JP4146600B2 - 工程剥離紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は工程剥離紙に係り、特に合成皮革の製造に使用される工程剥離紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から製造されている合成皮革には、ポリウレタン(PU)レザー、セミ合皮、塩化ビニル(PVC)レザー等がある。PUレザーの製造方法としては、例えば、工程剥離紙上にペースト状のPU樹脂を塗布し、乾燥・固化した後に基布を貼合して工程剥離紙から剥離する方法がある。
【0003】
また、セミ合皮の製造方法としては、工程剥離紙上にペースト状のPU樹脂を塗布して乾燥・固化した後、PVC発泡層を形成して基布と貼合し、工程剥離紙から剥離する方法がある。
【0004】
さらに、PVCレザーの製造方法としては、工程剥離紙上にPVCゾルを塗布し、加熱・ゲル化した後、PVC発泡層を形成して基布と貼合し、工程剥離紙から剥離する方法がある。
【0005】
上述のように、合成皮革の製造において工程剥離紙は必須の材料であるが、この工程剥離紙は合成皮革の製造過程でかなり過酷な加熱状態に置かれる。すなわち、PUレザーの製造過程では100〜150℃で2〜5分間、セミ合皮の製造過程では140〜200℃で2〜5分間、PVCレザーの製造過程では180〜220℃で2〜5分間程度の熱履歴を受ける。
【0006】
従来から使用されている工程剥離紙としては、PUレザー製造用として基紙にポリプロピレン(PP)を塗布して厚さ20〜50μm程度の離型性樹脂層を設けた工程剥離紙(PPタイプ)がある。また、セミ合皮製造用またはPVCレザー製造用として、基紙にメチルペンテン系ポリマーを塗布して厚さ20〜50μm程度の単層の離型性樹脂層を設けた工程剥離紙(メチルペンテン系樹脂タイプ)、あるいは、基紙にアクリル系樹脂を塗布して厚さ20〜50μm程度の離型性樹脂層を設けた工程剥離紙(アクリル系樹脂タイプ)がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のPPタイプ工程剥離紙では、離型性樹脂層を構成するPP樹脂の融点が低い(160℃前後)ために耐熱性が不足し、セミ合皮製造あるいはPVCレザー製造には使用できないという問題があった。
【0008】
また、メチルペンテン系樹脂タイプの工程剥離紙では、離型性樹脂層の耐熱性は問題ないものの、PVCレザー製造における使用回数が増すにしたがって、基紙と離型性樹脂層との接着強度低下が生じ、離型性樹脂層と合成皮革層との間ではなく、基紙と離型性樹脂層との間で剥離が生じるという問題があった。
【0009】
更に、アクリル系樹脂タイプの工程剥離紙では、高温加熱処理後の基紙の紙力低下、離型性樹脂層のピンホール発生、架橋タイプのアクリル系樹脂に起因した外力による離型性樹脂層の割れ発生、工程剥離紙に対するエンボス加工の困難性等の問題があった。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高温下で使用可能であり、基紙と離型性樹脂層との剥離が発生せず、繰り返し使用が可能な工程剥離紙を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明の工程剥離紙は、基紙と該基紙の少なくとも一方の面に形成された離型性樹脂層とを有する工程剥離紙であって、前記基紙はN材としてN−BKPを10〜60重量%の範囲で含有するとともに、少なくとも前記離型性樹脂層形成面の表面粗さ(Rz)が15〜30μmの範囲内であり、緊度が0.68〜0.87g/cm 3 の範囲内であり、紙面pHが5〜8の範囲内であり、前記離型性樹脂層はメチルペンテン系樹脂層とメチルペンテン系樹脂組成物層からなる多層構造であり、前記メチルペンテン系樹脂組成物層は少なくとも前記基紙に接する位置に存在し、前記メチルペンテン系樹脂層は少なくとも前記離型性樹脂層の最表面に存在し、前記メチルペンテン系樹脂層を構成するメチルペンテン系樹脂は、融点が236〜238℃の範囲にありメルトフローレート(MFR)が160〜200g/10分の範囲にある樹脂であり、前記メチルペンテン系樹脂組成物層を構成するメチルペンテン系樹脂組成物は、前記メチルペンテン系樹脂95〜85重量部に対して、密度が0.910〜0.930g/cm 3 、融点が100〜110℃、メルトフローレート(MFR)が1.0〜100g/10分の範囲内にあるポリエチレン樹脂を5〜15重量部含有する組成物であるような構成とした。
