JP4537844B2 - エンボス付き離型紙及びそれを用いた合成皮革 - Google Patents

エンボス付き離型紙及びそれを用いた合成皮革 Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は、エンボス付き離型紙及びそれを用いた合成皮革に関し、より詳しくは、特定組成の電離放射線硬化性のコーティング材料を用いたエンボス付き離型紙に関する。
従来、合成皮革の工程離型紙としてエンボス付きの離型紙が用いられている。また、合成皮革の素材としては、ポリウレタン(以下、PUと略す)、塩化ビニル(以下、PVCと略す)、PUとPVCとの組み合わせなどが知られている。
PUレザーの製造方法として、例えば、離型紙上にペースト状の表皮層用PU樹脂を塗工し、90〜140℃の温度で乾燥、固化させた後、二液硬化型PU系接着剤で基布と貼り合わせて、40〜70℃の熟成室内で2〜3日反応させた後に、離型紙を剥がしてPUレザーを製造する方法がある。これらのPU樹脂は、有機溶剤溶解タイプが一般的であるが、最近は環境問題から水性タイプも使われるようになってきており、その場合には、150〜180℃の高温で乾燥を行うこともある。
また、PVCレザーの製造方法として、離型紙上にPVCゾルを塗工し、200〜250℃で加熱、ゲル化させた後、PVC発泡層を形成して基布と貼り合わせ、その後、離型紙を剥がしてPVCレザーを製造する方法がある。
更に、PUとPVCとを組み合わせたレザー(セミ合皮ともいう)の製造方法としては、離型紙上にペースト状の表皮層用PU樹脂を塗工し、乾燥、固化させた後、PVC発泡層を形成して基布と貼り合わせ、その後、離型紙を剥がして製造する方法がある。
更にこれらの合成皮革を天然皮に貼り合せたスプリットレザーも知られている。
PVCレザーやセミ合皮の製造においては、シリコーン樹脂をコーティングし、さらにエンボス加工により凹凸柄が入れられた離型紙が通常用いられている。しかしながら、PVCの製膜温度が比較的高温であるため、エンボス賦型性が悪く、艶ムラも起き易いといった欠点があり、離型紙を繰返して使用することが困難であった。
これに対し、PUレザーの製造においては、PUがPVCに比較して製膜温度が低いため、ポリプロピレンや4−メチル−1−ペンテン等の熱可塑性樹脂を押出しコーティングして、さらにエンボス加工された離型紙が用いられる。PUレザー用の離型紙は、エンボス賦型性に優れ、二液硬化型PUの加工においても剥離に問題はなく、繰返し使用にも優れる。しかしながら、離型紙が熱可塑性樹脂で構成されるため、耐熱性に劣り、PVCレザー用として用いることができないといった問題があった。
このような問題から、熱可塑性樹脂を押出しコーティングした離型紙は、PVCレザー、セミ合皮用には一部でしか使われておらず、PVCレザー、PUレザーの両方に使用できる離型紙はなかった。
近年、イソデシルアクリレートのような電子線硬化性樹脂を用いエンボス柄をキャスティングしたものが、エンボス賦型性に優れしかも耐熱性に優れるため、PU、PVCのいずれにも使用されるようになってきている(特公昭63−2780号公報;特許文献1)。
しかしながら、電子線硬化性樹脂を用いるタイプの欠点として、二液硬化型PUに使われる硬化剤のイソシアネートが離型紙表面と反応して、剥離が困難となる欠点がある。
また、電子線照射により紙の強度劣化が起きるため離型紙の耐久性が低下し、繰返し使用できないといった問題もあった。
またさらに、電子線硬化性樹脂の塗工量も40〜150g/mと多いため、離型紙の製造コストも非常に高いものであった。
また、エポキシアクリレート樹脂のようなエチレン性不飽和結合を有する化合物を主成分とし、常温で固体状の樹脂を紙に塗工して未硬化の塗膜を形成しエンボス加工後、電離放射線を照射して硬化させた離型紙も提案されている(特公昭64−10626号公報;特許文献2)。
しかしながら、上記と同様に、二液硬化型PU材料を剥離することが容易ではなく、未だ実用化には至っていないのが現状である。
さらに、上記の問題、すなわち、離型紙の耐熱性、二液硬化型PUを用いた場合の剥離性を改善するために、アクリロイル基を有するシリコーン樹脂を用いる方法も提案されている(特開平5−269931号公報;特許文献3)。
しかしながら、樹脂原料が高価であるばかりでなく剥離性や加工性に劣り、未だ実用に至っていない。
特公昭63−2780号公報 特公昭64−10626号公報 特開平5−269931号公報
本発明者らは、特定の電離放射線硬化性樹脂を使用することにより、耐熱性を有し、かつ二液硬化型PU接着剤に対しても、容易に離型紙を剥離できる、との知見を得た。また、シリコーン化合物の含有量を調整することにより、繰返し合成皮革の製造に使用しても、優れた剥離性が維持さる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
従って、本発明の目的は、耐熱性を有し、かつ二液硬化型PU接着剤に対しても容易に剥離できるエンボス付き離型紙であって、エンボス賦型性に優れ、かつ、繰返しの使用においても剥離性が維持できる安価なエンボス付き離型紙を提供することにある。
本発明によるエンボス付き離型紙は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなる合成皮革製造用のエンボス付き離型紙であって、
前記電離放射線硬化膜が、
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を少なくとも含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものであることを特徴とするものである。
また、本発明の別の態様としての合成皮革は、上記離型紙を用いて製造された合成皮革であって、離型紙を剥離して得られた合成皮革の剥離表面の、シリコーン由来のケイ素存在割合が20%以下であることを特徴とするものである。
このようなコーティング液を用いて電離放射線硬化膜(エンボス形成膜)を形成することにより、耐熱性を有し、かつ二液硬化型PU接着剤に対しても容易に剥離でき、また、エンボス賦型性に優れ、かつ、繰返しの使用においても剥離性が維持できる安価なエンボス付き離型紙を実現できる。
また、本発明の別の態様としての合成皮革は、上記離型紙を用いて製造された合成皮革であって、離型紙を剥離して得られた合成皮革の剥離表面の、シリコーン由来のケイ素存在割合が20%以下である。
上記離型紙を使用することにより、合成皮革を繰返し製造した場合であっても、離型紙の優れた剥製性が保持されるため、容易に合成皮革を得ることができる。
本発明によるエンボス付き離型紙は、少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなる合成皮革製造用のエンボス付き離型紙であって、前記電離放射線硬化膜がコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものである。このコーティング液について先ず説明する。
コーティング液
本発明に用いられるコーティング液は、イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
イソシアネート化合物と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を含有する組成物である。
