JP7246145B2 - フェライト系ステンレス鋼 - Google Patents

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Description

本発明は、フェライト系ステンレス鋼に関し、特に、排ガス凝縮水環境で使用されるフェライト系ステンレス鋼に関する。排ガス凝縮水の環境に晒される部材の例としては、自動車マフラーや管端増肉パイプ、排熱回収器、EGR(Exhaust Gas Recirculation)クーラなどがある。
近年、自動車分野においては、排気ガスに含まれる各成分が大気汚染・環境汚染の原因となるため、規制強化が進められている。そのため自動車のCO排出量の削減、燃費改善を目的として、高効率燃焼、アイドリングストップ等によるエンジン効率の向上、材料置換や管端増肉パイプ適用による軽量化が行われている。
ここで管端増肉パイプとは、排気管を構成し、他部品と溶接接合される鋼管端部を増肉することにより溶接箇所を厚肉して強度、剛性および溶接性を確保したパイプのことである。この場合、非溶接部は薄肉化でき、排気システム全体の薄肉・軽量化が可能となる。
上記のような管端増肉に関する技術はいくつか開示されている。特許文献1には、パイプ端部の強度を確保し、且つパイプの軽量化を図る目的として、パイプを回転させながら端部にローラーを押し当てて径方向内側に折り曲げた後、ローラーによって密着させる加工方法が開示されている。特許文献2には、管端を二重管状に成形し肉厚を倍にすることで溶接時の溶け落ちを防ぐための工法が開示されている。
特許文献1、2に記載されている管端増肉されたパイプは、折り曲げられた箇所に高さ数~数百μmの隙間構造を有することとなる。この隙間部は内側に折り曲げられているため、管端増肉パイプを排気系部品に適用した場合、排気系部品内部で発生する排ガス凝縮水が滞留しやすくなる。そのため、管端増肉パイプに使用されるステンレス鋼は隙間部での耐排ガス凝縮水腐食性に優れる鋼種が求められる。
また自動車のCO排出量の削減、燃費改善のためには上記したようなエンジン効率の向上、材料置換や管端増肉パイプ適用による軽量化のほかに、ハイブリッド車(HEV)やバイオ燃料車、水素/燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)等のエネルギー多様化による改善が必要とされている。
その中で、ハイブリッド車を主体に排気熱を回収する熱交換器、いわゆる排熱回収器を取り付けて燃費向上を図る取り組みもなされている。排熱回収器では、排気ガス熱を熱交換によって冷却水に伝達し、熱エネルギーを回収、再利用して冷却水の温度を上昇させる。これにより、車室内の暖房性能を向上させるとともにエンジンの暖気時間を短縮し燃費性能を向上させる。これらのことから、排熱回収器は、排気熱再循環システムとも呼ばれる。
また排気ガスを再循環させる排ガス再循環装置を設置する取り組みもなされている。排ガス再循環装置には、例えばEGRクーラがある。EGRクーラでは、エンジンの排ガスをエンジン冷却水や空気により冷却させ、次いで冷却した排ガスを吸気側に戻して再燃焼させる。これにより、燃焼温度を下げ、有害ガスであるNOxを低下させる。
このような排熱回収器やEGRクーラの熱交換部には、良好な熱効率が要求され、熱伝導率が良好であると共に、排ガスと接するため排ガス凝縮水に対して優れた耐食性が要求される。またEGRクーラ内部での堆積物の蓄積は良好な熱効率を低下させるのみならず局部腐食の原因となる。特にこれらの部品にはエンジン冷却水が流れるため、腐食による穴あきが生じた場合には重大事故に繋がる危険がある。また排熱回収器やEGRクーラに使用される材料は、熱交換効率を高めるために板厚が薄い。このため、このような材料としては、排気系下流部材よりも優れた耐食性及び堆積物を外部に滞りなく排出するための平滑性を有する材料が求められる。
ここで排ガス凝縮水とは、排気ガスが冷却された際に発生する結露水のことである。排ガス凝縮水は排気ガスを溶解しているため、排気ガス中のSOx起因のSO 2-やSO 2-濃度が高い。さらに燃料品位の低い国や地域ではClが検出されることもある。
この中で特にSO 2-はステンレス鋼の腐食を激しく促進する。SO 2-によるステンレス鋼の腐食促進機構は幾つか考察されている。例えば、SO 2-は不安定なイオンであることから、SO 2-に酸化される際に不働態皮膜を還元し腐食を発生させる機構や、ステンレス鋼の溶解反応の対反応としてSに還元され、溶解反応を促進する機構が考察されている。
このような厳しい環境である排ガス凝縮水環境では、単純に耐食性を向上させるだけでなく、上述したようなSO 2-特有の腐食促進機構を引き起こさせない材料設計が必要になる。またSO 2-が還元されることで生成したSが材料表面に蓄積し、熱効率の低下や局部腐食の原因とならないように、材料表面の平滑性も求められる。
従来、マフラーを主体とした排気系下流部材の中で、特に耐食性が求められる部位には、SUS430LX、SUS436J1L、SUS436Lといった、17%以上のCrを含むフェライト系ステンレス鋼が用いられている。しかし、管端増肉パイプや排熱回収器、EGRクーラの材料には、これらのフェライト系ステンレス鋼と同等以上の耐食性が求められ、かつSO 2-特有の腐食促進機構を引き起こさせない技術及び生成したSが材料表面に蓄積しないための表面の平滑性が必要となる。
特許文献3には、重量%で、C:0.015%以下、Si:0.5%以下、Mn:0.5%以下、S:0.002%以下、N:0.020%以下、Cr:16.0~20.0%、Mo:0.3~2.0%、Cu:0~0.80%、Ni:0~0.80%、Nb:0.20~0.60%、残部Fe及び不可避的不純物からなるフェライトステンレス熱延鋼板または冷延鋼板を、軟化焼鈍、酸洗を行い、次いで圧下率 0.5%以下のスキンパス圧延を行うことにより、圧延方向に対して直角方向での表面平均粗さRa値を0.2μm以下とした後に、40℃~80℃の温度範囲の硝酸10~40%を含有する酸化性酸水溶液中に浸漬するか、または電解処理して鋼板表面の孔食電位を、30℃、3.5%食塩水溶液中で350mV vs.SCE以上とすることにより、鋼板表面の不働態皮膜を強化することを特徴とする耐食性に優れた自動車排気系機器用フェライトステンレス鋼板の製造方法が開示されている。しかし特許文献3では、鋼表面の表面粗さについて言及されているが、圧延方向に対して直角方向しか規定されておらず、腐食反応により析出したSが表面に堆積する可能性がある。また排ガス凝縮水環境での鋼表面の不働態皮膜厚さや腐食生成物についての記載がない。