【0012】
また、前記離型性樹脂層がメチルペンテン系樹脂層であるような構成、前記離型性樹脂層の厚さが25〜100μmの範囲内にあるような構成とした。
また、前記離型性樹脂層は、少なくとも1層がメチルペンテン系樹脂層からなる多層構造であるような構成、前記離型性樹脂層の厚さが25〜100μmの範囲内にあり、メチルペンテン系樹脂層の厚さが25μm以上であるような構成とした。
【0013】
また、前記離型性樹脂層の厚さが25〜100μmの範囲内にあるような構成とした。
さらに、前記離型性樹脂層は凹凸絵柄を有し、最薄部の厚さが20μm以上であるような構成とした。
【0014】
上記のような本発明において、基紙は離型性樹脂層に対して極めて高い接着強度を示し、合成皮革製造時における繰り返し使用において、基紙と離型性樹脂層とが剥離することを防止する作用をなす。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の工程剥離紙の一例を示す概略断面図である。図1において工程剥離紙1は、基紙2と、この基紙2の一方の面に設けられた離型性樹脂層3とからなり、離型性樹脂層3の表面には、凹凸パターン(凹凸絵柄)4が設けられている。尚、図示例では離型性樹脂層3に凹凸パターン(凹凸絵柄)4が設けられているが、本発明の工程剥離紙は凹凸パターン(凹凸絵柄)のないものであってもよい。
【0016】
このような本発明の工程剥離紙1では、基紙2のN材含有量を10〜60重量%、好ましくは20〜40重量%の範囲内とする。基紙2におけるN材の含有量が上記の範囲内にあることにより、後述するように基紙の表面粗さが適度な範囲となり、基紙2のみかけの表面積が大きくなって離型性樹脂層3との接着強度が向上し、工程剥離紙1を用いた合成皮革製造時において、基紙2と離型性樹脂層3の界面において剥離が生じることを防止できる。基紙2のN材含有量が10重量%未満であると、基紙2の平滑性が増し、基紙2への離型性樹脂層3のくいつきが悪くなる。一方、基紙2のN材含有量が60重量%を超えると、後述するようなエンボス加工により良好な凹凸パターン4を離型性樹脂層3の表面に形成することが困難となる。
【0017】
紙は通常L材(広葉樹パルプ)が主体となっており、このような紙は、繊維の形態上、平坦性が良好である。これに対して、表面の粗さを有する紙を製造する場合、繊維の径、および、繊維の長さが大きいN材(針葉樹パルプ)を配合して紙層内の隙間を増大させたり、表面に凹凸をもたらすことが行われる。但し、N材の含有量が多すぎると、繊維が大きな塊となってブロックを形成し大きな粗・密をつくり、紙の均質性が損なわれる。このため、本発明では、N材含有量を上記のように設定する。基紙2に使用するN材としては、N−BKP、N−BSP、N−UKP等を挙げることができ、L材としては、L−BKP、L−UKP等を挙げることができる。
【0018】
尚、基紙2は、上記のN材、L材を主体とし、これに損紙、古紙パルプを適宜配合する。また、添加剤としては、内添サイズ剤、カチオン化澱粉、脂肪酸エステル系や特殊パラフィン系等の消泡剤等を用いることができる。基紙製造のサイズプレス工程においては、コーンスターチ、表面サイズ剤等を配合したサイズプレス液を原紙に塗工することができる。このサイズプレス工程を経ることにより、サイズプレス液は基紙の両面に塗布され、基紙内部にも含浸されることになる。
【0019】
基紙2のN材含有量を上記の範囲とすることにより、基紙2の少なくとも離型性樹脂層3を形成する面の表面粗さ(Rz)が15〜30μm、好ましくは18〜22μmの範囲内となる。表面粗さ(Rz)が上記の範囲内にあることにより、基紙2のみかけの表面積が大きくなり、離型性樹脂層3との接着強度が向上し、工程剥離紙1を用いた合成皮革製造時において、基紙2と離型性樹脂層3の界面において剥離が生じることを防止できる。
尚、本発明において基紙2の表面粗さ(Rz)は、小坂研究所(株)製の解析装置付万能表面形状測定器SE−3Fにより測定した十点平均粗さとする。
【0020】
