JP2006134662A - 自動車の燃料電池システム用熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐高温水蒸気酸化性を有する安価な自動車の燃料電池システム用熱交換器を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.03%以下,Si:0.1超え〜1.0%,Mn:1.5%以下,Cr:15〜20%,S:0.01%以下,N:0.03%以下,Mo:0〜3.0%,Nb:0〜0.80%,Ti:0〜0.50%,Cu:0〜1.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、No.4仕上げ等により研磨仕上げされた鋼材を、下記A条件でロウ付けして製造される自動車の燃料電池システム用熱交換器。〔A条件〕研磨仕上げされた鋼材の表面に研磨歪みが存在している状態で、大気の真空排気により酸素分圧を1×10-5〜1×10-2Paとした900〜1250℃の減圧雰囲気下に10〜3600秒保持する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の燃料電池システムに用いる耐高温水蒸気酸化性に優れた熱交換器に関するものである。
近年、自動車の動力源として、内燃機関に替わる新しいシステムの実用化に向けた研究が進められている。その1つとして、固体高分子型燃料電池(PEFC)が注目されている。
PEFCの電池作動温度は70〜100℃程度と低いが、自動車用途の場合は起動時間短縮のため、起動時には作動温度まで急速に昇温させる必要がある。また、限られた搭載スペースでエネルギーを賄うためにシステムのエネルギー効率向上が重要となる。さらに、ガソリン等の改質により水素を発生させるためには、改質器を800℃程度の高温で作動させる必要がある。このような事情から、自動車の燃料電池システムにおいては500〜800℃の高温で耐久性を有する高温熱交換器が不可欠となっている。
図1に、高温熱交換器の一例として、直交型熱交換器の構造を模式的に示している。平板状のプレート1の間に、波板からなるフィン2を1層毎に流体の通過方向が直交するように交互に挟んで組み立てられている。各プレート1とフィン2は、通常、Niロウなどを用いてロウ付けされる。プレート1は板厚0.1〜2mm程度、フィン2は板厚0.01〜1mm程度の金属板で作られている。従来、これらの金属部材にはSUS310Sなどのオーステナイト系ステンレス鋼や、インコロイ800系の鉄基高合金が使われていた。
自動車用の燃料電池システム(PEFCタイプ)では、改質器で発生するバーナーの燃焼排ガスを熱交換器で冷却し、その熱は例えば水素ガスを加湿するための加湿器に利用される。バーナーの燃焼排ガスは500〜800℃と高温であり、ガス成分にはH2O(水蒸気)が多量に含まれるとともにO2,H2,CO2,CO,HC等が混在する。一方、その熱を受け取る側の流体も、水や水蒸気に富んだものが使用されることが多い。したがって、この用途の熱交換器は、高温の水蒸気や水素に曝される環境で優れた耐久性を呈するものでなければならない。また、自動車用途では頻繁に起動・停止が繰り返されるため、熱膨張係数の低い材料で構成することが望まれる。
従来材である上記SUS301Sはオーステナイト系であるため、本来的にフェライト系鋼種よりも高温水蒸気には強く、高温強度も比較的高い。しかし素材コストが高いこと、熱膨張係数が大きいことなど、問題も多い。インコロイ800系はさらに高価である。燃料電池システムを自動車の動力源として普及させるにはコスト低減が重要なキーポイントの1つになっていることから、熱交換器はできるだけ低廉なフェライト系鋼種で構成することが望まれる。熱膨張係数の面でもフェライト系鋼が有利である。
下記特許文献1には、高温水蒸気雰囲気に曝される石油系燃料改質器の環境を考慮したフェライト系ステンレス鋼が記載されている。これは耐高温水蒸気酸化性を改善するためにSiとAlの含有量を高くする手段を採用している。
