JP4169864B2 - 鋼の浸炭処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯車やシャフト,カムなどの鋼製機械部品の表面を硬化させ、耐摩耗性や疲労強度を向上させるのに用いられる浸炭処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
真空浸炭法は、被処理物を真空炉中で所定の浸炭温度になるまで加熱昇温して均熱保持したのちに、浸炭ガスとして、メタンやプロパン,ブタンなどのようなガス状の飽和炭化水素を加熱室内に導入して、熱分解させ、発生する活性炭素を被処理物である鋼製部品の表面に侵入させるものであり、従来のガス浸炭に較べて、高温短時間処理が可能、変成炉が不要、雰囲気管理が容易、高濃度浸炭が容易、粒界酸化がほとんどない、間欠操業が可能、などの利点を備えている。
【0003】
一方、上記のような飽和炭化水素ガスを用いた真空浸炭法の問題点である煤発生(スーティング)による弊害を解消することを目的に、メタンやプロパンなどのような飽和炭化水素ガスに代えて、アセチレンやエチレンなどの鎖状不飽和炭化水素ガスを使用する真空浸炭方法が特開平8−325701号公報に提案されている。
【0004】
すなわち、上記公報記載の真空浸炭方法においては、加熱室内を1kPa以下の真空状態に保持しながら、加熱室内に連続的にアセチレンを供給することにより、アセチレンの炉内の滞留時間を制限し、鋼製部品の表面で反応分解するには十分であるが、熱分解により加熱室内に煤を発生させるには不十分な時間の範囲で炉外に排出することによって、スーティングのない真空浸炭方法を実現しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報に記載された真空浸炭方法においては、加熱室内の煤発生については改善されているものの、被処理物の炭素濃度の調節を従来と同様に飽和値調整法で行っており、被処理物の表面付近にセメンタイトが析出して残留するという品質上の問題点については改善されておらず、合金鋼(例えばクロムモリブデン鋼SMC415など)の歯車の歯先部にセメンタイトが析出して問題を生じており、このような問題の解決が上記した不飽和炭化水素ガスを使用する真空浸炭処理における課題となっていた。
【0006】
【発明の目的】
本発明は、アセチレンやエチレンなどの不飽和炭化水素ガスを浸炭ガスとして使用する真空浸炭処理における上記課題に着目してなされたものであって、被処理物表面の炭素濃度むらが少なく、ワーク表面のセメンタイト析出を防止することができる浸炭処理方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係わる鋼の浸炭処理方法は、 加熱室内に収納したワークを窒素雰囲気中で所定の浸炭温度まで加熱したのち、加熱室内を減圧すると共に、鎖状不飽和炭化水素ガスの供給と加熱室内の排気を断続的に行い、加熱室内の圧力を2〜10分の周期で変動させながら浸炭させる構成としたことを特徴としており、浸炭処理方法におけるこのような構成を前述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0008】
本発明の請求項2に係わる浸炭処理方法においては、加熱室内を0.1Torr以下に減圧したのち、鎖状不飽和炭化水素ガスを供給して加熱室内の圧力を1.0Torr以上に所定時間保持し、再度0.1Torr以下に減圧する操作を繰り返す構成としたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明の請求項に係わる浸炭処理方法においては、浸炭温度までの昇温を大気圧の窒素雰囲気中で行う構成とし、請求項に係わる浸炭処理方法においては、浸炭後の拡散、焼入温度までの降温および焼入温度での均熱保持を窒素雰囲気中で行う構成とし、請求項に係わる浸炭処理方法においてはこのときの窒素雰囲気圧が大気圧である構成とし、さらに請求項に係わる浸炭処理方法においては、鎖状不飽和炭化水素ガスを窒素ガスと混合して供給する構成としたことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる鋼の浸炭処理方法は、加熱室内のワーク(被処理物)を窒素雰囲気中で所定の浸炭温度まで加熱したのち、加熱室内を減圧した状態で、浸炭性ガスとしての鎖状不飽和炭化水素ガスを断続的に供給し、加熱室内の圧力を比較的短いサイクルで変動させながら浸炭させるものであって、このとき使用する鎖状不飽和炭化水素ガスとしては、エチレンやプロピレン,アセチレン,メチルアセチレンなどを用いることができる。