JP4130571B2 - 鞍乗型電動車両 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータを動力源として走行する鞍乗型電動車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の鞍乗型電動車両としては、スクータ型の電動二輪車が知られている。この従来の電動二輪車は、エンジンを搭載した自動二輪車に較べると、始動用メインスイッチがON操作されていてしかも停止している状態で生じる音、言い換えれば前記自動二輪車においてエンジンがアイドリング状態で車体が停止しているときに生じる音が無い。このため、電動二輪車は、急発進を防止するために走行が可能な状態であることを乗員に積極的に知らせることが必要になる。
【0003】
走行が可能な状態であることを乗員に知らせることができる電動車両としては、例えば特開平7−322403号公報に開示されているものがある。この公報に示された電動車両は、四輪車で、車室内に設けられたスピーカから音を発生させて乗員に走行可能な状態であることを知らせる構成が採られている。
なお、本出願人は、本明細書に記載した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に密接に関連する先行技術文献を出願時までに発見するには至らなかった。
【0004】
【特許文献1】
特開平7−322403号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、鞍乗型電動車両は、四輪車に較べて部品の搭載スペースが狭いばかりか、より一層の軽量化が要請されていることから、専ら走行可能な状態であることを乗員に知らせるためのスピーカを搭載することはできない。このスピーカより相対的に小さいブザーを音源として使用することも考えられるが、部品点数の増加を免れることはできない。
【0006】
本発明はこのような問題点を解消するためになされたもので、簡潔な構成でありながら、走行可能な状態であることを乗員に音によって知らせることができる鞍乗型電動車両を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明に係る鞍乗型電動車両は、マイクロプロセッサから送出された制御信号により点灯するフラッシャランプと、前記マイクロプロセッサから送出された信号に対応する警告音を発生させるブザーとを備え、前記マイクロプロセッサは、前記フラッシャランプが点灯しているときに前記ブザーに第1の信号を送出するフラッシャランプ消し忘れ警告手段を備えるとともに、車体が走行可能な状態にあるときに前記第1の信号とは異なる第2の信号を前記ブザーに送出する走行警告手段を備え、この走行警告手段は、車体が停止しているときであってブレーキ操作が行われているときは信号の送出を止める構成とされているものである。
【0008】
本発明によれば、乗員がフラッシャランプを消し忘れたときに警告音を発生するブザーを利用して走行可能な状態であることを乗員に知らせることができる。また、マイクロプロセッサによってフラッシャランプやブザーが制御されるからフラッシャリレーが不要になる。
【0009】
また、本発明によれば、例えば交差点などで信号待ちのために停車しているときにブレーキ操作を行うことによって、ブザーから警告音が発生するのを止めることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る鞍乗型電動車両の一実施の形態を図1ないし図6によって詳細に説明する。ここでは、本発明を電動二輪車に適用する場合の形態について説明する。
図1はこの実施の形態による電動二輪車の側面図、図2はメインスイッチ取付部分を拡大して示す側面図、図3は同じく平面図で、同図は車体フレームの一部を破断した状態で描いてある。図4はメータの表示部を拡大して示す平面図、図5は本発明に係るマイクロプロセッサを有する制御系の構成を示すブロック図、図6は走行警告手段の動作を説明するためのフローチャートである。
【0011】
これらの図において、符号1で示すものは、この実施の形態によるスクータ型電動二輪車である。この電動二輪車1は、車体フレーム2の後部にユニットスイング式の動力ユニット3を備え、この動力ユニット3により後輪4が駆動されることによって走行するものである。図1において、符号5は前記車体フレーム2のヘッドパイプを示し、6はこのヘッドパイプ5に回動自在に支持されたフロントフォーク、7は前輪、8は操向ハンドル、9は乗員が跨って着座する鞍型のシート、10はバッテリー、11はヘッドライト、12はテール・ブレーキランプ、13はフラッシャランプをそれぞれ示す。