特許文献4には、質量%で、C:0.001~0.030%、Si:0.01~1.00%、Mn:0.01~2.00%、P:0.050%以下、S:0.0100%以下、Cr:11.0~30.0%、Mo:0.01~3.00%、Ti:0.001~0.050%、Al:0.001~0.030%、Nb:0.010~1.000%、N:0.050%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ上記Al量、Ti量及びSi量(質量%)が、Al/Ti≧8.4Si-0.78を満たすことを特徴とする耐排ガス凝縮水腐食性とろう付け性に優れたフェライト系ステンレス鋼が開示されている。しかし特許文献4では、鋼表面の表面粗さについて言及されているが、排ガス凝縮水環境での鋼表面の不働態皮膜厚さや腐食生成物についての記載がない。
特許文献5には、質量%で、C:≦0.015%、Si:0.01~0.50%、Mn:0.01~0.50%、P≦0.050%、S:≦0.010%、N:≦0.015%、Al:0.010~0.100%、Cr:16.5~22.5%、Ni:0.5~2.0%、Sn:0.01~0.50%を含有し、更に、Ti:0.03~0.30%およびNb:0.03~0.30%の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物より成ることを特徴とする自動車排気系部材用フェライト系ステンレス鋼が開示されている。しかし特許文献5では、Sn及びNiの添加により凝縮水環境での加熱後耐食性を向上させているが、表面粗さの影響や表面の不働態皮膜厚さ、腐食生成物の影響について言及されていない。
特許文献6には、重量%でFeにCrを18%以上20%以下、Niを1.0%以上10.0%以下およびMoを0.5%以上2.0%以下含み、かつ重量%で表示した下記の式で定義する耐孔食発生性指標(CIc)の値が19以上、耐孔食進展性指標(CIn)の値は-10以上および孔食停止性指標(CIr)の値が20以上を同時に満足し、残部がCを0.02%以下、Siを0.2%以下、Mnを0.05%以上1.5%以下、Pを0.025%以下、Sを0.010%以下およびその他の不可避的不純物からなることを特徴とする耐食性に優れたディーゼル車マフラー用ステンレス鋼が開示されている。
CIc=〔Cr〕+0.92×〔Mo〕
CIn=-〔Cr〕+1.13×〔Ni〕+4.84×〔Mo〕
CIr=〔Cr〕+1.04×〔Ni〕+1.86×〔Mo〕
しかし特許文献6では、Cr、Ni及びMoによって耐食性を向上させているが、表面粗さの影響や表面の不働態皮膜厚さ、腐食生成物の影響について言及されていない。
特開2010-234406号公報 特開2013-103250号公報 特許第3018913号公報 特開2016-89272号公報 特許第5586279号公報 特開平8-283912号公報
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、排ガス凝縮水に対する耐食性(以下、「耐排ガス凝縮水腐食性」ともいう。)に優れたフェライト系ステンレス鋼を提供することを課題とする。
本発明者らは、前述の課題を解決すべく、鋼組成の中でも特にCr、Ni含有量を低減させた鋼を種々の冷延条件で作製し、表面粗度と耐食性の関係を調べた。またin-situエリプソメトリー測定を用いた排ガス凝縮水環境でのその場不働態皮膜厚測定、in-situラマン分光法を用いた排ガス凝縮水環境でのその場腐食生成物測定を行った。
その結果、鋼中のNi量を所定量にすることでSO 2-の還元反応が促進され、電気化学的に耐食性が改善することが分かった。一方、Ni量が多量となると、SO 2-の還元によって生成したSとNiの反応(硫化反応)によって腐食が促進され耐食性が悪化することも分かった。そこで本発明者らがNi量と耐食性との関係についてさらに調査を進めたところ、SO 2-の還元反応を促進し、排ガス凝縮水環境下での耐食性を担保できる最適なNi含有量はCr含有量との関係で決まることが新たに分かった。
また、鋼の表面粗度が小さいほど、排ガス凝縮水環境下でSO 2-が還元されて生成したSがステンレス鋼表面に蓄積されづらくなり、結果、耐排ガス凝縮水腐食性が向上するという新たな知見も得た。なお、排ガス凝縮水環境下でSが生成し蓄積したとしても、当該Sが金属硫化物に変化しなければ排ガス凝縮水環境で全面腐食しないことも分かった。
さらに、排ガス凝縮水環境下で、不働態皮膜が0.10nm以上存在すれば、SO 2-がSO 2-に酸化される際に不働態皮膜を還元することを抑制でき、結果、耐排ガス凝縮水腐食性をより確保できるとの知見も新たに得ることができた。
上記課題を解決することを目的とした本発明の要旨は、以下のとおりである。
(1)質量%で、
C:0.001~0.030%、
Si:0.01~1.00%、
Mn:0.01~2.00%、
P:0.050%以下、
S:0.0100%以下、
Ni:0.16~1.00%、
Cr:10.5~20.0%、
Ti:0.05~0.40%、
Al:0.005~0.100%、
N:0.050%以下、
Mo:0~3.00%、
Cu:0~1.50%、
Nb:0~1.000%、
W:0~1.00%、
V:0~0.30%、
Sn:0~0.500%、
Sb:0~0.500%、
Mg:0~0.0030%
B:0~0.0030%、
Ca:0~0.0100%、
Zr:0~0.10%、
Co:0~0.30%、
Ga:0~0.0100%、
Ta:0~0.0100%、及び
REM:0~0.200%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
冷間圧延方向、冷間圧延方向に対して垂直の方向及び冷間圧延方向に対して45°傾いた方向の各方向における鋼表面の算術平均粗さRaがすべて0.50μm以下であり、
前記Ni量(質量%)が、下記条件(A)~(D)を満たし、
