JP4027076B2 - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents

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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた光感度と解像性を有するポジ型感光性樹脂組成物およびそれを用いた高耐熱性レリーフパターンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜としては、優れた耐熱性と電気特性、機械特性などを併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂は、通常非感光性のポリイミド前駆体または感光性ポリイミド前駆体組成物を塗布した後、イミド化処理することにより形成される。このポリイミド樹脂がパターン化される必要がある場合、一般に感光性ポリイミド前駆体組成物が用いられている。その理由は、感光性ポリイミド前駆体組成物であれば、これを塗布した後、活性光線により像様露光し、次いで現像、熱イミド化等の処理を施すことによって簡単にポリイミドパターンを形成させることができ、非感光性ポリイミドを用いた場合に比べて大幅な工程の短縮が可能となるからである。
【0003】
ところが、この感光性ポリイミド前駆体組成物を用いてパターン化する際、現像工程において、現像液としてN−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を大量に用いる必要がある。しかし工場での作業環境や他のプロセスへの影響などの問題があり、有機溶剤を使用することなく現像を行うための対策あるいは技術開発が強く求められるようになっている。これを受け、最近になってフォトレジストと同様に希薄アルカリ水溶液で現像可能な耐熱性感光性樹脂材料の提案が種々なされている。
中でも水性アルカリ可溶性のヒドロキシポリアミド、例えばポリベンズオキサゾール(PBO)前駆体をナフトキノンジアジド(NQD)などの光活性成分(PAC)と混合して用いる方法が近年注目されている(特公平1−46862号公報、特開昭63−96162号公報など)。
【0004】
これらの樹脂は露光及びアルカリ水溶液による現像で、ポジパターンを容易に形成することができ、現像性、保存安定性も良好で、パターン化後熱硬化によりポリベンズオキサゾール化することができ、これによりポリイミドと同等程度の耐熱性、機械特性、電気特性などの膜特性を有する被膜を得ることができる。このため、水性アルカリ可溶性のPBO前駆体は、有機溶剤現像型ポリイミド前駆体の有望な代替材料として注目されている。他にも、フェノール性水酸基を主鎖に導入したポリマーとPACの組み合わせ(特開平11−106651号公報など)や、側鎖にフェノール系水酸基を導入したポリマーとPACとの組み合わせ(特許第2890213号公報など)が提案されている。しかしながら、これまで開示されている方法によって得られる耐熱性感光性アルカリ現像システムには、未だ問題点も多い。
【0005】
元来、NQDを用いた感光性樹脂組成物の場合、アルカリ可溶性ポリマーにNQDを添加することにより、組成物のアルカリ溶解性を低下させる(溶解抑止)能力が発現し、未露光部の現像液耐性が生じる。一方露光部は、NQDがインデンカルボン酸に変換され、溶解抑止能力が消失して現像液に溶解するようになる。
この露光部、未露光部のアルカリ溶解性の差を利用してパターニングを行うわけであるが、高感度でかつ高残膜率(高コントラスト)のパターニング性能を得るには、両者の溶解性の差を充分に取ることが出来るPACの選定が重要となる。
【0006】
すなわち、PACの添加によりアルカリ溶解性が極端に低下し、未露光部では充分なアルカリ現像液耐性を持ち、一方露光部では、僅かな光によっても効率よく分解し、充分なアルカリ溶解性が発現する、高感度なPACを用いなければならない。また、これを現像プロセスにより改良すべく、アルカリ現像液として従来広く用いられている、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を、希釈して用いる方法もあるが、この場合、別途専用の現像液や専用の供給ラインを用意する必要があり、合理的とは言えない。
【0007】
上記の問題を解決するするために、これまでも種々のナフトキノンジアジド系PACが検討されてきた。例えば、従来の微細加工用フォトレジストにおいて広く用いられてきた、ヒドロキシベンゾフェノン系やビスフェノール系化合物をNQD化したPACを用いる方法が提案されている。(特開昭64−6947号公報、特開平3−20743号公報、特許第2828740号公報、特許第2960810号公報など)
しかし、これらのPACでは、本発明に用いられるアルカリ可溶性ポリアミドに適用した場合、組成物のアルカリ溶解抑止能が非常に弱いため、コントラストがほとんど取れず、より少ない露光量で得られるパターンの膜厚は極端に低いものとなり、実用に耐えない。
【0008】
更に、これを改良するため、PACにおけるNQDの導入率を高めたり、PACの母核フェノール類の疎水性を高める目的で、かさ高い基を有するフェノール類を母核として用いる、などの検討が行われている。(特開平9−302221号公報、特開平9−321038号公報、特開平8−123034号公報など)これらのPACでは、確かに前記に比してコントラストは若干改善されるものの、光感度や解像度などのパターニング性能的には依然不充分である。これは、初期膜厚が10ミクロンを越える場合に特に顕著で、生産性を重視する半導体製造プロセスにとって、決して好ましいことではない。
【0009】
このような厚膜条件下においても、未露光部の現像液耐性を高いレベルに保ったまま、短時間の露光によっても充分なアルカリ溶解性を実現しうる、高感度なPACが望まれているが、これまで述べてきたように、従来提案されているPACでは、これらの課題を解決するに充分な性能が得られていないのが現状である。