また、本発明では、基紙2の緊度を0.68〜0.87g/cm3、好ましくは0.70〜0.81g/cm3の範囲内、紙面pHを5〜8の範囲内とすることが望ましい。基紙2の緊度を0.68〜0.87g/cm3の範囲内とすることにより、表面粗さ(Rz)を15〜30μmの範囲内に調整することがより容易となる。基紙2の緊度が0.68g/cm3未満の場合、後述するようなエンボス加工により良好な凹凸パターン4を離型性樹脂層3の表面に形成することが困難となることがある。また、基紙2の緊度が0.87g/cm3を超えると、基紙2への離型性樹脂層3のくいつきが悪くなることがある。
【0021】
尚、本発明では、基紙2として、上記のような表面粗さ(Rz)を有する紙と、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等のプラスチックフィルム、金属箔、織布、不織布、合成紙等との積層体を使用することができる。この場合、少なくとも離型性樹脂層3を形成する面に上記の表面粗さ(Rz)を有する紙が位置することが必要である。
【0022】
このような基紙2の厚さは、使用する材料等を考慮するとともに、後述するようなエンボス加工により凹凸パターン4が離型性樹脂層3の表面に形成できるような厚さに設定することが好ましく、例えば、80〜300μm程度の範囲で設定することができる。また、基紙2の離型性樹脂層3形成側の面は、基紙と離型性樹脂層との密着強度を高めるために予め加熱あるいはコロナ放電処理等を施してもよい。
【0023】
工程剥離紙1を構成する離型性樹脂層3は、アルキッド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂、シリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂等の公知の樹脂を使用することができ、合成皮革用の樹脂との剥離性、耐熱性を考慮して選定することができ、特にポリメチルペンテン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、および、アルキッド樹脂が好ましい。より好ましくは、離型性樹脂層3を(1)メチルペンテン系樹脂層、(2)少なくとも1層がメチルペンテン系樹脂層からなる多層構造、(3)メチルペンテン系樹脂層とメチルペンテン系樹脂組成物層からなる多層構造のいずれかとすることができる。
【0024】
上記のメチルペンテン系樹脂層は、メチルペンテン系樹脂を用いて形成することができる。ここで、メチルペンテン系樹脂とは、4−メチル−1−ペンテン単独からなるポリマーである。また、メチルペンテン系樹脂とは、例えば、4−メチル−1−ペンテンと他のα−オレフィン、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−テトラデセン、1−オクタデセン等の炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体で、かつ4−メチル−1−ペンテンを97〜98重量%、α−オレフィンを2〜3重量%の範囲で含有する4−メチル−1−ペンテンを主体とした共重合体であって、示差走査型熱量計(DSC法)で測定した融点が236〜238℃、ASTM D1238に準じて荷重=2.16kg、温度=260℃の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が160〜200g/10分の範囲にある樹脂である。
【0025】
上記のメチルペンテン系樹脂組成物層は、メチルペンテン系組成物を用いて形成することができる。ここで、メチルペンテン系組成物とは、例えば、上記の4−メチル−1−ペンテンを主体とした共重合体(4−メチル−1−ペンテンを97〜98重量%、α−オレフィンを2〜3重量%の範囲で含有し、融点が236〜238℃、MFRが160〜200g/10分の範囲にある共重合体)95〜85重量部に対して、密度が0.910〜0.930g/cm3の範囲にあり、示差走査型熱量計(DSC法)で測定した融点が100〜110℃の範囲にあり、かつMFRが1.0〜100g/10分の範囲にあるポリエチレン系樹脂を5〜15重量部含有する組成物である。
【0026】
