JP4125060B2 - スパークプラグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関の点火用に使用されるスパークプラグに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スパークプラグの点火性を向上させるために、中心電極や接地電極の火花放電ギャップに臨む面に溝を形成する方法が提案されている。このようにすると、火花放電によって点火された混合気の火炎核は、溝形成部分においては電極に接触するまでの間に体積的により大きく成長でき、電極による冷却作用(消炎作用)が軽減される。その結果、点火性が向上し、点火ミスや燃焼の悪化を防止することができる。
【0003】
しかし、地球環境保護が叫ばれる近年では、省エネルギーやCO2排出規制、未燃ガス(炭化水素化合物)の排出抑制が、一層強く求められている。こうした要請に応じるために、自動車メーカーは、リーンバーンエンジン、直噴ガソリンエンジンあるいは低排ガスエンジン等の開発を積極的に行っている。さらに、リーンバーンエンジンでは、排気ガスの一部を燃焼室内に再循環することにより、吸入工程時に発生するエンジンの負の仕事を減らすとともに、よりクリーンな排気ガスに浄化する、エキゾーストガスリサーキュレーション(EGR)システムが積極的に導入されている。こうした状況では、スパークプラグは、希薄である上に不活性ガスである排気ガスが多量に存在する混合気に点火しなければならず、上記のような従来型の対策を施すのみでは、もはや十分に対応しきれなくなってきている。
【0004】
そこで、スパークプラグの点火性を改善するための別の手法として、特開昭59−37684号公報には、中心電極の先端角部に対し接地電極の先端角部を、中心電極軸線と比較的大きな角度をなす位置関係で、つまり、斜め方向に臨ませる構成が開示されている。該公報によると、中心電極軸線と交差する向きに飛火させれば、点火性が改善されると謳われている。また、特開昭62−43090号あるいは実開昭58−74788号公報にも、中心電極の先端部角に対し接地電極の先端を斜めに臨ませたスパークプラグが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記公報に開示されたスパークプラグには、以下のような問題がある。
(1)いずれのスパークプラグも、接地電極の先端が中心電極先端の角に臨む形で配置されていることから、電極角部における局所的な電極消耗が進行しやすい。また、特開昭59−37684号あるいは実開昭58−74788号の各公報のスパークプラグは、点火性の更なる向上のため、中心電極の先端部を絶縁体の先端部とともに主体金具の端面から突出させた構成となっている。このようなスパークプラグは、火花放電ギャップ位置がより高温となる燃焼室中心部に近づくため、電極温度上昇が著しく、リーンバーンエンジンや直噴エンジン等では燃焼温度もより高くなる。従って、上記のような角部での電極消耗がより進みやすく、通常のスパークプラグよりも早期に電極寿命が尽きやすい問題がある。
(2)いずれの公報に開示されたスパークプラグも、中心電極の先端角部と接地電極の先端角部とは、その対向方向が、中心電極軸線と比較的大きな角度をなす形で配置されている。本発明者らが検討したところ、このような構成のスパークプラグは、点火性の向上効果が期待されるほど顕著には得られないことが判明した。
【0006】
本発明の第一の課題は、リーンバーンエンジンやEGRシステムを採用した場合等において、点火性の改善とともに、電極の局所消耗を効果的に抑制でき、ひいては長寿命化を図ることができるスパークプラグを提供することにある。また、第二の課題は、リーンバーンエンジンやEGRシステムを採用した場合等において、点火性をさらに良好に確保できるスパークプラグを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記本発明の第一の課題を解決するために、本発明のスパークプラグの第一は、
筒状の主体金具と、その主体金具の内側に、先端部が該主体金具の端面から突出する形で配置された絶縁体と、該絶縁体の内部に、先端部が該絶縁体の端面から突出する形で配置された中心電極と、基端側が主体金具の端面に接合され、先端部が中心電極の先端部と対向することにより火花放電ギャップを形成する接地電極とを備え、中心電極の軸線方向において、火花放電ギャップの位置する側を前方側として、
中心電極の前端部が、5≦l/r2<20を充足するように半径r(mm)及び長さl(mm)が定められた円柱状の中心電極側貴金属耐消耗部とされ、
接地電極の一つが、先端側が中心電極に近づく方向に曲げ返され、先端面の後方側端縁が、中心電極側貴金属耐消耗部の前端面よりも前方側に位置し、かつ、軸線と直交する投影面への正射投影において、後方側端縁が、中心電極側貴金属耐消耗部の前端面よりも外側に位置する点火性改善型接地電極とされ、
さらに、点火性改善型接地電極の少なくとも前記後方側端縁を含む部分が接地電極側貴金属耐消耗部とされたことを特徴とする。
【0008】
