JP5264199B2 - フェライト系ステンレス鋼を用いたegrクーラー - Google Patents

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Description

本発明は、フェライト系ステンレス鋼部材を用いて構成されるEGRクーラーに関する。
自動車をはじめとする内燃機関搭載車両では、排ガス中のNOX低減や燃費向上を目的として、EGR(Exhaust Gas Recirculation;排気ガス再循環)の手法が採用されることがある。これは、内燃機関から排出された排ガスの一部を取り出し、内燃機関の吸気側から再度吸気させる技術であり、主としてディーゼル機関で普及してきたが、近年ではガソリン機関にも適用されるようになってきた。
EGRシステムにおいては、排ガスを循環可能な温度まで冷却する装置が必要となる。これがEGRクーラーである。
図1、図2に、一般的なEGRクーラーの構造を模式的に例示する。外筒で構成される排ガス流路の一部に2枚の仕切り板で仕切られたセクションが設けられ、そのセクションでは冷却水に熱を逃がす熱交換器が構成されている。仕切り板で仕切られたこのセクションをここでは「熱交換セクション」と呼ぶ。仕切り板には穴を設けた箇所に通気管が接合されており、熱交換セクションでは通気管の中を排ガスが流れる。通気管の周囲には冷却水が流れるようになっている。通気管は金属製の単なるパイプで構成されるタイプ(図1)や、管の内部にフィンを設けたタイプ(図2)などがある。
EGRクーラーは、外筒、仕切り板、通気管、あるいはさらに通気管内のフィンといった金属部材で構成され、それらの部材はろう付けによって接合される。ただし、熱交換セクション入り側の排ガス温度は最高800℃程度、出側の温度は最高200℃程度に達することがあるので、一般的な熱交換器の組み立てに使用されるCuろうでは耐久性が不足する。そこで、EGRクーラーには耐高温酸化性および高温強度に優れるNiろう(JIS Z3265のBNi−5、BNi−6など)が適用される。
EGRクーラーを構成する金属部材には、以下のような特性が要求される。
(1)Niろう付け性が良好であること。
(2)融雪塩に対する耐食性が良好であること。EGRクーラーはエンジンルーム内に設置され、路面にまかれた融雪塩が付着しやすい環境にあるからである。
(3)LLC(ロングライフクーラント;例えばエチレングリコール)に対する耐食性が良好であること。EGRの冷却水には通常LLCが添加されるからである。
(4)高温強度と耐高温酸化性が良好であること。EGRクーラーは高温の排ガスに曝されるからである。
(5)凝結水の結露に対する耐食性が良好であること。EGRクーラーにおいては、運転中は排ガス出側付近に結露が生じやすく、また運転後は排ガス接触箇所に結露が生じやすいからである。
特開平7−292446号公報 特開2003−193205号公報
上記の要求特性から、現在、EGRクーラーを構成する金属部材にはSUS304、SUS316に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼が主として使用されている。しかし、オーステナイト系ステンレス鋼は熱膨張係数が大きいため、高温で生成した酸化スケールが冷却時に剥離してエンジン内に流入したり、加熱・冷却の繰り返しによる熱疲労破壊が生じたりしやすい。高温強度についても更なる改善が望まれる。また、高価なNiを多量に含有するため材料コストも高い。
一方、フェライト系ステンレス鋼は熱膨張係数がオーステナイト系鋼種よりも小さく、また、材料コストも一般にオーステナイト系鋼種より安価である。排ガス経路を構成するエキゾーストマニホールドやマフラーなどにはフェライト系ステンレス鋼が多用されている。しかし、Niろう付けを施す場合には材料を例えば1100℃以上といった高温に曝す必要がある。このような高温では、通常、フェライト系ステンレス鋼は結晶粒の粗大化を起こし、靭性の低下を招きややすい。
上記特許文献1には、ろう付け性の良い熱交換器用フェライト系ステンレス鋼が開示されている。しかし、ろう付け性については、Cuろう付けを想定しており、Niろう付け性の改善や、その際の結晶粒粗大化の抑制については意図されていない。
