JP4537844B2 - エンボス付き離型紙及びそれを用いた合成皮革 - Google Patents
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前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を少なくとも含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものであることを特徴とするものである。
本発明に用いられるコーティング液は、イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含有する組成物である。
使用機器:レオメトリックス社製 ARES−2KFRTNI
測定モード:動的粘弾性の温度依存性試験、25mmパラレルプレート
測定温度範囲:−50〜150℃
振動周波数:1rad/秒
上記の条件において測定した場合の、溶融粘度が5000Pa・秒となる温度を軟化点と定義する。
次に、本発明に用いられる支持体につき説明する。支持体としては、上質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、カップ原紙などの非塗工紙の他、無機顔料塗工層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙、天然パルプを用いない合成紙なども用いることができる。特にPVCレザーの製造に用いる場合には、200℃以上の高温での加工に対する耐熱性が必要になるため、酸性紙よりも、中性紙を使用することが好ましい。酸性紙にはサイズ剤として硫酸バンドを定着剤としたロジン系サイズ剤が用いられるが、中性紙には硫酸バンドを定着剤として使用しない中性ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水琥珀酸(ASA)などの中性サイズ剤が用いられる。
本発明の離型紙を構成する電離放射線硬化膜は、上記のコーティング液を塗工して、硬化させることにより形成される。コーティング液は、固形分100重量部に対して通常10〜1000重量部の溶剤で希釈したものを使用できる。溶剤の希釈により塗工に適正な粘度、例えば、25℃において10〜3000mPa・秒の粘度を付与するとともに、これを乾燥する工程においてシリコーン化合物の適正な表面への移行を可能にする。
図1は、本発明の離型紙の製造工程の一例を示す図である。図中、1は引出ロール、2はエンボスロール、3はバックアップロール、4は巻取ロール、5は硬化性塗膜付き紙、6はエンボス付き硬化性塗膜付き紙、7はエンボス付き離型紙をそれぞれ表す。また、Aはエンボス加工工程、Bは電離放射線の照射工程をそれぞれ表す。
二種類の電離放射線硬化性組成物を下記のようにして合成して得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(degussa社製、VESTANAT、T1890)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだ後、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレートとぺンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(大阪有機化学工業社製、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させた後、酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にメチルエチルケトン256.67g及びイソホロンジイソシアネートの三量体110gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.20g、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物146.65g、エポキシアクリレート(共栄社化学社製、エポキシエステル70PA)30.08g及びジブチル錫ジラウレート0.20gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのちメチルエチルケトン412.37gを添加して冷却した。
造膜性を有する樹脂を下記のようにして合成して得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にイソボルニルメタクリレート30g、メチルメタクリレート65g、グリシジルメタクリレート5g、トルエン200gに溶解した溶液を加熱して、65℃に昇温した時、及び65℃に達してから2時間後にそれぞれ2,2’−アゾビス(2,4−ジメエチルバレロニトリル)を0.5gずつ添加し、更に65℃で5時間反応して共重合体を得た。その後空気を吹き込みながら、108℃まで断続的に昇温し、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.2g、トリフェニルホスフィン0.2gを添加した後、アクリル酸を2.5g添加して5時間反応してアクリロイル基を有する造膜性を有する樹脂aを得た。
二種類のシリコーン化合物を下記のようにして準備した。
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にメチルエチルケトン23.3g及びイソホロンジイソシアネート10g、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物20.4g、及びジブチル錫ジラウレート0.10g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.10gを仕込み、溶液中に空気を吹き込んだ後25℃で3時間反応後、80℃まで断続的に昇温しながら5時間反応して得られた反応物に、アルコール変性シリコーン(チッソ社製FMDA21)240.8gを添加してさらに5時間反応させたのちメチルエチルケトン609.3gを添加して冷却し、アクリロイル基とシリコーンを含有するシリコーン変性ウレタンアクリレート(シリコーン化合物α)を得た。
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に2−ヒドロキシエチルメタクリレート10g、スチレン40g、メタクリル変性シリコーン(チッソ社製FM0711)40g、ラウリルメルカプタン2gをメチルエチルケトン200gに溶解した溶液を加熱して、65℃に昇温した時、及び65℃に達してから2時間後にそれぞれ2,2’−アゾビス(2,4−ジメエチルバレロニトリル)を0.6gずつ添加し、更に65℃で5時間反応して共重合体を得た。これにイソホロンジイソシアネート22.2gとペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物57.1gとを25℃で3時間反応後、80℃まで断続的に昇温しながら5時間反応させて得られた付加物79.3gを添加し、80℃で5時間反応しアクリロイル基とシリコーンを有する共重合体(シリコーン化合物β)を得た。
支持体として坪量125g/m2の中性紙を用い、目止め層用の被覆材として、下記組成シリカ入りのアクリル樹脂を、バーコーターで乾燥後の塗膜厚みが5g/m2となるように塗工した。塗工後110℃で1分乾燥した。
スチレン・アクリルエマルジョン(星光ポリマー社製、X−436) 25重量部
水溶性アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、PDX−6102) 25重量部
シリカ(富士シリシア化学社製、サイシリア350) 10重量部
イソプロピルアルコール 25重量部
水 25重量部
前記の電離放射線硬化性組成物Aを30重量部、造膜性を有する樹脂aを60重量部及びシリコーン化合物βを10重量部(前述重量部はいずれも固形分重量部)を混合して組成物1を調整した。該組成物の一部をサンプリングして軟化温度を測定したところ76℃であった。
組成物1に対して、該組成物の固形分100重量部につき光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア907)を3重量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンを固形分濃度が30重量%となるように添加した。得られた混合物を目止め層を施さない中性紙に、バーコーターで塗工を行い、塗膜厚さが乾燥後約5〜10g/m2となるように塗工し、110℃で1分間加熱蒸発乾燥した。
実施例1
エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNB−637N) 100重量部
