JP4580540B2 - 離型紙及びそれを用いて製造された合成皮革 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、離型紙及びそれを用いて製造された合成皮革に関し、更に詳しくは、合成皮革を製造するために用いる離型紙であって、合成皮革の表皮層の表面に、所謂ピーチスキン感のような外観と触感を付与できる離型紙と、それを用いて製造されたピーチスキン調の繊細な外観と触感を備えた合成皮革に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から製造されている合成皮革には、ポリウレタンレザー、セミ合皮、塩化ビニルレザー(PVCレザーともよばれる)などがある。
ポリウレタンレザーの製造方法としては、例えば、離型紙上にペースト状の表皮層用ポリウレタン樹脂を塗布し、乾燥、固化させた後、2液反応型ポリウレタン系接着剤で基布と貼り合わせて、50〜70℃の熟成室内で2〜3日反応させた後に、離型紙を剥がしてポリウレタンレザーを製造する方法がある。
【0003】
また、セミ合皮の製造方法としては、離型紙上にペースト状の表皮層用ポリウレタン樹脂を塗布し、乾燥、固化させた後、ポリ塩化ビニル発泡層を形成して基布と貼り合わせ、その後、離型紙を剥がしてセミ合皮を製造する方法がある。
そして、PVCレザーの製造方法としては、離型紙上にポリ塩化ビニルゾルを塗布し、加熱、ゲル化させた後、ポリ塩化ビニル発泡層を形成して基布と貼り合わせ、その後、離型紙を剥がしてPVCレザーを製造する方法がある。
【0004】
このような合成皮革の製造方法で使用される離型紙としては、例えば、ポリウレタンレザーの製造用には、基材紙に離型層としてポリプロピレンを厚さ20〜50μm程度に積層して形成した離型紙が使用されている。
また、セミ合皮、またはPVCレザーの製造用には、基材紙に離型層としてメチルペンテン系樹脂を厚さ20〜50μm程度に積層して形成した離型紙、または基材紙に離型層としてアクリル系樹脂を厚さ20〜120μm程度に積層して形成した離型紙が使用されている。
更に、基材紙に離型層としてシリコーン樹脂を積層した離型紙も使用されている。
また、このような離型紙には、必要に応じて種々の凹凸模様の型付け加工が施され、合成皮革の表面にその凹凸による模様付けが行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような離型紙を用いて合成皮革を製造した場合、離型紙の離型性樹脂層に型付け加工が施されている場合でも、通常は、合成皮革から離型紙を剥がす際、表皮層用合成樹脂が離型紙の離型性樹脂層から明確に分離して剥がれるため、所謂ピーチスキン感などのような繊細な外観と触感を合成皮革に付与することは困難であった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、合成皮革の製造に用いる離型紙であって、合成皮革の表皮層の表面に、所謂ピーチスキン感に優れた外観と触感を付与できる離型紙と、それを用いて製造されたピーチスキン調の繊細な外観と触感を備えた合成皮革を生産性よく提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は、以下の本発明により解決することができる。
即ち、請求項1に記載した発明は、基材紙と該基材紙の少なくとも一方の面に積層された離型性樹脂層とで形成される離型紙において、該離型性樹脂層がポリプロピレン及び/又は4−メチルペンテン−1系樹脂で形成され、該離型性樹脂層の表面に微細な凹凸が設けられると共に、該微細な凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5〜15μmで、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.5〜10μm、凹凸の平均傾斜(θa)が45°以上、90°未満であることを特徴とする離型紙からなる。
【0007】
