JP4177123B2 - 配線図形検証方法、プログラム及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大規模半導体集積回路等の回路設計のレイアウトデータから配線マスク用の図形データを作成するコンピュータ支援による配線図形検証方法、プログラム及び装置に関し、特にレイアウトデータから斜め配線と斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを作成して検証する配線図形検証方法、プログラム及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータ支援による大規模半導体集積回路の設計作業では、配置配線設計またはレイアウト設計と呼ばれる論理回路図もしくは電子回路図に従って集積回路上に素子の配置を定め、これら素子間の配線経路を決定した後、これらに基づいたマスク生成のための作図工程がある。
【0003】
周知のとおり、レイアウト設計ではレイアウト検証が行われる。このレイアウト検証とは、設計最終段階のマスク生成のための作図データ(アートワークデータ)に対し設計の正しさを確かめるものである。
【0004】
このレイアウト検証において、デザインルールチェック(DRC)と呼ばれる検証が行われる。これは、製造プロセスを検討した上で得られた各種制約を考慮して設計される幾何学的設計規則、すなわちデザインルールに対し作図データが違反していないかを検証する工程である。
【0005】
従来のデザインルールチェックでは、デザインルールに基づいて配線図形同士の間隔を見て設計規則に違反していないかを検証する。また、配線図形とビア図形との間隔や、ビア図形を配線図形が設計規則に基づいて製造後の接触面積を保証できるよう、そのかぶりを満たしているかどうかを検証する。
【0006】
これらはいずれも古典的な技術であり、その一般例を図22に示す。従来のレイアウト検証では、まず図22(A)のようにレイアウトデータに基づいて配線レイヤの配線300と302を、またビアセルレイヤのビアセル304と306を同じレイヤで描画する。この描画により配線300とビアセル304及び配線302とビアセル306が重なれば、図22(B)のように、自動的に1つの図形に融合され、融合配線図形308,310が生成される。
【0007】
ここでビアセル304,306は、図22(A)のように、ビア312,314にビアマット316,318を結合した形状であり、ビアマット316,318によりビア312,314の周囲に配線かぶりを形成し、この配線かぶりは、配線300,302とビア312,314の接触面積をデザインルールに基づいて保持する配線かぶり値を満たすサイズをもつようにビアマット316,318を準備している。
【0008】
このためビア312,314とビアマット316,318から構成されるビアセル304,306は、配線300,302との融合処理により、ビアマット316,318が配線300,302と融合して図22(B)のように融合配線図形308,310となる。
【0009】
次に図22(B)の融合配線図形308,310について、幾何学的な設計規則に基づく配線図形同士の許容最小間隔値Sを満たすかどうか検証する。即ち、融合図形配線308,310の間隔を走査し、間隔320,322のビアセルの融合部分で最小間隔となることから、この間隔320,322が許容最小間隔値S以上であれば設計規則を満たすと判定し、許容最小間隔値S未満であれば設計規則に違反し、エラーと判定する。設計規則に基づく配線図形同士の許容最小間隔値Sは、一般的に配線幅に応じて異なる。
【0010】
更に、融合配線図形308,310におけるビア312,314のかぶり値326,328についても、設計規則に基づく許容かぶり値を満たすかどうかの検証も行う。この許容かぶり値も、一般的にビア312,314が存在する配線300,302の線幅に応じて異なる。
【0011】
【特許文献1】
特開平11−297831号公報
【特許文献2】
特許第2953051号公報
【特許文献3】
特許第2580772号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで従来のレイアウト設計にあっては、配線パターンは水平及び垂直方向に配置しているが、近年にあっては、配線長を短縮して線路抵抗及び浮遊容量を低減して高周波化に伴う伝送特性を改善するため、斜め45°方向に配線パターンを配置する斜め配線が取り入れられるようになっている。しかしながら、斜め配線を対象としたレイアウト検証にあっては、次の問題がある。
【0013】
図23は、斜め配線を対象としたデザインルールチェックの説明図である。このデザインルールチェックは、斜め配線レイヤ400の斜め配線402,404と、ビアマットレイヤ406のビアセル408,410を同一レイヤとして自動融合処理412で取込んで描画することで、融合図形レイヤ414に融合斜め配線図形416,418を生成している。
【0014】
この場合にも、ビアセル408,410は、ビア420,422とビアマット424,426から構成されており、ビアマット424,426の部分が斜め配線402,404と融合することになる。
【0015】
この融合斜め配線図形416,418については、図24に拡大して示すように、斜め配線部分の間隔425が設計規則に基づく配線図形同士の許容最小間隔値Sを満たすかどうか検証し、許容最小間隔値S未満であればエラーと判定する。
【0016】
しかしながら、融合斜め配線図形416,418は、ビア420,422の周囲にかぶり値を持って配置したビアマットの融合により、斜め配線に直交する方向に突出部427,428,430,432を生じている。
【0017】
この突出部427,428,430,432については、突出し量が製造誤差の範囲内であれば、製造時に頂点が丸まることになる。そこで、融合斜め配線図形416の突出部428と融合斜め配線図形418との間隔434、及び融合斜め配線図形418の突出部430と融合斜め配線図形416との間隔436の検証については、斜め配線同士の許容最小間隔値Sよりも緩い許容最小間隔値Tが設定される。
【0018】
しかし、デザインルールチェックにおいて、設計規則に基づいて斜め配線図形同士の許容最小間隔値Sの検証を実行した場合、配線幅からの突出部428,430の間隔434,436については、突出部についての許容最小間隔値Tを満足するが、それより値の大きな斜め配線同士の許容最小間隔値Sは満たさず設計規則に違反してしまい、擬似エラーを発生する。
【0019】
このため、斜め配線同士の間隔検証でビアセルの融合による突出部が存在すると、擬似エラーが発生し、正しく検証することができない。
【0020】
この擬似エラーを回避するためには、許容最小間隔値Tを満たす突出部についても、斜め配線図形同士の許容最小間隔値Sまで広げなければならず、デザインルールチェックでの全ての違反を除くようにレイアウトするためには必要以上の斜め配線間隔を要求されることになる。
【0021】
これによる配線間隔の増大は、配線長の増大やチップ面積の増大につながり、斜め配線による配線長の節約、配線遅延縮小、チップ面積削減による歩留まり向上などの様々な恩恵を受けられなくなる。
【0022】
本発明は、斜め配線図形のビアセル融合部分での突出により擬似エラーを発生することなく、斜め配線図形同士及び斜め配線と突出部につき異なる許容最小間隔値による検証を可能とする配線図形検証方法、プログラム及び装置を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
図1は本発明の原理説明図である。
(方法)
