JP4130297B2 - イミドフェノール化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物の成分として好適なイミドフェノール化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、優れた耐熱性と電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂は、一般に感光性ポリイミド前駆体組成物の形で供され、これを塗布、活性光線によるパターニング、現像、熱イミド化処理等を施すことによって微細加工された耐熱性皮膜を容易に形成させることが出来、従来の非感光性ポリイミドに比べて大幅な工程短縮を可能にするという特徴を有している。
【0003】
ところが、その現像工程においては、現像液としてN−メチル−2−ピロリドンなどの大量の有機溶剤を用いる必要があり、安全性及び近年の環境問題の高まりなどから、脱有機溶剤対策が求められてきている。これを受け、最近になって、フォトレジストと同様に、希薄アルカリ水溶液で現像可能な耐熱性感光性樹脂材料の提案が各種なされている。
中でもアルカリ水溶液可溶性のポリヒドロキシアミド、例えば、ポリベンズオキサゾール(PBO)前駆体を、ナフトキノンジアジド(NQD)などの光活性成分(PAC)と混合して用いる方法が、近年注目されている(特公昭63−96162号公報など)。これらの方法によると、ポジ型パターンの形成が容易でかつ保存安定性も良好、またポリイミドと同等の熱硬化膜特性が得られることから、有機溶剤現像型ポリイミド前駆体の有望な代替材料として注目されている。
【0004】
この他、フェノール性水酸基を主鎖中に導入したポリマーとPACの組み合わせ(特開平11−106651号公報など)や、側鎖にフェノール性水酸基を導入したポリマーとPACとの組み合わせ(特許公報2890213号など)が提案されている。
しかしながら、これまで開示されている方法によって得られるパターニング性能には、未だ問題点も多い。
【0005】
NQDを用いた感光性組成物の場合、アルカリ可溶性ポリマーにNQDを添加することにより、組成物のアルカリ溶解性を低下させる(溶解抑止)能力が発現し未露光部の現像液耐性が生じる。一方、露光部は、NQDがインデンカルボン酸に変換され、現像液に溶解するようになる。この露光部、未露光部のアルカリ溶解性の差を利用してパターニングを行うわけであるが、高感度でかつ高コントラスト(高残膜率)のパターニング性能を得るには、両者の溶解性の差を十分にとることが必要である。
【0006】
これを実現するためには、一般に、アルカリ溶解性樹脂と強く相互作用するいわゆる溶解抑止能の高いPACを添加することが有効であり、従来のフォトレジストにおいて広く用いられてきたヒドロキシベンゾフェノン系やビスフェノール系化合物をNQD化したPACによる検討(特開昭64−6947号公報、特開平3−20743号公報など)に加え、種々のPACが検討されてきている(特開平8−123034号公報、特開平11−258795号公報)。
【0007】
しかし、これらのPACは、ポリマーと強く相互作用するため未露光部のみならず露光部のアルカリ溶解性をも低下させるので、高コントラストのパターンは得られるもののより高露光量が必要となり、すなわち感度の低下が起こる。また、現像時間も長くなるため作業性が悪くなるという課題があった。
このほか現像プロセスにより改良すべく、アルカリ現像液として従来広く用いられている2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を希釈して用いる方法もあるが、別途専用の現像液を準備する必要があり合理的とはいえない。
【0008】
そこでこれを解決するために、アルカリ溶解性を高める目的で組成物中に特定のフェノール化合物を用いることが提案されている(特開平11−102069号公報、特開平11−65107号公報、特開平9−302221号公報)。
しかし、これらの化合物は露光部の溶解速度を高める効果が低く、現像時間を十分短縮することはできない。また、溶解速度を高め感度を向上させるために、該フェノール化合物の添加量を増やすことも行われるが、その場合、同時に未露光部の溶解速度も高くなるために膜減りが大きくなりコントラストが低下するという問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、ポジ型感光性樹脂組成物に用いた場合に短時間で現像が行え、かつ、高感度、高コントラストのパターニング性能を発現する材料を開発すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の構造を有するイミドフェノール化合物を含む組成物が前記特性を満足し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
1.下記一般式(1)または(2)で表されるイミドフェノール化合物。
【化4】
【0011】
(式中Xは下記一般式(3)に示される基であり、かつYは下記一般式(4)に示される基である。)
【化5】
【0012】
【化6】
【0013】
Yは2価の有機基を示す。)
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のイミドフェノール化合物を得るためには、まず相当するビス−(o−アミノフェノール)1当量と分子内環状酸無水物2当量を適当な溶剤中で反応させアミドフェノールを生成させる。本発明で用いられるビス−(o−アミノフェノール)としては、
【0014】
【化7】
【0015】
(式中Xは下記に示される中から選ばれる基または単結合を示し、
【0016】
【化8】
【0017】
Yは2価の有機基を示す。)
で示される化合物が挙げられる。このうち、好ましい例としては
【0018】
【化9】
【0019】
などを挙げることができる。
