JP4136655B2 - 静電容量式センサ - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、多次元方向の操作入力を行うために用いて好適な静電容量式センサに関し、特に、耐電圧特性がよく、かつ、製造工程を簡略化することができる静電容量式センサに関する。
背景技術
【0001】
静電容量式センサは、操作者が加えた力の大きさおよび方向を電気信号に変換する装置として利用されている。例えば、ゲーム機器の入力装置として、多次元方向の操作入力を行うための静電容量式力覚センサ(いわゆるジョイスティック)として組み込んだ装置が利用されている。
【0002】
静電容量式センサでは、操作者から伝えられた力の大きさとして、所定のダイナミックレンジをもった操作量を入力することができる。また、加えられた力を各方向成分ごとに分けて検出することが可能な二次元または三次元力覚センサとしても利用されている。特に、2枚の電極によって静電容量素子を形成し、電極間隔の変化に起因する静電容量値の変化に基づいて力の検出を行う静電容量式力覚センサは、構造を単純化してコストダウンを図ることができるメリットがあるために、さまざまな分野で実用化されている。
【0003】
例えば、日本国特開平7(1995)−200164号公報には、第36図に示すような静電容量式力覚センサが開示されている。力覚センサ510は、基板520と、基板520上に設けられた弾性ゴム板530と、弾性ゴム板530の下面に設けられた電極部540と、基板520の上面に設けられた電極部500〜504(第37図参照)と、弾性ゴム板530を基板520に対して支持固定する押え板560と、基板520の下面に設けられた電子装置580とから構成されている。また、電極部500〜504は、第37図に示すように、原点について対称に配置された4つの電極部501〜504と、これらの外側に配置された円環状の電極部500とにより構成されている。また、電極部540の外周部分は、接地されている電極部500と接触しており、電極部500を介して接地されている。
【0004】
操作者が弾性ゴム板530を押下すると、電極部540が下方に変位して、これと4つの電極部501〜504との間の距離が変化する。すると、4つの電極部501〜504のそれぞれと電極部540との間で構成された容量素子の静電容量値が変化する。従って、この静電容量値の変化を検出することによって、操作者が加えた力の大きさおよび方向を知ることが可能となっている。
【0005】
また、日本国特許第3020736号公報には、第38図に示すような静電容量式加速度センサが開示されている。加速度センサ610は、固定基板620と、可撓基板621と、固定基板620上に設けられた固定電極600と、可撓基板621上に設けられた変位電極641〜645(第39図参照)と、作用体630と、装置筐体660とから構成されている。また、変位電極641〜645は、第39図に示すように、Z軸について対称に配置された4つの電極部641〜644と、これらの内側に配置された円盤状の電極部645とにより構成されている。また、固定電極600は図示しない配線により接地されている。
【0006】
ここで、作用点Pに力が作用すると、可撓基板621に撓みが生じることにより、変位電極641〜645が上方に変位して、これらと固定電極600との間の距離が変化する。すると、5つの変位電極641〜645のそれぞれと固定電極600との間で構成された容量素子の静電容量値が変化する。従って、この静電容量値の変化を検出することによって、作用点Pに作用した力の大きさおよび方向を知ることが可能となっている。
【0007】
上述のように、第36図に示した力覚センサ510では、電極部540の外周部分を電極部500と接触させることにより接地することができるため、電極部540を接地するための配線を必要としない。しかしながら、この力覚センサ510は、電極部540と電極部500とが電気的に直接接続されているために、電極部540に大きな電圧が加わると電極部500を支持する基板520にスパイク電流が流れ、力覚センサ510が故障或いは破損してしまう可能性があり、耐電圧特性という点で劣っている。また、電極部540と電極部500との電気的接続が経年変化などによって不良になると、正確なセンサ出力が得られなくなってしまう。このように、第36図に示した力覚センサ510は、信頼性という点で満足のいくものではない。
【0008】
一方、第38図に示した加速度センサ610は、信頼性の点では優れているものの、各容量素子がいわば並列関係となっているので、固定電極600を接地するための配線を固定基板620に対して設ける必要があるとともに、外部からの信号を変位電極641〜645に供給するためにこれら電極を支持する可撓基板621にも配線を設ける必要がある。しかしながら、固定基板620および可撓基板621の両方に配線を設けることは、この種の加速度センサの構造および製造工程を複雑なものとしてしまう。
【0009】
そこで、本発明の主な目的は、信頼性が高く、かつ、製造工程および構造が簡単な静電容量式センサを提供することである。
発明の開示
【0010】
1つの観点では、本発明の静電容量式センサは、導電性部材と、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極と、前記導電性部 材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化する方向に移動するのにともなって前記導電性部材または前記一対の容量素子用電極を前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化する方向に変位させることが可能な検知部材とを備え、前記第1の容量素子と前記第2の容量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間隔の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴としたものである。
【0011】
さらなる観点では、本発明の静電容量式センサは、XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、前記基板と対向している検知部材と、前記基板と前記検知部材との間に位置し、前記検知部材がZ軸方向に変位するのにともなってZ軸方向に変位する導電性部材と、前記基板上に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極とを備え、前記第1の容量素子と前記第2の容量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間隔の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴としたものである。
【0012】
また、別の観点では、本発明の静電容量式センサは、導電性部材と、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極と、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間に位置する絶縁性部材と、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化しない方向に移動するのにともなって前記絶縁性部材または前記導電性部材および前記一対の容量用素子を前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化しない方向に変位させることが可能な検知部材とを備え、前記第1の容量素子と前記第2の容量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間における前記絶縁性部材の前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化しない方向に関する端部位置の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴としている。
【0013】
また、さらに別の観点では、本発明の静電容量式センサは、XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、前記基板と対向している検知部材と、前記基板と対向している導電性部材と、前記基板上に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極と、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間に位置し、前記検知部材がXY平面に沿って変位するのにともなって前記基板に対して平行移動が可能に配置された絶縁性部材とを備え、前記第1の容量素子と前記第2の容量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間における前記絶縁性部材のXY平面に対する端部位置の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴としたものである。
【0014】
このような構成にすることにより、第1および第2の容量素子を構成するために共通に用いられる導電性部材が、直接接触することによってではなく、容量結合によって接地または一定の電位に保持された基準電極と電気的に結合される。そのため、センサの耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。それとともに、第1および第2の容量素子が直列に接続された関係となるので、容量素子用電極および基準電極を支持する基板などの部材だけに配線を設ければ、導電性部材を接地または一定の電位に保持するための配線を別途設ける必要がない。そのため、構造が簡単な静電容量式センサを少ない製造工程数で製造することが可能となる。
【0015】
また、本発明の静電容量式センサでは、1つの基準電極が形成されていてよい。これによると、基準電極の製造が容易になる。
【0016】
また、本発明の静電容量式センサでは、複数の基準電極が形成されていてよい。これによると、例えば、基準電極に囲まれるように容量素子用電極が配置されている場合でも、基準電極どうしの間隙を通して容量素子用電極の配線を容易に設けることができる。
【0017】
また、本発明の静電容量式センサには、複数の一対の容量素子用電極が形成されていることが好ましい。これによると、各容量素子用電極を別方向の力を認識するために用いることによって多次元的な力の認識が可能になる。
【0018】
また、本発明の静電容量式センサは、一対の容量素子用電極の一方を含む回路および他方を含む回路に、互いに位相が異なる信号が供給されるものであってよい。これにより、一対の容量素子用電極の一方を含む回路および他方を含む回路の時定数が同じものであるかどうかにかかわらず、検知部材の変位を認識することができる。
【0019】
また、本発明の静電容量式センサは、一対の容量素子用電極の一方を含むCR回路と他方を含むCR回路との時定数が異なるものであってよい。このような構成によると、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくできるため、検知部材の変位認識の精度を向上させることができる。
【0020】
また、本発明の静電容量式センサは、容量素子用電極に対して入力される信号が、ハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返す信号であって、この信号がローレベルである時に第1の容量素子を放電させる機能を有する制御素子(オープンコレクタ型のインバータ素子など)が備えられているものであってよい。これによると、容量素子に保持された電荷が瞬時に放電されるため、効率よく充電ができるとともに、信号の波形の密度を増加させることができ、信号処理回路の精度を向上させることができる。
【0021】
また、本発明の静電容量式センサは、一対の容量素子用電極の一方を含む回路および他方を含む回路にそれぞれ入力された信号の出力信号が排他的論理和演算、論理和演算または論理積演算を行う論理素子を利用した信号処理回路により検出されることが好ましい。これによると、出力信号を精度よく検出することができ、さらに必要に応じて検出精度を調整することができる。
【0022】
また、本発明の静電容量式センサは、一対の容量素子用電極および基準電極に密着して、基板を覆うように形成された絶縁膜をさらに備えていることが好ましい。ここで、絶縁膜としては、薄膜状の樹脂フィルム、レジスト膜などが用いられる。これによると、容量素子用電極に密着して、基板上を覆うように絶縁膜が形成されるため、容量素子用電極が空気にさらされて電極表面が酸化するのを防止することができる。
【0023】
また、本発明の静電容量式センサは、XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、前記基板と対向している検知部材と、前記基板と前記検知部材との間に位置し、前記検知部材がZ軸方向に変位するのにともなってZ軸方向に変位する導電性部材と、前記基板上においてY軸に対して線対称に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の第1の容量素子用電極と、前記基板上においてX軸に対して線対称に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第2の容量素子を構成する一対の第2の容量素子用電極と、前記基板上において原点近傍に形成され、前記導電性部材との間で第3の容量素子を構成する第3の容量素子用電極と、前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第4の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極とを備え、前記第1の容量素子、前記第2の容量素子および前記第3の容量素子と前記第4の容量素子とが、前記第1〜第3の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記第1〜第3の容量素子用電極との間隔の変化に起因する前記第1〜第3の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴としたものである。これによると、検知部材が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。なお、第3の容量素子用電極は、Z軸方向の成分を認識するために使用しないで、入力の決定操作に使用してもよい。
【0024】
また、本発明の静電容量式センサは、導電性部材の第3の容量素子用電極と対向する位置に突起体が形成されているものであってよい。これによると、導電性部材が突起体を支点として傾斜して変位するため、X軸方向またはY軸方向の成分が容易に検出できるようになる。
【0025】
また、本発明の静電容量式センサは、検知部材が、第1の容量素子用電極、第2の容量素子用電極および第3の容量素子用電極のそれぞれに対応して分割されているか、または、検知部材が、前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極と、第3の容量素子用電極とのそれぞれに対応して分割されていることが好ましい。このような構成によると、外部からの力のX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向の各成分が明確に分離されるため、異なる方向の成分が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
【0026】
また、本発明の静電容量式センサは、導電性部材の前記第1〜第3の容量素子用電極と対向する面の少なくとも一部が、凹凸面となっていることが好ましい。これによると、導電性部材の凹凸面と、容量素子用電極とが対向して容量素子を構成するため、この容量素子の静電容量がより細かく変化し、外部から受けた力の検出精度を向上させることができる。また、本発明の静電容量式センサは、導電性部材が、検知部材が外部からの力を受けて変位するのにともなって変位する変位部と、基板に固定された固定部と、変位部と固定部とを接続する接続部とを有し、第1の容量素子用電極および第2の容量素子用電極が、第3の容量素子用電極の外側に形成され、基準電極が、第1の容量素子用電極および第2の容量素子用電極の外側に形成されたものであってよい。
【0027】