本発明は、半導体集積回路設計のレイアウトデータから作成される斜め配線と斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを検証するコンピュータ支援による配線図形検証方法を提供する。
【0024】
この配線図形検証方法は、
レイヤ定義部26により、半導体集積回路設計のレイアウトデータに含まれる斜め配線図形とビアセル図形に対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義ステップと、
第1図形融合部28により、レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を合成して重なる部分で融合する第1図形融合ステップと、
斜め配線検証部30により、第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証ステップと、
第2図形融合部32により、検証の済んだ斜め配線図形とビアセル図形を合成して重なる部分で融合した斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合ステップと、
融合図形検証部34により、第2図形融合ステップで融合された斜め配線マスク図形を検証する融合図形検証ステップと、
を備えたことを特徴とする。
【0025】
このように本発明の配線図形検証方法は、斜め配線レイヤとビアマットレイヤを異なるレイヤに定義することで、ビアセル図形と融合することなく斜め配線図形を単独で描画し、斜め配線図形とビアセル図形を別々のレイヤの図形として個別に融合(第1図形融合ステップ)できる。このため、斜め配線とビアセルの融合による突出部との間隔により発生する擬似エラーを回避し、斜め配線同士の許容最小間隔値Sによる検証ができる。
【0026】
またレイヤの異なる斜め配線とビアセルにつき、レイヤの融合処理(第2図形融合ステップ)を実行することで、両者を融合した斜め配線マスク図形を生成し、この斜め配線マスク図形に対し斜め配線とビアマットの融合による突出部の許容最小間隔値Tによる検証ができる。
【0027】
ここで第1図形融合ステップは、斜め配線図形同士を取込んで融合すると共に、
ビア図形とその周囲を囲むビアマット図形で構成されるビアセル図形同士を取込んで融合し、第2図形融合ステップは、第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形とビアセル図形のビアマット図形と重なる部分で融合させることを特徴とする。
【0028】
斜め配線検証ステップは、隣接する斜め配線図形同士の間隔が所定の設計規則に違反していないかを検証する。即ち、斜め配線検証ステップは、隣接する斜め配線図形同士の間隔が所定の設計規則に基づく許容最小間隔値Sに違反していないかを検証する。
【0029】
融合図形検証ステップは、斜め配線図形と隣接する斜め配線上に融合されたビアセル図形の間隔が所定の設計規則に違反していないかを検証する。即ち、斜め配線図形は水平および垂直方向に対し45°に傾斜し、ビアセル図形は斜め配線の線幅を超える矩形形状であり、第2図形融合ステップで融合された斜め配線上のビアセルは、斜め配線方向に直交するコーナ部が斜め配線の線幅を超えて突出した融合形状であり、融合図形検証ステップは、ビアセルの融合による斜め配線の突出部と隣接する斜め配線図形との間隔が、所定の設計規則に基づく許容最小間隔値Tに違反していないかを検証する。
【0030】
融合図形検証ステップは、斜め配線に隣接してビアセルが単独で存在する場合、斜め配線図形に直交して相対するビアセル図形のコーナエッジとの間隔が所定の設計規則に基づく許容最小間隔値Tに違反していないかを検証する。
【0031】
本発明におけるビアマット図形は、ビアと斜め配線の必要十分な接触面積を確保する配線かぶりをビア周囲に形成する。
【0032】
(プログラム)
本発明は、半導体集積回路設計のレイアウトデータから作成される斜め配線と斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを検証する配線図形検証のためのプログラムを提供する。
【0033】
このプログラムは、コンピュータに、
半導体集積回路設計のレイアウトデータに含まれる斜め配線の図形データとビアセル図形のデータに対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義ステップと、
レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に融合する第1図形融合ステップと、
第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証ステップと、
第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形とビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合ステップと、
第2図形融合ステップで融合された斜め配線マスク図形を検証する融合図形検証ステップと、
を実行させることを特徴とする。なお、本発明によるプログラムの詳細は、配線図形検証方法と基本的に同じになる。
【0034】
(装置)
本発明は、半導体集積回路設計のレイアウトデータから斜め配線と斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを作成するコンピュータ支援による配線図形検証装置を提供する。
【0035】
この配線図形検証装置は、半導体集積回路設計のレイアウトデータに含まれる斜め配線図形とビアセル図形に対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義部と、レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を融合する第1図形融合部と、第1図形融合部で融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証部と、第1図形融合部により融合された斜め配線図形とビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合部と、第2図形融合部で融合された融合斜め配線図形を検証する融合図形検証部とを備えたことを特徴とする。なお、本発明による配線図形検証装置の詳細は、配線図形検証方法と基本的に同じになる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図2は、本発明の配線図形検証方法が実施されるシステム構成のブロック図である。図2において、本発明の配線図形検証方法が実施されるシステムは、配線図形検証装置10、入力装置12、出力装置14更に配線図形検証装置10の内部記憶装置16で構成される。
【0037】
入力装置12にはレイアウトデータ入力部18とDRCルール入力部20が設けられる。レイアウトデータ入力部18は設計処理が完了したレイアウトデータを入力して、内部記憶装置16のレイアウトデータ記憶部36に記憶する。
【0038】
DRCルール入力部20は入力されたレイアウトデータから作成された配線図形のデザインルールチェックを実行するための実行情報であるDRCルールを入力し、内部記憶装置16のDRCルール記憶部38に記憶する。
【0039】
配線図形検証装置10には全体の制御を行う制御部22とDRC実行部24が設けられる。DCR実行部24には本発明による配線図形検証装置を実行するためレイヤ定義部26、第1図形融合部28、斜め配線検証部30、第2図形融合部32及び融合図形検証部34の機能が設けられている。
【0040】
