JP4148998B2 - バルーンカテーテル - Google Patents

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Description

本発明は、哺乳類の血管又は他の体腔(管腔)(vessel)を膨らませる(拡張させる)ための器具、特にバルーンカテーテル、及びこのようなバルーンカテーテル用のバルーンの製造方法に関する。
発明に対する背景
バルーンカテーテルは血管形成などの外科的処置に用いられ、これでは、脈管系(血管系)(通常は冠状動脈)の狭窄が、狭窄部位にカテーテルのバルーンを配置させ、バルーン部が取り付けられているカテーテルのチューブ状部の穴を通してバルーンにガス又は流体を代表的には5ないし20バールの水準の圧力で供することによりバルーンを膨張させることによって取り去られる。これは血管を半径方向に局所的に拡張(膨張)させて狭窄を取り去るものである。この処置はよく確立されているが、拡張(膨張)された狭窄の40%はバルーンを挿入して24カ月以内に自然に収縮する(しぼむ)という不利を被る。このような自然の収縮(崩壊)を防止するために、剛性の(rigid)チューブ状の強化用ライニング〔ステント(stent)として知られている〕が通常狭窄部位に配置され、バルーンカテーテルにより血管の半径方向の拡張(膨張)をより永久的に支持するような位置へ半径方向に拡張(膨張)される。
常用のバルーンカテーテルは、代表的にはチューブ状部の遠位端又はその付近にバルーン部を送りこむチューブ状部からなる。チューブ状部の近位端は、血管内の適正個所に位置させたときにバルーン部を半径方向の膨張(拡張)させるのに用いられる、加圧下のガス又は液体の貯留源に接続されている。バルーンカテーテルは二つの主なタイプがある。一方は、バルーン部が最初は半径方向に狭い径をもち、圧力を加えることにより半径方向に膨張(拡張)され、バルーン部の壁体を延伸することによってより大きな径のバルーン部を形成させるものであって、可撓性(compliant)カテーテルとして知られているものであり、他方は、薄膜状のポリエチレンテレフタレート(PET)から通常作られ、所要の最終の半径方向の寸法をもち、そしてバルーンの半径方向に大して延伸させることなく半径方向に膨張されるバルーン部を有するものであって、非可撓性(non−compliant)カテーテルとして知られているものである。
この可撓性カテーテルにおいては、カテーテルのバルーン部を形成するためにあるチューブ部は弾性ポリマーから作られているので、半径方向に延伸してより大きな径のバルーン部を形成しうる。このようなカテーテルは通常、バルーンの壁体材(wall material)に機械的支持を与えるばかりでなく、またバルーンが半径方向に膨張しうる程度も制限する、強化用ポリマー又は金属繊維又は編組繊維(braided fiber)が組み込まれている。編組(braiding)は、壁体材に用いられる弾性ポリマーの範囲を許容し、用いられる高膨張圧を可能にする。このようなカテーテルは代表的には、成形型(former)で種々の層構造を組み合わせ、成形型を軸方向に取り去って実質的に均一な厚さの多層壁体を有するチューブ状部材を作成することにより、形成される。このような可撓性カテーテルの例は、PCT出願番号(No)WO87/00442及び欧州特許出願番号(No)0425696A1に記載されたものである。しかし、WO87/00442に記載されているように、このような可撓性カテーテルでは、バルーン部が膨張されるときにバルーン部が血管内で軸方向に移動するという問題が生じる。これを克服するためには、このPCT出願に記載されているように、バルーン部が膨張するときにカテーテル管の他部が血管内の同じ軸方向位置にバルーン部を保持するように軸方向に膨張することを保証する、編組繊維間の相対角度の複雑な設計が要求される。このような形態のカテーテルは製造するには複雑であり、費用がかかり、そしてバルーンの種々の層構造がバルーン部が膨張するときに壁体の形状変化を調和させる(accommodate)ように互いに相対的に自由に動けることを要求する。さらには、バルーン部が血管内で半径方向に膨張されるときに肉厚(wall thickness)が縮小し、バルーン部が脆弱化する。