また、本発明で用いられる分子内環状酸無水物の例としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、3−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2−シクロペンタンジカルボン酸無水物、1,2−シクロブタンジカルボン酸無水物、1,2−シクロプロパンジカルボン酸無水物、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、2,3−ピリジンジカルボン酸無水物、1,1−シクロペンタン二酢酸無水物、無水シトラコン酸、無水ジフェン酸、無水3,6−エポキシ−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水4−エチニルフタル酸、無水こはく酸、無水1,2−ナフタル酸、無水1,8−ナフタル酸、無水オレイン酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
上記反応で得られた、アミドフェノール化合物をイミド化させることにより本発明のイミドフェノールを得ることができる。イミド化の方法としては加熱や脱水剤、脱水剤と塩基性触媒、塩基性触媒など種々の公知の方法を用いることができる。このとき使う脱水剤としては従来公知の脱水剤を使用することができ、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水安息香酸、無水トリフルオロ酢酸、アセチルクロライド、トシルクロライド、メシルクロライド、クロルギ酸エチル、トリフェニルホスフィンとジベンゾイミダゾリルジスルフィド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−カルボニルジイミダゾール、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリン、シュウ酸N,N’−ジスクシニミジルエステル、陽イオン交換樹脂など、塩基性触媒を使う場合はピリジン、ピコリン、2,6−ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、N−メチルモルフォリン、4−N,N’−ジメチルアミノピリジン、イソキノリン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ〔2.2.2〕オクタン、1,8−ジアザビシクロ〔5.4.0〕−7−ウンデセン、陰イオン交換樹脂などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0021】
さらには、イミド化法を選べばビス−(o−アミノフェノール)に末端縮合用の分子内環状酸無水物とイミド化剤を同時に加えることによって中間体を経由せずに本発明のイミドフェノール化合物を得ることができる。
前記イミドフェノール化合物を合成する際に用いられる溶剤としては、原料のビス−(o−アミノフェノール)および分子内環状酸無水物を共に溶解するものが好ましく、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチル尿素(TMU)、γ−ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)などが挙げられる。
【0022】
上記のようにして合成されたイミドフェノール化合物は、必要により陽イオン交換樹脂で処理することで塩基性化合物を除去できる。こうして処理された溶液から減圧下で溶剤を留去、あるいは溶液を水中に滴下することによって再沈殿させたあと、濾過、加熱乾燥させることにより目的物を単離することができる。
上記方法により得られるイミドフェノール化合物において下記で示される化合物が、特にアルカリ溶解促進効果が高く好ましい。
【0023】
【化10】
【0024】
本発明のイミドフェノール化合物は、アルカリ溶解性ポリマーおよびナフトキノンジアジド(NQD)化合物からなるポジ型感光性樹脂組成物の成分として好適に用いられ、特に上記ポリマーがフェノール性水酸基を有するポリアミド(ヒドロキシポリアミド)の場合に有用である。
このようなポリマーとしては、ポリイミド前駆体のポリアミド酸エステルやポリベンズオキサゾール前駆体のヒドロキシポリアミド等が挙げられ、ポリアミド酸エステルとしては下記構造で示されるものである。
【0025】
【化11】
【0026】
(式中A1は4価の有機基、B1は2価の有機基、Eは1価の有機基を示す。ただし、A1,B1,Eのうち少なくとも1つにフェノール性水酸基を含む。)
上記ポリマー構造において、A1は従来公知の芳香族テトラカルボン酸残基の他に、フェノール性水酸基を含むものとして
【0027】
【化12】
【0028】
等の構造のものを挙げることができる。
B1としては、従来公知の芳香族ジアミン残基の他に、フェノール性水酸基を含むものとして先に示した本発明のイミドフェノール原料であるビス−(o−アミノフェノール)化合物残基を挙げることができる。
Eは1価のアルコール残基であるが、3−ヒドロキシベンジル基、3,5−ジヒドロキシベンジル基等のフェノール性水酸基を含む基を挙げることができる。ポリベンズオキサゾール前駆体のヒドロキシポリアミドとしては、次式で示されるものである。
【0029】
【化13】
【0030】
[式中A2は2価の有機基、B2は前記一般式(3)、(4)で示されるビス−(o−アミノフェノール)残基である。]
上記ポリマー構造において、A2として次式
【0031】
【化14】
【0032】
で示される基が特に好ましい。またB2としては、次式
【0033】
【化15】
【0034】
で示される基が特に好ましい。
ポジ型感光性樹脂組成物中で用いられるNQDは、米国特許第2,772,972号、同第2,797,213号、同第3,669,658号および特開平8−123034号公報、特開平11−258795号公報等に記載の化合物が挙げられ、このうち例えば下記のものを挙げることができる。
【0035】
【化16】
【0036】
(式中Qは水素原子、
【0037】
【化17】
【0038】
である。)
ポジ型感光性樹脂組成物におけるNQDの配合比は、樹脂100重量部に対し1〜100重量部の範囲で用いられる。
上記組成物中で本発明のイミドフェノール化合物が用いられる量は、樹脂100重量部に対し1〜50重量部であり、これより少ないと高感度化および現像時間の短縮効果が得られない。また、50重量部より多いと塗膜全体の溶解速度が高くなりコントラストの低下が起こる。
【0039】