このDRC実行部24の処理機能に対応して、内部記憶装置16には検証対象図形記憶部40と検証結果により得られたエラーパターンを格納するエラーパターンデータ記憶部42が設けられる。また出力装置14にはDRC実行部24による検証結果として得られたエラーパターンを表示するためのエラーパターンデータ表示部44が設けられている。
【0041】
DRC実行部24に設けられた各機能部の処理内容は次のようになる。レイヤ定義部26はレイアウトデータに含まれる斜め配線図形とビアセル図形に対し各々異なったレイアウト番号を定義する。第1図形融合部28はレイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取り込み、同一レイアウト番号同士の図形を融合する第1段階の図形融合処理を行う。
【0042】
斜め配線検証部30は第1図形融合部28の融合処理で得られた斜め配線図形を対象に幾何学的な設計規則により、予め定められた所定の斜め配線同士の許容最小間隔値Sによる検証処理を行う。
【0043】
第2図形融合部32は第1図形融合部28で融合された斜め配線図形とビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する。融合図形検証部34は第2図形融合部32で融合された斜め配線図形とビアセル図形を含む斜め配線図形を対象に斜め配線とビアセルの突出部との間隔について予め定められた所定の許容最小間隔値T(但しT<S)による検証を行う。
【0044】
図2における本発明の配線図形検証装置10は、例えば図3のようなコンピュータのハードウェア資源により実現される。図3のコンピュータにおいて、CPU200のバス201にはRAM202、ハードディスクドコントローラ(ソフト)204、フロッピィディスクドライバ(ソフト)210、CD−ROMドライバ(ソフト)214、マウスコントローラ218、キーボードコントローラ222、ディスプレイコントローラ226、通信用ボード230が接続される。
【0045】
ハードディスクコントローラ204はハードディスクドライブ206を接続し、本発明のデザインルールチェックを実行するアプリケーションプログラムをローディングしており、コンピュータの起動時にハードディスクドライブ206から必要なプログラムを呼び出して、RAM202上に展開し、CPU200により実行する。
【0046】
フロッピィディスクドライバ210にはフロッピィディスクドライブ(ハード)212が接続され、フロッピィディスク(R)に対する読み書きができる。CD−ROMドライバ214に対しては、CDドライブ(ハード)216が接続され、CDに記憶されたデータやプログラムを読み込むことができる。
【0047】
マウスコントローラ218はマウス220の入力操作をCPU200に伝える。キーボードコントローラ222はキーボード224の入力操作をCPU200に伝える。ディスプレイコントローラ226は表示部228に対して表示を行う。通信用ボード230は無線を含む通信回線232を使用し、インターネット等のネットワークを介して他のコンピュータやサーバとの間で通信を行う。
【0048】
図4は、本発明の配線図形検証方法が行われるレイアウト設計を含むコンピュータ支援による半導体集積回路設計処理の工程説明図である。
【0049】
この半導体集積回路設計処理の工程は、まずステップS1でチップ全体の機能の構成を決定する機能設計を行う。続いてステップS2で回路パラメータ及び回路間の接続を決定する論理回路設計を行う。次にステップS3でセルの配置と配線を行うレイアウト設計を行う。
【0050】
このレイアウト設計は、通常、セルの配置処理、概略配線処理、詳細配線処理の手順で行われる。レイアウト設計の中ではセルの配置及び配線の終了により得られたレイアウトデータを対象にレイアウト検証が行われ、このレイアウト検証の中で本発明によるデザインルールチェック(DRC)による検証が行われる。
【0051】
レイアウト設計が完了するとステップS4でマスクパターンの生成が行われ、続いてステップS5で生成されたマスクパターンに基づく集積回路の製造が行われ、最終的に製造された集積回路のテストがステップS6で行われることになる。
【0052】
図5は、本発明による配線図形検証処理が適用される配線マスク図形の一例である。図5において、配線マスク図形はレイアウトデータに基づいた描画処理によりマスクレイヤ46上に作成され、この例では5箇所にセル48が配置され、各セル48に対し縦配線及び横配線に加え、斜め配線50が行われている。
【0053】
また各配線の所定の位置にはビア52が形成され、他の配線レイヤとの電気的な接続を可能としている。このようなマスクレイヤ46の配線図形において、本発明による配線図形検証処理は、例えば点線で囲んだ検証対象部52に存在するビア52を備えた斜め配線50を対象に実行される。
【0054】
図6は、図5の配線マスク図形の作成に使用される配線レイヤ54の配線図形の説明図である。図6において、配線レイヤ54にあっては、縦配線、横配線,更に本発明が対象とする斜め配線50を含む配線図形が作成されている。即ち配線レイヤ50の配線図形は、図5のマスクレイヤ46の配線マスク図形からセル48及びビア52を除いた融合前の図形ということができる。
【0055】
図7は、図5の配線マスク図形の作成に使用されるビアマットレイヤ56におけるビアセル58のビアマット図形である。このビアマットレイヤ56にあっては図5のマスクレイヤ46からセル48及び縦横斜め配線50を除いた融合前の図形であり、ビアセル58のビアマット図形のみが配置されている。
【0056】
このため本発明の配線図形検証処理であるデザインルールチェックの実行処理にあっては、図6の配線レイヤ54の配線図形と図7のビアマットレイヤ56のビアセル図形を準備し、更にセルレイヤのセル図形を加えることでこれらを融合して図5のようなマスクレイヤ46の配線マスク図形を生成し、例えば検証対象部52の斜め配線50同士の配線間隔の検証を行う。
【0057】
図8は、本発明による斜め配線検証処理の第1実施形態の説明図である。本発明による斜め配線検証処理にあっては、
(1)レイヤ番号の定義
(2)同一レイヤ番号の図形データを融合する第1融合処理
(3)斜め配線の検証処理
(4)斜め配線とビアセルの第2融合処理
(5)融合図形の検証処理
の5つの処理手順を持っている。図8の斜め配線検証処理にあっては、前記(1)のレイヤ番号の定義と(2)の第1融合処理が済んだ以降の処理を表している。
【0058】
まず配線レイヤ60は同一のレイヤ番号が付された斜め配線64,66,68を融合して斜め配線図形を生成している。またビアマットレイヤ62には同じレイヤ番号のビアセル70,72のビア同士及びビアマット同士を融合してビアセル図形を生成している。この配線レイヤ60及びビアマットレイヤ62の各図形の生成が第1段階の融合処理の処理結果である。
【0059】
次の本発明にあっては、配線レイヤ60の斜め配線64,66,68を対象に斜め配線検証処理74を実行する。この斜め配線検証処理74は、斜め配線64に対し隣接する斜め配線66,68のそれぞれの間隔が幾何学的な設計規則により定められた所定の許容最小間隔値Sより大きいか否かを検証し、許容最小間隔値S以上であれば設計規則を満たし、許容最小間隔値Sより小さければ設計規則に違反するとしてエラーデータを生成する。
【0060】
配線レイヤ60の斜め配線64,66,68に対する斜め配線検証処理74が済むと、第2図形融合処理76を行う。この第2図形融合処理76は配線レイヤ60とビアマットレイヤ62のレイヤ図形の融合を実行する。この第2図形融合処理76によりマスクレイヤ78上に斜め配線64,66にビアセル70,72がそれぞれ融合された融合配線図形80,82が生成される。尚、斜め配線68はビアセル70の融合がないことからそのまま融合配線図形84となる。
