JP2018048392A - 熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】組み立て性に優れた熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板を提供すること。
【解決手段】質量%で、C:0.020%以下、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.01〜1.5%、Cr:14〜30%、P:0.040%以下、S:0.01%以下、Nb:0.30〜0.80%、Ti:0.05%以下、Al:0.001〜0.015%、Ni:0.60%以下、N:0.020%以下、であり、かつ下記(1)式および(2)式を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、かつ十点平均粗さRzが1.5μm以下である、熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。C+N≦0.025%・・・(1)。Nb≧15×(C+N)・・・(2)。ただし、(1)式および(2)式のC、N、Nbはそれぞれの元素の質量%での含有量である。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板に関する。
最近では自動車の燃費向上、エミッション低減、あるいは自動車から無駄に捨てられている排ガスの熱を有効利用する目的で、熱交換器が自動車排気系へ適用されている。
自動車用熱交換器には高温の排ガス(例えば600℃〜900℃程度)が流入する。自動車用熱交換器が適用される対象として、EGRクーラー、排熱回収器がある。
EGR(Exhaust Gas Recirculation)とは、エンジンから排出された排ガスの一部をエンジンのシリンダーに戻し空気とミックスさせ再度燃焼室に戻すシステムである。ゆえに、EGRを利用しない場合と比べて、シリンダー内の燃焼環境(酸素濃度)が変化する。
例えばディーゼルエンジン自動車ではシリンダー内の酸素濃度を低下させ、NOx生成量を減少させる(エミッション低減)目的でEGRを適用する場合が多い。
また、ガソリンエンジン自動車ではEGRをシリンダー内の圧力調整に利用する。その結果負圧が低下し、ポンピングロスが減少し、燃費を向上できる。よって、ガソリンエンジン自動車の多くの車種にEGRが適用されている。
EGRでは、シリンダー内に送り込む排ガス量の制御が重要である。EGRでは排ガスの温度を一定温度まで低下させて排ガスの体積を制御するため、EGR中に熱交換器(クーラー部)が存在し、排ガスの温度を適切に低下させている。
一方、排熱回収器とは、高温の排ガスでエンジン冷却水を加熱し、加熱された冷却水をヒーターやエンジンの暖機に利用して自動車の燃費を向上させる部品である。排熱回収器でも高温の排ガスから熱を奪う熱交換器が存在する。
近年、自動車用熱交換器の熱交換部にフェライト系ステンレス鋼板が適用されつつある。熱交換器の熱交換部用のフェライト系ステンレス鋼板には、高温特性と耐食性が要求されており、多くの先行技術がある。耐酸化性向上、高温強度向上、耐食性向上などに関するNb、Moなどの効果は古くから知られており、現状自動車排気系熱交換器の熱交換部には、耐食性レベルに応じて、18質量%Cr−Nb(−Mo)成分系のフェライト系ステンレス鋼板の適用が増えつつある。
また、通常、伝熱性を高めるため厚さおよそ0.05〜0.8mmの薄板や箔でフィンやプレート、チューブ等の熱交換部が構成される場合が多い。熱交換部は平板、チューブなどの形状になるようロウ付けされる。熱交換部の形状は多様であり、例えば、波状、巻き形状などもある。熱交換部を構成する素材の厚さが薄いほど伝熱性は優れる傾向にあるため、薄肉化も指向される場合が多い。
フェライト系ステンレス鋼板を用いた熱交換器の熱交換部は、薄板や箔のNiろう付けにより組み立てられる。ろう付け性改善のために、Si、Al、Tiなど酸化しやすい元素の含有量上限規制が有効であることは古くから知られている。
例えば、特許文献1には、Moを添加し、かつSiとAlを低減した、耐酸化性、耐食性、ろう付け性、成形性、高い高温強度を有するフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
特許文献2には、TiとAlを規定して、ろう付け性を向上させ、Cu添加により排ガス凝縮水に対する耐食性を向上させたフェライト系ステンレス鋼板が開示されている。
特許文献3には、Niろう付けに供されるEGRクーラー用として好適なフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
特許文献4には、部分再結晶組織を規定し、ろう付け時の粗粒化に対する抵抗を高めたフェライト系ステンレス鋼材が開示されている。
特許文献5には、Si、Cr、Al、Nb、Ti等の含有量を規定し、排ガス凝縮水に対する耐食性を備え、ろう付けに好適なフェライト系ステンレス鋼が開示されている。
特許文献6には、Ti、Al、N等の含有量を規定した、ろう付け性に優れたフェライト系ステンレス鋼が記載されている。