非可撓性型のカテーテルバルーンでは、バルーンは実質的に非弾性ポリマー特にPETから作られるので、バルーンは十分に展開された(deployed)状態にのみ半径方向に膨張する。このようなカテーテルは代表的には、所望のバルーン部をブロー成形し、これをカテーテル管に固定することによって作られる。しかし、ブロー成形中に、バルーン部の肉厚はバルーン部が所望の半径方向の寸法に膨張されるので薄くなる。この壁体の薄肉化(thinning)は、もろいバルーン部に帰着し、そしてまたゆきすぎた薄肉化、それゆえに局部的な極度の脆弱化(weakness)に帰着し、この個所ではバルーンの十分に膨張された部位が、バルーンがカテーテル管に接続される狭い端部に没入する(merges)。このようにブロー成形されたバルーンの壁体に強化用編組を含有させるのは実用的ではないので、壁体の脆弱化は容易には償うことができない。その結果として、このような構成は、バルーンの径がそれが取り付けられるべきチューブに比し大きいバルーンカテーテルには用いられない。ブロー成形以外の方法がバルーン部を形成するのに用いられるが、これらは商業的規模の製造には実用的ではない。
バルーン部の壁体の脆弱化は、バルーンが膨張中に、特に高膨張圧が用いられると破裂するという危険に帰着する。バルーン壁体の脆弱化による問題は、ステントを半径方向に膨張するのに用いられる時に強調される。それはステントが代表的にはステンレス鋼メッシュ又はコイルから作られ、バルーンの壁体にかぎ裂きを作る鋭いエッジを有するからである。交換用バルーンの利用は、処置中に動脈流が狭窄される時間が増大し、かくして患者の危険及び外傷を増大し、多大の追加コストを招く。
我々はこのたび、上記問題を軽減する1種のバルーンカテーテルを発明した。
本発明の要約
従って、本発明は、カテーテルが通路をもつチューブ部及び流体不浸透性壁体で定められ、チューブ部に固定された、中空の膨張しうるバルーン部からなり、バルーン部が通路を流通する流体で膨張しかつ収縮する、哺乳類の体腔(vessel in the body)を容易に拡張するためのバルーンカテーテル用バルーン部であって、
a.バルーン部の壁体(wall)が、その材と一体成形された強化用繊維を有する、可撓性で実質的に流体不浸透性(fluid impervious)の材から形成されること、及び
b.バルーン部が、膨張状態で、より小径の端部及び該端部の中間にあるより幅広の径部を有するように、所望の半径方向の径に前以て成形され(preformed)、かつ実質的に均一な膜厚を有すること
で特徴づけられるバルーンカテーテル用バルーン部を提供するものである。
本発明はまた、カテーテルが通路をもつチューブ部及び流体不浸透性壁体で定められ、チューブ部に固定された、中空の膨張しうるバルーン部からなり、バルーン部が通路を流通する流体で膨張しかつ収縮する、哺乳類の体腔を容易に拡張するためのバルーンカテーテルであって、このバルーン部が本発明のバルーン部であることで特徴づけられるバルーンカテーテルを提供するものである。
バルーン部を膨張された径に前以て成形することにより、バルーンの壁体がバルーンが膨張されるときに薄くならないし、またバルーンの軸方向の寸法も膨張中に大して変化しない。かくして、バルーン壁体が膨張中に延伸するところでの薄肉化(wall thinning)やバルーンの軸方向の移動の問題が軽減される。強化用繊維はバルーンが半径方向に膨張されうる程度を制限し、またバルーン部に機械的支持を与える編組(braiding)の形態が好ましい。このようにして、バルーン部は常用のPETポリマーよりも機械的には弱いが、生理学的には許容しうるポリマーから作られる。例えば、より柔軟であるが、より引き裂き抵抗性のあるポリマー、例えばポリウレタンをバルーン部の壁体の主成分として用いることが可能である。肉厚(膜厚)(wall thickness)は膨張中には大して縮小しないので、ステントの鋭いエッジによるバルーン破裂の問題はさらに軽減される。ポリウレタンポリマーの代替材はスチレン−ブタジエンブロック共重合体又はブタジエン−アクリロニトリル共重合体を包含する。
