JP4132889B2 - プッシュスイッチ - Google Patents

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    • H01H13/50Switches having rectilinearly-movable operating part or parts adapted for pushing or pulling in one direction only, e.g. push-button switch having a single operating member
    • H01H13/56Switches having rectilinearly-movable operating part or parts adapted for pushing or pulling in one direction only, e.g. push-button switch having a single operating member the contact returning to its original state upon the next application of operating force
    • H01H13/58Switches having rectilinearly-movable operating part or parts adapted for pushing or pulling in one direction only, e.g. push-button switch having a single operating member the contact returning to its original state upon the next application of operating force with contact-driving member rotated step-wise in one direction
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気的スイッチに関するものであり、より詳細には、接点が軸方向のカムにより作動するプッシュスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
接点が軸方向のカムにより作動するプッシュスイッチとして、様々な形式のものが提案されている。
例えば、特開平2−72526号公報では、図13〜図19に示すようなプッシュスイッチが提案されている。
【0003】
特開平2−72526号公報に記載のプッシュスイッチは、図13の分解斜視図を参照すると、後記する押しボタン100等が収納される略円筒状の通路101aを有するアクチュエータハウジング101と、通路101aに嵌合される内部に円筒状筒部100a(図15)を有する押しボタン100と、この円筒状筒部100a(図15)に嵌合され、押しボタン100の往復運動に応じて往復運動しながら所定角度回転するとともに、内部に後記回転接触担持体104が遊嵌されるための内部で四角柱状となる四角状内部孔部102aを有するアクチュエータカムフォロワー102と、アクチュエータカムフォロワー102と後記の回転接触担持体104との間に介設され、アクチュエータカムフォロワー102及び押しボタン100を上方に、回転接触担持体104を下方にそれぞれ付勢するアクチュエータリターンスプリング103と、前記四角状内部孔部102aに遊嵌するステム104aを有し、アクチュエータカムフォロワー102の所定角度回転に応じて水平面内で回転して、底部の回転接触要素105が後記の電気的接触要素106a,106b,106cの電気的接続及び遮断を行いスイッチのON/OFFを行う回転接触担持体104と、電気的接触要素106a,106b,106cが所定形状に配列された固定接触ハウジング106と、プッシュスイッチの底部を被覆する被覆部107とからなる。
【0004】
続いて、特開平2−72526号公報に記載のプッシュスイッチの主要な要素部材について説明を行う。
図14はアクチュエータハウジング101の断面図である。アクチュエータハウジング101には、押しボタン100が嵌合される円筒状の通路101aが形成されている。この通路101aの内表面には、等間隔に長手方向に沿った凸条である押しボタンガイド101bが形成されており、隣接する押しボタンガイド101b,101b同士は、凹溝である凹状ガイド部101cにより隔てられている。これらの押しボタンガイド101bの下端部は、斜面状に形成されカム表面101dとなっている。
【0005】
図15(a)は、押しボタン100の側面図であり、図15(b)は押しボタン100の断面図である。押しボタン100は、内部に円筒状筒部100aを有する中空円柱状の部材であり、下端部には、半径方向外側に向かって延出する4つのスライドガイド100b(図15(a)ではその3つのみ表示)が90°間隔で設けられている。このスライドガイド100bは前記した凹状ガイド部101c(図14)に摺動可能に嵌合され、押しボタン100の往復運動時に、押しボタン100を直線的に案内する。
【0006】
押しボタン100の下端部は、鋸刃状に形成され、各鋸刃100cは頂点100dと頂点100dを囲む斜面であるカム面100eより構成されており、鋸刃100cは押しボタン100の下端部に45°間隔で8つ設けられている。
図15(b)より判るように、前記したスライドガイド100b(図15)の中心軸は、各鋸刃100cの頂点100dを通過するように設けられている。
【0007】
図16(a)は、アクチュエータカムフォロワー102の側面図であり、図16(b)は、アクチュエータカムフォロワー102の断面図である。アクチュエータカムフォロワー102は図16(b)より判るように、円状の開口部を有し、内部に四角柱状の四角状内部孔部102aを有する中空円柱状の部材である。
【0008】
アクチュエータカムフォロワー102は、前記した円筒状筒部100a(図15(b))に摺動可能に嵌装される部材であり、押しボタン100の往復運動に伴い、上下に移動しながら、後記するカム作用により所定角度回転し、押しボタン100の直線運動を回転運動へと変換するための部材である。
【0009】
アクチュエータカムフォロワー102の下部は、拡径した拡径部102bとなっている。この拡径部102bの上端には前記した押しボタン100に設けられた鋸刃100c(図15(a),(b))と同じ形状を有する鋸刃102cが設けられており、これらの鋸刃102cは、頂点102dと、この頂点102dを囲む斜面であるカム面102eより構成されている。また、アクチュエータカムフォロワー102の拡径部102bからは半径方向外側に90°間隔でカムフォロワーガイド102fが延出している。
【0010】