本発明は、Niろう付けに供されるEGRクーラー部材として好適なフェライト系ステンレス鋼、およびそれを用いたEGRクーラーを提供しようというものである。
上記目的は、質量%で、C:0.005〜0.03、Si:0.1超え〜3%、Mn:0.1〜2%、Cr:10〜25%、Nb:0.3〜0.8%、N:0.005〜0.03を含み、好ましくはCとNの合計含有量が0.01%以上であり、その他必要に応じて、
(a)Mo、Cu、VおよびWの1種以上を合計4%以下の範囲、
(b)TiおよびZrの1種以上を合計0.3%以下の範囲
それぞれ選択的に含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼を構成部材に用いたEGRクーラーによって達成される。
発明では、上記の鋼からなる鋼材を、構成部材に持ち、少なくともその部材を他の部材にNiろう付けにて接合した構造を有するEGRクーラーが提供される。当該部材としては、例えば外筒、仕切り板、通気管、通気管の中に取り付けられるフィンなどが挙げられる。
さらに、上記の鋼からなる鋼材を、自動車排ガスおよび冷却水の両方に接触する部材に持ち、少なくともその部材を他の部材にNiろう付けにて接合した構造を有するEGRクーラーが提供される。自動車排ガスおよび冷却水の両方に接触する部材としては、例えば外筒、仕切り板、通気管などが挙げられる。
本発明によれば、Niろう付け性および靭性の良好なフェライト系ステンレス鋼が提供された。この鋼を用いることにより、オーステナイト系ステンレス鋼を部材に用いた従来のEGRクーラーに比べ、より高温強度が高く、酸化スケールの剥離が少なく、かつ材料コストの低いEGRクーラーが実現される。
上述のように、EGRクーラーの耐久性を向上させるためには熱膨張係数のより小さいフェライト系鋼種の採用が有利となる。しかし、EGRクーラーの使用環境では、その構成部材が700℃以上、最高800℃程度の高温に曝されることがある。この場合、特にフェライト系鋼種では高温強度の低下を防止する対策が重要となる。また、Niろう付けに際しては1050〜1150℃程度の高温に保持されることから、結晶粒の粗大化を抑制するための成分設計が重要である。
一般にフェライト系ステンレス鋼は、常温から600℃程度までの中温域においてはオーステナイト系ステンレス鋼よりも高い強度レベルを呈する。しかし、700℃以上といった高温域では強度レベルの低下が大きくなる。このような高温強度の低下を防止するための手法として、Nb添加が有効であることが知られている。すなわち、フェライト系ステンレス鋼にNbを0.2質量%程度添加することにより高温強度は著しく改善される。Nbによる高温強度の向上は、主として「固溶Nb」によるものである。したがって、高温用途に使用するフェライト系ステンレス鋼では、固溶Nb量を十分に確保するために、通常C、Nの含有量をできるだけ低減するような成分設計がなされている。
一方、フェライト系ステンレス鋼の結晶粒粗大化を抑制するためにも、固溶Nbは有効に作用すると考えられる。ところが、発明者らの研究によれば、Niろう付け温度での結晶粒粗大化を抑止するためには、0.2質量%程度のNb添加では不十分なことが分かってきた。種々のNiろう材を用いた詳細な検討の結果、0.3質量%以上のNb含有量を確保することが重要であることが明らかになった。
Nb添加による結晶粒粗大化の抑制は、固溶Nbによる粗大化抑制作用の他に、Nb炭化物、Nb窒化物またはNb炭窒化物(これらをまとめて「Nb炭化物・窒化物」と呼ぶ)によるピン止め効果も大きく寄与するものと考えられる。したがって本発明の鋼における成分設計では、C、N含有量をある程度確保する方がむしろ有利になる。具体的にはCとNの合計含有量を0.01質量%以上とすることがより効果的である。また、Nb含有量を十分に確保することにより、Fe2Nb(Laves)や、Fe3NbC(M6X)などの析出物によるピン止め効果も結晶粒粗大化の抑制に有効に作用すると考えられる。
結晶粒の粗大化が抑制されることによって特に低温靭性の低下防止に効果がある。