pH2.0であり、100ppmのClと、1600ppmのSO 2-と、1000ppmのSO 2-とを含む溶液中で、-0.6V vs.Ag/AgClで30分間定電位保持した場合、鋼表面にSのみが析出することを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。
(A)Cr量が10.5~13.0%のときNi量0.16~0.20%。
(B)Cr量が13.0超~16.0%のときNi量0.16~0.30%。
(C)Cr量が16.0超~18.0%のときNi量0.16~0.50%。
(D)Cr量が18.0超~20.0%のときNi量0.16~1.00%。
(2)さらに質量%で、
Mo:0.01~3.00%、
Cu:0.05~1.50%、
Nb:0.010~1.000%、
W:0.01~1.00%、
V:0.01~0.30%、
Sn:0.005~0.500%、
Sb:0.005~0.500%、及び
Mg:0.0001~0.0030%
のうち何れか1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載のフェライト系ステンレス鋼。
(3)さらに質量%で、
B:0.0002~0.0030%、
Ca:0.0002~0.0100%、
Zr:0.01~0.10%、
Co:0.01~0.30%、
Ga:0.0001~0.0100%、
Ta:0.0001~0.0100%、及び
REM:0.001~0.200%
のうち何れか1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載のフェライト系ステンレス鋼。
(4)排ガス凝縮水環境に曝される自動車部品に使用されることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれか一項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
(5)前記自動車部品が、自動車マフラー、管端増肉パイプ、排熱回収器、又はEGRクーラであることを特徴とする上記(4)に記載のフェライト系ステンレス鋼。
本発明によれば、優れた耐排ガス凝縮水腐食性を有するフェライト系ステンレス鋼を提供することができる。また本発明に係るフェライト系ステンレス鋼は優れた耐排ガス凝縮水腐食性を発揮できるため、自動車マフラー、排熱回収器またはEGRクーラ等の排ガス凝縮水環境に曝される自動車部品に好適に使用できる。
図1は、鋼板中のCr、Ni含有量と凝縮水腐食試験結果との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面及び表を参照して詳細に説明する。
本発明者らは、排ガス凝縮水に対する腐食性(耐排ガス凝縮水腐食性)の向上のために、種々の濃度のCr含有量やNi含有量の鋼を種々の冷延条件で作製した。そして、排ガス凝縮水腐食試験を行い、耐排ガス凝縮水耐食性に及ぼすCr量、Ni量の影響や、耐排ガス凝縮水耐食性に及ぼす表面粗度の影響、さらには表面の不働態皮膜厚さ及び腐食生成物の変化を調べた。その結果、耐排ガス凝縮水耐食性に関しては、鋼中にNiを添加することによって向上するが、過度な添加はNiの硫化を引き起こして耐食性が低下することを見出した。そして、耐排ガス凝縮水耐食性向上と硫化の抑制を両立しうるNi含有量の上限値にはCr含有量と相関があることを見出した。その結果を、横軸を鋼中のCr含有量、縦軸を鋼中のNi含有量(いずれも質量%)として図1に示す。なお図1は、後述の実施例の表1中の本発明例および比較例の一部(Ni量が本発明の範囲を外れる比較例)のデータを反映させたグラフである。ここで、凝縮水腐食試験の判定基準は、後述の実施例で用いた試験条件で、全面腐食が著しくなることが確認された腐食減量15g/mを基準値とした。図1中では、腐食減量が10g/m以上15g/m未満の鋼種は符号「〇」で、腐食減量が10g/m未満の鋼種は符号「◎」で、15g/m以上の鋼種は符号「×」でプロットしている。当該腐食減量が15g/m未満の鋼種(符号「〇」および「◎」)を合格と評価した。
図1より、鋼中のCr、Ni量(質量%)が下記の関係(A)~(D)を満足しない場合、耐排ガス凝縮水腐食性が著しく低下することがわかる。
(A)Cr量が10.5~13.0%のときNi量0.05~0.20%。
(B)Cr量が13.0超~16.0%のときNi量0.05~0.30%。
(C)Cr量が16.0超~18.0%のときNi量0.05~0.50%。
(D)Cr量が18.0超~20.0%のときNi量0.05~1.00%。
また、鋼中のCr、Ni量(質量%)が上記の関係(A)~(D)を満足していない鋼表面の腐食生成物を調べた結果、主にNi系硫化物が存在していることがわかった。一方、上記の関係(A)~(D)を満足する鋼表面に存在する生成物は、Sであることがわかった。
これらの結果から、排ガス凝縮水環境下では、鋼中のNiがSO 2-→Sの還元反応を促進させることで、耐排ガス凝縮水耐食性が向上することが分かった。耐食性が向上するメカニズムは、鋼中のNiが、前述の還元反応を促進させステンレス鋼の腐食反応量と等しくなる電位を、ステンレス鋼の活性態の電位域から不働態域に変化させることにより防食していると考えられる。
しかし、過度なNiの添加は、鋼表面に生成したSと鋼中のNiとの反応(Niの硫化反応)を助長し、腐食減量を増加させてしまうことがわかった。NiはFeやCrよりも硫化し易いことが要因と考えられる。そして排ガス凝縮水に対する耐食性向上と硫化の抑制を両立しうるNi含有量の上限値は、図1からも明らかにように、Cr含有量と相関があることがわかった。高Cr鋼では表面に安定な不働態皮膜が生成するため、Ni量を一定量まで高めたとしても、NiによるSO 2-→Sの還元反応の促進は維持しつつ、Niの硫化反応は防止できると考えられる。一方、低Cr鋼ではNiの硫化反応の影響が大きいため、Ni量は最小限に留めることが重要と考えられる。すなわち、NiによるSO 2-の還元反応の促進と、Niの硫化反応の抑制を両立させ耐食性を向上させるためには、鋼中のCr、Ni量を上記の関係(A)~(D)を満たすよう制御することが重要である。