さらに、これまでに提案されたPACの中には、感光性樹脂組成物とする際に用いる有機溶剤への溶解性が低いという課題を有するものがあった。すなわち、アルカリ可溶性ポリマーおよびPACを有機溶剤に溶解して感光性樹脂組成物としたものを室温、冷蔵、あるいは冷凍保存している間にPACが固体として析出し、その感光性樹脂組成物が実際上使用できなくなるという問題が発生することがあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、初期膜厚が10ミクロンを越える厚膜の場合においても高感度、すなわち低露光量域でのパターニングにおいても現像後のパターン膜減りが小さく、高コントラストであり、かつ優れた解像度を示し、更に汎用の2.38%TMAH水溶液によっても現像可能、しかもPACの析出が起こりにくいポジ型感光性樹脂組成物およびそれを用いた高耐熱性レリーフパターンの製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、PACに着目し、2.38%TMAH水溶液での現像が可能であり、厚膜条件下においても高感度かつ高解像度のパターニング性能を発現し、PACの析出の起こりにくい組成を開発すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の構造を有するPACを用いると、前記特性を満足し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、(a)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリアミド100重量部と、
【化8】
Figure 0004027076
(式中、X1 は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜4価の有機基、Y1 は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜6価の有機基、p、qは0または1〜4の整数、R1 は水素原子または炭素数1〜20の有機基であり、mは0または1〜2の整数、nは2〜1000の整数である。ただし、m、p、qが同時に0であることはなく、かつ、p、q共に0の場合は、R1 はフェノール性水酸基を有する基である。)
【0013】
(b)下記一般式(2)あるいは(3)で表される感光性ジアゾキノン化合物1〜100重量部を、必須成分とするポジ型感光性樹脂組成物を提供するものである。
【化9】
Figure 0004027076
@0010
(式中、Z1 、Z2 は脂肪族の3級あるいは4級炭素を含む有機基、Mは下記で示される基である。
【化10】
Figure 0004027076
@0011
また、Qは、下記で示される二つの基および水素原子から選択される基であり、かつ、Qのうち、少なくとも1個は下記で示される二つの基のどちらかであり、残りは水素原子である。)
【0014】
【化11】
Figure 0004027076
【0015】
また、本発明は、上記ポジ型感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板上に形成し、マスクを介して化学線で露光するか、または光線、電子線またはイオン線を直接照射した後、露光部または照射部を溶出または除去し、次いで得られたレリーフパターンを加熱することを特徴とする、硬化レリーフパターンの製造方法も提供する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるポリアミドは、前記一般式(1)で示され、X1 (OH)pの構造を有するジアミンと、Y1 (OH)q(COOR1 )mの構造を有するジカルボン酸とからなる。このポリアミドを300〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリイミドもしくはポリベンズオキサゾールという耐熱性樹脂に変換される。
【0017】
上記X1 (OH)pの構造を有するジアミンとしては、芳香族ジアミン、シリコンジアミン、ヒドロキシジアミンなどが挙げられる。このうち芳香族ジアミンとしては、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、2,4−トリレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルケトン、4,4’−ジアミノジフェニルケトン、3,4’−ジアミノジフェニルケトン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4−メチルー2,4−ビス(4−アミノフェニル)−1−ペンテン、4−メチルー2,4−ビス(4−アミノフェニル)−2−ペンテン、1,4−ビス(α、α―ジメチルー4−アミノベンジル)ベンゼン、イミノ−ジ−p−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、4−メチル−2,4−ビス(4−アミノフェニル)ペンタン、5(または6)−アミノー1−(4−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、ビス(p−アミノフェニル)ホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノアゾベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニル尿素、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2−ビス[ 4−(4−アミノフェノキシ)フェニル] プロパン、2,2−ビス[ 4−(4−アミノフェノキシ)フェニル] ヘキサフルオロプロパン、2,2ビス[ 4−(3―アミノフェノキシ)フェニル] ベンゾフェノン、4,4’―ビス(4−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’―ビス[ 4−(α、α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ] ベンゾフェノン、4,4’―ビス[ 4−(α、α―ジメチル−4−アミノベンジル)フェノキシ] ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’―ジアミノベンゾフェノン、フェニルインダンジアミン、