上記4−メチルペンテン−1系樹脂としては、詳細は後で説明するが、4−メチルペンテン−1の重合体もしくは4−メチルペンテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体、または、これらに不飽和カルボン酸もしくはその誘導体によりグラフト重合変性された変性4−メチルペンテン−1重合体及び/又はポリエチレン系樹脂を適宜の量でブレンドしたブレンド樹脂を使用することができる。
【0008】
また、本発明において、離型性樹脂層の表面に設ける微細な凹凸の算術平均粗さ(Ra)、及び凹凸の平均間隔(Sm)は、JIS B 0601−1994「表面粗さ−定義及び表示」に基づいて測定した値であり、その測定条件は下記によるものである。
(測定条件)
触針の先端半径:5μm
荷重:4mN
カットオフ値:表1に記載されている標準値を選択する。
基準長さ:表2に記載されている標準値を選択する。
測定機器:表面粗さ測定装置Suftest−201〔(株)ミツトヨ製〕を使用。
【0009】
【表1】
【0010】
【表2】
【0011】
前記離型性樹脂層のポリプロピレン及び/又は4−メチルペンテン−1系樹脂は、PVCレザーやポリウレタンレザー(以下、PUレザーと略記する)などの合成皮革の製造の際、良好な離型性と耐熱性を有すると共に、その表面に微細な凹凸を設ける際の型付け適性にも優れている。
また、前記離型性樹脂層の表面には、微細な凹凸が、その算術平均粗さ(Ra)が0.5〜15μmで、凹凸の平均間隔(Sm)が0.5〜10μm、凹凸の平均傾斜(θa)が45°以上、90°未満となるように設けられており、このような微細な凹凸面に、合成樹脂、例えば合成皮革の表皮層用樹脂組成物などの合成樹脂液を塗工することにより、合成樹脂液はその微細な凹凸の凹部まで入り込む。そして、加熱乾燥などで皮膜形成させて合成樹脂層を形成した後、これを剥離することにより、微細な凹凸の凹部に入り込んだ合成樹脂は、その凹部においては、その破断強度よりも剥離時の抵抗力が大きくなるため、確実に途中で破断されて凹部の底部にその一部が残存するようになる。
【0012】
この合成樹脂の破断面は、剥離した側も残存する側も両者共、不規則で微細な凹凸形状となるため、剥離した側の合成樹脂層面、即ち、合成皮革の表皮層樹脂面は、全体が微細な凹凸を有する形状となり、この表面形状が、合成皮革の表面にピーチスキンのような外観と触感を付与するのに好適な形状であり、これにより合成皮革の表面に、所謂ピーチスキン感、即ち、ピーチスキンのような外観と触感が付与されるようになる。
また、剥離された離型紙側についても、全面に微細な凹凸が設けられており、その凹凸の凹部の底部に破断された合成樹脂が残存し、且つ、その破断面が不規則で微細な凹凸形状となるため、この離型紙を用いて合成皮革を製造することにより、その表皮層樹脂面全体に、前記剥離した側の合成樹脂層面と同様な微細な凹凸を形成することができ、これによりピーチスキン感、即ち、ピーチスキンのような外観と触感が付与される。
【0013】
従って、前記のような構成を採ることにより、良好な離型性と耐熱性を有し、且つ、合成皮革の表皮層に所謂ピーチスキン感に優れた外観と触感を付与することができ、更に、複数回、繰り返し使用することのできる離型紙を生産性よく提供することができる。
【0014】
請求項2に記載した発明は、前記離型性樹脂層の表面の微細な凹凸が、熱プレス方式で形成された凹凸であることを特徴とする請求項1に記載の離型紙からなる。
【0015】
前記離型性樹脂層のポリプロピレン及び/又は4−メチルペンテン−1系樹脂は、良好な離型性と耐熱性を有すると共に、熱可塑性樹脂であるため、熱プレス方式でその表面に前記形状の微細な凹凸を容易に形成することができる。
熱プレス方式は、▲1▼表面に前記微細な凹凸を形成するための凹凸を設けた金型ロールとニップロール(加圧ロール)を用いて、ロールプレス方式で加熱、加圧して、基材紙と離型性樹脂層の積層体の離型性樹脂層面に微細な凹凸を形成する方法、▲2▼表面に前記微細な凹凸を形成するための凹凸を設けた平板状の金型と面盤を用いて、平面プレス方式で加熱、加圧して、基材紙と離型性樹脂層の積層体の離型性樹脂層面に微細な凹凸を形成する方法、▲3▼Tダイなどの押し出しコート装置を利用して、そのチルロール(冷却ロール)の表面に前記微細な凹凸を形成可能な凹凸を設けておいて、これを金型として、基材紙の表面に離型性樹脂を膜状に押し出して、ニップロールで圧着し、積層と同時に微細な凹凸を形成する方法などを採ることができ、いずれの方法を用いてもよいが、特に▲1▼のロールプレス方式、または▲3▼の押し出しコート装置を利用する方法が、生産性に一層優れる点で好ましい。