なお、本明細書において(メタ)アクリロイル基とはアクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味し、(メタ)アクリル化合物とはアクリル化合物及び/又はメタクリル化合物を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
本発明で用いるイソシアネート化合物とは、少なくとも1個のイソシアネート基を有する化合物であり、好ましくは2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。例えば、フェニルイソシアネート、キシリルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)等の脂環族イソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5’−ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、さらには、トリレンジイソシアネートの三量体や、トリレンジイソシアネートと活性水素化合物、例えばトリメチロールプロパンとの3:1(モル比)の反応生成物などを用いることができる。
また、好ましくは非芳香族性炭化水素環に結合したイソシアネート基を有する化合物、いわゆる脂環式イソシアネート化合物の三量体や活性水素化合物との反応生成物などを用いる。脂環式イソシアネート化合物としては、市場で入手し易いイソホロンジイソシアネートを用いるのが好ましいが、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネートなどを用いることもできる。
イソホロンジイソシアネートの三量体や、イソホロンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの3:1(モル比)の反応生成物は、本発明で用いるイソシアネート化合物として好ましく、中でもイソホロンジイソシアネートの三量体は更に好ましい。イソシアネート化合物はいくつか併用してもよい。
(メタ)アクリロイル基を有し、且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物としては、水酸基及び/又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル化合物が挙げられる。以下、「(メタ)アクリロイル基を有し且つイソシアネート化合物と反応し得る(メタ)アクリル化合物」を「特定(メタ)アクリル化合物」と略称することがある。
イソシアネート化合物と、水酸基を有する特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物は通常「ウレタンアクリレート」と呼称される。また、イソシアネート化合物と、カルボキシル基を有する特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物は、アミド基を介して重合性の(メタ)アクリロイル基が結合した構造の化合物となる。以下、これらにつき説明する。
水酸基を有する特定(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸とポリヒドロキシ化合物との反応生成物であるヒドロキシエステルが代表的な化合物である。更にはこのヒドロキシエステルの水酸基に、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド、カプロラクトン等を付加させた化合物などが挙げられる。更にはこのヒドロキシエステルの水酸基の一部をモノカルボン酸によりエステル化した化合物も挙げられる。
そのいくつかを例示すると、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等のヒドロキシ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸ジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、更にはこれらのカプロラクトン付加物、エチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物、エチレンオキシド・プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
また、エポキシアクリレートの水酸基を利用することもできる。具体的な化合物としては、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル等の1分子中に2個のエポキシを有する化合物とアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレートを挙げることができる。これらの成分は、1分子中に2個の(メタ)アクリロイル基を有するので架橋密度を向上させる作用もある。
カルボキシル基を有する特定(メタ)アクリル化合物としては、(メタ)アクリル酸そのものや、上記のヒドロキシ(メタ)アクリレートに、カルボン酸無水物、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸などを反応させた化合物などが挙げられる。
そのいくつかを例示すると、ペンタエリスリトールトリアクリレートコハク酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートコハク酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートマレイン酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートマレイン酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールトリアクリレートフタル酸モノエステル、ペンタエリスリトールトリアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートテトラヒドロフタル酸モノエステル等が挙げられる。
イソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応に際しては、イソシアネート化合物と反応し得る他の活性水素化合物を併用することもできる。即ち、(メタ)アクリロイル基を有さず、且つイソシアネート基と反応し得る化合物を併用してもよい。
このような活性水素化合物を目的に応じて選択し併用すると、得られる硬化性組成物の軟化点が高くなったり、最終的に得られる硬化塗膜の可撓性が増加する。このような活性水素含有化合物としては通常は水酸基含有化合物が用いられるが、アミノ基含有化合物やカルボキシル基含有化合物などを用いることもできる。
水酸基含有化合物としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、2−ヒドロキシエチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2,4−ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有する多価アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコールなどが用いられる。