3,3’−ジメトキシ−4,4' −ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、o−トルイジンスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルフィド、1,4−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、1,3−(4−アミノフェノキシフェニル)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)アントラセン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−ジ−(3−アミノフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンズアニリド等、およびこれら芳香族ジアミンの芳香核の水素原子が、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、メチル基、メトキシ基、シアノ基、フェニル基からなる群より選ばれた少なくとも一種の置換基によって置換された化合物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0018】
また、基材との接着性を高めるためにシリコンジアミンを選択することができ、この例としてはビス(4−アミノフェニル)ジメチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)テトラメチルシロキサンビス(p−アミノフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ―アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(γ―アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、ビス(γ―アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0019】
また、ポリマーのアルカリ溶解性を高める為には、ヒドロキシジアミンを用いることが好ましく、この例として3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス−(4−アミノ−3−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,4−ジアミノ−2,5−ジヒドロキシベンゼン、1,3 −ジアミノ−2,4 −ジヒドロキシベンゼン、1,3 −ジアミノ−4 ,6 −ジヒドロキシベンゼンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。これらのジアミンは単独あるいは混合して使用してもよい。
【0020】
このうち特に好ましい例としては、X1 が下記
【化12】
Figure 0004027076
から選ばれる基である。
【0021】
上記一般式(1)のY1 (OH)q(COOR1 )mとしては、
【化13】
Figure 0004027076
(式中、Aは−CH2 −、−O−、−S−、−SO2 −、−CO−、−NHCO−、−C(CF3 2 −)等から選ばれる基や
【化14】
Figure 0004027076
(式中、R1 は前記一般式(1)のR1 と同じ)で示される基、さらには下記から選ばれる基を挙げることができる。
【0022】
【化15】
Figure 0004027076
(式中、R1 は前記一般式(1)のR1 と同じ、X3 は−CH2 −、−O−、−S−、−SO2 −、−CO−、−NHCO−、−C(CF3 2 −、単結合、および以下で示される基)
【化16】
Figure 0004027076
(式中、X4 は以下の中から選ばれる基)
【0023】
【化17】
Figure 0004027076
【0024】
上記一般式(1)において、R1 は水素原子、または炭素数1〜20までの有機基を表すが、R1 が水素原子の場合、ポリマーのアルカリ溶解性は向上するものの、得られる感光性組成物の安定性やPACによる溶解抑止能が低下する。従って、全てのR1 のうち水素原子は50%以下であることが好ましい。またR1 が有機基の場合、得られる感光性組成物の安定性やPACによる溶解抑止能が向上するので好ましいが、アルカリ溶解性が低下する。その為、有機基としてはフェノール性水酸基を有する基が好ましく、特に上記一般式(1)においてp、q共に0の場合は、フェノール性水酸基を有する基であることが必須である。フェノール性水酸基を持つ好ましい有機基の例としては、3−ヒドロキシベンジル基、3,5−ジヒドロキシベンジル基等を挙げることができる。
【0025】
本発明に用いられるポリアミドとしては、特に、優れたアルカリ溶解性とそれにもとづく厚膜下での優れたパターニング特性の点において、下記一般式(4)で示される繰返し単位を有する構造が特に好ましい。
【0026】
【化18】
Figure 0004027076
(式中、X2 は前記X1 に記載のヒドロキシジアミンであり、Y2 は前記Y1 と同じである。)このうち、X2 として好ましい基として
【化19】
Figure 0004027076
を、Y2 として好ましい基として、
【化20】
Figure 0004027076
を各々挙げることができる。
【0027】
上記一般式(1)または(4)で示される繰り返し単位を有するポリアミドにおいて、その末端基を特定の有機基で封止することも本発明の範囲に含まれる。このような封止基としては、例えば、特開平5−197153号公報に記載されているような不飽和結合を有する基が挙げられ、これらで封止した場合、加熱硬化後の塗膜の機械物性(特に伸度)や、レリーフパターン形状が良好となることが期待される。このような封止基のうちの好適例としては、以下のものが挙げられる。
【0028】
【化21】
Figure 0004027076
【0029】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、下記一般式(2)または(3)で表される感光性ジアゾキノン化合物(PAC)を用いることが重要である。
【0030】
【化22】
Figure 0004027076
(式中、Qのうち、少なくとも1個は下記で示される基であり、残りは水素原子である。)
【0031】
【化23】
Figure 0004027076
【0032】
