JP2004017447A - 紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器 - Google Patents

紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器 Download PDF

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山口 幸伸
Kenichi Endo
遠藤 憲一
Kazuyuki Takazawa
高澤 和幸
Masahiro Yoshikawa
吉川 正浩
Mineo Mukai
向井 峰夫
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Abstract

【課題】紙を基材とする積層体で作製される各種の紙容器の分野において、レトルト殺菌処理や電子レンジなどによる加熱を安全に行うことのできる耐熱性、耐水性、耐内容物性を備え、且つ残留溶剤の問題もない紙容器用積層体及びそれを用いた紙容器を提供する。
【解決手段】紙容器用積層体を、例えば、紙1と該紙1に積層されたポリプロピレン系樹脂層2a,2b を有する積層体で形成し、該紙1には、密度が0.70〜1.00g/cmの紙を用い、また、該ポリプロピレン系樹脂層2a,2b は、アンカーコート剤を介在させずに紙面に押し出しコートなどで積層して構成する。尚、前記紙1のポリプロピレン系樹脂積層面はスムースター平滑度が30〜60cmであることが更に好ましい。そして、この紙容器用積層体を成形して紙容器を作製する。
【選択図】     図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器に関し、特に、電子レンジ加熱やレトルト殺菌処理などに耐える耐熱性などの性能を備えた紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、内容物を密封する紙容器としては、丸形、角形などのカップ型紙容器のほか、ゲーベルトップタイプやブリックタイプなどの箱型紙容器などがあり、これらの紙容器の材料には、通常、紙を基材とし、その容器の内側となる面または両側の面に低密度ポリエチレンなどの熱接着性、耐水性などを有する熱可塑性樹脂を積層した積層体が使用されていた。
このような紙容器は、紙を主体とすることから、使用後の廃棄処理の際、焼却も容易であり、また、紙を分離、リサイクルすることも比較的容易であることから、用途も益々拡大する方向にあり、例えば、内容物の充填後、レトルト殺菌処理を施すとか、内容物を取り出す際、電子レンジで再加熱するような内容物の容器としても、安全に使用できることが求められるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、レトルト殺菌処理では、例えば、120〜135℃の高温に加熱されるため、前記のような紙容器では、紙に積層される熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレンなどの場合、耐熱性が不足することから使用できない問題があった。
このような問題を解決するため、紙に積層する熱可塑性樹脂を耐熱性の高いポリプロピレンに変更することが考えられるが、例えば、紙にポリプロピレンを押し出しコートした場合、その積層強度が低密度ポリエチレンの場合よりも弱くなる傾向があり、容器の製造の際のホットエアーやフレームシーラーなどの熱接着のための加熱により、紙とポリプロピレンの積層面に剥がれを発生する問題があった。
【0004】
紙にポリプロピレンを押し出しコートする際の積層強度を向上させる方法として、例えば、ポリプロピレンを押し出しコートする前に、紙面にアンカーコートを施す方法があるが、アンカーコート剤は、通常有機溶剤系であり、コート面が紙の場合、特に浸透しやすく、残留溶剤が多くなり、食品用容器には適さない問題があった。
また、アンカーコート剤を使用することによるコストアップや作業負荷の増大などの問題もあった。
【0005】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器であって、残留溶剤の問題がなく、各種飲料やスープ、その他食品類などを安全に密封包装することができると共に、内容物の密封後、レトルト殺菌処理や、内容物の電子レンジなどによる再加熱にも耐える耐熱性などの性能を備えた紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器を生産性よく提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、耐熱性紙容器に用いる紙を基材とする積層体であって、該積層体が、少なくとも紙と、その一方の面に積層されたポリプロピレン系樹脂層とを有し、該紙が密度0.70〜1.00g/cm3 の紙であって、且つ該ポリプロピレン系樹脂層が、アンカーコート剤を介在させずに該紙面に積層されていることを特徴とする紙容器用積層体からなる。
【0007】
本発明において、紙容器用積層体の基材に用いる紙は、密度が0.70〜1.00g/cm3 の範囲であることが、紙容器の成形を良好に行い、且つ、必要な性能を紙容器に付与できると共に、紙面に積層するポリプロピレン系樹脂層を、例えば押し出しコートまたは共押し出しコートなどにより、アンカーコートなしで接着性よく積層できる点で適当である。