上記(1)のメチルペンテン系樹脂層からなる離型性樹脂層3の厚さは、25〜100μmの範囲内であることが好ましい。厚さが25μm未満であると、工程剥離紙1をPVCレザー製造に繰り返し使用した場合に、PVCレザーの材料として用いられる可塑剤が離型性樹脂層3の分子間に入り込み、高温環境とあいまって、基紙2との界面を侵し、基紙2と離型性樹脂層3の界面での剥離が生じ易くなる。一方、100μmを超えると、工程剥離紙の幅カールが大きくなり、加工性の低下を来たすことがある。
【0027】
上記(2)の少なくとも1層がメチルペンテン系樹脂層からなる多層構造をもつ離型性樹脂層3の厚さは、25〜100μmの範囲内にあり、メチルペンテン系樹脂層の厚さが25μm以上であることが好ましい。離型性樹脂層3の厚さが100μmを超えると、工程剥離紙の幅カールが大きくなり、加工性の低下を来たすことがある。また、離型性樹脂層3を構成するメチルペンテン系樹脂層の厚さが25μm未満であると、工程剥離紙1をPVCレザー製造に繰り返し使用した場合に、PVCレザーの材料として用いられる可塑剤が離型性樹脂層3の分子間に入り込み、高温環境とあいまって、基紙2との界面を侵し、基紙2と離型性樹脂層3の界面での剥離が生じ易くなる。
【0028】
上記(3)のメチルペンテン系樹脂層とメチルペンテン系樹脂組成物層からなる多層構造をもつ離型性樹脂層3の厚さは、25〜100μmの範囲内にあることが好ましい。厚さが25μm未満であると、工程剥離紙1をPVCレザー製造に繰り返し使用した場合に、PVCレザーの材料として用いられる可塑剤が離型性樹脂層3を構成するメチルペンテン系樹脂層やメチルペンテン系樹脂組成物層の分子間に入り込み、高温環境とあいまって、基紙2との界面を侵し、基紙2と離型性樹脂層3の界面での剥離が生じ易くなる。一方、100μmを超えると、工程剥離紙の幅カールが大きくなり、加工性の低下を来たすことがある。このような(3)メチルペンテン系樹脂層とメチルペンテン系樹脂組成物層からなる多層構造をもつ離型性樹脂層3は、例えば、基紙2側からメチルペンテン系樹脂組成物層とメチルペンテン系樹脂層が積層された2層構造とすることができる。この場合、基紙2との接着強度はメチルペンテン系樹脂組成物層により向上し、塩化ビニル用可塑剤DOP(フタル酸ジオクチル)等による基紙2と離型性樹脂層3との接着強度低下を防止することができる。また、合成皮革製造に要求される耐熱性、離型性はメチルペンテン系樹脂層により得られる。
【0029】
離型性樹脂層3の形成は、用いる樹脂を基紙2上にロールコート、グラビアコート、押出しコート、ナイフコート、マイヤーバーコート、ディッピングコート等の方式で塗布する方法等により行うことができる。樹脂の硬化方法は、熱硬化方法、紫外線や電離放射線等の硬化法等、いずれの方法であってもよい。
【0030】
離型性樹脂層3に凹凸パターン4をもたない工程剥離紙は、上記のような工程により得られる。また、図1に示すような離型性樹脂層3に凹凸パターン(凹凸絵柄)4を持つ工程剥離紙1は、次のようなエンボス工程をとる。すなわち、凹凸を形成したエンボスロールと、その凹凸を受けるペーパーロールまたは金属ロール、あるいは、エンボスロールの凹凸形状に対応した表面凹凸をもつ金属ロールとを対向して備えるエンボス加工機に、上記の離型性樹脂層3がエンボスロールに当接するように工程剥離紙を流し、加熱されたエンボスロールにより圧力をかけて、離型性樹脂層3に凹凸パターン(凹凸絵柄)4を形成する。通常、エンボスロールの加熱温度は80〜150℃、圧力は40〜100kg/cm程度が好ましい。尚、ロールプレスだけではなく、平エンボス版を用いて平プレスでエンボス加工を行ってもよい。
【0031】
このように任意の凹凸絵柄をエンボス加工によって離型性樹脂層3に形成した場合、凹凸が若干基紙2部分にまで食い込むが、最終的にはほぼ離型性樹脂層3に形成されるので、離型性樹脂層3には厚みや密度の異なる部分が生じる。そして、凹凸パターン(凹凸絵柄)4をもつ離型性樹脂層3の最薄部(最密部)の厚みは20μm以上であることが好ましい。最薄部の厚みが20μm未満であると、工程剥離紙1をPVCレザー製造に繰り返し使用した場合に、PVCレザーの材料として用いられる可塑剤が離型性樹脂層3の最薄部から染み込み、高温環境とあいまって、基紙2との界面を侵し、基紙2と離型性樹脂層3の界面での剥離が生じ易くなる。
【0032】
次に、本発明の工程剥離紙を用いた合成皮革の製造について説明する。