上記のような、Niの硫化反応機構やNiによるSO 2-の還元反応の促進機構は、排ガス凝縮水環境下における、in-situエリプソメトリー測定を用いたその場不働態皮膜厚測定、ならびにin-situラマン分光法を用いたその場腐食生成物測定で確認することができた。
具体的には、種々の濃度のCr含有量やNi含有量の鋼種を、100ppmのClと、1600ppmのSO 2-と、1000ppmSO 2-とを含み、pH2.0に調整された溶液(排ガス凝縮水環境を模擬した溶液)中に10分浸漬した後、当該溶液中での鋼表面の不働態皮膜厚さをin-situエリプソメトリー測定により測った。その結果、腐食減量が15g/m以上(耐食性不良)となった鋼種では不働態皮膜厚さが0.1nm未満となっていることがわかった。つまり、下地金属の溶解反応や硫化反応によって、不働態皮膜厚さが非常に薄くなり、腐食が大幅に進行(腐食減量の増大)したと考えられる。一方、腐食減量が15g/m未満(耐食性良好)となった鋼種では不働態皮膜厚さが0.1nm以上残存しており、排ガス凝縮水環境下でも十分な耐食性を発揮できることがわかった。
また同様に、種々の濃度のCr含有量やNi含有量の鋼種を、まず100ppmのClと、1600ppmのSO 2-と、1000ppmのSO 2-とを含み、pH2.0に調整された溶液(排ガス凝縮水環境を模擬した溶液)中で、-0.6V vs.Ag/AgClで30分間定電位保持した。その後、in-situラマン分光法により腐食生成物を測定し、得られたスペクトル形状から生成物の組成を調べたところ、腐食減量が15g/m未満(耐食性良好)の鋼種は、表面にはSのみしか析出していないことがわかった。一方の腐食減量が15g/m以上となった鋼種は、腐食生成物として、Fe、FeOOHなどのFeの酸化物・水酸化物や、NiS、NiなどのNiの硫化物が測定された。Feの酸化物・水酸化物が生成した鋼種は、Ni、Crに加え、C、Ti、N等の含有量が不適な鋼種であり、そもそもの基本的な耐食性が不十分であったと考えられる。また、腐食生成物としてNiの硫化物が生成された鋼種は、Ni含有量が過剰な鋼種、またはNi量とCr量の上記関係を満足しない鋼種であった。これらの結果から、排ガス凝縮水環境以外の環境(例えが、大気中など)でも基本的な耐食性を発揮できることは当然ながら、排ガス凝縮水環境下において、SO 2-の還元反応によって表面に生成するSと母材のNiの反応を防止可能な成分組成の設計を行い、耐排ガス凝縮水腐食性を確保することが重要と考えられる。
さらに、鋼表面の表面粗さの増加によっても耐排ガス凝縮水腐食性が低下することがわかった。
本発明者らは、本発明範囲内の成分組成を有する鋼を複数準備し、それぞれの鋼の表面粗さを種々変化させて凝縮水腐食試験を行った。その結果、表面粗さを増加させた鋼の場合には、成分組成が本発明の範囲内であったとしても、腐食減量が15g/m以上となり耐凝縮水腐食性が低下した。また、表面粗さを種々変化させた鋼表面に生成した腐食生成物をin-situラマン分光法により測定したところ、Niの硫化物が生成していることがわかった。これは、表面粗さが増加したために、SO 2-の還元反応によって生成したSが表面凹部にトラップされ堆積し易くなり、Niの硫化反応が起こりやすくなったためと考えられる。すなわち、鋼表面全体に亘って表面粗さを小さくすることで、Sの鋼表面への堆積を防ぎ、Niの硫化反応を抑制することできる。
具体的には、冷間圧延方向、冷間圧延方向に対して垂直の方向及び冷間圧延方向に対して45°傾いた方向の各方向すべての算術平均粗さRaが0.50μm以下の場合に、Niの硫化反応を抑制し耐凝縮水腐食性が向上するということがわかった。
表面粗さを上記の範囲に制御するためには、冷間圧延時のロールの表面性状を適正化することで達成できる。すなわち、ステンレス鋼の冷間圧延の最終の3パスに使用されるロールの表面が粗いと、ロールの研削目が転写されてステンレス鋼の表面も粗くなるため、最終3パスで用いるロールの表面粗度を小さくすることが望ましい。例えば、最終の3パスに使用されるロールの表面を♯60以上にすることで冷間圧延方向のみならず冷間圧延方向に対して垂直の方向及び冷間圧延方向に対して45°傾いた方向それぞれの算術平均粗さの値が小さくすることができる。好ましくは、最終3パスでは♯80以上のロールを使用する。なお、冷間圧延時に用いる圧延油については、鉱物油でも水溶性油でも構わない。
以下に、本実施形態で規定される鋼の化学組成について、さらに詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
なお、以下の説明においては、排ガス凝縮水に対する耐食性を「耐排ガス凝縮水腐食性と称するのに対し、一般的なステンレス鋼の持つ基本的な耐食性を、単に「基本的な耐食性」と称して説明する。
C:Cは、耐粒界腐食性、加工性を低下させるため、その含有量を低く抑える必要がある。そのため、0.030%以下とする。望ましくは、0.020%以下である。しかしながら、C量を過度に低めることは、ろう付け時の結晶粒の粗大化を助長し、かつ精練コストを上昇させるため、C量を0.001%以上とすることが望ましい。C量は、より望ましくは0.003%以上である。
Si:Siは脱酸元素として有用であるが、Tiの活量を上げることで硬質なTi系酸化物の生成を助長する。さらに、過剰量のSiを含有させると、ステンレス鋼の持つ基本的な耐食性が劣化してしまう。このため、その含有量を0.01~1.00%とした。Si量は、望ましくは0.10%以上、0.70%以下である。
Mn:Mnは、脱酸元素として有用であるが、過剰量のMnを含有させると、基本的な耐食性を劣化させるので、Mn量を0.01~2.00%とする。Mn量は、望ましくは、0.05%以上、1.00%以下、さらに望ましくは0.10%以上、0.70%以下である。
P:Pは、加工性・溶接性を劣化させる元素であり、その含有量を制限する必要がある。さらに、過剰量のPを含有させると、ステンレス鋼の持つ基本的な耐食性が劣化してしまう。そのためP量を0.050%以下とする。P量は、望ましくは0.030%以下である。但し、P量の過度な低減は原料コストの上昇を招くため下限は0.001%以上としてもよい。
S:Sは、基本的な耐食性を劣化させる元素であるため、その含有量を制限する必要がある。そのためS量を0.0100%以下とする。S量は、望ましくは0.0050%以下である。但し、S量の過度の低減は精錬コストの上昇を招くため下限は0.0001%以上としてもよい。