また、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール等の高分子量ポリオールを用いることもできる。ポリエーテルポリオールとしては、ビスフェノールAやエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有するポリオール類、或いは、エチレンジアミン、トルエンジアミン等のポリアミン類に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させたもの及びテトラヒドロフランを開環重合して得られるポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸等のジカルボン酸、又はトリメリット酸、ピロメリット酸等のトリもしくはテトラカルボン酸などのカルボン酸類と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のトリオール、又はビスフェノールA、ビスフェノールF等の芳香族系ポリヒドロキシ化合物との重縮合反応によって得られるものが挙げられる。
ポリエーテルエステルポリオールとしては、ポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させたものや、エーテル基含有ジオール又はそれと他のグリコールとの混合物に、前記のジカルボン酸又はそれらの無水物を反応させたもの、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペートなどが挙げられる。ポリカーボネートポリオールとしては、多価アルコールとジメチル、ジエチル等のジアルキルカーボネートの脱アルコール縮合反応、多価アルコールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、多価アルコールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。この縮合反応に使用される多価アルコールとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオール、あるいは、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオールを挙げることができる。
また、アミノ基含有化合物(アミン化合物)としては、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン等が挙げられる。また、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコールも活性水素含有化合物として用いることができる。
また、カルボキシル基含有化合物(有機カルボン酸)としては、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、アジピン酸、セバチン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等が挙げられる。
これらの特定(メタ)アクリル化合物以外の活性水素化合物は、イソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物の特性を損わないように、特定(メタ)アクリル化合物の反応性基に対する活性水素化合物の反応性基のモル比が50%以下、特に40%以下となるように用いるのが好ましい。
イソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応は、好ましくは溶媒を用いて行う。溶媒を用いることにより反応の制御が容易となり、かつ反応生成物の粘度を調節できる。溶媒としてはこの種の反応に常用の不活性溶媒、たとえばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒などが用いられる。
反応は反応生成液中における反応生成物の濃度が30〜80重量%となるように溶媒に反応原料を加え、必要であれば反応原料に対して0.01〜0.1重量%の有機錫系触媒の存在下で50〜80℃で反応させればよい。イソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物及び場合により併用される他の活性水素化合物との仕込比率は、イソシアネート化合物のイソシアネート基1モルに対し、これと反応し得る特定(メタ)アクリル化合物及び他の活性水素化合物の官能基が0.5モル以上、特に1モル以上となるようにするのが好ましい。反応時間は通常3〜8時間程度であるが、分析により反応生成液中のイソシアネート基の含有量を追跡し、これが目標値に達した時点で反応を停止させるのが好ましい。
本発明の電離放射線硬化性組成物としては、このようにして調製されたイソシアネート化合物と特定(メタ)アクリル化合物との反応生成物であって、軟化点が40℃以上のものを用いる。電離放射線硬化性組成物の軟化点は、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上である。電離放射線硬化性組成物の軟化点が40℃より低いと、硬化前の塗膜にブロッキングを生じたり、エンボス賦型性が不良となる。
なお、本発明に規定する軟化点とは、反応生成物から溶媒を除いたものについて、下記条件により測定されたものを意味する。
使用機器:レオメトリックス社製 ARES−2KFRTNI
測定モード:動的粘弾性の温度依存性試験、25mmパラレルプレート
測定温度範囲:−50〜150℃
振動周波数:1rad/秒
上記の条件において測定した場合の、溶融粘度が5000Pa・秒となる温度を軟化点と定義する。
また、本発明の電離放射線硬化性組成物中の(メタ)アクリル基は、オレフィン性二重結合(−C=C−)の分子量を24と計算して、5重量%以上が好ましく、さらに好ましくは10重量%以上である。(メタ)アクリル基含有量が少ないと、電離放射線硬化後の架橋密度が低下し、耐溶剤性、耐熱性等が不足し、剥離不良、塩ビ製膜時の賦型ダレなどが発生する。
なお、オレフィン性二重結合の含有量は、IR、NMR等により測定されるものであるが、製造工程が既知の場合は仕込み量から計算によっても求められる。
本発明で用いられるコーティング液は、上記の成分に加え、電離放射線硬化膜表面に剥離性を付与するためにシリコーン化合物を含んでなることが好ましい。シリコーン化合物を含有する場合、電離放射線硬化膜表面(すなわち、合成皮革との剥離面)の、シリコーン由来のケイ素存在割合が5〜30%であり、かつ、離型紙を使用して合成皮革を製造する工程を5回繰返したときの、前記電離放射線硬化膜表面のシリコーン由来のケイ素存在割合が5%以上であることが好ましい。なお、本明細書において、「シリコーン由来のケイ素存在割合」とは、X線光電子分光分析(以下、XPSという)分析により離型紙表面から検出された原子のうち、ケイ素原子のAtomic%(ただし、水素原子は無視する)を意味する。電離放射線硬化膜表面のケイ素存在割合を5〜30%とすることにより、合成皮革の製造に使用しても優れた剥離性を維持することができる。また、本発明の離型紙を使用して合成皮革を製造する工程を5回繰返したときの、前記電離放射線硬化膜表面のシリコーン由来のケイ素存在割合が5%以上であれば、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造しても、離型紙の剥離性が十分維持できることが判明した。
電離放射線硬化膜に含まれるシリコーン化合物の含有量は、通常20重量%以下、好ましくは0.5〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。シリコーン化合物が20重量%より多いと塗膜がべとついたり、コストが高くなったりし、0.5重量%より少ないと剥離性の改良効果が充分ではない。