押しボタン100のスライドガイド100b(図15(a))の中心軸は、各鋸刃100cの頂点100dを通過するように設けられているが、カムフォロワーガイド102fの中心軸は鋸刃102cの頂点102dから僅かにずれて設けられている。
【0011】
図17は回転接触担持体104の側面図である。回転接触担持体104は、上方に向かうにつれてテーパ状に尖形する四角柱状のステム104aと、このステム104aの底部に設けられた略円形の金属板からなる回転接触要素105とからなる部材である。
【0012】
回転接触担持体104は、ステム104aがアクチュエータカムフォロワー102の四角状内部孔部102a(図16(b))に摺動的に嵌合する部材であり、押しボタン100の往復動作に伴うアクチュエータカムフォロワー102の回転運動は、四角状内部孔部102aを介してステム104aに伝達され、回転接触要素105が所定角度(所定ステップ)回転し、固定接触ハウジング106(図13)に設けられた電極である電気的接触要素106a,106b,106cの電気的接続及び遮断を行いスイッチのON/OFFを行う。
尚、電気的接触要素106a,106b,106cと回転接触要素105との摺動回転時の摩擦を低減するために、固定接触ハウジング106内部には、グリス等の潤滑剤が塗布されている。
【0013】
次に、特開平2−72526号公報に記載のプッシュスイッチの動作について説明する。
図18は、アクチュエータハウジング101、押しボタン100及びアクチュエータカムフォロワー102が構成するカム機構を平面的に展開した模式図である。
【0014】
図18(a)は、押しボタン100が、押圧されていない状態を示す図面であり、押しボタン100及びアクチュエータカムフォロワー102は、アクチュエータリターンスプリング103(不図示)により上方に付勢され固定されている。以下、この状態を上死点と言う。上死点において、スライドガイド100b(図15)及びカムフォロワーガイド102f(図16)は、凹状ガイド部101c−A(図14)に嵌合している。また、押しボタン100の鋸刃100cとアクチュエータカムフォロワー102の鋸刃102cは、位相がずれた状態で互いのカム面100e、102eとで接触し合っている。これは、前記したように、押しボタン100においては、スライドガイド100bの中心軸は鋸刃100cの頂点100dを通過するように設けられているのに対し(図15(a))、アクチュエータカムフォロワー102においては、カムフォロワーガイド102fの中心軸が鋸刃102cの頂点102dからずれて設けられている(図16(a))ためである。
【0015】
押しボタン100が押圧され、下降して下死点に達すると、アクチュエータカムフォロワー102は、アクチュエータリターンスプリング103の弾発力に抗しながら凹状ガイド部101c−Aに案内されて下方に移動していく。やがて、カムフォロワーガイド102fの突起部が、斜面状に形成されたカム表面101dの先端を越えると、アクチュエータカムフォロワー102は凹状ガイド部101c−Aの案内を離れ、アクチュエータリターンスプリング103の弾発力により、カム面100eを滑り、図面左方向に距離Xだけ移動(回転)して、押しボタン100の鋸刃100cとアクチュエータカムフォロワー102の鋸刃102cとは、位相が一致した状態で係合する(図18(b))。鋸刃100cと鋸刃102cとの位相が一致する際に、カム面100eとカム面102eとが衝突することにより、“カチッ”という押圧音が発生する。
【0016】
図19によれば、押しボタン100の押圧動作の終了後、押しボタン100が解放されると、押しボタン100及びアクチュエータカムフォロワー102は、アクチュエータリターンスプリング103の弾発力により急激に上昇していく。この上昇により、カムフォロワーガイド102fは斜面状のカム表面101dと衝突し、カム表面101dを滑りながら図面左方向に距離Xよりも大きな距離Yだけ移動(回転)する。この距離Yの回転時に、アクチュエータカムフォロワー102に嵌合された回転接触担持体104が大きく回転してスイッチのON/OFF動作が行われる。
【0017】
カムフォロワーガイド102fは、やがて凹状ガイド部101c−Bに嵌合して、凹状ガイド部101c−Bに案内されながら急激に上昇し上死点に至る。上死点において、カム面100eとカム面102eとが衝突する際に、“カチッ”という復帰音が発生する。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
特開平2−72526号公報に記載の発明の特徴点は、スイッチのON/OFFが、押しボタン100が下死点から上死点に復帰する際に行われることである。これをユーザ(人間)の動作と照らし合わせてみると、ユーザが押しボタン100を押圧すると、先ず“カチッ”という押圧音が聞こえる。しかしこの段階ではスイッチはON/OFFせず、ボタンを下死点まで押圧して、手を離すとスイッチがON/OFFして、その後に“カチッ”という復帰音が聞こえることとなる。
【0019】
このように、特開平2−72526号公報のプッシュスイッチは、ユーザの操作感とスイッチのON/OFFとが一致しておらず、ユーザが違和感を覚えることがある。
ここに本発明の解決すべき技術的課題が存在するのであり、本発明は、押しボタンの押圧音と共にスイッチがON/OFFするプッシュスイッチ、さらには、押しボタンの往復動作において任意の時点でスイッチをON/OFFすることが可能なプッシュスイッチを提供することを第1の課題とする。
【0020】
また、特開平2−72526号公報に記載のプッシュスイッチは、押しボタン100が下死点から上死点に復帰する際に、アクチュエータリターンスプリング103の弾発力により上死点においてカム面100eとカム面102eとが衝突することで“カチッ”と言う復帰音を発生する。
【0021】
ここで、特開平2−72526号公報に記載のプッシュスイッチは、只1本のアクチュエータリターンスプリング103により、押しボタン100とアクチュエータカムフォロワー102という2部材を付勢するために、アクチュエータリターンスプリングとしては、バネ定数の大きな弾発力の強いスプリングを使用しなければならなかった。そのため、上死点においてカム面100eとカム面102eとが衝突することで発生する復帰音が大きいという問題点が存在した。
ここに本発明の解決すべき技術的課題が存在するのであり、本発明は、復帰音が小さいプッシュスイッチを提供することを第2の課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記した課題を解決するために次のように構成した。
請求項1に記載の発明は、略円筒状の筒部を有するケースと、前記ケースは、上部ケースと下部ケースとを嵌合することによって形成され、前記下部ケースは、プッシュスイッチの側面を形成し、底部にガイドポールが挿入される円筒形の挿入部が設けられ、