特許文献2にも燃料改質器にフェライト系ステンレス鋼を適用した例が示されている。これは2.5%以上のAlを含有させることによって耐水蒸気酸化性を改善している。
一方、特許文献3には熱交換器用のフェライト系ステンレス鋼が記載されている。ただし、高温水蒸気雰囲気での使用は想定されておらず、燃料電池システムの高温熱交換器として耐え得るフェライト系鋼材を実現する手法は未知である。
特開2003−160840号公報 特開2003−286005号公報 特開平7−292446号公報
前述のように、自動車用燃料電池システムの普及には高温熱交換器のコスト低減が欠かせない。従来のSUS310Sやインコロイ800系の合金は高価であり、安価な材料との代替要求が強い。また熱膨張係数が小さいフェライト系鋼種への変更が望まれる。
特許文献1,2に開示のフェライト系鋼は耐水蒸気酸化性の向上を意図したものである。しかし、Al含有量が高いためロウ付け性に劣る。したがって、これらは熱交換器用に最適な材料とは言えない。また、SiやAl含有量が高いので、自動車用燃料電池システムの熱交換器用途としてはまだコストが高すぎる。
一方、特許文献3のフェライト系鋼をそのまま高温水蒸気雰囲気に用いても充分な耐久性は期待できない。
本発明はこのような現状に鑑み、安価なフェライト系鋼種を用いて、500〜800℃という高温水蒸気雰囲気で使用可能な優れた耐久性を付与した自動車の燃料電池システム用熱交換器を提供することを目的とする。
発明者らの詳細な検討の結果、安価なフェライト系ステンレス鋼であっても、表面に研磨歪みを導入した後、特定の酸化性減圧雰囲気下で加熱処理を施すと、高温水蒸気雰囲気での耐久性を顕著に改善できることがわかった。すなわち、研磨歪みの作用により、優れた耐高温水蒸気酸化性を示す保護皮膜を形成させることが可能となる。しかも、熱交換器を組み立てる際に行われるロウ付けの処理によって、前記の保護皮膜を形成させるための処理を兼ねることができるのである。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち、上記目的は、質量%で、C:0.03%以下,Si:0.1超え〜1.0%,Mn:1.5%以下,Cr:15〜20%,S:0.01%以下,N:0.03%以下,Mo:0〜3.0%,Nb:0〜0.80%,Ti:0〜0.50%,Cu:0〜1.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼材であって、JIS R 6001に規定される50番以上の番手で研磨仕上げされた鋼材あるいはJIS G 4305に規定されるNo.4仕上げにより研磨仕上げされた鋼材を、500〜800℃の高温水蒸気に接触する部材となるように配置して、下記A条件でNiロウ付けなどのロウ付けを行って製造される自動車の燃料電池システム用熱交換器によって達成される。
〔A条件〕研磨仕上げされた鋼材の表面に研磨歪みが存在している状態で、大気の真空排気により酸素分圧を1×10-5〜1×10-2Paとした900〜1250℃の減圧雰囲気下に10〜3600秒保持する。
ここで、Mo,Nb,Ti,Cuは任意添加元素である。下限0%は、当該元素が無添加であり、かつ含有量が通常の製鋼現場での分析手法で測定限界以下である場合を意味する。
「研磨仕上げされた鋼材の表面に研磨歪みが存在している状態」とは、研磨仕上げされた後に熱処理などによって研磨歪みが除去されていない状態をいう。
また本発明では、前記熱交換器において特に、前記研磨仕上げされた鋼材に由来する熱交換器の部材が「50体積%H2O+50体積%N2,600℃の雰囲気下に1000時間保持する耐高温水蒸気試験に供したとき、その試験前後における質量増加が0.3mg/cm2以下となる耐高温水蒸気酸化性」を有する熱交換器を提供する。
本発明は以下のようなメリットを有するものである。
