が挙げられる。なお、反応性官能基を有する電荷輸送性物質は、フェノール樹脂の構成成分として架橋構造に組み込まれていることが好ましい。
メチロール基を有するフェノール誘導体としては、モノメチロールフェノール類、ジメチロールフェノール類若しくはトリメチロールフェノール類のモノマー、それらの混合物、それらがオリゴマー化されたもの、又はそれらモノマーとオリゴマーの混合物が挙げられる。このようなメチロール基を有するフェノール誘導体は、レゾルシン、ビスフェノール等、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール等の水酸基を1個含む置換フェノール類、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等の水酸基を2個含む置換フェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールZ等のビスフェノール類、ビフェノール類等、フェノール構造を有する化合物と、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド等とを、酸触媒又はアルカリ触媒下で反応させることで得られるもので、一般にフェノール樹脂として市販されているものも使用できる。なお、本明細書では、分子の構造単位の繰り返しが2以上20以下程度の比較的大きな分子をオリゴマーといい、それ以下のものをモノマーという。
上記酸触媒としては、硫酸、パラトルエンスルホン酸、リン酸等が用いられる。また、アルカリ触媒としては、NaOH、KOH、Ca(OH)2、Ba(OH)2等のアルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物やアミン系触媒が用いられる。
アミン系触媒としては、アンモニア、ヘキサメチレンテトラミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。塩基性触媒を使用した場合には、残留する触媒によりキャリアが著しくトラップされ、電子写真特性を悪化させる傾向がある。そのため、酸で中和するか、シリカゲル等の吸着剤や、イオン交換樹脂等と接触させることにより不活性化又は除去することが好ましい。
また、メチロール基を有するフェノール誘導体としては、レゾール型フェノール樹脂が好ましい。
上記グアナミン樹脂及びメラミン樹脂は、グアナミン構造又はメラミン構造を有する公知の化合物を用いることができ、グアナミン又はメラミンとホルムアルデヒドとを用いて公知の方法(例えば、実験化学講座第4版、28巻、430ページ)で合成することができる。
ここで、グアナミンとして具体的には、例えば、下記式(A−1)乃至(A−22)で表される化合物が挙げられる。また、メラミンとして具体的には、例えば、下記式(B−1)乃至(B−6)で表される化合物が挙げられる。なお、表中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、n−Buはn−ブチル基を、Phはフェニル基を示す。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよいが、混合して又はオリゴマーとして使用することで溶解性を向上できるため、より好ましい。
なお、グアナミン樹脂の市販品として、例えば、スーパーベッカミン(R)L−148−55、スーパーベッカミン(R)13−535、スーパーベッカミン(R)L−145−60、スーパーベッカミン(R)TD−126(以上、大日本インキ社製)、ニカラックBL−60、ニカラックBX−4000(以上、日本カーバイド社製)などが挙げられる。また、メラミン樹脂の市販品として、例えば、スーパーメラミンNo.90(日本油脂社製)、スーパーベッカミン(R)TD−139−60(大日本インキ社製)、ユーバン2020(三井化学)、スミテックスレジンM−3(住友化学工業)、ニカラックMW−30(日本カーバイド社製)などが挙げられる。本発明においては、これらの市販品をそのまま用いることもできる。
また、グアナミン樹脂及びメラミン樹脂は、残留触媒の影響を取り除くために、トルエン、キシレン、酢酸エチル、などの適当な溶剤に溶解し、蒸留水、イオン交換水などで洗浄してもよいし、イオン交換樹脂で処理して除去してもよい。
更に、グアナミン樹脂及びメラミン樹脂は、フェノール樹脂、尿素樹脂、アルキッド樹脂などと混合して用いてもよいし、強度をより向上させるためにスピロアセタール系「CTU−グアナミン」(味の素ファインテクノ(株)製)など、一分子中の官能基のより多い化合物と共重合させることも効果的である。
上記グアナミン樹脂及び上記メラミン樹脂を含有してなる保護層7には、電荷輸送性物質を含有させることが好ましく、電荷輸送性物質はグアナミン構造又はメラミン構造と反応できる反応性官能基を有するものであることが好ましい。保護層7において、反応性官能基を有する電荷輸送性物質は、グアナミン樹脂及び/又はメラミン樹脂の構成成分として架橋構造に組み込まれていることが好ましい。
上述したフェノール樹脂、メラミン樹脂及びグアナミン樹脂と反応できる反応性官能基を有する電荷輸送性物質としては、水酸基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、エポキシ基、カーボネート基、チオール基及びアミノ基から選択される少なくとも1種を有する電荷輸送性物質が挙げられる。
また、反応性官能基を有する電荷輸送性物質としては、下記一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)又は(VI)で示される化合物が、成膜性、機械強度及び安定性に優れるため、特に好ましい。
F[−(X1)n1−R1−Z1H]m1 (I)
[式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R1はアルキレン基を示し、Z1は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを示し、X1は酸素原子又は硫黄原子を示し、m1は1以上4以下の整数を示し、n1は0又は1を示す。]
[式(I)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、R1はアルキレン基を示し、Z1は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを示し、X1は酸素原子又は硫黄原子を示し、m1は1以上4以下の整数を示し、n1は0又は1を示す。]
F[−(X2)n2−(R2)n3−(Z2)n4G]n5 (II)
[式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、X2は酸素原子又は硫黄原子を示し、R2はアルキレン基を示し、Z2は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを示し、Gはエポキシ基を示し、n2、n3及びn4はそれぞれ独立に0又は1を示し、n5は1以上4以下の整数を示す。]
[式(II)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、X2は酸素原子又は硫黄原子を示し、R2はアルキレン基を示し、Z2は酸素原子、硫黄原子、NH又はCOOを示し、Gはエポキシ基を示し、n2、n3及びn4はそれぞれ独立に0又は1を示し、n5は1以上4以下の整数を示す。]
F[−D−Si(R3)(3−a)Qa]b (III)
[式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、Dは可とう性を有する2価の基を示し、R3は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基(炭素数は1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい)又は置換若しくは未置換のアリール基(炭素数は6以上20以下が好ましく、6以上15以下がより好ましい)を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1以上3以下の整数を示し、bは1以上4以下の整数を示す。]
[式(III)中、Fは正孔輸送能を有する化合物から誘導される有機基を示し、Dは可とう性を有する2価の基を示し、R3は水素原子、置換若しくは未置換のアルキル基(炭素数は1以上15以下が好ましく、1以上10以下がより好ましい)又は置換若しくは未置換のアリール基(炭素数は6以上20以下が好ましく、6以上15以下がより好ましい)を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1以上3以下の整数を示し、bは1以上4以下の整数を示す。]
[式(IV)中、Fは正孔輸送性を有する化合物から誘導される有機基を示し、Tは2価の基を示し、Yは酸素原子又は硫黄原子を示し、R4、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子又は1価の有機基を示し、R7は1価の有機基を示し、m2は0又は1を示し、n6は1以上4以下の整数を示す。但し、R6とR7は互いに結合してYをヘテロ原子とする複素環を形成してもよい。]
また、上記一般式(I)乃至(VI)で表わされる化合物における上記Fは、下記一般式(VII)で表される基であることが好ましい。
[式(VII)中、Ar1、Ar2、Ar3及びAr4はそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を示し、Ar5は置換若しくは未置換のアリール基又はアリーレン基を示し、且つ、Ar1乃至Ar5のうち1乃至4個は、上記一般式(I)で表わされる化合物における下記一般式(VIII)で示される部位、上記一般式(II)で表わされる化合物における下記一般式(IX)で示される部位、上記一般式(III)で表わされる化合物における下記一般式(X)で示される部位、上記一般式(IV)で表わされる化合物における下記一般式(XI)で示される部位、上記一般式(V)で表わされる化合物における下記一般式(XII)で示される部位、又は、上記一般式(VI)で表わされる化合物における下記一般式(XIII)で示される部位と結合するための結合手を有する。]
−(X1)n1−R1−Z1H (VIII)
−(X2)n2−(R2)n3−(Z2)n4G (IX)
−D−Si(R3)(3−a)Qa (X)
−(X2)n2−(R2)n3−(Z2)n4G (IX)
−D−Si(R3)(3−a)Qa (X)
また、上記一般式(VII)中のAr1乃至Ar4で示される置換もしくは未置換のアリール基としては、具体的には、下記一般式(1)乃至(7)に示されるアリール基が好ましい。
上記式(1)乃至(7)中、R11は水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、又は炭素数7以上10以下のアラルキル基を示し、R12乃至R14はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、それらで置換されたフェニル基若しくは未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基又はハロゲン原子を示し、Arは置換又は未置換のアリーレン基を示し、Xは上記一般式(VIII)乃至(XIII)で表される構造のいずれかを示し、c及びsはそれぞれ0又は1を示し、tは1以上3以下の整数を示す。
また、上記式(7)で示されるアリール基におけるArとしては、下記式(8)又は(9)で示されるアリーレン基が好ましい。
上記式(8)、(9)中、R15及びR16はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基もしくは未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、tは1以上3以下の整数を示す。