前記筒部に嵌装され、筒部に沿って摺動自在な略円柱状であり、底部から前記ガイドポールが延出されるボタンと、前記下部ケースの円筒形の前記挿入部に外嵌され、前記ボタンの往復動作に応じて、筒部の長軸を回転軸として所定方向に所定角度回転しながら筒部に沿って摺動往復する、底部にフランジを有する略円筒状の回転子と、前記回転子の略円筒状の部分に挿入されて前記回転子のフランジの上面に載置され、係止される略円環板状である接続片と、前記接続片を挟んで前記回転子と対向して前記ケースの上端面の裏面に設けられ、接続片と接触する2以上の固定端子と、を有し、前記ボタンの往復動作毎に前記回転子が所定角度回転することによって、前記回転子に係止された前記接続片も回転し、前記接続片と前記固定端子間とが接続されたON状態と、非接続のOFF状態とを交互に繰り返すON/OFF動作を行うプッシュスイッチであって、前記回転子を上方に付勢する第1スプリングと前記ボタンを上方に付勢する第2スプリングとを有し、前記第1スプリングは、前記下部ケースと前記回転子との間に嵌挿され、前記下部ケースに支持されており、前記第2スプリングは、前記下部ケースと前記ボタンとの間に嵌挿され、前記下部ケースに支持されており、前記接続片の外周部には所定間隔で、固定端子方向に曲成され且つ前記固定端子と接触する板状のアームが設けられ、このアームは、前記回転子の前記摺動往復時に生じる前記固定端子と前記回転子との距離の変化に応じて、弾性的に撓曲することで、前記固定端子と前記接続片との接触を保ち、上死点をボタンが押圧されていない状態と、下死点をボタンがもはや下方に移動しない点まで押圧された状態としたとき、前記下死点まで押圧されたボタンが上死点に復帰する過程で、回転子が、第1スプリングの弾発力により他の部材と衝突する際に、前記アームは、弾性的に撓曲することで、前記固定端子と前記接続片との接触を保つことを特徴とするプッシュスイッチである。
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、ボタンの往復運動に応じて所定角度回転しながら筒部に沿って摺動往復する回転子に接続片が設けられており、この接続片には弾性的に撓曲して固定端子と接触を保つアームを設けた。
【0024】
プッシュスイッチのON/OFF動作は、ボタンを往復動作させることにより、回転子を所定角度回転させることにより、回転子に設けられた接続片を、固定端子間を接続した状態から非接続の状態に変更することにより行われるが、本発明のプッシュスイッチは、ボタンを押圧することで、回転子(接続片)と固定端子との間隔が広がったとしても、接続片に設けられたアームが撓曲することで、固定端子と接続片との接触が保たれるように構成されている。よって、アームの曲成(曲率)の程度を変更することにより、固定端子とアームとの接触/非接触のタイミングを、ボタンの押圧動作における任意の時期に設定することが可能となる。つまり、プッシュスイッチのON/OFF動作のタイミングをボタンの押圧動作における任意の時期に設定することが可能となる。
【0025】
また、固定端子の配置を変更することにより、プッシュスイッチのON/OFF動作のタイミングをボタンの復帰動作における任意の時期に設定することが可能となる。
【0026】
さらに、請求項に記載の発明によれば、プッシュスイッチは、ボタンと回転子とをそれぞれ独立のスプリング(第2スプリング、第1スプリング)により上方に付勢している。そのため、個々のスプリングとしては従来よりもバネ定数が小さいものを使用することができるので、ボタンの復帰動作時に第1スプリングにより付勢された回転子が他の部材と衝突する際に発生する復帰音を従来のプッシュスイッチよりも小さくすることが可能となる。また、ボタンの復帰動作時に、第1スプリングにより付勢された回転子が他部材と衝突するが、この衝突力の一部は、回転子に設けられた接続片のアームを固定端子との間で撓曲させることに費やされるので(アームがいわばクッションとして働く)、回転子が他部材に衝突する際の衝突力を弱めることが可能となり、復帰音を従来のプッシュスイッチよりも小さくすることが可能となる。
【0027】
請求項に記載の発明は、前記筒部の内周面には、互いに案内溝で隔てられた長手方向に沿った凸条が所定間隔で形成され、それぞれの凸条の下端部は斜面状の筒部カム面となり、前記ボタンの下端部の外周面には、前記案内溝に遊嵌するリブが形成され、これらのリブの下端部は、前記筒部カム面と略同じ傾きを有する斜面状のボタンカム面となり、前記回転子の上端部には、前記案内溝に遊嵌する突起が形成され、これらの突起の上端部は、前記ボタンカム面と略逆の傾きを有する斜面状の回転子カム面となり、前記ボタンの往復動作の往動作時に、前記回転子カム面は前記ボタンカム面により前記案内溝に沿って押圧されることで、前記筒部カム面にスライド移動し、復動作時に、前記回転子カム面は、前記ボタンカム面に沿ってスライド移動し、前記案内溝に隣接した別の案内溝に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチである。
【0028】
請求項に記載の発明によれば、筒部の内周面に設けられた案内溝にボタンのリブ及び回転子の突起が遊嵌される。ボタンが押圧されると、リブの下端部に設けられたボタンカム面が、回転子の突起の上端部に設けられた回転子カム面を押圧するので、ボタン及び回転子は案内溝に沿って下方に摺動していく。やがて、回転子の突起が斜面状に設けられた筒部カム面の先端部を越えると、回転子カム面はボタンカム面上を滑るようにしてある角度回転し、筒部カム面上に移動する。この際、“カチッ”という押圧音が発生する。
【0029】
その後、ボタンが復帰すると、筒部カム面上に移動していた回転子カム面が、筒部カム面を滑り、前記した案内溝の隣の案内溝にある角度回転しながら嵌合する。この際に“カチッ”という復帰音が発生する。
【0030】
請求項に記載の発明は、前記ボタンの外周面の長手方向に沿って、前記案内溝に遊嵌する過回転防止用凸条が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプッシュスイッチである。
請求項に記載の発明によれば、ボタンの外周面に筒部の案内溝に遊嵌する過回転防止用凸条が設けられている。これにより、ボタンは常に案内溝に沿って摺動するので、例え、ボタンを押し過ぎてしまいボタンのリブが筒部カム面の先端を越えてしまったとしても、ボタンのリブが不用意に回転して筒部カム面に乗り上げるという不具合を防止することが可能となる。
【0031】
請求項に記載の発明は、前記ボタンの下端部から、このボタンの中心軸に沿って、ガイドポールが延出しており、このガイドポールに臨む前記ケースには、前記ガイドポールと略同径の開口を有する円筒形である挿入部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項の何れか一項に記載のプッシュスイッチである。