また、本発明の静電容量式センサは、基準電極が、それぞれ接地または一定の電位に保持された第1の基準電極および第2の基準電極を有し、導電性部材が、前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極と、第3の容量素子用電極とのそれぞれに対応して分割され、第1の基準電極が、第3の容量素子用電極の外側に形成され、第1の容量素子用電極および第2の容量素子用電極が、第1の基準電極の外側に形成され、第2の基準電極が、第1の容量素子用電極および第2の容量素子用電極の外側に形成されたものであってよい。このような構成によると、検知部材が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の3方向の成分を認識できるため、異なる3方向の操作を行うことができる。
【0028】
また、本発明の静電容量式センサは、基準電極が、第3の容量素子用電極の外側に形成され、第1の容量素子用電極および第2の容量素子用電極が、基準電極の外側に形成され、基準電極に接触し、かつ、第3の容量素子用電極を覆うように配置された第4の容量素子用電極をさらに備え、検知部材が外部からの力を受けて変位するのにともなって、導電性部材が変位することにより、第3の容量素子用電極と第4の容量素子用電極とが接触するような構成であってもよい。このような構成によると、検知部材が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の2方向の成分を認識できるため、異なる2方向の操作を行うことができる。さらに、第4の容量素子用電極を備えていることで入力の決定操作をすることができるとともに、決定操作をしたときに明確な操作触感が得られるため、誤操作を防止することができる。
【0029】
なお、これらの構成の静電容量式センサは、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として利用されるのに好ましい。
【0030】
また、本発明の静電容量式センサでは、検知部材と導電性部材とが一体に形成されていてよい。このような構成では、検知部材および導電性部材が一体となっているため、製造しやすく、さらに、製造コストを低減することができる。
【0031】
また、本発明の静電容量式センサでは、導電性部材が、弾性体により形成されていることが好ましい。このような構成によると、検知部材が外部から受けた力の導電性部材に対する伝達性がよくなり、操作性を向上させることができる。また、外部から受ける力の衝撃を緩和することにより、静電容量式センサの損傷を軽減することができる。
【0032】
また、本発明の静電容量式センサは、導電性部材を支持するための支持部材をさらに備え、支持部材が、弾性体により形成されていることが好ましい。このような構成では、支持部材が弾性体により形成されているため、外部から受ける力の衝撃を緩和することにより、静電容量式センサの損傷を軽減することができる。さらに、支持部材とカバーケースとの間における防水性および防塵性を効果的に得ることができる。また、支持部材の弾性復帰力によって、力が解除されると自動的に導電性部材を元の位置に戻すことができる。
【0033】
本発明において、導電性部材としては、例えば、導電性ゴム、導電性インク、導電性熱可塑性樹脂(PPT、エラストマー)が用いられる。
発明を実施するための最良の形態
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で説明する実施の形態は本発明の静電容量式センサを力覚センサとして用いたものである。
【0035】
第1図は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。第2図は、第1図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。第3図は、第1図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
【0036】
静電容量式センサ10は、基板20と、人などによって操作されることによって外部から力が加えられる操作用部材である検知部材30と、変位電極40と、基板20上に形成された容量素子用電極E1〜E5および基準電極(共通電極)E0と、容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0に密着して基板20上を覆うように形成された絶縁膜50と、検知部材30および変位電極40を基板20に対して支持固定する支持部材60とを有している。
【0037】
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第1図では、基板20上の変位電極40の中心位置に対向する位置に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板20の表面は、XY平面を規定し、基板20上の容量素子用電極E5、検知部材30および変位電極40のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
【0038】
基板20は、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板20として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
【0039】
検知部材30は、受力部となる小径の上段部31と、上段部31の下端部に伸延する大径の下段部32とから構成され、全体として円盤状に形成されている。ここで、上段部31の径は、容量素子用電極E1〜E4のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じか、それより若干小さく、下段部32の径は、基準電極E0の外径とほぼ同じである。なお、操作性を向上させるために、検知部材30に樹脂製のキャップをかぶせてもよい。
【0040】
また、検知部材30の上段部31の上面には、第2図に示すように、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、容量素子用電極E1〜E4に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)に対応した矢印が形成されている。
【0041】
変位電極40は、導電性を有するゴムで形成され、検知部材30の下段部32と同一の径を有する円盤状であり、検知部材30の下面に付着されている。また、変位電極40の下面には、変位電極40の中心位置を中心とする円形で下方に開いた凹部が形成されている。さらに、その凹部の底部には、変位電極40の中心位置を中心とする円形で下方に突出した凸部が形成され、その凸部の中心位置(変位電極40の中心位置)には突起体45が形成されている。このように、変位電極40は、検知部材30の変位にともなって変位する変位部41(変位電極40の下面に形成された凹部底部の凸部)と、最も外周よりの固定部43(変位電極40の下面に形成された凹部以外の部分)と、変位部41と固定部43とを接続する接続部42(変位電極40の下面に形成された凹部底部の凸部以外の部分)とにより形成されている。なお、突起体45は無くてもよいし、変位電極40は、導電性を有する金属によって形成してもよい。
【0042】
このように、変位電極40の中心位置に突起体45が形成されているため、検知部材30に力が作用したときに変位電極40が突起体45を支点として傾くことができるようになっている。また、変位電極40は、固定部43の下面および突起体45の下面が基板20上に形成された絶縁膜50に密着するように、支持部材60によって、検知部材30とともに支持固定されている。
【0043】
また、基板20上には、第3図に示すように、原点Oを中心とする円形の容量素子用電極E5と、その外側に扇形の容量素子用電極E1〜E4と、さらにその外側に原点Oを中心とするリング状の基準電極E0とが形成されている。一対の容量素子用電極E1およびE2は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E3およびE4は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。なお、基準電極E0は、容量素子用電極E5と容量素子用電極E1〜E4との間に形成されてもよい。また、容量素子用電極E5を無くし、原点Oを中心とする円形の基準電極E0を形成してもよい。ただし、この場合には、Z軸方向成分は検出できなくなる。
【0044】
ここでは、容量素子用電極E1はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E2はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E3はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、各量素子用電極E4はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。さらに、容量素子用電極E5は、原点O上に配置されており、外部からの力のZ軸方向成分の検出に利用される。
【0045】
また、容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0は、スルーホールなどを利用して端子T0〜T5(第4図参照)にそれぞれ接続されており、端子T0〜T5を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E0は、端子T0を介して接地されている。
【0046】
また、絶縁膜50が、基板20上の容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0に密着して、基板20上を覆うように形成されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0が空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。また、絶縁膜50が形成されているため、容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0と、変位電極40とが直接接触することはない。
【0047】
したがって、容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0は、それぞれ変位電極40との間で容量素子を構成する。なお、容量素子用電極E1〜E5は、変位電極40の変位部41との間でそれぞれ容量素子C1〜C5を構成し、また、基準電極E0は、変位電極40の固定部43との間で容量素子C0を構成する。
【0048】
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ10の動作について、図面を参照して説明する。第4図は、第1図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。第5図は、第1図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。第6図は、第1図に示す静電容量式センサの検知部材にX軸正方向への操作が施された場合の側面の模式的な断面図である。第7図は、第1図に示す静電容量式センサの検知部材にZ軸方向への操作が施された場合の側面の模式的な断面図である。
【0049】
まず、静電容量式センサ10の構成と等価な回路構成について、第4図を参照して説明する。基板20上に形成された容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0は、変位電極40と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極40と、固定された個別の容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0との間で容量素子C0〜C5を形成している。容量素子C1〜C5は、それぞれ変位電極40の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
【0050】
容量素子C0〜C5のそれぞれの静電容量値は、変位電極40と、容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0のそれぞれに接続された端子T0〜T5との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E0は、端子T0を介して接地されており、容量素子C1〜C5における共通の電極である変位電極40は、容量素子C0および端子T0を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C0は、変位電極40と端子T0とを容量結合している。
【0051】
次に、容量素子C1〜C5のそれぞれの静電容量値の変化から、検知部材30への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、第5図を参照して説明する。ここで、出力信号Vx、Vy、Vzは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分、Y軸方向成分およびZ軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
【0052】
なお、第5図に示す容量素子C6は、常に一定の静電容量値を保つように基板20の下面に形成されており、容量素子C6を構成する一方の電極は出力信号Vzを導出するC/V変換回路に接続されており、他方の電極は接地されている。この容量素子C6は、容量素子C5とともに、外部からの力のZ軸方向成分の出力信号Vzを導出するために用いられる。
【0053】
ここで、出力信号Vx、Vy、Vzを導出するために、端子T1〜T6に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。例えば、端子T1に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C1とC0は直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C2とC0は端子T2に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C3とC0は端子T3に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C4とC0は端子T4に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C5とC0は端子T5に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
【0054】
端子T1〜T6に周期信号が入力されている状態で検知部材30が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって変位電極40がZ軸方向に変位し、容量素子C1〜C5の電極間隔が変化して、容量素子C1〜C5のそれぞれの静電容量値が変化する。すると、端子T1〜T6に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、検知部材30の変位、つまり検知部材30が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vy、Vzを得ることができる。
【0055】
さらに詳細に説明すると、端子T1〜T6に対して周期信号を入力するとき、端子T1、T3、T5に対しては周期信号Aが入力され、一方、端子T2、T4、T6に対しては周期信号Aと同一の周期で、かつ、周期信号Aの位相とは異なる周期信号Bが入力される。そのとき、検知部材30が外部から力を受けて、容量素子C1〜C5の静電容量値がそれぞれ変化すると、端子T1〜T5にそれぞれ入力された周期信号Aまたは周期信号Bの位相にそれぞれ異なった量のずれが生じる。なお、容量素子C6の静電容量値は変化しないため、端子T6に入力された周期信号Bの位相にはずれは生じない。
【0056】