【0016】
従って、前記のような構成を採ることにより、前記請求項1に記載した発明の作用効果に加えて、熱プレス用の金型を精度よく作製することにより、離型紙の離型性樹脂層への前記微細な凹凸の型付け加工を、安定した品質で生産性よく行うことができるので、品質に優れた離型紙を生産性よく提供することができる。
【0017】
請求項3に記載した発明は、前記離型性樹脂層の表面の微細な凹凸面が、該凹凸面に合成樹脂が塗工され、且つ、塗工により形成された合成樹脂層が剥離されることにより、該凹凸の凹部の底部に、塗工された合成樹脂の一部が破断され残存するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の離型紙からなる。
上記合成樹脂には、例えば、合成樹脂に無機、有機の微粒子を添加したものを使用することができ、それにより、合成樹脂の凝集力を低下させ、凹凸の凹部に入り込んだ合成樹脂を破断されやすくし、凹凸の凹部の底部に確実に合成樹脂を残存させ、また、破断された合成樹脂の破断面に微細な凹凸を一層形成しやすくすることができる。
【0018】
また、本発明の離型紙は、その離型性樹脂層の表面に微細な凹凸が設けられると共に、その微細な凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5〜15μmで、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.5〜10μm、凹凸の平均傾斜(θa)が45°以上、90°未満となるように設けられているので、先にも説明したように、その離型紙を用いて通常の手順で合成皮革を製造することにより、即ち、その離型紙の離型性樹脂層の上に合成皮革の表皮層用の樹脂組成物を塗工し、加熱乾燥して表皮層の皮膜を形成させ、更にその上に基布を貼り合わせた後、離型紙を剥離することにより、離型性樹脂層の微細な凹凸の凹部に入り込んだ表皮層用樹脂組成物の一部が途中で破断し、その凹部の底部に表皮層用樹脂組成物の一部が残存すると共に、その破断面が不規則で且つ微細な凹凸形状になるため、合成皮革の表面がピーチスキン感に優れた外観と触感を有するように形成され、また、剥離した離型紙も、その離型性樹脂層の微細な凹凸の凹部の底部に破断した表皮層用樹脂組成物が残存し、その破断面が不規則で且つ微細な凹凸形状となるため、その離型紙を繰り返し使用して合成皮革を製造しても、初回と同様に、ピーチスキン感に優れた外観と触感を有する合成皮革を製造することができる。只、この場合、離型紙の微細な凹凸の凹部に残存する表皮層用樹脂組成物は、離型紙の一構成成分として、例えばその離型性などの点では、必ずしも最適な材質とはいえず、更に適した材質の合成樹脂を使用することもできる。
【0019】
従って、前記のような構成を採ることにより、前記請求項1または2に記載した発明の作用効果に加えて、予め離型性樹脂層の微細な凹凸の凹部の底部に合成樹脂を残存させることができるので、合成樹脂の選択範囲が広がり、離型性など一層適した材質の合成樹脂を選定して残存させることも可能であり、一層確実にピーチスキン感に優れた外観と触感を付与できる離型紙を安定して製造できるようになる。
【0020】
そして、請求項4に記載した発明は、前記請求項1乃至3のいずれかに記載の離型紙を用いて製造された合成皮革である。
【0021】
このような構成を採ることにより、前記請求項1乃至3のいずれかに記載した発明の離型紙の離型性樹脂層の表面に形成された適する形状の微細な凹凸を利用して、合成皮革の表皮層を形成できるので、ピーチスキン調の繊細な外観と触感を備えた合成皮革を一層確実に生産性よく提供することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2は、それぞれ本発明の離型紙の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【0023】