請求項に記載の発明によれば、ボタンの下端部から、ガイドポールが延出しており、このガイドポールはボタンが押圧された際にケースの底面に設けられた挿入部に挿入されるように構成されている。ガイドポールはこの挿入部に案内されながら移動するので、ボタンが往復動作を行う際に、ボタンの中心軸に垂直な方向のブレを抑制することが可能となる。
【0032】
請求項に記載の発明は、前記固定端子は、前記ケース内に設けられ前記接続片と接触する平面部と、前記プッシュスイッチに外部配線を接続するための端子部とからなり、前記端子部は、前記平面部からU字型に下方に延出し、さらに、前記平面部から離間する方向に曲成されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載のプッシュスイッチである。
請求項に記載の発明によれば、端子部を平面部からU字型に屈曲し、さらに平面部から離れる方向に曲成した形状としているので、端子部に挿入される外部配線の形状によらず確実に外部配線を保持することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を適宜図面を参照しながら説明する。
先ず、図1を参照しながら本発明のプッシュスイッチについて説明する。本発明のプッシュスイッチは、略矩形状の筐体1aとこの筐体1aに設けられた略円筒状の筒部1bとを有する上部ケース1と、この筐体1aの上端面1a1の裏面に設けられ、後記する接続片4と接触する導電性材料からなる3本の固定端子2a,2b,2cと、前記筒部1bに嵌装され、筒部1bの内面に沿って上下に摺動自在な略円筒状であり、底部からガイドポール3aが延出するボタン3と、後記する回転子5のフランジ5aに係止される導電性材料からなる略円環板状であり、外周部に所定間隔で前記固定端子2a,2b,2c方向に曲成され、前記固定端子2a,2b,2cと接触する板状のアーム4aを有する接続片4と、前記ボタン3の往復動作に応じて、筒部1bの長軸を回転軸として所定方向に所定角度(所定ステップ)回転しながら筒部1bに沿って摺動往復する、底部にフランジ5aを有する略円筒状の回転子5と、この回転子5の円筒部を貫通し、前記ボタン3を上方に付勢する第2スプリング6と、この第2スプリング6を囲繞して同軸に設けられ回転子5を上方に付勢する第1スプリング7と、前記第1スプリング7及び第2スプリング6とを支持すると共に、底部に前記ガイドポール3aが挿入される円筒形の挿入部8aが設けられた下部ケース8とからなる。
【0035】
本発明のプッシュスイッチについて簡単な動作の説明を行う。尚、以下の説明において、「上死点」とは、ボタン3が押圧されていないときの状態を示し、「下死点」とは、ボタン3がもはや下方に移動しない点まで押圧された状態を示すこととする。
【0036】
スイッチがON状態又はOFF状態にあるプッシュスイッチにおいて、ボタン3を上死点から下方に移動させていくと、回転子5もボタン3と一緒に下方に移動する。この際、ボタン3には、第2スプリング6の弾発力と回転子5を付勢する第1スプリング7の弾発力とが掛かることになる。
【0037】
回転子5が下方に移動すると回転子5に係止された接続片4と固定端子2a,2b,2cとの間隔が広がっていくが、接続片4は、固定端子2a,2b,2c方向に曲成されたアーム4aを有しているので、接続片4と固定端子2a,2b,2cとの間隔が広がったとしても、アーム4aが撓曲することで、この間隔を吸収するので、接続片4と固定端子2a,2b,2cとは接触した状態が保たれ、従って、スイッチのON状態又はOFF状態はそのまま保持される。
【0038】
その後、ボタン3が更に下方に移動すると、筒部1b、ボタン3及び回転子5に設けられたカム機構の働きにより、“カチッ”という押圧音と共に回転子5が図1中矢印方向に所定角度回転する。この際、接続片4も回転子5と共に回転するので、固定端子2a,2b,2cと接続片4との接続状態が変化し、スイッチのON/OFF動作が行われる。尚、カム機構の詳細は後記する。
【0039】
また、この際、ボタン3に設けられたガイドポール3aは、下部ケース8に設けられた挿入部8aに挿入された状態となり、ガイドポール3a、つまり、ボタン3は挿入部8aに案内されながら上下方向に摺動するので、ボタン3の水平方向におけるブレを抑制することが可能となる。
【0040】
ボタン3が下死点に達して押圧力が取り除かれると(ボタン3から指が離されると)、ボタン3は、ボタン3を付勢する第2スプリング6及び回転子5を付勢する第1スプリング7から弾発力を受けて復帰動作を開始し、上方に移動していく。回転子5は、第1スプリング7の弾発力を受けて、ボタン3及び接続片4を上方に押圧しながら自らも上昇していく。回転子5がある程度上昇すると、前記したカム機構の働きにより、回転子5は“カチッ”という復帰音を発すると共に、図中矢印方向に更に回転し固定される。回転子5の固定後は、ボタン3は、第2スプリング6のみの弾発力により上方に移動し、ボタン3が押圧される前の元の位置(上死点)に復帰する。
【0041】
続いて、本発明のプッシュスイッチを構成する個々の部材についてより詳細に説明を行う。
図2(a)は、上部ケース1の斜視図であり、図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。
【0042】
上部ケース1は、直方体状の筐体1aと円筒状の筒部1bとからなる。筐体1aは、水平な上端面1a1と上端面1a1より垂直に下方に延出する側壁1a2とからなる。筒部1bの内周面には、互いに案内溝1cで隔てられ、筒部1bの長手方向に沿った凸条1dが60°間隔で6本形成され、それぞれの凸条1dの下端部は斜面状の筒部カム面1eとなっている。
筒部1bは、後記するボタン3(図4)の上下の往復運動を案内する役割を果たす。また、凸条1dの下端部に設けられた筒部カム面1eは、後記する回転子5(図6)を周方向に回転させる役割を果たす。
【0043】
図3(a)は、固定端子2a,2b,2cの斜視図であり、図3(b)は固定端子2a,2b,2cの端子部2a2,2b2,2c2の側面図である。
固定端子2a,2b,2cは、上部ケース1の筐体1aにおいて上端面1a1(図2(a))の裏面に装着され、接続片4(図5)のアーム4aと接触する平面部2a1,2b1,2c1と、後記する下部ケース8と協働して外部配線を挟持する端子部2a2,2b2,2c2とからなる。
【0044】
固定端子2a,2b,2cは、第1端子2a、中央端子2b、第2端子2cという3つの端子から構成されている。プッシュスイッチを用いる際には、2本の外部配線を、1本は中央端子2bに、残りの1本を第1端子2a又は第2端子2cの何れかの端子に接続する。尚、固定端子2a,2b,2cは銅等の導電性部材より形成されている。
【0045】