ここで、Z1 、Z2 の構造は得られる感光性樹脂組成物の感度および解像度のために重要で、さらには感光性樹脂組成物とする際に有機溶剤に溶解しやすく、該組成物を室温、冷蔵、あるいは冷凍などで保存したときにPACが固体として析出しないために重要で、脂肪族の3級あるいは4級炭素を含む有機基であることが必要である。さらには脂肪族の3級あるいは4級炭素がアミドあるいはイミド結合から近い方が効果が大きいために好ましく、該炭素がアミドあるいはイミド結合から3原子以内であることがより好ましい。Z1 の具体的な例としては、
【化24】
Figure 0004027076
が、Z2 の具体的な例としては
【化25】
Figure 0004027076
などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0033】
さらに、Mは下記で示される基である。
【化26】
Figure 0004027076
【0034】
Mが上記の電子吸引性の基であることにより、上記一般式(2)あるいは(3)のQが全て水素原子であるフェノール化合物の酸性度が高まる。この化合物のフェノール性水酸基の一部あるいは全部を、Qによりスルホン酸エステル化して、得られたPACは光照射されると非常に高い溶解性、すなわち溶解促進効果を有する。
従って、一般式(2)あるいは(3)で示されるPACを使用した感光性樹脂組成物は、露光部の溶解速度が大きく、結果として露光部と未露光部の溶解速度差が大きくなり、高い感度を示す。
【0035】
これらのうち特に好ましい構造としては、以下の化合物を挙げることができる。
【化27】
Figure 0004027076
(式中、Qは、下記で示される二つの基および水素原子から選択される基であり、かつ、Qのうち、少なくとも1個は下記で示される二つの基のどちらかであり、残りは水素原子である。)
【化28】
Figure 0004027076
【0036】
これらのPACは単独あるいは混合して使用してもよい。また、上記一般式(1)で示されるポリアミドに対するPACの配合量はポリアミド100重量部に対し、1〜100重量部であり、配合量が1重量部未満だと樹脂の光パターニング性が不良となり、逆に100重量部を超えると加熱硬化後形成されたフィルムの引張り伸び率が著しく低下する。
これら本発明で用いられるPACは、一般式(2)および(3)のQが、全て水素原子であるフェノール系化合物を原料として、その水酸基をキノンジアジドスルホン酸エステル化することにより、製造することが出来る。
【0037】
キノンジアジドスルホン酸エステル化に当たっては、1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する各種のスルホン酸誘導体を用いることが出来るが、好ましくは1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルハライドもしくは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルハライドが用いられる。スルホニルハライド部分を構成するハロゲン原子としては、塩素原子や臭素原子があるが、通常は塩素原子であることが好ましく、従ってエステル化剤としては、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドもしくは1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドが好ましい。また、これらのエステル化剤は単独あるいは混合して使用してもよい。
この反応は、通常、脱ハロゲン化水素剤の存在下で行われる。脱ハロゲン化水素剤としては、一般にハロゲン化水素と塩を形成しうる塩基性の化合物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類、エチルアミン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジンなどのアミン類などが挙げられる。
【0038】
脱ハロゲン化水素剤は、単独、もしくは数種を混合して用いることができ、数種を段階的に添加して用いてもよい。
エステル化反応は、通常、溶媒中で行われる。反応溶媒としては、ジオキソラン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのグライム類、ガンマブチロラクトン、デルタラクトンなどのラクトン類、N−メチル−2−ピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトンなどの脂肪族ケトン類などを使用することができるがこれらに限定されない。
本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて従来感光性樹脂組成物の添加剤として用いられている染料、界面活性剤、安定剤、基板との密着性を高めるための接着助剤、溶解促進剤、架橋剤等を添加することも可能である。
【0039】
上記添加剤について更に具体的に述べると、染料としては、例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、マラカイトグリーン等が、界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリグリコール類あるいはその誘導体からなる非イオン系界面活性剤、例えばフロラード(商品名、住友3M社製)、メガファック(商品名、大日本インキ化学工業社製)あるいはスルフロン(商品名、旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、例えばKP341(商品名、信越化学工業社製)、DBE(商品名、チッソ社製)、グラノール(商品名、共栄社化学社製)等の有機シロキサン界面活性剤が、接着助剤としては、例えば、アルキルイミダゾリン、酪酸、アルキル酸、ポリヒドロキシスチレン、ポリビニルメチルエーテル、t−ブチルノボラック、エポキシシラン、エポキシポリマー等、および各種シランカップリング剤が挙げられる。
【0040】