Ni:Niは、基本的な耐食性の向上に有効な元素であることに加え、排ガス凝縮水環境中でのSO 2-の還元反応(SO 2-→S)を促進させ、電気化学的に、排ガス凝縮水に対する耐食性も向上させうる元素である。これらの効果を発揮させるためには、Ni量を0.05%以上とすることが必要である。一方、過剰量のNiを含有させると、Niの硫化反応によって腐食が促進され耐食性が悪化することから、その上限を1.00%以下とする。
さらに上述のように、耐排ガス凝縮水腐食性の観点から、Ni含有量の上限はCr含有量と相関があることが明らかとなった。そのため本実施形態では、Ni量とCr量との関係が、下記(A)~(D)を満たすことが重要である。望ましくは、下記(B´)~(D´)を満たすものとし、さらに望ましくは下記(C´´)および(D´´)を満たすものとする。
(A)Cr量が10.5~13.0%のときNi量は0.05~0.20%。
(B)Cr量が13.0超~16.0%のときNi量は0.05~0.30%。
(C)Cr量が16.0超~18.0%のときNi量は0.05~0.50%。
(D)Cr量が18.0超~20.0%のときNi量は0.05~1.00%。
(B´)Cr量が13.0超~16.0%のときNi量は0.08~0.13%。
(C´)Cr量が16.0超~18.0%のときNi量は0.08~0.35%。
(D´)Cr量が18.0超~20.0%のときNi量は0.08~0.80%。
(C´´)Cr量が16.0超~18.0%のときNi量は0.16~0.35%。
(D´´)Cr量が18.0超~20.0%のときNi量は0.16~0.80%。
Cr:想定される腐食環境としては、大気環境、冷却水環境、排ガス凝縮水環境などが挙げられる。本実施形態のフェライト系ステンレス鋼がこうした環境での耐食性を確保するためには、少なくとも10.5%以上のCrが必要である。特に排ガス凝縮水環境ではNiと共に耐食性を確保する為の重要な元素である。これらの観点から、Cr量は、望ましくは、11.0%以上、より望ましくは12.0%以上、よりさらに望ましくは13.0%超である。しかし、Crの含有量を増加させるほど、耐食性は向上する一方、加工性、製造性を低下させるため、Cr量の上限を20.0%以下とする。Cr量の上限は、望ましくは19.5%以下、さらに望ましくは18.0%以下である。
Ti:Tiは、ステンレス鋼の鋭敏化を防止し、基本的な耐食性の向上に有効な元素である。この効果を発揮するその為には、0.01%以上含有させることが必要である。望ましくは0.05%以上、さらに望ましくは0.10%以上である。ただしTi量を多量に含有させると合金コスト増加に繋がるため、上限を0.40%以下とする。Ti量の上限は、望ましくは0.35%以下、よりさらに望ましくは0.30%以下である。
Al:Alは、脱酸効果等を有し、精練に有用な元素であり、また、成形性を向上させる効果がある。この効果を安定して得るためには0.001%以上のAlを含有する。しかしながら多量のAlを含有させると、硬質な介在物を生成する上、基本的な耐食性が劣化するおそれがある。このためAl量を0.100%以下とする。Al量は、望ましくは0.003%以上、0.080%以下である。
N:Nは、耐孔食性に有用な元素であるが、耐粒界腐食性、加工性を低下させるため、その含有量を低く抑える必要がある。そのため、N量を0.050%以下とする。N量は、望ましくは0.030%以下である。但し、N量の過度の低減は精錬コストの上昇を招くため下限は0.001%以上としてもよい。
以上が、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼の基本となる化学組成であり、上述してきた元素以外(残部)は、Fe及び不純物からなるが、本実施形態では、更に、次のような元素を必要に応じて含有させることができる。よって、Mo、Cu、Nb、W、V、Sn、Sb、Mg、B、Ca、Zr、Co、Ga、Ta、REMの含有量の下限は0%以上である。
なお、本実施形態における「不純物」とは、鋼を工業的に製造する際に鉱石やスクラップ等のような原料をはじめとして製造工程の種々の要因によって混入する成分であり、不可避的に混入する成分も含む。
本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、上記の基本の化学組成に加え、さらに、Mo:0.01~3.00%、Cu:0.05~1.50%、Nb:0.010~1.000%、W:0.01~1.00%、V:0.01~0.30%、Sn:0.005~0.500%、Sb:0.005~0.500%、及びMg:0.0001~0.0030%のうち何れか1種または2種以上を含有してもよい。
Mo:耐排ガス凝縮水腐食性を向上させるため、Moは0.01%以上含有することができる。しかし過剰量のMoを含有すると、加工性を劣化させると共に、高価な元素であることかたコストアップにもつながるため、含有させる場合には、Mo量を3.00%以下とする。Mo量は、より望ましくは0.10~2.50%である。
Cu:基本的な耐食性を向上させる上で、1.50%以下の量でCuを含有させることができる。またCuは、Niと同様に排ガス凝縮水中のSO 2-の還元反応を促進させ、電気化学的に耐食性を改善する効果がある。こうした効果を安定して得るためには0.05%以上とすることが望ましい。Cu量は、より望ましくは0.10~1.00%である。
Nb:Nbは、高温強度の向上や溶接部の耐粒界腐食性の向上に有用であるが、過剰量のNbを含有すると、加工性や製造性を低下させるため、含有させる場合には、Nb量を0.010~1.000%とする。Nb量は、より望ましくは0.100~0.600%である。
W:基本的な耐食性を向上させる上で、1.00%以下の量でWを含有させることができる。安定した効果を得るためには0.01%以上とすることが望ましい。W量は、より望ましくは0.02~0.80%である。
V:基本的な耐食性を向上させる上で、0.30%以下の量でVを含有させることができる。安定した効果を得るためには0.01%以上とすることが望ましい。V量は、より望ましくは0.02~0.05%である。