(1)素材が安価なフェライト系ステンレス鋼であるから、自動車用燃料電池システムのコスト低減に寄与できる。
(2)フェライト系ステンレス鋼は熱膨張係数が小さいため、昇温・降温の繰り返しが多い自動車用燃料電池システムに求められる熱疲労特性にも優れる。
(3)素材は高Al化の手法を採用していないのでロウ付け性が良好である。
(4)熱交換器を組み立てるロウ付け工程の加熱処理において、耐高温水蒸気酸化性を向上させるための熱処理を兼ねることができるので、製造性や製造コスト面でも有利である。
したがって本発明は、自動車用の燃料電池システムの普及に貢献し得るものである。
フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系よりも熱膨張係数が小さく、熱疲労特性に優れている。しかし、多量の水蒸気を含む高温雰囲気に曝されると、一般的にオーステナイト系鋼よりも容易に酸化が進行する。すなわち、500℃以上の高温水蒸気雰囲気で酸化量が増大し、赤褐色のスケール(通称「赤スケール」)が多量に生成する。この水蒸気酸化は部材の穴あきを招き、また生成した赤スケールは配管系統の目詰まり等のトラブルを引き起こす。
水蒸気酸化のメカニズムは未だ十分解明されていない。ただ、高温水蒸気雰囲気に曝したときにステンレス鋼材表面に生成する初期の酸化皮膜を安定化させることによって、水蒸気酸化を抑制できることがわかっている。特許文献1に開示されるSiとAlの複合添加や、特許文献2に開示される高Al化は、そのような酸化皮膜の安定化を実現するための手段である。
本発明者らは、SiやAlの添加に頼らずに高温水蒸気雰囲気下で優れた保護作用を発揮する皮膜を形成させる手法を検討してきた。その結果、表面に研磨歪みを付与した状態で「酸化性の高温減圧雰囲気」に曝す手法が極めて有効であることを見出した。
フェライト系ステンレス鋼の表面を機械的に研磨すると、金属表層には転位や滑り帯が多数形成され、表層から50〜100μm程度の深さまで研磨歪みを導入することができる。この表層部における歪みが、高温加熱時にCrおよびSiの表層への拡散を促進し、結果として、酸化のごく初期の段階で鋼材表層に保護的な酸化皮膜が迅速に形成されると考えられる。
具体的には以下のようにして保護皮膜の形成された熱交換器を得ることができる。
まず、後述のように成分調整されたフェライト系ステンレス鋼を用いて、通常の方法により熱交換器部材を構成する素材(例えば鋼板)を製造し、その表面に研磨歪みを付与する。図1のような直交型熱交換器の場合、フィンの部材はコルゲート加工等の成形加工により作られるが、成形前の鋼板の段階で研磨歪みを付与し、その後成形加工すれば問題ない。
研磨歪みを付与する手段としては、JIS R 6001に規定される50番以上の番手で研磨仕上げする手段が採用できる。あまり研磨番手が高い(目が細かい)と生産性に劣るので、600番以下で行うことが望ましい。番手の異なる研磨を順次施してもよい。また、JIS G 4305に規定されるNo.4研磨仕上げを施すことによっても充分な研磨歪みが導入される。
次に、上記のように研磨され、必要に応じて成形加工された鋼材を、研磨歪みが存在している状態のままで500〜800℃の高温水蒸気に接触する部材となるように配置して、ロウ付け処理に供する。ロウ付けとしてはNiロウ付けが好適である。
ロウ付けに際しては、各構成部材をロウ材とともに酸化性の高温減圧雰囲気に保持する。具体的には下記A条件でロウ付け処理を行う。
〔A条件〕研磨仕上げされた鋼材の表面に研磨歪みが存在している状態で、大気の真空排気により酸素分圧を1×10-5〜1×10-2Paとした900〜1250℃の減圧雰囲気下に10〜3600秒保持する。
加熱温度900℃以上、保持時間10秒以上とすることでNiロウを溶融させることができる。ただし、1250℃以上になると鋼材の結晶粒が粗大化し、強度が著しく低下してしまう。また、3600秒以上の長時間加熱は不経済である。