シランカップリング剤の具体的な好ましい例としては、例えば3−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、3−メタクリロキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、3−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、3−グリシドキシプロピルジアルコキシアルキルシラン、3−アミノプロピルトリアルコキシシランや3−アミノプロピルジアルコキシアルキルシランと酸無水物や酸二無水物の反応物、3−アミノプロピルトリアルコキシシランや3−アミノプロピルジアルコキシアルキルシランのアミノ基をウレタン基やウレア基に変換したものなどを挙げることができ、この際のアルキル基としてはメチル基、エチル基、ブチル基などが、酸無水物としてはマレイン酸、フタル酸などが、酸二無水物としてはピロメリット酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物などが、ウレタン基としてはt−ブトキシカルボニルアミノ基などが、ウレア基としてはフェニルアミノカルボニルアミノ基などが挙げられる。
【0041】
また、溶解促進剤としては、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましく、例えば、ビスフェノール、あるいはMtrisPC、MtetraPC等の直鎖状フェノール化合物、TrisP−HAP、TrisP−PHBA、TrisP−PA等の非直鎖状フェノール化合物(全て本州化学工業社製)、ジフェニルメタンの2〜5個のフェノール置換体、3,3−ジフェニルプロパンの1〜5個のフェノール置換体、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンと5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の1対2反応物、ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンと1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物の1対2反応物などを挙げることができる。
【0042】
架橋剤としては1,1,2,2−テトラ(p−ヒドロキシフェニル)エタン、テトラグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、オルソセカンダリーブチルフェニルグリシジルエーテル、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物、アセチルアセトンアルミ(III)塩、アセチルアセトンチタン(IV)塩、アセチルアセトンクロム(III)、アセチルアセトンマグネシウム(II)塩、アセチルアセトンニッケル(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンアルミ(III)塩、トリフルオロアセチルアセトンチタン(IV)塩、トリフルオロアセチルアセトンクロム(III)、トリフルオロアセチルアセトンマグネシウム(II)塩、トリフルオロアセチルアセトンニッケル(II)塩などの金属キレート剤がある。
【0043】
本発明においては、これらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にし、感光性樹脂組成物として使用される。このような溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等を単独または混合して使用できる。これらの溶媒のうち、非アミド系溶媒がフォトレジストなどへの影響が少ない点から好ましく、具体的なより好ましい例としてはガンマブチロラクトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどを挙げることができる。
【0044】
本発明の感光性樹脂組成物により形成された感光性樹脂膜を現像するために用いられる現像液は、アルカリ可溶性ポリマーを溶解除去するものであり、アルカリ化合物を溶解したアルカリ水溶液であることが必要である。現像液中に溶解されるアルカリ化合物は、無機アルカリ化合物、有機アルカリ化合物のいずれであってもよい。無機アルカリ化合物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
【0045】
また、有機アルカリ化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシド、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、ジ−n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
さらに、必要に応じて、上記アルカリ水溶液に、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等の水溶性有機溶媒、界面活性剤、保存安定剤、樹脂の溶解抑止剤等を適量添加することができる。
【0046】
本発明の感光性樹脂組成物は、次のようにして使用できる。まず、感光性樹脂組成物を、適当な基板、例えばシリコンウエハー、セラミック基板、アルミ基板等にスピナーを用いた回転塗布やロールコーターにより塗布する。これをオーブンやホットプレートを用いて50〜140℃で乾燥し、マスクを介して、コンタクトアライナーやステッパーを用いて化学線の照射を行う。次に照射部を現像液で溶解除去し、引き続きリンス液によるリンスを行うことで所望のレリーフパターンを得る。現像方法としてはスプレー、パドル、ディップ、超音波等の方式が可能である。リンス液は蒸留水、脱イオン水等が使用できる。得られたレリーフパターンを加熱処理して、オキサゾール構造を有する耐熱性被膜を形成することができる。
本発明による感光性樹脂組成物は半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。半導体用途の具体的な好ましい例は、半導体表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、バンプ構造を有する装置の保護膜などである。
【0047】
以下、実施例に基き、本発明の実施形態の具体例を説明する。
<ポリアミドの合成>
【参考例1】