本発明で用いるシリコーン化合物は、反応性であっても非反応性であってもよい。反応性シリコーン化合物としては、(メタ)アクリロイル変性、ビニル変性、アミノ変性、メルカプト変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、フェノール変性、アルコール変性のシリコーン化合物が挙げられる。
具体的な化合物としては、(メタ)アクリロイル変性シリコーンとしては、X−22−164B、X−22−164C(信越化学工業社製)、FM−0711,FM−0721,FM0725(チッソ社製)、ビニル変性シリコーンとしては、XF40―A1987(東芝シリコーン社製)、アミノ変性シリコーンとしては、TSF4700、TSF4702、TSF4705(東芝シリコーン社製)、X−22−161AS、KF393,KF864(信越化学工業社製)、BY16−208、SF8417(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、メルカプト変性シリコーンとしては、X−22−167B、KF−2001(信越化学工業社製)、エポキシ変性シリコーンとしては、YF3965,TSF4730(東芝シリコーン社製)、KF105,X−22−169AS(信越化学工業社製)、SF8421、SF8413(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、カルボキシル変性シリコーンとしては、TSF4770、XF−A9248(東芝シリコーン社製)、X−22−162A、X−22−3701E(信越化学工業社製)、SF8418、BY16−750(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、フェノール変性シリコーンとしては、X−22−165B(信越化学工業社製)、BY16−752、BY16−150C(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、アルコール変性シリコーンとしては、TSF4750、TSF4751(東芝シリコーン社製)、BY16−848、BY16−201(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、FM−4411,FM−4425、FM−0411,FM−0425,FM−DA21(チッソ社製)等が挙げられる。
また、これらの反応性シリコーンを用いて合成したシリコーン化合物を用いても良い。合成したシリコーン化合物にはさらに反応性基を有していてもよいし、有していなくてもよい。反応性シリコーンを用いて合成するシリコーン化合物としては、(メタ)アクリロイル変性シリコーンを用いたシリコーン変性(メタ)アクリルポリマーおよびシリコーン変性(メタ)アクリレート、エポキシ変性シリコーンを用いたシリコーン変性エポキシアクリレート、アルコール変性シリコーンを用いたシリコーン変性ウレタンポリマーやシリコーン変性ウレタンアクリレート等が挙げられる。中でもシリコーン変性ウレタンアクリレートが特に好ましい。
非反応性シリコーン化合物としては、上記の反応性基を有しないシリコーン化合物が挙げられる。具体的な化合物としては、ジメチルポリシロキサンとしてはTSF451、YF3800(東芝シリコーン社製)、KF96A(信越化学工業社製)、SH200(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、メチルフェニルポリシロキサンとしてはTSF433,TSF434(東芝シリコーン社製)、SH510、SH702(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ポリエーテル変性シリコーンとしてはTSF4440、TSF4445(東芝シリコーン社製)、KF―351、KF−353(信越化学工業社製)、SH3746、SH3748(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、SS−2803、SS−2801(日本ユニカー社製)等が挙げられる。
これらのシリコーン化合物は、単独で用いても二種類以上用いてもよく、反応性、非反応性のものを両方用いてもよい。また他成分との相溶性等の観点から、シリコーン化合物は芳香族、脂環族、イソシアヌル酸骨格等の環構造を有するものが好ましい。環構造を有するシリコーン化合物としては、フェニル基を側鎖に導入したメチルフェニルシリコーン等のシリコーン化合物や、反応性シリコーンを用いて環構造を導入する方法も挙げられる。反応性シリコーンを用いて環構造を導入する方法としては、(メタ)アクリロイル変性シリコーンとスチレンを共重合してフェニル基を導入したシリコーン化合物、シリコーン変性ウレタンポリマーやシリコーン変性ウレタンアクリレートにジフェニルメタンジイソシアーネート、ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートの単量体やその三量体等を用いて環構造を導入したシリコーン化合物等が挙げられる。これらの環構造を有するシリコーン化合物は、さらに反応性基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
本発明においては、電離放射線硬化膜層を二層以上にすることにより、ピンホールがさらに少なくなるので、二層以上にすることが好ましい。二層以上の各層の少なくとも一層以上にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなることが好ましい。また、支持体側とは反対側に配置される最上層(すなわち、合成皮革の剥離面)にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなることがより好ましい。このように、最上層面にシリコーン化合物を含むことにより、剥離性を向上させることができ、また、繰返し離型紙を使用して合成皮革を製造しても、離型紙の剥離性が十分維持できる。なお、電離放射線硬化膜を複数層で構成する場合には、最上層以外の層は、シリコーン化合物を含んでなくとも良い。
本発明で用いられるコーティング液は、シリコーン化合物に加え、反応生成物の硬化特性を改質するために、任意成分として、造膜性を有する樹脂や無機顔料などを含有させてもよい。
この場合、最下層に無機顔料を0.5〜50重量%、特に1〜10重量%含有するとさらに好ましい。これに用いる無機顔料は、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などである。
より好ましい態様としては、支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれ、支持体側とは反対側に配置される最上層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなるものである。このように、無機顔料を支持体側の層に、そして、シリコーン化合物を支持体側とは反対の層(合成皮革の剥離面側の層)に含有させることにより、優れた剥離性を付与できる。この理由は定かではないが、例えば、無機顔料とシリコーン化合物とを同一の電離放射線硬化膜層中に含有させた場合、成膜条件によってはシリコーン化合物が無機顔料により影響を受けることがある(例えば、無機顔料へのシリコーン化合物の吸着等)からである。なお、例えば離型紙の表面にマット感を付与する等の意匠効果を重視する場合は、支持体側とは反対側に配置される最上層に無機顔料を添加してもよい。