Nb以外の合金成分については、Mo、Cu、V、Wの各元素も固溶量が増大するに従って高温強度の向上に寄与することがわかった。またNi、Coは、結晶粒が若干粗大化した場合における靱性低下の抑制に極めて有効であることがわかった。一方、Ti、Al、Zr、REM、Caは、Niろう付けを行う際に、鋼材表面におけるNiろう材の流れ(濡れ性)を悪くする要因を有していることが明らかになった。これは、Niろう付けの加熱時に、鋼材表面にこれらの元素の酸化物が形成されやすいことが原因ではないかと考えられる。ただし、後述のようにこれらの元素の含有量を適正範囲に規制すれば問題はない。
本発明はこのような知見に基づいて完成したものである。以下に、各合金成分について説明する。
C、Nは、Nbとの複合添加において、Nb炭化物・窒化物を形成する元素である。これらの析出物によってNbが消費され固溶Nbが減少すると、固溶Nbによる高温強度の向上効果および結晶粒粗大化の抑制効果が阻害される。したがって、本発明ではC含有量は0.03質量%以下に制限する必要があり、0.025質量%以下であることが好ましい。また、N含有量も0.03質量%以下に制限する必要があり、0.025質量%以下であることが好ましい。
ただし、Niろう付け時の結晶粒粗大化の抑制については、前述のようにNb炭化物・窒化物によるピン止め効果も寄与しうる。したがって、ある程度のC、N含有量を確保することが有利である。種々検討の結果、CとNの合計含有量を0.01質量%以上とすることが望ましい。個々の元素については、C:0.005質量%以上、N:0.005質量%以上を確保することがより好ましい。
Siは、高温酸化特性を改善させる元素である。しかし、過剰のSi含有はフェライト相を硬質化させ、加工性劣化の要因となる。また、Niろう付け性(Niろう材との濡れ性)を劣化させる。種々検討の結果、Si含有量は0.1超え〜3質量%の範囲に制限され、0.3〜2.5質量%の範囲とすることがより好ましい。上限は1.5質量%に規制することもできる。
Mnは、高温酸化特性、特に耐スケール剥離性を改善させる元素である。しかし、過剰に添加すると高温でのオーステナイト相の生成を助長させる。本発明ではNiろう付け温度でオーステナイト相が生成しないフェライト単相系の成分組成とすることが望ましい。種々検討の結果、Mn含有量は0.1〜2質量%の範囲に規定する。
Crは、高温における耐酸化特性を安定させる作用を有する。そのためには10質量%以上のCr含有量を確保する必要がある。しかし、過剰のCr含有は製造性および鋼材の加工性を阻害する。したがって、Cr含有量は25質量%以下の範囲に制限される。
Nbは、本発明において重要な元素であり、上述のように、高温強度の上昇とNiろう付け時の結晶粒粗大化の抑制に有効に作用する。高温強度の向上に関しては、主としてNbの固溶強化が大きく寄与するが、フェライトマトリクス中に微細に分散したNb炭化物・窒化物による析出強化も高温強度の向上に有効である。結晶粒粗大化の抑制に関しては、Nbの固溶強化とともに、Nb炭化物・窒化物によるピン止め効果が有効に作用する。これらの作用を十分に発揮させるためには、C、N含有量を前記の範囲に規制した上で、Nb含有量を0.3質量%以上確保することが重要である。特にNiろう付け時の結晶粒粗大化を抑制するためにはNb含有量を高めることが効果的であり、0.4%以上あるいはさらに0.5%以上のNb含有量とすることが好ましい。ただし、Nb含有量が多くなると、熱間加工性や鋼材の表面品質特性に悪影響を及ぼすようになる。したがって、Nb含有量は0.8質量%以下の範囲に制限される。
Mo、Cu、V、Wも、主として固溶強化により高温強度の向上に寄与する。したがって、必要に応じてこれらの元素の1種以上を含有させることができる。特に、これらの元素の合計含有量を0.05質量%以上確保することがより効果的である。しかし、これらの元素を過剰に添加すると熱間加工性に悪影響を及ぼすようになる。また、低温靭性を阻害する要因にもなる。種々検討の結果、Mo、Cu、V、Wの1種以上を添加する場合は、その合計含有量を4質量%以下に抑える必要がある。
i、ZrはCやNと結合して微細析出物を形成し、これが鋼中に分散することにより高温強度を向上させる作用を呈する。したがって、必要に応じてこれらの元素の1種以上を含有させることができる。しかし、これらの元素はいずれも、多量に含有させると熱間加工性や表面品質特性の低下を招く要因となる。また、鋼材表面に強固な酸化皮膜を形成する元素であるから、その酸化皮膜によりNiろうの流れが悪くなることがある。検討の結果、Ti、Zrの1種以上を添加する場合は、その合計含有量を0.3質量%以下に抑える必要がある。特に、その合計含有量を0.03〜0.3質量%の範囲とすることが効果的であり、0.03〜0.25質量%とすることがより好ましい。