また、このような紙の表面には、ポリプロピレン系樹脂層を積層する際、フレーム処理、コロナ放電処理、オゾン処理などを施すことにより、その接着性を一層向上させることができる。
前記紙の密度が0.70未満の場合は、紙の繊維間の結合力が弱くなり、紙の層内剥離や割れが発生しやすくなると共に、レトルト殺菌処理を施すと紙の端面からの水分吸収が極端に多くなるため好ましくない。また、密度が1.00g/cm3 を超える場合は、繊維間が締まった状態になり、剛性も強くなり、例えば、紙カップ型容器を作製する場合、トップカールなどの成形適性が低下し、また、ゲーベルトップタイプやブリックタイプなどの箱型容器の場合は、押し罫の効果が低下し、折り曲げ適性の低下や、箱の起きトルクの増大を生じ、容器の成形適性が低下するため好ましくない。
【0008】
また、前記ポリプロピレン系樹脂としては、紙との積層強度を強くするため、MFR(メルトフローレート)が高く、熱流動性のよいポリプロピレン系樹脂が適しており、MFRの高いポリプロピレンであればホモポリマーであってもよく、その他、プロピレンとエチレンなどαオレフィンとの共重合体で、エチレンなどのコモノマーの含有量が15モル%以上のものや、ポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはエステル単量体などをグラフト重合または共重合したポリプロピレン系樹脂を好適に使用することができる。
前記グラフト重合方法としては、例えば、キシレンなどにポリプロピレンを加熱溶解し、有機過酸化物で前記グラフト成分をグラフト重合する方法、またはポリプロピレンに有機過酸化物と共に前記グラフト成分を加えて加熱溶融し、溶融グラフト変性する方法などを採ることができる。
【0009】
前記グラフト成分としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはエステルなどの単量体があり、具体的には、アクリル酸、メタアクリル酸、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸、マレイン酸無水物、フマル酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−無水物、シトラコン酸、シトラコン酸無水物、クロトン酸、クロトン酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸マグネシウムなどが挙げられる。これらの中でも、コストおよび変性の容易さなどから無水マレイン酸をポリプロピレンにグラフト変性したポリプロピレン系樹脂を好適に使用することができる。
【0010】
以上のようなポリプロピレン系樹脂は、自己同士の熱接着性はもとより、紙に対する熱接着性も比較的よく、また、熱流動性も良好であるため、押し出しコートや共押し出しコートなどにより、紙表面の繊維間など凹凸部に容易に押し込んで接着性よく積層することができる。
また、このようなポリプロピレン系樹脂は、紙容器用積層体で作製する紙容器の形状や用途により、前記紙の一方の面(容器の内側となる面)のみに積層してもよいが、例えば、紙容器に内容物を密封後、レトルト殺菌処理を施すような場合は、紙容器用積層体の両面が、熱接着性(ヒートシール性)と共に、耐熱性、耐水性などを有することが必要であり、その場合には、前記紙の両面にポリプロピレン系樹脂を積層することができる。
【0011】
また、共押し出しコート法で前記ポリプロピレン系樹脂を紙に積層する場合は、紙面側に前記ポリプロピレン系樹脂を用い、他方には、特に限定はされないが、通常のポリプロピレンホモポリマー、または共重合ポリプロピレンの場合は、例えばコモノマーの含有量が少なく、紙面側に用いたポリプロピレン系樹脂よりも融点の高いポリプロピレン樹脂を用いることが好ましく、それにより紙との接着性がよく、且つ表面の耐熱性などに一層優れた紙容器用積層体を生産性よく製造することができる。
【0012】
前記のような構成を採ることにより、紙容器への成形性、熱接着性がよく、且つ、紙容器に必要な剛性、耐熱性、耐水性などの性能を付与できると共に、前記紙にポリプロピレン系樹脂層を積層する際に、紙面にアンカーコート剤を塗布することなく良好な接着性を有するように積層できるので、残留溶剤もなく、電子レンジ加熱やレトルト殺菌処理を行う食品用紙容器にも好適に使用することのできる紙容器用積層体を生産性よく製造することができる。
【0013】
請求項2に記載した発明は、前記紙のスムースター平滑度が30〜60cmであることを特徴とする請求項1記載の紙容器用積層体からなる。
上記スムースター平滑度は、JAPAN TAPPI No5のAに規定されたスムースター(真空式)による方法で測定した値である。
【0014】
前記紙は、密度が0.70〜1.00g/cm3 であると同時に、そのポリプロピレン系樹脂層の積層面は、前記スムースター平滑度が30〜60cmであることが好ましい。
スムースター平滑度が30cm未満の場合は、表面の平滑度が高すぎて、ポリプロピレン系樹脂層を押し出しコートなどで積層した際、紙表面の凹凸部に樹脂が入りにくく、物理的な接着強度を得にくくなるため好ましくない。また、スムースター平滑度が60cmを超える場合は、表面の凹凸が大きく、ポリプロピレン系樹脂層を押し出しコートなどで積層した際、ピンホールを生じやすくなるため好ましくない。
【0015】