また、上記式(7)で示されるアリール基におけるZ’としては、下記式(10)乃至(17)で示される2価の基が好ましい。
上記式(10)乃至(17)中、R17及びR18はそれぞれ水素原子、炭素数1以上4以下のアルキル基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基、炭素数1以上4以下のアルコキシ基で置換されたフェニル基、または未置換のフェニル基、炭素数7以上10以下のアラルキル基、又は、ハロゲン原子を示し、Wは2価の基を示し、q及びrはそれぞれ1以上10以下の整数を示し、tはそれぞれ1以上3以下の整数を示す。
また、上記式(16)及び(17)中、Wは下記式(18)乃至(26)で示される2価の基を示す。なお、式(25)中、uは0以上3以下の整数を示す。
また、上記一般式(VII)におけるAr5の具体的構造としては、k=0の時は上記Ar1乃至Ar4の具体的構造として例示した構造が挙げられ、k=1の時は上記Ar1乃至Ar4の具体的構造として例示した構造に結合手を1つ加えたアリーレン基が挙げられる。
また、上記一般式(I)で示される化合物として、より具体的には、下記化合物(I−A)および、特開2007−34255号公報における表5乃至表13に記載の化合物I−1乃至I−37が挙げられる。
また、上記一般式(II)で示される化合物としては、特開2007−34255号公報における表14乃至表27に記載の化合物II−1乃至II−47が挙げられる。
また、上記一般式(III)で示される化合物としては、より具体的には、特開2007−34255号公報における表28乃至表35に記載の化合物III−1乃至III−61が挙げられる。
また、上記一般式(IV)で示される化合物としては、より具体的には、特開2007−34255号公報における表36乃至表45に記載の化合物IV−1乃至IV−40が挙げられる。
また、上記一般式(V)で示される化合物としては、より具体的には、特開2007−34255号公報における表46乃至表55に記載の化合物V−1乃至V−55が挙げられる。
また、上記一般式(VI)で表わされる化合物において、上記一般式(VI)中、R9は炭素数1以上18以下の1価の有機基であることが好ましく、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1以上18以下の1価の炭化水素基、又は、−(CH2)f−O−R24で表わされる基であることがより好ましく、炭素数1以上4以下のアルキル基、又は、−(CH2)f−O−R24で表わされる基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。なお、R24は炭素数1以上6以下の炭化水素基を示し、環を形成してもよいが、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの脂肪族炭化水素基であることが好ましく、fは1以上12以下の整数を示し、1以上4以下の整数であることが好ましい。また、上記一般式(VI)中、Lは枝分かれしてもよい炭素数1以上18以下のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。なお、上記一般式(VI)において、R9又はLが複数存在する場合、それぞれは同一でも異なっていてもよい。
また、上記一般式(VI)で示される化合物の具体例としては、特開2007−171873号公報における表5乃至表12に記載の化合物I−1乃至I−59および、以下に示す化合物(VI−A)が挙げられる。なお、上記一般式(VI)で示される化合物は、これらにより何ら限定されるものではない。また、下記表中、結合手は記載されているが置換基が記載されていないものはメチル基を示す。
上記一般式(I)乃至(VI)で表される電荷輸送性化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
また、保護層7には、残留電位を下げるために導電性粒子を添加してもよい。導電性粒子としては、金属、金属酸化物及びカーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、金属又は金属酸化物がより好ましい。金属としては、アルミニウム、亜鉛、銅、クロム、ニッケル、銀及びステンレス等、又はこれらの金属をプラスチックの粒子の表面に蒸着したもの等が挙げられる。金属酸化物としては、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンやタンタルをドープした酸化スズ、及びアンチモンをドープした酸化ジルコニウム等が挙げられる。これらは単独で用いることも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上を組み合わせて用いる場合は、単に混合しても、固溶体や融着の形にしてもよい。導電性粒子の平均粒径は保護層7の透明性の観点から、0.3μm以下が好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。
また、保護層7には、保護層7の強度、膜抵抗等の種々の物性をコントロールするために、下記一般式(XIV)で表わされる化合物を添加することもできる。
Si(R30)(4−e)Qe (XIV)
Si(R30)(4−e)Qe (XIV)
上記式(XIV)中、R30は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を、Qは加水分解性基を、eは1以上4以下の整数を示す。
上記一般式(XIV)で示される化合物の具体例としては、以下のようなシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等の四官能性アルコキシシラン(e=4);メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロアルキルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリエトシキシラン等の三官能性アルコキシシラン(e=3);ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン等の二官能性アルコキシシラン(e=2);トリメチルメトキシシラン等の1官能アルコキシシラン(e=1)等を挙げることができる。膜の強度を向上させるためには3及び4官能のアルコキシシランが好ましく、可とう性、成膜性を向上させるためには1及び2官能のアルコキシシランが好ましい。
また、主にこれらのカップリング剤より作製されるシリコーン系ハードコート剤も用いることができる。市販のハードコート剤としては、KP−85、X−40−9740、X−40−2239(以上、信越シリコーン社製)、及びAY42−440、AY42−441、AY49−208(以上、東レダウコーニング社製)等を用いることができる。
また、保護層7には、硬化膜の機械的強度を更に向上させる目的で、下記一般式(XV)で表されるような2つ以上のケイ素原子を有する化合物を用いることも好ましい。
B[−Si(R50)(3−a)Qa]d (XV)
[式(XV)中、Bは2価以上の有機基を示し、R50は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1以上3以下の整数を示し、dは2以上の整数を示す。]
B[−Si(R50)(3−a)Qa]d (XV)
[式(XV)中、Bは2価以上の有機基を示し、R50は水素原子、アルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を示し、Qは加水分解性基を示し、aは1以上3以下の整数を示し、dは2以上の整数を示す。]
上記一般式(XV)で表わされる化合物としてより具体的には、下記化合物(XV−1)乃至(XV−16)が好ましいものとして挙げることができる。なお、下記表中、Meはメチル基を示し、Etはエチル基を示し、Prはプロピル基を示す。
さらに、保護層7には、膜特性のコントロール、液寿命の延長等のため、アルコール系、ケトン系溶剤に可溶な樹脂を添加してもよい。このような樹脂としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ブチラールの一部がホルマールやアセトアセタール等で変性された部分アセタール化ポリビニルアセタール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂(例えば、積水化学社製のエスレックB、K等)、ポリアミド樹脂、セルロ−ス樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。特に、電気特性を向上させる観点から、ポリビニルアセタール樹脂及びポリビニルフェノール樹脂が好ましい。
また、放電ガス耐性、機械強度、耐傷性、粒子分散性、粘度コントロール、トルク低減、磨耗量コントロール、ポットライフの延長等の目的で種々の樹脂を添加することができる。
上記樹脂の重量平均分子量は、2000以上100000以下が好ましく、5000以上50000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が2000より小さいと所望の効果が得られなくなる傾向があり、100000より大きいと溶解度が低くなり添加量が限られてしまったり、塗布時に製膜不良の原因になったりする傾向がある。
また、上記樹脂の添加量は、保護層7の固形分全量を基準として1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。この添加量が1質量%よりも少ない場合は所望の効果が得られにくくなり、40質量%よりも多くなると高温高湿下での画像ボケが発生しやすくなる恐れがある。また、上記の樹脂は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
また、保護層7には、ポットライフの延長、膜特性のコントロールのため、下記一般式(XVI)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物、若しくはその化合物からの誘導体を含有させることが好ましい。
一般式(XVI)で示される繰り返し構造単位を持つ環状化合物としては、市販の環状シロキサンを挙げることができる。具体的には、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ジメチルシクロシロキサン類、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリフェニルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタメチル−1,3,5,7,9−ペンタフェニルシクロペンタシロキサン等の環状メチルフェニルシクロシロキサン類、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン等の環状フェニルシクロシロキサン類、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシクロトリシロキサン等のフッ素原子含有シクロシロキサン類、メチルヒドロシロキサン混合物、ペンタメチルシクロペンタシロキサン、フェニルヒドロシクロシロキサン等のヒドロシリル基含有シクロシロキサン類、ペンタビニルペンタメチルシクロペンタシロキサン等のビニル基含有シクロシロキサン類等の環状のシロキサン等を挙げることができる。これらの環状シロキサン化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
更に、電子写真感光体表面の耐汚染物付着性、潤滑性、硬度等を制御するために、保護層7には各種粒子を添加することもできる。それらは、単独で用いることもできるが、2種以上を併用してもよい。