【0012】
前記バッテリー10は、出力電圧が24Vのものが用いられ、前記シート9の下方に設けられたバッテリケース15に着脱自在に搭載されている。前記バッテリーケース15は、図1中に二点鎖線で示すようにシート9を上方に開くことによってバッテリー出入口(図示せず)が上方へ向けて開放するように形成されている。
【0013】
前記動力ユニット3は、後輪4と同一軸線上に位置するモータ16と、このモータ16の出力を制御する車両コントローラ17とがユニットハウジング18内に設けられ、前記操向ハンドル8の車体右側のスロットルグリップ(図示せず)の回動角度に対応して後輪4の回転速度が増減するように構成されている。すなわち、スロットルグリップの回動角度に対応するように前記車両コントローラ17がモータ16の出力を制御する。
前記操向ハンドル8の近傍には、図1において符号21で示すメータユニットが設けられており、上述したヘッドライト11やフラッシャランプ13などの電装部品は、前記メータユニット21内に設けられたCPU22(図5参照)によって制御されて点灯・消灯が切り換えられる。
【0014】
前記メータユニット21は、図4および図5に示すように、LCD表示装置23と、ワーニングランプ24と、パワースイッチ25と、セットスイッチ26と、セレクトスイッチ27と、警告用ブザー28などを備えている。前記LCD表示装置23は、図4においては、全ての液晶セグメントが表示されている状態で描いてある。このLCD表示装置23には、暗証番号による電子式ロックを行っているときに表示状態になるロック表示部31と、走行可能な状態であるときに表示状態になるRUN表示部32およびサークル型表示部33と、バッテリー10の残存容量を示す容量表示部34と、走行距離や操作ガイド用の文字を表示するための文字表示部35と、車速を表示するための車速表示部36などが設けられている。このメータユニット21に設けられている前記各スイッチ25〜27は、各種のデータを入力するために用いるものである。前記警告用ブザー28は、この実施の形態では圧電ブザーを音源とするものであり、後述するCPU22から送られた信号に対応する警告音を発生させる。
【0015】
前記CPU22は、マイクロプロセッサからなり、図5に示すように、上述した各種の電装部品の他にメインスイッチ41(図1〜図3参照)と、前輪7または後輪4の回転速度から車速を検出する車速センサ42と、後述するフラッシャランプ消し忘れ警告手段45と走行警告手段46とが設けられている。これら両手段は、CPU22に記憶されたプログラムによって構成されている。また、このCPU22は、フラッシャランプ13を点滅させる制御機能をも有し、全てのフラッシャランプ13の点灯・消灯を切換える構成が採られている。さらに、CPU22は、前記車両コントローラ17に通信手段17aを介して接続されている。車両コントローラ17には、前記操向ハンドル8の両端部に設けられたブレーキレバー43(図1参照)の操作位置に基づいてブレーキ操作が行われているか否かを検出するブレーキセンサ44が接続されている。
【0016】
前記メインスイッチ41は、従来の自動二輪車に用いられているものと同等のものが使用されており、図示していないキーをキー挿入口41a(図3参照)に挿入して回動させることによってオン・オフとハンドルロックとが切り換えられるものである。このメインスイッチ41に接続されたリード線41bは、車体フレーム2の左右一対のダウンチューブ2a,2bの間に設けられた外装カバー47(図1および図2参照)の内部に配線されており、図2および図3に示すように、第三者によって切断されるのを阻止するために硬質PVCからなる保護パイプ48の中を貫通されている。
【0017】
前記フラッシャランプ消し忘れ警告手段45は、例えば左折または右折を行った後に乗員がフラッシャスイッチ(図示せず)を中立位置に戻すのを忘れているような場合に、このことを警告音によって乗員に知らせるためのもので、フラッシャランプ13の点灯している場合に、前記警告用ブザー28に第1の信号を送出するように構成されている。
【0018】
この第1の信号は、この実施の形態では、警告用ブザー28から音が発生している時間と、音が消えている時間とを判別できるように、言い換えれば、警告音のパターンに対応するように設定されている。なお、この第1の信号には、警告音の音量を決めるデータを含ませることもできる。
【0019】