すなわち、外部からの力にX軸方向成分が含まれる場合は、容量素子C1の静電容量値が変化し、端子T1に入力された周期信号Aの位相にずれが生じるとともに、容量素子C2の静電容量値が変化し、端子T2に入力された周期信号Bの位相にもずれが生じる。ここで、容量素子C1、C2の静電容量値の変化は、それぞれ外部からの力のX軸正方向成分、X軸負方向成分に対応している。したがって、端子T1に入力された周期信号Aの位相のずれと、端子T2に入力された周期信号Bの位相のずれとは、互いに逆方向の位相のずれである。このように、端子T1および端子T2にそれぞれ入力された周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vxが導出される。この出力信号Vxの符号が、外部からの力のX軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がX軸方向成分の大きさを示す。
【0057】
また、外部からの力にY軸方向成分が含まれる場合は、容量素子C3の静電容量値が変化し、端子T3に入力された周期信号Aの位相にずれが生じるとともに、容量素子C4の静電容量値が変化し、端子T4に入力された周期信号Bの位相にもずれが生じる。ここで、容量素子C3、C4の静電容量値の変化は、それぞれ外部からの力のY軸正方向成分、Y軸負方向成分に対応している。したがって、端子T3に入力された周期信号Aの位相のずれと、端子T4に入力された周期信号Bの位相のずれとは、互いに逆方向の位相のずれである。このように、端子T3および端子T4にそれぞれ入力された周期信号Aおよび周期信号Bの位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vyが導出される。この出力信号Vyの符号が、外部からの力のY軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がY軸方向成分の大きさを示す。
【0058】
さらに、外部からの力にZ軸方向成分が含まれる場合は、容量素子C5の静電容量値が変化し、端子T5に入力された周期信号Aの位相にずれが生じる。また、容量素子C6の静電容量値は一定に保たれているため、端子T6に入力された周期信号Bの位相にはずれが生じない。したがって、端子T5に入力された周期信号Aにのみ位相のずれが生じ、この周期信号Aの位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vzが導出される。この出力信号Vzの符号が、外部からの力のZ軸方向成分が正方向または負方向の向きかを示し、その絶対値がZ軸方向成分の大きさを示す。
【0059】
なお、外部からの力にX軸方向成分またはY軸方向成分が含まれる場合において、検知部材30に対する力の加わり方によっては、次のような場合が考えられる。例えば、X軸方向について考えると、変位部41のX軸正方向部分とX軸負方向部分とが、突起体45を支点として互いに上下反対方向に変位することなく、X軸正方向部分およびX軸負方向部分がともに下方へと変位し、かつ、そのときのそれぞれの変位量が異なる場合がある。この場合には、端子T1およびT2に入力されたそれぞれの周期信号Aおよび周期信号Bの位相には、同じ方向のずれが生じることとなるが、上述した場合と同様に、その位相のずれを排他和回路で読み取ることによって、出力信号Vxが導出される。また、このことは、Y軸方向についての出力信号Vyの導出に対しても同様のことがいえる。
【0060】
次に、第1図に示す検知部材30に力が作用していないときの状態において、第6図に示すように、検知部材30にX軸正方向への操作が施された場合、すなわち、検知部材30の上段部31に形成されたX軸正方向に対応するように形成された矢印を基板20側に押し下げるような力(Z軸負方向への力)を加えた場合を考える。
【0061】
検知部材30のX軸正方向に対応する部分が押し下げられることにより、変位電極40の接続部42が弾性変形を生じてたわみ、変位部41のX軸正方向部分は下方へと変位し、やがて変位部41のX軸正方向部分の下面が絶縁膜50に接触する位置まで変位する。また、このとき、変位部41のX軸正方向部分とX軸負方向部分とは、突起体45を支点として互いに上下反対方向に変位するようになっている。したがって、変位部41のX軸正方向部分が下方へと変位したときには、変位部41のX軸負方向部分は、突起体45を支点として、上方へと変位する。
【0062】
また、変位部41のY軸正方向部分のX軸正方向側は下方に若干変位し、X軸負方向側は上方に若干変位する。同様に、Y軸負方向部分のX軸正方向側は下方に若干変位し、X軸負方向側は上方に若干変位する。また、このとき、変位部41の中心位置(Z軸上)に形成された突起体45は、押しつぶされて弾性変形する。
【0063】
したがって、変位部41のX軸正方向部分と容量素子用電極E1との間隔は小さくなり、一方、変位部41のX軸負方向部分と容量素子用電極E2との間隔は大きくなる。また、変位部41のY軸正方向部分と容量素子用電極E3との間隔、および、変位部41のY軸負方向部分と容量素子用電極E4との間隔は変化しないと考えられる。実際には、上述のように、変位部41のY軸正方向部分およびY軸負方向部分のそれぞれX軸正方向側は下方に若干変位し、X軸負方向側は上方に若干変位するが、変位部41のY軸正方向部分およびY軸負方向部分全体としての容量素子用電極E3およびE4との間隔は変化しないと考えられる。また、変位部41の中心位置と容量素子用電極E5との間隔は小さくなる。
【0064】
そして、容量素子C1〜C5のなかで、容量素子用電極E1〜E5と変位電極40との間の間隔に変化があった容量素子C1、C2、C5の静電容量値のみが変化する。ここで、一般的に、容量素子の静電容量値は、容量素子を構成する電極の間隔に反比例することより、容量素子C1の静電容量値は大きくなり、容量素子C2の静電容量値は小さくなる。すなわち、容量素子C1〜C4のそれぞれの静電容量値の大小関係は、以下のようになる。
【0065】
C2<C3=C4<C1
【0066】
なお、容量素子C5の静電容量値は、元の値より大きくなる。
【0067】
このとき、端子T1およびT2に入力されたそれぞれの周期信号Aおよび周期信号Bの位相にずれが生じ、その位相のずれを読み取ることによって出力信号Vxが導出される。同様に、端子T5に入力された周期信号Aの位相にずれが生じ、その位相のずれ(実際には、端子T6に入力された周期信号Bの位相とともに)を読み取ることによって出力信号Vzが導出される。
【0068】
次に、第1図に示す検知部材30に力が作用していないときの状態において、第7図に示すように、検知部材30にZ軸正方向への操作が施された場合、すなわち、検知部材30の上段部31に形成された4つの矢印の中央部分を基板20側に押し下げるような力(Z軸負方向への力)を加えた場合を考える。
【0069】
検知部材30の中央部分が押し下げられることにより、変位電極40の接続部42が弾性変形を生じてたわみ、変位部41はZ軸負方向へと変位し、変位部41の中心位置(Z軸上)に形成された突起体45が、押しつぶされて弾性変形する。
【0070】
したがって、変位部41は水平を保った状態で下方へと変位し、すなわち、容量素子用電極E1〜E5と変位部41とのそれぞれの間隔は同じ間隔を保ったまま変位し、それぞれの間隔が一様に小さくなる。したがって、容量素子C1〜C5のすべての静電容量値が大きくなる。ここで、それぞれの容量素子C1〜C4の静電容量値の大小関係は、以下のようになる。
【0071】
C1=C2=C3=C4
【0072】
なお、容量素子C5の静電容量値は、元の値より大きくなる。ただし、その変化量は、検知部材30の中央部分を押し下げた場合(第7図に示す場合)は、検知部材30に対する押し込み量がそのまま変位電極40と容量素子用電極E5との間隔の変化となるため、X軸正方向の操作が施された場合(第6図に示す場合)よりも大きくなる。
【0073】
このとき、端子T1〜T5に入力されたそれぞれの周期信号Aおよび周期信号Bの位相にずれが生じ、その位相のずれを読み取ることによって出力信号Vx、Vy、Vzが導出される。
【0074】
次に、端子T1〜T6に入力された周期信号A、Bによる出力信号Vx、Vy、Vzを導出するための信号処理回路について、図面を参照しながら説明する。第8図は、第1図に示す静電容量式センサの信号処理回路を示す回路図である。
【0075】
上述のように、端子T1〜T6には、図示されていない交流信号発振器から所定周波数の周期信号が入力される。これらの端子T1〜T6には、インバータ素子I1〜I6および抵抗素子R1〜R6が、端子T1〜T6側からインバータ素子I1〜I6、抵抗素子R1〜R6の順にそれぞれ接続されている。また、抵抗素子R1、R2の出力端、抵抗素子R3、R4の出力端および抵抗素子R5、R6の出力端には、それぞれ排他和回路の論理素子であるEX−OR素子81〜83が接続されており、その出力端は端子T11〜T13に接続されている。また、抵抗素子R1〜R5の出力端は、それぞれ容量素子用電極E1〜E5に接続され、それぞれ変位電極40との間で容量素子C1〜C5を構成している。また、変位電極40は、容量素子C0を介して接地されている。
【0076】
ここから、例として、X軸方向成分の出力信号Vxの導出方法について、第9図を参照して説明する。第9図(a)および第9図(b)は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図(第8図の一部分)である。この信号処理回路において、容量素子C1と抵抗素子R1および容量素子C2と抵抗素子R2はそれぞれCR遅延回路を形成している。端子T1、T2に入力された周期信号(矩形波信号)は、それぞれCR遅延回路によって所定の遅延が生じ、EX−OR素子81において合流する。また、インバータ素子I1、I2として、同一の素子を用いているため、異なる経路の信号を同じ条件で比較することが可能である。ここで、インバータ素子I1、I2は、CR遅延回路を駆動するために十分な駆動電力を発生させる素子であり、論理的には意味のない素子である。したがって、端子T1、T2に対して十分な駆動能力を持った信号を供給することが可能であればこれらのインバータ素子I1、I2はなくてもよい。したがって、第9図(b)は、第9図(a)の信号処理回路に含まれるインバータ素子I1、I2を省いたものであるため、回路としては第9図(a)と全く等価なものであると考えられる。
【0077】
次に、第9図の回路の動作について、第10図を参照して説明する。第10図は、第9図に示す信号処理回路の各端子および各節点における周期信号の波形を示す図である。なお、第10図は、インバータ素子I1、I2の影響を無視して描かれている。
【0078】
第9図の信号処理回路において、端子T1、T2のそれぞれに入力された周期信号は、CR遅延回路を通過することにより、それぞれ所定の遅延を生じて、それぞれEX−OR素子81に入力される。詳細に説明すると、端子T1には周期信号f(φ)(上述の周期信号Aに対応している)が入力され、また、端子T2にはf(φ)と同一の周期で、かつ、位相がθだけずれている周期信号f(φ+θ)(上述の周期信号Bに対応している)が入力される。端子T1に入力される周期信号f(φ)は、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第10図に示すように、時間aの遅延が生じている。同様に、端子T2に入力される周期信号f(φ+θ)は、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点X2における周期信号には、時間bの遅延が生じている。
【0079】
ここで、時間a、bは、それぞれCR遅延回路における遅延時間に対応し、それぞれのCRの時定数により決定される。したがって、抵抗素子R1、R2の抵抗値が同一である場合は、時間a、bの値は容量素子C1、C2の静電容量値に対応するようになる。すなわち、容量素子C1、C2の静電容量値が大きくなると、時間a、bの値も大きくなり、容量素子C1、C2の静電容量値が小さくなると、時間a、bの値も小さくなる。
【0080】
なお、厳密には、端子T1、T2のそれぞれに入力された周期信号には、信号処理回路にインバータ素子I1、I2が含まれる場合は、それぞれインバータ素子I1、I2を通過することによっても、所定の遅延を生じると考えられる。しかし、上述のとおり、インバータ素子I1、I2として同一の素子を用いているため、2つの経路におけるインバータ素子に起因する遅延時間は同一であると考えられ、EX−OR素子81に入力されるときに互いに打ち消されるので、ここではインバータ素子に起因する遅延時間の説明は省略している。
【0081】
このように、EX−OR素子81には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T11に対して出力される。ここで、端子T11に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である(第10図参照)。
【0082】
ここで、上述した検知部材30にX軸正方向への操作が施された場合(第6図参照)の各端子および各節点における周期信号の波形を考えることにする。なお、この場合の信号処理回路における容量素子用電極E1、E2と変位電極40との間で構成される容量素子をC1’、C2’とし、検知部材30に操作が施されていない場合の信号処理回路の節点X1、X2および端子T11と同位置における各節点および端子を節点X1’、X2’および端子T11’とする(第9図参照)。
【0083】
このとき、第9画の信号処理回路において、端子T1には周期信号f(φ)が入力され、また、端子T2には、f(φ)と同一の周期で位相がθだけずれている周期信号f(φ+θ)が入力される。端子T1に入力される周期信号f(φ)は、容量素子C1’と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1’に到達する。このとき、節点X1’における周期信号には、第10図に示すように、時間a+Δaの遅延が生じている。これは、容量素子C1’の静電容量値が容量素子C1よりも大きくなったことにより、CR遅延回路の時定数が大きくなったためである。同様に、端子T2に入力される周期信号f(φ+θ)は、容量素子C2’と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2’に到達する。このとき、節点X2’における周期信号には、時間b−Δbの遅延が生じている。これは、容量素子C2’の静電容量値が容量素子C2よりも小さくなったことにより、CR遅延回路の時定数が小さくなったためである。
【0084】
このように、EX−OR素子81には、節点X1’、X2’における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で排他的論理演算が行われ、その結果を端子T11’に対して出力される。ここで、端子T11’に対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号であり、第10図に示すように、検知部材30に操作が施されていない場合において、端子T11に出力された矩形波信号よりも、デューティ比の小さい矩形波信号である。
【0085】
ここで、静電容量式センサ10では、上述のように、変位電極40の中心位置に突起体45が形成され、変位電極40が、突起体45を支点として変位するため、容量素子C1’、C2’の静電容量値は、一方が大きくなると他方が小さくなるというように、大小反対に変化することが多い。これにより、それぞれの容量素子C1’、C2’が構成するCR遅延回路の時定数も同様に変化し、出力される矩形波信号のデューティ比の変化が著しくなるため、検知部材30に作用した力の検出を容易に行うことができる。
【0086】
なお、Z軸方向成分の出力信号Vzを導出するための信号処理回路(第8図参照)は、端子T5に入力された信号にのみCR遅延回路を通過することにより所定の遅延を生じるが、端子T6に入力された信号はCR遅延回路を通過しないためCR遅延回路による遅延は生じない。このように、一方の信号にのみ遅延が生じる回路においても、上述と同様にして、検知部材30に作用した力の検出を容易に行うことができる。
【0087】
以上のように、容量素子C1、C2のそれぞれの静電容量値の変化が、端子T11における波形のデューティ比の変化として検出され、この信号を整流回路を通過させて整流することにより、このデューティ比を電圧値に変換して利用することができる。また、T11における信号のハイレベル(Hi)またはローレベル(Lo)の時間を、より周波数の高いクロック信号でカウントすれば、デューティ比をデジタルカウント値に変換して利用することもできる。
【0088】