従って、前記のような構成を採ることにより、請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、紙面にポリプロピレン系樹脂を押し出しコートなどで積層した時、紙表面の凹凸部にポリプロピレン系樹脂を確実に押し込むことができるので、物理的な接着強度が安定して得られ、紙面に対するポリプロピレン系樹脂層の積層強度を一層確実に向上させることができる。
【0016】
請求項3に記載した発明は、前記ポリプロピレン系樹脂層が、MFR20〜50のポリプロピレン系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙容器用積層体からなる。
上記MFRは、JIS K6758ポリプロピレン試験方法の4.1メルトフローレートに準拠して測定した値である。
【0017】
前記ポリプロピレン系樹脂のMFRは20〜50の範囲が好ましく、30〜40の範囲が更に好ましい。
前記ポリプロピレン系樹脂のMFRが20未満の場合は、熱流動性が低く、押し出しコートなどで紙面に積層した際、紙表面の繊維間など凹凸部に入り込みにくくなり、物理的な接着強度を得にくくなるため好ましくない。また、前記ポリプロピレン系樹脂のMFRが50を超える場合は、熱流動性が高すぎて、均一な被膜の形成が難しくなるため好ましくない。
【0018】
このような構成を採ることにより、請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、ポリプロピレン系樹脂を押し出しコートなどで紙面に積層する際の加工適性がよく、且つ、紙表面の繊維間など凹凸部に良好に押し込みながら積層できるので、一層確実にポリプロピレン系樹脂を接着性よく紙面に積層することができる。
【0019】
また、請求項4に記載した発明は、前記ポリプロピレン系樹脂層が、ポリプロピレンに無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレン系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙容器用積層体からなる。
【0020】
このような構成を採ることにより、請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用効果に加えて、ポリプロピレン系樹脂が極性基を有するため、紙に対する親和性が増し、紙とポリプロピレン系樹脂層との接着強度を一層向上させることができる。
【0021】
請求項5に記載した発明は、前記ポリプロピレン系樹脂層が、エチレン含有量が15モル%以上のプロピレン−エチレン共重合体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙容器用積層体からなる。
【0022】
このような構成を採ることにより、請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の作用効果に加えて、ポリプロピレン系樹脂の融点が、ポリプロピレンのホモポリマーの場合よりも低くなり、樹脂自体が軟らかくなると同時に、熱接着性や熱流動性もよくなるので、押し出しコートなどの加工性が向上し、また、紙表面の凹凸部へのポリプロピレン系樹脂の押し込みも良好に行われ、紙面に対するポリプロピレン系樹脂層の接着強度を一層向上させることができる。
【0023】
そして、請求項6に記載した発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の紙容器用積層体を用いてなる紙容器である。
【0024】
前記紙容器の形状は、特に限定はされず、例えば、ゲーベルトップタイプやブリックタイプなどの箱型紙容器のほか、丸形、角形などのカップ型紙容器、或いは円筒状または角筒状の紙容器、更にはトレー状の紙容器であってもよい。
このような紙容器は、胴部などの接合部において、特に紙容器の内側に紙の端面が露出する場合は、スカイブ・ヘミング、ヘミング、テープ貼りなどの公知の端面処理方法を用いて、紙の端面を隠し、耐水性や密封性を向上させることができる。
また、前記紙容器には、内容物の取り出し口として、例えばポリプロピレン単体またはポリプロピレンをシーラント層に用いた積層体などで作製した蓋材や、プルタブ形式の開封機構などを容器の形状に応じて適宜に設けることができる。更には、紙容器にレーザー光照射や機械的手段による開封用のハーフカット線もしくはハーフカットのミシン目線などを設けて取り出し口を形成してもよい。
【0025】
このような構成を採ることにより、請求項1乃至5のいずれかに記載した紙容器用積層体の優れた成形性、熱接着性(ヒートシール性)を利用して生産性よく紙容器を製造できると共に、紙容器用積層体の優れた耐熱性、耐水性などの性能を紙容器に付与することができるので、内容物を安全に密封包装することができると共に、内容物密封後のレトルト殺菌処理や、電子レンジなどによる再加熱を安全に行うことのできる耐熱性、耐水性などの性能を備えた紙容器を提供することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図5は、それぞれ本発明の紙容器用積層体の一実施例の構成を示す模式断面図である。
また、図6は、本発明の紙容器用積層体を用いて製造される紙容器の一実施例の構成を示す斜視図であり、図7は、図6に示した紙容器の製造に用いるブランク板の平面図である。
尚、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの図面に限定されるものではない。
【0027】
