JP4437345B2 - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術的分野】
本発明は、優れた光感度と解像性を有するポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた高耐熱性レリーフ構造物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には、優れた耐熱性と電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂は、一般に感光性ポリイミド前駆体組成物の形で供され、これを塗布、活性光線によるパターニング、現像、熱イミド化処理等を施すことによって微細加工された耐熱性皮膜を容易に形成させることが出来、従来の非感光型ポリイミドに比べて大幅な工程短縮が可能となるという特徴を有している。
【0003】
ところが、その現像工程においては、現像液としてN―メチルー2―ピロリドンなどの大量の有機溶剤を用いる必要があり、安全性および近年の環境問題の高まりなどから、脱有機溶剤対策が求められてきている。これを受け、最近になって、フォトレジストと同様に、希薄アルカリ水溶液で現像可能な耐熱性感光性樹脂材料の提案が各種なされている。
【0004】
中でもアルカリ水可溶性のポリヒドロキシアミド、例えばポリベンズオキサゾール(PBO)前駆体を、キノンジアジド(NQD)などの光活性成分(PAC)と混合して用いる方法が近年注目されている。(特公平1−46862号公報、特開昭63―96162号公報など参照。)これらの方法によると、ポジ型パターンの形成が容易、保存安定性も良好、またポリイミドと同等の熱硬化膜特性が得られるなど優れた性能が得られることから、有機溶剤現像型ポリイミド前駆体の有望な代替材料として注目されている。この他、フェノール性水酸基を主鎖中に導入したポリマーとPACとの組み合わせ(特開平11−106651号公報など)や、側鎖にフェノール性水酸基を導入したポリマーとPACとの組み合わせ(特許第2890213号公報など)が提案されている。
【0005】
しかしながら、これまでに開示されている方法によって得られるパターニング性能には、未だ問題点も多い。元来NQDを用いた感光性組成物の場合、アルカリ可溶性ポリマーにNQDを添加することにより、組成物のアルカリ溶解性を低下させる(溶解抑止)能力が発現し未露光部の現像液耐性が生じる。一方、露光部は、NQDがインデンカルボン酸に変換され、現像液に溶解するようになる。この露光部、未露光部のアルカリ溶解性の差を利用してパターニングを行う訳であるが、高感度でかつ高残膜率(高コントラスト)のパターニング性能を得るには、両者の溶解性の差を十分に取ることが出来るPACの選定が最も重要となる。即ち、PACの添加により溶解性が極端に低下し、未露光部では十分なアルカリ現像液耐性を持ち、一方、露光部では僅かな光によっても効率よく分解し、十分なアルカリ溶解性が発現する高感度なPACを用いなければならない。また、これを現像プロセスにより改良するべく、アルカリ現像液として従来広く用いられている2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を希釈して用いる方法もあるが、この場合別途専用の現像液を準備する必要があり合理的とは言えない。
【0006】
この問題を解決する為に、これまで種々のキノンジアジド系感光剤(PAC)が検討されて来た。例えば、従来のフォトレジストにおいて広く用いられてきたヒドロキシベンゾフェノン系やビスフェノール系化合物をNQD化したPACを用いることが提案されている。(特開昭64−6947号公報、特開平3−20743号公報など参照。)しかし、これらのPACでは、本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリアミドに適用した場合、組成物のアルカリ溶解抑止能は非常に弱くコントラストが殆ど取れず、得られるパターンの膜厚は極端に低いものとなってしまい実用に耐えない。
【0007】
更にこれを改良するために、PACにおけるNQDの導入率を高めたり、PACの母核フェノールの疎水性を高める為に嵩高い基を有するフェノールを用いるなどの検討が行なわれている。(特開平9−302221号公報、特開平9−321038号公報、特開平8−123034号公報など参照。)しかし、これらのPACを用いると、確かに前記PACに比べコントラストは若干改善されるものの、パターニング性能は依然不十分である。これは膜厚が10μmを越える厚膜の場合に特に顕著に現れる。即ち、塗膜が厚膜化すると一般に必要となる露光量及び現像時間は増加し、生産性を重視する半導体製造プロセスにとって好ましくない。
【0008】
従って、上記の様な厚膜の場合においても、未露光部の現像液耐性を高いレベルに保ったまま、短時間の露光によってもアルカリ溶解性を高められるPACの適用は必要不可欠となっている。
しかしながら、従来提案されているPACでは、これらの課題を解決し得るに足る十分な性能が得られていないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、膜厚が10μmを越える厚膜の場合においても高感度、即ち低露光量域でのパターニングにおいても現像後のパターンの膜減りが小さく、高コントラストであり、かつ優れた解像性を示し、更に汎用の2.38%TMAHによっても現像可能なポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた高耐熱性レリーフ構造物の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは感光剤(PAC)に着目し、2.38%TMAH現像液で現像が可能であり、厚膜においても高感度かつ高解像度のパターニング性能を発現し得る組成を開発すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の構造を有するPACが前記特性を満足し得ることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、(a)下記一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアミド100重量部と、