図1に示した離型紙10は、基材紙1の上に離型性樹脂層2を積層すると共に、離型性樹脂層2の表面全体に、微細な凹凸3を設けて構成したものである。
そして、微細な凹凸3は、その凹凸面の算術平均粗さ(Ra)が0.5〜15μmで、凹凸の平均間隔(Sm)が0.5〜10μm、凹凸の平均傾斜(θa)が45°以上、90°未満となるように形成されている。
【0024】
図2に示した離型紙20は、前記図1に示した離型紙10の構成において、離型性樹脂層2の表面全体に形成された微細な凹凸3の凹部の底部に、更に、その表面が微細な凹凸形状となる合成樹脂4を充填して構成したものである。
このような合成樹脂4には、先に説明したように、PVCレザーやPUレザーなど合成皮革の製造に用いる表皮層用の樹脂組成物、即ち、各種添加剤を含むポリ塩化ビニル系またはポリウレタン系樹脂組成物などをそのまま使用してもよく、また、比較的離型性、耐熱性などのよい他の樹脂に例えば無機、有機の微粒子を添加して凝集力を弱めた樹脂組成物などを使用することができる。
【0025】
上記無機、有機の微粒子としては、例えば、無機の微粒子では、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、クレー、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、水酸化アルミニウムなどの微粒子を、また、有機の微粒子では、メラミン樹脂、4フッ化エチレン樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレンなどの微粒子を、粒径を加味し、適宜選択して使用することができる。このような微粒子の粒子径は、0.1〜2μm程度が適当である。
【0026】
このような合成樹脂4を微細な凹凸3の凹部の底部に充填する方法は、これも先に説明したように、前記樹脂組成物の液を離型紙の離型性樹脂層2の上に塗工することにより、微細な凹凸の凹部にも樹脂組成物の液が入り込む。そして、加熱乾燥などで皮膜を形成させた後、これを離型紙から剥がすことにより、微細な凹凸の凹部に入り込んだ樹脂組成物は、その凹部において、その破断強度よりも、剥離時の抵抗力が大きくなるため、途中で破断されて凹部の底部に樹脂組成物の一部が残存することになる。そして、残存した樹脂組成物の表面、即ち、破断面は、不規則で微細な凹凸を有する形状となる。
このようにして樹脂組成物、即ち、合成樹脂4を凹凸の凹部の底部に残存させることにより、表面が微細な凹凸形状となる合成樹脂4を微細な凹凸3の凹部の底部に充填することができる。
【0027】
合成樹脂4として、PVCレザーやPUレザーなど合成皮革の表皮層用の樹脂組成物を、微細な凹凸3の凹部の底部に充填する場合は、前記図1に示した構成の離型紙10を用いて、通常の手順で表皮層用の樹脂組成物を離型性樹脂層2の上に塗工し、加熱乾燥して皮膜形成し、その上に基布を貼り合わせて合成皮革を作製した後、離型紙を剥がすことにより、自動的に微細な凹凸3の凹部の底部に表皮層用の樹脂組成物が残存して、図2に示した構成の離型紙20が得られる。
従って、その後もその離型紙20を使用してピーチスキン調の外観と触感を有する合成皮革を繰り返し製造することができる。
【0028】
また、本発明の離型紙において、基材紙1には、クラフト紙、上質紙、或いは、キャストコート紙などの紙のほか、紙以外にも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、各種ナイロンなどのポリアミド、ポリプロピレンなどのプラスチックフィルム、合成紙、金属箔、織布、不織布などを使用することができ、これらは単独、または適宜積層して使用することができる。
基材紙1に離型性樹脂層2を積層する積層面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、火炎処理などの易接着性処理やプライマーコートなどを施して基材紙1と離型性樹脂層2の接着性を向上させることができる。