【0061】
このようにしてマスクレイヤ78に融合配線図形80,82,84が生成されると、融合図形検証処理86が行われる。融合図形検証処理86は、融合配線図形80,82におけるビアセル70,72との融合による突出部とこれに隣接する融合配線図形との間隔を対象に、幾何学的な設計規則による所定の許容最小間隔値Tによる検証を行う。
【0062】
そして突出部と斜め配線間の間隔が許容最小間隔値T以上であれば設計規則を満たすと判定し、許容最小間隔値Tより小さければ設計規則に違反するとしてエラーデータを生成する。
【0063】
図9は、図8のビアマットレイヤ62を取り出している。ビアマットレイヤ62に配置されたビアセル70,72は、それぞれビア90,92とビアマット94,96で構成されている。
【0064】
ビアマット94,96は、図8のマスクレイヤ78のように斜め配線64,66と融合された際に、ビア90,92と斜め配線の間の接触面積を十分に確保するために設計されており、本発明にあっては斜め配線に融合されるビアマット94,96について斜め配線固有の接触面積を確保するための最適な配線かぶり値94−1,96−1を予め設定している。
【0065】
このため本発明におけるデザインルールチェックの実行処理にあっては、斜め配線に融合されるビアセル70,72のビアマットについては予め適切な配線かぶり値が設定されていることから、検証処理において配線かぶり値を検証する必要がなく、そのぶん処理が簡略化できる。
【0066】
図10は、図8の配線レイヤ60を対象とした斜め配線検証処理74による検証処理の説明図である。配線レイヤ60について作成された斜め配線64に対する隣接する斜め配線66,68のそれぞれについて、矢印で示す両者の間隔104,106を斜め配線方向に操作しながら設計規則で定めた斜め配線間隔の許容最小間隔値Sと比較し、許容最小間隔値S未満であれば設計規則に違反するとしてエラーデータを生成する。
【0067】
エラーデータの生成は、例えば斜め配線64と斜め配線66間の間隔104について許容最小間隔値S未満となって設計規則に違反した場合には、矢印104が位置する斜め配線64のエッジライン及び斜め配線66のエッジラインを指定するエラーデータを作成し、図2の出力装置14におけるエラーパターンデータ表示部44により、例えば太線で示すエラー表示64−1,66−1のように他のエッジラインに対し区別できる表示とする。またエラー表示としては、エッジラインの色を通常の黒から例えば赤などに切替表示しても良い。
【0068】
図11は、図8の第2図形融合処理76におけるマスクレイヤ78の融合前の説明図である。このマスクレイヤ78における融合前の状態にあっては、斜め配線64,66に対し、ビアセル70,72が配置され、この状態でビアセル70,72におけるビアマット94,96が斜め配線64,66と一体化するように融合処理を行い、これによって図12に取り出して示すマスクレイヤ78における融合配線図形80,82が得られる。
【0069】
図12は、図8におけるマスクレイヤ78の融合配線図形を対象とした間隔検証処理の説明図である。マスクレイヤ78における融合配線図形80,82は、斜め配線に対するビアセルの融合によって斜め配線方向に対し直行する方向に突出部80−1,80−2及び突出部82−1,82−2を生じている。
【0070】
この突出部80−1,80−2及び突出部82−1,82−2は、実際に半導体製造を行った際には先端の頂点が丸くなることから、この製造時の丸みを考慮して斜め配線同士の許容最小間隔値Sより緩やかな斜め配線と突出部との間の許容最小間隔値Tに基づいた間隔の検証処理を行う。
【0071】
即ち融合配線図形80の突出部80−1の頂点とこれに相対する融合配線図形84のエッジラインとの間隔108が許容最小間隔値Tを満足するか否か検証し、許容最小間隔値Tより小さければ設計規則に違反するとしてエラーデータを生成する。
【0072】
同様に融合配線図形82の突出部82−1とこれに相対する融合配線図形80のエッジラインとの間隔110について、許容最小間隔値Tによる検証を行ない、もし許容最小間隔値Tより小さければ設計規則に違反するとしてエラーデータを生成する。
【0073】
このように本発明の配線間隔検証処理にあっては、斜め配線同士の間隔についてはビアセルの融合を行う前に実行していることから、融合付けにおける斜め配線のビアセルによる突出部による間隔検証で擬似エラーが発生してしまうことを確実に防止することができる。
【0074】
また斜め配線とビアセルによる突出部との検証については斜め配線とビアセルを融合した後に行うことで、斜め配線同士の間隔検証から独立して検証できる。更にビアの斜め配線に対するかぶり値については、予め斜め配線とビアの接触面積を確保する適切な配線かぶり値が設定されているため特にかぶり値の検証を必要としない。
【0075】
図13は、本発明によるデザインルール検証の実行処理に使用されるデザインルールチェック実行情報112の記述凡例である。この本発明によるデザインルールチェックのための実行情報112は、レイヤ定義文112−1、図形融合処理112−2、許容最小間隔Sによる検証処理112−3及び許容最小間隔Tによる検証処理112−4の4つの制御文で構成されている。
【0076】
即ち、レイヤ定義文112−1は「metal=Layer77」とすることで、レイヤ番号77番を融合レイヤ(metal layer)と定義している。
【0077】
また、融合処理112−2は「Z=X OR Y」と記述することにより、図形Xと図形Yの融合処理後の図形Zの作成を指示する。
【0078】
また、許容最小間隔Sの検証処理112−3は「SPACE X X<S」を記述することにより、図形X〜図形X間の許容最小間隔Sの検証を指示する。更に、許容最小間隔Tの検証処理112−4は「SPACE X Y<T」を記述することにより、図形X〜図形Y間の許容最小間隔Tの検証を指示する。
【0079】
図14は、図13の記述凡例に基づくデザインルールチェック実行情報114の具体例である。このデザインルールチェック実行情報114は、レイヤ定義文115、許容最小間隔Sの検証処理116、融合処理118、許容最小間隔Tの検証処理120で構成されている。
【0080】
図15は、図2のDRC実行部24の機能に基づく本発明におけるデザインルールチェックの実行処理のフローチャートであり、このフローチャートの処理手順が本発明によるデザインルールチェックの実行プログラムの処理手順を同時に表わしている。
【0081】
図15について、デザインルールチェックの実行処理を、図14のデザインルールチェック実行情報114を参照して説明すると次のようになる。まずステップS1で、レイヤ定義文115に基づき各レイヤにレイヤ番号を定義する。
【0082】
図14のレイヤ定義文115にあっては、5行目の「metal_1」のレイヤを使用して斜め配線図形を描画していたとすると、ここに「Layer11」として11番レイヤのレイヤ番号を定義する。またビアセルについては、6行目の「via_mat」を使用して描画していたとすると、ここに「Layer12」として12番レイヤをレイヤ番号として定義する。
【0083】
続いてステップS2で、同一レイヤ番号の図形データの融合処理、即ち第1段階の融合処理を行う。即ち、レイヤ定義文115の5行目で定義された11番レイヤとなる複数の斜め配線図形を融合し、また6行目の12番レイヤで定義されたビアセル図形を融合する。
【0084】
次にステップS3で斜め配線の検証処理を行う。この斜め配線の検証処理は、図14の9〜10行目の許容最小間隔Sの検証処理116の指示に従い、斜め配線図形同士の間隔が許容最小間隔S未満であることを検証し、許容最小間隔S未満であればエラーデータを生成する。