粒子の一例として、ケイ素原子含有粒子を挙げることができる。ケイ素原子含有粒子とは、構成元素にケイ素を含む粒子であり、具体的には、コロイダルシリカ及びシリコーン粒子等が挙げられる。ケイ素原子含有粒子として用いられるコロイダルシリカは、体積平均粒子径が好ましくは1nm以上100nm以下、より好ましくは10nm以上30nm以下であり、酸性若しくはアルカリ性の水分散液、或いはアルコール、ケトン、エステル等の有機溶媒中に分散させたものから選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。保護層7中のコロイダルシリカの固形分含有量は、特に限定されるものではないが、成膜性、電気特性、強度の面から保護層7の固形分全量を基準として好ましくは0.1質量%以上50質量%以下の範囲、より好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲で用いられる。
ケイ素原子含有粒子として用いられるシリコーン粒子は、球状で、体積平均粒子径が好ましくは1nm以上500nm以下、より好ましくは10nm以上100nm以下であり、シリコーン樹脂粒子、シリコーンゴム粒子及びシリコーン表面処理シリカ粒子から選ばれ、一般に市販されているものを使用することができる。
シリコーン粒子は、化学的に不活性で、樹脂への分散性に優れる小径粒子であり、さらに十分な特性を得るために必要とされる含有量が低いため、架橋反応を阻害することなく、電子写真感光体の表面性状を改善することができる。即ち、強固な架橋構造中に均一に取り込まれた状態で、電子写真感光体表面の潤滑性、撥水性を向上させ、長期間にわたって良好な耐摩耗性、耐汚染物付着性を維持することができる。保護層7中のシリコーン粒子の含有量は、保護層7の固形分全量を基準として好ましくは0.1質量%以上30質量%以下の範囲であり、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下の範囲である。
また、その他の粒子としては、4弗化エチレン、3弗化エチレン、6弗化プロピレン、弗化ビニル、弗化ビニリデン等のフッ素系粒子や”第8回ポリマー材料フォーラム講演予稿集 p89”に示される様な、フッ素樹脂と水酸基を有するモノマーを共重合させた樹脂からなる粒子、ZnO−Al2O3、SnO2−Sb2O3、In2O3−SnO2、ZnO2−TiO2、ZnO−TiO2、MgO−Al2O3、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、In2O3、ZnO、MgO等の半導電性金属酸化物を挙げることができる。
また、同様な目的で保護層7にはシリコーンオイル等のオイルを添加することもできる。シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、フェニルメチルシロキサン等のシリコーンオイル、アミノ変性ポリシロキサン、エポキシ変性ポリシロキサン、カルボキシル変性ポリシロキサン、カルビノール変性ポリシロキサン、メタクリル変性ポリシロキサン、メルカプト変性ポリシロキサン、フェノール変性ポリシロキサン等の反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。これらは、保護層形成用塗布液に予め添加してもよいし、感光体を作製後、減圧、或いは加圧下等で含浸処理してもよい。
また、保護層7には、可塑剤、表面改質剤、酸化防止剤、光劣化防止剤等の添加剤を使用することもできる。可塑剤としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、ターフェニル、ジブチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、ジオクチルフタレート、トリフェニル燐酸、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、塩素化パラフィン、ポリプロピレン、ポリスチレン、各種フルオロ炭化水素等が挙げられる。
保護層7には、帯電装置で発生するオゾン等の酸化性ガスによる劣化を防止する目的で、酸化防止剤を添加することが特に好ましい。感光体表面の機械的強度を高め、感光体が長寿命になると、感光体が酸化性ガスに長い時間接触することになるため、従来より強い酸化耐性が要求される。酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系あるいはヒンダードアミン系が望ましく、有機イオウ系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系酸化防止剤、チオウレア系酸化防止剤、ベンズイミダゾール系酸化防止剤、などの公知の酸化防止剤を用いてもよい。保護層7における酸化防止剤の添加量としては、保護層7の固形分全量を基準として20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマイド、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシーベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、2−t−ブチル−6−(3−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
さらに、ヒンダートフェノール系の酸化防止剤で商業的に入手可能なものとしては、例えば、「Sumilizer BHT−R」、「Sumilizer MDP−S」、「Sumilizer BBM−S」、「Sumilizer WX−R」、「Sumilizer NW」、「Sumilizer BP−76」、「Sumilizer BP−101」、「Sumilizer GA−80」、「Sumilizer GM」、「Sumilizer GS」以上住友化学社製、「IRGANOX1010」、「IRGANOX1035」、「IRGANOX1076」、「IRGANOX1098」、「IRGANOX1135」、「IRGANOX1141」、「IRGANOX1222」、「IRGANOX1330」、「IRGANOX1425WL」、「IRGANOX1520L」、「IRGANOX245」、「IRGANOX259」、「IRGANOX3114」、「IRGANOX3790」、「IRGANOX5057」、「IRGANOX565」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「アデカスタブAO−20」、「アデカスタブAO−30」、「アデカスタブAO−40」、「アデカスタブAO−50」、「アデカスタブAO−60」、「アデカスタブAO−70」、「アデカスタブAO−80」、「アデカスタブAO−330」以上旭電化社製、ヒンダートアミン系としては、「サノールLS2626」、「サノールLS765」、「サノールLS770」、「サノールLS744」以上三共ライフテック社製、「チヌビン144」、「チヌビン622LD」以上チバスペシャリティーケミカルズ社製、「マークLA57」、「マークLA67」、「マークLA62」、「マークLA68」、「マークLA63」以上旭電化社製、「スミライザーTPS」以上住友化学社製、チオエーテル系としては、「スミライザーTP−D」以上住友化学社製、ホスファイト系としては、「マーク2112」、「マークPEP・8」、「マークPEP・24G」、「マークPEP・36」、「マーク329K」、「マークHP・10」以上旭電化社製が挙げられる。さらに、これらは架橋膜を形成する材料と架橋反応可能な例えばアルコキシシリル基等の置換基で変性してもよい。
また、保護層7には、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアリレート樹脂(ビスフェノールAとフタル酸の重縮合体等)、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリビニルピリジン樹脂、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂等の絶縁性樹脂を含有させてもよい。この場合、絶縁性樹脂は、所望の割合で添加することができ、これにより、電荷輸送層6との接着性、熱収縮やハジキによる塗布膜欠陥等を抑制することができる。
保護層7は、上述した各構成材料を含有する保護層形成用塗布液を用いて形成される。
保護層形成用塗布液には、必要に応じてメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等の他、種々の溶媒が使用できる。なお、電子写真感光体の生産に一般的に使用されるディップコーティング法を適用するためには、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましい。また、使用される溶媒の沸点は50℃以上150℃以下のものが好ましく、それら任意に混合して使用することができる。
なお、溶剤としてアルコール系溶剤、ケトン系溶剤、又はそれらの混合系溶剤が好ましいことから、使用される保護層7の形成に使用される電荷輸送材料としては、それらの溶剤に可溶なものを用いることが好ましい。
また、溶媒量は任意に設定できるが、少なすぎると構成材料が析出しやすくなるため、保護層形成用塗布液中に含まれる固形分の合計1質量部に対して0.5質量部以上30質量部以下とすることが好ましく、1質量部以上20質量部以下とすることがより好ましい。
保護層7は、上述した反応性の電荷輸送材料を用いて形成されることから、保護層形成用塗布液に触媒を添加すること、又は、保護層形成用塗布液作製時に触媒を用いることが好ましい。用いられる触媒としては、塩酸、酢酸、リン酸、硫酸等の無機酸、蟻酸、プロピオン酸、シュウ酸、パラトルエンスルホン酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸等の有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、トリエチルアミン等のアルカリ触媒、さらに系に不溶な固体触媒を用いることもできる。
また、メチロール基を有するフェノール誘導体を用いる場合、合成時の触媒を除去するために、フェノール誘導体をメタノール、エタノール、トルエン、酢酸エチル等の適当な溶剤に溶解させ、水洗、貧溶剤を用いた再沈殿等の処理を行うか、イオン交換樹脂、又は無機固体を用いて処理を行うことが好ましい。
イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト15、アンバーライト200C、アンバーリスト15E(以上、ローム・アンド・ハース社製);ダウエックスMWC−1−H、ダウエックス88、ダウエックスHCR−W2(以上、ダウ・ケミカル社製);レバチットSPC−108、レバチットSPC−118(以上、バイエル社製);ダイヤイオンRCP−150H(三菱化成社製);スミカイオンKC−470、デュオライトC26−C、デュオライトC−433、デュオライト−464(以上、住友化学工業社製);ナフィオン−H(デュポン社製)等の陽イオン交換樹脂;アンバーライトIRA−400、アンバーライトIRA−45(以上、ローム・アンド・ハース社製)等の陰イオン交換樹脂が挙げられる。
また、無機固体としては、Zr(O3PCH2CH2SO3H)2、Th(O3PCH2CH2COOH)2等のプロトン酸基を含有する基が表面に結合されている無機固体;スルホン酸基を有するポリオルガノシロキサン等のプロトン酸基を含有するポリオルガノシロキサン;コバルトタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸;ニオブ酸、タンタル酸、モリブデン酸等のイソポリ酸;シリカゲル、アルミナ、クロミア、ジルコニア、CaO、MgO等の単元系金属酸化物;シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、シリカ−ジルコニア、ゼオライト類等複合系金属酸化物;酸性白土、活性白土、モンモリロナイト、カオリナイト等の粘土鉱物;LiSO4、MgSO4等の金属硫酸塩;リン酸ジルコニア、リン酸ランタン等の金属リン酸塩;LiNO3、Mn(NO3)2等の金属硝酸塩;シリカゲル上にアミノプロピルトリエトキシシランを反応させて得られた固体等のアミノ基を含有する基が表面に結合されている無機固体;アミノ変性シリコーン樹脂等のアミノ基を含有するポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