ここで、端子T1、T2にそれぞれ入力される異なる位相の周期信号f(φ)、f(φ+θ)は、1つの交流信号発振器から出力された周期信号を2つの経路に分け、その一方の経路に図示しないCR遅延回路を設け、CR遅延回路を通過する周期信号の位相を遅延させることによって発生させられる。なお、周期信号の位相をずらせる方法は、CR遅延回路を用いる方法に限らず、他のどのような方法であってもよいし、また、2つの交流信号発振器を用いて、それぞれ異なる位相の周期信号f(φ)、f(φ+θ)を発生させ、端子T1、T2のそれぞれに入力してもよい。
【0089】
次に、本実施の形態の静電容量式センサ10の製造方法について説明する。静電容量式センサ10を製造するには、まず、基板20上に基準電極E0および容量素子用電極E1〜E5および導電性の配線(回路)をパターン形成する。しかる後、基準電極E0および容量素子用電極E1〜E5に密着して、基板20上を覆うように絶縁膜50をパターン形成する。
【0090】
次に、絶縁膜50上に変位電極40を配置し、さらに変位電極40上に検知部材30を配置する。その後、変位電極40および検知部材30の外周に沿った円筒形状を有し上端部が内側に突出した支持部材60を基板20に固定配置することによって、変位電極40および検知部材30が絶縁膜50からずれるのを防止する。しかる後、必要な電気配線を施すことによって、本実施の形態の静電容量式センサ10の製造が完了する。
【0091】
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ10は、複数の容量素子C0〜C5を構成するために共通に用いられる変位電極40が、接地または一定の電位に保持された基準電極E0と容量結合を介して電気的に結合されるため、直接基準電極E0と接触することによって電気的に接続される必要がなくなる。これにより、センサの耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによって破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサを得ることができる。また、周期信号に対して容量素子C1、C0;C2、C0;…;C5、C0がそれぞれ直列に接続された関係となっているので、容量素子用電極および基準電極を支持する基板20だけに配線を設ければ、変位電極40を接地または一定の電位に保持するために配線を設ける必要がなくなる。そのため、構造が簡単な静電容量式センサを少ない製造工程数で製造することが可能となる。
【0092】
また、複数の容量素子用電極E1〜E5が形成され、検知部材30が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。さらに、変位電極40が突起体45を支点として傾斜して変位するため、X軸方向またはY軸方向の成分を容易に検出することができる。
【0093】
ここで、対となる容量素子用電極(E1およびE2、E3およびE4)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。
【0094】
また、容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0に密着して、基板20上を覆うように絶縁膜50が形成されるため、容量素子用電極E1〜E5および基準電極E0が空気にさらされて電極表面が酸化するのを防止することができる。
【0095】
また、変位電極40および支持部材60が弾性体により形成されているため、検知部材30が外部から受けた力の変位電極40に対する伝達性がよくなることで、操作性が向上するとともに、外部から受ける力の衝撃を緩和することにより、静電容量式センサの損傷を軽減することができる。
【0096】
次に、本発明の第1の実施の形態の第1の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第11図は、第1の変形例に係る静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
【0097】
第1の変形例に係る静電容量式センサは、第1図の静電容量式センサにおける基板20上の基準電極E0の構成を変更し、第11図に示すように、基準電極E01〜E04が形成されたものである。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0098】
基板20上には、第11図に示すように、原点Oを中心とする円形の容量素子用電極E5と、その外側に扇形の容量素子用電極E1〜E4と、さらにその外側に扇形の基準電極E01〜E04とが形成されている。ここで、容量素子用電極E1と基準電極E01、容量素子用電極E2と基準電極E02、容量素子用電極E3と基準電極E03および容量素子用電極E4と基準電極E04のそれぞれの扇形の中心角は同一であり、それぞれの中心位置が一致するように形成されている。
【0099】
第12図は、第1の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第12図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、基板20上の基準電極E01、E02が、容量素子用電極E1、E2のそれぞれに対して別々に分割されて形成されている点である。このため、変位電極40は容量素子C01、C02を介してそれぞれ別々接地されている。なお、このことはY軸方向成分の検出に関しても同様である。
【0100】
このように、基準電極E01〜E04を複数の分割して形成すると、基準電極E01〜E04に囲まれるように配置された容量素子用電極E1〜E4がある場合でも、基準電極E01〜E04どうしの間隙を通して容量素子用電極の配線を容易に設けることができる。なお、この変形例では、基準電極が4つに分割されているが、基準電極の分割数量、形状および配置はどのようなものであってもよく、基板上の配線の配置を考慮して適宜変更することが可能である。
【0101】
次に、本発明の第1の実施の形態の第2の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第13図は、第2の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第13図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、端子T1、2に対して、位相をずらすことなく、同一の位相の周期信号をそれぞれの端子に入力している点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0102】
ここで、端子T1、2に対して同一の位相の周期信号を入力する場合には、抵抗素子R1、R2として、それぞれの抵抗値が異なるものを用いるのが好ましい。このように、抵抗値の異なる抵抗素子R1、R2を用いることにより、EX−OR素子81において容易に検出できるようになる。なお、抵抗素子R1、R2として、それぞれの抵抗値が同一のものを用いてもよい。
【0103】
このような回路を用いると、周期信号に対して位相差を発生させる構成が不必要になり、信号処理回路の構成を簡略化することができる。
【0104】
次に、本発明の第1の実施の形態の第3の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第14図は、第3の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第14図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、端子T1、T2に対して入力する周期信号の位相差を発生する構成として、1つの交流信号発振器から出力された周期信号を2つの経路に分け、その両方の経路にCR遅延回路を設けている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0105】
周期信号の位相差を発生する構成は、交流信号発振器90と、抵抗素子R11、R12と、容量素子C11、C12とを有し、抵抗素子R11および容量素子C11によってCR遅延回路を構成され、また抵抗素子R12および容量素子C12によってCR遅延回路がそれぞれ構成されている。交流信号発振器90から出力された周期信号は2つの経路に分けられ、それぞれ異なるCR遅延回路を通ることにより、周期信号には異なる位相の遅延が生じる。
【0106】
このように、両方の経路にCR遅延回路を設ける場合には、2つのCR遅延回路を構成する抵抗素子または容量素子のいずれか、または、両方の値が異なるものを用いられるのが好ましい。上記のような構成にすると、2つのCR遅延回路を通過する周期信号に異なる位相の遅延を生じさせ、その結果、異なる位相の周期信号が、端子T1、T2のそれぞれに入力される。
【0107】
ここで、CR遅延回路を構成する抵抗素子は温度の影響を受けやすいため、上述の2つの経路の片方の経路にCR遅延回路を設けた場合には、片方の経路のみ温度の影響を受け、信号処理回路の温度特性が悪くなるが、両方の経路にCR遅延回路を設けることにより、2つの経路において温度の影響を打ち消しあうことができ、信号処理回路の温度特性をが向上させることができる。
【0108】
次に、本発明の第1の実施の形態の第4の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第15図は、第4の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第15図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、端子T1と抵抗素子R1および容量素子C1との間にオープンコレクタ型のインバータ素子91が配置され、同様に端子T2と抵抗素子R2および容量素子C2との間にオープンコレクタ型のインバータ素子92が配置されており、また、抵抗素子R1、R2の端子T1、T2に接続されている方と反対側の電位が一定の電位Vccに保持されている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。オープンコレクタ型のインバータ素子91、92は、容量素子用電極に対して入力されるハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返す信号がハイレベルであるときにはEX−OR素子の入力端の状態に影響を与えないが、ローレベルである時には第1の容量素子を放電させる機能を有する制御素子である。
【0109】
ここで、端子T1、T2に、周期信号を入力した場合の第9図に示す信号処理回路の節点X1、X2および第15図に示す信号処理回路の節点X11、X12における電位の変化について、第16図を参照して説明する。なお、ここでは、節点X1と節点X11における電位の変化についてのみ説明する。
【0110】
第16図に示すように、「Hi」または「Lo」の信号を繰り返す周期信号が端子T1に入力された場合を考えると、「Hi」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1に次第に電荷が蓄えられることにより、節点X1における電位は次第に増加し、また、「Lo」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1の電荷が次第に放電されることにより節点X1における電位は次第に減少するという変化を繰り返す。一方、節点X11における電位は、「Hi」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1に次第に電荷が蓄えられることにより次第に増加し、また、「Lo」の信号の入力が開始するとCR遅延回路を構成する容量素子C1の電荷がオープンコレクタ型のインバータ素子91を介して瞬時に放電されることにより瞬時に減少するという変化を繰り返す。
【0111】
なお、実際には、節点X1、X11のそれぞれの電位の波形は、所定のしきい値を有するコンパレータ(図示しない)を介することによって矩形波(パルス波形)に変換されるようになっている。このコンパレータでは、設定されたしきい値よりも大きい場合は「Hi」の信号を出力し、小さい場合は「Lo」の信号を出力することにより矩形波を形成する。ここで、コンパレータのしきい値としては、Vcc/2に設定するのが好ましい。このように、節点X1、X11の電位の波形は、コンパレータを介することにより、第16図に示すように、互いに異なるデューティ比を有する矩形波X1a、X11aに変換される。
【0112】
このような構成によると、各容量素子に保持された電荷が瞬時に放電されるため、効率よく充電ができるとともに、第16図の信号処理回路の方が第9図の信号処理回路よりも周期信号の波形の密度を増加させることができ、信号処理回路の精度を向上させることができる。
【0113】
次に、本発明の第1の実施の形態の第5の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第17図は、第4の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第17図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにOR素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0114】
第17図において、端子T1に入力された周期信号f(φ)には、容量素子C1と抵抗素子R1により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X1に到達する。このとき、節点X1における周期信号には、第10図に示すように、時間aの遅延が生じている。同様に、端子T2に入力された周期信号f(φ+θ)は、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過して、節点X2に到達する。このとき、節点2における周期信号には、時間bの遅延が生じている。したがって、第9図と同様に、OR素子84には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理和演算が行われ、その結果を端子T11aに対して出力される。ここで、端子11aに対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
【0115】
ここで、端子11aに対して出力される矩形波信号は、EX−OR素子が用いられた場合に端子11に対して出力される矩形波信号と比較して、デューティ比の値が平均的に大きくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
【0116】
したがって、静電容量式センサの各部材が感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのに好ましい。
【0117】
次に、本発明の第1の実施の形態の第6の変形例について、図面を参照しつつ説明する。第18図は、第5の変形例に係る静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。第18図の信号処理回路が、第1図の静電容量式センサの信号処理回路と異なる点は、論理素子として、EX−OR素子の代わりにAND素子が用いられている点である。なお、その他の構成は、第1図の静電容量式センサと同一であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0118】
第18図において、節点X1における周期信号は、第10図に示すように、時間aの遅延が生じる。同様に、端子T2に入力された周期信号f(φ+θ)は、容量素子C2と抵抗素子R2により構成されるCR遅延回路を通過することにより、節点2における周期信号は、時間bの遅延が生じる。したがって、第9図と同様に、AND素子85には、節点X1、X2における周期信号と同一の波形の信号が入力され、これらの信号の間で論理積演算が行われ、その結果を端子T11bに対して出力される。ここで、端子11bに対して出力される信号は、所定のデューティ比をもった矩形波信号である。
【0119】
ここで、端子11bに対して出力される矩形波信号は、EX−OR素子が用いられた場合に端子11に対して出力される矩形波信号と比較して、デューティ比の値が平均的に小さくなり、このため、静電容量式センサとしての感度が低減すると考えられる。
【0120】
