JP4185425B2 - 成形性と高温強度・耐高温酸化性・低温靱性とを同時改善したフェライト系鋼板 - Google Patents

成形性と高温強度・耐高温酸化性・低温靱性とを同時改善したフェライト系鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、800〜900℃の高温雰囲気において使用可能な自動車エンジンの排気ガス経路部材に適した鋼板であって、深絞り性・張出し性等の成形性と、高温強度・耐高温酸化性・低温靱性とを同時改善したフェライト系鋼板に関する。
フェライト系ステンレス鋼は、オーステナイト系に比較して熱膨張係数が小さく、熱疲労特性や高温酸化特性に優れていることから、熱歪が問題となる耐熱用途に使用されている。その代表的用途として、エキゾーストマニホールド(以下「エキマニ」と称する),フロントパイプ,触媒担体外筒,センターパイプ,マフラー,テールパイプ等の自動車エンジン排気ガス経路部材が挙げられる。
最近の自動車エンジンは排気ガス浄化効率や出力の向上を目的として、排気ガス温度を上昇させる傾向にあり、エキマニ,フロントパイプ,触媒担体外筒などのエンジンに近い部材には特に高い耐熱性(高温強度,耐高温酸化性)が要求される。また、近年、排気ガス経路部材の形状は複雑化する傾向がある。特に、エキマニや触媒担体外筒は、メカプレス成形,サーボプレス成形,スピニング加工,ハイドロフォーム等の様々な方法で複雑な形状に成形される。このため、それに使用される材料は、単に引張伸びや曲げ性が良好であるだけでは足りず、深絞り性や張出し性に代表される成形性に優れ、かつ加工性の面内異方性が小さいことも要求されるようになってきた。また、二次加工・三次加工での延性割れや脆性割れの防止を考慮する必要があることから、低温靱性にも優れなければならない。さらに、形状が複雑化するとエンジンの起動・停止に伴う熱歪が1箇所に集中して熱疲労破壊が起こりやすくなるとともに、局所的に材料温度が上昇し異常酸化も生じやすくなるので、成形性や低温靱性の改善を図る上で耐熱性を犠牲にすることはできない。
耐熱性の高いフェライト系ステンレス鋼としてSUH409LやSUS430J1Lが知られている。SUH409Lは加工性や低温靱性が良好であり、排気ガス経路部材にも多く使用されている。しかし、その耐熱性レベルを考慮すると材料温度が800℃を超える用途への適用は好ましくない。また、複雑形状の部材に適用できる十分な深絞り性を有していない。SUS430J1Lは900℃での使用も可能な優れた耐熱性を有する。しかし、硬質であり、成形性の点で劣る。
そこで、以下のような耐熱性フェライト系鋼が開発されている。
下記の特許文献1には、Crレベルが17.0〜25.0%のフェライト系耐熱用ステンレス鋼が開示されている。この鋼は、MoとCuの複合添加により高温強度を向上させ、Mn添加によりスケール剥離を抑制したものである。また、Moによる衝撃値の低下をCuとNiの複合添加によってある程度克服している。しかし、複雑形状の排気ガス経路部材に十分対応できる成形性は有していない。Crレベルが高いのでコスト的にも不利である。
特許文献2には、13%Cr系において18%Cr系と同等以上の耐熱性を示し、かつ高温塩害腐食性を改善したフェライト系ステンレス鋼が開示されている。これは固溶Nbを確保することにより高温強度を上昇させ、MnとSiを多目に添加することで高温酸化特性を改善し、そのSiにより耐高温塩害腐食性の改善を図ったものである。しかし、成形性や低温靱性の改善については特段の配慮がなされておらず、上で述べた近年の厳しい要求に十分対処できるものではない。
特許文献3には、Crレベルが11.0〜15.5%のNb含有フェライト系耐熱ステンレス鋼において、耐高温酸化性とスケール密着性の向上を図った鋼が開示されている。Mn/Siを0.7〜1.5の範囲に厳しく規制することによりこれらの特性が顕著に向上している。また、Cu添加により低温靱性と加工性の改善が図れることが教示されている。例えば加工性については密着曲げ試験で割れが発生しないというデータが示されている。しかし、排気ガス経路部材の形状に対する要求が一層厳しさを増している現状を考慮すると、その材料には様々な成形法(前述)に十分対応できる優れた成形性が要求される。この点、深絞り等の張出し成形性に何ら着目していない特許文献3の鋼は、昨今の厳しい要求に十分対処できるものとは言えない。また、Crレベルもステンレス鋼に要求される11.0%以上を含有しており、必ずしも「ステンレス」である必要のない排気ガス経路部材においては低Cr化による更なるコストダウンが望まれる。
特許文献4には、Cr:11〜14%を含有するエキマニ用フェライト系ステンレス鋼が開示されている。この鋼はNb含有鋼にSiを積極添加することにより高温強度を上昇させたものである。その高温強度は特許文献3の鋼と同等と考えられる。しかし、成形性や低温靱性を従来以上に改善することは考慮されておらず、この鋼も昨今の厳しい要求に十分対処できるものとは言えない。また、Crレベルについても更なる低減が望まれる。