酸素分圧が1×10-5Pa未満だと表面に保護皮膜を形成させるに足る充分な酸素が供給されない。逆に酸素分圧が1×10-2Paを超えるとロウが溶融する前にNiロウおよび素材が酸化してしまい、良好なロウ接合が行えない。なお、この熱処理雰囲気は酸化性の減圧雰囲気である必要がある。そのような減圧雰囲気は大気を真空排気することによって容易に得られる。
このA条件の加熱によってロウ付けによる接合が実現されると同時に、高温水蒸気雰囲気で優れた耐久性を発揮する保護皮膜が鋼材表面に形成される。この保護皮膜の形成は、前述のように研磨歪みの作用によってもたらされるものである。すなわち、CrやSiが濃化した皮膜が研磨歪みの存在する領域にほぼ対応した厚さに短時間で成長するものと推察される。発明者らの検討によれば、冷間圧延歪みによって耐高温水蒸気酸化性の改善が可能な保護皮膜を形成させることはできなかった。この点、ごく表層のみに歪みを導入できる「研磨」が極めて有効な手段であると言える。
A条件でロウ付けを行うことにより、前記研磨仕上げされた鋼材に由来する熱交換器の部材は、50体積%H2O+50体積%N2,600℃の雰囲気下に1000時間保持する耐高温水蒸気試験に供したとき、その試験前後における質量増加が0.3mg/cm2以下となるような優れた耐高温水蒸気酸化性を呈するようになる。
ここで、1000時間保持したときに質量増加が0.3mg/cm2以下であるか否かは、自動車の燃料電池システム用熱交換器を想定した高温水蒸気雰囲気において異常酸化が防止できるか否か、つまり、「赤スケール」の連続的な発生が防げるか否か、を評価するための基準となる。すなわち、前記600℃の高温水蒸気雰囲気に1000時間曝した後の質量増加が0.3mg/cm2以下である性能を有していれば、そのフェライト系ステンレス鋼材は、自動車の燃料電池システム用熱交換器として優れた耐久性を呈すると言うことができる。
なお、熱交換器の製造に際しては、ロウ付け以外の接合手段も採用できるが、少なくとも前記A条件でのロウ付け工程を経て製造することが必要である。
以下、本発明で対象とするフェライト系ステンレス鋼の合金成分について説明する。
Crは、ステンレス鋼に必要な耐食性,耐酸化性を付与する上で必須の合金成分である。500〜800℃での耐高温水蒸気酸化性を改善するには、15質量%以上のCrが必要である。しかし、20質量%を超えると加工性,低温靱性が劣化し、また475℃脆化が生じやすくなるので好ましくない。
CおよびNは、高温強度、特にクリープ特性を改善する成分であるが、フェライト系ステンレス鋼に過剰添加すると加工性,低温靱性を著しく低下させる。また、TiやNbとの反応によって炭窒化物を生成しやすく、高温強度の改善に有効な固溶Tiや固溶Nbを減少させる。本発明では、C,Nはいずれも0.03質量%以下に制限する。
Mnは、フェライト系ステンレス鋼の耐スケール剥離性を向上させる成分である。しかし、1.5質量%を超えると鋼材が硬質化し、加工性,低温靱性の低下を招く。
Sは、熱間加工性,耐溶接高温割れ性に悪影響を及ぼす成分である。異常酸化の基点ともなる。このため、S含有量は0.01質量%以下に制限する。
Siは、高温水蒸気酸化の進行を抑止する保護皮膜の形成に有効な成分である。すなわち、研磨後の熱処理によって自ら酸化皮膜中に濃化するとともに、同皮膜中に生成したCr系酸化物の安定化にも有効に作用すると考えられる。このような作用は0.1質量%を超えるSi含有によってもたらされるが、0.2質量%以上のSi含有量を確保することが好ましい。ただし、Siを過剰に添加すると、加工性、特に延性が低下し、低温靱性も低下する。振動に曝される自動車用途ではSi含有量を1.0質量%以下に抑えることが望ましい。
Moは、固溶強化により高温強度および耐熱疲労特性を向上させるので、これらの特性を重視する場合は必要に応じて添加することができる。ただし、過剰のMo添加は鋼材を硬質化するので、Moを添加する場合は3.0質量%以下の範囲で行う必要がある。