容量3Lのセパラブルフラスコ中で、2、2−ビス(3−アミノ−4ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン183.1g(0.5モル)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)640.9g、ピリジン63.3g(0.8モル)を室温(25℃)で混合攪拌し、均一溶液とした。これに、4,4' −ジフェニルエーテルジカルボニルクロリド118.0g(0.4モル)をジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)354gに溶解したものを滴下ロートより滴下した。この際、セパラブルフラスコは15〜20℃の水浴で冷却した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で30℃であった。
【0048】
滴下終了から3時間後 反応液に1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物30.8g(0.2mol)を添加し、室温で15時間撹拌放置し、ポリマー鎖の全アミン末端基の99%をカルボキシシクロヘキシルアミド基で封止した。この際の反応率は投入した1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物の残量をHPLCで追跡することにより容易に算出することができる。その後上記反応液を2Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、GPC分子量9000(ポリスチレン換算)のポリアミド(P−1)を得た。
また、更にポリマーの精製が必要な場合は、以下の方法にて実施することが可能である。すなわち、上記で得られたポリマーをガンマブチロラクトン(GBL)に再溶解した後、これを陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂にて処理し、それにより得られた溶液をイオン交換水中に投入後、析出したポリマーを濾別、水洗、真空乾燥することにより精製されたポリマーを得ることができる。
【0049】
【参考例2】
容量2Lのセパラブルフラスラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン197.8g(0.54mol)、ピリジン71.2g(0.9mol)、DMAc692gを室温(25℃)で混合攪拌し、ジアミンを溶解させた。これに、別途DMDG88g中に5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物29.6g(0.18mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で28℃であった。
滴下終了後、湯浴により50℃に加温し18時間撹拌したのち反応液のIRスペクトルの測定を行い1385および1772cm−1のイミド基の特性吸収が現れたことを確認した。
【0050】
次にこれを水浴により8℃に冷却し、これに別途DMDG398g中に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロライド132.8g(0.45mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は80分、反応液温は最大で12℃であった。
滴下終了から3時間後 上記反応液を12Lの水に高速攪拌下で滴下し重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ポリアミド(P−2)を得た。
このようにして合成されたポリアミド(P−2)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8900であった。
【0051】
【参考例3】
参考例1におけるポリアミドの合成において、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンを174.0g(0.475モル)に減らし、代りに1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン6.2gを加え、GPC分子量9200(ポリスチレン換算)のポリアミド(P−3)を合成した。
【0052】
【参考例4】
容量2Lのセパラブルフラスコ中で、乾燥窒素気流下、2,2−ビス(3−アミノ−4ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン293.0g(0.8モル)とピリジン253.1g(3.2モル)をアセトン2.0Lに溶解させ、−15℃に冷却した。ここにアセトン500mLに溶解させた無水トリメリット酸クロリド370.6g(1.76モル)を、反応液の温度が0℃を越えないように滴下した。滴下終了後、0℃で4時間反応させた。
【0053】
この溶液をエバポレータで濃縮後、石油エーテル5Lに投入して、酸無水物(6FA)を得た。容量3Lのセパラブルフラスコ中でこの酸無水物(6FA)357.2g(0.5モル)、3−ヒドロキシベンジルアルコール136.6g(1.1モル)、NMP1.25L、ピリジン87.0g(1.1モル)を混合した後、室温で16時間撹拌しエステル化を行った。その後、1−ヒドロキシ−1,2,3、−ベンゾトリアゾール148.64g(1.1モル)を加え、氷冷下でジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)227.0g(1.1モル)をNMP230gに溶解したものを滴下しジカルボン酸誘導体とした。次に、この反応液に4,4’−ジアミノジフェニルエーテル110.1g(0.55モル)をNMP0.35Lに溶解したものを加え、室温で3時間撹拌反応させた。
その後、5−ノルボルネン−2、3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、さらに室温で4時間反応させた。この反応液を濾過し不溶分を除去した後、水/メタノール=10/1の溶液に投入、沈殿物を濾過により集め減圧乾燥してGPC分子量9400(ポリスチレン換算)のポリアミド(P−4)を得た。
【0054】
<PACの合成>
【実施例1】
容量1Lのセパラブルフラスラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン109.9g(0.3mol)、テトラヒドロフラン(THF)330g、ピリジン47.5g(0.6mol)を入れ、これに室温下で5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物98.5g(0.6mol)を粉体のまま加えた。そのまま室温で3日間撹拌反応を行ったあと、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。この反応液をそのまま1Lのイオン交換水中に撹拌下で滴下し、生成物を析出させた。