繊維補強材はそれがバルーン部が膨張されるときに壁体とともに動くようにバルーン部の壁体材と一体成形される。繊維は壁体を形成するポリマー中に完全に包まれている個々の繊維の形態であるのが好ましい。しかし、繊維は、壁体材に実質的に固定され、かつ壁体材について大して滑ったり動いたりしないように接着され又は貼着されている限り、可撓性壁体材の内面又は外面に存在しうる。我々は、このような固定され又は一体化された補強材が、バルーンの膨張に応じて可撓性壁体材に関して自由に動けあるいは再配列されうる編組又は他の補強材に比し、壁体材に高められた支持を与え、壁体材の半径方向の過膨張に対する改善された抑制を与えることを見出した。バルーンの半径方向の膨張に抑制を与えるために、繊維が弾力性のない(inelastic)材から作られることは評価されよう。しかし、以下に記載するように、弾力性のない繊維から構成される補強材自身は弾力性のないことを必要としないように、補強材はバルーンの制限された半径方向の延伸が生じるように配列(配置)される。
本発明の好適な実施例では、繊維は、壁体材中に編組(braid)を形成するように交差した螺旋状のストランド(strand)でバルーン部の長手方向軸のまわりに広がる。しかし、編組(braiding)は、他の交差させるかあるいは織られた配列(配置)を有しうる。例えば、編組は、バルーン長に沿い長手方向に延びる一方の編組及びバルーンの長手方向軸のまわりに周方向に延びる他方の編組を有する網状の材として与えられる。しかし、編組は繊維の対向して重なり合う螺旋として配列(配置)され、バルーンが非膨張状態(non−expanded state)すなわち静止形態(rest configuration)にあり、バルーンに半径方向の膨張力が加えられていないときに繊維のストランドと編組繊維(braided fibres)のチューブの長手方向軸との間の角度が編組の臨界角(critical angle)以下であるのが好ましい。臨界角は、編組のチューブが半径方向の圧力を加えることで半径方向に膨張したりあるいは収縮したりしない角度であり、典型的にはバルーンの長手方向軸に対し約54ないし55度である。繊維が臨界角以下に傾斜するように編組を形成することにより、繊維が臨界角の傾斜に達するまでバルーンは容易に膨張させうる。それで編組はバルーンのさらなる半径方向の膨張に抗する。このようにして、バルーンはバルーン壁体の半径方向の延伸が起こるが、それは編組により限定された範囲に制限される点で事実上半可撓性(semi−compliant)である。典型的には、バルーンの十分に展開されるが延伸されていない状態を越えるこのような延伸は、バルーンの十分に展開された径の5ないし15%になる。
編組は、任意の適当な材、特にステンレス鋼又はポリマー繊維、リボン又はワイヤーから作られる。好ましくは、この材は、それを含むバルーンが温度変化を受けるとある形状から他の形状に変化させうるように形状記憶特性を有するものである。このようにして、編組、メッシュ又は繊維補強材の形状の変化は、バルーンの展開又は収縮を助長するのに用いられる。このようにして、例えばポリエステル、ポリアミド又は金属の編組又はメッシュは、バルーンの静止(rest)位置で円形断面のチューブよりもむしろU又はS断面のチューブを採択するように形成される。この材の記憶が高温で作動される間、編組又はメッシュは所望の形状に形成され、そして記憶は本発明のバルーンに編組又はメッシュを含ませる前に作動される。しかし、バルーン及びそれと一体化された編組又はメッシュは、U、S又は他の断面を有する折りたたまれた(furled)形状を採択するために1回又はそれ以上長手方向に折りたためるように記憶が25ないし50℃で作動される材を用いるのが好ましい。バルーンは、その折りたたまれた形状を繊維に記憶させるために折りたたまれたバルーンを加熱させることによりこのような折りたたまれた形状を保持するようにさせる。このような記憶機能をもつ典型的な材は医療用グレードのステンレス鋼及びポリエステル特にPET又はポリアミドのようなポリマーであり、例えば入手しうる材として、米国カリフォルニア州フレモントの、ニチノール コンポーネント デバイス社(Nitinol Components and Devices Limited)からのニチノール(Nitinol)(登録商標)がある。