JP5284665B2 - ナフトキノンジアジド化合物含有感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
中でもアルカリ現像タイプのヒドロキシポリアミド、例えばポリベンゾオキサゾール(以下、「PBO」ともいう。)前駆体をナフトキノンジアジドなどの光活性成分(以下、「PAC」ともいう。)と混合して用いる方法が近年注目されている(例えば、特許文献1、2参照)。
これらの樹脂は露光及びアルカリ水溶液による現像で、ポジパターンを容易に形成することができ、現像性、保存安定性も良好で、パターン化後熱硬化によりポリベンズオキサゾール化することができ、耐熱性、機械特性、電気特性などの膜特性を有する被膜を得ることができる。
この露光部と未露光部の間のアルカリ溶解性の差を利用してパターニングを行うわけであるが、高感度でかつ高残膜率(高コントラスト)のパターニング性能を得るに際しては、露光部と未露光部の間の溶解性の差を十分に取ることができるPACの選定が重要となる。
中でも、ある特定の構造をもつPACを用いることで、高感度を達成するポジ型感光性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。ある特定の構造をもつPACは、厚膜条件下においても、未露光部の現像液への溶解に対する耐性を高いレベルに保ったまま、露光部における短時間の露光によっても充分なアルカリ溶解性を実現しうる高感度なものであるが、半導体用途として特許文献3に開示のポジ型感光性樹脂組成物を用いる場合、保存安定性が悪いという問題点があり、未だ改良する必要性がある。
すなわち、本発明は以下[1]〜[9]に記載の通りのものである。
[1] 下記一般式(1):
本発明のナフトキノンジアジド化合物:
<イミドフェノール化合物の合成方法>
本発明のイミドフェノール化合物は、アミノフェノール化合物1当量に対して、1.5〜2.5当量のジカルボン酸無水物を作用させて得ることができる。
出発物質であるアミノフェノール化合物からイミドフェノール化合物を合成するための反応は、塩基触媒を加え、約0〜100℃で、約1〜30時間で行う。出発物質であるアミノフェノール化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる:
塩基触媒の添加量は、アミノフェノールの有するアミノ基1当量に対して、約1〜2当量である。
ナフトキノンジアジド化合物(以下、「NQD」ともいう。)は、前記したイミドフェノール化合物のフェノール性水酸基の一部又は全てをキノンジアジドスルホン酸エステル化することにより、得ることができる。
キノンジアジドスルホン酸エステル化に当たっては、1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する各種のスルホン酸誘導体を用いることができるが、好ましくは、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライド又は1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライドが好ましい。また、これらのエステル化剤は単独で又は混合して使用してもよい。
この反応は、通常、脱ハロゲン化水素剤の存在下で行われる。脱ハロゲン化水素剤としては、一般にハロゲン化水素と塩を形成しうる塩基性の化合物、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基類、エチルアミン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、ピリジンなどのアミン類などが挙げられる。
脱ハロゲン化水素剤は、単独で又は数種を混合して用いることができ、数種を段階的に添加して用いてもよい。添加量はアミドフェノールのヒドロキシ基1当量に対して、約1〜1.3当量である。
本発明のナフトキノンジアジド化合物は、アルカリ可溶性樹脂を含むポジ型感光性樹脂組成物の成分として好適に用いられ、特に該アルカリ可溶性樹脂がフェノール性水酸基を有するポリマー、好ましくは重量平均分子量(Mw)が約5000〜50000のポリマー、具体的にはポリイミド、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ノボラック樹脂、ポリヒドロキシスチレンなどの場合に、有用である。
ナフトキノンジアジド化合物の添加量は、アルカリ可溶性樹脂100質量部に対して、約1〜50質量部の範囲である。
[参考例1]
<ポリマー製造例1>
容量2リットルのセパラブルフラスラスコ中で、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン197.8g(0.54mol)、ピリジン71.2g(0.9mol)、DMAc692gを室温(25℃)で混合攪拌し、ジアミンを溶解させた。これに、別途ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)88g中に5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物29.6g(0.18mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は40分、反応液温は最大で28℃であった。