平面部2a1,2b1,2c1は、それぞれ独特な形状に成形されている。中央端子2bの平面部2b1は、スイッチのON/OFF状態に関わらず、常に接触片4のアーム4aとの接触を維持できるような形状に形成されている。また、第1端子2a及び第2端子2cの平面部2a1,2c1は、接触片4のアーム4aの所定角度回転毎にアーム4aと接触した状態(ON状態)と非接触の状態(OFF状態)を交互に繰り返すような形状に形成されている。
【0046】
また、端子部2a2,2b2,2c2は、図3(b)によれば、平面部2a1,2b1,2c1から、U字型に下方に延出し、さらに、平面部2a1,2b1,2c1から離間する方向に曲成されている。端子部2a2,2b2,2c2は後記する下部ケース8との間で外部配線を挟持するが、端子部2a2,2b2,2c2の形状をこのようにすることにより、外部配線の直径にバラツキが存在したり、外部配線の先端部が多少曲がっていたとしても、端子部2a2,2b2,2c2自体が撓曲することにより、外部配線の形状のバラツキを吸収するので、外部配線を確実に挟持することが可能となる。尚、一例として、中央端子2bがCOM端子とされ、第1端子2a,第2端子2cの何れか一方はダミーの端子になっている。
【0047】
図4(a)は、ボタン3の斜視図であり、図4(b)はボタン3の側面図である。
ボタン3は、略円筒状の部材であり、上端面3bはボタンを押圧するための押圧面となっている。また、下端面3cの中心から下方に向かって前記したガイドポール3aが延出している。さらに、下端面3cの外周面には、筒部1bの案内溝1c(図2(b))に遊嵌する半径方向外側に張り出したリブ3dが60°間隔で6本設けられている。このリブ3dの下端部は、前記した筒部カム面1e(図2(b))と略同じ方向に傾いた斜面状のボタンカム面3eとなっている。また、このリブ3dの上端に連続してボタン3の外周面には、過回転防止用凸条3fが60°間隔で設けられている。この過回転防止用凸条3fの高さはリブ3dよりも低く、リブ3dと共に前記案内溝1c(図2(b))に遊嵌する。
ボタン3は、前記した筒部1b(図2(b))に嵌装される部材である。筒部1b(図2(b))に60°間隔で設けられた案内溝1c(図2(b))にリブ3d及び過回転防止用凸条3fが遊嵌し、ボタン3は、この案内溝1c(図2(b))に沿って直線的に往復運動を行う。
【0048】
過回転防止用凸条3fは、案内溝1c(図2(b))に沿ってボタン3を上下に案内する役割を果たす。つまり、ボタン3が過剰に押圧されて、リブ3dが案内溝1c(図2(b))から外れる場面であっても、過回転防止用凸条3fが案内溝1cと嵌合しているので、ボタン3は上下方向のみにしか移動しない。これにより、リブ3dが案内溝1c(図2(b))から外れる場面において、ボタン3が周方向に回転して筒部1bの凸条1d(図2(b))に乗り上げてしまうという動作不良を防止することが可能となる。
【0049】
図5(a)は、接続片4の斜視図であり、図5(b)は接続片4の正面図であり、図5(c)は接続片4の側面図である。
接続片4は銅等の導電性部材からなる略円環板状の部材であり、円環状のベース4bと、ベース4bの外周部に120°間隔で設けられた3本のアーム4aとからなる。このアーム4aは、正面視でベース4bの外周に沿うように(図5(b))、側面視で、ベース4bとの接続部で屈曲し、斜め上方(固定端子2a,2b,2cの方向)に延出している(図5(c))。このアーム4aは可撓性を有する材料からなるので、上方から力が加わると板バネのように撓み、力が取り除かれると再び元の形状に復帰する性質を有する。
このように本発明においては、接続片4は板バネのように撓む性質のアーム4aを有している。下死点まで押圧されたボタン3(図4)が上死点に復帰する過程で、回転子5(図6)が、第1スプリング7の弾発力により他の部材と衝突して “カチッ”という復帰音が発生するが、本発明のプッシュスイッチにおいては、接続片4のアーム4aが、回転子5(図6)が他部材と衝突する際に、撓んでクッションの役割を果たすので、復帰音を従来のプッシュスイッチに比べて小さくすることが可能となる。
【0050】
また、ベース4bの内周部には、後記の回転子5(図6)の溝5eに嵌合し、接続片4を回転子5(図6)に係止するための係止部4cが突出している。
この接続片4は、後記の回転子5(図6)に係止され、回転子5(図6)と共に運動する部材であり、プッシュスイッチのON/OFF動作を行う。この接続片4の動作については後記する回転子5(図6)とともに説明する。
【0051】
図6(a)は、回転子5の斜視図であり、図6(b)は、回転子5の側面図である。
回転子5は、略円筒状の部材であり、円筒状の本体部5bと、この本体部5bの底部に前記接続片4(図5)が係止されるフランジ5aを有している。本体部5bの直径は、前記したボタン3(図4)の直径よりも一回り大きく、ボタン3(図4)の6本のリブ3dの外周が成す円と等しい直径を有している。
【0052】
本体部5bの上端面には、前記案内溝1cに遊嵌する突起5cが60°間隔で立設しており、この突起の上端は、前記ボタンカム面3eと反対の傾きを有する回転子カム面5dとなっている。また、本体部の側面には、120°間隔で長手方向に沿って、溝5eが形成されており、前記した接続片4(図5)の係止部4c(図5(b))がこの溝5eに係合することで、接続片4(図5)はフランジ5aに固定される。また、フランジ5aの上端面には、凸部5fが設けられており、この凸部5fは、ボタン3(図4)が上死点に存在する際に、上端面1a1(図2(a))の裏面に押止され、フランジ5aと上端面1a1の裏面、従って、接続片4(図5)と固定端子2a,2b,2cとの間に適度な間隔を保つ役割を果たしている。
【0053】
回転子5は、後記するカム機構の働きにより、ボタン3(図4)の直線運動を回転運動に変換すると共に、接続片4(図5)と協働してスイッチのON/OFF動作を行うための部材である。ボタン3(図4)が上死点に存在するときには、回転子5は第1スプリング7の弾発力により上端面1a1(図2(a))の裏面に押止された状態にある。この際、フランジ5aに設けられた凸部5fの存在により、フランジ5aの上端面と上端面1a1(図2(a))の裏面とは密着せず、ある間隔を空けて対峙している。上死点において、フランジ5aに係止された接触片4は、アーム4aが撓んだ状態でフランジ5aと上端面1a1(図2(a))の裏面との間隔に収まると共に、上端面1a1(図2(a))の裏面に設けられた固定端子2a,2b,2c間をON状態又はOFF状態に接続している。
【0054】
ボタン3(図4)が押圧されると、ボタンカム面3eは回転子カム面5d、従って、回転子5を押圧しながら案内溝1cに沿って下降する。この際、フランジ5aと上端面1a1(図2(a))の裏面との間隔が徐々に拡がるが、撓んだ状態にあったアーム4aが、この間隔の拡大に対応して徐々に延びながら固定端子2a,2b,2c間を接続し続けるので、スイッチのON状態又はOFF状態はそのまま維持される。