このように、バルーンは、その血管への挿入及び拡張(膨張)されるべき狭窄の位置選定(位置決め)を容易にする、静止条件での折りたたまれた形状を本質的に採択する。バルーンは、編組又はメッシュがチューブ状形状を採択し、バルーンの半径方向の膨張の程度を制限して、狭窄を取り去るために膨張される。バルーンの膨張圧が解除されると、編組又はメッシュは記憶された形状に戻る傾向があり、バルーンの折りたたみ及び除去の助けになる。折りたたまれたバルーンに対し記憶形状はS断面形状については上記されているが、必要ならば他の折りたたまれた形状が用いられる。さらに、記憶された形状は加熱よりもむしろ冷却により達成されうる。編組又はメッシュの記憶を作動させる他の方法は、例えば編組又はメッシュに電流を通すことによる編組又はメッシュの加熱など容易に案出できる。
バルーンの強化用繊維を形成するのに用いられる材の最適形態及び性質は、バルーンの静止及び展開状態の好適な形態(geometry)及び編組又はメッシュが抗することになるバルーンの半径方向の膨張力に関する簡単な試行錯誤試験により容易に決定しうる。必要ならば、繊維の混合物がバルーン壁体の編組又は他の補強材全体にわたって所望の特性を達成するように用いられる。
便宜上、本発明はバルーン壁体の補強を与えるために円形断面のポリエステル繊維の対向する二重螺旋として形成された編組に関して以下に記載される。
上記したように、バルーン壁体は実質的に流体不浸透性材から形成される。編組はバルーン壁体に機械的支持及び強度を与えるので、壁体材は膨張条件をそれ自身では存続し続けられないものである。こうして、従来非可撓性バルーンに必要と考えられてきたPETよりも柔軟でかつ生理学的に許容しうるポリマー、例えばビニルポリマー又はポリアルキレンポリマーを用いることが可能である。バルーンの収縮に使用される特に好ましい材はポリウレタンである。必要ならば、バルーンの壁体は柔軟なポリマーの外層、例えば医療用グレードのポリウレタン及び耐流体性ポリマーの内層、例えばPET又はポリビニリデンクロリドを有する複合又は積層構造を有するものである。便宜上、本発明はポリウレタンから作られたバルーンに関して以下に記載される。
本発明のバルーンは、バルーンを作るのに用いると考えられる適当なサイズ及び形状を有するものでありうる。しかし、バルーンは展開時に円筒形状を採択し、かつ0.5ないし1.5mm又はそれ以上の外径を有するカテーテルのチューブ状部に用いられるのが通常好ましい。展開されたが延伸されていないバルーンの外径は代表的にはカテーテルのチューブ状部のそれの少なくとも1.5倍、例えば1ないし10mmである。しかし、本発明のバルーンは、その展開された形状に対し膨張中に薄肉化又は軸方向の移動を大して受けないので、20ないし25mm又はそれ以上の展開された外径を有する本発明のバルーンを形成することが可能である。同様に、バルーンは任意の適当な軸方向の長さを有することができ、従来より長い、例えば300mm又はそれ以上のバルーンを作ることができる。展開中に薄肉化又は軸方向の移動の問題なしにこのような長いバルーンを作りうることは、このようなバルーンカテーテルの利用範囲を広げる。
本発明のバルーンは、その効能又は利用しやすさを高めるという他の特徴を具体化しうる。こうして、バルーン部の壁体は常用のPETに代えてポリウレタンポリマーから作られるので、バルーンの外面に潤滑性を付与しかつバルーン面が一緒にくっつかないようにポリウレタンポリマーにポリビニルピロリドンのような潤滑補助剤を含ませることが可能である。このように、バルーンは体内の所望の個所に挿入チューブ及び血管を通ってより容易に供され、バルーンを折りたたまれた形状で差し込むことなく容易に展開されうる。
本発明のバルーンは任意の適当な方法で作られる。例えば、ポリウレタンポリマーの水性けんだく液の最初の層を成形型(former)に塗被し、乾燥してポリウレタン層を形成させる。次いで必要な編組がポリウレタン層上に巻かれ、編組をバルーンのポリウレタン壁体内に位置して接着させるようにポリウレタンの外層が塗被される。生じたバルーンは次いで、例えば成形型を収縮させることにより、成形型から取り出されて所望の形状及び寸法を有しかつ実質的に均一な肉厚を有するバルーンを提供することができる。