なお、上記の鎖状不飽和炭化水素ガスのうち、入手が容易であることに加えて、3重結合を有し、より活性で分解しやすいことから、とくにアセチレンを使用することが望ましい。また、これらのガスは1種類のみに限定されることはなく、2種類以上の混合ガスを使用することも可能である。
【0011】
図1は、本発明に係わる浸炭処理方法におけるヒートパターンの一例を示すものであって、ワークを加熱室内に装入した状態で、加熱室内の空気をパージして窒素に置換したのち、浸炭処理温度T1 への昇温が開始される。このときワークの加熱は圧力P1 の窒素雰囲気中で行われるため、窒素の対流が生じると共に、炉内ファンによる雰囲気の強制撹拌も可能になることから、加熱室内のワークの装入量が多くても速やかな昇温が可能になり、装入位置による温度むらも解消されることになる。なお、昇温工程における窒素雰囲気の圧力P1 については、請求項に記載しているように、大気圧(760Torr)とすることが望ましく、これによって雰囲気の対流やファンによる強制撹拌の効果を十分に得ることができる。
【0012】
浸炭処理温度T1 については、これを高く設定することにより浸炭時間を短くすることができるが、一般に850℃から1030℃の範囲に設定される。
【0013】
炉内雰囲気温度およびワークの温度が所定の浸炭処理温度T1 に到達すると、加熱室内の窒素を真空排気して圧力P2 、例えば請求項2に記載しているように、0.1Torr以下の圧力P2 まで減圧させる。
【0014】
そして、浸炭用の鎖状不飽和炭化水素ガスとして、例えばアセチレンガスが、同じく請求項2に記載しているように加熱室内の圧力が1.0Torr以上の圧力P3 となるまで供給される。加熱室内の圧力がP3 に達すると鎖状不飽和炭化水素ガスの供給が停止され、当該圧力P3 に所定時間、例えば数秒から5分程度保持したのち、再度真空排気を行い、圧力P2 まで減圧する。このような操作を10回ないし数十回繰り返し、加熱室内の圧力をP2 とP3 の間で変動させることによって、ワーク表面への炭素の侵入と、侵入した炭素のワーク内部への拡散が交互に繰り返され、ワーク表面における急激な炭素濃度の富化に基づくセメンタイトの析出が回避される。また、0.1Torr以下の真空下で浸炭性ガスとしての鎖状不飽和炭化水素ガスが供給されるので、ワークに細い穴やスリットのような複雑な形状部分があったとしても、浸炭性ガスがワーク全面に十分に行きわたり、むらのない浸炭処理が可能になる。
【0015】
このとき、浸炭期の圧力P3 を1.0Torr以上とするのは、浸炭期の圧力P3 が1.0Torrに満たない場合には、加熱室内の浸炭性ガスが不足して、ワークの表面に十分に浸炭させることができず、浸炭にばらつきが生じやすくなることによる。また、拡散期の圧力P2 を0.1Torr以下とするのは、圧力P2 が0.1Torrを超えた場合には、加熱室内の雰囲気ガス(窒素)および浸炭性ガスが十分に排除されておらず、浸炭性ガスを供給した時に浸炭性ガスをワークの細部にまで十分に浸透させることができなくなる傾向があることによる。
【0016】
さらに、鎖状不飽和炭化水素ガスを断続的に供給する周期、すなわち鎖状不飽和炭化水素ガスの供給を開始したのち、加熱室内の圧力がP3に達した時点で供給をいったん停止し、再度ガスの供給を開始するまでの時間については、2〜10分の範囲とすることが必要である。すなわち、鎖状不飽和炭化水素ガスの供給周期が10分を超えた場合には、浸炭性ガスが不足気味となって浸炭にばらつきが生じやすく、逆に供給周期が2分に満たない場合には浸炭性ガスが過剰気味となって、ワーク表面における急激な炭素濃度の富化に基づくセメンタイトの析出や加熱室内にスーティングが発生しやすくなる。
