JP3145074B2 - ノンハロゲン床材及びその製造方法 - Google Patents

ノンハロゲン床材及びその製造方法

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JP3145074B2 JP14140598A JP14140598A JP3145074B2 JP 3145074 B2 JP3145074 B2 JP 3145074B2 JP 14140598 A JP14140598 A JP 14140598A JP 14140598 A JP14140598 A JP 14140598A JP 3145074 B2 JP3145074 B2 JP 3145074B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ノンハロゲン床材
及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、建築物の床面を装飾するもの
として、合成樹脂製の床材が使用されている。また、こ
の合成樹脂製床材は、塩化ビニル系樹脂を使用した塩化
ビニル系樹脂床材と、オレフィン系樹脂やアクリル系樹
脂等のハロゲンを含有しない合成樹脂を使用した床材
(ノンハロゲン床材)とに大別される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の合成
樹脂製床材は、一般的に複数の層を積層した構造となっ
ているが、特にオレフィン系樹脂を使用する場合、各層
を積層する際に、コロナ放電処理やプライマー処理を施
す必要がある。即ち、オレフィン系樹脂は、塩化ビニル
系樹脂等を比べて接着性に劣るため、それを補うための
処理として、上記のコロナ放電処理やプライマー処理が
必要となるのである。従って、このようなオレフィン系
樹脂を使用した床材を製造するに当たっては、上記のよ
うな処理のための工程が増えることになるため、製造工
程が煩雑になるといった問題があった。
【0004】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであり、コロナ放電処理やプライマー処理を
行なわずとも製造することが可能なノンハロゲン床材、
及びその製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明のノンハロゲン床材は、非接触型表
面粗さ計を用いて測定した表面の凹凸数が200〜35
0個/10mm、平均凹凸深さが50〜80μm、固有
粗さ値が40000〜120000の範囲にある繊維質
基材表面に印刷を施し、この印刷を施した繊維質基材表
面に、ハロゲンを含有しない合成樹脂からなる透明トッ
プ層が形成されると共に、この繊維質基材の裏面に裏打
層が形成されてなることを特徴とするものである。
【0006】上記の繊維質基材は、綿、麻、絹、羊毛等
の天然の植物性或いは動物性繊維;アスベスト;ガラス
繊維;ロックウール;パルプ;ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリアミド、アクリル、ポリエステル、ビニロ
ン等の合成繊維;レーヨン、スフ、アセテート等の再生
繊維;等から選ばれる無機又は有機繊維の一種又は二種
以上の繊維、或いはこれに、必要に応じて、無機充填剤
や合成樹脂系バインダーを添加したものから得られる織
布、編布、不織布、紙、或いはこれらの積層物等であ
る。
【0007】また、本発明において使用する繊維質基材
は、非接触型表面粗さ計を用いて測定した表面の凹凸数
が200〜350個/10mm、平均凹凸深さが50〜
80μm、固有粗さ値が40000〜120000の範
囲であることを特徴とするものである。このような繊維
質基材を用いることにより、繊維質基材表面に直接印刷
することが可能であり、しかも、印刷を施した繊維質基
材表面に、コロナ放電処理やプライマー処理等を施さず
とも、オレフィン系樹脂等からなる透明トップ層を形成
することができるのである。尚、上記の固有粗さ値と
は、非接触型表面粗さ計を用いて繊維質基材表面の凹凸
を測定した結果から導き出した値であり、当該測定範囲
(10mm)中における繊維質基材表面上の任意の点Y
i と、全Yi の平均値Y0 との差(μm)の絶対値の総
計である。
【0008】ところで、合成樹脂製床材に従来より一般