しかし、特に好適な製造法は、円筒状成形型又はマンドレル上に所望の肉厚及び外径を有するチューブ状バルーンを形成することからなる。生じたチューブ状バルーンは成形型から軸方向に引き抜かれ、これは収縮しうる部材として成形型を形成させる場合の問題を克服する。次いで、チューブ状バルーンは、例えば水圧又は空気圧ラム、ねじ又はカム機構又はその他の手段で相互について軸方向に移動しうる2個のクランプでチューブの末端を絞めつけること(elamping)により、軸方向に延伸される。チューブが軸方向に延伸されるにつれて、その半径方向の径は、チューブの内径がバルーンが装着されているカテーテルのチューブ状部の外径に縮小されるまで、縮小される。次いで、チューブの末端部は必要な条件、例えば熱にさらされて延伸されたチューブの縮小された径が固定するようにさせる。例えば編組の記憶は、チューブの端部がチューブに対しこのより小さい径の形状を採択するように作動されうる。例えば、延伸されたチューブの末端部は炎又は加熱空気送風(熱風)(hot air blast)にさらされるかあるいは加熱されたブロックがチューブの端部に当てられ、編組記憶が作動され、チューブを締め付け/延伸機構から断つ(sever)ことができる。別に、延伸されたチューブの端部は、加熱され、チューブの壁体の構造内のひずみを解除し、及び/又は壁体中のポリマーのあるもの又は全部をより狭い径を採択するように流れさせることができる。チューブ端部はそれより狭い径の形状に固定されるために冷却される。さらに別の方法においては、ポリマーを流れさせてチューブの延伸により生じた内部応力を解くためにチューブの端部に溶媒が施されたのち、溶媒はチューブの端部から乾燥されてポリマーのさらなる流れが停止される。このように、チューブは所望の小径をもつ末端部又は折りかえし及びバルーン用の所望のより大きな径をもつ中間部を有する形態を採択する。このような方法は実質的に均一な肉厚を有するバルーンを形成する簡単で効率的な方法を提供する。
従って、別の観点として、本発明は本発明のバルーンを作る方法を提供する。この方法は、
a)本発明のカテーテルのバルーン部の壁体組成を有し、かつその半径方向に展開された状態でのバルーン部の外径を有する、概してチューブ状の部材(generally tubular member)を形成すること、
b)チューブ状の部材を、その末端付近の内径がバルーンを装着するのが望まれるカテーテル管の外径あるいはその付近に縮小されるまで軸方向に延伸すること、
c)延伸されたチューブ状の部材の端部の縮小された内径を固定するために軸方向に延伸されたチューブの端部の少なくとも一方にある処理方法を適用すること、及び
d)縮小された寸法の端部の中間にある、チューブ状の部材の部分を本発明のバルーンのより幅広の径部を与えるように半径方向に膨張させるためにチューブ状の部材の軸方向の延伸を解除すること
からなる。
チューブ状部材の軸方向の延伸は、円筒状成形型の径に対してチューブ状部材に挿入される部材の端部を縮小するのに望ましい径を有する円筒状成形型を用いて行われ、軸方向の延伸はチューブ状部材が成形型にぴったりはめ合うまで行われる。
本発明は、カテーテルのチューブ状部に装着される両開放端を有するバルーン部に関して上記してきたが、カテーテル管の遠位端に末端に装着するためにバルーンの一端を閉塞端として形成することは本発明の範囲内である。このような閉塞端は任意の適当な方法で容易に形成される。こうして、先細りの鼻当て(nose piece)がバルーンの開放遠位端に挿入される。製造中に閉塞端をもつバルーンが形成される。あるいは、閉塞端は、例えばバルーンを上記した締め付け/延伸機構から断つ部分のようなバルーンの遠位端をヒートシールすることにより形成される。
必要ならば、バルーンはその基本的な円筒形態へ形成されたのちさらに処理される。こうして、バルーンは、例えば上記したバルーンにS状断面を与える壁体材に長手方向に延びる折りたたみを形成することにより、折りたたまれた形態へ配置され、バルーンを例えば加熱などの条件にさらしてバルーンの壁体中の編組の記憶に折りたたまれた形状を採択させる。