【0011】
【化6】
Figure 0004437345
【0012】
(式中X1は少なくとも2個以上の炭素原子を有する3価〜6価の有機基、Y1は少なくとも2個以上の炭素原子有する4価〜8価の有機基、R1は水素、または炭素数1〜10までの有機基、nは2〜1000までの整数、mは0または1〜2の整数、p、qは0または1〜4の整数、ただしm、p、qが同時に0であることはない。)
(b)下記一般式(2)で表される感光性ジアゾキノン化合物1〜100重量部を必須成分とするポジ型感光性樹脂組成物である。
【0013】
【化7】
Figure 0004437345
【0014】
(式中、Qのうち少なくとも1個は下記で示される基であり残りは水素原子である。)
【0015】
【化8】
Figure 0004437345
【0016】
また、本願は、上記ポジ型感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板に施し、マスクを介して化学光線で露光するか又は、光線、電子線又はイオン線を直接照射した後、その露光部又は照射部を溶出又は除去し、次にその際得られたレリーフ構造物を焼結することによって得られる高耐熱性レリーフ構造物の製造方法に関する発明も提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明におけるポリアミドは式(1)で示され、X1(OH)pの構造を有するジアミンとY1(OH)q(COOR1)mの構造を有するジカルボン酸とからなり、このポリアミドを約300〜400℃で加熱すると閉環し、ポリイミドもしくはポリベンゾオキサゾールという耐熱性樹脂に変わる。
本発明のポリアミド(1)のX1(OH)pの構造を有するジアミンとしては、芳香族ジアミン、シリコンジアミン、ヒドロキシジアミン等が挙げられる。このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−メチルー2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチルー2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン、1,4−ビス(α、α―ジメチルー4−アミノベンジル)ベンゼン、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、5(または6)−アミノー1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、
【0018】
4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2ビス[4−(3―アミノフェノキシ)フェニル]ベンゾフェノン、4,4’―ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’―ビス[4−(α、α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’―ビス[4−(α、α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’―ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、3,3’−ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等、およびこれら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基からなる群より選ばれた少なくとも一種の置換基によって置換された化合物が挙げられる。
【0019】
また、基材との接着性を高めるためにシリコンジアミンを選択することができ、この例としては、ビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサンビス(p−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ―アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ―アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ―アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等が挙げられる。また、ポリマーのアルカリ溶解性を高める為には、ヒドロキシ基を有するジアミンを用いることが好ましく、例えば、X1として、下記式で示されるビスアミノフェノール化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0020】
【化9】
Figure 0004437345
【0021】
[式中、A:−CH2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−]
これらのうち特に好ましい例としては、X1が下記式から選ばれる基である。
【0022】
【化10】
Figure 0004437345
【0023】
式(1)のY1(OH)q(COOR1)mとしては、下記式、
【0024】
【化11】
Figure 0004437345
【0025】
(式中、Aは−CH2−、−O−、−S−、−SO2−、−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−)等から選ばれる基や下記式、