的に使用されている繊維質基材表面には、直接印刷する
ことが実質的に不可能であり、そのため、従来より一般
的に使用されている繊維質基材表面に印刷を施す場合に
は、それに先立ち、繊維質基材表面に合成樹脂からなる
中引層等を形成することによって印刷適性を向上させる
必要があると考えられていた。しかしながら、このよう
に中引層を形成して印刷を施した繊維質基材の表面にオ
レフィン系樹脂等からなる透明トップ層を形成するため
には、上記した通り、オレフィン系樹脂等が接着性に劣
るため、コロナ放電処理やプライマー処理が必要とな
る。本発明では、上記のような中引層を形成せずに印刷
が可能で、かつ、その後の工程でオレフィン系樹脂等か
らなる透明トップ層を形成する際に、コロナ放電処理等
を施さずとも十分に接着させ得るような繊維質基材を検
討した結果、少なくとも印刷を施す表面側の表面特性が
上記の要件を満足するものを使用することにより、繊維
質基材表面に直接印刷する事が可能で、かつ、コロナ放
電処理やプライマー処理を施すことなしにオレフィン系
樹脂等からなる透明トップ層を形成することが可能とな
ることを見出したものである。
【0009】上記の繊維質基材上への印刷は、グラビア
印刷機、オフセット印刷機、ロータリースクリーン印刷
機、フレキソ印刷機、インクジェット印刷機等の印刷機
を用いて行なうことができるが、この時、印刷インキ中
の樹脂分が繊維質基材中に含浸する等して、繊維質基材
表面の上記特性が著しく損なわれなるようなことがない
ように留意する必要がある。
【0010】上記のようにして印刷を施した繊維質基材
表面には、ハロゲンを含有しない合成樹脂からなる透明
トップ層が形成される。この透明トップ層を形成する合
成樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチ
レンービニルアルコール共重合樹脂、エチレンー(メ
タ)アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレンー酢酸ビ
ニル共重合樹脂、エチレンーαーオレフィン共重合樹脂
等のオレフィン系樹脂の他、(メタ)アクリル酸エステ
ルの単独或いは共重合樹脂等のアクリル系樹脂等が使用
できる。
【0011】本発明床材の透明トップ層を形成する上記
の合成樹脂としては、メルトインデックスが0.5〜3
0の範囲にあるものを使用するのが望ましい。メルトイ
ンデックスが上記の範囲にあるものを使用することで、
印刷を施した繊維質基材表面と透明トップ層との接着強
度がより向上し、製造時の作業性も良好であると共に、
床材に要求される諸物性についても良好なノンハロゲン
床材を得ることができる。
【0012】この透明トップ層の形成方法として具体的
には、上記のような合成樹脂、及びこれに必要に応じて
添加した各種添加剤を添加した組成物を、カレンダー
法、押出法、インフレーション法等の適宜の手段により
シート化もしくはフィルム化することにより得た透明シ
ートもしくはフィルムを、印刷を施した繊維質基材表面
に重ね合わせ、加熱溶融させながら圧着する方法、上記
のような合成樹脂組成物からなるパウダーを繊維質基材
表面に散布し、これを焼結させる方法等が挙げられる。
本発明のノンハロゲン床材においては、上記のようにし
て透明トップ層を形成した場合に、繊維質基材を構成す
る繊維間に溶融した合成樹脂組成物が含浸し、その投錨
効果によって、透明トップ層が繊維質基材表面に強固に
接着するのである。
【0013】上記のようにして印刷を施した繊維質基材
表面に透明トップ層を形成した後、この繊維質基材の裏
面側には、裏打層が形成される。この裏打層について
は、特に限定されるものではなく、従来のノンハロゲン
床材の裏打層と特段に変わるものではない。具体的に
は、発泡もしくは非発泡のハロゲンを含有しない合成樹
脂層;上記したような織布、編布、不織布、紙等の繊維
質裏打材からなる層(繊維質裏打層);或いはこれらの
積層体等である。
【0014】尚、本発明のノンハロゲンの裏打層として
好適なものは、裏面に上記の繊維質裏打材を積層した上
記の透明トップ層を形成するのと同様の合成樹脂からな
る不透明層である。また、この場合、繊維質基材裏面と
上記の合成樹脂からなる不透明層との接着性を向上させ
るため、その裏面側の非接触型表面粗さ計を用いて測定
した凹凸数は200〜350個/10mm、平均凹凸深