図1は、本発明の紙容器用積層体の第1の実施例の構成を示す模式断面図であり、図1に示した紙容器用積層体10a は、最も簡単な構成であり、紙1の一方の面にアンカーコート剤を施すことなくポリプロピレン系樹脂層2a を押し出しコートなどにより積層して構成したものである。
このような構成の紙容器用積層体10a は、ポリプロピレン系樹脂層2a が容器の内側になるように用いることにより、カップ型の紙容器やトレー形式の紙容器などを容易に作製することができる。内容物を密封包装する場合、蓋材を別に用意することにより、例えば、紙容器の上部周縁のフランジ部などに蓋材をヒートシールして密封することができる。
このような構成を採ることにより、ポリプロピレン系樹脂層2a の積層にアンカーコート剤が用いられていないので残留溶剤の問題がなく、また、内容物が接触する紙容器の内面をポリプロピレン系樹脂層2a で形成できるので、例えば、低密度ポリエチレンが積層された紙容器用積層体と比較して耐熱性が高く、内容物を電子レンジで再加熱するような用途の紙容器にも安全に使用することができる。
【0028】
図2は、本発明の紙容器用積層体の第2の実施例の構成を示す模式断面図であり、図2に示した紙容器用積層体10b は、紙1の両方の面にアンカーコート剤を施すことなくポリプロピレン系樹脂層2a またはポリプロピレン系樹脂層2b を押し出しコートなどにより積層して構成したものである。
このような構成の紙容器用積層体10b は、紙1の両方の面にポリプロピレン系樹脂層が積層されているので、両面がヒートシール性を有すると共に、耐水性、耐内容物性などにも優れており、前記カップ型やトレー形式の紙容器は元より、ゲーベルトップタイプやブリックタイプなどの箱型紙容器、或いは、上下に蓋材または底材を設けた円筒状もしくは角筒状の紙容器など任意の形状の紙容器に使用することができる。
また、紙1の両面に積層されたポリプロピレン系樹脂層が耐熱性にも優れるため、前記内容物を電子レンジで再加熱するような用途の紙容器のほか、内容物を密封後、レトルト殺菌処理を施すような用途の紙容器にも好適に使用することができる。
【0029】
図3は、本発明の紙容器用積層体の第3の実施例の構成を示す模式断面図であり、図3に示した紙容器用積層体10c は、前記図2に示した紙容器用積層体10b の構成において、紙1の両面に積層したポリプロピレン系樹脂層のうち、一方(図において下側)のポリプロピレン系樹脂層2a の上に更にポリプロピレン樹脂層3a を積層して構成したものである。
【0030】
この場合、紙1に直接積層されるポリプロピレン系樹脂層2a 、2b には、前述したように、紙1との積層強度を強くするため、MFRが20〜50のように高く、熱流動性のよいポリプロピレン系樹脂、例えば、MFRが20〜50の範囲のプロピレンホモポリマーのほか、プロピレンとエチレンなどαオレフィンとの共重合体でエチレンなどのコモノマーの含有量が15モル%以上のポリプロピレン共重合体、或いはポリプロピレンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物またはエステル単量体などをグラフト重合または共重合したポリプロピレン系樹脂が使用される。
【0031】
従って、図3に示したような構成を採ることにより、ポリプロピレン系樹脂層2a は、前記樹脂でできるだけ薄く形成し、その上に、ポリプロピレン樹脂層3a として、所望の性能のポリプロピレン樹脂を必要な厚みで積層することにより、所望の性能を付与することができる。
このような構成を採った場合も、前記図2に示した紙容器用積層体10b と同様、カップ型やトレー形式の紙容器のほか、ゲーベルトップタイプやブリックタイプなどの箱型紙容器、或いは、上下に蓋材または底材を設けた円筒状もしくは角筒状の紙容器など任意の形状の紙容器に使用することができ、また、紙容器の用途に関しても、前記内容物を電子レンジで再加熱するような用途の紙容器、或いは、内容物を密封後、レトルト殺菌処理を施すような用途の紙容器にも好適に使用することができる。
また、このようなポリプロピレン系樹脂層2a とポリプロピレン樹脂層3a は、別々に押し出しコートして積層してもよいが、共押し出しコート法で積層することにより、それぞれを所望の厚みで一層生産性よく積層することができる。
【0032】
図4は、本発明の紙容器用積層体の第4の実施例の構成を示す模式断面図であり、図4に示した紙容器用積層体10d は、前記図3に示した紙容器用積層体10c の構成において、ポリプロピレン系樹脂層2a の上に積層したポリプロピレン樹脂層3a を、もう一方の面のポリプロピレン系樹脂層2b の上にも同様にポリプロピレン樹脂層3b として積層して構成したものである。
【0033】
このような構成を採ることにより、紙容器用積層体10d の両面を、例えば、耐熱性などに優れたポリプロピレン樹脂層3a 、3b で形成できるので、紙1に対する良好な接着性をポリプロピレン系樹脂層2a 、2b により付与できると共に、紙容器用積層体10d の耐熱性などをポリプロピレン樹脂層3a 、3b により一層優れたものにすることができる。
この場合も、ポリプロピレン系樹脂層2a とポリプロピレン樹脂層3a 、およびポリプロピレン系樹脂層2b とポリプロピレン樹脂層3b は、それぞれを逐次押し出しコートして積層してもよいが、いずれも共押し出しコート法により、それぞれを所望の厚みで生産性よく積層することができる。
【0034】
