JP3839299B2 - 高耐熱柔軟合皮離型紙 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐熱柔軟合皮離型紙に関し、さらに詳しくはエンボス加工時のクラック防止性、耐熱性、耐久性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、合成皮革用部材を製造する際には、たとえば紙の表面に離型性に優れた高融点樹脂を溶融接着してなるエンボス加工用工程紙(「高耐熱柔軟合皮離型紙」ともいう)が用いられている。このようなエンボス加工用工程紙を用いて合成皮革用部材を製造するには、たとえば、まず最初に、ニップロールとエンボスロールとの間に、工程紙を挿通させて高融点樹脂層の表面にエンボス模様あるいはシボ模様等を付ける。次いで高融点樹脂層表面に、合成皮革の原料であるPVCゾルあるいはポリウレタン溶液を塗布し、加熱硬化する。しかる後、工程紙を剥離することで、表面にエンボス模様が転写されたPVC製あるいはポリウレタン製の合成皮革用部材が得られる。
【0003】
この種のエンボス加工用工程紙における高融点樹脂としては、種々の樹脂が用いられ得るが、特に4−メチル−1−ペンテン樹脂が好ましく用いられ、また基材紙との密着性、耐久性の観点から、樹脂層は複層化されている。
たとえば、特許第2728138号には、紙と、低融点の4−メチル−1−ペンテン樹脂層(A)と、高融点の4−メチル−1−ペンテン樹脂層(B)とが、この順序で積層されてなることを特徴とするエンボス加工用工程紙が開示されている。
【0004】
さらに、詳しくは、該特許の実施例においては、紙/4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体層/4−メチル−1−ペンテン単独重合体層がこの順で積層されてなるエンボス加工用工程紙(実施例1)および、紙/4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体層/4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体層がこの順で積層されてなるエンボス加工用工程紙(実施例2)が具体的に開示されている。
【0005】
しかし、前記のような4−メチル−1−ペンテン・1−デセン共重合体層は、耐熱性には優れるものの、伸長性が不充分であり、エンボスエッジ部分で微細クラックを発生することもある。コモノマー含有量(1−デセン)を増加させることで、樹脂の伸長性は改善されるが、耐熱性が不充分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題点の解消を目的とするものである。
すなわち、本発明の目的は、耐クラック性、耐熱性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の高耐熱柔軟合皮離型紙は、4−メチル−1−ペンテンと、炭素数16〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる4−メチル−1−ペンテン系共重合体層と基材紙とからなることを特徴としている。
樹脂層を特定の4−メチル−1−ペンテン系重合体で形成することにより、耐クラック性、耐熱性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。
【0008】
本発明に係る第2の高耐熱柔軟合皮離型紙は、4−メチル−1−ペンテンと、炭素数16〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる4−メチル−1−ペンテン系共重合体層と、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層と基材紙とがこの順に積層してなることを特徴としている。
4−メチル−1−ペンテン系共重合体層と基材紙との間に、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層を介在させることにより、耐クラック性、耐熱性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。
【0009】
上記第2の高耐熱柔軟合皮離型紙においては、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層が、4−メチル−1−ペンテン系重合体と、高圧法低密度ポリエチレンとからなることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る高耐熱柔軟合皮離型紙について、さらに具体的に説明する。
第1の高耐熱柔軟合皮離型紙
本発明に係る第1の高耐熱柔軟合皮離型紙は、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と基材紙(C)とが積層してなる。
【0011】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)には、4−メチル−1−ペンテンと1種以上の炭素数16〜20のα−オレフィンとの共重合体が用いられる。
この共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、またブロック共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。
このような共重合体を合成する際に用いられる他のα−オレフィンとしては、炭素数が16〜20程度であって、かつ、直鎖状、分枝を有する鎖状、あるいは環状のα−オレフィン等が挙げられ、具体的には、たとえばヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、イコセン等の直鎖状オレフィン等が用いられる。
【0012】
これらの中でも本発明においては、炭素数16〜20の直鎖状オレフィンが好ましく、特に炭素数16〜18の直鎖状オレフィンが好ましく用いられる。