【0017】
また、本発明に係わる浸炭処理方法においては、加熱室内の浸炭性ガスの偏在を防ぎ、浸炭性ガスをワークの細部にまで浸透させて均一な浸炭処理を達成するには、浸炭期の圧力P3を高く設定して、浸炭期の圧力P3と拡散期の圧力P2の差を大きくすることが望ましい。しかし、浸炭性ガスとして鎖状不飽和炭化水素ガスのみを供給して圧力P3を高くした場合には、例えば10Torr程度に達した時点でスーティングが発生することが確認されている。したがって、鎖状不飽和炭化水素ガスを不活性なガス、例えば請求項に記載しているように窒素ガスと混合した状態で加熱室内に供給することが、浸炭性ガス濃度を低く保持してスーティングを防止しつつ浸炭期の圧力P3を高くすることができ、均一な浸炭処理が可能になることから望ましい。なお、窒素ガスとの混合ガス中における鎖状不飽和炭化水素ガス濃度としては、容積比で20〜80%程度の範囲が適当である。
【0018】
浸炭時間t1 については、目的とする浸炭層深さに応じて適宜選択されるが、一般に1時間〜5時間、とくに大きな浸炭層深さが必要な場合には10時間以上の処理時間が設定されることもある。
【0019】
なお、浸炭が終了すると、拡散工程、焼入温度への降温および当該温度での温度保持工程に移行するが、拡散時間t2 については、通常浸炭時間t1 の2分の1程度の時間に設定されるが、目的とする浸炭深さが浅い場合には、拡散工程を経ることなく焼入温度に降温するようになすこともある。
【0020】
焼入温度T2 としては、ワーク素材の焼入性を考慮して、通常800〜900℃の温度に設定される。
【0021】
浸炭が終了したのちの拡散および焼入温度への降温、温度保持工程については、請求項に記載しているように窒素雰囲気が望ましく、その圧力P4については、請求項に記載しているように昇温工程と同様大気圧とすることが望ましい。
【0022】
焼入温度に保持されることによって、温度が均一化されたワークは油中に焼入れられる。この焼入時の雰囲気圧力P5 については、通常は大気圧で行われるが、大気圧より低い適当な圧力で焼入(減圧焼入)を施すことにより、焼入油の冷却特性を変えることができ、これによって硬化層の硬度分布を調整したり、焼歪みを軽減したりすることができる。なお、拡散および焼入温度への降温、温度保持工程における窒素雰囲気圧力P4 を焼入時の雰囲気圧力P5 と同じに設定することも可能である。
【0023】
なお、本発明に係わる浸炭処理方法においては、浸炭期における圧力P3 (窒素ガスとの混合ガスを用いた場合には浸炭性ガス、すなわち鎖状不飽和炭化水素ガスの分圧)と、この圧力P3 に保持された合計時間によって、ワーク表面の炭素濃度が決定されるので、加熱室に酸素センサーを設置したり、赤外線分析計を用いて雰囲気ガスの成分分析を行ったりする必要がなく、設備費や設備の維持コストが削減され、より低コストで浸炭処理を行うことができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。
【0025】
実施例1
図2は、本発明に係わる浸炭処理方法の実施例に用いた炉の構造を示すものであって、図に示す浸炭炉1は、炉本体を形成する加熱室2と焼入用の油槽4を備えた前室3から構成されており、前室3にはトレーに載置したワークを前室3と加熱室2の間で移動させる炉内搬送装置5と、浸炭を終えたワークを油槽4中の焼入油に浸漬するための昇降装置6を備えている。さらに、前室3には、油槽4中の焼入油を加熱するためのチューブヒータ7と、焼入油を循環させるための撹拌ファン8が設けてあると共に、図外には焼入油を冷却するための水冷装置と、焼入油の温度を検出する熱電対などを備えている。
【0026】