造膜性を有する樹脂としては、メタクリル樹脂、塩素化ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタールなどを用いることができる。また、これらの造膜性を有する樹脂は、反応性基を有していてもよいし、有していなくてもよい。反応性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基、カルボキシル基、フェノール基、ヒドロキシル基等が挙げられる。基材への密着性、製膜性などからメタクリル樹脂が好ましいが、エンボス加工性の観点からガラス転移温度(Tg)が40℃以上のメタクリル樹脂が好ましく、さらにはTgが50℃以上であることが好ましく、通常のメタクリル系化合物の他に無水マレイン酸、メタクリル酸、スチレン、ヒドロキシエチルメタクリレート、マレイミド基含有メタクリレート、イソボルニル基含有メタクリレート等を共重合成分として使用することもできる。
造膜性を有する樹脂の使用量は、コーティング液中の含有量として通常70重量%以下、好ましくは1〜70重量%、さらに好ましくは20〜60重量%である。造膜性を有する樹脂が70重量%を超える場合、すなわち電離放射線硬化性組成物が30重量%より少ないと電離放射線硬化後の耐熱性が不十分となる。造膜性を有する樹脂を適量配合することにより、基材への密着性、造膜性等が改良される効果がある。
更に、コーティング液には、上述の造膜性を有する樹脂やシリコーン化合物に加えて、或いはそれらの代わりに、反応性モノマー、反応性オリゴマー、顔料、光重合開始剤、重合禁止剤、着色剤、界面活性剤などを含有させてもよい。
反応性モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどを用いるのが好ましい。
反応性オリゴマーとしては、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレートなどを用いるのが好ましい。
光重合開始剤としては、ベンゾインエチルエーテル、アセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾフェノン、p−クロロベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンなどを用いるのが好ましい。
また、塗工しやすい粘度になるように、適宜溶媒を加えて塗工する。溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒などが用いられる。
支持体
次に、本発明に用いられる支持体につき説明する。支持体としては、上質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、純白ロール紙、グラシン紙、カップ原紙などの非塗工紙の他、無機顔料塗工層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙、天然パルプを用いない合成紙なども用いることができる。特にPVCレザーの製造に用いる場合には、200℃以上の高温での加工に対する耐熱性が必要になるため、酸性紙よりも、中性紙を使用することが好ましい。酸性紙にはサイズ剤として硫酸バンドを定着剤としたロジン系サイズ剤が用いられるが、中性紙には硫酸バンドを定着剤として使用しない中性ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー(AKD)、アルケニル無水琥珀酸(ASA)などの中性サイズ剤が用いられる。
また、エンボス加工において、賦型性が良好で充分な強度があり、かつ適度の平滑性を有するには、パルプは針葉樹パルプと広葉樹パルプの混合系であり、少なくとも針葉樹パルプが20%以上含まれており、坪量は80〜250g/mであることが好ましい。
さらにこれらの支持体上に上記の造膜性を有する樹脂、またこれらの樹脂に無機顔料を添加したものからなる目止め層が施されていると、コーティング液の染み込みによるピンホールの発生を抑えられ、平滑性も付与されるので好ましい。
目止め層を形成するために用いられる造膜性を有する樹脂としては、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、セルロース誘導体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、アミノアルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂などがあり、これらを混合して使用しても良い。
添加する無機顔料としては、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛などがあり、造膜性を有する樹脂に対して通常0.5〜70重量%となるように配合する。この目止め層は、0.5〜20g/mあればよく、少なすぎれば目止め効果を発揮せず、多すぎるとエンボス賦型性の妨げとなる。目止め材料の塗工は、後記する電離放射線硬化性樹脂組成物と同様の方法で行われる。
電離放射線硬化膜
本発明の離型紙を構成する電離放射線硬化膜は、上記のコーティング液を塗工して、硬化させることにより形成される。コーティング液は、固形分100重量部に対して通常10〜1000重量部の溶剤で希釈したものを使用できる。溶剤の希釈により塗工に適正な粘度、例えば、25℃において10〜3000mPa・秒の粘度を付与するとともに、これを乾燥する工程においてシリコーン化合物の適正な表面への移行を可能にする。
コーティング液の塗工方式としては、ダイレクトグラビアコート、リバースグラビアコート、グラビアオフセットコート、マイクログラビアコート、ダイレクトロールコート、リバースロールコート、カーテンコート、ナイフコート、エアナイフコート、バーコート、ダイコート、スプレーコートなどの公知の方法が用いられ、紙基材に塗工後、乾燥炉で溶剤を蒸発させて塗膜を形成させる。
コーティング液は、溶剤蒸発後の乾燥重量で1〜40g/m、好ましくは5〜20g/mとなるように塗工すれば良好なエンボス賦型性が得られる。
また、電離放射線硬化膜層は二層以上にすることが好ましく、二層以上とすることにより、ピンホールがさらに少なくなる。電離放射線硬化膜層を二層以上とする場合は、最下層の電離放射線硬化膜層に、無機顔料を0.5〜50重量%、特に1〜10重量%含有するのが好ましい。無機顔料は、目止め層に使用するものと同様のものを使用でき、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛等を好適に使用できる。
また、電離放射線硬化膜層には、シリコーン化合物を含有していても良い。その場合、電離放射線硬化膜層の最上層のみにシリコーン化合物が含まれても良く、また、各層に含まれていてもよい。
上記コーティング液を支持体に塗工し、乾燥した塗膜はタックフリーであるため、乾燥後は紙基材ごとブロッキングせずに巻き取ることができ、後加工のエンボスはオフラインで施すことができる。さらにエンボスロール温度とコーティング液の軟化温度を適当に設定することにより、コーティング液がエンボスロールへ付着することなく、良好な賦型性が得られる。
エンボス加工は、凹凸模様を有する金属エンボスロールを転写し賦型する方法が一般的であるが、ベルト式、平版式のプレス装置を用いても良い。エンボスロールを用いる場合、エンボスロールの雄型に対して、バックアップロールを雌型とする両面エンボスと、バックアップロールには凹凸のない片面エンボスがある。