図5は、本発明の紙容器用積層体の第5の実施例の構成を示す模式断面図であり、図5に示した紙容器用積層体10e は、前記図3に示した紙容器用積層体10c の構成において、ポリプロピレン系樹脂層2a とポリプロピレン樹脂層3a の間にガスバリヤー層5を、それぞれ接着剤層4a 、4b を介して積層する形式で追加して構成したものである。
上記ガスバリヤー層5は、そのガスバリヤー性を紙容器に有効に生かすためには、紙容器用積層体10e で紙容器を作製した際、紙1の容器内側になる面にあることが好ましく、そのためには紙容器用積層体10e は、ポリプロピレン樹脂層3a が紙容器の最内層になるように使用することが好ましい。
【0035】
上記ガスバリヤー層5としては、アルミニウム箔などの金属箔のほか、アルミニウムなどの金属、またはシリカ、アルミナ、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウムなどの無機酸化物の蒸着層を延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどのポリエステルフィルムや延伸ナイロンフィルムなどのポリアミドフィルムなどに設けた蒸着フィルム、或いはエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、MXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)の延伸フィルムなどのガスバリヤー性フィルムを使用することができ、これらの中から紙容器の用途に応じて適宜選択して使用することができる。
【0036】
前記金属または無機酸化物の蒸着層は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などのPVD法、或いはプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法などのCVD法により基材フィルム上に形成することができ、その厚みは100〜1000Åの範囲が適当である。
このような金属または無機酸化物の蒸着層は、単独の層で形成してもよいが、複数の層で形成することもでき、それによりガスバリヤー性を一層向上させることができる。
また、前記金属または無機酸化物の蒸着層は、その接着性を向上させ、或いは亀裂などの損傷を防止して優れたガスバリヤー性を有効に発揮させるため、その上下の面に接着性向上層、保護層、ガスバリヤー性向上層などの目的で、反応型アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、シランカップリング剤を含有させたアクリル系樹脂、金属アルコキシドを含有させた水溶性高分子、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの樹脂層を設けて複合層としてガスバリヤー層を形成することができる。
【0037】
尚、図5に示した構成の紙容器用積層体10e を製造する方法は、例えば、接着剤層4a 、4b として、2液硬化型ポリウレタン系接着剤などのドライラミネート用接着剤を用い、予めフィルム状に製膜したポリプロピレン樹脂層3a とガスバリヤー層5をドライラミネート法で接着剤層4b を介して貼り合わせた積層フィルムと、これとは別に作製した紙1の両面にポリプロピレン系樹脂層2a 、2b を押し出しコートして積層した積層体とを用意し、その積層体のポリプロピレン系樹脂層2a 面と、前記積層フィルムのガスバリヤー層5面とをドライラミネート法で接着剤層4a を介して貼り合わせることにより製造することができる。
【0038】
また、上記とは別の製造方法として、紙容器用積層体10e の構成が一部で異なるが、例えば、ガスバリヤー層5の両面に、予めフィルム状に製膜したポリプロピレン樹脂層3a またはポリプロピレン樹脂層3a ′(3a ′は追加層のため図示されていない)をドライラミネート法で接着剤層4a または接着剤層4b を介して貼り合わせた積層フィルムと、これとは別に作製した紙1の一方の面にポリプロピレン系樹脂層2b を押し出しコートして積層した積層体とを用意し、その積層体の紙1面と、前記積層フィルムのポリプロピレン樹脂層3a ′面とを、両者の間にポリプロピレン系樹脂層2a を溶融押し出しして貼り合わせる押し出しラミネート法(サンドイッチラミネート法)で貼り合わせて製造することもできる。
【0039】
前記のような構成を採ることにより、前記図3に示した紙容器用積層体10c で説明した作用効果に加えて、紙1の容器の内側になる面に積層されたポリプロピレン系樹脂層2a と最内層となるポリプロピレン樹脂層3a との間にガスバリヤー層5が積層されているので、紙容器用積層体10e にガスバリヤー性を付与できると共に、これを用いて作製した紙容器に優れたガスバリヤー性を付与し、内容物の保存性を向上させることができる。
また、ガスバリヤー層5として、アルミニウム箔などの金属箔を使用する場合は、その内側の面に更に2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムなどを積層して、容器の成形時などに発生しやすい金属箔の亀裂やピンホールを防止することができる。
【0040】
以上、図1〜図5は、本発明の紙容器用積層体のごく基本的な構成を示したものであり、本発明は、これらに限定されるものではなく、様々な追加構成、変形構成を採ることができる。