保護層形成用塗布液を用いて保護層を形成する際の塗布方法としては、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることができる。ただし、1回の塗布により必要な膜厚が得られない場合、複数回重ね塗布することにより必要な膜厚を得ることができる。なお、複数回の重ね塗布を行なう場合、加熱処理は塗布の度に行なってもよいし、複数回重ね塗布した後でもよい。
保護層形成用塗布液を用いて層を形成した後、得られた層の表面を研磨又は表面加工処理して粗面化する。以下、粗面化の方法について説明する。
図6は、電子写真感光体1の表面を研磨する研磨工程に使用される研磨装置を説明するための概略構成図である。また、図7は、図6に示されるI−I線方向の研磨装置の概略断面図である。なお、図6及び7中には、研磨装置とともに研磨部材が当接する電子写真感光体1を示す。先ず、本実施形態において好適に使用される研磨装置について説明する。
図6に示される研磨装置300は、電子写真感光体1を保持するためのワークホルダー12と、研磨部200とから構成されている。ワークホルダー12はエアーシリンダーにより感光体を保持する機構を有しており、図示しない駆動機構により電子写真感光体1を所定の速度で回転させる。なお、ワークを保持する機構については特に限定されるものではなく、例えば、エアーピッカーを用いるチャック方式であってもよい。
研磨部200は、図7に示されるように、研磨部材としての研磨テープ13をロール状にセットできる供給スプール14と、供給スプール14から送り出された研磨テープ13を支持し案内するテンションローラ15及びガイドローラ16と、研磨テープ13を所定の圧力で押圧し感光体1に当接させるバックアップローラ17と、使用された研磨テープ13を支持し案内するガイドローラ18及びテンションローラ19と、使用された研磨テープ13を回収する回収スプール11とを備えている。この研磨部200は、研磨時には研磨テープ13を感光体1に当接させ、研磨後には離れるように(図6における矢印A方向に)移動可能であり、また、感光体の長手方向(図6における矢印B方向)に移動可能となっている。
研磨テープ13としては、市販の物を使用することが可能であり、本実施形態においてはラッピングテープと呼ばれる物を用いることが好ましい。商業的に入手可能なラッピングテープとしては、例えば、「インペリアルラッピングテープ」(住友スリーエム社製、商品名)が挙げられる。また、研磨テープが有する砥粒種としては、例えば、酸化アルミニウム、シリコンカーバイト、酸化クロム、ダイヤモンド等が用いられる。
砥粒の粒径(粒度)としては、0.1μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上30μm以下がより好ましい。砥粒の粒径が1μm未満であると、研磨を精密に行うことは可能であるが、研磨に要する時間が増加して生産性が低下するため好ましくない。一方、粒径が50μmを超えると、平均表面粗さが大きくなりすぎ、この領域を起点として塗膜はがれ、画質劣化等の問題が発生しやすくなる傾向にあり、さらに研磨粉が大量に発生する事から研磨品質を確保する事が困難になる。
研磨テープ13の砥粒の種類及び粒径は、最表面層の表面部分の除去及び粗面化を目的とするため、かかる目的が達成し得るものであれば特に制限されない。例えば、生産効率を考慮して適宜選択することが好ましい。
バックアップローラ17としては、ゴム等の弾性体を使用できるが、硬さが高すぎるものを使用すると研磨テープ13を均一に押圧することが困難となり偏磨耗が発生しやすくなるため、JIS A硬さでA10以上A80以下の弾性体であることが好ましい。
図6に示されるように、上述の研磨装置300によって電子写真感光体1の表面が研磨される(研磨工程)。図8(a)、(b)、(c)及び(b)はそれぞれ研磨後の電子写真感光体1表面の研磨痕(線状痕)70の形状を示す模式図である。
研磨工程では、上記研磨装置300において電子写真感光体1を回転させるとともに、電子写真感光体1に所定の圧力をかけて当接させた研磨テープ13を感光体の長手方向(図6中、矢印B)に感光体の全長にわたって所定のトラバース速度で移動させることにより、電子写真感光体1表面を研磨する。そして、この間、研磨テープ13は所定の設定速度で回収スプール11に巻き取られる。このような方法を行うことにより、感光体表面のを均一に研磨できる。
電子写真感光体1の回転速度は、研磨テープの送り速度及び生産性等に応じて適宜設定することができるが、500rpm以上2000rpm以下の範囲が好ましい。また、回転方向は、バックアップロール17の当接位置に応じて選択することができるが、研磨紛や研磨によって欠落した突起などの噛み込みを防止する観点から、研磨テープの進行方向に対して反対の方向に回転することが好ましい。
研磨テープ13の送り速度(回収スプール11に巻き取る速度)は、砥粒や砥粒の結着樹脂が感光体表面に付着しないようにトラバース速度及び感光体の回転数に応じて適宜設定することが好ましく、例えば、1mm/sec以上50mm/sec以下が好ましい。
上記トラバース速度は、10mm/sec以上200mm/sec以下の範囲で設定することができる。
バックアップローラ17によって研磨テープを感光体表面に押圧する際の圧力(当接圧)は、0.05MPa以上10MPa以下の範囲であることが好ましい。なお、バックアップローラ7によって上記の加圧を行う方法としては、例えば、エアーシリンダーを用い、エアー圧力を0.05MPa以上10MPa以下に設定することにより可能である。上記当接圧が0.05MPaより小さいと、十分な生産性を確保することが困難となり、一方、当接圧が10MPaを越えると、研磨テープの砥粒、砥粒を保持していた結着樹脂などが感光体上に堆積するフィルミングが発生する事や、感光層自体を深く傷をつけてしまう等の傾向にある。また、研磨テープの当接圧についても、上記した、研磨テープ送り速度、研磨テープの砥粒の種類及び粒径、感光体の回転速度、トラバース速度等の条件に応じて適宜設定することが好ましい。
ここで、平均表面粗さを確認する方法としては、例えば、接触型粗さ測定装置又は、レーザー顕微鏡による粗さ測定等を用いる方法が挙げられる。本発明においては、簡易に平均粗さを測定できることから接触型粗さ測定装置(サーフコム)を用いることが好ましい。
本発明においては、上記の方法により測定した感光層最表面の十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下の範囲内であることが必要であるが、0.3μm以上1.5μm以下であることがより好ましく、0.4μm以上1.4μm以下であることが特に好ましい。かかるRzが、0.2μm未満であると、クリーニングブレードと感光体との摩擦によりゴム部材がスティックアンドスリップ現象を引き起こし、トナーのすり抜けによるクリーニング不良を発生する。また、1.5μm以上では、長期にわたり繰り返し使用すると、クリーニング不良が発生し画質に影響する。
また、図8に示したような電子写真感光体1表面の線状痕70は、電子写真感光体1とクリーニングブレードとの接線に対して30°以上150°以下の角度を成すように形成されていることが好ましい。なお、クリーニングブレードは通常、電子写真感光体1の長手方向に対して平行に当接されるため、例えば、図8(a)及び(b)の線状痕70の上記角度は45°又は135°となり、図8(c)の線状痕70の上記角度は45°及び135°となり、図8(d)の線状痕70の上記角度は90°となる。
更に、線状痕70は、電子写真感光体1とクリーニングブレードとの接線に対して全て略同一の角度を成すように形成されていることが好ましい。すなわち、図8に示した線状痕70の形状の中では、(c)に示した形状よりも(a)、(b)及び(d)に示したように線状痕70が同一方向に刻まれている形状の方が好ましい。
また、上記の粗面化を行った後の電子写真感光体1は、初期の表面のダイナミック硬度に対して、最表面から1μm減膜した時の表面のダイナミック硬度の変化率が35%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。このように、上記粗面化により保護層7における表面の硬い部分を除去し、上記変化率の条件を満たすようにすることが好ましい。
更に、電子写真感光体1は、繰り返しの画像形成プロセスにより、初期の十点平均粗さRz1より繰り返し使用後の十点平均粗さRz2が小さくなる(Rz1>Rz2)ことが好ましい。かかる条件を満たす電子写真感光体は、初期段階及び長期使用時のクリーニング性を良好なものとすることができる。
また、感光層3には、感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させることができる。
電子受容物質としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等を挙げることができる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
また、感光層3には、画像形成装置中で発生するオゾンや酸化性ガス、又は光、熱による感光体の劣化を防止する目的で、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等の誘導体が挙げられる。
以上、図1に示す電子写真感光体について説明したが、図4及び図5に示す電子写真感光体のように単層型感光層8を有する場合、単層型感光層8は例えば、電荷発生材料と、結着樹脂とを含んで構成される。ここで、電荷発生材料としては機能分離型感光層における電荷発生層に使用されるものと同様のものを、結着樹脂としては機能分離型感光層における電荷発生層及び電荷輸送層に用いられる結着樹脂と同様のものを、それぞれ用いることができる。単層型感光層中の電荷発生材料の含有量は、単層型感光層における固形分全量を基準として好ましくは10質量%以上85質量%以下、より好ましくは20質量%以上50質量%以下である。また、単層型感光層には、光電特性を改善する等の目的で電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料を添加してもよい。その添加量は単層型感光層における固形分全量を基準として5質量%以上50質量%以下とすることが好ましい。電荷輸送材料や高分子電荷輸送材料としては機能分離型感光層における電荷輸送層に使用されるものと同様のものを用いることができる。また、塗布に用いる溶剤や塗布方法は、上記各層と同様のものを用いることができる。単層型感光層の膜厚は、5μm以上50μm以下程度が好ましく、10μm以上40μm以下とすることがさらに好ましい。
(画像形成装置及びプロセスカートリッジ)
図9は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式図である。図9に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、上述した電子写真感光体1を備えるプロセスカートリッジ20と、露光装置30と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体1に当接可能に配置されている。