したがって、静電容量式センサの各部材が、静電容量式センサとしたときの感度が非常によくなる材料で製作された場合に、信号処理回路の構成によって、静電容量式センサの感度を調節する(ここでは、感度を低下させる)ために用いるのが好ましい。
【0121】
次に、本発明の第2の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0122】
第19図は、本発明の第2の実施の形態に係る静電容量式センサの側面の模式的な断面図である。第20図は、第19図の静電容量式センサの検知用ボタンの上面図である。第21図は、第19図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
【0123】
静電容量式センサ110は、基板120と、検知用ボタン130と、変位電極140と、基板120上に形成された容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bと、容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bに密着して基板120上を覆うように形成された絶縁膜150と、検知用ボタン130および変位電極140を基板120に対して支持固定する支持部材160と、検知用ボタン130の間を仕切るように配置されたカバーケース170とを有している。
【0124】
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第19図では、基板120上の変位電極141の中心位置に対向する位置に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板120の表面は、XY平面を規定し、基板120上の容量素子用電極E105、検知用ボタン131および変位電極141のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
【0125】
基板120は、基板20と同様に、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板120として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
【0126】
検知用ボタン130は、原点を中心とする円形のボタン131と、ボタン131の外側に配置されたリング状のボタン132とから構成されている。ここで、ボタン131の径は、基準電極E100aの外径とほぼ同じか、それより若干小さく、ボタン132の外径は、基準電極E100bの外径とほぼ同じである。
【0127】
また、検知部材132の上面には、第20図に示すように、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、容量素子用電極E101〜E104に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)に対応した矢印が形成されている。
【0128】
変位電極140は、導電性を有するゴムで形成されており、原点を中心とする円形の変位電極141と、変位電極141の外側に配置されたリング状の変位電極142とから構成されている。ここで、変位電極141の径は、基準電極E100aの外径とほぼ同じであり、変位電極142の外径は、基準電極E100bの外径とほぼ同じである。また、変位電極141の容量素子用電極E105と対向する面は、凹凸面となっている。
【0129】
また、支持部材160の一方の面には、変位電極141よりも若干大きいZ軸を中心とする円形で下方に開いた凹部と、変位電極142の幅よりも若干大きいZ軸を中心とするリング状で下方に開いた凹部とが形成されている。そして、これらの凹部の底部に変位電極141および変位電極142がそれぞれ付着している。そして、変位電極141と変位電極142との間は、隔壁161によって仕切られている。なお、隔壁161が形成されているために、ボタン131およびボタン132の操作が相互に干渉するのを軽減することができる。また、支持部材160の他面には、変位電極141に対応する位置にボタン131が付着され、変位電極142に対応する位置にボタン132が付着されている。さらに、支持部材160の上面において、ボタン131とボタン132との間を仕切るようにカバーケース170が配置されている。
【0130】
また、基板120上には、第21図に示すように、原点Oを中心とする円形の容量素子用電極E105と、その外側に原点Oを中心とするリング状の基準電極E100aと、さらに、その外側に扇形の容量素子用電極E101〜E104と、さらに、その外側に原点Oを中心とするリング状の基準電極E100bとが形成されている。一対の容量素子用電極E101およびE102は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E103およびE104は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。
【0131】
ここでは、容量素子用電極E101はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E102はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E103はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E104はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。さらに、容量素子用電極E105は、原点O上に配置されており、外部からの力のZ軸方向成分の検出に利用される。
【0132】
また、容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bは、スルーホールなどを利用して端子T101〜T105、T100a、T100b(第22図参照)にそれぞれ接続されており、端子T101〜T105、T100a、T100bを通じて外部の電子回路へと接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E100a、E100bは、端子T100a、T100bを介してそれぞれ接地されている。
【0133】
また、絶縁膜150が、基板120上の容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bに密着して、基板120上を覆うように形成されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bが空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。また、絶縁膜150が形成されているため、容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bと、変位電極140とが直接接触することはない。
【0134】
したがって、容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bは、それぞれ変位電極140との間で容量素子を構成する。なお、容量素子用電極E105および基準電極E100aは、変位電極141との間でそれぞれ容量素子を構成し、また、容量素子用電極E101〜E104および基準電極E100bは、変位電極142との間で容量素子を構成する。
【0135】
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ110の動作について、図面を参照して説明する。第22図は、第19図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。第23図は、第19図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
【0136】
まず、静電容量式センサ110の構成と等価な回路構成について、第22図を参照して説明する。基板120上に形成された容量素子用電極E105および基準電極E100aは、変位電極141と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極141と固定された個別の容量素子用電極E105および基準電極E100aとの間でそれぞれ容量素子C105、C100aを形成している。また、容量素子用電極E101〜E104およびE100bは、変位電極142と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極142と固定された個別の容量素子用電極E101〜E104およびE100bとの間で、それぞれ容量素子C101〜C104およびC100bを形成している。したがって、容量素子C101〜C105、C100a、C100bは、変位電極141または変位電極142の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
【0137】
容量素子C101〜C105、C100a、C100bのそれぞれの静電容量値は、変位電極141と、容量素子用電極E105および基準電極E100aのそれぞれに接続された端子T105、T100a、または、変位電極142と、容量素子用電極E101〜E104および基準電極E100bのそれぞれに接続された端子T101〜T104、T100bとの間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。
【0138】
ここで、基準電極E100aは、端子T100aを介して接地されているため、容量素子C105、C100aにおける共通の電極である変位電極141は、容量素子C100aおよび端子T100aを介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C100aは、変位電極141と端子T100aとを容量結合している。同様に、基準電極E100bは、端子T100bを介して接地されているため、容量素子C101〜C104、C100bにおける共通の電極である変位電極142は、容量素子C100bおよび端子T100bを介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C100bは、変位電極142と端子T100bとを容量結合している。
【0139】
次に、容量素子C101〜C105、C100a、C100bのそれぞれの静電容量値の変化から、ボタン130への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、第23図を参照して説明する。ここで、出力信号Vx、Vy、Vzは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分、Y軸方向成分およびZ軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
【0140】
なお、第23図に示す容量素子C106は、常に一定の静電容量値を保つように基板120の下面に形成されており、容量素子C106を構成する一方の電極は端子T106に接続されており、他方の電極は接地されている。この容量素子C106は、容量素子C105とともに、外部からの力のZ軸方向成分の出力信号Vzを導出するために用いられる。ここで、出力信号Vx、Vy、Vzを導出するために、第5図で説明したのと同様にして、端子T101〜T106に対して、常にブロック信号などの周期信号が入力される。例えば、端子T101に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C101とC100bは直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C102とC100bは端子T102に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C103とC100bは端子T103に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C104とC100bは端子T104に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C105とC100aは端子T105に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
【0141】
端子T101〜T106に周期信号が入力されている状態で検知用ボタン130が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって変位電極141または変位電極142が変位する。すると、容量素子C101〜C105を構成する電極の間隔が変化して、容量素子C101〜C105のそれぞれの静電容量値が変化する。これにより、端子T101〜T106に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、ボタン131またはボタン132が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vy、Vzを得ることができる。なお、導出方法の詳細については、第1図の静電容量式センサにおける信号処理回路について説明したのと同様であるので省略する。
【0142】
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ110は、複数の容量素子C101〜C105、C100aおよびC100bを構成するために用いられる変位電極141、142が、接地または一定の電位に保持された基準電極E100a、100bと容量結合されているため、センサ110の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサ110を得ることができる。また、周期信号に対して容量素子C101、C100b;C102、C100b;…;C105、C100aがそれぞれ直列に接続された関係となっているので、容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、E100bを支持する基板120だけに配線を設ければ、変位電極141、142を接地または一定の電位に保持するための配線を別途設ける必要がない。そのため、構造が簡単な静電容量式センサを少ない製造工程数で製造することが可能となる。
【0143】
また、複数の容量素子用電極E101〜E105が形成され、検知部材131、132が外部から受けた力のX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。また、変位電極141の容量素子用電極E105および基準電極E100aと対向する面が凹凸面となっており、容量素子用電極E105と対向して容量素子C105を構成するため、この容量素子C105の静電容量がより細かく変化し、外部から受けた力の検出精度が向上させることができる。
【0144】
ここで、対となる容量素子用電極(E101およびE102、E103およびE104)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。
【0145】
また、検知部材130が、容量素子用電極E101〜E104と、容量素子用電極E105とのそれぞれに対応して分割されているため、外部からの力のX軸方向およびY軸方向とZ軸方向との各成分が明確に分離されるため、異なる方向の成分が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
【0146】
また、容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、100bに密着して、基板120上を覆うように絶縁膜150が形成されるため、容量素子用電極E101〜E105および基準電極E100a、100bが空気にさらされて電極表面が酸化するのを防止することができる。
【0147】
また、変位電極140および支持部材160が弾性体により形成されているため、検知部材130が外部から受けた力の変位電極140に対する伝達性がよくなり操作性が向上するとともに、外部から受ける力の衝撃を緩和することにより、静電容量式センサの損傷を軽減することができる。
【0148】
次に、本発明の第3の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0149】