まず、工程剥離紙の離型性樹脂層上に合成皮革用の樹脂組成物を塗布する。離型性樹脂層上に塗布された樹脂層には、離型性樹脂層の凹凸パターン形状に対応した絵柄(凹凸絵柄)が形成される。その後、これに基布(例えば、織布、不織布等)を貼り合わせ、樹脂層を乾燥し冷却した後、剥離して合成皮革を得ることができる。
【0033】
上記の合成皮革用の樹脂組成物には、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等の樹脂を用いることができる。ポリウレタンを用いる場合は、樹脂組成物の固形分を20〜50%程度とすることが好ましい。また、ポリ塩化ビニルを用いる場合は、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウリル等の可塑剤、発泡剤、安定剤等と混合し分散させた樹脂組成物を使用することが好ましい。この樹脂組成物の塗布方法としては、ナイフコート、ロールコート、グラビアコート等の従来公知の塗布方法を挙げることができる。
このような本発明の工程剥離紙を用いた合成皮革の製造では、高温下で行なわれるPVCレザー製造の場合においても、基紙と離型性樹脂層との間における剥離が防止され、繰り返し安定生産が可能となる。
【0034】
【実施例】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
【0035】
[基紙の作製]
N材(N−BKP)とL材(L−BKP)を下記の表1に示す5種の割合で配合したパルプ原料を410〜450℃の間で叩解したパルプスラリーに対して、サイズ剤としてAKD(日本PMC(株)製SS−362)中性サイズ剤を0.1重量%、湿潤紙力剤としてメラミンを0.5重量%添加した。次いで、このパルプスラリーをpH5.5に調整して原紙を抄造し、サイズプレス工程で両面に酸化デンプン1g/m2、PVA0.5g/m2の塗布を行い、坪量125g/m2の紙を抄造し、幅1530mmにスリッターして、下記表1に示す5種の基紙(A〜E)を得た。
これらの基紙の表面粗さ(Rz)、緊度、紙面pHを測定して下記の表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
[離型性樹脂層の形成]
まず、離型性樹脂層形成用の樹脂として、下記の2種の樹脂(I、II)を準備した。
【0038】
・樹脂I(メチルペンテン系樹脂):
三井化学(株)製 TPX DX820
(融点=238℃、MFR=180g/10分)
【0039】
・樹脂II(メチルペンテン系組成物):
三井化学(株)製樹脂
4−メチル−1−ペンテンを主体とした共重合体 … 90重量部
(4−メチル−1−ペンテンを主体とした共重合体の融点=238℃、MFR=200g/10分)
ポリエチレン系樹脂 … 10重量部
(ポリエチレン系樹脂の密度=0.917g/cm3、融点=106℃、MFR=7.2g/10分)
【0040】
次に、上記のように作製した5種の基紙(A〜E)と2種の樹脂(I、II)を下記の表2に示すように組み合わせ、表2に示す押し出し条件で樹脂を押し出しコート法により塗布し乾燥して離型性樹脂層を形成した。形成した各離型性樹脂層の厚みは下記表2に示す通りである。尚、表2において、離型性樹脂層が2層構造である場合、基紙側を第2層とする。また、離型性樹脂層が単層構造の場合、第2層の欄に樹脂、厚みを記載した。
【0041】
[エンボス加工]
次いで、凹凸を形成したエンボスロールとペーパーロールとを対向して備えたエンボス加工機に、上記の離型性樹脂層を形成した基紙を、離型性樹脂層がエンボスロールに当接するように通して、離型性樹脂層に凹凸パターンを形成し、16種の工程剥離紙(試料1〜16)を得た。尚、エンボスロールの温度を120℃、エンボスロールによる離型性樹脂層への加圧を60kg/cmに設定した。このような凹凸パターン(絵柄)を形成した離型性樹脂層の最薄部の厚みを測定して、下記の表2に示した。
【0042】
[合成皮革の製造]