本発明のバルーンカテーテルは常用のバルーンカテーテルと同様にして用いられる。しかし、肉厚の縮小がほとんどあるいは全くなしに、静止から膨張された形状へ展開されるので、バルーンは常用のバルーンで普通許容しうるよりも高圧、例えば10ないし20バールのガス又は液を用いて膨張される。このような高圧を用いうることは、低圧を用いる場合よりも一貫して使用者が編組の抑止に抗してバルーンの十分な膨張を達成するのを可能にし、こうして血管の狭窄の好適な拡張が達成されるのを確実にする。金属ステントによるかぎ裂き(snagging)や引き裂き(tearing)に抗するバルーンの性能は、このようなステントが従来よりも少ないバルーン交換で留置されかつ膨張されることを可能にする。また、高圧を用いうることは、ステントが従来よりも一貫して特定の径に膨張されることを可能にする。
図面の説明
本発明はされに添付図面について実施例として記載される。
図1は、心棒成形型(rod former)が挿通される、PET単一フィラメント(mono−filament)で強化されたポリウレタンチューブの側面図である。
図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。
図3は、チューブを成形型(former)に沿い長手方向に伸長し、かつチューブの端部に熱を加えてなる、図1のチューブ及び成形型の側面図である。
図4は、図3のIV−IV線に沿う断面図である。
図5は、より狭い端部を有する膨らんだ中間部を形成するように延伸を解除した後の、図3のチューブの側面図である。
図6は、カテーテル探針(探触子/プローブ)(probe)に取り付けた図1ないし5のチューブから形成されたバルーンを有するバルーンカテーテルの第1実施例の側面図である。
図7は、図6のVII−VII線に沿う、バルーンカテーテルの断面図である。
図8は、バルーンの膨張後の、図6のバルーンカテーテルの側面図である。
図9は、図8のIX−IX線に沿う、バルーンカテーテルの断面図である。
図10は、哺乳動物の体内の血管の収縮箇所にステント(stent)を位置させた図6のバルーンカテーテルの側面図である。
図11ないし16は、バルーンのポリウレタン壁体を強化させるためにPET編組(blaid)に代えて形状記憶合金メッシュを用いた、別形態の本発明バルーンの説明図である。
好適な実施例の説明
図1ないし5は、本発明のバルーンカテーテル用バルーンの第1実施例をいかにして形成するかを説明する。中空チューブ1は可撓性で弾性のエラストマー材2、この例ではポリウレタンで形成されている。このエラストマー材2は編組PET単一フィラメント3で強化されており、該フィラメントの半分は右巻きの(右回りの)平行螺旋を描き、他の半分は左巻きの(左回りの)平行螺旋を描く。螺旋は点で交差される(交錯する)が、PET繊維はこれらの点では互いに結合されない。
PETフィラメント3はポリウレタンで完全に包まれている。この例のチューブは外径6mm、内径5.9mm、及び長さ25mmを有している。これらの寸法は、バルーンカテーテルの応用に依存して、大きくしてもよいし、また小さくしてもよい。この例のPET繊維の厚みは約40μmであり、この厚みは繊維が互いに交差する(cross over)バルーンに対して、約100μmの肉厚内に既に完全に含まれている。より小さいかあるいはより大きいバルーンは、壁体の厚みが繊維の厚みの約2倍であるとともに、それぞれより小さいかあるいはより大きい径、例えば25ないし80μmの繊維を有する。
外径1.8mmのステンレス鋼製円筒状心棒成形型4は円筒形チューブ1の中心軸を通る。図3は、模式的に直線状矢Fで示されるように延伸力がチューブ1の末端に加えられたときに、チューブの内面5が心棒(rod)4の外面5と接触状態となるまで、どのようにしてチューブを延伸し、伸長し、狭めるかを示す。
そこで、中間部9により分離される、チューブ1の末端7,8に、模式的に波線状矢Hで示されるように、例えば加熱エアガン(図示せず)で、熱を加えうる。末端部7,8に約5秒間向けられた(directed)、350℃のエア温度を有する加熱エアガンは、ポリウレタン材2に、ポリマー鎖に再配向を生じさせる、制限された塑性変形又は流れを受けさせ、かくして延伸により引き起こされた末端部の緊張を解除させるであろうことが実験的に見出された。PET編組3はまたガラス転移温度以上に加熱され、かくして編組におけるポリマーの再配向(reorientation)がまたいくらか行われ、末端部分の延伸の固定に役立つ。