このような4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)に用いられる4−メチル−1−ペンテン系重合体には、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が、99.9〜97.3重量%、好ましくは99.2〜97.5重量%、さらに好ましくは98.8〜97.5重量%の割合で含まれていることが望ましい。また、4−メチル−1−ペンテン系重合体には、炭素数16〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位が、0.1〜2.7重量%、好ましくは0.8〜2.5重量%、さらに好ましくは1.2〜2.5重量%の割合で含まれていることが望ましい。
【0013】
また、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)を形成する際に、4−メチル−1−ペンテン系共重合体と共に、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、着色剤、無機充填剤などの各種配合剤を使用することができる。
4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)に用いられる4−メチル−1−ペンテン系共重合体は、下記のような方法で測定した融点が、通常、220〜238℃、好ましくは235〜238℃であることが望ましい。
【0014】
融点がこのような範囲にある4−メチル−1−ペンテン系共重合体を4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)に用いると、基材紙(C)の表面に4−メチル−1−ペンテン系共重合体を溶融下に押出しラミネートさせることにより、紙に充分に浸透させることができるため、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と基材紙(C)とを強固に接着させることができる。
【0015】
本発明においては、4−メチル−1−ペンテン系共重合体の融点については、示差走査型熱量計を用いて以下のような方法で測定した値で示す。
すなわち、試料を260℃で5分間加熱し、溶融させた後、20℃/分の降温速度で室温まで冷却し、結晶化させ、室温にて1分間保った後、10℃/分の昇温速度で加熱した際の試料の吸熱曲線を求め、そのピーク温度で示す。なお、本発明において用いられる試料、たとえば4−メチル−1−ペンテン共重合体には、吸熱ピークが1個ないし複数個検出される場合があるが、その場合には最高ピーク温度を融点とする。
【0016】
また、この4−メチル−1−ペンテン系共重合体のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,L)は、通常、0.01〜2000g/10分、好ましくは20〜400g/10分であることが望ましい。
また、この4−メチル−1−ペンテン系共重合体の曲げ初期弾性率(測定方法;ASTM D 790)は、通常、4000〜14000kg/cm2、好ましくは7500〜13000kg/cm2であることが望ましい。
【0017】
さらに、この4−メチル−1−ペンテン系共重合体の破断点伸び(測定方法;ASTM D 882)は、通常、50〜200%、好ましくは150〜200%であることが望ましい。
さらにまた、この4−メチル−1−ペンテン系共重合体の引張弾性率(測定方法;ASTM D 882)は、通常、10000〜20000kg/cm2、好ましくは15000〜20000kg/cm2であることが望ましい。
【0018】
このような4−メチル−1−ペンテン系共重合体を製造するには、従来より公知の種々の方法を採用することができ、たとえば、特開昭59−206,418号公報に記載された方法を利用することができる。
本発明に係る高耐熱柔軟合皮離型紙における4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)の厚さは、エンボス模様の深さに応じて適宜に選定されるが、一般的には、10〜200μm、好ましくは20〜120μm程度が適当である。
【0019】
高耐熱柔軟合皮離型紙の基材紙(C)の素材としては、たとえば天然パルプすなわち植物体から取出されたセルロース繊維の集合体たとえば、上質加工原紙、クラフト紙、晒クラフト紙、白板紙、グラシン、和紙の他、レーヨン、アセテート繊維などの有機繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、炭素繊維などの無機繊維、合成パルプなどが挙げられる。これらのうちではセルロース繊維の集合体が好ましく用いられる。このような素材からなる紙には、顔料、染料、バインダーなどが含まれていてもよい。
【0020】
高耐熱柔軟合皮離型紙の基材紙(C)の厚さは、特に限定はされないが、一般的には、50〜500μm、好ましくは100〜200μm程度が適当である。
本発明に係る第1の高耐熱柔軟合皮離型紙は、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と基材紙(C)とが積層してなる。
4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と基材紙(C)との積層は、押出ラミネート法などの常法により行うことができる。次いで、常法により、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)にエンボス模様を形成することで、クラックが入りにくい本発明に係る第1の高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。すなわち、押出ラミネート法などにより得られた積層体を、所定のエンボス模様を施した金属製ロールとゴムロールとの間を通すか、あるいは、所定のエンボス模様を施した雌雄の金属製エンボスロールを通してエンボス加工を行なってもよく、またエンボス模様を施した金属板を熱プレスすることでエンボス加工を行なってもよい。