Sn:基本的な耐食性を向上させる上で、必要に応じて0.500%以下の量でSnを含有させることができる。含有させる場合は、Sn量は、安定した効果が得られる0.005%以上が望ましい。Sn量は、より望ましくは0.010~0.300%、さらに望ましくは0.020~0.050%である。
Sb:耐全面腐食性を向上させる上で、必要に応じて0.500%以下の量でSbを含有させることができる。含有させる場合は、Sb量は、安定した効果が得られる0.005%以上が望ましい。Sb量は、より望ましくは0.0100~0.3000%である。
Mg:Mgは組織を微細化し、加工性、靭性の向上にも有用であるため、必要に応じて0.0030%以下の量でMgを含有させることができる。含有させる場合は、Mg量は、安定した効果が得られる0.0001%以上が望ましい。Mg量は、より望ましくは0.0001~0.0010%である。
なお、Mo、Cu、Nb、W、V、Sn、Sb、Mgの1種または2種以上の合計は、コストアップなどの点から10%以下が望ましい。
また本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、さらに、B:0.0002~0.0030%、Ca:0.0002~0.0100%、Zr:0.01~0.10%、Co:0.01~0.30%、Ga:0.0001~0.0100%、Ta:0.0001~0.0100%、及びREM:0.001~0.200%のうち何れか1種または2種以上を含有してもよい。
B:Bは、2次加工性を向上させるのに有用な元素であるため、0.0030%以下の量でBを含有させることができる。含有させる場合は、B量は、安定した効果が得られる0.0002%以上が望ましい。B量は、より望ましくは0.0005~0.0010%である。
Ca:Caは、脱硫のために含有してもよいが、過剰量のCaを含有すると、水溶性の介在物CaSが生成して耐食性を低下させる。このため、0.0002~0.0100%の量でCaを含有させることができる。Ca量は、より望ましくは0.0002~0.0050%である。
Zr:Zrは、基本的な耐食性を向上させるために、必要に応じて0.10%以下の量で含有させることができる。含有させる場合は、Zr量は、安定した効果が得られる0.01%以上が望ましい。Zr量は、より望ましくは0.02~0.05%である。
Co:Coは、二次加工性と靭性を向上させるために、必要に応じて0.30%以下の量で含有させることができる。含有させる場合は、Co量は、安定した効果が得られる0.01%以上が望ましい。Co量は、より望ましくは0.02~0.20%である。
Ga:Gaは、基本的な耐食性と耐水素脆化性を向上させるために、必要に応じて0.0100%以下の量で含有させることができる。含有させる場合は、Ga量は、安定した効果が得られる0.0001%以上が望ましい。Ga量は、より望ましくは0.0005~0.0050%である。
Ta:Taは、基本的な耐食性を向上させるために、必要に応じて0.0100%以下の量で含有させることができる。含有させる場合は、Ta量は、安定した効果が得られる0.0001%以上が望ましい。Ta量は、より望ましくは0.0005~0.0050%である。
REM:REMは、脱酸効果等を有するので、精練で有用な元素であり、必要に応じて0.200%以下の量で含有させることができる。含有させる場合は、REM量は、安定した効果が得られる0.001%以上が望ましい。REM量は、より望ましくは0.002~0.100%である。
ここで、REM(希土類元素)は、一般的な定義に従い、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)の2元素と、ランタン(La)からルテチウム(Lu)までの15元素(ランタノイド)の総称を指す。本実施形態でいう「REM」とは、これら希土類元素から選択される1種以上で構成されるものであり、「REM量」とは、希土類元素の合計量である。
本実施形態に係るフェライト系ステンレス鋼は、上述してきた元素以外は、Fe及び不純物(不可避的不純物を含む)からなるが、以上説明した各元素の他にも、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることが出来る。
次に、上述してきた本実施形態のフェライト系ステンレス鋼の製造方法では、工程や条件等や特に限定せず、基本的にはフェライト系ステンレス鋼を製造する一般的な方法が適用される。例えば、転炉又は電気炉で上記の化学組成を有する溶鋼とし、AOD炉やVOD炉などで精錬される。その後、連続鋳造法又は造塊法で鋼片とし、次いで、熱間圧延-熱延板の焼鈍-酸洗-冷間圧延-仕上げ焼鈍-酸洗の工程を経て、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼が製造される。必要に応じて、熱延板の焼鈍を省略してもよいし、冷間圧延-仕上げ焼鈍-酸洗を繰り返し行ってもよい。
ただし前述のように、冷間圧延の最終3パスに使用されるロールの表面が粗いと、ロールの研削目が転写されてステンレス鋼の表面も粗くなるため、最終3パスでは、ロール粗さが♯60以上のロールを使用することが望ましく、♯80以上がさらに望ましい。なお冷間圧延時に用いる圧延油については、鉱物油でも水溶性油でも構わない。
以上説明したように、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、化学組成の適正化を図り、かつ特にNi量とCr量については排ガス凝縮水に対する耐食性を向上させる上でバランスよく成分設計することにより、基本的な耐食性は当然ながら、従来よりも優れた耐排ガス凝縮水腐食性を享受できる。そのため、本実施形態のフェライト系ステンレス鋼は、排ガス凝縮水環境に曝される自動車部品である自動車マフラー、管端増肉パイプ、排熱回収器、又はEGRクーラに好適に使用できる。
実施例に基づいて、本発明をより詳細に説明する。
なお本実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
また、下記にて示す表中の下線が、本発明の範囲から外れているものを示す。