さは50μm以上、固有粗さ値は40000以上となっ
ている繊維質基材を使用するのが望ましい。このような
裏打層を形成した場合には、繊維質基材の表面及び裏面
に、同様の合成樹脂層が形成されていることにより、反
りが発生し難く、また、最裏面には繊維質裏打材が存在
することにより、本発明床材を床面に設置する際に使用
する接着剤に格別の制限を受けないという利点もある。
【0015】このような裏打層を形成する方法として具
体的には、上記のような合成樹脂、及びこれに必要に応
じて添加された各種添加剤を添加した組成物を、カレン
ダー法、押出法等の適宜の手段によりシート化すること
により得た発泡もしくは非発泡の不透明シートを繊維質
基材裏面に重ね合わせ、加熱溶融させながら圧着する方
法、上記のような合成樹脂組成物からなるパウダーを繊
維質基材裏面に散布し、これを焼結させる方法、発泡性
合成樹脂粒子を繊維質基材の裏面に散布し、これを加熱
発泡・焼結させる方法、上記の合成樹脂組成物を押出機
のTダイより繊維質基材の裏面に押し出して、圧着・冷
却させる方法、適宜の接着剤を用いて積層(いわゆるド
ライラミネートであってもよいし、ウェットラミネート
であってもよい)。
【0016】また、上記の合成樹脂層の裏面に繊維質裏
打材を積層する手段としては、上記のようにして形成し
た合成樹脂層の裏面側を加熱溶融させながら繊維質裏打
材を重ねて圧着する方法、上記のようにして合成樹脂組
成物を押出機のTダイより繊維質基材の裏面上に押し出
した後、当該合成樹脂組成物が溶融状態にあるうちに繊
維質基材を重ね合わせて圧着し、冷却する方法、繊維質
基材裏面に散布した合成樹脂パウダーを焼結させるとき
に繊維質裏打材を重ね合わせ、圧着する方法、発泡性合
成樹脂粒子を繊維質基材裏面に散布し、これを加熱発泡
・焼結させるときに繊維質基材を重ね合わせ、圧着する
方法、適宜の接着剤を用いて積層する方法(いわゆるド
ライラミネートであってもよいし、ウェットラミネート
であってもよい)する方法、等が挙げられる。
【0017】上記のようにして得られた本発明のノンハ
ロゲン床材は、従来のノンハロゲン床材と同様に、表面
にエンボス加工を施したり、表面強度向上、表面の艶調
整、耐シガレット性向上等を目的とした表面処理層を形
成することもできる。
【実施例】
【0018】以下に、本発明の具体的な実施例を挙げる
が、本発明は、以下に示す実施例に限定されるものでは
ない。
【0019】〔実施例1〕非接触型表面粗さ計を用いて
測定した表面の凹凸数が296個/10mm、平均凹凸
深さが56μm、固有粗さ値が76200であるポリエ
ステル不織布(商品名「ダイヤプリント D−803
5」;三菱製紙社製)の表面に、グラビア印刷機を用い
て木目模様を印刷し、次いで、エチレン−メチルメタク
リレート共重合樹脂(商品名「アクリフト WD20
1;住友化学社製)パウダー(30メッシュ通過)を散
布し、焼結させて、透明トップ層を形成し、この表面に
エンボスを施した。
【0020】次に、上記のポリエステル不織布の裏面
に、裏面側を加熱溶融させてから繊維質裏打材(ポリエ
ステル不織布)を圧着することにより裏面側に繊維質裏
打材を積層したポリエチレン発泡シートを、ホットメル
ト系接着剤を用いて施工し、本発明のノンハロゲン床材
を得た。
【0021】得られたノンハロゲン床材は、表面の印刷
模様が、商品化するのに充分な鮮明さで施されており、
かつ、繊維質基材表面と透明トップ層との接着性にも優
れるものであった。
【0022】尚、上記のようにして得られたノンハロゲ
ン床材の部分拡大断面図を図1に示す。図中の符号1
は、実施例1で得られたノンハロゲン床材、符号11は
繊維質基材(ポリエステル不織布)、符号11aは印刷
模様、符号12は透明トップ層、符号13は裏打層の内
の合成樹脂層(ポリエチレン発泡層)、符号14は繊維
質裏打材をそれぞれ示している。
【0023】〔実施例2〕非接触型表面粗さ計を用いて
測定した表面の凹凸数が296個/10mm、平均凹凸
深さが56μm、固有粗さ値が76200であるポリエ
ステル不織布(商品名「ダイヤプリント D−803
5」;三菱製紙社製)の表面に、グラビア印刷機を用い
て木目模様を印刷し、次いで、エチレン−メチルメタク
リレート共重合樹脂(商品名「アクリフト WD20
1;住友化学社製)パウダー(30メッシュ通過)を散
布し、焼結させて、透明トップ層を形成し、この表面に