特開平7−292446 特開2010−121208 特開2009−174040 特開2010−285683 特開2012−214880 特開2014−25151
最近、熱交換器の熱交換部の組み立て性を向上させるため、Niろう付けを行う前にスポット溶接による仮留めの利用が検討されている。しかし、伝熱性を向上させるため熱交換部を薄肉化した場合、スポット溶接による穴あきが発生しやすくなり、熱交換器の量産時に溶接性が問題となる場合がある。
しかしながら、特許文献1〜6では、熱交換部の薄肉化とスポット溶接性への課題、およびその解決技術については何の開示もされていない。
本発明は以上の背景に鑑みてなされたものである。組み立て性に優れた熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板を提供することを本発明の課題とする。
本発明者らは、熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板について、表面における十点平均粗さRzを、Rz≦1.5μm、好ましくはRz≦1.0μmとする事で、スポット溶接性を著しく向上できる事を見出した。
スポット溶接は、素材間(例えばフェライト系ステンレス鋼板間)の電気抵抗による発熱を利用する溶接であり、電流一定制御が一般的である。この場合、入熱量は接触抵抗に比例し、鋼板−鋼板間や鋼板−電極間の接触抵抗が高い(表面粗度が小)ため、入熱過多になり穴あきが発生しやすいと考えられ、表面粗度を大きくすることが解の一つであった。
しかしながら、実際の熱交換器の熱交換部の量産ラインでは、薄板や箔の割れや変形を防止するため、電極の加圧力を大きくできない。ゆえに、微視的に観察すると、鋼板と鋼板の接触および鋼板と電極の接触は薄板・箔の表面が備える凹凸の凸部分でしか生じない。結果として、接触抵抗を低下させるため表面祖度を大きくすると、該凸部分にスポット溶接の電流が集中し、穴あきが発生しやすい事が判明した。
つまり、薄板・箔の分野のスポット溶接の耐穴あき性は、厚めの素材を用いる場合と接触抵抗の大小による影響が逆の関係になる。すなわち、薄板・箔の表面粗さを小さくしなければならない。該表面粗さの値を厳密に低減・管理する事で穴あきを抑制できることを本発明者らは見出した。
上記した特許文献に開示されるように、熱交換器の熱交換部の組み立てではろう付けが多用されている。上記した表面粗さを有する薄肉のフェライト系ステンレス鋼板はろう付け性も良好であった。さらに、成分組成の調整により、良好なスポット溶接性を保ちつつ、良好なろう付けが実現できることも本発明者らは見出した。
以上の知見に基づき、本発明者らは組み立て性に優れた熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板を完成した。その発明の要旨は次の通りである。
[1]質量%で、
C:0.020%以下、
Si:0.01〜2.0%、
Mn:0.01〜1.5%、
Cr:14〜30%、
P:0.040%以下、
S:0.01%以下、
Nb:0.30〜0.80%、
Ti:0.05%以下、
Al:0.001〜0.015%、
Ni:0.60%以下、
N:0.020%以下、
であり、かつ下記(1)式および(2)式を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
かつ十点平均粗さRzが1.5μm以下である、熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
C+N≦0.025%・・・(1)
Nb≧15×(C+N)・・・(2)
ただし、(1)式および(2)式のC、N、Nbはそれぞれの元素の質量%での含有量である。
[2]さらに、質量%で、CuおよびMoから選ばれる1種または2種を合計で3.0%以下含有する、[1]に記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
[3]さらに、質量%で、
V:0.5%以下、
B:0.005%以下、
Ca:0.003%以下
のいずれか1種以上を含有する、[1]または[2]に記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
[4]板厚が0.3mm以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
[5]スポット溶接利用組み立て用である、[1]〜[4]のいずれかに記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
本発明において、熱交換器の熱交換部は、流体ガスと接触して熱交換を行う部位である。通常、該熱交換部は表面積が大であり、流体ガスとの接触箇所を広く確保している。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は組み立て性に優れる。また、本発明のフェライト系ステンレス鋼板は伝熱性に優れる熱交換器の熱交換部を安定して量産可能である。本発明のフェライト系ステンレス鋼板を適用し、ろう付けを利用して熱交換部を組み立ててよいし、スポット溶接を利用して熱交換部を組み立ててよいし、ろう付けおよびスポット溶接を利用して熱交換部を組み立てても良い。