前記走行警告手段46は、車体が走行可能な状態であるときに前記第1の信号とは異なる第2の信号を前記警告用ブザー28に送出する構成が採られている。この第2の信号と前記第1の信号とは、この実施の形態においては、警告用ブザー28から音が発生している時間と、音が消えている時間とがそれぞれ異なるように設定されている。これらの第1および第2の信号は、CPU22のメモリ49(図5参照)に記憶されている。この第2の信号にも警告音の音量を決めるデータを含ませることができる。
【0020】
上述した「車体が走行可能な状態」とは、メインスイッチ41がON操作されていることと、メータユニット21のスイッチ25〜27(始動スイッチ)のうち何れか一つがON操作されたこととの二つの条件が満たされている状態のことをいう。なお、上記条件に、メインスタンド51(図1参照)が同図に示す収納状態であることをも加えることができる。この場合には、メインスタンド51の使用状態を図示していないセンサによって検出する。
【0021】
前記条件が満たされているときに、走行警告手段46は、LCD表示装置23のRUN表示部32とサークル型表示部33とを表示状態とする。サークル型表示部33は、複数の表示セグメント33aを環状を呈するように並設することによって形成されており、上記表示状態では、表示状態になる表示セグメントを順次例えば時計方向に移動させることによって、あたかも表示部分が回転しているように見せる構成が採られている。また、走行警告手段46は、上記条件が満たされている場合であって、車速が0でかつブレーキ操作がなされていないときに、前記警告用ブザー28に第2の信号を送出する。この結果、このときには、第2の信号に対応する第2の警告音が警告用ブザー28から発生する。この第2の警告音は、フラッシャランプ13を消し忘れているときに生じる前記第1の警告音とは音のパターンが異なるようになる。
【0022】
上述した走行警告手段46の動作を図6に示すフローチャートによって説明する。走行警告手段46は、先ず、ステップS1でメインスイッチ41がON操作され、ステップS2で始動スイッチ(スイッチ25〜27のうち何れか一つ)がON操作された後に、ステップS3において、現在の状態が走行可能な状態であるか否かを判別する。上述した条件が満たされていない場合は、走行警告手段46は、走行可能な状態ではないと判定し、ステップS4で現在の状態を維持するようにLCD表示装置23と警告用ブザー28を制御してからステップS2に戻る。前記ステップS4では、前記サークル型表示部33が非表示状態を維持するようにLCD表示装置23を制御するとともに、警告用ブザー28から警告音が生じることがないように第2の信号の送出を停止する。
【0023】
ステップS3の判定結果がYES、すなわち走行可能な状態である場合には、走行警告手段46は、ステップS5に示すように、前記サークル型表示部33を表示状態とする。このときには、走行警告手段46は前記RUN表示部32も表示状態とする。その後、ステップS6において、走行警告手段46は、車速センサ42によって検出された車速が0であって、かつブレーキ操作が行われていないことがブレーキセンサ44によって検出されているか否かを判定する。そして、走行警告手段46は、前記ステップS6での判定結果がNOの場合、すなわち車速が0ではなかったり、乗員がブレーキ操作をしている場合には、ステップS7に進み、前記サークル型表示部33が表示状態を維持するようにLCD表示装置23を制御する。
【0024】
すなわち、このときには、サークル型表示部33とRUN表示部32とが表示状態になるだけで警告用ブザー28から第2の警告音が生じることはない。このため、走行中に不必要に第2の警告音が発生することはなくなるし、信号待ちなどで停車しているときでもブレーキ操作を行うことによって第2の警告音が発生するのを止めることができるから、電動二輪車のもつ騒音が少ないという利点が第2の警告音によって損なわれるようなことはない。
【0025】
前記ステップS6での判定結果がYESの場合は、走行警告手段46は、ステップS8で前記警告用ブザー28に第2の信号を送る。この結果、警告用ブザー28から第2の信号に対応するパターンで第2の警告音が発生する。すなわち、このときには、フラッシャランプ13を消し忘れたときに生じる第1の警告音とは異なるパターンで第2の警告音が生じ、この第2の警告音によって、走行可能な状態であることを乗員に知らせることができる。すなわち、メータユニット21のLCD表示装置23に表示されているRUN表示部32やサークル型表示部33が表示状態になっているのを気付いていない場合であっても、走行可能な状態であってスロットルグリップを操作することにより発進してしまうということを乗員に第2の警告音によって知らせることができる。