【0021】
このような、本発明によれば、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)を特定の4−メチル−1−ペンテン系共重合体を用いて形成しているので、耐クラック性、耐熱性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。
第2の高耐熱柔軟合皮離型紙
本発明に係る第2の高耐熱柔軟合皮離型紙は、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)と基材紙(C)とがこの順に積層してなる。
【0022】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)は、前記第1の高耐熱柔軟合皮離型紙における4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と同様である。
本発明において、このようにエンボス模様、シボ模様等が転写されるPVC等の人工皮革用部材と接する層に、4−メチル−1−ペンテン系共重合体を用いると、工程紙の4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)の表面にPVCゾルあるいはポリウレタン溶液等を塗布した後、これらの塗膜を乾燥・硬化させるために所定温度で加熱しても、工程紙の4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)に付されたエンボス模様、シボ模様等にはほとんど型くずれが生じない。
【0023】
本発明に係る第2の高耐熱柔軟合皮離型紙における4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)の厚さは、エンボス模様の深さに応じて適宜に選定されるが、一般的には、5〜100μm、好ましくは10〜60μm程度が適当である。
本発明の第2の高耐熱柔軟合皮離型紙は、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と基材紙(C)との間に、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)が中間層として介在してなる。
【0024】
4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)は、4−メチル−1−ペンテン単独重合体または4−メチル−1−ペンテン系共重合体と、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)とからなる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)を構成する4−メチル−1−ペンテン系共重合体としては、4−メチル−1−ペンテンと1種以上の他のα−オレフィンとの共重合体が用いられる。
【0025】
この共重合体は、ランダム共重合体であってもよく、またブロック共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。
このような共重合体を合成する際に用いられる他のα−オレフィンとしては、通常、炭素数が12〜20程度であって、かつ、直鎖状、分枝を有する鎖状、あるいは環状のα−オレフィン等が挙げられ、具体的には、たとえば、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、イコセン等の直鎖状オレフィン等が用いられる。
【0026】
これらの中でも本発明においては、炭素数12〜20の直鎖状オレフィンが好ましく、特に炭素数16〜18の直鎖状オレフィンが好ましく用いられる。
4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)を構成する4−メチル−1−ペンテン系重合体には、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位が、99.9〜97.3重量%、好ましくは99.2〜97.5重量%、さらに好ましくは98.8〜97.5重量%の割合で含まれていることが望ましい。また、4−メチル−1−ペンテン系重合体には、炭素数12〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位が、0.1〜2.7重量%、好ましくは0.8〜2.5重量%、さらに好ましくは1.2〜2.5重量%の割合で含まれていることが望ましい。
【0027】
ここで、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)を構成する4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、前記4−メチル−1−ペンテン単独重合体または4−メチル−1−ペンテン系共重合体100重量部に対して、LDPEを、好ましくは2〜20重量部、さらに好ましくは5〜15重量部、特に好ましくは10〜15重量部の割合で含有してなる。
【0028】
高圧法低密度ポリエチレンとしては、好ましく、特に密度が0.910g/cm3から0.930g/cm3の範囲にあり、DSCで測定した融点が100℃から110℃の範囲にあり且つASTM D 1238に準じて荷重:2.16kg、温度:190℃の条件で測定したMFRが1.0g/10分から100g/10分の範囲にある高圧法低密度ポリエチレンが好ましい。このような高圧法低密度ポリエチレンとしては、たとえば三井化学(株)製ミラソンM−11(商品名)等が好ましく用いられる。
【0029】