例えば、紙容器用積層体に文字、絵柄などの印刷加工を施す場合は、図1〜図5に示した各紙容器用積層体の最外面に、適宜にコロナ放電処理やオゾン処理などの易接着性処理を施して印刷してもよく、また、印刷層を最外面ではなく内側の層に形成したい場合は、例えば、延伸または無延伸ポリプロピレンフィルムに裏刷り形式で印刷し、その印刷フィルムを、印刷面を紙1の外面に対向させ、両者の間にポリプロピレン系樹脂層2b の樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で紙1の外面に積層し、印刷層を内側の層に形成することができる。
更に、紙1の外面に積層するポリプロピレン系樹脂層2b の接着性を損なわないインキを用いることにより、紙1の外面に直接印刷し、その上にポリプロピレン系樹脂層2b を押し出しコートすることもできる。
【0041】
尚、本発明において、紙容器用積層体の基材に用いる紙1としては、前述のように、基本的には密度が0.70〜1.00g/cm3 の紙を用いるが、その表面、即ち、ポリプロピレン系樹脂層2a 、2b を積層する面は、スムースター平滑度が30〜60cmであることが好ましく、紙容器を成形し内容物を密封した後、レトルト殺菌処理を施すような場合は、更に耐水性を向上させることが好ましく、そのためには紙のステキヒト・サイズ度(JIS P8122の試験方法に準拠)を400秒以上とし、紙のエッジウィック(紙の両面にフィルムを貼り、四方をカッターで断裁して切り口を露出させ、そのサンプルを1時間水中に浸漬し、切り口より浸透した水の質量を測定し、1000mm2 の切り口面積からの浸透量に換算した値)が0.5g/1000mm2 以下になるようにすることが好ましい。
このような紙1の米坪量は、紙容器の形式や寸法により、適宜に決定してよいが、通常、80〜600g/m2 程度の範囲が適当である。
【0042】
次に、図6は、本発明の紙容器用積層体を用いて製造される紙容器の一実施例の構成を示す斜視図である。
図7は、図6に示した紙容器の製造に用いるブランク板の平面図であり、また、図6に示した紙容器の展開図でもある。
【0043】
図6に示した紙容器100は、ブリックタイプの箱型紙容器として形成したものであり、このような紙容器100は、ロール状の紙容器用積層体を成形充填機に供給し、紙容器の成形と内容物の充填およびシールをインラインで行う方法と、一旦、図7に示した構成のブランク板20を作製した後、例えば、両側の胴部シール片25a 、25b の内面同士を合掌貼り形式で熱接着して、一方に倒してスリーブ状の容器半製品を形成し、次いで、底部の熱接着および折り畳みなどを行って底部を形成し、上部の開口部から内容物を充填した後、上部の熱接着および折り畳みなどを行って紙容器100を完成させる方法の大別して二通りの方法があり、いずれの方法を採ることもできる。
只、前者の方法は、紙容器の成形と内容物の充填およびシールをインラインで行うため、装置は大がかりになるが、生産性がよく大量生産に適する方法であり、後者の方法は、ブランク板の製造を別工程で行うため、押し罫などを一層効果的に形成することができ、容器寸法が比較的大きく、しっかりした角形の紙容器を作製する場合に適する方法である。
【0044】
図7に示したブランク板20は、外形が矩形状の紙容器用積層体で形成され、上部から下部にかけて、上部シール片26、上部形成部23a 〜23e 、胴部形成部22a 〜22e 、底部形成部24a 〜24e 、底部シール片27が、この順にそれぞれ縦方向と横方向の押し罫21を介して連設され、左右の端縁部には胴部シール片25a 、25b が、それぞれ縦方向の押し罫21を介して設けられている。尚、図7において破線は総て押し罫21を示すものである。
また、上部形成部23b 、23d と底部形成部24b 、24d には、それぞれ三角形または逆三角形の押し罫21が設けられ、図6に示したブリックタイプの紙容器100を成形した時、側部の四隅に三角状の折り畳み部30を形成できるように構成されている。
上記折り畳み部30は、紙容器の使用適性や外観などを考慮して、任意の方向に折り畳んで、容器本体に熱接着して固定することができる。
【0045】
前記ブランク板20を用いて紙容器100を形成する手順は、先ず、ブランク板20を、縦方向の押し罫21を利用して容器胴部に対応する形状のマンドレルに巻き付けて角筒状とし、突き合わされた左右の端縁部の胴部シール片25a 、25b の内面同士を合掌貼り形式にホットエアなどで加熱して熱接着させ、その熱接着部を一方に倒して熱接着させ偏平にする。次いで、底部形成部24b 、24d の逆三角形の押し罫21を利用して、この部分を外側に折り出すようにくせ折りし、底部シール片27の内面をホットエアなどで加熱して、内面同士を熱接着し、その熱接着部を一方に倒して底部の両側に形成される三角状の折り畳み部を、この場合、容器の底面側に折り返して容器底面に熱接着して固定し底部を形成する。
【0046】
次に、上部の開口部から内容物を充填し、充填後、上部形成部23b 、23d の三角形の押し罫21を利用して、この部分を外側に折り出すようにくせ折りし、上部シール片26の内面をホットエアなどで加熱して、内面同士を熱接着し、その熱接着部を一方に倒して上部の両側に形成される三角状の折り畳み部30を、下側に折り返して容器側面に熱接着して上部を形成し、ブリックタイプの紙容器100を完成させることができる。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器について、実施例を示して具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0048】