一方、加熱室2は、この実施例では3m3 の容量を有し、耐火物9によって内張された加熱室2の内部に加熱源としてのラジアントチューブヒータ10と、炉内温度を検出するための熱電対11と、炉内の雰囲気(窒素)を強制撹拌するためのファン12を備えており、炉内の温度むらをなくしてワークの昇温を速やかなものとすることができるようになっている。
【0027】
さらに、加熱室2および前室3は、図外にそれぞれ真空排気装置を備え、それぞれ独立して気圧制御ができるようになっていると共に、図示しないガス制御装置を介して、同じく図外の窒素源,アセチレン源に連結されている。
【0028】
このような構造を備えた浸炭窒化炉1を用いて、JIS G 4105に規定されるクロムモリブデン鋼SCM415からなる径16mm,高さ30mmの円柱形試験片に浸炭処理を施し、その性能を調査した。
【0029】
まず、前室3の入口側真空扉3aを開放し、前記円柱形試験片をトレーに載置した状態で前室3内に入れ、真空扉3aを閉じ、真空排気装置を作動させて前室3および加熱室2内の空気をパージしたのち、図示しないガス制御装置を介して窒素ガスを導入して大気圧(P1 =760Torr)に復圧し、前室3および加熱室2内を窒素ガスに置換した。
【0030】
次に、入口側真空扉3aを閉じた状態で、前室3の内側真空扉3bおよび加熱室2の耐熱扉2aを開放すると共に、炉内搬送装置5を作動させて前記円柱形試験片をトレーと共に押し出し、加熱室2内に装入したのち、真空扉3bおよび耐熱扉2aを閉じ、撹拌用のファン12を回転させながら、加熱室2のラジアントチューブヒータ10に通電して昇温を開始した。
【0031】
加熱室2の温度が、この実施例における浸炭温度900℃(T1 )に到達した時点で、加熱室2内の窒素雰囲気を真空排気し、0.1Torr(P2 )まで減圧したのち、加熱室2内の圧力P3 が2.0Torrとなるまでアセチレンと窒素との混合ガス(50%)を供給し、5秒間この圧力に保持したのち、真空排気を開始して加熱室2内を0.1Torrまで減圧し、再度混合ガスを供給するという操作を4分ごとに都合20回繰り返した(浸炭時間t1 =80分)。
【0032】
次いで、加熱室2内に窒素ガスを導入して、雰囲気圧力P4 を大気圧に復圧し、さらに前記温度900℃(T1 )に50分間(t2 )保持したのち、この実施例における焼入温度850℃(T2 )に降温し、この温度に20分間(t3 )保持して試験片の温度が均一になるのを待った。
【0033】
そして、内側真空扉3bおよび耐熱扉2aを開放した状態で、炉内搬送装置5を作動させて前記試験片をトレーと共に加熱室2から引き出し、前室3内の雰囲気圧力を300Torr(P5 )に減圧したのち、昇降装置6の下降作動によって前記試験片を油槽4内に焼入れた。
【0034】
このような処理が施された試験片について、マイクロビッカース硬度計を用いて0.3kg荷重で硬度分布を測定した結果、図3に示すように、0.5mmの有効硬化層深さ(Hv550以上)を備えた浸炭層が形成されていることが確認された。
【0035】
さらに、上記試験片について、カントバックによって試験片表面から内部に至る炭素含有量の変化を測定した結果、図4に示すように表面付近の炭素含有量が0.83%程度であることが判明し、目標値0.80%に対して精度良く合致していることが確かめられた。
【0036】
【発明の効果】
本発明の請求項1に係わる鋼の浸炭処理方法においては、ワークを窒素雰囲気中で所定の浸炭温度まで加熱するようにしているので、雰囲気窒素の対流および撹拌によってワークの昇温速度を速やかなものとし、ワークの炉内装入密度が高い場合でもワークの温度むらを解消することができ、昇温後加熱室内を減圧したのち、浸炭用ガスとしてアセチレンやエチレンガスのような鎖状不飽和炭化水素ガスの供給及び加熱室内の排気を断続的に行い、加熱室内の圧力を2〜10分の周期で変動させるようにしているので、複雑な形状のワークやワークの炉内装入密度が高い場合でも、ワーク表面に浸炭用の鎖状不飽和炭化水素ガスを十分に供給することができ、浸炭むらの防止が可能になるとと共に、圧力変動に応じて浸炭と拡散とが比較的短時間で交互に繰り返され、ワーク表面の浸炭量が一時的に高くなることによるセメンタイトの析出を効果的に防止することができるという極めて優れた効果がもたらされる。なお、不飽和炭化水素ガスは活性であり、ワークに優先的に吸着してワーク表面において速やかに反応することから、煤の発生が少ないものとなる。