一度熱源を取り去ると、端部7,8はステンレス鋼製心棒4からの熱伝導に助けられて急速に冷却される。冷却後、心棒はチューブ内から取り去られる。
延伸力Fを取り去ると、ポリウレタン材2を流動させるようには十分に加熱しなかった中心部分はチューブが延伸及び加熱の前に有していたのと同じ径に弾性的に復元する(spring back)。しかし、端部7,8は、延伸で生じた縮小した寸法のままである。過渡的部分(transition portions)10,11は端部7,8と中間部9との間にあり、そのチューブの外径及び内径は最大寸法と最小寸法との間でスムーズに先細りになり、膨れた部分及び過渡的部分の肉厚は局部的な薄肉化がなく実質的に均一である。成形チューブの全長は30ないし35mmの間で選ぶのがよい。
一度チューブ1が形成されると、それは、図6ないし10に示されるように、別の常用のカテーテル60と組み合わせる。カテーテルは空気流通用通路を備えた中空の可撓性ステム(stem)61及び動脈などの血管に挿入される中実の端部62を有する。しかし、この端部はバルーンの閉そく端部となる。ステム61と端部62の間には、チューブがカテーテルのバルーン部63を形成するように接着(接合)される。軸支持体64がバルーンを軸方向に展開して(deployed)保持されるようにバルーン63内に軸方向にはめ込まれる(据え付けられる)。
バルーン部63は、図7に示されるように、バルーンを、哺乳類の血管へ挿入するために、たたむ(巻く)ように長手方向に折りたたまれる。バルーン壁体の編組は記憶特性を有しているとともに、たたまれた(折りたたまれた)バルーンは編組材をバルーンのたたまれた形状にするように加熱される。バルーン63は、空気が図8及び9に示されるようにステム61を通してバルーンに入れられるまで、収縮したままである。バルーンの可撓性ポリウレタン覆い(被覆)は、PET補強部3が張りつめられ、バルーンがさらに膨張しなくなるまで、5ないし10バールの圧力下の空気で容易に膨張される。
図10は、バルーンカテーテル60が膨張し、体腔(body vessel)の狭窄個所にステンレス鋼コイルのステント(stent)100を留置するように用いられることを示す。このコイルは比較的鋭いエッジをもつ端部102,103を有する。バルーン63のポリウレタン材2はコイル100との接触で容易に穴があいたりあるいは引き裂かれたりすることはない。
記載されてきた器具(装置)に用いられるPET繊維編組の代わりに、カテーテルのバルーン部は形状記憶合金メッシュ110を含有することができる。これは、円筒の壁にレーザカットされた、多数の長手方向の細い(thin)平行溝111を有する、図11に示される円筒形チューブから形成しうる。このようなメッシュは、米国カリフォルニア州フレモントの、ニチノール コンポーネント アンド デバイス社(Nitinol Components and devices,Ltd.)から得ることができる。この例では、12個の整列された溝111が存在し、互い違いの列は面から引込み段を形成している。
形状記憶合金の膜厚は、約25μmないし約75μmの間となるように選ばれる。これはバルーンの強化に役立つように十分な機械的特性を与えるのに十分に厚く、また形状記憶合金メッシュを、以下に記載するように、バルーンに包ませるのに十分に薄い。
ニチノール(nitinol)などの形状記憶合金は、しなやか(可撓性)(pliable)であり、かくしてメッシュ110は次のようにして奇形にしうる。溝の長さ及びスペースは、形状記憶合金メッシュが横方向に膨張されある形状をもつメッシュを形成しうることが、PET編組が図1ないし10の器具に用いられることと同様であるように、すなわち、全長約35mmで、より狭い端部117,118間の膨らんだ中間部119が6mmの直径を有するようにする。溝エッジ112は、互いにほとんど正確な角度で交差する、ほぼ螺旋状の編組113,114を限定する。この点で、形状記憶合金メッシュはまた、形状記憶合金螺旋がもちろん交差点115で結合していないことを除いては、PET編組と同様な編組を有する。