【0085】
次にステップS4で斜め配線とビアセルのビアマット図形の融合処理を行う。この融合処理は、図14の11〜12行目の融合処理118の指示に従い、斜め配線図形とビアセル図形を融合して、融合図形として「naname」を作成する。
【0086】
次にステップS5で、融合図形におけるビアセルのビアマット図形の融合に伴う突出部と、これに相対する斜め配線との間隔について、許容最小間隔Tを用いた検証処理を行う。即ち、図14の13〜16行目の検証処理120の指示に従った処理を実行する。
【0087】
具体的には、14行目において斜め配線と融合図形の間隔が許容最小間隔T未満であるか否か検証し、許容最小間隔T未満であればエラーと判定する。更に15行目において斜め配線とビアセルとの間隔についても、同様に許容最小間隔Tを用いた間隔の検証を行う。
【0088】
このような検証処理が済むと、ステップS6で検証結果の表示とエラーパターンデータのファイル格納を行う。もしデザインルールチェックの実行処理によって斜め配線についてエラーパターンデータが表示されたならば、設計者はディスプレイに表示された形状部分のレイアウト図形データ、例えば図5のマスクレイヤ46の配線図形における点線で囲んだ検証対象部52についてエラーが判定されたならば、エラーを起こしている斜め配線50の間隔を広げる調整を行った後、再度検証処理を行って、最小間隔を満足するレイアウト結果を生成する。
【0089】
図16は、本発明による斜め配線検証処理の第2実施形態の説明図である。この第2実施形態にあっては、斜め配線同士の許容最小間隔値Sによる検証におけるエラーデータにつき、エラーを起こしている間隔の部分にエラーレイヤによるエラー領域を貼り付け、また斜め配線とビアセルを融合した際の斜め配線のビアセルによる突出部との間隔についての許容最小間隔値Tを用いた検証でエラーデータが生じた場合にも、エラーを起こした間隔部分にエラーレイヤによるエラー領域を貼り付けるようにしたことを特徴とする。
【0090】
図16は、図15のデザインルールチェック実行処理におけるステップS2,S3の処理が済んで、配線レイヤ122及びビアマットレイヤ124について斜め配線図形及びビアレイヤ図形が得られた後の処理である。
【0091】
配線レイヤ122にあっては、斜め配線126,128,130,132が融合図形として得られており、これらにつき斜め配線検証処理140により許容最小間隔値Sによる検証を行う。
【0092】
次に、第2図形融合処理142により配線レイヤ122の斜め配線とビアマットレイヤ124のビアセルのビアマット図形を融合した後、融合図形検証処理144により許容最小間隔値Tを用いた検証を行う。
【0093】
このような2段階の検証処理により、マスクレイヤ146にあっては、融合配線図形148,152の間の間隔が許容最小間隔Sに違反して、ここにエラー領域155がエラーレイヤによって貼り付けられ、更に融合配線図形150における突出部と融合配線図形154の間に対する許容最小間隔値Tによる検証でエラーデータが発生して、ここにエラー領域156がエラーレイヤによって貼り付けられている。
【0094】
更に、融合配線図形154と独立したビアセル138の間についても許容最小間隔値Tによる検証が行われ、この部分についてもエラーデータが発生することで、エラー領域158がエラーレイヤにより貼り付けられている。
【0095】
図17は、図16の斜め配線検証処理140による検証処理を示している。この配線レイヤ122の検証処理にあっては、斜め配線126,130の間及び斜め配線128,132の間のそれぞれの間隔172,176について、斜め配線同士の許容最小間隔値Sを用いた検証を行っている。
【0096】
ここで斜め配線126,130間の間隔Lについて、許容最小間隔値S未満となってエラーを発生した場合には、このエラーを発生した間隔172の部分に別途設けられたエラーレイヤによるエラー領域155を貼り付ける。
【0097】
図18は、図16のビアマットレイヤ124を取り出しており、図9の場合と同様、ビアセル134,136,138はビア160,162,164とビアマット166,168,170で構成され、ビアマット166,168,170における配線かぶり値160−1,162−1,170−1は、斜め配線に対するビアの接触面積を十分に確保できる最適値が予め設定されている。
【0098】
図19は、図16の融合図形検証処理144について、マスクレイヤ146を取り出している。この検証処理にあっては、マスクレイヤ146における隣接する融合配線図形148,152について、突出部148−1と相対するラインエッジとの間隔178につき、許容最小間隔値Tによる検証を行う。この場合、間隔178は許容最小間隔値T以上であることから、エラーデータは発生しない。
【0099】
同様に、隣接する融合配線図形150,154について、突出部150−1と相対するラインエッジとの間隔180に対し、許容最小間隔値Tによる検証を行い、許容最小間隔値T未満であることから、設計規則に違反していると判断し、ここにエラー領域156をエラーレイヤにより貼り付ける。
【0100】
更に、融合配線図形154と独立したビアセル138との間隔184についても許容最小間隔値Tによる検証を行い、この場合、間隔184が許容最小間隔T未満であることから設計規則に違反すると判断し、エラー領域158をエラーレイヤにより貼り付ける。
【0101】
図20は、図16のデザインルールチェックの実行により最終的に得られるマスクレイヤ146を取り出しており、間隔において違反した部分について、エラーレイヤによるエラー領域155,156,158が貼り付けられ、これが出力装置における画面表示となるため、設計者は作図された配線図におけるエラー領域の表示から直ちに間隔の違反個所を見つけることができる。
【0102】
図21は、図20のマスクレイヤ146にエラー領域を貼り付けているエラーレイヤ186の説明図であり、斜め配線図形における検証結果でエラーデータが生成されると、エラーを生じた間隔部分に対応したエラー領域155,156,158のエラーレイヤ186上における生成が行われることになる。
【0103】
なお上記の実施形態にあっては、例えば図15のフローチャートのように、ステップS3で斜め配線の検証処理を行った後に、ステップS4で斜め配線とビアセルのビアマット図形の融合処理を行って、ステップS5で融合図形の検証処理を行っているが、この順番は逆であってもよい。即ち、最初にステップS4で斜め配線とビアセルの融合処理を行った後に融合図形の検証を行い、その後に斜め配線の検証処理を行うようにしてもよい。
【0104】
また上記の実施形態は、大規模半導体集積回路設計を例にとるものであったが、規模に関わらず適宜の半導体集積回路の回路設計に適用でき、更にプリント基板における回路設計についても、そのまま適用することができる。
【0105】
また本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
ここで本発明の特徴輪まとめて列挙すると、次の付記のようになる。
【0106】
(付記)
(付記1)
半導体集積回路設計のレイアウトデータから作成される斜め配線と斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを検証するコンピュータ支援による配線図形検証方法に於いて、
レイヤ定義部により、半導体集積回路設計のレイアウトデータに含まれる斜め配線図形とビアセル図形に対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義ステップと、
第1図形融合部により、前記レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を融合する第1図形融合ステップと、