第24図は、本発明の他の実施の形態に係る静電容量式センサの側面の模式的な断面図である。第25図は、第24図の静電容量式センサの検知用ボタンの上面図である。第26図は、第24図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
【0150】
静電容量式センサ210は、基板220と、検知用ボタン230と、変位電極240と、基板220上に形成された容量素子用電極E201〜E204と、スイッチ用固定電極E205と、スイッチ用可動電極E208と、基準電極E200と、容量素子用電極E201〜E204に密着して基板220上を覆うように形成された絶縁膜250と、スイッチ用可動電極E208に密着して絶縁膜250上を覆うように形成された絶縁膜251と、検知用ボタン230および変位電極240を基板220に対して支持固定する支持部材260と、検知用ボタン230の間を仕切るように配置されたカバーケース270とを有している。
【0151】
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第24図では、基板220上の変位電極240の中心位置に対向する位置に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板220の表面は、XY平面を規定し、基板220上のスイッチ用固定電極E205、検知用ボタン231および変位電極140のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
【0152】
基板220は、基板20と同様に、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板220として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
【0153】
検知用ボタン230は、原点を中心とする円形のボタン231と、ボタン231の外側に配置された原点を中心とするリング上のボタン232とから構成されている。なお、検知用ボタン230は、第8図に示す検知用ボタン130と同一形状のものである。ここで、ボタン231の径は、基準電極E200の外径とほぼ同じか、それより若干小さく、ボタン232の外径は、容量素子用電極E201〜E204のそれぞれの外側の曲線を結んでできる円の径とほぼ同じである。
【0154】
また、ボタン232の上面には、第25図に示すように、X軸およびY軸のそれぞれの正方向および負方向に対応するように、すなわち、容量素子用電極E201〜E204に対応するように、操作方向(カーソルの移動方向)に対応した矢印が形成されている。
【0155】
変位電極240は、導電性を有するゴムで形成されており、ボタン232の外径と同一の径を有する円盤状であり、ボタン232の変位にともなって変位する変位部241と、変位電極240の下面に、スイッチ用可動電極E208と対向するように形成された凸部245とにより形成されている。
【0156】
支持部材260の下面には、Z軸を中心とする円形で下方に開いた凹部が形成されている。ここで、凹部の径は、変位電極240の径よりも若干大きく、凹部の底部には変位電極240が付着している。また、支持部材260の上面には、変位電極241に対応する位置に検知用ボタン232が付着し、凸部245に対応する位置にボタン231が付着している。さらに、支持部材260の上面において、ボタン231とボタン232との間を仕切るようにカバーケース270が配置されている。
【0157】
また、基板220上には、第26図に示すように、原点Oを中心とする円形のスイッチ用固定電極E205と、その外側に原点Oを中心とするリング状の基準電極E200と、さらにその外側に扇形の容量素子用電極E201、E202、E203、E204とが形成されている。一対の容量素子用電極E201およびE202は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の容量素子用電極E203およびE204は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。
【0158】
ここでは、容量素子用電極E201はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E202はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E203はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E204はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。さらに、スイッチ用固定電極E205は、原点O上に配置されており、スイッチ用可動電極E208とともに、入力などの決定操作に利用される。
また、容量素子用電極E201〜E204、スイッチ用固定電極E205および基準電極E200は、スルーホールなどを利用して端子T200〜T205(第27図参照)にそれぞれ接続されており、各端子T200〜T205を通じて外部の電子回路へと接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E200は、端子T200を介して接地されている。
【0159】
また、絶縁膜250が、基板220上の容量素子用電極E201〜E204に密着して、基板220上のスイッチ用可動電極E208を除いた部分を覆うように形成され、さらに、絶縁膜251は、スイッチ用可動電極E208に密着して、絶縁膜250上を覆うように形成されている。このため、銅などで形成された容量素子用電極E201〜E204が空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。また、絶縁膜250および絶縁膜251が形成されているため、基準電極E200およびスイッチ用可動電極E208と、変位電極240とが直接接触することはない。
【0160】
したがって、容量素子用電極E201〜E204およびスイッチ用可動電極E200(基準電極E208)は、それぞれ変位電極240との間で容量素子を構成する。なお、容量素子用電極E201〜E204は、変位電極240の変位部241との間でそれぞれ容量素子を構成し、また、スイッチ用可動電極E208は、変位電極240の凸部245との間で容量素子を構成する。
【0161】
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ210の動作について、図面を参照して説明する。第27図は、第24図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。第28図は、第24図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
【0162】
まず、静電容量式センサ210の構成と等価な回路構成について、第27図を参照して説明する。基板220上に形成された容量素子用電極E201〜E204および基準電極E200(スイッチ用可動電極E200)は、変位電極240と対向しており、共通の電極である変位可能な変位電極240と固定された個別の容量素子用電極E201〜E204およびE200との間で、それぞれ容量素子C200〜C204を形成している。容量素子C201〜C204は、変位電極240の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。また、基準電極E200に接続されたスイッチ用可動電極E208と、スイッチ用固定電極E205との間には、ボタン231の押圧にともなって開閉するスイッチが構成されている。
【0163】
容量素子C200〜C204のそれぞれの静電容量値は、変位電極240と、容量素子用電極E201〜C204および基準電極E200のそれぞれに接続された端子T200〜T204との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E200は、端子T200を介して接地されているため、容量素子C200〜C204おける共通の電極である変位電極240は、容量素子C200および端子T200を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C200は、変位電極240を端子T200に電気的に結合する機能を有している。
【0164】
次に、容量素子C200〜C204のそれぞれの静電容量値の変化から、ボタン232への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、第28図を参照して説明する。ここで、出力信号Vx、Vyは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分およびY軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
【0165】
ここで、出力信号Vx、Vyを導出するために、第5図で説明したのと同様にして、端子T201〜T104に対して、常にブロック信号などの周期信号が入力される。例えば、端子T201に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C201とC200は直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C202とC200は端子T202に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C203とC200は端子T203に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C204とC200は端子T204に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
【0166】
端子T201〜T204に周期信号が入力されている状態でボタン232が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって、変位電極240の変位部241が変位し、容量素子C201〜C204を構成する電極の間隔が変化する。すると、容量素子C201〜C204のそれぞれの静電容量値が変化し、端子T201〜T204に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、ボタン232が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vyを得ることができる。なお、導出方法の詳細については、第1図の静電容量式センサにおける信号処理回路について説明したのと同様であるので省略する。
【0167】
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ210は、複数の容量素子C200〜C204を構成するために用いられる変位電極240が、接地または一定の電位に保持された基準電極E200と容量結合されているため、センサ210の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサ210を得ることができる。また、周期信号に対して容量素子C201、C200;C202、C200;…;C204、C200がそれぞれ直列に接続された関係となっているので、容量素子用電極E201〜E204および基準電極E200を支持する基板220だけに配線を設ければ、変位電極240を接地または一定の電位に保持するための配線を別途設ける必要がない。そのため、構造が簡単な静電容量式センサを少ない製造工程数で製造することが可能となる。
【0168】
また、複数の容量素子用電極E201〜E204が形成され、検知部材231が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。さらに、変位電極240が突起体245を支点として傾斜して変位するため、X軸方向またはY軸方向の成分を容易に検出することができる。また、決定操作用のスイッチの付いた入力装置を作成することができ、決定操作をしたときに、明確な操作触感が得られるため、誤操作を防止することができる。
【0169】
ここで、対となる容量素子用電極(E201およびE202、E203およびE204)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。
【0170】
また、検知部材230が、容量素子用電極E201〜E204と、E205とのそれぞれに対応して分割されているため、外部からの力のX軸方向およびY軸方向とZ軸方向との各成分が明確に分離されるため、異なる方向の成分が互いに干渉するのを軽減することができ、誤操作を減少させることができる。
【0171】
また、容量素子用電極E201〜E204およびスイッチ用可動電極E208に密着して、基板220上を覆うように絶縁膜250、251が形成されるため、容量素子用電極E201〜E204およびスイッチ用可動電極E208が空気にさらされて電極表面が酸化するのを防止することができる。また、絶縁膜250、251を利用することにより、スイッチ用可動電極E208を基準電極E200に容易に固定することができる。
【0172】
また、変位電極240および支持部材260が弾性体により形成されているため、検知部材230が外部から受けた力の変位電極240に対する伝達性がよくなり操作性が向上するとともに、外部から受ける力の衝撃を緩和することにより、静電容量式センサの損傷を軽減することができる。
【0173】
次に、本発明の第4の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0174】
第29図は、本発明の他の実施の形態に係る静電容量式センサの側面の模式的な断面図である。第30図は、第29図の静電容量式センサの基板と平行に配置された電極の配置を示す図である。第31図は、第29図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
【0175】
静電容量式センサ310は、基板320と、検知部材330と、導電性部材340と、基板320上に形成された容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300と、導電性部材340を基板320に対して支持固定する支持機構360と、容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300に密着して基板320上を覆うように形成された絶縁膜350と、導電性部材340に密着して支持機構360の一部品である支持部材361上を覆うように形成された絶縁膜351と、導電性部材340と容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300との間に配置された絶縁性部材380とを有している。なお、支持機構360は、貫通孔362を有する支持部材361と、スペーサ363と、ネジ364とを有しており、スペーサ363は基準電極E300の外径よりも大きな径を有するリング状の部材で、その高さは、絶縁性部材380および絶縁膜350、351の厚さの合計とほぼ同じである。
【0176】
ここでは、説明の便宜上、図示のとおり、XYZ三次元座標系を定義し、この座標系を参照しながら各部品に配置説明を行うことにする。すなわち、第29図では、基板320上に原点Oが定義され、右水平方向にX軸が、上垂直方向にZ軸が、紙面に垂直奥行方向にY軸がそれぞれ定義されている。ここで、基板320の表面は、XY平面を規定し、基板320上の容量素子用電極E301〜E304、基準電極E300、検知部材330(外部から力が作用していない状態)、導電性部材340および貫通孔362のそれぞれの中心位置をZ軸が通ることになる。
【0177】
基板320は、一般的な電子回路用のプリント回路基板であり、この例ではガラスエポキシ基板が用いられている。また、基板320として、ポリイミドフィルムなどのフィルム状の基板を用いてもよいが、フィルム状の基板の場合は可撓性を有しているため、十分な剛性をもった支持基板上に配置して用いるのが好ましい。
【0178】
検知部材330は、受力部となる円筒形状に形成されており、支持部材361の貫通孔362の範囲内において、基板320に対して平行移動が可能となっている。なお、操作性を向上させるために、検知部材330の形状は適宜変更してもよい。
【0179】