上記のように作製した16種の工程剥離紙(試料1〜16)を用いて合成皮革を作製した。すなわち、まず、工程剥離紙の離型性樹脂層側に、PVC樹脂(分子量1000)を100部、DOP(可塑剤)を60部、発泡剤を5部、安定剤を2.5部の割合で含有した合成皮革表皮用のPVC樹脂組成物をナイフコート法で塗布し、乾燥(190〜200℃、2分間)した。その後、ウレタン系接着剤をナイフコート法で塗布して乾燥し、この接着剤面に基布を貼り合わせ、乾燥して熟成後に工程剥離紙から剥離して、凹凸パターンに対応した凹凸絵柄を離型性樹脂層に有する合成皮革を得た。尚、上記の合成皮革の作製は、温度25℃、湿度20%の環境下で行い、同条件で10回繰り返した。
また、各工程剥離紙の基紙と離型性樹脂層との接着強度を引張り強度試験機にて温度23℃、湿度50%の環境下で、試料幅15mm、引張り速度200mm/分、90°剥離の条件で測定し、結果を下記の表2に示した。
【0043】
【表2】
【0044】
表2に示される工程剥離紙のうち、基紙のN材の含有量が10〜60重量%の範囲にある試料1〜8は、基紙の表面粗さ(Rz)が15〜30μmの範囲であり、10回の合成皮革製造において基紙と離型性樹脂層との剥離が発生しなかった。
【0045】
これに対して、N材の含有量が10重量%未満である基紙を用いた工程剥離紙(試料9〜12)、および、N材の含有量が60重量%を超える基紙を用いた工程剥離紙(試料13〜16)は、合成皮革製造において以下の不具合が生じた。
試料9、13:幅カールが生じ、合成皮革製造時の加工性低下を来たした。
試料10〜12:基紙と離型性樹脂層との接着強度が低く、10回の合成皮
革製造において基紙と離型性樹脂層との剥離がみられた。
試料13〜16:表面粗さが大きすぎ、エンボス加工した離型性樹脂層面の
絵柄が、エンボスロールの凹凸パターンに完全に追従した
ものとならなかった。
【0046】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば工程剥離紙を、基紙と、この基紙の少なくとも一方の面に設けられた離型性樹脂層との積層体からなる構成とし、基紙がN材を10〜60重量%の範囲で含有するので、基紙と離型性樹脂層との接着強度が向上し、本発明の工程剥離紙を用いた合成皮革の製造では、繰り返し使用しても基紙と離型性樹脂層とが剥離することが防止される。また、離型性樹脂層にメチルペンテン系樹脂を用いることにより高温下でのPVCレザー製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工程剥離紙の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1…工程剥離紙
2…基紙
3…離型性樹脂層
4…凹凸パターン(絵柄)
Claims (3)
- 基紙と該基紙の少なくとも一方の面に形成された離型性樹脂層とを有する工程剥離紙において、
前記基紙はN材としてN−BKPを10〜60重量%の範囲で含有するとともに、少なくとも前記離型性樹脂層形成面の表面粗さ(Rz)が15〜30μmの範囲内であり、緊度が0.68〜0.87g/cm 3 の範囲内であり、紙面pHが5〜8の範囲内であり、 前記離型性樹脂層はメチルペンテン系樹脂層とメチルペンテン系樹脂組成物層からなる多層構造であり、前記メチルペンテン系樹脂組成物層は少なくとも前記基紙に接する位置に存在し、前記メチルペンテン系樹脂層は少なくとも前記離型性樹脂層の最表面に存在し、
前記メチルペンテン系樹脂層を構成するメチルペンテン系樹脂は、融点が236〜238℃の範囲にありメルトフローレート(MFR)が160〜200g/10分の範囲にある樹脂であり、前記メチルペンテン系樹脂組成物層を構成するメチルペンテン系樹脂組成物は、前記メチルペンテン系樹脂95〜85重量部に対して、密度が0.910〜0.930g/cm 3 、融点が100〜110℃、メルトフローレート(MFR)が1.0〜100g/10分の範囲内にあるポリエチレン樹脂を5〜15重量部含有する組成物であることを特徴とする工程剥離紙。 - 前記離型性樹脂層は、厚さが25〜100μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の工程剥離紙。
- 前記離型性樹脂層は凹凸絵柄を有し、最薄部の厚さが20μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の工程剥離紙。
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