斜め配線検証部により、前記第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証ステップと、
第2図形融合部により、前記第1図形融合ステップで融合された前記斜め配線図形と前記ビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合ステップと、
融合図形検証部により、前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線マスク図形を検証する融合図形検証ステップと、
を備えたことを特徴とする配線図形検証方法。(1)
【0107】
(付記2)
付記1記載の配線図形検証方法に於いて、
前記第1図形融合ステップは、斜め配線図形同士を取込んで融合すると共に、
ビア図形とその周囲を囲むビアマット図形で構成されるビアセル図形同士を取込んで融合し、
前記第2図形融合ステップは、前記第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形と前記ビアセル図形のビアマット図形を重なる部分で融合させることを特徴とする配線図形検証方法。(2)
【0108】
(付記3)
付記1記載の配線図形検証方法に於いて、前記斜め配線検証ステップは、隣接する斜め配線図形同士の間隔が所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。(3)
【0109】
(付記4)
付記1記載の配線図形検証方法に於いて、前記融合図形検証ステップは、斜め配線図形と隣接する斜め配線上に融合されたビアセル図形の間隔が所定の設計規則に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。(4)
【0110】
(付記5)
付記4記載の配線図形検証方法に於いて、前記斜め配線図形は水平および垂直方向に対し45°に傾斜し、前記ビアセル図形は前記斜め配線の線幅を超える矩形形状であり、前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線上のビアセルは、斜め配線方向に直交するコーナ部が斜め配線の線幅を超えて突出した融合形状であり、前記融合図形検証ステップは、ビアセルの融合による斜め配線の突出し部分と隣接する斜め配線図形との間隔が、所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。(5)
【0111】
(付記6)
付記5記載の配線図形検証方法に於いて、前記融合図形検証ステップは、斜め配線に隣接してビアセルが単独で存在する場合、斜め配線図形に直交して相対する前記ビアセル図形のコーナエッジとの間隔が、所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。(6)
【0112】
(付記7)
付記1記載の配線図形検証方法に於いて、前記ビアマット図形は、前記ビアと斜め配線の必要十分な接触面積を確保する配線かぶりをビア周囲に形成することを特徴とする配線図形検証方法。(7)
【0113】
(付記8)
コンピュータに、
半導体集積回路設計のレイアウトデータに含まれる斜め配線の図形データとビアセル図形のデータに対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義ステップと、
前記レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を融合する第1図形融合ステップと、
前記第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証ステップと、
前記第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形と前記ビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合ステップと、
前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線マスク図形を検証する融合図形検証ステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。(8)
【0114】
(付記9)
付記8記載のプログラムに於いて、
前記第1図形融合ステップは、斜め配線図形同士を取込んで融合すると共に、
ビア図形とその周囲を囲むビアマット図形で構成されるビアセル図形同士を取込んで融合し、
前記第2図形融合ステップは、前記第1図形融合ステップで融合された前記斜め配線図形と前記ビアセル図形のビアマット図形とを重なる部分で融合させることを特徴とするプログラム。
【0115】
(付記10)
付記8記載のプログラムに於いて、前記斜め配線検証ステップは、隣接する斜め配線図形同士の間隔が所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とするプログラム。
【0116】
(付記11)
付記8記載のプログラムに於いて、前記融合図形検証ステップは、斜め配線図形と隣接する斜め配線上に融合されたビアセル図形の間隔が所定の設計規則に違反していないかを検証することを特徴とするプログラム。
【0117】
(付記12)
付記11記載のプログラムに於いて、前記斜め配線図形は水平および垂直方向に対し45°に傾斜し、前記ビアセル図形は前記斜め配線の線幅を超える矩形形状であり、前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線上のビアセルは、斜め配線方向に直交するコーナ部が斜め配線の線幅を超えて突出した融合形状であり、前記融合図形検証ステップは、ビアセルの融合による斜め配線の突出し部分と隣接する斜め配線図形との間隔が、所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とするプログラム。
【0118】
(付記13)
付記12記載のプログラムに於いて、前記融合図形検証ステップは、斜め配線に隣接してビアセルが単独で存在する場合、斜め配線図形に直交して相対する前記ビアセル図形のコーナエッジとの間隔が、所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とするプログラム。
【0119】
(付記14)
付記8記載のプログラムに於いて、前記ビアマット図形は、前記ビアと斜め配線の必要十分な接触面積を確保する配線かぶりをビア周囲に形成することを特徴とするプログラム。
【0120】
(付記15)
半導体集積回路設計のレイアウトデータから斜め配線と斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを作成するコンピュータ支援による配線図形検証装置に於いて、
半導体集積回路設計のレイアウトデータに含まれる斜め配線図形とビアセル図形に対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義部と、
前記レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を融合する第1図形融合部と、
前記第1図形融合部で融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証部と、
前記第1図形融合部により融合された斜め配線図形と前記ビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合部と、
前記第2図形融合部で融合された融合斜め配線図形を検証する融合図形検証部と、