次にこれを水浴により8℃に冷却し、これに別途DMDG398g中に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド132.8g(0.45mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は80分、反応液温は最大で12℃であった。
滴下終了から3時間後、上記反応液を12Lの水に高速攪拌下で滴下し、重合体を分散析出させ、これを回収し、適宜水洗、脱水の後に真空乾燥を施し、ポリベンゾオキサゾール前駆体(P−1)を得た。
このようにして合成されたポリベンゾオキサゾール前駆体(P−1)のゲルパーミテションクロマトグラフィー法(以下、「GPC」という。)による重量平均分子量は、ポリスチレン換算で8900であった。GPCの分析条件は以下のとおりであった:
容離液:テトラヒドロフラン 40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:昭和電工製 商標名 Shodex RI RI−101
<ポリマー製造例2>
容量1リットルのセパラブルフラスラスコ中で、(4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−アミノフェノール)69.2g(0.268mol)、ピリジン12.7 g(0.16mol)、NMP276gを室温(25℃)で混合攪拌し、ジアミンを溶解させた。
次にこれをドライアイス−メタノール浴により−20℃に冷却し、これに別途GBL280g中にビス(クロロカルボニル)トリシクロ[5,2,1,02,6]デカン70.0g(0.268mol)を溶解させたものを、滴下ロートより滴下した。滴下に要した時間は30分、反応液温は最大で−10℃であった。
滴下終了後、反応容器を氷浴に浸し、0〜10℃に保って2時間攪拌した。さらにピリジン29.65g(375ミリモル)を添加した。
このようにして合成されたポリベンゾオキサゾール前駆体(P−2)のGPCによる重量平均分子量は、ポリスチレン換算で36800であった。GPCの分析条件は以下のとおりであった:
容離液:N−メチルピロリドン 40℃
流速 :1.0ml/分
検出器:日本分光社製 商標名 RI−930
<イミドフェノール化合物の合成>
容量500mlのセパラブルフラスラスコに4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−アミノフェノール)25.8g(0.1mol)、GBL129g、ピリジン15.8g(0.2mol)を入れ、これに室温でメチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物35.6g(0.2mol)を投入した。そのまま室温で一晩撹拌反応を行った後、低分子GPCにて反応を確認したところ、原料は全く検出されず、生成物が単一ピークとして純度99%で検出された。この反応液をそのまま2リットルのイオン交換水中に撹拌下で滴下し、生成物を析出させた。これを濾別した後、真空乾燥することにより下記構造:
1H−NMRシグナルピーク:1.3〜1.7(m)、1.8(m)、2.1〜2.2(m)、2.4〜2.5(m)、2.8〜3.4(m)、4.2〜4.3(m)、5.6〜7.1(m)、7.3(m)、7.8(m)、8.6(m)、9.4(br)、9.8(br)。
また、得られたイミドフェノール化合物(A−1)の1H−NMRスペクトルデータを図1に示す。
装置:ブルカー・バイオスピン株式会社製 BulkerGPX スペクトロメーター
溶媒:重クロロホルム(Uvasol社製 Chloroform−D1 MERCK)
測定温度:25℃
<ナフトキノンジアジド化合物の合成>
参考例3で得られたイミドフェノール化合物(A−1)28.9g(0.05モル)に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライド26.2g(0.0975モル)、及びアセトン258gを加え、30℃で撹拌溶解した。これに、トリエチルアミン12.1g(0.12モル)をアセトン48gで希釈したものを、30分かけて一定速度で滴下した。この際、反応液は氷水浴などを用いて20〜30℃の範囲で温度制御した。
1H−NMRシグナルピーク:1.1ppm(m)、1.2ppm(m)、1.3ppm(m)、1.4〜1.6ppm(m)、1.8ppm(m)、1.9〜2.2ppm(m)、2.4〜2.5ppm(m)、2.7〜3.6ppm(m)、4.2ppm(m)、5.4ppm(m)、5.7〜5.8ppm(m)、5.8(m)〜6.1ppm(m)、6.2〜6.5ppm(m)、6.8〜7.5ppm(m)、7.6〜8.6ppm(m)。