以上の組成を有するフェライト系ステンレス鋼は、融雪塩に対する耐食性、LLCに対する耐食性、および凝結水に対する耐食性については、従来のEGRクーラーに使用されているオーステナイト系鋼種と比べ、問題のないレベルであることが確認された。排ガス環境における高温強度(0.2%耐力)および耐スケール剥離性については、オーステナイト系鋼種よりも改善されている。
上記組成のフェライト系ステンレス鋼は、通常の方法により鋼板とされ、EGRクーラーを構成する外筒、仕切り板、通気管、通気管の中に取り付けられるフィンなどの部材に加工される。これら部材は、Niろう付けにより接合され、EGRクーラーが構築される。EGRクーラーの構成部材の必ずしも全てを本発明の鋼で構成する必要はない。ただし、本発明の鋼からなる部材は、LLCに対する耐食性が十分に確保されているとともに、排ガス環境における高温酸化特性と、Niろう付け時の結晶粒粗大化に対する抵抗力および濡れ性が同時に改善されたものである。このため、特に自動車排ガスおよび冷却水の両方に接触し、かつNiろう付けが施される部材に本発明の鋼を使用することが効果的である。
そのような部材としては、例えば外筒、仕切り板、通気管が挙げられる。
表1に示す化学組成の鋼を溶製し、得られた鋼塊を丸棒および板に熱間鍛造することにより、直径15mmの丸棒と、板厚30mmの板に加工した。丸棒には保持温度を1000〜1100℃の範囲内に設定して溶体化処理を施した。板は熱間圧延にて板厚4mmの熱延板とし、これに焼鈍を施したのち、冷間圧延にて板厚1.5mmとし、次いで保持温度を1000〜1100℃の範囲内に設定して最終焼鈍を施した。なお、B4、B5はオーステナイト系ステンレス鋼である。
Figure 0005264199
得られた鋼材を用いて以下の特性を調べた。
〔熱膨張係数〕
溶体化処理後の丸棒から5mm角×50mm長さの試験片を作製し、熱膨張測定装置にセットして昇温速度2℃/分にて常温(25℃)から700℃までの平均熱膨張係数を求めた。
〔700℃における0.2%耐力〕
溶体化処理後の丸棒から平行部の直径が10mmの高温引張試験片を作製し、JIS G056に準拠して700℃の高温引張試験を実施し、0.2%耐力を測定した。700℃における0.2%耐力が100N/mm2以上であるものはEGRクーラーとして従来のオーステナイト系鋼種を上回る特性を呈することから、ここではそのような特性を具備するものを合格と判定した。
〔繰り返しサイクルでの高温酸化特性〕
冷延焼鈍板から25mm×35mm×1.5mmの試料を切り出し、全面を#400湿式研磨仕上とした高温酸化試験片を作製した。この試験片について、EGRクーラー部材としての繰り返し使用を模擬して、大気+60℃飽和水蒸気の雰囲気において「900℃×25分加熱→常温で10分間放冷」のサイクルを1000サイクル実施し、試験片の試験前と試験後の質量変化(プラスは増加、マイナスは減少)を試験前の試験片の表面積で除することにより、単位面積あたりの質量変化を求めた。この質量変化の絶対値が10mg/m2以下であれば、EGRクーラー部材として優れた高温酸化特性を有していると評価され、5mg/m2以下であるものは特に優れている。
〔Niろう付け性(濡れ性)〕
冷延焼鈍板から10mm×20mm×1.5mmのろう付け試験片を各鋼種2枚ずつ切り出した。うち1枚の試験片を水平に置いた状態で、その表面の全面にペースト状のNiろうを0.5mm厚で塗布した。その上にもう1枚の試験片を重ね、試験片/Niろう/試験片の3層からなる積層体を構成し、これを水平に保ったまま真空炉に入れ、真空引き後に1150℃で30分加熱した。冷却後に積層体を取り出し、上面に重ねた方(Niろうを塗布しなかった方)の試験片表面を観察し、表面のうちNiろうで濡れた面積を試験片表面の全面積で除することによりNiろう被覆率を求めた。Niろう被覆率が50%以上のものをA、20%以上50%未満のものをB、20%未満のものをCと評価し、B評価以上を合格とした。なお、Niろうは19質量%Cr−10質量%Si−71質量%Ni組成のもの(JIS Z3265のBNi−5相当品)を使用した。