図9は、本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す模式図である。図9に示す画像形成装置100は、画像形成装置本体(図示せず)に、上述した電子写真感光体1を備えるプロセスカートリッジ20と、露光装置30と、転写装置40と、中間転写体50とを備える。なお、画像形成装置100において、露光装置30はプロセスカートリッジ20の開口部から電子写真感光体1に露光可能な位置に配置されており、転写装置40は中間転写体50を介して電子写真感光体1に対向する位置に配置されており、中間転写体50はその一部が電子写真感光体1に当接可能に配置されている。
プロセスカートリッジ20は、ケース内に電子写真感光体1とともに帯電装置21、現像装置25、クリーニング装置27及び繊維状部材(歯ブラシ形状)29を、取り付けレールにより組み合わせて一体化したものである。なお、ケースには、露光のための開口部が設けられている。
ここで、帯電装置21は、電子写感光体1を接触方式により帯電させるものである。また、現像装置25は、電子写真感光体1上の静電潜像を現像してトナー像を形成するものである。
以下、現像装置25に使用されるトナーについて説明する。かかるトナーとしては、平均形状係数(ML2/A)が100以上150以下であることが好ましく、100以上140以下であることがより好ましい。さらに、トナーとしては、平均粒子径が2μm以上12μm以下であることが好ましく、3μm以上12μm以下であることがより好ましく、3μm以上9μm以下であることがさらに好ましい。このような平均形状係数及び平均粒子径を満たすトナーを用いることにより、高い現像性及び転写性を有する高画質の画像を得ることができる。
トナーは、上記平均形状係数及び平均粒子径を満足する範囲のものであれば特に製造方法により限定されるものではないが、例えば、結着樹脂、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等を加えて混練、粉砕、分級する混練粉砕法;混練粉砕法にて得られた粒子を機械的衝撃力又は熱エネルギーにて形状を変化させる方法;結着樹脂の重合性単量体を乳化重合させ、形成された分散液と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の分散液とを混合し、凝集、加熱融着させ、トナー粒子を得る乳化重合凝集法;結着樹脂を得るための重合性単量体と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液を水系溶媒に懸濁させて重合する懸濁重合法;結着樹脂と、着色剤及び離型剤、必要に応じて帯電制御剤等の溶液とを水系溶媒に懸濁させて造粒する溶解懸濁法等により製造されるトナーが使用される。
また、上記方法で得られたトナーをコアにして、さらに凝集粒子を付着、加熱融合してコアシェル構造をもたせる製造方法等、公知の方法を使用することができる。なお、トナーの製造方法としては、形状制御、粒度分布制御の観点から水系溶媒にて製造する懸濁重合法、乳化重合凝集法、溶解懸濁法が好ましく、乳化重合凝集法が特に好ましい。
トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤及び離型剤からなり、必要であれば、シリカや帯電制御剤を含有して構成される。
トナー母粒子に使用される結着樹脂としては、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα―メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類等の単独重合体及び共重合体、ジカルボン酸類とジオール類との共重合によるポリエステル樹脂等が挙げられる。
特に代表的な結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックス等を挙げることもできる。
また、着色剤としては、マグネタイト、フェライト等の磁性粉、カーボンブラック、アニリンブルー、カルイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を代表的なものとして例示することができる。
離型剤としては、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレン、フィッシャートロピィシュワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等を代表的なものとして例示することができる。
また、帯電制御剤としては、公知のものを使用することができるが、アゾ系金属錯化合物、サリチル酸の金属錯化合物、極性基を含有するレジンタイプの帯電制御剤を用いることができる。湿式製法でトナーを製造する場合、イオン強度の制御と廃水汚染の低減の点で水に溶解しにくい素材を使用することが好ましい。また、トナーとしては、磁性材料を内包する磁性トナー及び磁性材料を含有しない非磁性トナーのいずれであってもよい。
現像装置25に用いるトナーとしては、上記トナー母粒子及び上記外添剤をヘンシェルミキサー又はVブレンダー等で混合することによって製造することができる。また、トナー母粒子を湿式にて製造する場合は、湿式にて外添することも可能である。
現像装置25に用いるトナーには滑性粒子を添加してもよい。滑性粒子としては、グラファイト、二硫化モリブデン、滑石、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の固体潤滑剤や、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等の低分子量ポリオレフィン類、加熱により軟化点を有するシリコーン類、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、リシノール酸アミド、ステアリン酸アミド等のような脂肪族アミド類やカルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木ロウ、ホホバ油等のような植物系ワックス、ミツロウのような動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のような鉱物、石油系ワックス、及びそれらの変性物が使用できる。これらは、1種を単独で、又は2種以上を併用して使用できる。但し、平均粒径としては0.1μm以上10μm以下の範囲が好ましく、上記化学構造のものを粉砕して、粒径をそろえてもよい。トナーへの添加量は好ましくは0.05質量%以上2.0質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上1.5質量%以下の範囲である。
現像装置25に用いるトナーには、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の目的等で、無機微粒子、有機微粒子、該有機微粒子に無機微粒子を付着させた複合微粒子等を加えることができる。
無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、チタン酸バリウム、チタン酸アルミニウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化クロム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化タングステン、酸化スズ、酸化テルル、酸化マンガン、酸化ホウ素、炭化ケイ素、炭化ホウ素、炭化チタン、窒化ケイ素、窒化チタン、窒化ホウ素等の各種無機酸化物、窒化物、ホウ化物等が好適に使用される。
また、上記無機微粒子を、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等のチタンカップリング剤、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等で処理を行ってもよい。また、シリコーンオイル、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩によって疎水化処理したものも好ましく使用される。
有機微粒子としては、スチレン樹脂粒子、スチレンアクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ウレタン樹脂粒子等を挙げることができる。
本実施形態に係るトナーとしては、電子写真感光体表面の付着物、劣化物除去の観点から、酸化アルミニウム、酸化セリウムおよび硫酸バリウムなどの無機粒子が添加されているものがより好ましい。また、これらの無機粒子のうち酸化セリウムが特に好ましい。更に、かかる無機粒子の体積平均粒径が、0.1μm以上3.0μm以下であることが好ましく、0.5μm以上2.0μm以下であることがより好ましい。体積平均粒子径が、上記下限値未満であると、研磨能力に欠ける傾向があり、他方、上記上限値を超えると、電子写真感光体表面に傷を発生しやすくなる傾向がある。また、上述した粒子と滑性粒子との添加量の和が0.6質量%以上であることが好ましい。これにより、平均形状係数(ML2/A)が100以上150以下であるトナーを用いる場合であっても、放電生成物に対するクリーニング性とトナーに対するクリーニング性とを両立されることが可能となる。
トナーに添加されるその他の無機酸化物としては、粉体流動性、帯電制御等の為、1次粒径が40nm以下の小径無機酸化物を用い、更に付着力低減や帯電制御の為、それより大径の無機酸化物を添加することが好ましい。これらの無機酸化物微粒子は公知のものを使用できるが、精密な帯電制御を行う為にはシリカと酸化チタンを併用することが好ましい。また、小径無機微粒子については表面処理することにより、分散性が高くなり、粉体流動性を上げる効果が大きくなる。さらに、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩や、ハイドロタルサイト等の無機鉱物を添加することも放電精製物を除去するために好ましい。
また、電子写真用カラートナーはキャリアと混合して使用されるが、キャリアとしては、鉄粉、ガラスビーズ、フェライト粉、ニッケル粉又はそれ等の表面に樹脂コーテイングを施したものが使用される。また、キャリアとの混合割合は、適宜設定することができる。
クリーニング装置27は、繊維状部材(ロール形状)27aと、クリーニングブレード(ブレード部材)27bとを備える。
クリーニング装置27は、繊維状部材27a及びクリーニングブレード27bが設けられているが、クリーニング装置としてはクリーニングブレード27bのみを備えるものでもよい。繊維状部材27aとしては、ロール形状の他に歯ブラシ状としてもよい。また、繊維状部材27aは、クリーニング装置本体に固定してもよく、回転可能に支持されていてもよく、さらに感光体軸方向にオシレーション可能に支持されていてもよい。繊維状部材27aとしては、ポリエステル、ナイロン、アクリル等や、トレシー(東レ社製)等の極細繊維からなる布状のもの、ナイロン、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル等の樹脂繊維を基材状又は絨毯状に植毛したブラシ状のもの等を挙げることができる。また、繊維状部材27aとしては、上述したものに、導電性粉末やイオン導電剤を配合して導電性を付与したり、繊維一本一本の内部又は外部に導電層が形成されたもの等を用いることもできる。導電性を付与した場合、その抵抗値としては繊維単体で102Ω以上109Ω以下のものが好ましい。また、繊維状部材27aの繊維の太さは、好ましくは30d(デニール)以下、より好ましくは20d以下であり、繊維の密度は好ましくは2万本/inch2以上、より好ましくは3万本/inch2以上である。
本発明においてクリーニングブレード27bは、電子写真感光体1に当接する部材として、23℃におけるJIS A硬さがA75以上A95以下である弾性ゴム部材を有していることが必要である。
ここで、クリーニング装置は、図10に模式的に示したような構成を有するものであり、弾性ゴム部材からなるクリーニングブレード81と支持部材83とが金属製の板バネ82を介して接着されている構造を有するものである。