コーティング液が塗工された支持体上に、これらのエンボス装置を用いて賦型を行う際には、電離放射線硬化性組成物の温度が50〜150℃になるように加熱する。この温度は、コーティング液に含まれる電離放射線硬化性組成物の軟化点より高く、かつ樹脂が溶融する温度より低い範囲であることが好ましい。加熱方式は、通常エンボスロールに蒸気を通すなどしてロール自体を加熱させるが、エンボス直前で前もってコーティング液を加熱させるプレヒート方式も可能である。
上記の良好なタックフリー性、賦型性を得るために、電離放射線硬化性組成物の軟化点は、先に述べた通り、40℃以上、好ましくは50℃以上である。軟化点が40℃未満であると、タックフリー性、賦型性が不十分となる。
エンボス賦型後、硬化性塗膜の側から紫外線あるいは電子線を照射し、コーティング液を塗布した硬化性塗膜を硬化させる。紫外線の光源としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、タングステンランプなどが用いられる。電子線の照射方式としては、スキャンニング方式、カーテンビーム方式、ブロードビーム方式などが用いられ、電子線の加速電圧は、50〜300kVが適当である。
離型紙を用いた合成皮革の製造方法
図1は、本発明の離型紙の製造工程の一例を示す図である。図中、1は引出ロール、2はエンボスロール、3はバックアップロール、4は巻取ロール、5は硬化性塗膜付き紙、6はエンボス付き硬化性塗膜付き紙、7はエンボス付き離型紙をそれぞれ表す。また、Aはエンボス加工工程、Bは電離放射線の照射工程をそれぞれ表す。
次に本発明で得られた離型紙を用いて合成皮革を製造する方法について説明する。公知の方法がいずれも利用できる。例えば、PUレザーの製造方法しては、離型紙上にペースト状の表皮層用PU樹脂を塗工し、110〜140℃の温度で乾燥、固化させた後、二液硬化型PU系接着剤で基布と貼り合わせて、40〜70℃の熟成室内で2〜3日反応させた後に、離型紙を剥がしてPUレザーを製造する方法がある。また、PVCレザーの製造方法としては、離型紙上にペースト状のPVCゾルを塗工し、加熱、ゲル化させた後、さらに発泡剤入りのPVCゾルを塗工、加熱し発泡層を形成して基布と貼り合わせ、その後、離型紙を剥がしてPVCレザーを製造する方法がある。
このようにして得られた合成皮革は、離型紙を剥離した側の表面のシリコーン由来のケイ素存在割合が20%以下である。離型紙を剥離して合成皮革を作製すると、その得られた合成皮革表面には離型紙から移行したある程度のシリコーン化合物が存在する。本発明者らは、この事実を、離型紙表面および合成皮革表面のXPS分析により確認した。すなわち、離型紙から移行したシリコーン化合物の量(シリコーン由来ケイ素存在割合)は、最大でも、離型紙表面のシリコーン由来ケイ素存在割合よりも小さくなることを意味するものである。本発明者らは、繰返し離型紙を用いて合成皮革を製造した場合であっても、離型紙を剥離した側の表面のシリコーン由来のケイ素存在割合が30%以下となる、との知見を得たものである。
また、上記のようにして本発明の離型紙を用いて合成皮革を繰返し製造した場合であっても、その合成皮革の剥離表面のシリコーン由来のケイ素存在割合が30%以下である。従って、繰返し離型紙を使用した場合であっても、離型紙の優れた剥製性が保持される。
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
1.電離放射線硬化性組成物の合成
二種類の電離放射線硬化性組成物を下記のようにして合成して得た。
<電離放射線硬化性組成物A>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に、酢酸エチル206.1g及びイソホロンジイソシアネートの三量体(degussa社製、VESTANAT、T1890)133.5gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだ後、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.38g、ペンタエリスリトールトリアクリレートとぺンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(大阪有機化学工業社製、ビスコート300)249.3g及びジブチル錫ジラウレート0.38gを仕込んだ。80℃で5時間反応させた後、酢酸エチル688.9gを添加して冷却した。
このようにして得られた電離放射線硬化性組成物Aは、赤外吸収スペクトル分析の結果、イソシアネート基の吸収が消滅していることを確認した。この電離放射線硬化性組成物Aから酢酸エチルを留去したものの軟化温度は43℃であった。
<電離放射線硬化性組成物B>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にメチルエチルケトン256.67g及びイソホロンジイソシアネートの三量体110gを仕込み、80℃に昇温して溶解させた。溶液中に空気を吹き込んだのち、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.20g、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物146.65g、エポキシアクリレート(共栄社化学社製、エポキシエステル70PA)30.08g及びジブチル錫ジラウレート0.20gを仕込んだ。80℃で5時間反応させたのちメチルエチルケトン412.37gを添加して冷却した。
このようにして得られた電離放射線硬化性組成物Bは、赤外吸収スペクトル分析の結果、イソシアネート基の吸収が消滅していることを確認した。この電離放射線硬化性組成物Bからメチルエチルケトンを留去したものの軟化温度は68℃であった。
2.造膜性を有する樹脂の合成
造膜性を有する樹脂を下記のようにして合成して得た。
<樹脂a>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にイソボルニルメタクリレート30g、メチルメタクリレート65g、グリシジルメタクリレート5g、トルエン200gに溶解した溶液を加熱して、65℃に昇温した時、及び65℃に達してから2時間後にそれぞれ2,2’−アゾビス(2,4−ジメエチルバレロニトリル)を0.5gずつ添加し、更に65℃で5時間反応して共重合体を得た。その後空気を吹き込みながら、108℃まで断続的に昇温し、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.2g、トリフェニルホスフィン0.2gを添加した後、アクリル酸を2.5g添加して5時間反応してアクリロイル基を有する造膜性を有する樹脂aを得た。
3.シリコーン化合物の調製
二種類のシリコーン化合物を下記のようにして準備した。
<シリコーン化合物α>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器にメチルエチルケトン23.3g及びイソホロンジイソシアネート10g、ペンタエリスリトールテトラアクリレートとペンタエリスリトールトリアクリレートの混合物20.4g、及びジブチル錫ジラウレート0.10g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.10gを仕込み、溶液中に空気を吹き込んだ後25℃で3時間反応後、80℃まで断続的に昇温しながら5時間反応して得られた反応物に、アルコール変性シリコーン(チッソ社製FMDA21)240.8gを添加してさらに5時間反応させたのちメチルエチルケトン609.3gを添加して冷却し、アクリロイル基とシリコーンを含有するシリコーン変性ウレタンアクリレート(シリコーン化合物α)を得た。