を備えたことを特徴とする配線図形検証装置。(9)
【0121】
(付記16)
付記15記載の配線図形検証装置に於いて、
前記第1図形融合部は、斜め配線図形同士を取込んで融合すると共に、
ビア図形とその周囲を囲むビアマット図形で構成されるビアセル図形同士を取込んで融合し、
前記第2図形融合部は、前記第1図形融合部で融合された前記斜め配線図形と前記ビアセル図形のビアマット図形とを重なる部分で融合させることを特徴とする配線図形検証装置。
【0122】
(付記17)
付記15記載の配線図形検証装置に於いて、前記斜め配線検証部は、隣接する斜め配線図形同士の間隔が、所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証装置。
【0123】
(付記18)
付記15記載の配線図形検証装置に於いて、前記融合図形検証部は、斜め配線図形と隣接する斜め配線上に融合されたビアセル図形の間隔が所定の設計規則に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証装置。
【0124】
(付記19)
付記18記載の配線図形検証装置に於いて、前記斜め配線図形は水平および垂直方向に対し45°に傾斜し、前記ビアセル図形は前記斜め配線の線幅を超える矩形形状であり、前記第2図形融合部で融合された斜め配線上のビアセルは、斜め配線方向に直交するコーナ部が斜め配線の線幅を超えて突出した融合形状であり、前記融合図形検証部は、ビアセルの融合による斜め配線の突出し部分と隣接する斜め配線図形との間隔が、所定の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証装置。
【0125】
(付記20)
付記19記載の配線図形検証装置に於いて、前記融合図形検証部は、斜め配線に隣接してビアセルが単独で存在する場合、斜め配線図形に直交して相対する前記ビアセル図形のコーナエッジとの間隔が所定の設計規則に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証装置。
【0126】
(付記21)
付記15記載の配線図形検証装置に於いて、前記ビアマット図形は、前記ビアと斜め配線の必要十分な接触面積を確保する配線かぶりをビア周囲に形成することを特徴とする配線図形検証装置。
【0127】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、レイアウトデータから作成されるビアセルの融合による突出部を持つ斜め配線同士の許容最小間隔の検証につき、ビアセルを融合する前の段階で斜め配線同士の許容最小間隔を検証し、またビアセルを融合した後にビアセルの突出部とこれに隣接する斜め配線との間隔については、斜め配線同士より緩やかな許容最小間隔値を用いた検証を行うことで、ビアセルが融合される斜め配線同士であっても、ビアセルの融合による突出部による擬似エラーを発生することなく、斜め配線同士の許容最小間隔の検証ができ、この結果、設計規則に基づいて許容される最小距離まで斜め配線同士を近づけることができるため、斜め配線による配線長の節約、配線遅延の抑制、チップ面積の縮小に貢献でき、検証処理によるレイアウト変更が適切にできることで歩留まり向上に貢献する。
【0128】
また本発明にあっては、斜め配線図形とビアセル図形をそれぞれ別のレイヤで作成するだけで、斜め配線同士の許容最小間隔の検証及びビアセルを融合した斜め配線における緩やかな許容最小間隔の検証が実現でき、既存のデザインルールチェックのツールに特別な機能を追加することなく簡単且つ容易に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図
【図2】本発明の配線図形検証方法が実施されるシステム構成のブロック図
【図3】図2の配線図形検証装置が適用されるコンピュータのハードウェア環境の説明図
【図4】本発明による配線図形検証を含む半導体集積回路設計の工程説明図
【図5】本発明の配線図形検証が適用される配線マスク図形の説明図
【図6】図5に融合される配線レイヤにおける配線図形の説明図
【図7】図5に融合されるビアマットレイヤにおけるビアマット図形の説明図
【図8】本発明による斜め配線検証処理の第1実施形態の説明図
【図9】図8のビアマットレイヤにおけるビアマット図形の説明図
【図10】図8の斜め配線レイヤにおける斜め配線図形と間隔検証の説明図
【図11】図8における融合前の斜め配線マスク図形の説明図
【図12】図8における融合された斜め配線マスク図形と間隔検証の説明図
【図13】本発明に使用するデザインルールチェック実行情報の凡例の説明図
【図14】本発明のデザインルールチェックの実行に使用されるレイヤ定義文と検証ルールの具体例の説明図
【図15】本発明によるデザインルールチェックの実行処理のフローチャート
【図16】本発明による斜め配線検証処理の第2実施形態の説明図
【図17】図16の配線レイヤにおける斜め配線図形と間隔検証の説明図
【図18】図16のビアマットレイヤにおけるビアセル図形の説明図
【図19】図16における融合された斜め配線マスク図形と間隔検証の説明図
【図20】図16における斜め配線マスク図形と間隔検証により張られたエラー領域の説明図
【図21】図20に対するエラーレイヤの説明図
【図22】従来のデザインルールチェックによる配線マスク図形の作成と間隔検証の説明図
【図23】従来のデザインルールチェックによる斜め配線マスク図形を作成する融合処理の説明図
【図24】従来の斜め配線マスク図形における間隔検証の説明図
【符号の説明】
10:配線図形検証装置
12:入力装置
14:出力装置
16:内部記憶装置
18:レイアウトデータ入力部
20:DRCルール入力部
22:制御部
24:DRC実行部
26:レイヤ定義部
28:第1図形融合部
30:斜め配線検証部
32:第2図形融合部
34:融合図形検証部
36:レイアウトデータ記憶部
38:DRCルール記憶部
40:検証対象図形記憶部
42:エラーパターンデータ記憶部
44:エラーパターンデータ表示部
46,146:マスクレイヤ
48:セル
50:斜め配線
52:検証対象部
54,60,122:配線レイヤ
56,62,124:ビアマットレイヤ
58,70,72,134,136,138:ビアセル
64,66,68,126,128,130,132:斜め配線
74,140:斜め配線検証処理
76,142:第2図形融合処理
78:マスクレイヤ
80,82,84,148,150,152,154:融合配線図形
80−1,80−2,82−1,82−2:突出部
86,144:融合図形検証処理
90,92,160,162,164:ビア
94,96,166,168,170:ビアマット
94−1,96−1,160−1,162−1,170−1:配線かぶり値
104,106,172,176:間隔
108,110,178,180,184:突出部間隔
112:デザインルールチェック実行情報記述凡例
114:デザインルールチェック実行情報(DCR実行情報)
112−1,115:レイヤ定義文
112−2,116:融合処理
118:融合処理文
155,156,158:エラー領域
186:エラーレイヤ

Claims (15)

  1. 半導体集積回路設計のレイアウトデータから作成される斜め配線と前記斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを検証するコンピュータ支援による配線図形検証方法に於いて、
    レイヤ定義部により、半導体集積回路設計の同一配線マスクを構成するレイアウトデータに含まれる斜め配線図形とビアセル図形に対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義ステップと、