【0055】
さらにボタン3(図4)が押圧され、回転子カム面5dが案内溝1cの下端部よりも下降すると、回転子カム面5dは、案内溝1cの案内を離れて、案内溝1c同士を隔てている斜面状の筒部カム面1eを周方向に滑る。つまり、回転子5が所定角度回転する。この際、回転子5に固定された接続片4(図5)も回転子5と共に回転するので、アーム4aと固定端子2a,2b,2cとの接続状態が変化しスイッチのON/OFF動作が行われる。
このように、本発明のプッシュスイッチにおいては、スイッチのON/OFF動作は、アーム4aが伸び切った状態において行われるので、アーム4aの回転時にアーム4aと固定端子2a,2b,2cとの摩擦を従来のプッシュスイッチよりも小さくすることが可能となり、アーム4aと固定端子2a,2b,2cとの間にグリス等を封入する必要がなくなった。
【0056】
図7(a)は、第1スプリング7の斜視図であり、図7(b)は、第2スプリング6の斜視図である。
第1スプリング7は下部ケース8と回転子5(図6)との間に嵌装される部材であり、常に回転子5(図6)を上方に付勢している。また、第2スプリング6は、下部ケース8とボタン3(図4)との間に嵌装される部材であり、常にボタン3(図4)を上方に付勢している。第2スプリング6は第1スプリング7よりも小径のコイルバネであり、第1スプリング7と第2スプリング6とは同軸に設けられている。
【0057】
このように本発明においては、ボタン3(図4)と回転子5(図6)とを別々のスプリングで付勢している。下死点まで押圧されたボタン3(図4)が上死点に復帰する過程で“カチッ”という復帰音が発生するが、この復帰音は、回転子5(図6)が、第1スプリング7の弾発力により他の部材と衝突する際に発生するものである。
【0058】
従来のプッシュスイッチでは、通常スプリングは1本しか使用されておらず、この1本のスプリングで、ボタン及び回転子に相当する部材の復帰を行っていた。そのため、スプリングとしては本発明の第1スプリング7よりもバネ定数の大きな強いスプリングを用いる必要があるため、ボタンがスプリングの弾発力により復帰する際に、部材同士が強い力で衝突するために大きな復帰音が発生した。
【0059】
しかし、本発明では、ボタン3(図4)と回転子5(図6)を付勢するスプリングを別々にしたので、第1スプリング7としては従来のものよりもバネ定数が小さいスプリングを用いることが可能となり、ボタン3(図4)が復帰する際に、回転子5(図6)と他部材とが衝突することにより発生する復帰音を従来よりも小さくすることが可能となった。
【0060】
図8は、下部ケース8の斜視図である。
下部ケース8は、上部ケース1と嵌合して、プッシュスイッチの底部を成す部材である。下部ケース8には、前記ボタン3(図4)のガイドポール3aに対応する位置に円筒状の挿入部8aが設けられている。この挿入部8aは、若干拡径した開口部を有しており、この拡径した部分に前記したボタン3(図4)を付勢する第2スプリング6が挿入される。また、この円筒形の挿入部8aには、前記した回転子5(図6)が緩く外嵌される。前記回転子5(図6)を付勢する第1スプリングは、第2スプリング6を囲繞するように第2スプリングと同軸に設けられ、下部ケース8の底部8dで支持される。
【0061】
また、下部ケース8は、底面から立設し、プッシュスイッチの側面を形成する側壁8b,8cを有している。これらの側壁8b,8cの上端面8b1,8c1は、上部ケース1と嵌合する際に、上端面1a1(図2(a))の裏面と密着し、それにより、固定端子2a,2b,2cの水平部2a1,2b1,2c1を上端面1a1(図2(a))の裏面との間で挟持し、固定端子2a,2b,2cを固定する役割を果たす。
【0062】
続いて、プッシュスイッチのカム機構の動作及びプッシュスイッチのON/OFF動作ついて図9〜図12を参照して説明する。
図9(a),図10(a),図11(a),図12(a)は、筒部1b、ボタン3(図4)及び回転子5(図6)が構成するカム機構を平面的に展開した模式図である。図9(b),図10(b),図11(b),図12(b)は、それぞれ、図9(a),図10(a),図11(a),図12(a)に対応する接続片4(図5)と第1端子2aとの位置関係を示す模式図である。
【0063】
図9(a)は、ボタン3(図4)が押圧されておらず上死点に存在するときのカム機構の状態を示す図面である。この状態においては、ボタン3(図4)のリブ3d及び回転子5(図6)の突起5cは、それぞれ第2スプリング6(不図示)及び第1スプリング7(不図示)により上方に付勢されて、筒部1bの案内溝1cの上端に位置している。この際、リブ3dのボタンカム面3eは、回転子5(図6)の突起5cと接触した状態となっている。
【0064】
図9(b)は、ボタン3(図4)が図9(a)の状態にあるときの接続片4(図5)と第1端子2aとの位置関係を示す模式図である。図9(a)の状態においては、回転子5(図6)は、第1スプリング7(不図示)に付勢されて、上端面1a1(図2(a))の裏面に最も近づいている。回転子5(図6)のフランジ5aに設けられた凸部5fが上端面1a1(図2(a))の裏面と接触することで、回転子5(図6)と上部ケース1との間には適当な間隔が空いている。この状態において、フランジ5aに設けられた接続片4(図5)のアーム4aは、撓みながら第1端子2aと接触し、プッシュスイッチはON状態にある。
【0065】
図10(a)は、ボタン3(図4)が押圧され始めたときのカム機構の状態を示す図面である。この状態においては、リブ3dは、ボタンカム面3eにより回転子5(図6)の突起5cを押しながら案内溝1cに沿って徐々に下降していく。突起5cには、ボタンカム面3eと回転子カム面5dの作用により図の右方向に向かう(回転する)力が生じているが、この段階においては、凸条1dの側壁により回転が阻止されている。
【0066】
図10(b)は、ボタン3(図4)が図10(a)の状態にあるときの接続片4(図5)と第1端子2aとの位置関係を示す模式図である。リブ3dに押圧されることで回転子5(図6)が下降するので、回転子5(図6)と上部ケース1との間隔が図9(b)よりも拡がっている。しかし、接続片4(図5)のアーム4aが拡がった間隔に追随して変形するので、アーム4aと第1端子2aとの接触しており、プッシュスイッチのON状態は保たれている。
【0067】
図11(a)は、ボタン3(図4)が下死点まで押圧されたときのカム機構の状態を示す図面である。この状態においては、リブ3dは、案内溝1cの下端部まで下降しており、回転子5(図6)の突起5cは案内溝1cの案内を離れた状態となる。ところで、回転子5(図6)には、第1スプリング7により常に上向きの力が掛かっているので、突起5cは、図中矢印に示したようにボタンカム面3e及び筒部カム面1eを斜め上方に滑り(回転し)、隣接したリブ3dに衝突して停止する。突起5cとリブ3dとが衝突する際に“カチッ”という押圧音が発生する。