<シリコーン化合物β>
撹拌機、還流冷却器、滴下漏斗及び温度計を取り付けた反応器に2−ヒドロキシエチルメタクリレート10g、スチレン40g、メタクリル変性シリコーン(チッソ社製FM0711)40g、ラウリルメルカプタン2gをメチルエチルケトン200gに溶解した溶液を加熱して、65℃に昇温した時、及び65℃に達してから2時間後にそれぞれ2,2’−アゾビス(2,4−ジメエチルバレロニトリル)を0.6gずつ添加し、更に65℃で5時間反応して共重合体を得た。これにイソホロンジイソシアネート22.2gとペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物57.1gとを25℃で3時間反応後、80℃まで断続的に昇温しながら5時間反応させて得られた付加物79.3gを添加し、80℃で5時間反応しアクリロイル基とシリコーンを有する共重合体(シリコーン化合物β)を得た。
4.支持体の予備処理
支持体として坪量125g/mの中性紙を用い、目止め層用の被覆材として、下記組成シリカ入りのアクリル樹脂を、バーコーターで乾燥後の塗膜厚みが5g/mとなるように塗工した。塗工後110℃で1分乾燥した。
[アクリル樹脂]
スチレン・アクリルエマルジョン(星光ポリマー社製、X−436) 25重量部
水溶性アクリル樹脂(ジョンソンポリマー社製、PDX−6102) 25重量部
シリカ(富士シリシア化学社製、サイシリア350) 10重量部
イソプロピルアルコール 25重量部
水 25重量部
5.コーティング液の調製
前記の電離放射線硬化性組成物Aを30重量部、造膜性を有する樹脂aを60重量部及びシリコーン化合物βを10重量部(前述重量部はいずれも固形分重量部)を混合して組成物1を調整した。該組成物の一部をサンプリングして軟化温度を測定したところ76℃であった。
上記と同様にして、電離放射線硬化性組成物Bを80重量部、造膜性を有する樹脂aを10重量部及びシリコーン化合物αを10重量部(前述重量部はいずれも固形分重量部)を混合して組成物2を調整した。該組成物の一部をサンプリングして軟化温度を測定したところ75℃であった。
6.離型紙の作製
組成物1に対して、該組成物の固形分100重量部につき光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア907)を3重量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンを固形分濃度が30重量%となるように添加した。得られた混合物を目止め層を施さない中性紙に、バーコーターで塗工を行い、塗膜厚さが乾燥後約5〜10g/mとなるように塗工し、110℃で1分間加熱蒸発乾燥した。
次いで、組成物2の固形分100重量部につき光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア907)を3重量部、希釈溶剤としてメチルエチルケトンを固形分濃度が30重量%となるように添加した。得られた混合物を上記の組成物1からなる塗膜上に、上記と同様にして塗工し、加熱蒸発乾燥した。
その後、その塗膜表面にエンボス加工を施した。エンボスは、凹凸模様を有する金属エンボスロールに対して、雌型の付いたペーパーロールをバックアップロールとして加圧して行った。
この時のエンボスロール温度は120℃とし、支持体と乾燥塗膜に同時にエンボス加工を行い、乾燥塗膜面だけでなく、支持体の裏面側にまで良好な賦型を入れ、コーティング面だけでなく紙の裏側にまでも凹凸が充分賦型されていることを確認した。ついで出力120W/cmの高圧水銀灯を用い、600mj/cmの紫外線照射を行い、塗膜を硬化させ、離型紙を得た。
実施例1
合成皮革の表皮層となる樹脂について、下記に示す物質を計量混合しエステル系ポリウレタン溶液を調整した。
<エステル系ポリウレタン溶液の組成>
エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNB−637N) 100重量部
カラー
(大日本インキ化学工業(株)社製 ダイラックTV−COLOR) 15重量部
メチルエチルケトン 20重量部
ジメチルホルムアミド 10重量部
調整したエステル系ポリウレタン溶液を上記で得られた離型紙上に乾燥厚み20μになるようにナイフコーターにて塗布し、100℃で2分間熱風乾燥し、ポリウレタン表皮層を形成した。次いでポリウレタン表皮層上に接着剤層として、下記組成の二液硬化型ポリエステル系ポリウレタン接着剤1を乾燥厚みが40μになるようにナイフコーターで塗布し、メリヤス布を貼り合わせた。
<接着剤1の組成>
主剤 二液硬化型エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製クリスボン4070) 100重量部
硬化剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNX) 13重量部
促進剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化促進剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アクセルHM) 3重量部
溶剤 メチルエチルケトン 30重量部
この貼り合わせた物を100℃で5分間熱風乾燥し、更に48時間熟成して接着剤を反応固化した。その後、繰返し使用による離型紙の使用適性を評価する為、離型紙と剥離させ乾式PU合皮を製造する際、離型紙と合皮の(1)剥離強度、(2)剥離後の離型紙表面と合皮側表面のシリコーンの存在割合を測定した。なお、この操作を5回行い、繰返し使用による変化を確認した。
実施例2
実施例1における接着剤1の調整を下記の通りとした以外は、実施例1と同様にして合皮の製造及び評価を行った。
<接着剤2の組成>
主剤 二液硬化型エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンTA−265) 100重量部
硬化剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNX) 13重量部
促進剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化促進剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アクセルHM) 3重量部
溶剤 トルエン/酢酸エチル(1/1) 25重量部
実施例3
実施例1における接着剤1の調整を下記の通りとした以外は、実施例1と同様にして合皮の製造及び評価を実施した。
<接着剤3の組成>
主剤 二液硬化型エステル系ポリウレタン樹脂
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンTA−205) 100重量部
硬化剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボンNX) 13重量部
促進剤 二液硬化型ウレタン樹脂用硬化促進剤
(大日本インキ化学工業(株)社製 クリスボン アクセルHM) 3重量部
溶剤 トルエン/酢酸エチル(1/1) 30重量部
6.評価
(1)繰返し剥離性