特許文献5には、Crレベルが8.0〜10.0%のエンジン排ガス経路部材用フェライト系耐熱鋼が開示されている。この鋼はSUH409Lよりも耐熱性を向上させながら低Cr化によるコストダウンを実現したものである。また、Cuは低温靱性と加工性の双方を改善するのに有効であることが教示されている。例えば加工性については室温での引張試験においてSUH409Lに匹敵する延性を有している。しかし、延性の面内異方性や深絞り性の向上は意図されておらず、様々な成形法(前述)に十分対応できる成形性を付与する点は未解決である。さらに、優れた低温靱性を安定的に付与する手法も未知である。したがって、特許文献5の鋼は、排気ガス経路部材に対する昨今の厳しい要求に十分対処できるものとは言えない。
特許文献6および特許文献7には、マフラー等の低温部材に必要な凝結水に対する耐食性、あるいはさらにエキマニ等の高温部材に必要な高温強度を改善した、Crレベルが10〜15%未満のフェライト系鋼が開示されている。しかし、耐高温酸化性については具体的な開示がなく、加工性は耐力で評価しているだけである。特許文献6および特許文献7は耐高温酸化性と成形性を同時に安定して再現性良く改善する点を意図しておらず、その手法は未知である。したがって、特許文献6,7に開示の鋼は複雑形状を有する種々の排気ガス経路部材への加工を考慮すると、成形性の点で万全の鋼であるとは言い難い。
特開平3−274245号公報(3頁右上欄1行−4頁右上欄9行) 特開平5−125491号公報(段落0012−0016) 特開平7−11394号公報(段落0014−0021,0028−0029,表6,図1) 特開平7−145453号公報(段落0011−0021) 特開平10−147848号公報(段落0003−0005,0014) 特開平10−204590号公報(段落0026−0036,0072) 特開平10−204591号公報(段落0028−0037,0074)
上述のように、自動車排気ガス経路部材用の鋼板には、様々な成形法で複雑形状に加工することが可能で、部材の設計自由度の拡大に貢献しうる優れた「成形性」が要求されるようになってきた。ただし、高温強度,耐高温酸化性については800〜900℃においてSUS430J1Lと同等レベルを維持し、かつ低温靱性にも優れることが望まれる。しかし、上記の特許文献からわかるように、優れた成形性と、優れた高温強度・耐高温酸化性・低温靱性とを同時に高レベルに改善した鋼板は未だ出現していないのが現状である。
本発明は、複雑形状の自動車排気ガス経路部材に無理なく適用できる優れた「成形性」と、900℃での使用に耐え得る優れた「高温強度」「耐高温酸化性」と、エネルギー遷移温度が−50℃以下である優れた「低温靱性」とを同時に兼ね備え、かつCrレベルを11質量%未満に低減して低コスト化を図った新しいフェライト系耐熱鋼を提供することを目的とする。
発明者らは、優れた成形性と、優れた高温強度・耐高温酸化性・低温靱性との同時改善が未解決である原因について調査したところ、上記特性の中でも特に「成形性」と「耐高温酸化性」を安定的に再現性良く両立させる手段が見出されていない点に大きな原因があると考えられた。そこで詳細に検討した結果、後述(3)式のようにオーステナイトバランスが調整されている場合において、後述(1)式および(2)式で示すように、SiとCrの含有量に「成形性」と「耐高温酸化性」を両立させうる領域が存在することが明らかになった。
また、複雑形状の排気ガス経路部材への加工性を評価するには、成形性のなかでも「深絞り性」を軽視することができない。Nbを添加した耐熱性フェライト系鋼では、Nbに加えてTiを複合で添加することが深絞り性の向上に有効であることがわかった。さらに、熱延板を部分再結晶させることにより、深絞り性(平均塑性歪み比rAV)およびその面内異方性(塑性異方性Δr)が向上するとの知見を得た。
ただし、Tiの添加は低温靱性の低下を招く。この低温靱性を改善するにはCuとBを複合添加することがCu単独添加の場合よりも一層効果的であることが判明した。
ところが、Cuの添加量を増していくと急に異常酸化を誘発するようになる現象が現れた。そして、「低温靱性」と「耐高温酸化性」を同時に改善し得るCuの適正範囲を見出した。
すなわち、上記目的は、質量%において、C:0.02%以下,Si:0.7〜1.1%,Mn:0.8%以下,Ni:0.5%以下,Cr:8.0〜11.0%未満,N:0.02%以下,Nb:0.10〜0.50%,Ti:0.07〜0.25%,Cu:0.02〜0.5%,B:0.0005〜0.02%,V:0(無添加)〜0.20%好ましくは0.01〜0.20%,CaおよびMgの1種または2種:合計0(無添加)〜0.01%好ましくは0.0003〜0.01%,YおよびREMのうち1種以上の元素:合計0(無添加)〜0.20%好ましくは0.01〜0.20%であり、必要に応じてさらにMo:0.50%以下およびAl:0.10%以下の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下記(1)〜(3)式をすべて満たす化学組成を有する成形性と耐高温酸化性・高温強度・低温靱性とを同時改善したフェライト系鋼板によって達成される。