NbおよびTiは、析出強化によりフェライト系鋼の高温強度を更に向上させるので、必要に応じて添加することができる。上記作用を充分に発揮させるには、Nbの場合0.05質量%以上、Tiの場合0.03質量%以上の含有量とすることが望ましい。しかし、これらの元素を過剰に添加すると鋼材が硬質化するので、Nbは0.80質量%以下、Tiは0.50質量%以下の範囲で添加する必要がある。なお、NbとTiは上記範囲内で複合添加しても構わない。
Cuは、析出強化または固溶強化によりフェライト系ステンレス鋼の高温強度を更に向上させるので、必要に応じて添加することができる。上記作用を充分に発揮させるには、0.1質量%以上の含有量とすることが望ましい。ただし、Cuを多量に添加すると鋼材が硬質化するので、Cuを添加する場合は1.0質量%以下の範囲で行う必要がある。
表1に示す組成のフェライト系ステンレス鋼を30kg真空溶解炉で溶製した後、粗圧延、熱延、焼鈍、酸洗、冷延、仕上げ焼鈍を経て板厚1.5mmの冷延焼鈍鋼板を製造した。
Figure 2006134662
各冷延焼鈍鋼板のうち、本発明規定範囲の化学組成をもつ鋼1〜鋼3の鋼板を用いて、以下の3通りの仕上げ材を作製した。
[1] JIS G 4305に規定されるNo.2D仕上げを施した冷延焼鈍鋼板。
[2] JIS G 4305に規定されるNo.4仕上げを施した研磨仕上げ鋼板。
[3] JIS R 6001に準拠して400番の番手で研磨した研磨仕上げ鋼板。
これら[1]〜[3]の仕上げ材について、Niロウ付けを模擬した処理条件として、大気を真空排気して酸素分圧が2×10-3Pa(全圧は1×10-2Pa)となるようにした減圧雰囲気下で1180℃×10分保持する熱処理(ここでは「ロウ付け熱処理」と呼ぶ)を施した後、耐高温水蒸気試験に供した。耐高温水蒸気試験は、50体積%H2O+50体積%N2,600℃に雰囲気下に1000時間保持する条件で行った。なお、[1]のNo.2D仕上げ材をそのまま同様の耐高温水蒸気試験に供する実験も併せて行った。
耐高温水蒸気試験の前後における試験片単位面積当たりの質量増加を調べて、耐高温水蒸気酸化性を以下のように評価した。
○:質量増加が0.3mg/cm2以下のもの
×:質量増加が0.3mg/cm2を超えるもの
この場合、○評価のものは自動車の燃料電池システム用熱交換器として異常酸化の生じない優れた耐久性を呈すると判断することができ、合格と判定される。結果を表2に示す。
Figure 2006134662
表2からわかるように、研磨歪みを導入していない2D仕上げ材では、これをそのまま耐高温水蒸気試験に供した場合、および「ロウ付け熱処理」後に耐高温水蒸気試験に供した場合のいずれも、耐高温水蒸気酸化性の改善を図ることはできなかった。
これに対し、No.4研磨仕上げ材,400番研磨仕上げ材を「ロウ付け熱処理」に供したものは、いずれも優れた耐高温水蒸気酸化性を付与することができた。
表1の鋼2,鋼3,鋼4〜鋼6の5鋼種について、前記冷延焼鈍鋼板(板厚1.5mm)を用いて、更に冷延、焼鈍、酸洗を施し、板厚0.2mmの鋼板および板厚0.05mmの鋼板を作製し、これらの表面に最終仕上げとしてJIS G 4305に規定されるNo.4研磨仕上げを施した。この0.05mm厚の板をコルゲート加工により波形に加工して「フィン」とし、0.2mm厚の板を「プレート」として、「プレート」−「フィン」−「プレート」で構成される単層のプレート型熱交換器を作製した。両プレート間の間隔は約1mmである。プレートとフィンの接合はNiロウ付けとした。NiロウとしてBNi−5を用い、ロウ付け時の加熱条件は、大気を真空排気して酸素分圧が4×10-4Pa(全圧は2×10-3Pa)の減圧雰囲気下で1080℃×10分保持したのち、更に昇温して1160℃×10分保持する方法とした。得られたプレート型熱交換器から幅10mm×長さ50mmの耐久試験片を切り出した。この場合、幅方向に垂直な断面にフィンの波形の切り口が現れるようにした。