上記弾性ゴム部材は、23℃において、JIS A硬さがA75以上A95以下であることが必要であり、A80以上A90以下であることがより好ましい。弾性ゴム部材の23℃におけるJIS A硬さが75未満であると、硬さが十分でなく、感光体に残留するトナーを掻き取る際に、小粒径トナーや球形トナーをクリーニングしきれないことがある。また、JIS A硬さが95を超えると硬さが高すぎるが為に感光体の表面を傷つけてしまう恐れがある。なお、上記JIS A硬さとは、JIS K7312−1996に準じて、スプリング式タイプA硬さ試験機(タイプAデュロメータ硬さ試験機)により測定される値である。
また、また、弾性ゴム部材は、反発弾性が20%以上55%以下であり、且つ、永久伸びが1%以上4%以下であることが好ましい。反発弾性が20%未満の場合、エッジ部の感光体との圧接力が十分でなくなり、トナーのすり抜けを起こすことがあり、55%を超える場合はクリーニングブレードが感光体の動きに追随してスティックアンドスリップ現象を起こすことがあり、トナーのすり抜けや異音発生を引き起こすことがある。なお、上記反発弾性とはJIS K7312−1996の反発弾性試験に準じて測定される値である。また、永久伸びが1%未満の場合、ブレードエッジ部の欠け等が発生することがあり、4%を超える場合、長期間ブレードが感光体に当接された時に金属製の板バネでも歪みを吸収しきれずにへたりを生じてしまい、安定した圧接力が長期間得られなくことがある。なお、上記永久伸びとは、JIS K7312の永久伸び試験に準じて測定される値である。ただし、伸長率は200%とする。
クリーニングブレード81を構成する上記弾性ゴム部材は、ポリウレタンからなるものであることが望ましい。上記ポリウレタンは、通常ポリウレタンの形成に用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトンなどのポリエステルポリオールなどのポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートと、からなるウレタンプレポリマー、及び、例えば、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコールやこれらの混合物などの架橋剤を原料とするものが、得られるクリーニングブレードが耐摩耗性に優れ、機械的強度が大きいという点から好ましい。なお、本発明において、かかるウレタンプレポリマーとしては、例えば、NCO基の含有量が4質量%以上10質量%以下程度、70℃での粘度が1000cP以上3000cP以下程度のものが好ましく用いられる。
上記ポリウレタンからなる弾性ゴム部材を製造する際には、通常、用いられるポリウレタン成形方法を用いれば良く、例えば、以下に示す方法等を挙げることができる。まず、脱水処理を行った上記ポリオールと上記イソシアネートとを混合し、温度100℃乃至120℃で30分間乃至90分間反応させて得られるプレポリマーに、上記架橋剤等を加えて、140℃に予熱した遠心成形機の金型内に注入し、30分間乃至60分間硬化させる。上記硬化反応後、金型から取り出すことにより、厚さ2mm以上3mm以下の円柱状のシート体を得る。これを幅5mm以上30mm以下、長さ200mm以上500mm以下の短冊状にカットし、弾性ゴム部材を得る。また、上記弾性ゴム部材の幅は、下記板バネの自由長の1/4から1/2であることが好ましい。
本発明で用いられる金属製の板バネ82の材質としては、適度な機械的強度および弾性率を有するものであれば特に制限されないが、ステンレス板、リン青銅板、炭素鋼板、亜鉛メッキ鋼板、真鍮板などが好ましく用いられる。
本発明で用いられる支持部材83としては特に限定されず、例えば、通常クリーニングブレードに用いられている剛体の金属や弾性を有する金属、プラスチック、セラミックなどからなる取付金具などを用いることができるが、これらの中では、無処理の鋼板、リン酸亜鉛処理やクロメート処理などの表面処理を施した鋼板、そのほかメッキ処理を施した鋼板などからなる取付金具が、特に腐蝕などの経時変化を起こさないという点から好ましい。
上記弾性ゴム部材からなるクリーニングブレード81と上記板バネ82、および、上記板バネ82と上記支持部材83との接着方法としては特に限定されず、例えばEVA系、ポリアミド系、ポリウレタン系ホットメルト接着剤やエポキシ系、フェノール系接着剤を用いる接着方法等を挙げることができるが、これらの中ではホットメルト接着法を用いることが望ましい。
また、上記弾性ゴム部材からなるクリーニングブレード81、板バネ82、支持部材83から構成されるクリーニング部材を用いて電子写真感光体のクリーニングを行う際は、感光体に対するクリーニングブレード81の当接圧を5N/m以上80N/m以下の範囲でコントロールすることが、クリーニング性及び感光体の回転トルクに対して好ましい。
クリーニング装置27には、クリーニングブレード、クリーニングブラシで感光体表面の付着物(例えば、放電生成物)を除去することが求められる。この目的を長期に渡って達成すると共にクリーニング部材の機能を安定化させるために、クリーニング部材には、金属石鹸、高級アルコール、ワックス、シリコーンオイルなどの潤滑性物質(潤滑成分)を供給することが好ましい。
例えば、繊維状部材27aとしてロール状のものを用いる場合、金属石鹸、ワックス等の潤滑性物質と接触させ、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することが好ましい。また、クリーニングブレード27bとして上述した弾性ゴム部材からなるブレードを使用する場合、電子写真感光体表面に潤滑成分を供給することは、ブレードの欠けや磨耗を抑制することに特に効果的である。
以上説明したプロセスカートリッジ20は、画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。
露光装置30としては、帯電した電子写真感光体1を露光して静電潜像を形成させるものであればよい。また、露光装置30の光源としては、マルチビーム方式の面発光レーザーを用いることが好ましい。
転写装置40としては、電子写真感光体1上のトナー像を被転写媒体(中間転写体50)に転写するものであればよく、例えば、ロール形状の通常使用されるものが使用される。
中間転写体50としては、半導電性を付与したポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエステル、ゴム等のベルト状のもの(中間転写ベルト)が使用される。また、中間転写体50の形態としては、ベルト状以外にドラム状のものを用いることもできる。
なお、この中間転写体を備えていない直接転写方式の画像形成装置もあるが、本発明の画像形成装置はこのような直接転写方式の画像形成装置としても好適である。直接転写方式の画像形成装置では、プリント用紙からの紙粉やタルク等が発生しそれが電子写真感光体へ付着しやすく、付着物に起因する画質欠陥が発生する傾向にある。しかし、本発明の画像形成装置によれば、クリーニング性に優れているため紙粉やタルク等の除去が容易であり、直接転写方式の画像形成装置であっても安定した画像を得ることができる。
なお、本発明でいう被転写媒体とは、電子写真感光体1上に形成されたトナー像を転写する媒体であれば特に制限はない。例えば、電子写真感光体1から直接、紙等に転写する場合は紙等が被転写媒体であり、また、中間転写体50を用いる場合には中間転写体が被転写媒体になる。
図11は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。図11に示す画像形成装置110は、電子写真感光体1が画像形成装置本体に固定され、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されており、それぞれ帯電カートリッジ、現像カートリッジ、クリーニングカートリッジとして独立して備えられている。なお、帯電装置22は、コロナ放電方式により帯電させる帯電装置を備えている。
画像形成装置110においては、電子写真感光体1とそれ以外の各装置が分離されており、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27が画像形成装置本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能である。
本発明で用いられる電子写真感光体は耐磨耗性に優れるため、カートリッジ化することが不要となる場合がある。したがって、帯電装置22、現像装置25又はクリーニング装置27をそれぞれ本体にビス、かしめ、接着又は溶接により固定されることなく、引き出し、押しこみによる操作にて脱着可能な構成とすることで、1プリント当りの部材コストを低減することができる。また、これらの装置のうち2つ以上を一体化したカートリッジとして着脱可能とすることもでき、それにより1プリント当りの部材コストをさらに低減することができる。
なお、画像形成装置110は、帯電装置22、現像装置25及びクリーニング装置27がそれぞれカートリッジ化されている以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
図12は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。画像形成装置120は、プロセスカートリッジ20を4つ搭載したタンデム方式のフルカラー画像形成装置である。画像形成装置120では、中間転写体50上に4つのプロセスカートリッジ20がそれぞれ並列に配置されており、1色に付き1つの電子写真感光体が使用できる構成となっている。なお、画像形成装置120は、タンデム方式であること以外は、画像形成装置100と同様の構成を有している。
タンデム方式の画像形成装置120では、各色の使用割合により各電子写真感光体の磨耗量が異なってくるために、各電子写真感光体の電気特性が異なってくる傾向がある。これに伴い、トナー現像特性が初期の状態から除々に変化してプリント画像の色合いが変化し、安定な画像を得ることができなくなる傾向にある。特に、画像形成装置を小型化するために、小径の電子写真感光体が使用される傾向にあり、30mmφ以下のものを用いたときにはこの傾向が顕著になる。ここで、電子写真感光体に、上述した本発明で用いられる電子写真感光体の構成を採用すると、その直径を30mmφ以下とした場合にもその表面の磨耗が十分に抑制される。したがって、本発明の画像形成装置は、タンデム方式の画像形成装置として特に有効である。
図13は、本発明の画像形成装置の他の実施形態を示す模式図である。図13に示した画像形成装置130は、1つの電子写真感光体で複数の色のトナー画像を形成させる、所謂4サイクル方式の画像形成装置である。画像形成装置130は、駆動装置(図示せず)により所定の回転速度で図中の矢印Aの方向に回転される感光体ドラム1を備えており、感光体ドラム1の上方には、感光体ドラム1の外周面を帯電させる帯電装置22が設けられている。
また、帯電装置22の上方には面発光レーザーアレイを露光光源として備える露光装置30が配置されている。露光装置30は、光源から射出される複数本のレーザービームを、形成すべき画像に応じて変調すると共に、主走査方向に偏向し、感光体ドラム1の外周面上を感光体ドラム1の軸線と平行に走査させる。これにより、帯電した感光体ドラム1の外周面上に静電潜像が形成される。
感光体ドラム1の側方には現像装置25が配置されている。現像装置25は回転可能に配置されたローラ状の収容体を備えている。この収容体の内部には4個の収容部が形成されており、各収容部には現像器25Y,25M,25C,25Kが設けられている。現像器25Y,25M,25C,25Kは各々現像ローラ26を備え、内部に各々Y,M,C,Kの色のトナーを貯留している。