3Cr+40Si≧61 ……(1)
Cr+10Si≦21 ……(2)
420C−11.5Si+7Mn+23Ni−11.5Cr−12Mo+9Cu−49Ti−25(Nb+V)−52Al+470N+189≦70 ……(3)
ここで(1)〜(3)式の元素記号の箇所には当該元素の含有量を質量%で表した値が代入される。ただし、Vを含有しない場合は(3)式のVの箇所には0(ゼロ)が代入され、Moを含有しない場合は(3)式のMoの箇所には0(ゼロ)が代入され、Alを含有しない場合は(3)式のAlの箇所には0(ゼロ)が代入される。
ここで、(1)〜(3)式の元素の箇所には各元素の含有量を質量%で表した値が代入される。ただし、(3)式において、含有されない元素の箇所にはゼロが代入される。
また本発明では、上記鋼板において、部分再結晶させた熱延板を冷間圧延および焼鈍して得られる金属組織を有するものを提供する。
ここで、部分再結晶させた熱延板とは、再結晶粒が10〜90体積%を占め、残部が未再結晶組織からなる熱延板をいう。再結晶粒の存在量は熱延板断面の光学顕微鏡観察によって特定することができる。熱延板は、熱間圧延後の鋼板であって冷間圧延されていないものを意味し、熱間圧延後に熱処理を受けたかどうかは問わない。冷間圧延および焼鈍を施して得られる金属組織は、最終的に完全再結晶したものである。
また本発明では、上記鋼板において、完全再結晶させた熱延板を冷間圧延および焼鈍して得られる金属組織を有するものを提供する。
ここで、完全再結晶させた熱延板とは、再結晶粒の存在率が90体積%を超える熱延板をいう。
また本発明では、上記鋼板であって、特に自動車エンジンの排気ガス経路部材に加工されて使用されるものを提供する。
本発明により、フェライト系耐熱鋼板において「成形性」と「高温強度・耐高温酸化性・低温靱性」の同時改善が達成された。特にその「成形性」は様々な成形法に対応する上で必要な深絞り性およびその等方性に優れるというものであり、この点、本発明の鋼板は従来のフェライト系耐熱鋼板では意図していなかった新たな性能を付与したものである。また、「高温強度・耐高温酸化性・低温靱性」についても、排気ガス経路部材に使用されている現行材と同等以上の性能を確保している。「成形性」と「高温強度・耐高温酸化性・低温靱性」の高度な両立は従来のフェライト系鋼板では困難であったが、本発明ではその両立を11%以下のCrレベルにおいて実現した。従って本発明は、複雑形状の排気ガス経路部材へのフェライト系耐熱鋼の適用を可能にし、当該部材の設計自由度の拡大に寄与するとともに、コストダウンにも大きく貢献するものである。
図1に、10Cr−0.9Si−0.3Nb−0.1V−0.1Cuを基本組成とするフェライト系鋼について、圧延方向に対し45°方向のr値(rD)に及ぼす、Ti含有量の影響および熱延板が部分再結晶か完全再結晶かの相違による影響を示す。部分再結晶させた熱延板としては、板厚4.0mmの熱延板を700〜1000℃に1分間加熱して10〜90体積%が再結晶粒で占める組織を有するものを用意し、完全再結晶させた熱延板としては、板厚4.0mmの熱延板を約1050℃に1分間加熱したものを用意した。これらの熱延板を2.0mmまで冷間圧延した後、1050℃で焼鈍して完全再結晶させ、これらから引張試験片を切り出した。図1からわかるように、Tiを0.07質量%以上含有させるとrD値が急激に上昇する。また、熱延後に部分再結晶させるとにより、すべてのTi含有量範囲においてrD値が一段と向上する。
これらの理由は必ずしも明確でないが、次のように考えられる。すなわち、Nbよりも炭窒化物生成能の強いTiがCおよびNを固定して固溶C,固溶Nが減少し、素地が高純度化することにより、最終焼鈍時の再結晶の際に加工性の向上に有利な(111)面集合組織の発達が促進する。Ti含有量が0.07質量%以上となったとき、その効果が顕在化するものと考えられる。また、熱延板を部分再結晶させた場合には微細なNb−Ti系析出物が均一に生成し、焼鈍時にその析出物が加工性向上を阻害するとされる(100)面集合組織の発達を抑制するとともに、(111)面集合組織の発達を促進させるものと考えられる。