【0029】
離型性樹脂層2には、ポリプロピレンまたは4−メチルペンテン−1系樹脂、または両者をブレンドしたブレンド樹脂を用いることができる。
4−メチルペンテン−1系樹脂としては、4−メチルペンテン−1単独の重合体のほか、4−メチルペンテン−1と他のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、テトラデセン−1、オクタデセン−1などの炭素数2〜20のα−オレフィンとの共重合体を用いることができ、特に、4−メチルペンテン−1を97重量%以上98重量%未満、α−オレフィンを2重量%以上3重量%未満含む共重合体で、融点が236℃〜238℃、ASTM D1238に準じて荷重5.0kg、温度260℃の条件で測定したMFRが160〜200g/10min の範囲のものが好ましい。
【0030】
更に、4−メチルペンテン−1単独の重合体、もしくは前記4−メチルペンテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体90重量部に対して、不飽和カルボン酸もしくはその誘導体によりグラフト重合変性された変性4−メチルペンテン−1系重合体、及び/又は密度が0.910〜0.930g/cm3 の範囲で、DSC法で測定した融点が100〜110℃の範囲で、且つ、ASTM D1238に準じて荷重2.16kg、温度190℃の条件で測定したMFRが1.0〜100g/10min の範囲にあるポリエチレン系樹脂を10重量部程度の割合でブレンドしたブレンド樹脂などを好適に使用することができる。
このようなブレンド樹脂を用いることにより、良好な耐熱性と離型性とを維持し、且つ、押し出しコートなどの加工適性を一層向上させることができる。
【0031】
前記グラフト重合変性に用いる不飽和カルボン酸もしくはその誘導体としては、例えばマレイン酸、フマール酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸、もしくは、その誘導体として、例えば、酸無水物、イミド、アミド、エステルなどが挙げられ、具体的には、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレートなどが挙げられる。
これらの中では、不飽和のジカルボン酸またはその無水物が好適であり、特に、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物がとりわけ好適である。
【0032】
このような離型性樹脂を基材紙1の上に積層する方法は、例えば▲1▼Tダイなどを用いる押し出しコート法(単層、多層共押し出しのいずれも可)で基材紙1に積層する方法、▲2▼予め離型性樹脂をフィルム状に製膜し、これをドライラミネーション法などで基材紙1に貼り合わせる方法、▲3▼離型性樹脂を溶液もしくはディスパージョンなどの液状とし、ロールコート法、バーコート法、ナイフコート法などの方法で基材紙1に塗工し、皮膜形成させて積層する方法などを採ることができる。
【0033】
また、離型性樹脂層2は、前記のような樹脂を用いて単独の層で形成してもよいが、例えば、多層共押し出しコート法などを利用して多層で形成することもできる。
特に、離型性樹脂層2に4−メチルペンテン−1系樹脂を用いる場合は、多層共押し出しコート法を利用して、例えば2層構成で積層することにより、その加工適性を一層向上させることができ、更に、加工時の温度条件や各層の厚みを調整することで、離型紙の幅方向のカールを抑制することも可能である。
また、離型性樹脂層2の表面への前記微細な凹凸3の形成については、エンボス法など熱プレス方式で容易に形成することができる。その内容については、既に請求項2に記載した発明の項で説明したので、ここでは省略する。
【0034】
以上のような離型紙10、20を用いて合成皮革を製造する方法は、離型紙10、20の離型性樹脂層2の微細な凹凸3の形成面に、合成皮革の表皮層用の樹脂組成物液を、ナイフコート法、ロールコート法、グラビアコート法などで塗工し、加熱乾燥して表皮層の皮膜を形成した後、その上に例えばポリウレタン系などのドライラミネート用2液硬化型接着剤を塗工し、熱風乾燥などで溶剤成分を除いた後、基布を貼り合わせて更に乾燥、熟成させ、その後、離型紙を剥がす方法で表面に微細な凹凸が賦型された合成皮革を製造することができる。