画像形成装置130でのフルカラーの画像の形成は、感光体ドラム1が4回転する間に行われる。すなわち、感光体ドラム1が4回転する間、帯電装置22は感光体ドラム1の外周面の帯電、露光装置20は、形成すべきカラー画像を表すY,M,C,Kの画像データのうちの何れかに応じて変調したレーザービームを感光体ドラム1の外周面上で走査させることを、感光体ドラム1が1回転する毎にレーザービームの変調に用いる画像データを切替えながら繰り返す。また現像装置25は、現像器25Y,25M,25C,25Kの何れかの現像ローラ26が感光体ドラム1の外周面に対応している状態で、外周面に対応している現像器を作動させ、感光体ドラム1の外周面に形成された静電潜像を特定の色に現像し、感光体ドラム1の外周面上に特定色のトナー像を形成させることを、感光体ドラム1が1回転する毎に、静電潜像の現像に用いる現像器が切り替わるように収容体を回転させながら繰り返す。これにより、感光体ドラム1が1回転する毎に、感光体ドラム1の外周面上には、Y,M,C,Kのトナー像が互いに重なるように順次形成されることになり、感光体ドラム1が4回転した時点で感光体ドラム1の外周面上にフルカラーのトナー像が形成されることになる。
また、感光体ドラム1の略下方には無端の中間転写ベルト50が配設されている。中間転写ベルト50はローラ51,53,55に巻掛けられており、外周面が感光体ドラム1の外周面に接触するように配置されている。ローラ51,53,55は図示しないモータの駆動力が伝達されて回転し、中間転写ベルト50を図1矢印B方向に回転させる。
中間転写ベルト50を挟んで感光体ドラム1の反対側には転写装置(転写器)40が配置されており、感光体ドラム1の外周面上に形成されたトナー像は転写装置40によって中間転写ベルト50の画像形成面に転写される。
また、感光体ドラム1を挟んで現像装置25の反対側には、感光体ドラム1の外周面に潤滑剤供給装置29及びクリーニング装置27が配置されている。感光体ドラム12の外周面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト50に転写されると、潤滑剤供給装置29により感光体ドラム1の外周面に潤滑剤が供給され、当該外周面のうち転写されたトナー像を担持していた領域がクリーニング装置27により清浄化される。
中間転写ベルト50よりも下方側にはトレイ60が配置されており、トレイ60内には記録材料としての用紙Pが多数枚積層された状態で収容されている。トレイ60の左斜め上方には取り出しローラ61が配置されており、取り出しローラ61による用紙Pの取り出し方向下流側にはローラ対63、ローラ65が順に配置されている。積層状態で最も上方に位置している記録紙は、取り出しローラ61が回転されることによりトレイ60から取り出され、ローラ対63、ローラ65によって搬送される。
また、中間転写ベルト50を挟んでローラ55の反対側には転写装置42が配置されている。ローラ対63、ローラ65によって搬送された用紙Pは、中間転写ベルト50と転写器42の間に送り込まれ、中間転写ベルト50の画像形成面に形成されたトナー像が転写装置42によって転写される。転写装置42よりも用紙Pの搬送方向下流側には、定着ローラ対を備えた定着装置44が配置されており、トナー像が転写された用紙Pは、転写されたトナー像が定着装置44によって溶融定着された後に画像形成装置130の機体外へ排出され、排紙トレイ(図示せず)上に載置される。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[感光体1の作製]
基材として、JIS H4080 材質記号A3003アルミニウム合金よりなる引き抜き管(直径:84mm、長さ:340mm)を用意した。
基材として、JIS H4080 材質記号A3003アルミニウム合金よりなる引き抜き管(直径:84mm、長さ:340mm)を用意した。
酸化亜鉛(商品名:MZ−150、テイカ社製、体積平均粒子径:70nm、比表面積値:15m2/g)100質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、シランカップリング剤(商品名:KBM503、信越化学社製)1.3質量部を添加し、2時間攪拌した。その後、テトラヒドロフランを減圧蒸留にて留去し、120℃で3時間焼き付けを行い、シランカップリング剤表面処理酸化亜鉛を得た。
得られた表面処理酸化亜鉛110質量部をテトラヒドロフラン500質量部と攪拌混合し、アリザリン0.6質量部をテトラヒドロフラン50質量部に溶解させた溶液を添加し、50℃にて5時間攪拌した。その後、減圧ろ過にてアリザリンを付与させた酸化亜鉛をろ別し、さらに60℃で減圧乾燥を行い、アリザリン付与酸化亜鉛を得た。
このアリザリン付与酸化亜鉛60質量部と、硬化剤としてのブロック化イソシアネート(商品名:スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)13.5質量部と、ブチラール樹脂(商品名:エスレックBM−1、積水化学社製)15質量部とをメチルエチルケトン85質量部と混合した。この混合液38質量部と、メチルエチルケトン25質量部とを混合し、1mmφのガラスビーズを用いてサンドミルにて2時間の分散を行い、分散液を得た。得られた分散液に、触媒としてのジオクチルスズジラウレート0.005質量部、シリコーン樹脂粒子(商品名:トスパール145、GE東芝シリコーン社製)45質量部を添加し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液を浸漬塗布法にて上記アルミニウム基材上に塗布し、180℃、40分間の乾燥硬化を行い、厚さ22μmの下引層を形成した。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニン1質量部、ポリビニルブチラール(商品名:エスレックBM−S、積水化学社製)1質量部、及び酢酸n−ブチル80質量部を混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥して、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(XVII−1)で示されるベンジジン化合物2.5質量部、下記式(XVII−2)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量59,000)3質量部を、クロロベンゼン25質量部と混合して溶解させ、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布し、130℃で40分間の加熱を行ない、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。このように、アルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層が形成された感光体を「感光体1」とした。
[感光体2の作製]
上記感光体1の作製と同様の手順で、アルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。
上記感光体1の作製と同様の手順で、アルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。
次に、上記化合物(I−A)4質量部、レゾール型フェノール樹脂(商品名:レジトップPL−2211、群栄化学社製)3質量部を、イソプロピルアルコール5質量部、メチルイソブチルケトン5質量部及び3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)0.4質量部の混合溶媒に加えて保護層形成用塗布液を調製した。この塗布液を、電荷輸送層上に浸漬塗布法により塗布し、室温で10分間風乾した後、150℃で50分間加熱処理して硬化させ、膜厚約8μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体2」とした。
[感光体3の作製]
上記感光体1の作製と同様の手順で、アルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。
上記感光体1の作製と同様の手順で、アルミニウム基材上に、下引層、電荷発生層及び電荷輸送層を形成した。
次に、レゾール型フェノール樹脂(商品名:レジトップPL−2211、群栄化学社製)3質量部に代えて、メラミン樹脂(商品名:ニカラックMW−30、日本カーバイド社製)3質量部を用いた以外は感光体2と同様にして、電荷輸送層上に膜厚約8μmの保護層を形成した。得られた感光体を「感光体3」とした。
[クリーニングブレード1の作製]
23℃におけるJIS A硬さがA69、A75、A95又はA98、反発弾性36%、永久伸び1.8%、厚さ2.0mmのウレタンゴムからなる弾性ゴム部材(324mm×15mm)を、メッキ鋼板からなる支持部材に接着し、電子写真装置用クリーニングブレードを作製した。これらを「ブレード1」とした。
23℃におけるJIS A硬さがA69、A75、A95又はA98、反発弾性36%、永久伸び1.8%、厚さ2.0mmのウレタンゴムからなる弾性ゴム部材(324mm×15mm)を、メッキ鋼板からなる支持部材に接着し、電子写真装置用クリーニングブレードを作製した。これらを「ブレード1」とした。
[クリーニングブレード2の作製]
ブレード1と同じウレタンゴムからなる弾性ゴム部材(324mm×5mm)を、厚さ0.08mmの板バネ(SUS板、324mm×14mm)に接着し、この板バネをメッキ鋼板からなる支持部材に接着することで、電子写真装置用クリーニングブレードを作製した。これらを「ブレード2」とした。
ブレード1と同じウレタンゴムからなる弾性ゴム部材(324mm×5mm)を、厚さ0.08mmの板バネ(SUS板、324mm×14mm)に接着し、この板バネをメッキ鋼板からなる支持部材に接着することで、電子写真装置用クリーニングブレードを作製した。これらを「ブレード2」とした。
[実施例1〜32及び比較例1〜32]
感光体1〜3及びブレード1〜2を下記表11〜13に示すように組み合わせ、且つ、感光体1〜3については同表に示すように適宜表面研磨を施し、図13に示すものと同様の構成を有するカラー画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docu Centre Color 500改造機)に搭載して画像形成装置を作製した。
感光体1〜3及びブレード1〜2を下記表11〜13に示すように組み合わせ、且つ、感光体1〜3については同表に示すように適宜表面研磨を施し、図13に示すものと同様の構成を有するカラー画像形成装置(富士ゼロックス社製、Docu Centre Color 500改造機)に搭載して画像形成装置を作製した。
ここで、感光体表面の研磨は以下の手順で行った。図6及び7に示されるものと同様の構成を有する研磨装置を用い、上記で作製した感光体の表面を、研磨テープとして粒度12μmのインペリアルラッピングテープ(3M社製、砥粒:酸化アルミニウム)を用い、バックアップロール(JIS A硬さ:A40)の感光体に対する当接圧を0.3MPaとして研磨した。このとき、バックアップロールのニップ量、ワーク回転速度、フィルムトラバース速度及びオシレーション回数をコントロールすることで、図8に示したパターン(a)乃至(d)の線状痕を感光体表面に形成した。このとき、感光体とクリーニングブレードとの接線に対する線状痕の角度も調節した。
また、研磨後の感光体の表面について、JIS B0601−1994に規定されている十点平均粗さ(Rz)(単位μm)を、東京精密社製のサーフコムを用いて測定した。更に、研磨痕の角度は、KEYENCE社製のレ−ザー顕微鏡を用いて、感光体とクリーニングブレードとの接線に対する線状痕の角度を読み取った。それらの結果を表11〜13に示す。
[実機走行試験]
得られた画像形成装置を用いて、以下の実機走行試験を行った。まず、高温高湿(30℃、87%RH)の環境下で初期のクリーニング性能を評価した後、高温高湿(30℃、87%RH)で1kpv(1000 Print Volume)出力後のクリーニング性及び画質の評価を行い、更に、高温高湿(30℃、87%RH)で150kpv出力後のクリーニング性及び画質の評価を行った。