図2に、10Cr−0.9Si−0.3Nb−0.1Ti−0.1V−0.001Bを基本組成とするフェライト系鋼について、エネルギー遷移温度および大気中900℃×200時間加熱後の酸化増量に及ぼす、Cu含有量の影響を示す。試料は、部分再結晶させた板厚4.0mmの熱延板を2.0mmまで冷間圧延した後、1050℃で最終焼鈍して完全再結晶させたものを用いた。ここで、エネルギー遷移温度はシャルピー衝撃試験で求めた。衝撃方向が圧延方向と平行になるように、JIS Z 2202に準拠して5号試験片(幅2mm)を採取し、JIS Z 2242に準拠して−100〜25℃の温度で試験を行い、試験温度と吸収エネルギーの関係からエネルギー遷移温度を求めた。酸化増量は、JIS Z 2281に準拠して大気中900℃で連続200時間加熱した場合の試験片の重量増加を測定して求めた。図2からわかるように、Bを適量含有するフェライト系鋼において、Cuは0.02質量%程度の微量添加で低温靱性の改善に有効に作用する。ただし、0.5質量%を超えると900℃での耐酸化性が急激に劣化するという新たな知見が得られた。
これらの理由についても現時点では明確にされていないが、低温靱性に関しては、低温脆性の要因の一つである双晶の発生が抑制されることが考えられ、異常酸化の発生に関しては、CrやSiの酸化による素地の相バランスの不安定化がCuにより助長されることが考えられる。
図3に、8〜14Cr−0.5〜1.0Si−0.3Nb−0.1Ti−0.1V−0.1Cuを基本組成とするフェライト系鋼について、耐高温酸化性および成形性に及ぼす、Cr含有量およびSi含有量の影響を示す。試料は、図2の場合と同様の工程で作製した。ここで、成形性の指標としては圧延方向に45°方向の室温引張試験での0.2%耐力を採用した。これが300MPaを超えるものは排気ガス経路部材用として基本的に種々の成形法に対応できる成形性を有しないものと判断される。図3からわかるように、CrとSiの含有量が低下すると大気中900℃×100時間の加熱において異常酸化が発生する。一方、CrとSiの含有量が増加すると成形性が劣化する。しかし、CrとSiの含有量の組み合わせにおいて、900℃での耐高温酸化性と成形性の両方を満足し得る領域が存在することが明らかになった。従来、このような領域の存在が不明であったため、種々のフェライト系耐熱鋼が開発されているにもかかわらず、結果的に耐高温酸化性に劣ったり成形性に劣ったりするものが出現し、安定して再現性良くこれら両特性を同時に満足する鋼は特定されていなかった。
耐高温酸化性と成形性を同時に満足し得る領域は図中○印のプロットの存在する範囲であり、次式(1)および(2)によって特定される。
3Cr+40Si≧61 ……(1)
Cr+10Si≦21 ……(2)
図4に、8〜14Cr−0.5〜1.0Si−0.3Nb−0.1Ti−0.1V−0.1Cuを基本組成とし、かつ上記(1)式および(2)式を満たすフェライト系鋼について、
AM=420C−11.5Si+7Mn+23Ni−11.5Cr−12Mo+9Cu−49Ti−25(Nb+V)−52Al+470N+189
で定義されるAM値と圧延方向に45°方向の室温引張試験での伸びの関係を示す。AM値はフェライト相とオーステナイト相のバランスを表したものである。図4からわかるように、AM値が70以下の範囲でのみ高延性が得られ、70を超えると急激に延性が低下する。したがって、(1)式および(2)式を満たし、かつ下記(3)式を満たす場合にのみ成形性と耐高温酸化性が同時に改善されるのである。
420C−11.5Si+7Mn+23Ni−11.5Cr−12Mo+9Cu−49Ti−25(Nb+V)−52Al+470N+189≦70 ……(3)
以下、本発明を特定する事項について説明する。
CおよびNは、一般にはクリープ強さ,クリープ破断強さ等の高温強度向上に有効である。しかし、フェライト系鋼においてはC,N含有量が多いと低温靱性が劣化する。この場合、炭窒化物として安定化させるためにNb,Ti添加量を増加する必要があり鋼材コストが上昇する。一方で、C,Nの大幅な低減を図るには製鋼への負担が過大となり、逆にコスト増を招く。種々検討の結果、本発明ではC,Nとも、0.02質量%までの含有が許容される。なお、TiおよびNbの添加量を適正化すればC+N量が0.01〜0.02質量%のものにおいて特に良好な成形性および耐熱性が得られる。したがって、CとNの合計含有量を0.01〜0.02質量%にすることが望ましい。
SiおよびCrは、いずれも高温酸化特性の改善に非常に有効である反面、鋼を硬質化する。優れた成形性と耐高温酸化性を両立させるには前記(1)式および(2)式の両方を満たす範囲にSiおよびCrの含有量をコントロールする必要がある(前述図3)。さらに、これらの関係式に加えて、耐食性と低温靱性確保の観点からSiおよびCrの下限・上限が規制される。すなわち、Si,Crの含有量が少なすぎると最低限必要なSUH409Lレベルの耐食性が維持できなくなり、逆に多すぎると同鋼レベルの低温靱性が維持できなくなる。そこで、Si含有量は0.7〜1.1質量%に規定した。Si含有量のより好ましい範囲は0.8〜1.0質量%である。また、Cr含有量は8.0〜11.0質量%未満に規定した。Cr含有量のより好ましい範囲は9.0〜11.0質量%未満であり、さらに好ましい範囲は9.0〜10.0質量%未満である。