【0026】
【化12】
Figure 0004437345
【0027】
(式中、R1は前記式(1)のR1と同じ)で示される基、さらには下記から選ばれる基を挙げることができる。
【0028】
【化13】
Figure 0004437345
【0029】
(式中、R1は前記と同じ、X3は−CH2−、−O−、−S−、−SO2−、
−CO−、−NHCO−、−C(CF3)2−、単結合、および以下で示される基)
【0030】
【化14】
Figure 0004437345
【0031】
(式中、X4は以下の中から選ばれる基)
【0032】
【化15】
Figure 0004437345
【0033】
式(1)において、R1は水素、または炭素数1〜20までの有機基を表すが、R1が水素の場合、ポリマーのアルカリ溶解性は向上するものの、得られる感光性組成物の安定性やPACとの溶解抑止能が低下するため、全てのR1のうち水素は50%以下であることが好ましい。また、R1が有機基の場合、得られる感光性組成物の安定性やPACとの溶解抑止能のが向上するので好ましいが、アルカリ溶解性が低下する。その為、有機基としてはフェノール性水酸基を有する基が好ましく、特に式(1)においてp、q共に0の場合は、必須である。フェノール性水酸基を持つ好ましい有機基の例としては、3−ヒドロキシベンジル基、3,5−ジヒドロキシベンジル基等を挙げることができる。
【0034】
本発明に用いられるポリアミドとしては、特に、優れたアルカリ溶解性とそれに基く厚膜下での優れたパターニング特性の点において、式(3)で示される繰返し単位を有する構造が特に好ましい。
【0035】
【化16】
Figure 0004437345
【0036】
(式中、X2は前記X1に記載のビスアミノフェノールであり、Y2は前記Y1と同じである。)このうち、Y2としては特に下記式から選ばれる基が好ましいものとして挙げられる。
【0037】
【化17】
Figure 0004437345
【0038】
前記一般式(1)および(3)で示される繰返し単位を有するポリアミドにおいて、その末端基を特定の有機基で封止することも本発明の範囲に含まれる。このような封止基としては、例えば、特開平5−197153号に記載されているような不飽和結合を有する基が挙げられ、これらの基を用いた場合、加熱硬化後に得られる塗膜の機械物性(伸度)が良好となるため好ましいと考えられる。また、このような封止基のうち好適な例としては、下記のものが挙げられる。
【0039】
【化18】
Figure 0004437345
【0040】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、一般式(2)で表される感光性ジアゾキノン化合物を用いることが重要である。
【0041】
【化19】
Figure 0004437345
【0042】
(式中Zは4価の有機基、R5、R6、R7、R8はそれぞれ独立に1価の有機基、kは0または1、m、n、p、qはそれぞれ独立に0または1〜3の整数、Qのうち少なくとも1個は下記で示される基であり残りは水素原子)
【0043】
【化20】
Figure 0004437345
【0044】
ここで、Zとして表される4価の有機基としては、
【0045】
【化21】
Figure 0004437345
【0046】
および
【0047】
【化22】
Figure 0004437345
【0048】
等が好ましい例として挙げられ、このうち後者で示される基は、感度及び残膜率の点で特に好ましい。R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に1価の有機基であるが、このうちメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基等であることが好ましい。
一般式(3)で示される感光性ジアゾキノン化合物として、具体的には、下記のものを例示することができるがこれらに限定されない。
【0049】
【化23】
Figure 0004437345
【0050】
【化24】
Figure 0004437345
【0051】
【化25】
Figure 0004437345
【0052】
【化26】
Figure 0004437345
【0053】
【化27】
Figure 0004437345
【0054】
【化28】
Figure 0004437345
【0055】
これらの中で特に好ましい例としては、下記のものなどが挙げられる。
【0056】
【化29】
Figure 0004437345
【0057】
また、これらの使用にあたっては、単独でも2種類以上混合して用いてもかまわない。ポリアミド(a)に対する感光性ジアゾキノン化合物(b)の配合量は、ポリアミド100重量部に対し、1〜100重量部であり、この配合量が1重量部未満だと樹脂の光パターニング性が不良となり、逆に100重量部を超えると加熱硬化後形成されたフィルムの引張り伸び率が著しく低下する。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、主に現像性を改良するために必要に応じて下記のようなフェノール化合物を添加することができる。
【0058】
【化30】
Figure 0004437345
【0059】
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、レベリング剤や密着性を高めるためにシランカップリング剤などの添加剤を加えることも可能である。
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。用いられる溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネートなど単独または混合して使用する。
【0060】