耐久試験は、「大気中600℃×10分保持 → 10分間水冷」のサイクルを1000サイクル繰り返す方法で行った。耐久試験後の試験片について外観観察および顕微鏡観察を行い、プレートとフィンの変形または亀裂の有無を調べた。
プレートに関しては、熱疲労によりプレート端面で板が外側または内側に曲がる現象に着目し、以下のように評価し、○評価を合格とした。
○:板の変形角が5°以下のもの
×:板の変形角が5°を超えるもの
フィンに関しては、熱疲労起因の亀裂の有無により以下のように評価し、○評価を合格とした。
○:熱疲労起因の亀裂が認められないもの
×:熱疲労起因の亀裂が認められるもの
また、耐高温水蒸気酸化性については、耐久試験後のプレート部とフィン部を全体的に観察して以下のように評価し、○評価を合格とした。
○:深さ5μmを超える侵食が認められないもの
×:深さ5μmを超える侵食が認められるもの
結果を表3に示す。
Figure 2006134662
表3からわかるように、鋼2,鋼3の発明対象鋼を用いた熱交換器ではプレートの変形,フィンの亀裂が見当たらず、また水蒸気酸化による深さ5μmを超える侵食も認められなかった。
これに対し、オーステナイト系鋼である鋼4(SUS304相当)、鋼5(SUS316L相当)、鋼6(SUS310S相当)を用いた例では、いずれも水蒸気酸化による深さ5μmを超える侵食が見られ、かつプレート部には大きな変形が生じていた。また鋼4および鋼5では、フィン部に熱疲労起因の亀裂が生じていた。
直交型熱交換器の構造を模式的に表した斜視図。
符号の説明
1 プレート
2 フィン

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.03%以下,Si:0.1超え〜1.0%,Mn:1.5%以下,Cr:15〜20%,S:0.01%以下,N:0.03%以下,Mo:0〜3.0%,Nb:0〜0.80%,Ti:0〜0.50%,Cu:0〜1.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、JIS R 6001に規定される50番以上の番手で研磨仕上げされた鋼材を、500〜800℃の高温水蒸気に接触する部材となるように配置して、下記A条件でロウ付けを行って製造される自動車の燃料電池システム用熱交換器。
    〔A条件〕研磨仕上げされた鋼材の表面に研磨歪みが存在している状態で、大気の真空排気により酸素分圧を1×10-5〜1×10-2Paとした900〜1250℃の減圧雰囲気下に10〜3600秒保持する。
  2. 質量%で、C:0.03%以下,Si:0.1超え〜1.0%,Mn:1.5%以下,Cr:15〜20%,S:0.01%以下,N:0.03%以下,Mo:0〜3.0%,Nb:0〜0.80%,Ti:0〜0.50%,Cu:0〜1.0%、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、JIS G 4305に規定されるNo.4仕上げにより研磨仕上げされた鋼材を、500〜800℃の高温水蒸気に接触する部材となるように配置して、下記A条件でロウ付けを行って製造される自動車の燃料電池システム用熱交換器。
    〔A条件〕研磨仕上げされた鋼材の表面に研磨歪みが存在している状態で、大気の真空排気により酸素分圧を1×10-5〜1×10-2Paとした900〜1250℃の減圧雰囲気下に10〜3600秒保持する。
  3. 前記ロウ付けがNiロウ付けである請求項1または2に記載の自動車の燃料電池システム用熱交換器。
  4. 前記研磨仕上げされた鋼材に由来する熱交換器の部材は、50体積%H2O+50体積%N2,600℃の雰囲気下に1000時間保持する耐高温水蒸気試験に供したとき、その試験前後における質量増加が0.3mg/cm2以下となる耐高温水蒸気酸化性を有するものである請求項1または2に記載の自動車の燃料電池システム用熱交換器。
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