以下に本発明を具体的に説明する。なお、成分組成の「%」は、「質量%」を意味する。
C:0.020%以下
Cを過剰に含有すると、加工性・溶接性・耐食性に悪影響を与える。よって、C含有量は0.020%以下とする。C含有量は、好ましくは0.010%以下である。一方、十分な強度を得るために、C含有量は0.003%以上が好ましい。
Si:0.01〜2.0%
Siは脱酸に有効な元素であり、その効果はSi含有量が0.01%以上で得られる。Si含有量は、0.05%以上が好ましく、0.10%超えがより好ましい。Si含有量は、0.20%以上がさらに好ましい。さらに、Si含有量は、0.40%以上が好ましい。一方、Si含有量が2.0%を超えると、酸洗性が低下し製造に支障をきたす。よって、Si含有量は2.0%以下とする。Si含有量は、1.00%以下が好ましく、0.65%以下がより好ましい。また、良好なろう付け性を確保する観点から、Si含有量は0.60%以下が好ましい。
Mn:0.01〜1.5%
Mnは、脱酸に有用な元素である。その効果はMn含有量が0.01%以上で得られる。Mn含有量は、0.05%以上が好ましく、0.10%以上がより好ましい。一方、Mn含有量が1.5%を超えるとステンレス鋼板の腐食発生の起点となるMnSの生成が顕著となる。よって、Mn含有量は1.5%以下とする。Mn含有量は、0.80%以下が好ましく、0.50%以下がより好ましく、0.45%以下がさらに好ましい。
Cr:14〜30%
Crは、ステンレス鋼板の耐食性を確保するため含有量を14%以上とする。Cr含有量は、17.0%以上が好ましく、18.0%以上がより好ましい。一方、Cr含有量が30%を超えると加工性が著しく低下するため上限を30%とする。Cr含有量は、25.0%以下が好ましく、22.0%以下がより好ましい。また、良好なろう付け性を確保する観点から、Cr含有量は21.0%以下が好ましい。
P:0.040%以下
Pは、鋼板がろう付けの際に加熱された後の冷却時、粒界に濃縮し鋼板の耐食性を著しく低下させる。よってP含有量は特に低く規制する必要があり、0.040%を上限とした。P含有量は、0.035%以下が好ましく、0.025%以下がより好ましい。P含有量は低いほど好ましく、含有量の下限は特に規定しない。但し、過剰な脱Pはフェライト系ステンレス鋼板の製造コストを悪化させる。よって、P含有量の下限は、0.010%以上が好ましい。
S:0.01%以下
Sの過剰含有は耐食性に悪影響するため、S含有量は0.01%以下とする。S含有量は、0.005%以下が好ましく、0.003%以下がより好ましい。S含有量は低いほど好ましく、含有量の下限は特に規定しない。
Nb:0.30〜0.80%
高温の排ガスにさらされた際にもフィンの高温強度を確保する観点から、Nb含有量の下限は0.30%とする。Nb含有量は、0.35%以上が好ましく、0.40%以上がより好ましい。一方、Nb含有量が0.80%を超えると鋼板が脆化するので、Nb含有量は0.80%以下とした。Nb含有量は、0.70%以下が好ましく、0.55%以下がより好ましく、0.45%以下がさらに好ましい。
Ti:0.05%以下
Tiはろう付け性を低下させるため、Ti含有量は0.05%以下とした。Ti含有量は、0.03%以下が好ましい。
Al:0.001〜0.015%
Alは脱酸に有用な元素である。この効果はAl含有量が0.001%以上で得られる。よって、Alで脱酸する場合を考慮し、Al含有量を0.001%以上とする。しかし、Al含有量が0.015%を超えると、酸洗性が低下し製造に支障をきたす。よって、Al含有量は0.001〜0.015%とする。また、良好なろう付け性を確保する観点から、Al含有量は0.008%以下が好ましい。
Ni:0.60%以下
Niは耐食性および靭性の改善に有効であり、Ni含有量は、0.01%以上が好ましく、0.05%以上がより好ましく、0.10%以上がさらに好ましい。一方、Ni含有量が0.60%を超えると加工性が低下する。よって、Ni含有量は0.60%以下とした。Ni含有量は、0.40%以下が好ましい。
N:0.020%以下
Nは、加工性・溶接性・耐食性に悪影響を与える。よってN含有量は0.020%以下とする。N含有量は、好ましくは0.010%以下である。N含有量は低いほど好ましく、含有量の下限は特に規定しない。
C+N≦0.025%。但し、C、Nはそれぞれの元素の質量%での含有量
CおよびNの過剰含有は、加工性・溶接性・耐食性に悪影響を与える。本発明ではC、N各元素の含有量のみでなく、CおよびNの合計の含有量も規定する。本発明では、C含有量およびN含有量の合計を0.025%以下とする。C含有量およびN含有量の合計は、好ましくは0.020%以下であり、さらに好ましくは0.015%未満である。
Nb≧15×(C+N)。但し、C、N、Nbはそれぞれの元素の質量%での含有量