Mnは、過剰に添加すると鋼材が硬質化し、低温靱性や成形性の低下を招く。また、特に本発明の成分系では加熱使用時にオーステナイト相が生成し耐高温酸化性に悪影響を及ぼす恐れがある。そこでMn含有量の上限を0.8質量%に規定した。なお、本発明の成分系において、特に900℃レベルでの優れたスケール密着性を必要とする場合には、0.2〜0.8質量%の範囲でMnを含有させることが望ましい。
Niは、低温靱性の改善には有効であるが、過剰な添加は鋼材を硬質化させ成形性の劣化を招く。また、本発明の成分系ではMnと同様に加熱使用時にオーステナイト相の生成を招き耐高温酸化性を劣化させる恐れがある。このため、Ni含有量の上限は0.5質量%に制限される。
Nbは、高温強度の向上に極めて有効である。本発明ではTiを添加しているためC,Nに固定されるNbはほとんどなく、実質的に添加したNbの全てが高温強度の向上に有効に作用すると考えてよい。その効果は0.10質量%以上で顕著になる。一方、過剰なNb添加は成形性や低温靱性を劣化させる。そこで、Nb含有量は0.10〜0.50質量%に規定した。より高い成形性と高温強度を得るには0.10〜0.40質量%の範囲とすることが望ましい。
Tiは、CおよびNを固定し、一般には耐粒界腐食性を改善することが知られているが、本発明では成形性(特に深絞り性)を改善するために非常に重要である。成形性の改善効果は0.07質量%以上のTi含有量において顕著に現れる(前述図1)。ただし、過剰のTi添加は靱性を劣化させ、また、製品の表面性状にも悪影響を及ぼす。そこで、Ti含有量は0.07〜0.25質量%に規定した。高レベルの高温強度を得るにはTi≧6(C+N)を満たすようにTiを添加することが望ましい。また、SUH409Lと同等以上の表面性状の製品を得るには0.20質量%以下の範囲でTiを含有させることが望ましい。
Moは、高温強度の上昇に有効であるが、多量の含有は鋼材の脆化を招く。また、Moは非常に高価な元素である。Moを添加しなくても他の成分元素の含有量を適正化することにより十分な耐熱性を確保することは可能であるが、Mo添加により成分設計の自由度は大きくなる。Moを含有させる場合は0.50質量%以下の範囲で行うことが望ましい
Cuは、低温靱性を改善するが、排気ガス経路部材に要求される低温靱性を顕著に向上させるには、後述のBとの組み合わせにおいてCuを0.02質量%以上含有させることが重要である。ただし、Cuが0.5質量%を超えると耐高温酸化性が急激に劣化する(前述図2)。このため、本発明ではCu含有量を0.02〜0.5質量%に規定した。
Vは、NbやTiと同様に炭窒化物生成元素であり、耐粒界腐食性や溶接熱影響部の靱性改善に有効である。また、Nbと同様に固溶した状態で高温強度の向上に寄与する。その効果はNbとの共存状態において特に顕著である。さらにVは耐高温酸化性の改善にも有効であると考えられる。ただし、0.20質量%を超えると加工性や低温靱性の低下を招く。したがって、Vを添加する場合は0.20質量%以下の範囲で行う必要がある。なお、上記Vの効果を十分に得るには0.01〜0.20質量%の範囲で添加することが望ましい。
Alは、耐高温酸化性の改善に非常に有効であるが、本発明ではAlを含有させなくても耐高温酸化性が確保できるよう成分設計されている。過剰のAl添加は成形性,溶接性,低温靱性を劣化させ、また、本発明ではTiおよびSiを添加することからAlによる脱酸も特に必要としない。Alを含有させる場合は0.1質量%以下の範囲で行う必要がある。Alを含有させ、かつ、成形性,溶接性,低温靱性を特に重視する場合は、Al含有量を0.07質量%以下に規制することが望ましい。
Bは、NbとTiが共存するフェライト系鋼において低温脆性および二次加工脆化を抑制し、Cuとの複合添加によりその効果は顕著になることが明らかになった。低温靱性を十分に改善するためには0.0005質量%以上のB添加が必要である。一方、0.02質量%を超えて過剰にBを添加するとホウ化物が生成し、成形性が劣化するとともに低温靱性も却って悪化する。本発明ではCu:0.02〜0.5質量%とともにBを0.0005〜0.02質量%の範囲で含有させる。
CaおよびMgは、Sとの結合力が強く、MnSの生成量を減じ耐食性を改善する。また、CaやMgの元素そのものが耐高温酸化性の向上に有効に作用する。したがって、耐食性や耐高温酸化性を重視する場合にこれらの元素を必要に応じて添加することができる。ただし、多量に添加すると介在物が増加し低温靱性や成形性を劣化させることがあるので、CaおよびMgの1種または2種を添加する場合はその合計含有量が0.01質量%以下の範囲で行う必要がある。Ca,Mg添加による顕著な効果を得るにはCaおよびMgの合計含有量を0.003〜0.01質量%とすることが望ましい。