    第1図形融合部により、前記レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を融合する第1図形融合ステップと、
    斜め配線検証部により、前記第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証ステップと、
    第2図形融合部により、前記斜め配線検証ステップで検証された前記斜め配線図形と、前記第1図形融合ステップで融合された前記ビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合ステップと、
    融合図形検証部により、前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線マスク図形を検証する融合図形検証ステップと、
    を備えたことを特徴とする配線図形検証方法。
  2. 請求項1記載の配線図形検証方法に於いて、
    前記第1図形融合ステップは、斜め配線図形同士を取込んで融合すると共に、ビア図形とその周囲を囲むビアマット図形で構成されるビアセル図形同士を取込んで融合し、
    前記第2図形融合ステップは、前記斜め配線図形と前記ビアセル図形のビアマット図形、互いに重なる部分で融合させることを特徴とする配線図形検証方法。
  3. 請求項1記載の配線図形検証方法に於いて、
    前記斜め配線検証ステップは、隣接する斜め配線図形同士の間隔が斜め配線用の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。
  4. 請求項1記載の配線図形検証方法に於いて、
    前記融合図形検証ステップは、斜め配線図形と隣接する斜め配線上に融合されたビアセル図形の間隔がビアセル図形用の設計規則に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。
  5. 請求項4記載の配線図形検証方法に於いて、
    前記斜め配線図形は水平および垂直方向に対し45°に傾斜し、前記ビアセル図形は前記斜め配線の線幅を超える矩形形状であり、前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線上のビアセルは、斜め配線方向に直交するコーナ部が斜め配線の線幅を超えて突出した融合形状であり、前記融合図形検証ステップは、ビアセルの融合による斜め配線の突出し部分と隣接する斜め配線図形との間隔が、ビアセル図形用の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。
  6. 請求項5記載の配線図形検証方法に於いて、
    前記融合図形検証ステップは、斜め配線に隣接してビアセルが単独で存在する場合、斜め配線図形に直交して相対する前記ビアセル図形のコーナエッジとの間隔が、ビアセル図形用の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とする配線図形検証方法。
  7. 請求項1記載の配線図形検証方法に於いて、
    前記ビアマット図形は、前記ビアと斜め配線の必要十分な接触面積を確保する配線かぶりをビア周囲に形成することを特徴とする配線図形検証方法。
  8. コンピュータに、
    半導体集積回路設計の同一配線マスクを構成するレイアウトデータに含まれる斜め配線の図形データとビアセル図形のデータに対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義ステップと、
    前記レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を融合する第1図形融合ステップと、
    前記第1図形融合ステップで融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証ステップと、
    前記斜め配線検証ステップで検証された斜め配線図形と、前記第1図形融合ステップで融合された前記ビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合ステップと、
    前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線マスク図形を検証する融合図形検証ステップと、
    を実行させることを特徴とするプログラム。
  9. 請求項8記載のプログラムに於いて、
    前記第1図形融合ステップは、斜め配線図形同士を取込んで融合すると共に、ビア図形とその周囲を囲むビアマット図形で構成されるビアセル図形同士を取込んで融合し、
    前記第2図形融合ステップは、前記斜め配線図形と前記ビアセル図形のビアマット図形とを重なる部分で融合させることを特徴とするプログラム。
  10. 請求項8記載のプログラムに於いて、
    前記斜め配線検証ステップは、隣接する斜め配線図形同士の間隔が斜め配線用の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とするプログラム。
  11. 請求項8記載のプログラムに於いて、
    前記融合図形検証ステップは、斜め配線図形と隣接する斜め配線上に融合されたビアセル図形の間隔がビアセル図形用の設計規則に違反していないかを検証することを特徴とするブログラム。
  12. 請求項11記載のプログラムに於いて、
    前記斜め配線図形は水平および垂直方向に対し45°に傾斜し、前記ビアセル図形は前記斜め配線の線幅を超える矩形形状であり、前記第2図形融合ステップで融合された斜め配線上のビアセルは、斜め配線方向に直交するコーナ部が斜め配線の線幅を超えて突出した融合形状であり、
    前記融合図形検証ステップは、ビアセルの融合による斜め配線の突出し部分と隣接する斜め配線図形との間隔が、ビアセル図形用の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とするプログラム。
  13. 請求項12記載のプログラムに於いて、
    前記融合図形検証ステップは、斜め配線に隣接してビアセルが単独で存在する場合、斜め配線図形に直交して相対する前記ビアセル図形のコーナエッジとの間隔が、ビアセル図形用の設計規則に基づく許容最小間隔値に違反していないかを検証することを特徴とするプログラム。
  14. 請求項8記載のプログラムに於いて、
    前記ビアマット図形は、前記ビアと斜め配線の必要十分な接触面積を確保する配線かぶりをビア周囲に形成することを特徴とするプログラム。
  15. 半導体集積回路設計のレイアウトデータから斜め配線と斜め配線上に配置されるビアセルを含む配線マスク用の図形データを作成するコンピュータ支援による配線図形検証装置に於いて、
    半導体集積回路設計の同一配線マスクを構成するレイアウトデータに含まれる斜め配線図形とビアセル図形に対し各々異なったレイヤ番号を定義するレイヤ定義部と、
    前記レイアウトデータから斜め配線図形及びビアセル図形を含む図形データを取込んで同一レイヤ番号毎に図形を融合する第1図形融合部と、
    前記第1図形融合部で融合された斜め配線図形を検証する斜め配線検証部と、
    前記斜め配線検証部により検証された斜め配線図形と、前記第1図形融合部により融合された前記ビアセル図形を融合して斜め配線マスク図形を作成する第2図形融合部と、
    前記第2図形融合部で融合された融合斜め配線図形を検証する融合図形検証部と、
    を備えたことを特徴とする配線図形検証装置。
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