図13及び14は、どのようにして形状記憶合金メッシュ110を、図7の収縮ポリウレタンバルーンで達成されたのと同様なコンパクトな形状を形成するように折りたたむことができるかを示す。膨張される、メッシュ状の膨らんだ中間部109の対向する面に沿う、2個の長手方向の折たたみ線117,118は、メッシュの断面寸法を縮小する、メッシュの4個の丸い突出部(lobes)119をもつ星形と呼ばれるものの形状を定める。
次いで、形状記憶合金は、形状の記憶を金属に固定するために、金属合金の組成により、300℃と500℃の間の高温で処理される。
次いで、形状記憶合金メッシュ110は、室温に冷却され、丈夫なポリウレタンのコーティングが施される。これは、図解されていないが、型(form)、例えばロウ型(wax form)のまわりにメッシュを、図12の膨らんだ形状に相当する形状に形作り、このメッシュをポリウレタンを硬化させる前に未硬化のポリウレタン樹脂中で浸漬被覆することにより行われる。次いで、ロウ型は溶融除去される。
一度形状記憶合金メッシュが被覆されると、それは、図15及び16に示されるように、カテーテル150を有するバルーンとして組み立てられる。カテーテル150は、一対のワイヤー(wires)152が中空ステム161を通り、形状記憶合金メッシュ110の対向する端部における一対の点153,154で電気的に結合されていることを除いては、上記したものと同様である。
図15は、血管(図示せず)にステントを留置するときにバルーンが膨張されるように、空気で膨張されたバルーン151を示す。形状記憶合金はしなやかである一方、螺旋のストランドに沿う長手方向の変形に抗するに十分に剛性(rigid)であり、それで過膨張に抗する。
空気がバルーンから押し出されると、バルーンは収縮する傾向がある。同時に、電流Iが、形状記憶合金を、この例では約45℃であるように選ばれるガラス転移温度以上に加熱するに十分、ワイヤー152に印加される。次いで、形状記憶合金は、図13及び14の固定形状を復元させ、適切に収縮し、それで図16に示されるようにバルーンを折りたたむ。次いで、バルーンカテーテルは体膣から容易に引き抜かれる。

Claims (4)

  1. 中間部より小さい径をもつ末端部間にある中間部を有し、且つ流体不浸透性壁体を有する、哺乳類の体腔を拡張するためのカテーテルで用いられる、半径方向に膨張しうる中空バルーン部材であり、しかもカテーテルが通路を持つチューブ部からなり、且つ膨張しうる中空バルーン部材がより小さい径の末端部で前記チューブ部に固定され、それによりバルーン部材がカテーテルの通路を流通する流体で膨張され、且つ収縮される中空バルーン部材の製造方法において、
    a)実質的に均一な厚みを有し、バルーン部材の最大の半径方向の膨張を制限するように作用する強化用繊維を壁体材と一体に設けた、可撓性で実質的に流体不浸透性の材から形成され、且つ最大の半径方向の膨張状態でバルーン部材に望まれる外径に実質的に相当する外径を有する、チューブ状の部材を形成すること、
    b)前記チューブ状の部材を、その末端部付近のチューブ状の部材の内径がバルーン部材を装着するのが望まれるカテーテル管の外径或いはその付近に縮小されるまで軸方向に延伸すること、
    c)延伸されたチューブ状の部材の末端部の縮小された内径を固定するために軸方向に延伸されたチューブ状の部材の末端部の少なくとも一方にある処理を適用すること、及び
    d)末端部の中間にあるチューブ状の部材の部分を、バルーン部材のより幅広の径の中間部を与えるように半径方向に膨張させるために、チューブ状の部材の軸方向の延伸を解除することを特徴とする前記中空バルーン部材の製造方法。
  2. チューブ状の部材の末端部を固定する方法が末端部を加熱することを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 少なくとも、チューブ状の部材の末端部が部分的に硬化されたポリマーからなり、チューブ状の部材の末端部を固定する方法が部分的に硬化されたポリマーを更に重合させることを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバルーンカテーテル用のバルーン部材の製造方法。
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