〔結晶粒粗大化に対する抵抗〕
上記のNiろう付け性を評価した試験片について、その断面(圧延方向および板厚方向に平行な断面;L断面)の金属組織を光学顕微鏡で観察した。エッチングは弗酸+硝酸の混酸で行った。平均結晶粒径が200μm以下のものをA、200μm超え500μm以下のものをB、500μm超えのものをCと評価し、B評価以上を合格と判定した。
〔低温靭性〕
1.5mm厚の冷延焼鈍板を上記Niろう付け性評価と同等のヒートパターンで熱処理したのち、その鋼板からVノッチシャルピー衝撃試験片を作製し、JIS Z2242に準拠して0℃でのシャルピー衝撃試験を実施した。試験片はハンマーのぶつかる方向が圧延方向に対して直角方向(C方向)となるように採取した。0℃でのシャルピー衝撃値が100J/cm2以上のものをA、50J/cm2以上100J/cm2未満のものをB、50J/cm2未満のものをCと評価し、B評価以上を合格と判定した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0005264199
表2からわかるように、本発明例のフェライト系ステンレス鋼は、比較例B4、B5のオーステナイト系ステンレス鋼に比べ、熱膨張係数が格段に小さく、700℃での0.2%耐力および繰り返しサイクルでの高温酸化特性においても勝っていた。また、Niろう付け性(濡れ性)、結晶粒粗大化に対する抵抗、および低温靭性に関してもEGRクーラー部材として十分満足できる特性を具備していることが確認された。
これに対し、比較例B1はC含有量が高く、かつNb含有量が低いために固溶Nb量が不足し、高温強度(700℃の0.2%耐力)および結晶粒粗大化に対する抵抗性能に劣った。また、Mn含有量が高いために高温でオーステナイト相が生成し、これが一部マルテンサイト相に変態したことが考えられ、低温靭性にも劣った。B2はNb含有量が低かったが、C、N含有量も比較的低いことから固溶Nb量は適度に確保され高温強度(700℃の0.2%耐力)は良好であった。しかし、Nb炭化物・窒化物の微細分散が少なく、結晶粒粗大化に対する抵抗性能は不十分であった。B3はTi含有量が過剰であったためNiろう付け時に表面に酸化膜が生じやすくなり、Niろう付け性に劣った。また、Mo、Cu、V、Wの合計含有量が高すぎたことにより低温靭性に劣った。B4、B5はオーステナイト系ステンレス鋼であり、熱膨張係数が高い。高温強度(700℃の0.2%耐力)も他のフェライト系鋼種より低レベルであった。また、熱膨張係数が高いことも影響して、繰り返しサイクルではスケールが剥離しやすく、質量変化がマイナスの大きな値となった。B6はTi、Al、Zrの合計含有量が高すぎたためNiろう付け時に表面に酸化膜が生じやすくなり、Niろう付け性に劣った。
EGRクーラーの構造を模式的に例示した図。 通気管内にフィンを有するタイプのEGRクーラーの構造を模式的に例示した図。

Claims (5)

  1. 質量%で、C:0.005〜0.03、Si:0.1超え〜3%、Mn:0.1〜2%、Cr:10〜25%、Nb:0.3〜0.8%、N:0.005〜0.03、残部Feおよび不可避的不純物からなるフェライト系ステンレス鋼材を構成部材に持ち、少なくともその部材を他の部材にNiろう付けにて接合した構造を有するEGRクーラー
  2. フェライト系ステンレス鋼材が、さらに、Mo、Cu、VおよびWの1種以上を合計4%以下の範囲で含有するものである請求項1に記載のEGRクーラー
  3. フェライト系ステンレス鋼材が、さらに、TiおよびZrの1種以上を合計0.3%以下の範囲で含有するものである請求項1または2に記載のEGRクーラー
  4. 前記フェライト系ステンレス鋼材のCおよびNの合計含有量が0.01質量%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のEGRクーラー
  5. 前記フェライト系ステンレス鋼材を用いた構成部材が自動車排ガスおよび冷却水の両方に接触する部材である請求項1〜4のいずれかに記載のEGRクーラー
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