表1、2に示す組成の鋼を溶製し、板厚4mmまで熱間圧延を施し、1050℃で1分間焼鈍を行い、次いで酸洗を施した。その後、板厚1mmまで冷間圧延を施した。最終3パスのロールは#80のものを用いた。ただし、表2のA13´~15´は、A13~15と同様の組成を有する熱延板を#40のロールで冷延したものであり、表面粗さの影響を比較するための鋼とした。また、A1~、およびA16は参考例とした。
作製した鋼板から、幅と長さの両者が30mmである試験片を切り出し、重量測定を行い凝縮水腐食試験用試験片とした。凝縮水腐食試験に使用した模擬凝縮水は以下のように作製した。試薬として、塩酸、硫酸、亜硫酸アンモニウムを用いて、100ppmのClと、1000ppmのSO 2-と、1000ppmのSO 2-とを含有する水溶液を作製した。この水溶液にさらに硫酸を添加して、pHを2.0に調整し、当該水溶液を模擬凝縮水とした。pH調整後の模擬凝縮水の各イオン濃度は、Clが100ppm、SO 2-が1600ppm、SO 2-が1000ppmであった。80℃に加熱したこの模擬凝縮水に前述の凝縮水腐食試験用試験片を浸漬し、168時間腐食試験を行った。平日は毎日溶液を更新した。
腐食評価には腐食減量を用いた。凝縮水腐食試験終了後、クエン酸2水素アンモニウム水溶液を用いて腐食生成物を除去し、試験片の重量を測定することで腐食減量を求めた。凝縮水腐食試験の判定基準は、この試験条件で全面腐食が著しくなることが確認された15g/mをしきい値とした。腐食減量が10g/m以上15g/m未満の鋼種は良好(「○」)、10g/m未満の鋼種は特に良好(「◎」)、15g/m以上の鋼種は不良(「×」)と評価した。
次に、排ガス凝縮水を模擬した環境における、その場不働態皮膜厚測定、ならびにその場腐食生成物測定を行った。その場不働態皮膜厚測定は、in-situエリプソメトリー測定を用い、その場腐食生成物測定は、in-situラマン分光法を用いてそれぞれ測定した。なお、in-situエリプソメトリー測定、in-situラマン分光法ともに、成膜やエッチング、腐食のプロセスで、膜厚や生成物等をその場で同時に観察、測定できる分析手法である。
以下、その場不働態皮膜厚測定、ならびにその場腐食生成物の分析方法について説明する。
まず作成した鋼板から、直径23.5mm及び13.5mmの試験片をそれぞれ切り出し、ともに鏡面研磨を施した後、テフロン(登録商標)製のフォルダーに入れることで、それぞれin-situエリプソメトリー測定用電気化学試験片、及びin-situラマン分光法用電気化学試験片とした。
in-situエリプソメトリー測定には、回転検光子型の自動エリプソメーターを用い、取り付ける電気化学セルには正三角柱型の電気化学セルを用いた。当該エリプソメーターは、電気化学セル側面に取り付けられた光学窓から、ポーラライザーを通過した波長632.8nmの出力安定型He-Neレーザ光を入射角60°で入射し、電気化学セル中心部にセットした電気化学試験片表面で反射させ、回転アナライザーを通過した後Siフォトセルで検出される構造となっている。
その場不働態皮膜厚の測定方法について具体的に説明する。
in-situエリプソメトリー測定用電気化学試験片を電気化学セル内に設置した後、30分以上のNガス吹き込みにより脱気され、かつpHを2.0に調整した1000ppmのSO 2-を含む溶液を電気化学セル内に満たした。次に、セル内の電気化学試験片を-0.7V vs.Ag/AgClで5分間定電位保持し、試験片表面の大気生成皮膜を還元処理した。その後、電気化学試験片を+0.4V vs.Ag/AgClで1分間定電位保持し、試験片表面に不働態皮膜を生成した。その後、セル内の溶液を上述の模擬凝縮水に入れ替え、10分間自然電位で保持しながら試験片表面の不働態皮膜厚さをin-situエリプソメトリー測定によって測定した。当該測定を5回繰り返し行い、得られた皮膜の平均を鋼板の「不働態皮膜厚さ」とした。なお、測定中、電気化学セル内にはNガスを流し続けた。また測定中、試験部屋内の照明を消し、暗闇中で測定することでノイズを除去した。
結果を表3、4に示す。なお、表中の「皮膜厚さ」における“-”との表記は、試験片の表面粗さが粗かったため、皮膜厚さの計測が不能であったことを示す。
in-situラマン分光法には、レーザ光源(固体レーザ、レーザ媒質Nd:YVO4、波長532nm、出力100mW)と、分光器(M30-TP-M、光路300mm、分光計器株式会社製)と、検出器(DO4041A Andor社製)から構成される共焦点方式のラマン分光装置を用いた。取り付ける電気化学セルには円柱型の電気化学セルを用いた。ラマン分光装置は、電気化学セル底面に取り付けられた光学窓からレーザ光を入射し、検出器で検出される構造となっている。
その場腐食生成物の分析方法について具体的に説明する。
in-situラマン分光法用電気化学試験片を電気化学セル内に設置した後、30分以上のNガス吹き込みにより脱気され、かつpHを2.0に調整した、1000ppmのSO 2-を含む溶液を電気化学セル内に満たした。次に、セル内の電気化学試験片を-0.7V vs.Ag/AgClで5分間定電位保持し、試験片表面の大気生成皮膜を還元処理した。その後、電気化学試験片を+0.4V vs.Ag/AgClで1分間定電位保持し、試験片表面に不働態皮膜を生成した。その後、セル内の溶液を上述の模擬凝縮水に入れ替え、-0.6V vs.Ag/AgClで30分間定電位保持を行った。その間、試験片表面の生成物をラマン分光法で測定し、得られたスペクトル形状から生成物の組成を特定した。つまり、ある化合物由来のスペクトルピークが検出された場合、当該化合物が腐食生成物として生成したと判断した。本実施例では、当該測定を5回繰り返し、1度でもS以外の生成物が検出された場合、それは腐食生成物としてカウントした。すなわち、表3、4には、5回の測定のうち、1度でも検出された生成物を「腐食生成物」として表記している。なお、測定中、電気化学セル内にはNガスを流し続けた。また測定中、試験部屋内の照明を消し、暗闇中で測定することでノイズを除去した。
また、作製された鋼板から幅と長さの両者が30mmである試験片を切り出した。圧延方向(L方向)、圧延方向に対して垂直方向(C方向)、及び圧延方向に対して45°傾いた方向(V方向)のそれぞれの方向における鋼表面の算術平均粗さRaを、表面粗さ形状測定機を用いて測定した。表面粗さ形状測定機には株式会社東京精密の「SURFCOM DT00300-R001」を用いた。測定長さは4.0mm、測定速度は0.30mm/s、カットオフ波長は0.8mmとした。各方向において3回の測定結果の平均値をその方向の算術平均粗さとした。