【0055】
次に析出物を濾別した後、これにTHF500mLを加え撹拌溶解し、この均一溶液を陽イオン交換樹脂:アンバーリスト15(オルガノ株式会社製)100gが充填されたガラスカラムを通し残存するピリジンを除去した。次にこの溶液を3Lのイオン交換水中に高速撹拌下で滴下することにより生成物を析出させ、これを濾別した後、真空乾燥することにより下記構造のイミドフェノール化合物(NI)を収率86%で得た。
【0056】
【化29】
Figure 0004027076
【0057】
生成物がイミド化していることは、IRチャートで1394および1774cm−1のイミド基の特性吸収が現れ1540および1650cm−1付近のアミド基の特性吸収が存在しないこと、およびNMRチャートでアミドおよびカルボン酸のプロトンのピークが存在しないことにより確認した。
次に、上記イミドフェノール化合物(NI)65.9g(0.1モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを53.7g(0.2モル)、アセトン560g加え、20℃で撹拌溶解した。これに、トリエチルアミン21.2g(0.21モル)をアセトン106.2gで希釈したものを、30分かけて一定速度で滴下した。この際、反応液は氷水浴などを用いて20〜30℃の範囲で温度制御した。
【0058】
滴下終了後、更に30分間、20℃で撹拌放置した後、36重量%濃度の塩酸水溶液5.6gを一気に投入し、次いで反応液を氷水浴で冷却し、析出した固形分を吸引濾別した。この際得られた濾液を、0.5重量%濃度の塩酸水溶液5Lに、その撹拌下で1時間かけて滴下し、目的物を析出させ、吸引濾別して回収した。得られたケーク状回収物を、再度イオン交換水5Lに分散させ、撹拌、洗浄、濾別回収し、この水洗操作を3回繰り返した。最後に得られたケーク状物を、40℃で24時間真空乾燥し、下記構造の感光性ジアゾキノン化合物Q−1を得た。
【0059】
【化30】
Figure 0004027076
【0060】
【実施例2】
使用するアミノフェノール化合物として2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパンの代わりに3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン84.1g(0.3mol)を使用する以外は実施例1と同様に合成し、下記構造の感光性ジアゾキノン化合物Q−2を得た。
【0061】
【化31】
Figure 0004027076
【0062】
【比較例1】
下記構造のフェノール化合物42.5g(0.1モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを72.5g(0.27モル)、アセトン560g加え、20℃で撹拌溶解した。
【0063】
【化32】
Figure 0004027076
【0064】
これに、トリエチルアミン28.3g(0.28モル)をアセトン141.5gで希釈したものを、30分かけて一定速度で滴下した。この際、反応液は氷水浴などを用いて20〜30℃の範囲で温度制御した。滴下終了後、更に30分間、20℃で撹拌放置した後、36重量%濃度の塩酸水溶液1.0gを一気に投入し、次いで反応液を氷水浴で冷却し、析出した固形分を吸引濾別した。この際得られた濾液を、0.5重量%濃度の塩酸水溶液5Lに、その撹拌下で1時間かけて滴下し、目的物を析出させ、吸引濾別して回収した。
得られたケーク状回収物を、再度イオン交換水5Lに分散させ、撹拌、洗浄、濾別回収し、この水洗操作を3回繰り返した。最後に得られたケーク状物を、40℃で24時間真空乾燥し、下記構造の感光性ジアゾキノン化合物Q−3を得た。
【0065】
【化33】
Figure 0004027076
【0066】
【比較例2】
容量1Lのセパラブルフラスラスコに4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル64.9g(0.3mol)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)200gを入れ、これに室温下で1,2−シクロヘキシルジカルボン酸無水物92.5g(0.6mol)を粉体のまま加えた。そのまま室温で2日間撹拌反応を行ったあと、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度98%で検出された。この反応液をそのまま1Lのイオン交換水中に撹拌下で滴下し、生成物を析出させ、これを濾別した後、真空乾燥することにより下記構造のアミドフェノール化合物(CA)を収率80%で得た。
【0067】
【化34】
Figure 0004027076
【0068】
生成物がアミド体であることは、IRチャートで1545および1650cm−1にアミド基の特性吸収が現れており、1380および1780cm−1付近のイミド基の特性吸収が存在しないことにより確認した。
次に、上記アミドフェノール化合物(CA)52.5g(0.1モル)、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを53.7g(0.2モル)、アセトン560g加え、20℃で撹拌溶解した。これに、トリエチルアミン21.2g(0.21モル)をアセトン106.2gで希釈したものを、30分かけて一定速度で滴下した。この際、反応液は氷水浴などを用いて20〜30℃の範囲で温度制御した。
【0069】
滴下終了後、更に30分間、20℃で撹拌放置した後、36重量%濃度の塩酸水溶液5.6gを一気に投入し、次いで反応液を氷水浴で冷却し、析出した固形分を吸引濾別した。この際得られた濾液を、0.5重量%濃度の塩酸水溶液5Lに、その撹拌下で1時間かけて滴下し、目的物を析出させ、吸引濾別して回収した。得られたケーク状回収物を、再度イオン交換水5Lに分散させ、撹拌、洗浄、濾別回収し、この水洗操作を3回繰り返した。最後に得られたケーク状物を、40℃で24時間真空乾燥し、下記構造の感光性ジアゾキノン化合物Q−4を得た。
【0070】
【化35】
Figure 0004027076
【0071】
【比較例3】