本発明の感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えばシリコンウエハー、セラミック、アルミ基板などに塗布する。塗布方法は、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティングなどで行う。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線などが使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。
【0061】
用いられる現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水などの無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第一アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第二アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンなどの第三アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドなどの第四級アンモニウム塩などアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのようなアルコール類などの水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。
【0062】
現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波などの方式が可能である。次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、オキサゾール環を形成し、耐熱性に優れた最終パターンを得る。
本発明の感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁膜、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜などとしても有用である。
【0063】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態の例を詳細に説明する。
【0064】
【実施例1】
<ポリアミドの合成>
容量3Lのセパラブルフラスコに、2、2−ビス(3−アミノ−4ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン183.1重量部(0.5モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)1100重量部、ピリジン63.3重量部(0.8モル)を加え撹拌溶解した。これに、イソフタロイルクロリド65.0重量部(0.32モル)およびテレフタロイルクロリド16.2重量部(0.08モル)をジエチレングリコールジメチルエーテル200重量部に溶解したものを水冷しながら加え、その後室温で2時間反応させた。次に無水フタル酸59.2重量部(0.4モル)およびピリジン31.6重量部(0.4モル)を反応液に加え、さらに室温で12時間反応させることにより、末端を無水フタル酸で封止したポリマーを合成した。
【0065】
その後、上記反応液を8Lの水に高速撹拌下で滴下し、ポリマーを分散析出させ、これを回収し適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を行い目的のポリアミドを得た。
また、さらにポリマーの精製が必要な場合は、以下の方法にて実施することが可能である。
すなわち、上記で得られたポリマーをガンマブチロラクトン(GBL)に再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリマーを得ることができる。
【0066】
<ポジ型感光性樹脂組成物の調製>
合成したポリアミド(A−1)100重量部、下記式の構造を有するジアゾキノン(Q−1)15重量部、ビスフェノールF10重量部をGBL200重量部に溶解した後、0.2μmのフィルターで濾過し感光性樹脂組成物を得た。
<感光特性評価>
このポジ型感光性樹脂組成物を、事前にアミノシラン系カップリング剤にて処理したシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレート120℃で4分乾燥し、膜厚約13μmの塗膜を得た。この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通してi線ステッパー(ニコン製)で300mJ/cm2の露光を行った。次にこの露光膜を東京応化製NMD−3現像液(2.38%TMAH水溶液)を用いて90秒間現像を行うことにより露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。その結果、光学顕微鏡観察により5μmのパターン(バイアホール、ラインアンドスペースなど)が解像され、残渣もなく、良好なパターン形状を有していることが確認された。この時の残膜率(現像後の膜厚/現像前の膜厚)は92%であった。
【0067】
【実施例2】
実施例1におけるジアゾキノン化合物を式(Q−2)に代えた以外は、実施例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0068】
【実施例3】
実施例1におけるジアゾキノン化合物を式(Q−3)に代えた以外は、実施例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0069】
【実施例4】