【0035】
【実施例】
以下に、実施例、比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
(離型紙の作製)
基材紙として、米坪125g/m2 のAKD紙〔紀州製紙(株)製〕を用い、その一方の面に下記二種類の離型性樹脂層を別々に積層し、その離型性樹脂層の表面全体に微細な凹凸を熱エンボス方式で、凹凸面の算術平均粗さ(Ra)と、凹凸の平均間隔(Sm)、凹凸の平均傾斜(θa)が、それぞれ表3の「表面の凹凸形状」の欄に記載した数値となるように形成し、また、形成された凹凸の凹部の底部に合成樹脂を残存させるため、それぞれPVCレザーの表皮層用樹脂組成物(主成分ポリ塩化ビニル)またはPUレザーの表皮層用樹脂組成物(主成分ポリウレタン)を、前述の塗工、皮膜化、剥離の手順で処理、操作したところ、いずれもその樹脂組成物を残存させることができ、表3の実施例1〜20の「離型紙」の欄に記載した構成の離型紙を得た。
【0036】
離型性樹脂層−1
4−メチルペンテン−1系樹脂のTPX DX820と、DX820M〔三井化学(株)製〕とを共押し出しコート法でそれぞれの厚みが15μm、合計の厚みが30μmとなるように、基材紙に共押し出しコートして積層した。
離型性樹脂層−2
ポリプロピレン〔チッソ(株)製〕を押し出しコート法で厚みが30μmとなるように、基材紙に押し出しコートして積層した。
【0037】
【表3】
【0038】
前記の実施例とは別に、比較例として、実施例と同様な方法で離型性樹脂層の表面に設ける微細な凹凸の形状、即ち、凹凸面の算術平均粗さ(Ra)と、凹凸の平均間隔(Sm)、凹凸の平均傾斜(θa)のみを、それぞれ表4の比較例1〜20の「表面の凹凸形状」の欄に記載した数値となるように変更して形成し、比較例1〜20の離型紙を作製した。
只、この場合も離型性樹脂層の表面に形成された凹凸の凹部の底部に、合成樹脂を残存させるため、実施例と同様にそれぞれPVCレザーの表皮層用樹脂組成物またはPUレザーの表皮層用樹脂組成物を、塗工し、皮膜化させ、剥離する一連の操作を行ったが、いずれの離型紙についても皮膜化した表皮層用樹脂組成物は、剥離操作で全体がきれいに剥がれてしまい、凹凸の凹部の底部に合成樹脂を残存させることはできなかった。従って、比較例1〜20の離型紙の構成は、表4の「離型紙」の欄に記載した通りである。
【0039】
【表4】
【0040】
(合成皮革の作製)
以上のように作製した実施例1〜20の離型紙と、比較例1〜20の離型紙を用いて、下記の方法でPVCレザーまたはPUレザーを作製し、その表面のピーチスキン感の良否を外観と触感で判定し、その結果を表3、表4に併せて示した。
尚、実施例1〜20の離型紙では、その表面の凹凸の凹部に残存させた樹脂組成物の種類に応じて、PVC組成物を残存させたものはPVCレザーの作製に使用し、ポリウレタン組成物を残存させたものはPUレザーの作製に使用することとした。また、比較例1〜20の離型紙では、表面の凹凸の凹部に樹脂組成物を残存させることができなかったので、同一構成の離型紙の一方をPVCレザーの作製に使用し、もう一方をPUレザーの作製に使用することとした。
【0041】
即ち、PVCレザーを作製する場合は、離型性樹脂層の上に、ポリ塩化ビニル(分子量1000)を100重量部、DOPを60重量部、発泡剤を5重量部、安定剤を2.5重量部の割合で混合して作製したポリ塩化ビニルゾル組成物をナイフコート法で乾燥時の塗工量が150g/m2 となるように塗工し、190〜200℃、2分の条件で乾燥した後、その上に接着剤を用いて基布を貼り合わせ、乾燥、熟成させた後、離型紙を剥がして表面に微細な凹凸が賦型されたPVCレザーを作製した。
【0042】