本発明では、ろう付け後の耐食性の観点から、Nb含有量とCおよびN含有量の関係を規定する。1100℃程度で行われるろう付け後の耐食性を向上させるため、Nb含有量は15×(C+N)以上とした。より好ましくは20×(C+N)以上である。Nb含有量の上限については、上述のとおりである。
本発明では、以上の基本成分の他、以下の成分を含有することもできる。
CuおよびMoから選ばれる1種または2種を合計で3.0%以下含有
Cu、Moは、耐食性向上に大きな効果があるため必要に応じて含有してよい。その効果を確保する観点から含有量は合計で0.05%以上が好ましい。好ましくはMoを1.5%以上含有する。しかし、Cu、Moは耐食性に優れるものの、硬くなりやすい元素であるため、これらの元素の含有量は合計で3.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは2.5%以下である。Cuは耐食性に優れるものの、硬くなりやすい元素であり含有量の上限を0.8%とすることがより好ましい。
本発明では、V:0.5%以下、B:0.005%以下、Ca:0.003%以下のいずれか1種以上を含有してよい。
V:0.5%以下
Vは、VNを形成することでCr窒化物の析出による耐食性の低下を抑制する元素である。この効果は、V含有量が0.01%以上で得られるため、V含有量は0.01%以上が好ましい。一方、V含有量が0.5%を超えると加工性が低下するおそれがある。よって、Vを含有する場合、V含有量は0.5%以下が好ましく、0.20%以下がより好ましい。
B:0.005%以下
Bは、結晶粒界を強化し、二次加工脆化を抑制する元素である。この効果は、B含有量が0.0003%以上で得られるため、B含有量は0.0003%以上が好ましい。一方、B含有量が0.005%を超えると加工性が低下するおそれがある。よって、Bを含有する場合、B含有量は0.005%以下が好ましく、0.0030%以下がより好ましい。
Ca:0.003%以下
Caは、脱酸に有効な元素であり、この効果を得る観点から、Ca含有量は0.0003%以上が好ましい。一方、Ca含有量が0.003%を超えると耐食性が低下するおそれがある。従って、Ca含有量は0.003%以下が好ましい。Ca含有量はより好ましくは0.0020%以下である。
本発明の成分組成において、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。
本発明は薄板・箔を対象とする。本発明において、板厚は、好ましくは0.3mm以下であり、より好ましくは0.2mm以下である。さらに好ましくは板厚0.1mm以下である。一方、熱交換器の熱交換部として組み立て可能であることを前提として、板厚の下限は特に制限されない。
十点平均粗さRz:1.5μm以下
本発明において十点平均粗さRzはJIS B 0601(1982)により求める。測定は圧延方向と直角方向(C方向)に行った。Rzは表面の凹凸の度合いを表し、本発明で非常に重要であり、1.5μm以下とする。本発明のような薄板・箔では、スポット溶接での加圧力を高められないため局所的な接触面積が重要となり、Rzが小さいほど均等に電流が流れるので、Rzを低くすることは穴あき抑制に極めて有効である。以上より、Rzは1.5μm以下とし、好ましくは1.0μm以下である。
なお、所望のRzは、冷間圧延ロールやスキンパス圧延のロールの表面粗度を調整することにより得られる。しかし、鋼板のRzを過度に低減しようとすると製造性が低下する。そのため、Rzは0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上としてもよい。
本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、熱交換器の熱交換部用である。該熱交換器は、好ましくは自動車排気系の熱交換器であり、更に好ましくは自動車のEGRまたは排熱回収器である。熱交換部は、フィンやプレート、チューブ等により構成される場合が多い。熱交換部の形状は多様であり、例えば、波状、巻き形状などもある。熱交換部の組み立てを考慮し、本発明の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板は、少なくともろう付けを利用するろう付け利用組み立て用としてよいし、少なくともスポット溶接を利用するスポット溶接利用組み立て用としてよいし、ろう付けおよびスポット溶接を利用するろう付けおよびスポット溶接利用組み立て用としてよい。
次に本発明のフェライト系ステンレス鋼板の好適な製造方法について説明する。上記した成分組成の鋼を、転炉、電気炉、真空溶解炉等の公知の方法で溶製し、さらにVOD(Vacuum Oxygen Decarburization)法やAOD(Argon Oxygen Decarburization)法等にて二次精錬を行いう。その後連続鋳造法あるいは造塊−分塊法により鋼素材(スラブ)とする。この鋼素材を1000℃〜1200℃に加熱後、板厚2.0mm〜6.0mmになるように熱間圧延する。こうして作製した熱延板を850℃〜1100℃の温度で焼鈍し酸洗を行い、次に、冷間圧延を行い、700℃〜1000℃の温度で冷延板焼鈍を行う。冷延板焼鈍は光輝焼鈍で行うことが好ましい。酸化性雰囲気で焼鈍を行った冷延板焼鈍後には酸洗を行い、スケールを除去する。冷延板にはスキンパス圧延を行ってもよい。なお、本発明において、冷間圧延・焼鈍は2回以上としてよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されない。