【0068】
図11(b)は、ボタン3(図4)が図11(a)の状態にあるときの接続片4(図5)と第1端子2aとの位置関係を示す模式図である。突起5cが図10(a)よりも更に下方に移動しているので、回転子5(図6)と上部ケース1との間隔は図10(b)よりも更に拡がっている。また、図11(a)に示したように、回転子5(図6)が回転したので、アーム4aも図面右側に移動(回転)し、第1端子2aとアーム4aとの接触が絶たれスイッチがOFF状態に変化する。
【0069】
このように、本発明のプッシュスイッチは、押圧音と共にスイッチのON/OFF動作が行われる。従来のプッシュスイッチにおいては、押圧音とスイッチのON/OFF動作のタイミングがずれていたために、プッシュスイッチを利用するユーザが違和感を覚えることがあった。しかし、本発明のプッシュスイッチでは、押圧音とスイッチのON/OFF動作が同期しているので、プッシュスイッチを使用するユーザの操作感が向上する。
【0070】
また、アーム4aの屈曲の程度を変更することで、ボタン3(図4)の押圧過程において、スイッチのON/OFF動作のタイミングを変更することが可能である。例えば、アーム4aを殆ど屈曲させず、平面的に形成すれば、ボタン3(図4)の押し始めの時期に、押圧音を待たずに、スイッチをON/OFF動作させることが可能となる。さらに、固定端子2a,2b,2cの形状を変更することで、ボタン3(図4)が下死点から上死点に復帰する過程の任意の時点でスイッチをON/OFF動作させることも可能である。このように本発明のプッシュスイッチは、簡単な仕様変更により、スイッチのON/OFF動作のタイミングをボタン3(図4)の往復動作における任意の時期に変更することが可能であるので、使用目的に適合したON/OFF動作タイミングを有するプッシュスイッチを得ることが可能となる。
【0071】
図12(a)は、ボタン3(図4)が、第1スプリング7及び第2スプリング6の弾発力により上昇し、上死点に復帰したときのカム機構の状態を示す図面である。この状態においては、突起5cは、第1スプリング7により上方に付勢されて筒部カム面1eを滑り(回転し)、初めに位置した案内溝1cに隣接した案内溝1cに嵌合する。突起5cが案内溝1cに嵌合する際に、突起5cがリブ3dのボタンカム面3eと衝突することにより、“カチッ”という復帰音を発する。
【0072】
本発明のプッシュスイッチにおいては、回転子5(図6)は、従来のものよりもバネ定数が小さい第1のスプリング7により付勢され、ボタンカム面3eと衝突するので、従来のプッシュスイッチに比べて復帰音を小さくすることが可能となる。
【0073】
図12(b)は、ボタン3(図4)が、図12(a)の状態にあるときの接続片4(図5)と第1端子2aとの位置関係を示す模式図である。
図12(a)の状態においては、ボタン3(図4)が上死点に復帰したので、回転子5(図6)は上端面1a1(図2(a))の裏面に最も近づいた状態となっている。図9(b)同様に、凸部5fが上端面1a1(図2(a))の裏面と接触して、回転子5(図6)と上部ケース1との間に適当な間隔を保っている。この状態において、接続片4(図5)のアーム4aは、第1端子2aとは接触しておらず、プッシュスイッチはOFF状態にある。
【0074】
【発明の効果】
本発明は、前記のように構成したので次に示すような顕著な効果を奏する。本発明のプッシュスイッチは、ボタンを押圧することで、回転子(接続片)と固定端子との間隔が広がったとしても、接続片に設けられたアームが撓曲することで、固定端子と接続片との接触が保たれるように構成されている。よって、アームの曲成(曲率)の程度を変更することにより、固定端子とアームとの接触/非接触のタイミングを、ボタンの押圧動作における任意の時期に設定することが可能となる。つまり、プッシュスイッチのON/OFF動作のタイミングをボタンの押圧動作における任意の時期に設定することが可能となる。また、固定端子の形状を変更することで、プッシュスイッチのON/OFF動作のタイミングをボタンの上死点への復帰動作の任意の時期に設定することが可能となるまた、本発明のプッシュスイッチにおいては、スイッチのON/OFF動作が、アームが伸び切った状態において行われるので、スイッチのON/OFF動作に伴う、アームの回転時にアームと固定端子との摩擦を従来のプッシュスイッチよりも小さくすることが可能となり、アームと固定端子との間にグリス等を封入する必要がなくなった。(請求項1,)。
【0075】
本発明のプッシュスイッチは、従来は、1本のスプリングで為されていたボタンと回転子の付勢を、別々のスプリング(第2スプリングと第1スプリング)で行っている。そのため、回転子を付勢する第1スプリングとして従来のスプリングに比べてバネ定数及び弾発力が小さいスプリングを使用することが可能となった。これにより、ボタンが下死点から上死点に復帰する際に、第1スプリングで付勢された回転子が他部材と衝突することにより発生する復帰音を従来のプッシュスイッチよりも小さくすることが可能となる。また、本発明のプッシュスイッチにおいては、第1スプリングで付勢された回転子が他部材と衝突する際に、回転子に設けられた接続片のアームが撓んでクッションの役割を果たすので、回転子と他部材との衝突力を小さくすることができ、復帰音を従来のプッシュスイッチよりも小さくすることができる(請求項)。
【0076】
本発明のプッシュスイッチには、ボタンの外周面に過回転防止用凸条が設けられている。この過回転防止用凸条がボタンを上下方向にのみ案内するので、ボタンが過剰に押圧され、ボタンのリブが案内溝から外れてしまったとしても、ボタンが周方向に回転することがない。これにより、リブが筒部カム面に乗り上げるという不良を防止することが可能となる(請求項)。
【0077】
本発明のプッシュスイッチは、ボタンの下端部からガイドポールが延出しており、このガイドポールはボタンの押圧時に下部ケースの挿入部により案内されるように構成されている。これにより、ボタンが押圧された際に、ボタンの水平方向のブレを抑制することが可能となる(請求項)。
【0078】
本発明のプッシュスイッチは、外部配線を接続する固定端子の端子部を、固定端子の平面部からU字型に下方に延出し、さらに、前記平面部から離間する方向に曲成したので、端子部に挿入される外部配線の形状によらず、外部配線を確実に固定することができる(請求項)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプッシュスイッチの分解斜視図である。
【図2】上部ケースの斜視図(a)と、図2(a)のA−A断面図(b)である。