YおよびLa,Ce等のREM(希土類元素)は、鋼板表面に形成されるCr酸化皮膜を安定化させ、また、鋼素地と酸化皮膜の密着性を改善することにより鋼板の耐高温酸化性を飛躍的に向上させる。したがって、耐高温酸化性を重視する場合にこれらの元素を必要に応じて添加することができる。ただし、多量に添加すると成形性や低温靱性が劣化するだけでなく、異常酸化の起点になる介在物が生成し易くなり、却って耐高温酸化性の劣化を招くことにもなる。このため、YおよびREMのうち1種以上の元素を添加する場合はその合計含有量が0.20質量%以下の範囲で行う必要がある。Y,REM添加による顕著な効果を得るにはYおよびREMのうち1種以上の元素の合計含有量を0.01〜0.20質量%とすることが好ましい。
その他の元素として、高温強度の改善に有効なZr,Hf,Ta,W,Re,Coの1種または2種以上を含有させてもよい。ただし、多量の添加は鋼材の脆化を招くので、これらの元素を添加する場合は合計3.0質量%以下の範囲で行う必要があり、合計0.5質量%以下とすることが好ましい。
一般的な不純物元素であるP,S,O,Zn,Sn,Pbなどは、成形性や低温靱性を確保する点から可能な限り低減することが望ましい。具体的には最も緩い規制としてP:0.04質量%以下,S:0.03質量%以下,O:0.02質量%以下,Zn:0.10質量%以下,Sn:0.10質量%以下,Pb:0.10質量%以下とすることができる。実際の製造現場では目的とする品質に応じてさらに厳しい規制を設けることが望ましい。
前記(1)〜(3)式は、成形性と耐高温酸化性を同時に改善するために必要な組成範囲を規定したものである(前述)。ここで、(3)式左辺の値(AM値)について、特に下限は規定していないが、AM値の低い鋼は通常の場合Si,Cr,Mo,Ti,Nb,V,Alといったフェライト生成元素を多目に含む。これらの元素を多く含むと成形性あるいは低温靱性の低下をきたす。種々検討の結果、AM値が40以上となるように成分調整することが好ましいと言える。
以上の化学組成を満たすことにより、成形性と耐高温酸化性・高温強度・低温靱性とが同時に改善される。
その上で、成形性についてより一層の改善を図るには、熱延板の部分再結晶処理を行った後、冷間圧延と焼鈍を行うことが極めて有効である。すなわち、再結晶粒が10〜90体積%を占め、残部が未再結晶組織からなる熱延板を作り、これを冷間圧延し、さらに焼鈍して完全再結晶させるという工程を経ることにより深絞り性の指標であるr値を大幅に向上させることができるのである(前述図1)。そのようにして得られた金属組織を有する鋼板は、形状に対する要求が厳しい昨今の排気ガス経路部材に十分対応できる成形性を具備する。
熱延板の部分再結晶処理は、熱延工程で直接行う方法、または熱延後〜冷延前に加熱する方法によって実施できる。
熱延工程で部分再結晶処理を行うには、例えば950〜1250℃の温度範囲で熱間圧延し、巻き取ってそのまま空冷する手法が採用できる。設備仕様や熱延パススケジュールに応じて最適な条件を選択すればよい。また、熱延後の加熱により部分再結晶処理する場合は、熱延後に冷却した鋼板を例えば850〜1000℃の温度範囲で加熱する手法が採用できる。当該加熱は冷間圧延前のいずれかの段階で行えばよい。
このようにして部分再結晶させた熱延板を冷間圧延し、その後、焼鈍して完全再結晶させる。冷間圧延率は例えば30〜90%の範囲で実施できる。自動車排気ガス経路部材用途に供する場合、最終板厚は例えば0.4〜1.2mm程度に調整される。焼鈍温度は例えば950〜1150℃の範囲が好ましい。得られたフェライト系鋼板は優れた成形性と低温靱性を有し、その特性は溶接鋼管に加工された後にも維持される。
加工された製品における表面外観の美麗さを重視する場合は完全再結晶させた熱延板を使用することが望ましい。完全再結晶させた熱延板は、熱延後に例えば950〜1100℃の温度範囲で加熱する熱処理を行うことによって得ることができる。
表1・表2に示した化学組成のフェライト系鋼を高周波真空溶解炉で溶製し、30kgのインゴットに鋳造した。これらを熱間鍛造したのち、熱間圧延して板厚4.0mmの熱延板を得た。熱延条件は、熱延温度:700〜1250℃、1パスあたりの圧下率:約30%とし、熱延後水冷し、その後、900〜1000℃で1分間加熱した。熱延板断面の金属組織を光学顕微鏡観察したところ、いずれの試料も再結晶粒が10〜90体積%を占め残部が未再結晶組織となっており、部分再結晶処理が達成されたことを確認している。これらの部分再結晶させた熱延板を板厚2mmまで冷間圧延したのち、1050℃で1分焼鈍して完全再結晶させ、冷延焼鈍板を得た。なお、表1のNo.1〜21は本発明で規定する化学組成を満たすフェライト系鋼であり、表2のNo.22〜31はそれ以外の比較鋼である。このうち、No.22はSUH409L相当鋼、No.23はSUS430J1L相当鋼である。