表1~4に示すように、本発明例の鋼は凝縮水腐食試験結果が良好であることがわかる。凝縮水腐食試験結果が優れない鋼(比較例)は、成分範囲が本発明範囲外のもの、Ni含有量が下記Cr量との関係(A)~(D)を満たさないもの、冷間圧延方向、冷間圧延方向に垂直の方向及び冷間圧延方向に45°の方向の表面粗さRaのいずれかが0.50μm超のものであった。
(A)Cr量が10.5~13.0%のときNi量0.05~0.20%。
(B)Cr量が13.0超~16.0%のときNi量0.05~0.30%。
(C)Cr量が16.0超~18.0%のときNi量0.05~0.50%。
(D)Cr量が18.0超~20.0%のときNi量0.05~1.00%。
また、比較例では、排ガス凝縮水を模擬した上記模擬凝縮水中に10分浸漬した後の、溶液中での表面の不働態皮膜厚さが0.10nm以下となった。また、同溶液中で-0.6V vs.Ag/AgClで30分間定電位保持後には、本発明例では鋼表面にSのみが析出したが、比較例では表面にS以外のものも析出し、腐食が進行していたことが確認できた。
以上の結果から、耐凝縮水腐食性を改善する為には、鋼中にNiを添加してSO 2-→Sの還元反応を促進させ、ステンレス鋼の腐食反応量と等しくなる電位を、ステンレス鋼の活性態の電位域から不働態域に変化させることが重要であることがわかる。またNi含有量が上記Cr量との関係(A)~(D)を満足することにより、NiによるSO 2-→Sの還元反応促進は維持しつつ、Niの硫化反応は防止することが重要であることがわかる。
さらに、鋼の表面粗さRaを低下させ、SO 2-→Sの還元反応により生成したSが表面凹部にトラップされ難くし、Niの硫化反応を引き起こさせないことが重要であるもわかる。
Figure 0007246145000001
Figure 0007246145000002
Figure 0007246145000003
Figure 0007246145000004
本発明の耐排ガス凝縮水腐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼は、自動車マフラーや管端増肉パイプ、排熱回収器、EGRクーラなどの排ガス再循環装置に使用される部材として好適である。

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.001~0.030%、
    Si:0.01~1.00%、
    Mn:0.01~2.00%、
    P:0.050%以下、
    S:0.0100%以下、
    Ni:0.16~1.00%、
    Cr:10.5~20.0%、
    Ti:0.05~0.40%、
    Al:0.005~0.100%、
    N:0.050%以下、
    Mo:0~3.00%、
    Cu:0~1.50%、
    Nb:0~1.000%、
    W:0~1.00%、
    V:0~0.30%、
    Sn:0~0.500%、
    Sb:0~0.500%、
    Mg:0~0.0030%
    B:0~0.0030%、
    Ca:0~0.0100%、
    Zr:0~0.10%、
    Co:0~0.30%、
    Ga:0~0.0100%、
    Ta:0~0.0100%、及び
    REM:0~0.200%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、
    冷間圧延方向、冷間圧延方向に対して垂直の方向及び冷間圧延方向に対して45°傾いた方向の各方向における鋼表面の算術平均粗さRaがすべて0.50μm以下であり、
    前記Ni量(質量%)が、下記条件(A)~(D)を満たし、
    pH2.0であり、100ppmのClと、1600ppmのSO 2-と、1000ppmのSO 2-とを含む溶液中で、-0.6V vs.Ag/AgClで30分間定電位保持した場合、鋼表面にSのみが析出することを特徴とするフェライト系ステンレス鋼。
    (A)Cr量が10.5~13.0%のときNi量0.16~0.20%。
    (B)Cr量が13.0超~16.0%のときNi量0.16~0.30%。
    (C)Cr量が16.0超~18.0%のときNi量0.16~0.50%。
    (D)Cr量が18.0超~20.0%のときNi量0.16~1.00%。
  2. さらに質量%で、
    Mo:0.01~3.00%、
    Cu:0.05~1.50%、
    Nb:0.010~1.000%、
    W:0.01~1.00%、
    V:0.01~0.30%、
    Sn:0.005~0.500%、
    Sb:0.005~0.500%、及び
    Mg:0.0001~0.0030%
    のうち何れか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のフェライト系ステンレス鋼。
  3. さらに質量%で、
    B:0.0002~0.0030%、
    Ca:0.0002~0.0100%、
    Zr:0.01~0.10%、
    Co:0.01~0.30%、
    Ga:0.0001~0.0100%、
    Ta:0.0001~0.0100%、及び
    REM:0.001~0.200%
    のうち何れか1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のフェライト系ステンレス鋼。
  4. 排ガス凝縮水環境に曝される自動車部品に使用されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のフェライト系ステンレス鋼。
  5. 前記自動車部品が、自動車マフラー、管端増肉パイプ、排熱回収器、又はEGRクーラであることを特徴とする請求項4に記載のフェライト系ステンレス鋼。
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