【0037】
本発明の請求項2に係わる浸炭処理方法においては、加熱室内の減圧と鎖状不飽和炭化水素ガスの供給とを繰り返すことによって、加熱室内の圧力が0.1Torr以下の真空状態と、鎖状不飽和炭化水素ガスを含む1.0Torr以上の圧力との間で変動させ、浸炭用ガスをワーク表面に十分に供給したのち、余剰の浸炭用ガスが速やかに排除されることから、浸炭と拡散とが交互に確実に繰り返されることになり、セメンタイトの析出をより効果的に防止することができると共に、ワークの装入密度の差による浸炭量の差を少なくすることができ、より均一な浸炭処理が可能になり、請求項に係わる浸炭処理方法においては、昇温時の窒素雰囲気圧を大気圧としているので、ワークの昇温速度の向上および温度むらの解消という効果を確実なものとすることができ、さらに請求項に係わる浸炭処理方法においては、浸炭語の拡散、焼入温度までの降温および焼入温度での均熱保持を窒素雰囲気で行うようにしているので、降温時間が短くなると共に、この間にアンモニアガスを供給することによって浸炭窒化処理が可能になり、請求項に係わる浸炭処理方法においては、このときの窒素雰囲気圧を大気圧としているので、対流や強制撹拌による降温時間の短縮効果がより確実なものとなり、請求項6に係わる浸炭処理方法においては、鎖状不飽和炭化水素ガスを窒素ガスとの混合ガスの形態で供給するようにしているので、鎖状不飽和炭化水素ガスの濃度を増すことなく浸炭時の圧力を高めることができ、加熱室内でのスーティングを防止し、浸炭のばらつきをより少なくすることができ、さらに加熱室のガス供給管の詰まりを解消して安定した連続操業が可能になるという極めて優れた効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる浸炭処理方法におけるヒートパターンおよび鎖状不飽和炭化水素ガスの供給のタイミングの一例を示す説明図である。
【図2】(a)本発明に係わる浸炭および浸炭窒化処理方法の実施例に用いた炉の構造を示す正面図である。
(b)図2(a)に示した炉の側断面図である。
【図3】 本発明に係わる浸炭処理を施した試験片の表面近傍部における硬度分布を示すグラフである。
【図4】 上記試験片の表面近傍部における炭素含有量の分布を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 加熱室内に収納したワークを窒素雰囲気中で所定の浸炭温度まで加熱したのち、加熱室内を減圧すると共に、鎖状不飽和炭化水素ガスの供給と加熱室内の排気を断続的に行い、加熱室内の圧力を2〜10分の周期で変動させながら浸炭させることを特徴とする鋼の浸炭処理方法。
  2. 加熱室内を0.1Torr以下に減圧したのち、鎖状不飽和炭化水素ガスを供給して加熱室内の圧力を1.0Torr以上に所定時間保持し、再度0.1Torr以下に減圧する操作を繰り返すことを特徴とする請求項1記載の浸炭処理方法。
  3. 浸炭温度までの昇温を大気圧の窒素雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の浸炭処理方法。
  4. 浸炭後の拡散、焼入温度までの降温および焼入温度での均熱保持を窒素雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の浸炭処理方法。
  5. 窒素雰囲気圧が大気圧であることを特徴とする請求項4記載の浸炭処理方法。
  6. 鎖状不飽和炭化水素ガスを窒素ガスと混合して供給することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の浸炭処理方法。
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