また、基板320上には、第30図に示すように、原点Oを中心とする扇形の容量素子用電極E301〜E304と、さらにその外側に原点Oを中心とするリング状の基準電極E300とが形成されている。一対の容量素子用電極E301およびE302は、X軸方向に離隔してY軸に対して線対称に配置されている。また、一対の各量素子用電極E303およびE304は、Y軸方向に離隔してX軸に対して線対称に配置されている。なお、基準電極E300は、容量素子用電極E301〜E304に内部に形成されてもよい。
【0180】
導電性部材340は、Z軸を中心とするリング状の電極で、その内径は容量素子用電極E301〜E304の内径と同一であり、その外形は基準電極E300の外径と同一であり、支持部材361の下面に容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300に対向するように付着されている。絶縁膜350が、基板320上の容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300に密着して、基板320上を覆うように形成されている。また、絶縁膜351が、導電性部材340に密着して、支持部材361上を覆うように形成されている。このため、銅などで形成された導電性部材340、容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300が空気にさらされることがなく、それらが酸化されるのを防止する機能を有している。
【0181】
絶縁性部材380は、容量素子用電極E301〜E304の外径よりも小さい外径を有する円盤状の部材で、絶縁膜350と絶縁膜351とに挟まれ、絶縁膜350、351に接するように配置されている。また、絶縁性部材380の上面の中心位置には、検知部材330が付着されている。ここで、絶縁性部材380は、合成樹脂を一体成形したものであり、この合成樹脂としてはその表面の摩擦係数が小さいものを使用するのが好ましい。なお、絶縁性部材380の形状は、容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300の形状および配置を考慮して適宜変更してもよい。
【0182】
ここでは、容量素子用電極E301はX軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E302はX軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のX軸方向成分の検出に利用される。また、容量素子用電極E303はY軸の正方向に対応するように配置され、一方、容量素子用電極E304はY軸の負方向に対応するように配置され、外部からの力のY軸方向成分の検出に利用される。
【0183】
また、容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300は、スルーホールなどを利用して端子T300〜T304(第32図参照)にそれぞれ接続されており、端子T300〜T304を通じて外部の電子回路に接続されるようになっている。なお、ここでは、基準電極E300は、端子T300を介して接地されている。
【0184】
このように、容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300は、それぞれ導電性部材340との間で容量素子C300〜C304を構成する。なお、導電性部材340と容量素子用電極E301〜E304および基準電極E30との間の誘電率は、それぞれの電極間を絶縁性部材380が変位することにより変化し、それにともなって容量素子C300〜C304のそれぞれの静電容量値も変化するようになっている。
【0185】
次に、上述のように構成された本実施の形態に係る静電容量式センサ310の動作について、図面を参照して説明する。第32図は、第29図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。第33図は、第29図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。第34図は、第29図に示す静電容量式センサの検知部材に外部からの操作が施されていない場合の容量素子用電極と絶縁性部材の位置関係を示す図である。第35図は、第29図に示す静電容量式センサの検知部材にX軸正方向への操作が施された場合の容量素子用電極と絶縁性部材の位置関係を示す図である。
【0186】
まず、静電容量式センサ310の構成と等価な回路構成について、第32図を参照して説明する。基板320上に形成された容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300は、導電性部材340と対向しており、共通の電極である固定された導電性部材340と、固定された個別の容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300との間で容量素子C300〜C304を形成している。容量素子C300〜C304は、それぞれ導電性部材340と容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300との間における絶縁性部材380の変位に起因して静電容量値が変化するように構成された可変容量素子であるということができる。
【0187】
容量素子C300〜C304のそれぞれの静電容量値は、導電性部材340と、容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300のそれぞれに接続された端子T301〜T304との間の静電容量値として、それぞれ独立して測定することができる。ここで、基準電極E300は、端子T300を介して接地されており、容量素子C301〜C304における共通の電極である導電性部材340は、容量素子C300および端子T300を介して接地されていると考えられる。すなわち、容量素子C300は、導電性部材340を端子T300に電気的に結合する機能を有している。
【0188】
次に、容量素子C301〜C304のそれぞれの静電容量値の変化から、検知部材330への外部からの力の大きさおよび方向を示す出力信号の導出方法について、第33図を参照して説明する。ここで、出力信号Vx、Vyは、それぞれ外部からの力のX軸方向成分およびY軸方向成分の大きさおよび方向を示す。
【0189】
ここで、出力信号Vx、Vyを導出するために、端子T301〜T304に対して、常にクロック信号などの周期信号が入力される。例えば、端子T301に入力された周期信号に対して、2つの容量素子C301とC300は直列に接続された関係となっている。同様に、2つの容量素子C302とC300は端子T302に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C303とC300は端子T303に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっており、2つの容量素子C304とC300は端子T304に入力された周期信号に対して直列に接続された関係となっている。
【0190】
端子T301〜T304に周期信号が入力されている状態で検知部材330が外部からの力を受けて変位すると、これにともなって、絶縁性部材380がXY平面内において移動する。すると、絶縁性部材380の端部位置に応じて容量素子用電極と導電性部材340との間の合成誘電率が変化して、容量素子C301〜C304のそれぞれの静電容量値が変化し、端子T301〜T304に入力された周期信号の位相にずれが生じる。このように、周期信号に生じる位相のずれを利用して、検知部材330が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の大きさと方向を示す出力信号Vx、Vyを得ることができる。なお、導出方法の詳細については、第1図の静電容量式センサにおける信号処理回路について説明したのと同様であるので省略する。
【0191】
次に、第29図に示す検知部材330に力が作用していないときの状態において、検知部材330にX軸正方向への操作が施された場合を考える。
【0192】
まず、検知部材30に操作が施されていない場合の容量素子用電極E301〜E304と絶縁性部材380の位置関係は、第34図に示すように、容量素子用電極E301〜E304のそれぞれの内径側から外径側に向かう幅のおよそ半分までの範囲(図中の斜線部分)が重なり合っている。
【0193】
第34図において、容量素子用電極E301〜E304と絶縁性部材380とがそれぞれ重なり合う部分の面積をS1、容量素子用電極E301〜E304と絶縁性部材380とがそれぞれ重なり合わない部分の面積をS2とすると、各容量素子C301〜C304の静電容量値はすべて等しい値となり、次のようになる。
【0194】
Figure 0004136655
【0195】
ここで、各容量素子C301〜C304の電極間の間隔をd、空気中の誘電率をε、絶縁性部材380の誘電率をε1とする。なお、絶縁膜350、351の厚さは、dに比べて十分小さく、各電極間に均一に形成されているため、ここでは簡単のため無視することにする。
【0196】
次に、検知部材330にX軸正方向への操作が施された場合を考える。このとき、検知部材330がX軸正方向に操作されることにより、絶縁性部材380はX軸正方向に変位する。このときの容量素子用電極E301〜E304と絶縁性部材380の位置関係は、第35図に示すように、X軸正方向に対応するE301と導電性部材380とが重なり合う部分の面積が増加し、一方、X軸負方向に対応するE302と導電性部材380とが重なり合う部分の面積が減少する。また、このとき、Y軸正方向に対応するE303およびY軸負方向に対応するE304と導電性部材380とがそれぞれ重なり合う部分の面積はほとんど変化しないと考えられる。
【0197】
第35図において、容量素子用電極E301およびE302と絶縁性部材380とがそれぞれ重なり合う部分の面積をそれぞれS3、S5とし、容量素子用電極E301およびE302と絶縁性部材380とがそれぞれ重なり合わない部分の面積をそれぞれS4、S6とすると、各容量素子C301およびC302の静電容量値は、異なる値となり、次のようになる。
【0198】
Figure 0004136655
【0199】
ここで、一般的に、容量素子の静電容量値は、容量素子を構成する電極の間の誘電率および電極の面積に比例する。したがって、絶縁性部材380の誘電率ε1が空気中の誘電率εよりも小さい場合の容量素子C301およびC302の静電容量値の大小関係は、以下のようになる。
【0200】
C301<C302
【0201】
一方、絶縁性部材380の誘電率ε1が空気中の誘電率εよりも大きい場合の容量素子C301およびC302の静電容量値の大小関係は、以下のようになる。
【0202】
C302<C301
【0203】
なお、一般的には、絶縁性部材380の誘電率ε1は空気中の誘電率εより大きいことが多い。
【0204】
このとき、端子T301およびT302に入力されたそれぞれの周期信号Aおよび周期信号Bの位相にずれが生じ、その位相のずれを読み取ることによって出力信号Vxが導出される。
【0205】
以上のように、本実施の形態の静電容量式センサ310は、複数の容量素子C300〜C304を構成するために共通に用いられる導電性部材340が、容量結合によって接地または一定の電位に保持された基準電極E300と電気的に結合されるため、センサ310の耐電圧特性が向上し、スパーク電流が流れることによってセンサが破損することがほとんどなくなるとともに、接続不良などの不具合を防止することができるため、信頼性の高い静電容量式センサ310を得ることができる。また、周期信号に対して容量素子C301、C300;C302、C300;…;C304、C300がそれぞれ直列に接続された関係となっているので、容量素子用電極E301〜E304および基準電極E300を支持する基板320だけに配線を設ければ、導電性部材340を接地または一定の電位に保持するための配線を別途設ける必要がない。そのため、構造が簡単な静電容量式センサを少ない製造工程数で製造することが可能となる。
【0206】
また、複数の容量素子用電極E301〜E304が形成され、検知部材330が外部から受けた力のX軸方向およびY軸方向の方向成分をそれぞれ別々に認識することができる。
【0207】
ここで、対となる容量素子用電極(E301およびE302、E303およびE304)に対して、互いに位相が異なる信号が供給されるため、回路を通過することによる信号の位相のずれを大きくでき、さらに、その信号を論理素子を利用した信号処理回路を用いるため、精度よく検出することができる。
【0208】
また、容量素子用電極E300〜E304および導電性部材340に密着して、基板320または支持部材361上を覆うように絶縁膜350、351が形成されるため、容量素子用電極E300〜E304および導電性部材340が空気にさらされて電極表面が酸化するのを防止することができる。
【0209】
なお、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて、様々な設計変更を行うことが可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、検知部材と導電性部材とは、別体の部品として形成されているが、これらを一体に形成してもよい。したがって、検知部材および導電性部材が両方とも、導電性を有する部材で形成されていてもよい。
【0210】
また、上述の第1〜第3の実施の形態では、検知部材がZ軸方向に移動することによって変位電極(導電性部材)をZ軸方向に変位させていたが、可撓性のある基板の裏側(基準電極とは反対側)に配置された検知部材が移動することによって容量素子用電極をZ軸方向に変位させてもよい。
【0211】
また、上述の第4の実施の形態では、容量素子用電極および導電性部材を固定して、検知部材がXY平面内で移動することによって絶縁性部材をXY平面内で変位させていたが、これとは逆に、絶縁性部材を固定して、検知部材が移動することによって容量素子用電極および導電性部材をXY平面内で変位させてもよい。なお、絶縁性部材を単一の部材によって形成することなく、例えば、同心円状の異なる誘電率を有する複数の部材を接合して形成するなど、絶縁性部材の構成を変更した場合でも同様の効果を得ることができる。
【0212】
また、上述の実施の形態では、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のうちの少なくとも2方向に対応する容量素子用電極が形成されているが、用途に合わせて必要な方向の成分だけを検出できるように容量素子用電極を形成してもよい。
【0213】
また、上述の実施の形態では、静電容量式センサの検知部材に対して人の手によって直接的に作用した力を検出する力覚センサとして用いられているが、検知部材に対して他の部材を介して作用した力を検出するために用いることができる。したがって、例えば、検知部材に連結部材の一端が接続され、その他端に接続された位置検出の対象物の位置を検出するための位置センサとしても利用することもできる。また、この場合には、連結部材がなく、位置検出の対象物に検知部材を付着してもよいし、さらに、位置検出の対象物に直接導電性部材または絶縁性部材を付着してもよい。
【0214】
産業上の利用の可能性
本発明は、耐電圧特性が優れ、製造工程を簡略化でき、パソコン、携帯電話、ゲームなどの入力装置として用いることができる静電容量式センサとして最適である。
【図面の簡単な説明】
【0215】
第1図は、本発明の第1の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第2図は、第1図の静電容量式センサの検知部材の上面図である。
第3図は、第1図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第4図は、第1図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第5図は、第1図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第6図は、第1図に示す静電容量式センサの検知部材にX軸正方向への操作が施された場合の側面の模式的な断面図である。
第7図は、第1図に示す静電容量式センサの検知部材にZ軸方向への操作が施された場合の側面の模式的な断面図である。
第8図は、第1図に示す静電容量式センサの信号処理回路を示す回路図である。