Figure 0004185425
Figure 0004185425
各冷延焼鈍板から試験片を切り出し、引張試験,シャルピー衝撃試験,高温引張試験,高温酸化試験に供した。
引張試験により0.2%耐力,破断伸び,塑性歪み比を求め、成形性を評価した。圧延方向に平行な方向,圧延方向に対し45°の方向,圧延方向に対し90°の方向に沿って各供試鋼板からJIS Z 2201に規定される13B号試験片を切り出し、引張試験片とした。0.2%耐力および破断伸びは、圧延方向に45°方向の試験片を用い、JIS Z 2241に規定される試験を行って求めた。塑性歪み比は、上記3方向の試験片を用い、JIS Z 2254に準拠した引張試験で求めた。すなわち、15%の単軸引張予歪みを与えたときの横歪みおよび板厚歪みの比から各方向の塑性歪み比を算出し、次式に従って平均塑性歪み比rAVおよび面内異方性Δrを求めた。
AV=(rL+2rD+rT)/4
Δr=(rL−2rD+rT)/2
ただし、
L:圧延方向に平行な方向の塑性歪み比
D:圧延方向に対し45°方向の塑性歪み比
T:圧延方向に対し90°方向の塑性歪み比
シャルピー衝撃試験は図2において説明した方法で行い、エネルギー遷移温度を求め、低温靱性の指標とした。
高温引張試験は前記45°方向の引張試験片を用いてJIS G 0657に準拠した方法で行い、900℃の0.2%耐力を求め、高温強度の指標とした。
高温酸化試験はJIS Z 2281に準拠して大気中900℃で200時間加熱後の酸化増量を求め、耐高温酸化性の指標とした。
これらの結果を表3に示す。
Figure 0004185425
表3からわかるように、本発明例であるNo.1〜21の鋼板は、いずれもSUH409L(No.22)とSUS430J1L(No.23)の中間程度の軟質さ(0.2%耐力)を有し、SUH409Lと同等の延性(伸び)を示す。深絞り性についてみると、SUH409LやSUS430J1Lよりも優れた平均塑性歪み比rAVおよび面内異方性Δrの値を示す。低温靱性(エネルギー遷移温度)もSUH409Lに匹敵する良好な性能を有する。900℃の耐熱性(高温強度,耐高温酸化性)についてみると、SUH409Lより明らかに優れ、SUS430J1Lと同程度の性能を有する。すなわち、本発明例の鋼板は「成形性」に優れ、かつ「高温強度・耐高温酸化性・低温靱性」をも十分に維持するものである。
これに対し、比較例であるNo.22のSUH409L相当鋼は深絞り性と耐熱性に劣り、No.23のSUS430J1L相当鋼は硬質で成形性が不十分である。No.24とNo.25は自動車エンジンの排気ガス経路部材として使用実績のある鋼種であるが、No.24はTi無添加でSiとCrの含有量が本発明範囲外であることなどから成形性,低温靱性に劣り、No.25はCとNbが高くSiとCrの含有量が本発明範囲外であることなどから成形性,低温靱性,耐高温酸化性に劣る。No.26は相の安定度がオーステナイト側に安定となっているため、成形性,耐高温酸化性に劣る。No.27〜31は低温靱性に有害な元素を本発明規定範囲を超えて含有するため、低温靱性に劣る。
表1および表2の一部の鋼(No.1〜10,No.22〜26)を熱間圧延した後、950〜1100℃で1分加熱する熱処理を行い、完全再結晶させた熱延板を作製した。各熱延板を板厚2.0mmまで冷間圧延した後、1050℃で1分焼鈍して完全再結晶させ、冷延焼鈍板を得た。
各冷延焼鈍板について、実施例1と同様に0.2%耐力,破断伸び,塑性歪み比,面内異方性を求めた。また、加工後の表面外観を評価するため、各冷延焼鈍板から切り出した試料について圧延方向に20%の塑性歪みを付与した後、触針式粗度計を用いて試料表面の圧延方向に直角方向の表面粗さ(JIS B 0660に準拠した十点平均粗さRz,基準長さ10mm)を測定した。比較のために、部分再結晶させた熱延板に由来する試料(表3に示したもの)についても同様に表面粗さを測定した。
結果を表4に示す。
Figure 0004185425
表4と表3の「本発明例」のデータを対比すると、完全再結晶させた熱延板に由来する試料(表4)は、部分再結晶させた熱延板に由来する試料(表3)に比べ、平均塑性歪み比が同等か若干低くなり、面内異方性が少し大きくなる傾向がある。これは、完全再結晶させた熱延板を使用すると、圧延方向に対し45°方向のr値が少し低下することが原因と考えられる。その反面、表4のデータから、加工後の表面粗さは完全再結晶させた熱延板を使用することによって顕著に低減することがわかる。すなわち、熱延板の完全再結晶化処理を行うことによって、加工された製品の表面外観の美麗さが要求される用途に好適な鋼板が提供できるようになる。
なお、比較例のものは、基本的に成形性に劣る。