(実施例1)
基材の紙に、米坪量が235g/m2 で、密度が0.88g/cm3 、両面のスムースター平滑度(平均値)が43.2cmのコップ原紙を用いて、その一方の面(容器の内側となる面)に、インラインでコロナ放電処理を施しながら、ポリプロピレン系樹脂として、MFRが42のホモポリマー系のポリプロピレン〔商品名PHA03A サンアロマー(株)製〕を用いて、厚みが30μmになるように押し出しコートして紙容器用積層体を作製し、次いで、これをカップ形状に成形して実施例1のカップ型の紙容器を作製した。
尚、上記カップ型の紙容器の容量は250mlとした。
【0049】
(実施例2)
基材の紙に、米坪量が235g/m2 で、密度が0.88g/cm3 、両面のスムースター平滑度(平均値)が43.2cmのコップ原紙を用いて、その一方の面(容器の外側となる面)に、インラインでコロナ放電処理を施しながら、ポリプロピレン系樹脂として、MFRが42のホモポリマー系のポリプロピレン〔商品名PHA03A サンアロマー(株)製〕を用いて、厚みが20μmになるように押し出しコートした後、もう一方の面(容器の内側となる面)に、予め厚み15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(以下、OPPフィルムと記載)と、厚み7μmのアルミニウム箔(以下、ALと記載)と、厚み12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載)と、厚み60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(以下、CPPフィルムと記載)とを、この順にそれぞれ2液硬化型ポリウレタン系接着剤を使用してドライラミネーション法で貼り合わせた積層フィルムを、そのOPPフィルム面を紙面に対向させて、紙面にインラインでコロナ放電処理を施しながら、押し出しラミネート法(所謂、サンドイッチラミネート法)で両者の間にポリプロピレン系樹脂として、MFRが42のホモポリマー系のポリプロピレン〔商品名PHA03A サンアロマー(株)製〕を、厚みが15μmとなるように押し出して貼り合わせ、下記構成の紙容器用積層体を得た。
【0050】
(外側)ポリプロピレン系樹脂層(厚み20μm)/紙(米坪量235g/m2 )/ポリプロピレン系樹脂層(厚み15μm)/OPPフィルム(厚み15μm)/AL(厚み7μm)/PETフィルム(厚み12μm)/CPPフィルム(厚み60μm)
【0051】
上記構成の紙容器用積層体を用いて、図6に示した構成のブリックタイプの箱型紙容器を作製することとし、図7に示した構成のブランク板を作製した後、これを箱型に成形して実施例2のブリックタイプの箱型紙容器を作製した。
尚、上記箱型紙容器の容量は250mlとし、上部シール部は、内容物としてパスタソースを充填した後、その接着面をホットエアで加熱して熱接着した。
【0052】
(実施例3)
前記実施例2で作製した紙容器用積層体の構成において、紙の内面側に押し出しラミネート法で貼り合わせた積層フィルムの構成のうち、アルミニウム箔(AL厚み7μm)のみを、アルミナを厚み400Åに蒸着したPETフィルム(厚み12μm)に変更して貼り合わせたほかは、総て実施例2と同様に加工して実施例3の紙容器用積層体およびそれを用いたブリックタイプの箱型紙容器を作製した。
【0053】
(比較例1)
前記実施例1で作製した紙容器用積層体の構成において、紙の一方の面に押し出しコートにより積層したポリプロピレン系樹脂のみを、低密度ポリエチレン(密度0.923g/cm3 、MFR3.8)に変更して積層し、紙容器用積層体を作製したほかは、総て実施例1と同様に加工して比較例1の紙容器用積層体およびそれを用いたカップ型の紙容器を作製した。
【0054】
上記紙容器用積層体の構成は、外側から、紙(米坪量235g/m2 )/低密度ポリエチレン層(厚み30μm)である。
【0055】
(比較例2)
前記実施例2で作製した紙容器用積層体の構成において、紙の両面に用いたポリプロピレン系樹脂を、低密度ポリエチレン(密度0.923g/cm3 、MFR3.8)に変更すると共に、紙の内側の押し出しラミネートに用いる前記低密度ポリエチレンは厚みを30μmとし、且つ、その内側のOPPフィルム(厚み15μm)を取り除いて、AL(厚み7μm)面に積層して紙容器用積層体を作製したほかは、総て実施例2と同様に加工して比較例2の紙容器用積層体およびそれを用いたブリックタイプの箱型紙容器を作製した。
【0056】
上記紙容器用積層体の構成は、外側から、低密度ポリエチレン層(厚み20μm)/紙(米坪量235g/m2 )/低密度ポリエチレン層(厚み30μm)/AL(厚み7μm)/PETフィルム(厚み12μm)/CPPフィルム(厚み60μm)である。
【0057】
〔試験およびその結果〕
以上のように作製した実施例1〜3、および比較例1、2の紙容器用積層体およびそれを用いて作製したカップ型またはブリックタイプの箱型紙容器を試料として、下記の試験をそれぞれ該当する試料について行った。
【0058】
(試験1)
紙とポリプロピレン系樹脂層との接着性試験
実施例1〜3で作製した紙容器用積層体について、それぞれの紙とポリプロピレン系樹脂層の積層面を強制的に剥がして、その接着性を調べたところ、いずれの試料についても紙むけを発生、即ち、ポリプロピレン系樹脂層側に紙層がむしり取られており、接着性は良好であった。
【0059】