また、この4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物のメルトフローレート(MFR;ASTM D 1238,L)は、通常、0.01〜2000g/10分、好ましくは20〜400g/10分であることが望ましい。
このような4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)を介在させると、基材紙(C)の表面に4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物を溶融下に押出しラミネートさせることにより、紙に充分に浸透させることができるため、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)と基材紙(C)とを強固に接着させることができる。また、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物は、前記した4−メチル−1−ペンテン系共重合体との相溶性に優れているので、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物(B)との間での層間剥離が生じ難く、耐久性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。
【0030】
工程紙の4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)の厚さは、エンボス模様の深さに応じて適宜に選定されるが、一般的には、5〜100μm、好ましくは10〜60μm程度が適当である。
また、本発明に係る第2の高耐熱柔軟合皮離型紙における4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と4−メチル−1−ペンテン系重合体層(B)との合計厚さは、10〜200μm、好ましくは20〜120μm程度が適当である。
【0031】
本発明に係る第2の高耐熱柔軟合皮離型紙の基材紙(C)としては、前記第1の高耐熱柔軟合皮離型紙の基材紙(C)と同様のものが用いられる。
本発明に係る第2の高耐熱柔軟合皮離型紙は、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)と基材紙(C)とがこの順に積層してなる。
【0032】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)と基材紙(C)との積層は、押出ラミネート法などの常法により行うことができる。次いで、常法により、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)にエンボス模様を形成することで、本発明に係る第2の高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。すなわち、押出ラミネート法などにより得られた積層体を、所定のエンボス模様を施した金属製ロールとゴムロールとの間を通すか、あるいは、所定のエンボス模様を施した雌雄の金属製エンボスロールを通してエンボス加工を行なってもよく、またエンボス模様を施した金属板を熱プレスすることでエンボス加工を行なってもよい。
【0033】
また、上記第2の高耐熱柔軟合皮離型紙において、4−メチル−1−ペンテン系共重合体層(A)と基材紙(C)との間に、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層(B)を介在させているので、耐クラック性、耐熱性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。
高耐熱柔軟合皮離型紙の使用方法
本発明に係る高耐熱柔軟合皮離型紙を使用して、たとえば人工皮革用部材にエンボス加工あるいはシボ加工等を施すには、まず初めに上述した方法により、高耐熱柔軟合皮離型紙の樹脂層表面に凹凸状のエンボスパターンを付ける。
【0034】
次いで、表面にエンボスパターンが付けられている高耐熱柔軟合皮離型紙の樹脂層上にPVC分散液あるいはポリウレタン溶液等を塗布した後、加熱し硬化させてPVCあるいはポリウレタン等の被膜を樹脂層上に形成させる。この際の加熱温度は、PVC被膜を形成する場合には、通常、180〜230℃程度であり、ポリウレタン被膜を形成する場合には、通常、130〜180℃程度である。
【0035】
次いで、硬化された被膜を本発明に係る高耐熱柔軟合皮離型紙から剥離させると、所望のエンボスパターン等が表面に転写された人工皮革用部材が得られる。
【0036】
【発明の効果】
本発明に係る高耐熱柔軟合皮離型紙によれば、耐クラック性、耐熱性に優れた高耐熱柔軟合皮離型紙が得られる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例においては、次ぎのような4−メチル−1−ペンテン系共重合体、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物および基材紙を用いた。
(A)4−メチル−1−ペンテン系共重合体
A1:4−メチル−1−ペンテン/ヘキサデセン共重合体(ヘキサデセン含量:1.8重量%、MFR(ASTM D1238L):100g/10分、融点:238℃)
A2:三井化学製4−メチル−1−ペンテン/デセン共重合体(商品名:DX820、デセン含量:2.3重量%、MFR(ASTM D1238L):180g/10分、融点:238℃)
A3:三井化学製4−メチル−1−ペンテン/デセン共重合体(商品名:DX350、デセン含量:3.2重量%、MFR(ASTM D1238L):100g/10分、融点:235℃)
(B)4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物
4−メチル−1−ペンテン/ヘキサデセン共重合体(ヘキサデセン含量:1.8重量%)90重量%と、高圧法低密度ポリエチレン(三井化学株式会社製、商品名ミラソンM11、密度:0.914g/cm3、MFR(ASTM D1238L):7.4g/10分)10重量%との組成物