表1に示す成分組成(残部はFeおよび不可避的不純物)を有する鋼を100kg鋼塊に溶製した後、1200℃の温度に加熱して熱間圧延を行って板厚3.0mmの熱延板を得た。その後、1050℃での焼鈍、および通常の方法での酸洗を行った後、板厚1.0mmまでの冷間圧延し、さらに950℃での焼鈍、通常の方法での酸洗を行った。さらに、板厚0.1mmまで冷間圧延し、950〜1000℃で焼鈍し酸洗した。この際、粗度の異なる圧延ロールを用いて表2に示す十点平均粗さRzを有するフェライト系ステンレス鋼板を製造した。
<スポット溶接性の評価>
製造した鋼板について、幅30mm、長さ250mmの試験片を採取しスポット溶接性を評価した。スポット溶接は、上記試験片を2枚重ねて10mm間隔で20点行った。溶接条件は、コンデンサ放電式スポット溶接機を用い、1mmφの電極で5Wsの蓄電量よって行った。
目視により穴あきの発生を確認し、穴あき発生率を、(穴あきした溶接点数)/(全溶接点数20)に基づき算出した。表2にその結果を示す。表中、◎は穴あき発生率0%、○は穴あき発生率0%超え〜20%未満、×は穴あき発生率20%以上を示し、○以上が合格、◎はより好ましい結果である。
<ろう付け性の評価>
製造した鋼板から、幅50mm、長さ50mmの試験片を切出し、表面に直径10mm、厚さ1mmのNi含有ろう(JIS規格:BNi−5)を設置し、1150℃、1Torrの窒素キャリアガス雰囲気で10分間加熱した後、常温まで冷却し、試験片表面のろう材の円相当直径を測定した。円相当直径は、試験片表面上に広がったろうの外周上の2点以上と接し、その内部にろう材が完全に入る最小の円の直径として求めた。下記ろう材の広がり率を求め、◎、○、×で評価した。表2にその結果を示す。
加熱前に対する加熱後のろう材の広がり率=(試験後のろう材の円相当直径/試験前のろう材の円相当直径)×100(%)
◎(合格、優れている):200%以上
○(合格):150%以上200%未満
×(不合格):150%未満
表2に示す結果のとおり、本発明の成分組成、Rzを有する鋼板は、優れたスポット溶接性およびろう付け性を示した。特に、Rzが1.0μm以下の発明例はより優れたスポット溶接性を示した。また、Si含有量が0.60%以下、かつAl含有量が0.008%以下の鋼でより優れたろう付け性を示した。
即ち、本発明のフェライト系ステンレス鋼板は、スポット溶接およびろう付けに好適で、組み立て性に優れている。また、本発明のフェライト系ステンレス鋼板は薄肉化による伝熱性の向上も可能である。よって、本発明のフェライト系ステンレス鋼板は熱交換器の熱交換部用として好ましい。
Figure 2018048392
Figure 2018048392

Claims (5)

  1. 質量%で、
    C:0.020%以下、
    Si:0.01〜2.0%、
    Mn:0.01〜1.5%、
    Cr:14〜30%、
    P:0.040%以下、
    S:0.01%以下、
    Nb:0.30〜0.80%、
    Ti:0.05%以下、
    Al:0.001〜0.015%、
    Ni:0.60%以下、
    N:0.020%以下、
    であり、かつ下記(1)式および(2)式を満たし、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、
    かつ十点平均粗さRzが1.5μm以下である、熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
    C+N≦0.025%・・・(1)
    Nb≧15×(C+N)・・・(2)
    ただし、(1)式および(2)式のC、N、Nbはそれぞれの元素の質量%での含有量である。
  2. さらに、質量%で、CuおよびMoから選ばれる1種または2種を合計で3.0%以下含有する、請求項1に記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
  3. さらに、質量%で、
    V:0.5%以下、
    B:0.005%以下、
    Ca:0.003%以下
    のいずれか1種以上を含有する、請求項1または2に記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
  4. 板厚が0.3mm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
  5. スポット溶接利用組み立て用である、請求項1〜4のいずれかに記載の熱交換器の熱交換部用フェライト系ステンレス鋼板。
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