使用する酸無水物として5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の代わりに無水フタル酸88.9g(0.6mol)使用する以外は実施例1と同様に合成し、下記構造の感光性ジアゾキノン化合物Q−5を得た。
【0072】
【化36】
Figure 0004027076
【0073】
<感光性樹脂組成物の調製およびその評価>
【実施例3〜7】、【比較例4〜6】
下記表1の組み合わせで、上記各参考例にて得られたポリアミド(P−1〜4)100重量部、各実施例および比較例にて得られた感光性ジアゾキノン化合物(Q−1〜5)20重量部をGBL200重量部に溶解した後、0.2μmのフィルターで濾過して感光性樹脂組成物を調製し、そのパターニング特性、ワニス析出安定性を評価した。
【表1】
Figure 0004027076
【0074】
(1)パターニング特性評価
上記感光性樹脂組成物を大日本スクリーン製造社製スピンコーター(Dspin636)にて、5インチシリコンウエハーにスピン塗布し、130℃、120秒間ホットプレートにてプリベークを行い、11.7μmの塗膜を形成した。膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)にて測定した。
この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通してi−線(365nm)の露光波長を有するニコン社製ステッパ(NSR2005i8A)を用いて露光量を段階的に変化させて露光した。
これをクラリアントジャパン社製アルカリ現像液(AZ300MIFデベロッパー、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用い、23℃の条件下で現像後膜厚が9.4μmとなるように現像時間を調整して現像を行い、ポジパターンを形成した。現像時間、感光性樹脂組成物の感度、解像度を表2に示す。
【0075】
なお、感光性樹脂組成物の感度、解像度は、次のようにして評価した。
[感度(mJ/cm2 )]
上記現像時間において、塗膜の露光部を完全に溶解除去しうる最小露光量。
[解像度(μm)]
上記露光量での最小解像パターン寸法。
【0076】
【表2】
Figure 0004027076
表2から、本発明の感光性樹脂組成物を用いることにより、適当な現像時間で、高感度、高解像度のパターンを形成することができることが分かる。これに対し、本発明の要件を満たす感光性ジアゾキノン化合物を含まない比較例4〜6の組成物は感度、解像度共に低かった。
【0077】
(2)析出安定性評価
上記により調製した感光性樹脂組成物の濾過後、及び室温、および−20℃において1週間放置後にワニス中に固形分の析出が認められるかどうかを目視で観察した結果を表3に示す。
【表3】
Figure 0004027076
表3の結果から、本発明の感光性樹脂組成物は、析出に対して優れた安定性を示すことが分かる。一方、本発明の要件を満たす感光性ジアゾキノン化合物を含まない比較例4〜6の組成物は、組成物作成直後には完全に溶解した状態であるものの室温、あるいは−20℃で1週間放置すると固形分が析出し使用不可能となることが確認された。
【0078】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、高感度、高解像度でPACの析出の起こりにくいポジ型感光性樹脂組成物およびこれを用いた高耐熱性レリーフパターンを得ることができる。本発明の感光性樹脂組成物は、半導体素子等の表面保護膜、層間絶縁膜等の形成に好適な材料である。

Claims (4)

  1. (a)下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するポリアミド100重量部と、
    Figure 0004027076
    (式中、X1 は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜4価の有機基、Y1は少なくとも2個以上の炭素原子を有する2〜6価の有機基、p、qは0または1〜4の整数、R1 は水素原子または炭素数1〜20の有機基であり、mは0または1〜2の整数、nは2〜1000の整数である。ただし、m、p、qが同時に0であることはなく、かつ、p、q共に0の場合は、R1 はフェノール性水酸基を有する基である。)
    (b)下記一般式(2)あるいは(3)で表される感光性ジアゾキノン化合物1〜100重量部を、必須成分とするポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0004027076
    (式中、Z1 、Z2 は脂肪族の3級あるいは4級炭素を含む有機基、Mは下記で示される基である。
    Figure 0004027076
    また、Qは、下記で示される二つの基および水素原子から選択される基であり、かつ、Qのうち、少なくとも1個は下記で示される二つの基のどちらかであり、残りは水素原子である。)
    Figure 0004027076
  2. (a)ポリアミドが、下記一般式(4)で示される繰り返し単位を有することを特徴とする、請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0004027076
    (式中、X2 は4価の芳香族基、Y2 は2価の芳香族基、nは2〜1000の整数。)
  3. 感光性ジアゾキノン化合物が下記一般式から選ばれることを特徴とする請求項1または2記載のポジ型感光性樹脂組成物。
    Figure 0004027076
    (式中、Qは、下記で示される二つの基および水素原子から選択される基であり、かつ、Qのうち、少なくとも1個は下記で示される二つの基のどちらかであり、残りは水素原子である。)
    Figure 0004027076
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を層またはフィルムの形で基板上に形成し、マスクを介して化学線で露光するか、または光線、電子線またはイオン線を直接照射した後、露光部または照射部を溶出または除去し、次いで得られたレリーフパターンを加熱することを特徴とする、硬化レリーフパターンの製造方法。
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