また、得られたナフトキノンジアジド化合物(Q−1)の1H−NMRスペクトルデータを図2に示す。
<イミドフェノール化合物の合成>
参考例1の(4,4’−(1−メチルエチリデン)ビス(2−アミノフェノール)25.8gの代わりに、下記構造:
1H−NMRシグナルピーク:1.3〜1.8ppm(m)、2.1〜2.2ppm(m)、2.3〜2.5ppm(m)、2.8ppm(s)、2.9ppm(s)、3.1ppm(s)、3.2ppm(s)、3.3〜3.5ppm(m)、4.2〜4.3ppm(m)、5.7ppm(br)、5.8ppm(s)、6.2ppm(br)、6.3ppm(s)、6.4〜6.6ppm(m)、6.7〜6.9ppm(m)、7.1ppm(br)、7.3〜7.5ppm(m)、7.7〜7.8(m)、8.6ppm(s)、9.9ppm(s)、10.2ppm(br)。
また、得られたイミドフェノール化合物(A−2)の1H−NMRスペクトルデータを図3に示す。
<ナフトキノンジアジド化合物の合成>
実施例1において使用したイミドフェノール化合物(A−1)28.9gの代わりに、参考例4において得られたイミドフェノール化合物(A−2)32.2gを、使用する以外は、実施例1と同様の操作を行い、下記構造:
実施例1で得られたイミドフェノール化合物(Q−1)の1H−NMRの測定条件と同じ条件で得られたナフトキノンジアジド(Q−2)の1H−NMRを測定した結果を次に示す:
1H−NMRシグナルピーク:1.2ppm(s)、1.2〜1.8ppm(m)、2.1〜2.2ppm(m)、2.3〜2.5ppm(m)、2.6〜3.5ppm(m)、4.2〜4.3ppm(m)、4.6ppm(s)、5.7〜6.4ppm(m)、6.7〜8.5ppm(m)。
また、得られたナフトキノンジアジド(Q−2)の1H−NMRスペクトルデータを図4に示す。
参考例3のメチル−5−ノルボルネンジカルボン酸無水物の代わりに、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2mol)を用いて、参考例3と同様に合成を行ったところ、得られたイミドフェノール化合物(B−1)がアセトンに溶解せず、ナフトキノンジアジド化するのが困難であった。
参考例4のメチル−5−ノルボルネンジカルボン酸無水物の代わりに、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2mol)を用いて、参考例4と同様に合成を行ったところ、得られたイミドフェノール化合物(B−2)がアセトンに溶解せず、ナフトキノンジアジド化するのが困難であった。
(実施例3〜6、比較例3及び4)
上記参考例1及び2において得られたポリベンゾオキサゾール前駆体(P−1)又は(P−2)各100質量部に対し、実施例1又は2において得られたナフトキノンジアジド化合物(Q−1)又は(Q−2)、下記構造:
上記ポジ型感光性樹脂組成物を東京エレクトロン社製スピンコーター(CLEANTRACK MK−8)にて、6インチシリコンウエハーにスピン塗布し、125℃、180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、11μmの塗膜を形成した。膜厚は大日本スクリーン製造社製膜厚測定装置(ラムダエース)にて測定した。
この塗膜に、テストパターン付きレチクルを通してi線(365nm)の露光波長を有するニコン社製ステッパー(NSR2005i8A)を用いて露光量を段階的に変化させて露光した。
これをAZエレクトロニックマテリアルズ社製アルカリ現像液(AZ300MIFデベロッパー、2.38重量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液)を用い、23℃の条件下で現像後膜厚が9.3μmとなるように調整して現像を行い、ポジ型レリーフパターンを形成した。感光性樹脂組成物の感度、及び解像度を以下の表1に示す。
[感度(mJ/cm2)]
所定の現像時間において、塗膜の露光部を完全に溶解除去しうる最小露光量。
[解像度(μm)]
上記露光量での最小解像パターン寸法。
上記、ポジ型感光性樹脂組成物を、室温で1週間又は2週間放置したときに、固形分の析出が認められるかどうかを目視で観察した結果を以下の表1に示す。
表1に示した結果から、本発明のナフトキノンジアジド化合物は、感光性樹脂組成物中での保存安定性に優れていることが分かる。
Claims (4)
- 請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物から形成された耐熱性被膜を有することを特徴とする半導体装置。
- 請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物を、半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、そして加熱することを特徴とする半導体装置の製造方法。
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