【図3】固定端子の斜視図(a)と、固定端子の端子部の側面図(b)である。
【図4】ボタンの斜視図(a)と、ボタンの側面図(b)である。
【図5】接続片の斜視図(a)と、接続片の正面図(b)と、接続片の側面図(c)である。
【図6】回転子の斜視図(a)と、回転子の側面図(b)である。
【図7】第1スプリングの斜視図(a)と、第2スプリングの斜視図(b)である。
【図8】下部ケースの斜視図である。
【図9】ボタンが上死点に存在するときのカム機構を平面的に展開した模式図(a)と、図9(a)における接続片と第1端子との位置関係を示す模式図(b)である。
【図10】ボタンが押圧され始めた状態のカム機構を平面的に展開した模式図(a)と、図10(a)における接続片と第1端子との位置関係を示す模式図(b)である。
【図11】ボタンが下死点に存在するときのカム機構を平面的に展開した模式図(a)と、図11(a)における接続片と第1端子との位置関係を示す模式図(b)である。
【図12】ボタンが復帰して上死点に存在するときのカム機構を平面的に展開した模式図(a)と、図12(a)における接続片と第1端子との位置関係を示す模式図(b)である。
【図13】従来のプッシュスイッチの分解斜視図である。
【図14】従来のプッシュスイッチにおけるアクチュエータハウジング101の断面図である。
【図15】従来のプッシュスイッチにおける押しボタンの断面図(a)と、側面図(b)である。
【図16】従来のプッシュスイッチにおけるアクチュエータカムフォロワー102の側面図(a)と断面図(b)である。
【図17】従来のプッシュスイッチにおける回転接触担持体104の側面図である。
【図18】従来のプッシュスイッチにおけるカム機構を平面的に展開した模式図である。
【図19】従来のプッシュスイッチにおけるカム機構を平面的に展開した模式図である。
【符号の説明】
1 上部ケース
1a 筐体
1a1 上端面
1a2 側壁
1c 案内溝
1d 凸条
1e 筒部カム面
2a,2b,2c 固定端子
2a 第1端子
2b 中央端子
2c 第2端子
2a1,2b1,2c1 平面部
2a2,2b2,2c2 端子部
3 ボタン
3a ガイドポール
3b 上端面
3c 下端面
3dリブ
3e ボタンカム面
3f 過回転防止用凸条
4 接続片
4a アーム
4b ベース
5 回転子
5a フランジ
5b 本体部
5c 突起
5d 回転子カム面
5e 溝
6 第2スプリング
7 第1スプリング
8 下部ケース
8a 挿入部
8b,8c 側壁
8b1,8c1 上端面
8d 底部

Claims (5)

  1. 略円筒状の筒部を有するケースと、
    前記ケースは、上部ケースと下部ケースとを嵌合することによって形成され、前記下部ケースは、プッシュスイッチの側面を形成し、底部にガイドポールが挿入される円筒形の挿入部が設けられ、
    前記筒部に嵌装され、筒部に沿って摺動自在な略円柱状であり、底部から前記ガイドポールが延出されるボタンと、
    前記下部ケースの円筒形の前記挿入部に外嵌され、前記ボタンの往復動作に応じて、筒部の長軸を回転軸として所定方向に所定角度回転しながら筒部に沿って摺動往復する、底部にフランジを有する略円筒状の回転子と、
    前記回転子の略円筒状の部分に挿入されて前記回転子のフランジの上面に載置され、係止される略円環板状である接続片と、
    前記接続片を挟んで前記回転子と対向して前記ケースの上端面の裏面に設けられ、接続片と接触する2以上の固定端子と、
    を有し、
    前記ボタンの往復動作毎に前記回転子が所定角度回転することによって、前記回転子に係止された前記接続片も回転し、前記接続片と前記固定端子間とが接続されたON状態と、非接続のOFF状態とを交互に繰り返すON/OFF動作を行うプッシュスイッチであって、
    前記回転子を上方に付勢する第1スプリングと前記ボタンを上方に付勢する第2スプリングとを有し、
    前記第1スプリングは、前記下部ケースと前記回転子との間に嵌挿され、前記下部ケースに支持されており、
    前記第2スプリングは、前記下部ケースと前記ボタンとの間に嵌挿され、前記下部ケースに支持されており、
    前記接続片の外周部には所定間隔で、固定端子方向に曲成され且つ前記固定端子と接触する板状のアームが設けられ、
    このアームは、前記回転子の前記摺動往復時に生じる前記固定端子と前記回転子との距離の変化に応じて、弾性的に撓曲することで、前記固定端子と前記接続片との接触を保ち、
    上死点をボタンが押圧されていない状態と、下死点をボタンがもはや下方に移動しない点まで押圧された状態としたとき、
    前記下死点まで押圧されたボタンが上死点に復帰する過程で、回転子が、第1スプリングの弾発力により他の部材と衝突する際に、前記アームは、弾性的に撓曲することで、前記固定端子と前記接続片との接触を保つこと
    を特徴とするプッシュスイッチ。
  2. 前記筒部の内周面には、互いに案内溝で隔てられた長手方向に沿った凸条が所定間隔で形成され、それぞれの凸条の下端部は斜面状の筒部カム面となり、前記ボタンの下端部の外周面には、前記案内溝に遊嵌するリブが形成され、これらのリブの下端部は、前記筒部カム面と略同じ傾きを有する斜面状のボタンカム面となり、前記回転子の上端部には、前記案内溝に遊嵌する突起が形成され、これらの突起の上端部は、前記ボタンカム面と略逆の傾きを有する斜面状の回転子カム面とからなり、前記ボタンの往復動作の往動作時に、前記回転子カム面は前記ボタンカム面により前記案内溝に沿って押圧されることで、前記筒部カム面にスライド移動し、復動作時に、前記回転子カム面は、前記ボタンカム面に沿ってスライド移動し、前記案内溝に隣接した別の案内溝に嵌合することを特徴とする請求項1に記載のプッシュスイッチ。
  3. 前記ボタンの外周面の長手方向に沿って、前記案内溝に遊嵌する過回転防止用凸条が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプッシュスイッチ。
  4. 前記ボタンの下端部から、このボタンの中心軸に沿って、ガイドポールが延出しており、このガイドポールに臨む前記ケースには、前記ガイドポールの端部が挿入される円筒形の挿入部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のプッシュスイッチ。
  5. 前記固定端子は、前記ケース内に設けられ前記接続片と接触する平面部と、前記プッシュスイッチに外部配線を接続するための端子部とからなり、前記端子部は、前記平面部からU字型に下方に延出し、さらに、前記平面部から離間する方向に曲成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか一項に記載のプッシュスイッチ。
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