また、PUレザーを作製する場合は、離型性樹脂層の上に、ポリウレタン〔レザミンNE−8811 大日精化工業(株)製〕100重量部、着色剤〔セイカセブンNET−5794ブラック 大日精化工業(株)製〕15重量部、トルエン25重量部、イソプロピルアルコール25重量部の割合で混合して作製したPUレザー用のポリウレタン組成物をナイフコート法で乾燥時の塗工量が150g/m2 となるように塗工し、100〜120℃、2分の条件で乾燥した後、その上に接着剤を用いて基布を貼り合わせ、乾燥、熟成させた後、離型紙を剥がして表面に微細な凹凸が賦型されたPUレザーを作製した。
【0043】
表3、表4に示した結果から明らかなように、実施例1〜20の離型紙は、いずれもその離型性樹脂層の表面に形成された微細な凹凸面の算術平均粗さ(Ra)が0.5〜15μmであって、且つ、凹凸の平均間隔(Sm)が0.5〜10μmで、凹凸の平均傾斜(θa)が45°以上、90°未満の範囲内であり、離型性樹脂層の表面に合成樹脂、この場合、PVCレザーまたはPUレザーの表皮層用の樹脂組成物を塗工して形成された合成樹脂層を剥がした時、凹凸の凹部に入り込んだ合成樹脂層の一部が破断され、凹部の底部にその一部を残存させる性能を有すると共に、その離型紙を用いて、合成皮革を製造することにより、その表面に良好なピーチスキン感を付与できる性能を有していた。
また、実際に実施例1〜20の離型紙を用いて製造した実施例1〜20の合成皮革は、表3に示した通り、いずれもその表面が良好なピーチスキン調の外観と触感を有していた。
【0044】
これに対して、比較例1〜20の離型紙は、その離型性樹脂層の表面に形成された微細な凹凸面の算術平均粗さ(Ra)、凹凸の平均間隔(Sm)、凹凸の平均傾斜(θa)のうち、少なくともいずれか一つが、前記の範囲から外れているため、その凹凸の凹部の底部にPVCレザーの表皮層用の樹脂組成物またはPUレザーの表皮層用の樹脂組成物のいずれも残存させることができず、また、そのため、比較例1〜20の離型紙を用いて作製した合成皮革は、いずれもその表面がピーチスキン感に劣っており、表4に示したように、その判定結果は不良であった。
【0045】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、合成皮革の製造に用いる離型紙であって、その表面全体に微細な凹凸を備え、合成皮革の表皮層の表面に、所謂ピーチスキン感に優れた外観と触感を付与することのできる離型紙と、それを用いて製造された優れたピーチスキン調の外観と触感を備えた合成皮革とを生産性よく提供できる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の離型紙の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明の離型紙の別の一実施例の構成を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 基材紙
2 離型性樹脂層
3 微細な凹凸
4 合成樹脂
10、20 離型紙
Claims (3)
- 基材紙と該基材紙の少なくとも一方の面に積層された離型性樹脂層とで形成される離型紙において、該離型性樹脂層がポリプロピレン及び/又は4−メチルペンテン−1系樹脂で形成され、かつ前記離型性樹脂層の表面に微細な凹凸を備える共に、該微細な凹凸面に合成樹脂が塗工され、且つ、塗工により形成された合成樹脂層が剥離されることにより、該凹凸の凹部の底部に、塗工された合成樹脂の一部が破断され残存するように、該凹凸は、JIS B 0601−1994に基づいて測定した際、該凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.5〜15μmで、該凹凸の平均間隔(Sm)が0.5〜10μm、かつ該凹凸の平均傾斜(θa)すなわち該凹凸の傾斜面の平均角度が45°以上、90°未満であるように形成されていることを特徴とする離型紙。
- 前記離型性樹脂層の表面の微細な凹凸が、熱プレス方式で形成された凹凸であることを特徴とする請求項1記載の離型紙。
- 前記請求項1乃至2のいずれか一項に記載の離型紙を用いて製造された合成皮革。
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