また、本発明のイミドフェノール化合物を含有する感光性樹脂組成物は、これらの成分を溶剤に溶解したワニス上の形態をとる。ここで用いられる溶剤としては、NMP、GBL、DMAc、DMF、DMSO、DMDG、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いても良い。溶剤の使用量は、得られる膜厚によって異なり、樹脂100重量部に対し、70から1900重量部の範囲で用いられる。
【0040】
本発明のイミドフェノール化合物を含有する感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック、アルミ基板などに塗布する。塗布方法は、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどで行う。
次に、60〜140℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線などが使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。
【0041】
ここで用いられる現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノール等のアルコール類や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。
【0042】
現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスするが、リンス液としては蒸留水を使用する。次に加熱処理を行うことにより、イミド環もしくはオキサゾール環を形成し、耐熱性に優れた最終パターンが得られる。
本発明のイミドフェノール化合物を含有する感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜などとしても有用である。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下実施例に基づき、本発明の具体的な実施形態の例を説明する。
【0044】
【実施例1】
容量1Lのセパラブルフラスラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン109.88g(0.3mol)、THF330g、ピリジン47.46g(0.6mol)を入れ、これに室温下で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物98.50g(0.6mol)を粉体のまま加えた。そのまま室温で3日間撹拌反応を行ったあと、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。この反応液をそのまま1Lのイオン交換水中に撹拌下で滴下し、生成物を析出させた。
【0045】
次に析出物を濾別した後、これにTHF500mLを加え撹拌溶解し、この均一溶液を陽イオン交換樹脂:アンバーリスト15(オルガノ株式会社製)100gが充填されたガラスカラムを通し残存するピリジンを除去した。次にこの溶液を3Lのイオン交換水中に高速撹拌下で滴下することにより生成物を析出させ、これを濾別した後、真空乾燥することにより下記構造のイミドフェノール化合物(IF)を収率86%で得た。
【0046】
【化18】
【0047】
生成物がイミド化していることは、IRチャートで1394および1774cm−1のイミド基の特性吸収が現れたこと、およびNMRチャートでアミドおよびカルボン酸のプロトンのピークが存在しないことにより確認した。
以下に、樹脂組成物とする場合に用いられるポリマーの製造例を示す。
【0048】
〈ポリマー製造例1〉
容量1Lのセパラブルフラスラスコ中で、THF396g、ピリジン9.49g(0.12mol)、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン131.85g(0.36mol)を室温(25℃)で混合攪拌し、ジアミンを溶解させた。これに、別途THF59.1g中に5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物19.70g(0.12mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は80分、反応液温は最大で26℃であった。
【0049】
滴下終了から6時間攪拌放置後、反応液を陽イオン交換樹脂:アンバーリスト15(オルガノ株式会社製)30gが充填されたガラスカラムを通しピリジンを除去した。次にこの溶液からTHFを減圧留去してから真空乾燥する事により下記構造の化合物と2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパンの1:2の混合物を収率95%で得た。下記の化合物がイミド化していることはIRチャートで1650,1550cm−1付近のアミド基を示す吸収がないこと、1384および1770cm−1のイミド基の特性吸収が現れたことにより確認した。
【0050】
【化19】
【0051】
次に容量1Lのセパラブルフラスラスコ中で、この混合物74.76g、DMAc231g、ピリジン23.73g(0.3mol)を室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、別途DMDG133g中に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド44.27g(0.15mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
【0052】
滴下終了から3時間後 上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、GPC分子量9200(ポリスチレン換算)のヒドロキシポリアミド(P−1)を得た。得られたポリマーの末端がイミド基になっていることはIRチャートで1385および1772cm−1のイミド基の特性吸収が現れたことにより確認した。