(試験2)
電子レンジ加熱適性の試験
実施例1〜3および比較例1、2で作製した紙容器のうち、実施例2と比較例2の箱型紙容器は、その紙容器用積層体の構成の中にアルミニウム箔を使用しているため、試験の対象から除外し、実施例1と比較例1のカップ型の紙容器、および実施例3の箱型紙容器について、上部が開放された状態でそれぞれにから揚げを入れ、電子レンジで加熱した。
上記加熱試験の結果、実施例1と実施例3の紙容器では特に問題なく良好に加熱できたが、比較例1のカップ型の紙容器では内面の低密度ポリエチレン層が溶融し、電子レンジ加熱適性は不良であった。
【0060】
(試験3)
レトルト殺菌処理適性の試験
実施例2、3および比較例2で作製したブリックタイプの箱型紙容器について、それぞれにパスタソースを充填、密封し、蒸気式のレトルト釜で、温度120℃、圧力1.5×105 Pa、時間30分間の条件で加圧加熱殺菌し、空冷を主とする冷却を行った後、レトルト釜から取り出し、紙容器の損傷の有無を、シール漏れの有無、外観の劣化、紙層のふやけ現象の有無を調べてレトルト殺菌処理適性を評価した。
【0061】
上記レトルト殺菌処理を行った結果、実施例2、3の箱型紙容器は、いずれもシール漏れおよび外観の劣化がなく、また、目立った紙層のふやけ現象もなく、良好なヒートシール強度、耐熱性、耐水性、耐内容物性などの性能を有しており、レトルト殺菌処理適性は良好であった。
これに対して、比較例2の箱型紙容器は、特に表面の低密度ポリエチレン層が溶融し、外観の損傷が著しく、レトルト殺菌処理適性は不良であった。
【0062】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、紙容器用積層体およびそれを用いて製造される紙容器であって、優れた耐熱性、密封性を備えると同時に残留溶剤の問題がなく、各種の飲料やスープ、その他食品類などを安全に密封包装することができると共に、内容物の密封後、レトルト殺菌処理や、内容物の電子レンジなどによる再加熱も安全に行うことができるという、性能、使用適性に優れた紙容器用積層体およびそれを用いた紙容器を生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙容器用積層体の第1の実施例の構成を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の紙容器用積層体の第2の実施例の構成を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の紙容器用積層体の第3の実施例の構成を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の紙容器用積層体の第4の実施例の構成を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の紙容器用積層体の第5の実施例の構成を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の紙容器用積層体を用いて製造される紙容器の一実施例の構成を示す斜視図である。
【図7】図6に示した紙容器の製造に用いるブランク板の平面図である。
【符号の説明】
1 紙
2a 、2b  ポリプロピレン系樹脂層
3a 、3b  ポリプロピレン樹脂層
4a 、4b  接着剤層
5 ガスバリヤー層
10a 、10b 、10c 、10d 、10e  紙容器用積層体
20 ブランク板
21 押し罫
22a 〜22e  胴部形成部
23a 〜23e  上部形成部
24a 〜24e  底部形成部
25a 、25b  胴部シール片
26 上部シール片
27 底部シール片
28 胴部シール部
29 上部シール部
30 折り畳み部
100 紙容器

Claims (6)

  1. 耐熱性紙容器に用いる紙を基材とする積層体であって、該積層体が、少なくとも紙と、その一方の面に積層されたポリプロピレン系樹脂層とを有し、該紙が密度0.70〜1.00g/cm3 の紙であって、且つ該ポリプロピレン系樹脂層が、アンカーコート剤を介在させずに該紙面に積層されていることを特徴とする紙容器用積層体。
  2. 前記紙のスムースター平滑度が30〜60cmであることを特徴とする請求項1記載の紙容器用積層体。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂層が、MFR20〜50のポリプロピレン系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の紙容器用積層体。
  4. 前記ポリプロピレン系樹脂層が、ポリプロピレンに無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレン系樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙容器用積層体。
  5. 前記ポリプロピレン系樹脂層が、エチレン含有量が15モル%以上のプロピレン−エチレン共重合体で形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の紙容器用積層体。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の紙容器用積層体を用いてなる紙容器。
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