第9図は、第1図に示す静電容量式センサのX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第10図は、第1図に示す信号処理回路の各端子および各節点における周期信号の波形を示す図である。
第11図は、第1図の静電容量式センサの第1の変形例の基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第12図は、第1図に示す静電容量式センサの第1の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第13図は、第1図に示す静電容量式センサの第2の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第14図は、第1図に示す静電容量式センサの第3の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第15図は、第1図に示す静電容量式センサの第4の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第16図は、第1図に示す信号処理回路および第15図に示す信号処理回路の端子および各節点における周期信号の波形を示す図である。
第17図は、第1図に示す静電容量式センサの第5の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第18図は、第1図に示す静電容量式センサの第6の変形例のX軸方向成分についての信号処理回路を示す回路図である。
第19図は、本発明の第2の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第20図は、第19図の静電容量式センサの検知用ボタンの上面図である。
第21図は、第19図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第22図は、第19図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第23図は、第19図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第24図は、本発明の第3の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第25図は、第24図の静電容量式センサの検知用ボタンの上面図である。
第26図は、第24図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第27図は、第24図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第28図は、第24図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第29図は、本発明の第4の実施の形態に係る静電容量式センサの模式的な断面図である。
第30図は、第29図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第31図は、第29図の静電容量式センサの支持部材の下面に形成されている導電性部材の形状を示す図である。
第32図は、第29図に示す静電容量式センサの構成に対する等価回路図である。
第33図は、第29図に示す静電容量式センサに入力される周期信号から出力信号を導出する方法を説明するための説明図である。
第34図は、第29図に示す静電容量式センサの検知部材に操作が施されていない場合の容量素子用部材と絶縁性部材との位置関係を示す図である。
第35図は、第29図に示す静電容量式センサの検知部材にX軸正方向への操作が施された場合の容量素子用部材と絶縁性部材との位置関係を示す図である。
第36図は、従来の静電容量式センサの模式的な断面図である。
第37図は、第36図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。
第38図は、従来の静電容量式センサの模式的な断面図である。
第39図は、第38図の静電容量式センサの基板上に形成されている複数の電極の配置を示す図である。

Claims (27)

  1. 導電性部材と、
    前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、
    前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極と、
    前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化する方向に移動するのにともなって前記導電性部材または前記一対の容量素子用電極を前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化する方向に変位させることが可能な検知部材とを備え、
    前記第1の容量素子と前記第2の容量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間隔の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴とする静電容量式センサ。
  2. XYZ三次元座標糸を定義したときに、XY平面を規定する基板と、
    前記基板と対向している検知部材と、
    前記基板と前記検知部材との間に位置し、前記検知部材がZ軸方向に変位するのにともなってZ軸方向に変位する導電性部材と、
    前記基板上に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、
    前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極とを備え、
    前記第1の容量素子と前記第2の各量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記容量素子用電極との間隔の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴とする静電容量式センサ。
  3. 導電性部材と、
    前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、
    前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極と、
    前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間に位置する絶縁性部材と、
    前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化しない方向に移動するのにともなって前記絶縁性部材または前記導電性部材および前記一対の容量用素子を前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化しない方向に変位させることが可能な検知部材とを備え、
    前記第1の容量素子と前記第2の容量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間における前記絶縁性部材の前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との距離が相対的に変化しない方向に関する端部位置の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴とする静電容量式センサ。
  4. XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、
    前記基板と対向している検知部材と、
    前記基板と対向している導電性部材と、
    前記基板上に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の容量素子用電極と、
    前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第2の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極と、
    前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間に位置し、前記検知部材がXY平面に沿って変位するのにともなって前記基板に対して平行移動が可能に配置された絶縁性部材とを備え、
    前記第1の容量素子と前記第2の容量素子とが前記一対の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記一対の容量素子用電極との間における前記絶縁性部材のXY平面に対する端部位置の変化に起因する前記第1の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴とする静電容量式センサ。
  5. 1つの前記基準電極が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  6. 複数の前記基準電極が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  7. 複数の前記一対の容量素子用電極が形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  8. 前記一対の容量素子用電極の一方を含む回路および他方を含む回路に、互いに位相が異なる信号が供給されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  9. 前記一対の容量素子用電極の一方を含むCR回路と他方を含むCR回路との時定数が異なることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  10. 前記信号は、ハイレベルとローレベルとを周期的に繰り返す信号であって、前記信号がローレベルである時に前記第1の容量素子を放電させる機能を有する制御素子が備えられていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  11. 前記制御素子として、オープンコレクタ型のインバータ素子が用いられていることを特徴とする請求項10に記載の静電容量式センサ。
  12. 前記一対の容量素子用電極の一方を含む回路および他方を含む回路にそれぞれ入力された信号の出力信号が論理素子を利用した信号処理回路により検出されることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  13. 前記論理素子が、排他的論理和演算を行うことを特徴とする請求項12に記載の静電容量式センサ。
  14. 前記論理素子が、論理和演算を行うことを特徴とする請求項12に記載の静電容量式センサ。
  15. 前記論理素子が、論理積演算を行うことを特徴とする請求項12に記載の静電容量式センサ。
  16. 前記一対の容量素子用電極および前記基準電極に密着して、これらを覆うように形成された絶縁膜をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  17. XYZ三次元座標系を定義したときに、XY平面を規定する基板と、
    前記基板と対向している検知部材と、
    前記基板と前記検知部材との間に位置し、前記検知部材がZ軸方向に変位するのにともなってZ軸方向に変位する導電性部材と、前記基板上においてY軸に対して線対称に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第1の容量素子を構成する一対の第1の容量素子用電極と、
    前記基板上においてX軸に対して線対称に形成され、前記導電性部材との間でそれぞれ第2の容量素子を構成する一対の第2の容量素子用電極と、
    前記基板上において原点近傍に形成され、前記導電性部材との間で第3の容量素子を構成する第3の容量素子用電極と、
    前記基板上に形成され、前記導電性部材との間で第4の容量素子を構成する接地または一定の電位に保持された基準電極とを備え、
    前記第1の容量素子、前記第2の容量素子および前記第3の容量素子と前記第4の容量素子とが、前記第1〜第3の容量素子用電極に対して入力される信号に対してそれぞれ直列に接続された関係となり、前記導電性部材と前記第1〜第3の容量素子用電極との間隔の変化に起因する前記第1〜第3の容量素子のそれぞれの静電容量値の変化が検出されることに基づいて前記検知部材の変位を認識可能であることを特徴とする静電容量式センサ。
  18. 前記導電性部材の前記第3の容量素子用電極と対向する位置に突起体が形成されていることを特徴とする請求項17に記載の静電容量式センサ。
  19. 前記検知部材が、前記第1の容量素子用電極、前記第2の容量素子用電極および前記第3の容量素子用電極のそれぞれに対応して分割されていることを特徴とする請求項17または18に記載の静電容量式センサ。
  20. 前記検知部材が、前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極と、前記第3の容量素子用電極とのそれぞれに対応して分割されていることを特徴とする請求項17または18に記載の静電容量式センサ。
  21. 前記導電性部材の前記第1〜第3の容量素子用電極と対向する面の少なくとも一部が、凹凸面となっていることを特徴とする請求項17〜20のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  22. 前記導電性部材が、前記検知部材が外部からの力を受けて変位するのにともなって変位する変位部と、前記基板に固定された固定部と、前記変位部と前記固定部とを接続する接続部とを有し、
    前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極が、前記第3の容量素子用電極の外側に形成され、
    前記基準電極が、前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極の外側に形成されていることを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  23. 前記基準電極が、それぞれ接地または一定の電位に保持された第1の基準電極および第2の基準電極を有し、
    前記導電性部材が、前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極と、前記第3の容量素子用電極とのそれぞれに対応して分割され、
    前記第1の基準電極が、前記第3の容量素子用電極の外側に形成され、
    前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極が、前記第1の基準電極の外側に形成され、
    前記第2の基準電極が、前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極の外側に形成されていることを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  24. 前記基準電極が、前記第3の容量素子用電極の外側に形成され、
    前記第1の容量素子用電極および前記第2の容量素子用電極が、前記基準電極の外側に形成され、
    前記基準電極に接触するとともに、前記第3の容量素子用電極と離隔しつつこれを覆うように配置されており、前記検知部材が外部からの力を受けて変位するのにともなって前記導電性部材が変位することにより、前記第3の容量素子用電極と接触する第4の容量素子用電極を備えたことを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  25. 前記検知部材と前記導電性部材とが、一体に形成されていることを特徴とする請求項17〜24のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  26. 前記導電性部材が、弾性体により形成されていることを特徴とする請求項17〜25のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
  27. 前記導電性部材を支持するための支持部材をさらに備え、前記支持部材が弾性体により形成されていることを特徴とする請求項17〜26のいずれか1項に記載の静電容量式センサ。
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