【0026】
したがって、この実施の形態による電動二輪車においては、乗員がフラッシャランプ13を消し忘れたときに第1の警告音を発生する警告用ブザー28を利用して走行可能な状態であることを乗員に知らせることができる。また、この電動二輪車は、CPU22(マイクロプロセッサ)によってフラッシャランプ13や警告用ブザー28が制御されるから、フラッシャリレーが不要である。
【0027】
この実施の形態による電動自転車は、CPU22によってフラッシャランプ13や警告用ブザー28を制御する構成を採っているから、製造コストを低く抑えることができた。これは、鞍乗型電動車両の電源は24Vであるからである。すなわち、24V用のリレーは、自動車や自動二輪車などで広く用いられている12V用のリレーに較べると高価であるからである。なお、24V用リレーとして例え安価なものを用いたとしても、このリレーはメータ21とは別体に形成されて配線によってメータ21に接続されるから部品数が多くなってコストアップになる。すなわち、フラッシャランプ13の動作に対応するように警告用ブザー28から警告音を発生させるためには、前記リレーの動作を検出してメータ21のCPU22に送らなければならず、このために配線が必要になるからである。
【0028】
上述した実施の形態では本発明を電動二輪車に適用する例について説明したが、本発明はこのような限定にとらわれることはなく、例えば鞍乗型の電動三輪車や電動四輪車にも適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、乗員がフラッシャランプを消し忘れたときに警告音を発生させるためのブザーを利用して走行可能な状態であることを乗員に知らせることができる。したがって、専ら走行可能な状態であることを乗員に知らせるために用いるブザーを装備する必要がなく、フラッシャランプを消し忘れていることを知らせるための機能と、走行が可能な状態であることを知らせるための機能とを一つのブザーで実現することができる。また、フラッシャランプやブザーは、マイクロプロセッサによって制御されるからフラッシャリレーは不要になる。
したがって、本発明に係る鞍乗型電動車両は、一つのブザーで上記二つの機能を実現していることと、フラッシャリレーが不要になることとによって、走行可能な状態であることを乗員に音によって知らせる構成を採りながら、簡潔な構成となり、製造コストを低く抑えることができる。
【0030】
また、本発明によれば、例えば交差点などで信号待ちのために停車しているときにブレーキ操作を行うことによって、ブザーから警告音が発生するのを止めることができる。このため、不必要なときにブザーから警告音が発生するのを防ぐことができるから、取り扱いが容易な鞍乗型電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この実施の形態による電動二輪車の側面図である。
【図2】 メインスイッチ取付部分を拡大して示す側面図である。
【図3】 メインスイッチ取付部分を拡大して示す平面図である。
【図4】 メータの表示部を拡大して示す平面図である。
【図5】 本発明に係るマイクロプロセッサを有する制御系の構成を示すブロック図である。
【図6】 走行警告手段の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
9…シート、16…モータ、13…フラッシャランプ、22…CPU、28…警告用ブザー、45…フラッシャランプ消し忘れ警告手段、46…走行警告手段。

Claims (1)

  1. 乗員が鞍型のシートに着座し、モータを動力源として走行する鞍乗型電動車両において、マイクロプロセッサから送出された制御信号により点灯するフラッシャランプと、前記マイクロプロセッサから送出された信号に対応する警告音を発生させるブザーとを備え、前記マイクロプロセッサは、前記フラッシャランプが点灯しているときに前記ブザーに第1の信号を送出するフラッシャランプ消し忘れ警告手段を備えるとともに、車体が走行可能な状態にあるときに前記第1の信号とは異なる第2の信号を前記ブザーに送出する走行警告手段を備え、この走行警告手段は、車体が停止しているときであってブレーキ操作が行われているときは信号の送出を止める構成とされていることを特徴とする鞍乗型電動車両。
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