10Cr−0.9Si−0.3Nb−0.1V−0.1Cuを基本組成とするフェライト系鋼について、圧延方向に対し45°方向のr値(rD)に及ぼす、Ti含有量の影響および熱延後部分再結晶か完全再結晶かの相違による影響を示すグラフ。 10Cr−0.9Si−0.3Nb−0.1Ti−0.1V−0.001Bを基本組成とするフェライト系鋼について、大気中900℃×200時間加熱後の酸化増量およびエネルギー遷移温度に及ぼす、Cu含有量の影響を示すグラフ。 8〜14Cr−0.5〜1.0Si−0.3Nb−0.1Ti−0.1V−0.1Cuを基本組成とするフェライト系鋼について、耐高温酸化性および成形性に及ぼす、Cr含有量およびSi含有量の影響を示すグラフ。 8〜14Cr−0.5〜1.0Si−0.3Nb−0.1Ti−0.1V−0.1Cuを基本組成とし、かつ上記(1)式および(2)式を満たすフェライト系鋼について、AM=420C−11.5Si+7Mn+23Ni−11.5Cr−12Mo+9Cu−49Ti−25(Nb+V)−52Al+470N+189で定義されるAM値と室温引張試験での伸びの関係を示すグラフ。

Claims (8)

  1. 質量%において、
    C:0.02%以下,
    Si:0.7〜1.1%,
    Mn:0.8%以下,
    Ni:0.5%以下,
    Cr:8.0〜11.0%未満,
    N:0.02%以下,
    Nb:0.10〜0.50%,
    Ti:0.07〜0.25%,
    Cu:0.02〜0.5%,
    B:0.0005〜0.02%,
    V:0(無添加)〜0.20%,
    CaおよびMgの1種または2種:合計0(無添加)〜0.01%,
    YおよびREMのうち1種以上の元素:合計0(無添加)〜0.20%であり、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下記(1)〜(3)式をすべて満たす化学組成を有する成形性と耐高温酸化性・高温強度・低温靱性とを同時改善したフェライト系鋼板。
    3Cr+40Si≧61 ……(1)
    Cr+10Si≦21 ……(2)
    420C−11.5Si+7Mn+23Ni−11.5Cr−12Mo+9Cu−49Ti−25(Nb+V)−52Al+470N+189≦70 ……(3)
    ここで(1)〜(3)式の元素記号の箇所には当該元素の含有量を質量%で表した値が代入される。ただし、(3)式のMoおよびAlの箇所にはそれぞれ0(ゼロ)が代入され、Vを含有しない場合は(3)式のVの箇所には0(ゼロ)が代入される。
  2. Vの含有量が0.01〜0.20%である請求項1に記載の鋼板。
  3. CaおよびMgの1種または2種の含有量が合計0.0003〜0.01%である請求項1に記載の鋼板。
  4. YおよびREMのうち1種以上の元素の含有量が合計0.01〜0.20%である請求項1に記載の鋼板。
  5. 質量%において、
    C:0.02%以下,
    Si:0.7〜1.1%,
    Mn:0.8%以下,
    Ni:0.5%以下,
    Cr:8.0〜11.0%未満,
    N:0.02%以下,
    Nb:0.10〜0.50%,
    Ti:0.07〜0.25%,
    Cu:0.02〜0.5%,
    B:0.0005〜0.02%,
    V:0(無添加)〜0.20%,
    CaおよびMgの1種または2種:合計0(無添加)〜0.01%,
    YおよびREMのうち1種以上の元素:合計0(無添加)〜0.20%であり、
    Mo:0.50%以下およびAl:0.10%以下の1種または2種を含有し、
    残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ下記(1)〜(3)式をすべて満たす化学組成を有する成形性と耐高温酸化性・高温強度・低温靱性とを同時改善したフェライト系鋼板。
    3Cr+40Si≧61 ……(1)
    Cr+10Si≦21 ……(2)
    420C−11.5Si+7Mn+23Ni−11.5Cr−12Mo+9Cu−49Ti−25(Nb+V)−52Al+470N+189≦70 ……(3)
    ここで(1)〜(3)式の元素記号の箇所には当該元素の含有量を質量%で表した値が代入される。ただし、Vを含有しない場合は(3)式のVの箇所には0(ゼロ)が代入され、Moを含有しない場合は(3)式のMoの箇所には0(ゼロ)が代入され、Alを含有しない場合は(3)式のAlの箇所には0(ゼロ)が代入される。
  6. 部分再結晶させた熱延板を冷間圧延および焼鈍して得られる金属組織を有する請求項1〜5のいずれかに記載の鋼板。
  7. 完全再結晶させた熱延板を冷間圧延および焼鈍して得られる金属組織を有する請求項1〜5のいずれかに記載の鋼板。
  8. 自動車エンジンの排気ガス経路部材に加工されて使用される請求項1〜7のいずれかに記載の鋼板。
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