製造した合成皮革と離型紙とを剥離する際の剥離性について、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロンRTC−1310A)を用いて合成皮革15mm幅を300mm/分の速度で離型紙から180℃剥離し、剥離強度を測定した。同様の離型紙を用いて、繰返し上記実施例と同様にして合成皮革を製造し、合成皮革と離型紙とを剥離する際の剥離性についても測定した。結果は下記表1に示される通りであった。
Figure 0004537844
(2)シリコーン由来ケイ素存在割合
合成皮革を製造する前の離型紙および、その離型紙を用いて上記のようにして製造した合成皮革のシリコーン由来ケイ素存在割合を測定した。測定は、以下のようにして行った。
先ず、表面分析装置として、X線光電子分光分析装置(XPS、装置名:ESCALAB 220i-XL(Thermo VG Scientific社製)を用い、離型紙および合成皮革を、任意の位置で1cm角に切出し、ステージにセットし真空引きを行い、前処理を行った。
使用X線としては、非単色化Al−Kα線を用い(出力300W)、光電子取り込み角度:90度で試料をセットし、離型紙および合皮それぞれのケイ素表面分析を行い、表面に存在するシリコーン由来ケイ素存在量を測定した。なお、測定結果のバックグラウンドの処理条件はShirley法により行った。また、上記と同様に、同様の離型紙を用いて、繰返し上記実施例と同様にして合成皮革を製造し、合成皮革と離型紙とを剥離し、それぞれのケイ素存在量を測定した。結果は下記表2に示される通りであった。
Figure 0004537844
本発明の離型紙の製造工程の一例を示す図である。
符号の説明
1 引出ロール
2 エンボスロール
3 バックアップロール
4 巻取ロール
5 硬化性塗膜付き紙
6 エンボス付き硬化性塗膜付き紙
7 エンボス付き離型紙
A エンボス加工工程
B 電離放射線の照射工程

Claims (15)

  1. 少なくとも支持体である紙と、その紙上に設けられた電離放射線硬化膜とを備え、かつ該硬化膜上にエンボス加工が施されてなる合成皮革製造用のエンボス付き離型紙であって、
    前記電離放射線硬化膜が、
    イソホロンジイソシアネートの三量体と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソホロンジイソシアネートの三量体と反応し得る(メタ)アクリル化合物とからなる反応生成物、または
    イソホロンジイソシアネートの三量体と、(メタ)アクリロイル基を有し且つイソホロンジイソシアネートの三量体と反応し得る(メタ)アクリル化合物と、(メタ)アクリロイル基を有さず且つイソシアネート基と反応し得る化合物とからなる反応生成物、
    を含んでなる、軟化点が40℃以上の電離放射線硬化性組成物を少なくとも含んでなるコーティング液を電離放射線の照射により硬化させたものであり、
    前記電離放射線硬化膜表面の、シリコーン由来のケイ素存在割合が5〜30%であり、離型紙を使用して合成皮革を製造する工程を5回繰返したときの、前記電離放射線硬化膜表面のシリコーン由来のケイ素存在割合が5%以上である、ことを特徴とする、エンボス付き離型紙。
  2. 前記電離放射線硬化膜がシリコーン化合物を含んでなる、請求項1に記載のエンボス付き離型紙。
  3. 前記電離放射線硬化膜に含まれるシリコーン化合物の含有量が、0.5〜20重量%である、請求項1または2に記載のエンボス付き離型紙。
  4. 前記前記電離放射線硬化膜が、造膜性を有する樹脂を1〜70重量%更に含んでなる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
  5. 前記支持体の表面に無機顔料及び造膜性を有する樹脂から成る目止め層が施されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
  6. 前記電離放射線硬化膜が、少なくとも二層以上の構成からなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
  7. 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、少なくとも一層以上に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなる、請求項6に記載のエンボス付き離型紙。
  8. 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなる、請求項7に記載のエンボス付き離型紙。
  9. 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、少なくとも一層以上にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜8のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
  10. 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、支持体側とは反対側に配置される最上層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜9のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
  11. 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、
    支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなり、
    支持体側とは反対側に配置される最上層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜10のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
  12. 二層以上の構成からなる前記電離放射線硬化膜において、
    支持体側に配置される最下層に無機顔料が0.5〜50重量%含まれてなり、
    各層にシリコーン化合物が0.5〜20重量%含まれてなる、請求項6〜10のいずれか一項に記載のエンボス付き離型紙。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の離型紙を用いて合成皮革を製造する方法であって、離型紙上に、ペースト状のポリウレタン樹脂を塗布し、前記ポリウレタン樹脂を乾燥及び固化させた後、2液硬化型ポリウレタン系接着剤で基布を貼り合わせ、乾燥させた後、離型紙を剥離する、ことを含むことを特徴とする、方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の離型紙を用いて合成皮革を製造する方法であって、離型紙上に、ペースト状のポリ塩化ビニルのゾルを塗布し、前記ポリ塩化ビニルゾルを加熱してゲル化させた後、さらにそのゲル化したポリ塩化ビニル上に発泡剤入りのポリ塩化ビニルゾルを塗布して発泡層を形成し、前記発泡層上に基布を貼り合わせた後、離型紙を剥離する、ことを含むことを特徴とする、方法。
  15. 前記剥離した離型紙を繰り返し利用して、合成皮革を製造する、請求項13または14に記載の方法。
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