カラー
(大日本インキ化学工業(株)社製 ダイラックTV−COLOR) 15重量部
メチルエチルケトン 20重量部
ジメチルホルムアミド 10重量部
主剤 二液硬化型エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製クリスボン4070) 100重量部
硬化剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNX) 13重量部
促進剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化促進剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アクセルHM) 3重量部
溶剤 メチルエチルケトン 30重量部
実施例2
主剤 二液硬化型エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンTA−265) 100重量部
硬化剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNX) 13重量部
促進剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化促進剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アクセルHM) 3重量部
溶剤 トルエン/酢酸エチル(1/1) 25重量部
実施例3
主剤 二液硬化型エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンTA−205) 100重量部
硬化剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNX) 13重量部
促進剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化促進剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アクセルHM) 3重量部
溶剤 トルエン/酢酸エチル(1/1) 30重量部
(1)繰返し剥離性
製造した合成皮革と離型紙とを剥離する際の剥離性について、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロンRTC−1310A)を用いて合成皮革15mm幅を300mm/分の速度で離型紙から180℃剥離し、剥離強度を測定した。同様の離型紙を用いて、繰返し上記実施例と同様にして合成皮革を製造し、合成皮革と離型紙とを剥離する際の剥離性についても測定した。結果は下記表1に示される通りであった。
合成皮革を製造する前の離型紙および、その離型紙を用いて上記のようにして製造した合成皮革のシリコーン由来ケイ素存在割合を測定した。測定は、以下のようにして行った。
2 エンボスロール
3 バックアップロール
4 巻取ロール
5 硬化性塗膜付き紙
6 エンボス付き硬化性塗膜付き紙
7 エンボス付き離型紙
A エンボス加工工程
B 電離放射線の照射工程
Claims (15)
- 少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなる合成皮革製造用のエンボス付き離型紙であって、
前記電離放射線硬化膜が、
イソホロンジイソシアネートの三量体と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソホロンジイソシアネートの三量体と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソホロンジイソシアネートの三量体と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソホロンジイソシアネートの三量体と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を少なくとも含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものであり、
前記電離放射線硬化膜表面の、シリコーン由来のケイ素存在割合が5〜30%であり、離型紙を使用して合成皮革を製造する工程を5回繰返したときの、前記電離放射線硬化膜表面のシリコーン由来のケイ素存在割合が5%以上である、ことを特徴とする、エンボス付き離型紙。 - 前記電離放射線硬化膜がシリコーン化合物を含んでなる、請求項1に記載のエンボス付き離型紙。
- 前記電離放射線硬化膜に含まれるシリコーン化合物の含有量が、0.5〜20重量%である、請求項1または2に記載のエンボス付き離型紙。
- 前記前記電離放射線硬化膜が、造膜性を有する樹脂を1〜70重量%更に含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
- 前記支持体の表面に無機顔料及び造膜性を有する樹脂から成る目止め層が施されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
- 前記電離放射線硬化膜が、少なくとも二層以上の構成からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
- 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、少なくとも一層以上に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなる、請求項6に記載のエンボス付き離型紙。
- 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなる、請求項7に記載のエンボス付き離型紙。
- 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、少なくとも一層以上にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜8のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
- 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、支持体側とは反対側に配置される最上層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜9のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
- 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、
支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなり、
支持体側とは反対側に配置される最上層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜10のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。 - 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、
支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなり、
各層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜10のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。 - 請求項1〜12のいずれか一項に記載の離型紙を用いて合成皮革を製造する方法であって、離型紙上に、ペースト状のポリウレタン樹脂を塗布し、前記ポリウレタン樹脂を乾燥及び固化させた後、2液硬化型ポリウレタン系接着剤で基布を貼り合わせ、乾燥させた後、離型紙を剥離する、ことを含むことを特徴とする、方法。
- 請求項1〜12のいずれか一項に記載の離型紙を用いて合成皮革を製造する方法であって、離型紙上に、ペースト状のポリ塩化ビニルのゾルを塗布し、前記ポリ塩化ビニルゾルを加熱してゲル化させた後、さらにそのゲル化したポリ塩化ビニル上に発泡剤入りのポリ塩化ビニルゾルを塗布して発泡層を形成し、前記発泡層上に基布を貼り合わせた後、離型紙を剥離する、ことを含むことを特徴とする、方法。
- 前記剥離した離型紙を繰り返し利用して、合成皮革を製造する、請求項13または14に記載の方法。
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