エンボスを施した。
【0024】次に、このポリエステル不織布の裏面に、
表1に示す配合からなる発泡性合成樹脂粒子を散布し、
加熱して、発泡・焼結させて合成樹脂発泡層を形成し
た。
【0025】
【表1】
【0026】得られたノンハロゲン床材は、表面の印刷
模様が、商品化するのに充分な鮮明さで施されており、
かつ、繊維質基材表面と透明トップ層との接着性にも優
れるものであった。
【0027】尚、上記のようにして得られたノンハロゲ
ン床材の部分拡大断面図を図1に示す。図中の符号2
は、実施例1で得られたノンハロゲン床材、符号21は
繊維質基材(ポリエステル不織布)、符号21aは印刷
模様、符号22は透明トップ層、符号23は裏打層とし
ての合成樹脂層(ポリエチレン発泡粒子層)、をそれぞ
れ示している。
【0028】〔比較例1〕繊維質基材を、非接触型表面
粗さ計を用いて測定した表面の凹凸数が352個/10
mm、平均凹凸深さ53.8μm、固有粗さ値が318
00であるポリエステル不織布に代える以外は、実施例
1と同様にして床材を得た。
【0029】得られた床材は、表面の印刷模様が商品化
するのに充分な鮮明さで施されていたが、繊維質基材表
面と透明トップ層との接着性が極めて劣り、容易に剥離
してしまった。
【0030】〔比較例2〕繊維質基材を、非接触型表面
粗さ計を用いて測定した表面の凹凸数が373個/10
mm、平均凹凸深さが49.7μm、固有粗さ値が46
700であるポリエステル繊維に代える以外は、実施例
1と同様にして床材を得た。
【0031】得られた床材は、繊維質基材と透明トップ
層との接着性に優れていたが、表面の印刷模様の印刷状
態が悪く、商品化するには不適当なものであった。
【0032】
【発明の効果】以上述べた通り、本発明のノンハロゲン
床材は、特定の繊維質基材を用いているので、従来より
一般的に行われている中引層の形成等を行わずとも直接
印刷することができ、また、その表面に透明トップ層を
形成する際にも、コロナ放電処理やプライマー処理等を
必要とはしない。従って、ノンハロゲン床材でありなが
ら、簡易な製造工程で製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明ノンハロゲン床材の一実施例を示す部分
拡大断面図である。
【図2】本発明ノンハロゲン床材の他の一実施例を示す
部分拡大断面図である。
【符号の説明】
1,2 ノンハロゲン床材 11,21 繊維質基材 12,22 透明トップ層

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷を施した繊維質基材の表面にはハロ
    ゲンを含有しない合成樹脂からなる透明トップ層が形成
    され、繊維質基材の裏面には裏打層が形成されてなるノ
    ンハロゲン床材であって、 繊維質基材が、非接触型表面粗さ計を用いて測定した表
    面の凹凸数が200〜350個/10mm、平均凹凸深
    さが50〜80μm、固有粗さ値が40000〜120
    000の範囲にある繊維質基材であることを特徴とする
    ノンハロゲン床材。
  2. 【請求項2】 透明トップ層を形成する合成樹脂が、メ
    ルトインデックスが0.5〜30のオレフィン系樹脂で
    ある請求項1記載のノンハロゲン床材。
  3. 【請求項3】 裏打層が、その裏面に繊維質裏打材が積
    層されたハロゲンを含有しない合成樹脂からなる不透明
    層である請求項1又は2記載のノンハロゲン床材。
  4. 【請求項4】 非接触型表面粗さ計を用いて測定した表
    面の凹凸数が200〜350個/10mm、平均凹凸深
    さが50〜80μm、固有粗さ値が40000〜120
    000の範囲にある繊維質基材の表面に印刷を施した
    後、その表面にハロゲンを含有しない合成樹脂からなる
    透明トップ層を形成し、次いで、上記繊維質基材の裏面
    に裏打層を形成することを特徴とするノンハロゲン床材
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101891760B1 (ko) 2016-02-17 2018-08-30 김동환 쓰레기 봉투

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