得られた画像形成装置を用いて、以下の実機走行試験を行った。まず、高温高湿(30℃、87%RH)の環境下で初期のクリーニング性能を評価した後、高温高湿(30℃、87%RH)で1kpv(1000 Print Volume)出力後のクリーニング性及び画質の評価を行い、更に、高温高湿(30℃、87%RH)で150kpv出力後のクリーニング性及び画質の評価を行った。
また、上記試験とは別に、低温低湿(10℃、15%RH)の環境下で初期のクリーニング性能を評価した後、低温低湿(10℃、15%RH)で1kpv出力後のクリーニング性及びブレード鳴きの評価を行い、更に、低温低湿(10℃、15%RH)で150kpv出力後のクリーニング性及びブレード鳴きの評価を行った。なお、各特性の評価方法は以下の通りである。それらの結果を表14〜16に示す。
<高温高湿環境下(30℃、87%RH)及び低温低湿環境下(10℃、15%RH)におけるクリーニング性能評価>
A3サイズの濃度100%未転写画像を5枚出力し、その直後に画像形成装置を強制的に停止させ、感光体表面のトナーのすり抜け具合を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:問題なし(良好)。
B:部分的(全体の2%以下)にトナーのすり抜けが見られるが、実使用上問題なし。
C:部分的(全体の15%以下)にトナーのすり抜けが見られる。
D:広範な領域にトナーのすり抜けが見られる。
A3サイズの濃度100%未転写画像を5枚出力し、その直後に画像形成装置を強制的に停止させ、感光体表面のトナーのすり抜け具合を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて評価した。
A:問題なし(良好)。
B:部分的(全体の2%以下)にトナーのすり抜けが見られるが、実使用上問題なし。
C:部分的(全体の15%以下)にトナーのすり抜けが見られる。
D:広範な領域にトナーのすり抜けが見られる。
<高温高湿環境下(30℃、87%RH)における画質評価>
1kpv出力後及び150kpv出力後にそれぞれ、高温高湿(30℃、87%RH)の環境下での画像形成を行い、そのときの画質(1dotライン斜め45度細線再現性および30%ハーフトーン再現性)を、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:問題なし(良好)。
B:若干の細線の細り、又は、ごく僅かにハーフトーンの濃度異常が見られるが、実用上問題なし。
C:細線の細り、又は、僅かにハーフトーンの濃度異常が見られる。
D:細線の一部消失、又は、ハーフトーンの濃度異常が見られる。
1kpv出力後及び150kpv出力後にそれぞれ、高温高湿(30℃、87%RH)の環境下での画像形成を行い、そのときの画質(1dotライン斜め45度細線再現性および30%ハーフトーン再現性)を、以下の評価基準に基づいて評価した。
A:問題なし(良好)。
B:若干の細線の細り、又は、ごく僅かにハーフトーンの濃度異常が見られるが、実用上問題なし。
C:細線の細り、又は、僅かにハーフトーンの濃度異常が見られる。
D:細線の一部消失、又は、ハーフトーンの濃度異常が見られる。
<低温低湿環境下(10℃、15%RH)におけるクリーニングブレード鳴き評価>
実使用状況下で、下記評価基準に基づいてクリーニングブレード鳴きの評価を行った。
A:ブレード鳴きが聞こえず問題なし(良好)。
B:フロントカバー開放時のみブレード鳴きが聞こえる程度であり、実使用上問題なし。
C:感光体起動時及び停止時のどちらかでブレード鳴きが聞こえる。
D:常にブレード鳴きが聞こえる。
実使用状況下で、下記評価基準に基づいてクリーニングブレード鳴きの評価を行った。
A:ブレード鳴きが聞こえず問題なし(良好)。
B:フロントカバー開放時のみブレード鳴きが聞こえる程度であり、実使用上問題なし。
C:感光体起動時及び停止時のどちらかでブレード鳴きが聞こえる。
D:常にブレード鳴きが聞こえる。
[表面硬度変化率の測定]
得られた画像形成装置を用いて、感光体の減膜量が1μmに達するまで実機走行を行った。その後、感光体の表面硬度を、超微小硬度計(島津製作所社製、「DUH−201」)を用いて以下の条件にて測定し、初期の感光体の表面硬度に対する硬度変化率を算出した。その結果を表11〜13に示す。
得られた画像形成装置を用いて、感光体の減膜量が1μmに達するまで実機走行を行った。その後、感光体の表面硬度を、超微小硬度計(島津製作所社製、「DUH−201」)を用いて以下の条件にて測定し、初期の感光体の表面硬度に対する硬度変化率を算出した。その結果を表11〜13に示す。
(測定条件)
ベルコビッチ圧子(稜間角115°、先端曲率半径0.07μmのダイアモンド三角錐圧子)を装着した超微小硬度計(島津製作所社製、「DUH−201」)に上記の感光体を10mm角に切断後セットし、圧子押し込み測定モード(押し込み速さは、0.045mN/sec)にて感光層の硬度を測定した。測定は、感光層の保護層側から上記圧子を押し込み荷重0.3mNで押し込み、0.3mNの圧力を1秒間保持し、その後、圧子にかかる圧力を0mNに戻す(圧力の開放速度は0.045mN/sec)ことにより行った。圧子を押し込み荷重0.3mNで押し込んだときの押し込み深さから下記式(A)を用いて硬度を計算し、この計算値を感光層のダイナミック硬度とした。なお、押し込み深さは圧子の変位から、押し込み荷重は圧子に接続したロードセルから読み取った。
DH=3.8584×(P/D2) (A)
[式中、DHはダイナミック硬度(単位:N/m2)を示し、Pは押し込み荷重(単位:N)を示し、Dは押し込み深さ(単位:m)を示す。]
ベルコビッチ圧子(稜間角115°、先端曲率半径0.07μmのダイアモンド三角錐圧子)を装着した超微小硬度計(島津製作所社製、「DUH−201」)に上記の感光体を10mm角に切断後セットし、圧子押し込み測定モード(押し込み速さは、0.045mN/sec)にて感光層の硬度を測定した。測定は、感光層の保護層側から上記圧子を押し込み荷重0.3mNで押し込み、0.3mNの圧力を1秒間保持し、その後、圧子にかかる圧力を0mNに戻す(圧力の開放速度は0.045mN/sec)ことにより行った。圧子を押し込み荷重0.3mNで押し込んだときの押し込み深さから下記式(A)を用いて硬度を計算し、この計算値を感光層のダイナミック硬度とした。なお、押し込み深さは圧子の変位から、押し込み荷重は圧子に接続したロードセルから読み取った。
DH=3.8584×(P/D2) (A)
[式中、DHはダイナミック硬度(単位:N/m2)を示し、Pは押し込み荷重(単位:N)を示し、Dは押し込み深さ(単位:m)を示す。]
1…電子写真感光体、2…導電性支持体、3…感光層、4…下引層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、8…単層型感光層、20…プロセスカートリッジ、21…帯電装置、25…現像装置、27…クリーニング装置、30…露光装置、40…転写装置、50…中間転写体、100,110,120,130…画像形成装置。
Claims (10)
- 導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光装置と、
前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置と、
前記トナー像を前記電子写真感光体から被転写体に転写する転写装置と、
前記電子写真感光体上に残存したトナーを除去するクリーニング装置と、
を備える画像形成装置であって、
前記感光層が、前記導電性支持体から最も遠い側に配置された最表面層としての保護層を有し、該保護層の表面が、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されており、
前記クリーニング装置が、前記電子写真感光体に当接する弾性ゴム部材を有するクリーングブレードを備え、前記弾性ゴム部材の23℃におけるJIS A硬さがA75以上A95以下であることを特徴とする画像形成装置。 - 前記電子写真感光体は、初期の表面のダイナミック硬度に対して、最表面から1μm減膜した時の表面のダイナミック硬度の変化率が35%以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記電子写真感光体は、前記保護層の表面に研磨又は表面加工処理により形成された線状痕を有し、該線状痕は、前記電子写真感光体と前記クリーニングブレードとの接線に対して30°以上150°以下の角度を成すように形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
- 前記線状痕は、前記電子写真感光体と前記クリーニングブレードとの接線に対して全て略同一の角度を成すように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記クリーニング装置が、支持部材と、該支持部材に板バネを介して取り付けられた前記クリーニングブレードと、を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 導電性支持体及び該導電性支持体上に形成された感光層を有する電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置、帯電した前記電子写真感光体に静電潜像を形成する露光装置、及び、前記電子写真感光体に形成された静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像装置からなる群より選ばれる少なくとも一種と、
前記電子写真感光体の表面に残存したトナーを除去するクリーニング装置と、
を備えるプロセスカートリッジであって、
前記感光層が、前記導電性支持体から最も遠い側に配置された最表面層としての保護層を有し、該保護層の表面が、研磨又は表面加工処理により十点平均粗さ(Rz)が0.2μm以上1.5μm以下となるように粗面化されており、
前記クリーニング装置が、前記電子写真感光体に当接する弾性ゴム部材を有するクリーングブレードを備え、前記弾性ゴム部材の23℃におけるJIS A硬さがA75以上A95以下であることを特徴とするプロセスカートリッジ。 - 前記電子写真感光体は、初期の表面のダイナミック硬度に対して、最表面から1μm減膜した時の表面のダイナミック硬度の変化率が35%以下であることを特徴とする請求項6に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記電子写真感光体は、前記保護層の表面に研磨又は表面加工処理により形成された線状痕を有し、該線状痕は、前記電子写真感光体と前記クリーングブレードとの接線に対して30°以上150°以下の角度を成すように形成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記線状痕は、前記電子写真感光体と前記クリーングブレードとの接線に対して全て略同一の角度を成すように形成されていることを特徴とする請求項8に記載のプロセスカートリッジ。
- 前記クリーニング装置が、支持部材と、該支持部材に板バネを介して取り付けられた前記クリーングブレードと、を有することを特徴とする請求項6乃至9のいずれか一項に記載のプロセスカートリッジ。
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JP2010091934A (ja) * | 2008-10-10 | 2010-04-22 | Canon Inc | 電子写真装置、ドラムユニット及びプロセスカートリッジの製造方法 |
JP2011191673A (ja) * | 2010-03-16 | 2011-09-29 | Ricoh Co Ltd | 電子写真感光体 |
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-
2007
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