(C)基材紙
合皮用離型紙上質紙(厚み160μm)
また、基材紙上への樹脂の積層は、以下の条件により行なった。
<押出ラミネーション成形>
押出ラミネーター:住友重機製 65mmΦ共押出ラミネーター
押出温度:C1/C2/C3/C4/XH/FP/D=300/350/320/320/320/320/320℃
ダイス巾 800mm
さらに、実施例および比較例で得られた積層体のエンボス加工性およびエンボス紙の耐久性を以下のように評価した。
「エンボス加工性評価方法」
使用プレス機械:株式会社新藤金属工業所製 50トンプレス機械
使用エンボス版1:寸法70mmX70mm×15mmの板の片面に、幅1mm、深さ145μmの縞が1mmピッチで形成されてなるエンボス版
使用エンボス版2:寸法70mmX70mm×15mmの板の片面に、幅0.5mm、深さ95μmの縞が0.5mmピッチで形成されてなるエンボス版
使用エンボス版3:寸法70mmX70mm×15mmの板の片面に、幅0.2mm、深さ34μmの縞が0.2mmピッチで形成されてなるエンボス版
上記エンボス版を予め所定温度に達するまで昇温し、安定したところでラミネート紙の樹脂層がエンボス版に接するよう乗せておき、その上にクッション用の厚み3mmのシリコンゴムシートを乗せ、更に厚み3mmの鉄板を乗せてプレスする。任意の圧力でプレス後、直ちにプレスを開放してラミネート紙を取り出しエンボス面にインクを塗布してインクのしみ出し試験を行い、樹脂層のクラック数を調べる。
【0038】
インクのしみ出しの無いものを「良」とし、インクのしみ出しの有るものを「不良」とした。
「エンボス紙の耐久性評価方法」
上記エンボス版2を用いて得られたラミネート紙のエンボス面に、PVCゾルを塗工して200℃オーブンに3分放置してキュアーし、PVCレザーを製造し、ラミ紙から剥がしてラミ紙のエンボスのへたり、クラックを調べる。更に繰り返してPVCゾルを塗工して繰り返し使用回数を調べる。
【0039】
クラックの無いものを「良」とし、クラックの有るものを「不良」とした。
また、PVCレザー表光沢に変化の無いもを「良」とし、変化が有るものを「不良」とした。
【0040】
【実施例1】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体A1を用いて、上記成形条件に従って成形速度50m/分で押出ラミネーション成形により、樹脂層(厚み:30μm)/基材の積層体を得た。
エンボス加工性の評価結果を表1に示す。
【0041】
【実施例2】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体A1を最外層、4−メチル−1−ペンテン系共重合体組成物を中間層に用いて、上記成形条件に従って成形速度80m/分で押出ラミネーション成形により、最外層(15μm)/中間層(15μm)/基材、および最外層(30μm)/中間層(30μm)/基材の積層体を得た。
【0042】
エンボス加工性の評価結果を表1に示す。またエンボス耐久性の評価結果を表2に示す。
【0043】
【比較例1】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体A2を用いて、上記成形条件に従って成形速度50m/分で押出ラミネーション成形により、樹脂層(厚み:30μm)/基材の積層体を得た。
エンボス加工性の評価結果を表1に示す。
【0044】
【比較例2】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体A3を用いて、上記成形条件に従って成形速度50m/分で押出ラミネーション成形により、樹脂層(厚み:30μm)/基材の積層体を得た。
エンボス加工性の評価結果を表1に示す。
【0045】
【比較例3】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体A2を最外層、4−メチル−1−ペンテン系共重合体組成物を中間層に用いて、上記成形条件に従って成形速度80m/分で押出ラミネーション成形により、最外層(15μm)/中間層(15μm)/基材、および最外層(30μm)/中間層(30μm)/基材の積層体を得た。
【0046】
エンボス加工性の評価結果を表1に示す。またエンボス耐久性の評価結果を表2に示す。
【0047】
【比較例4】
4−メチル−1−ペンテン系共重合体A3を最外層、4−メチル−1−ペンテン系共重合体組成物を中間層に用いて、上記成形条件に従って成形速度80m/分で押出ラミネーション成形により、最外層(15μm)/中間層(15μm)/基材、および最外層(30μm)/中間層(30μm)/基材の積層体を得た。エンボス加工性の評価結果を表1に示す。またエンボス耐久性の評価結果を表2に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003839299
【0049】
【表2】
Figure 0003839299

Claims (3)

  1. 4−メチル−1−ペンテンと、炭素数16〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる4−メチル−1−ペンテン系共重合体層と基材紙とからなることを特徴とする高耐熱柔軟合皮離型紙。
  2. 4−メチル−1−ペンテンと、炭素数16〜20のα−オレフィンとの共重合体からなる4−メチル−1−ペンテン系共重合体層と、4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層と基材紙とがこの順に積層してなることを特徴とする高耐熱柔軟合皮離型紙。
  3. 4−メチル−1−ペンテン系重合体組成物層が、4−メチル−1−ペンテン系重合体と、高圧法低密度ポリエチレンとからなることを特徴とする請求項2に記載の高耐熱柔軟合皮離型紙。
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