また、更にポリマーの精製が必要な場合、以下の方法にて実施することが可能である。即ち、上記で得られたポリマーをDMDG400gに再溶解したポリマー溶液を、イオン交換水で洗浄後、DMDGで置換された陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂49g及び41gがそれぞれ充填されたガラスカラムに流すことで処理を行った。このようにして精製されたポリマー溶液をイオン交換水5Lに滴下し、その際析出するポリマーを分離、洗浄した後真空乾燥を施すことにより精製されたポリマーを得ることができる。
【0053】
〈ポリマー製造例2〉
容量2Lのセパラブルフラスラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン62.26g(0.17mol)、DMAc370g、ピリジン13.45g(0.17mol)を室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、別途DMDG133g中に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド44.27g(0.15mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
【0054】
滴下終了から3時間後 反応液にメタンスルホニルクロリド6.9g(0.06mol)、ピリジン18.2g(0.23mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をメタンスルホニル基で封止した。この際の反応率は投入したメタンスルホニルクロライドの残量をHPLCで追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、GPC分子量9000(ポリスチレン換算)のヒドロキシポリアミド(P−2)を得た。
【0055】
〈ポリマー製造例3〉
容量500mLのセパラブルフラスコに、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物32.2g(0.1mol)と3,5−ジヒドロキシベンジルアルコール28.6gとDMAc100mLを入れた。この混合液を室温で24時間撹拌した。
【0056】
次にこのフラスコ内を5℃まで冷却した後、m−フェニレンジアミン10.3g(0.095mol)、ピリジン15.8g(0.2mol)およびDMAc20mLを加えた。さらに、ジシクロヘキシルカルボジイミド41.3g(0.2mol)をDMAc40mLに溶解させた溶液を前記フラスコに約30分かけて滴下した。その後室温まで戻しそのまま3時間反応させ、生成した不溶物を濾別した後、得られた溶液をイオン交換水中4L中に滴下することでポリマーを析出させ、これを分取後真空乾燥する事により側鎖にフェノール性水酸基を有するポリアミド酸エステル(P−3)を得た。
【0057】
【参考例1】
製造したポリマー(P−1)100重量部、下記構造式で示されるナフトキノンジアジド(Q−1)15重量部、実施例で合成したイミドフェノール(IF)10重量部をGBL150gに溶解し、感光性樹脂組成物を調製した。
【0058】
【化20】
【0059】
【化21】
【0060】
このポジ型感光性樹脂組成物を、0.5%アミノプロピルトリエトキシシランのメタノール溶液を用いて250℃、15分で処理したSiウェハー上にスピンコーターを用いてシリコンウェハー上に均一塗布し、100℃ホットプレート上で240秒間プリベークした後の膜厚が10μmになるように塗膜を形成した。次にこれを、テストパターン付きレチクルを通してi−線ステッパー(ニコン製)で350mJ/cm2の露光を行った。
【0061】
この露光膜を、クラリアントジャパン社製AZ300MIF現像液[テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)2.38%水溶液]を用いて露光部を溶解除去したところ90秒という実用上申し分のない短時間で現像が完了した。その後純水で30秒間リンスを行い、得られたパターンを光学顕微鏡で観察したところ、5μmのパターン(バイアホール、ラインアンドスペースなど)が残渣もなくきれいに解像されていた。また、このときの残膜率(現像後の膜厚/現像前の膜厚)は92%であり、高いコントラストを示した。
【0062】
【参考例2】
ポリマーを(P−2)に代えたこと以外は、参考例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0063】
【参考例3】
ポリマーを(P−3)に代えたこと以外は、参考例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0064】
【参考例4】
PACを下記構造式で示される(Q−2)に代えたこと以外は、参考例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0065】
【化22】
【0066】
【化23】
【0067】
【比較例1】
イミドフェノールを使用しないこと以外は、参考例1と同様にして感光特性評価を行った。その結果、現像時間が250秒とイミドフェノールを使用しない場合に比べ3倍以上を要した。また、そのため未露光部の残膜率は75%とかなり低くなり、満足のいくコントラストが得られなかった。
【0068】
【比較例2】
イミドフェノールの代わりにビスフェノールFを使用すること以外は、参考例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0069】
【比較例3】
イミドフェノールの代わりに下記構造式で示されるフェノール(PH)を使用すること以外は、参考例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0070】
【化24】
【0071】
以上、参考例1〜4,比較例1〜3の評価結果を表に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
【発明の効果】
本発明により新規なイミドフェノールが提供され、本発明のイミドフェノールを含むポジ型感光性樹脂組成物を用いることにより、短時間で現像が行われ、かつ高感度、高コントラストのパターン形成が可能となる。
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