実施例1におけるポリアミドの合成において、2、2−ビス(3−アミノ−4ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを重量部(0.475モル)に減らし、代りに1、3−ビス(3−アミノプロピル)−1、1、3、3−テトラメチルジシロキサン6.2重量部を加え、末端封止剤として無水フタル酸の代りに5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸無水物65.6重量部(0.4モル)を用いポリアミドを合成し、それ以外は実施例1と同様にして感光特性評価を行った。
【0070】
【実施例5】
乾燥窒素気流下、2、2−ビス(3−アミノ−4ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン293.0重量部(0.8モル)とピリジン253.1重量部(3.2モル)をアセトン2.0Lに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにアセトン500mLに溶解させた無水トリメリット酸クロリド370.6重量部(1.76モル)を反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。この溶液をエバポレータで濃縮後、石油エーテル5Lに投入して、酸無水物(6FA)を得た。この酸無水物(6FA)357.2重量部(0.5モル)、3−ヒドロキシベンジルアルコール136.6重量部(1.1モル)、NMP1250mL、ピリジン87.0重量部(1.1モル)を混合した後、室温で16時間撹拌しエステル化を行った。
【0071】
その後、1−ヒドロキシ−1、2、3、−ベンゾトリアゾール(1.1モル)を加え、氷冷下でジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)227.0重量部(1.1モル)をNMP230重量部に溶解したものを滴下しジカルボン酸誘導体とした。次に、この反応液に4、4’−ジアミノジフェニルエーテル110.1重量部(0.55モル)をNMP350mLに溶解したものを加え、室温で3時間撹拌反応させた。その後、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸無水物32.8重量部(0.2モル)を加え、さらに室温で4時間反応させた。この反応液を濾過し不溶分を除去した後、水/メタノール=10/1の溶液に投入、沈殿物を濾過により集め減圧乾燥してポリアミドを得た。
【0072】
このポリマーを用いる以外は、実施例1と同様にして感光性樹脂組成物を調製し、感光性特性の評価を実施した。
【0073】
【実施例6】
<レリーフ構造物の製造>
前記実施例1から5において得られた良好なパターン形状を有するシリコンウェハーを、縦型キュア炉(光陽リンドバーグ製)中で窒素下、350℃で2時間キュアリング(加熱硬化処理)を施した。その結果どのシリコンウェハーにおいても、5μm径のバイアホールを有するパターンが良好な形状のまま得られた。
【0074】
【比較例1】
実施例1におけるジアゾキノン化合物を式(Q−4)に代えた以外は実施例1同様にして感光特性評価を行った。
【0075】
【比較例2】
実施例1におけるジアゾキノン化合物を式(Q−5)に代えた以外は実施例1同様にして感光特性評価を行った。
以上、実施例1〜5、比較例1〜2の評価結果を表1に示す。
【0076】
【表1】
Figure 0004437345
【0077】
また、上記実施例、比較例で用いたジアゾキノン化合物(Q1−Q5)、および6FAの構造は以下の通りである。
【0078】
【化31】
Figure 0004437345
【0079】
【化32】
Figure 0004437345
【0080】
【化33】
Figure 0004437345
【0081】
【化34】
Figure 0004437345
【0082】
【化35】
Figure 0004437345
【0083】
【化36】
Figure 0004437345
【0084】
【発明の効果】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いることにより、膜厚10μmを越える厚膜において、高感度かつ高解像度のパターニング特性を有し、汎用の2.38%TMAH現像液を用いても高い残膜率を保持できる極めて有用な材料が提供される。
また、本発明の製造方法により、高耐熱性のレリーフ構造物が得られる。

Claims (2)

  1. (a)一般式(1)で示される繰返し単位を有するポリアミド100重量部と、
    Figure 0004437345
    (式中X1 は4価の芳香族基、Y1 は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜6価の有機基、qは0または1〜4の整数、R1 は水素、または炭素数1〜20までの有機基であり、nは2〜1000までの整数、mは0または1〜2の整数である。)
    (b)下記一般式(2)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の感光性ジアゾキノン化合物1〜100重量部を必須成分とするポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0004437345
    (式中、Qのうち少なくとも1個は下記で示される基であり残りは水素原子である。)
    Figure 0004437345
  2. 請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板に施し、マスクを介して化学光線で露光するか又は、光線、電子線又はイオン線を直接照射した後、その露光部又は照射部を溶出又は除去し、次に得られたレリーフ構造物を焼結することを特徴とする高耐熱性レリーフ構造物の製造方法。
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