上記本発明のスパークプラグの第一の構成においては、点火性向上のため、絶縁体及び中心電極の先端部を主体金具端面から突出させた構成を前提とする。接地電極は、中心電極の周りに1又は複数個設けることができるが、そのうちの1つのみ、先端側が中心電極に近づく方向に曲げ返され、先端面の後方側端縁が、中心電極側貴金属耐消耗部の前端面よりも前方側に位置し、かつ、軸線と直交する投影面への正射投影において、後方側端縁が、中心電極側貴金属耐消耗部の前端面よりも外側に位置する点火性改善型接地電極とされる。すなわち、該点火性改善型接地電極は、上記の正射投影にて見たときに、中心電極前端面との間に重なりを全く生じない位置関係にて点火性改善型接地電極が配置される。後述する本発明のスパークプラグの第二も含め、本発明において接地電極は、点火性改善型接地電極1つのみを備える構成か、又は点火性改善型接地電極1つと、点火性改善型接地電極に該当しない1又は2以上の接地電極とからなる複数の接地電極を備える構成のいずれかを採用できる。
【0009】
スパークプラグにおける火花放電は一種の衝撃波であり、それによって誘起される混合気の火炎核は、図16に模式的に示すように、火花放電路に直交する向きよりも、火花放電路に沿う向きのほうが、成長速度が大きいことが実験的に確認されている。従って、内燃機関の点火性を向上させるには、この火炎核の成長方向に障害物がなるべく存在しないことが有利である。図17の左に示す態様のように、上記正射投影において接地電極と中心電極前端面との間に重なりを生じていると、その重なっている接地電極先端部が火炎核成長に対する障害物となる。本発明のスパークプラグに使用する点火性改善型接地電極は、図17右に示すように、中心電極前端面との間に上記のような重なりを生じていないから、接地電極先端部が上記障害物として機能しにくくなる。従って、火炎の成長が接地電極よりも外方に向けて速やかに進むため、絶縁体及び中心電極の先端部を主体金具端面から突出させた構成とも相俟って、点火性が顕著に向上する。また、先端面の後方側端縁が中心電極側貴金属耐消耗部の前端面よりも前方側に位置する接地電極は、上記の点火性改善型接地電極が1つのみであるから、仮に2以上の接地電極が設けられる場合でも、該点火性改善型接地電極が形成する火花放電ギャップにて発生した火炎の成長が、他の接地電極の消炎作用によって妨げられることがない。
【0010】
他方、絶縁体と中心電極とが上記のように突出しているため、特にリーンバーンエンジンや直噴エンジン等に適用された場合は、電極温度上昇が著しくなることが避けがたい。また、点火性改善型接地電極と中心電極とは上記重なりを生じないように配置されるため、火花放電ギャップを挟んで両者の角部同士が対向する形となる。従って、点火性改善型接地電極と中心電極とのそれぞれに貴金属耐消耗部を設けても、角部における局所的な電極消耗は依然生じやすい状況にある。特に放電極性が負に設定されることの多い中心電極側は、消耗が懸念される。そこで、本発明のスパークプラグの第一においては、中心電極の前端部をなす円柱状の中心電極側貴金属耐消耗部の半径r及び長さlを、本発明特有に定められた5≦l/r2≦20の関係を充足するように定められる。中心電極側貴金属耐消耗部の寸法をこのように定めることによって温度上昇が軽減され、火花放電ギャップに面した角部での電極消耗を極めて効果的に抑制することができる。
【0011】
l/r2が5未満になると、中心電極側貴金属耐消耗部の温度が上昇しにくく着火性の向上も顕著でなく、放電電圧の低下も期待できない。他方、l/r2が20を超えると、温度上昇が著しくなって電極消耗が進みやすく、十分な寿命を確保できなくなる。
【0012】
上記本発明のスパークプラグの第一の構成においては、主体金具の端面から前方側に1mm隔たった位置にて軸線と直交する平面にて切断したときの、点火性改善型接地電極の断面の幾何学的重心位置と軸線とを含む平面と平行な投影面への正射投影にて見たとき、投影面上に、中心電極の先端面の、点火性改善型接地電極の後方側端縁に近い側の端縁位置を原点として定め、該原点を通って中心電極の先端面と平行かつ点火性改善型接地電極の位置する側が正方向となるようにx軸を、また、該原点を通って軸線と平行かつ火花放電ギャップの位置する側が正となるようにy軸をそれぞれ定めたとき、点火性改善型接地電極の後方側端縁の(x,y)座標(長さ単位:mm)が、
1.6≧y≧0.4
x>0
y≧(1/Tan16°)x
を満足するように定められていることが望ましい。
【0013】
また、本発明のスパークプラグの第二は、
中心電極と、中心電極の周側面を取り囲むように配置された主体金具と、基端側が該主体金具の端面に接合されるとともに、中心電極との間に火花放電ギャップを形成する接地電極とを備え、
中心電極の軸線方向において、火花放電ギャップの位置する側を前方側として、
接地電極の一つが、先端側が中心電極に近づく方向に曲げ返され、先端面の後方側端縁が、中心電極側貴金属耐消耗部の前端面よりも前方側に位置し、かつ、軸線と直交する投影面への正射投影において、後方側端縁が、中心電極側貴金属耐消耗部の前端面よりも外側に位置する点火性改善型接地電極とされ、
主体金具の端面から前方側に1mm隔たった位置にて軸線と直交する平面にて切断したときの、点火性改善型接地電極の断面の幾何学的重心位置と軸線とを含む平面と平行な投影面への正射投影にて見たとき、投影面上に、中心電極の先端面の、点火性改善型接地電極の後方側端縁に近い側の端縁位置を原点として定め、該原点を通って中心電極の先端面と平行かつ点火性改善型接地電極の位置する側が正方向となるようにx軸を、また、該原点を通って軸線と平行かつ火花放電ギャップの位置する側が正となるようにy軸をそれぞれ定めたとき、点火性改善型接地電極の後方側端縁の(x,y)座標(長さ単位:mm)が、
1.6≧y≧0.4 ‥‥(1)
x>0 ‥‥(2)
y≧(1/Tan16°)x ‥‥(3)
を満足するように定められてなることを特徴とする。
【0014】
上記構成において特に重要なのは▲3▼の関係式である。図21は、上記投影面への正射投影を模式的に示すものである。この図から明らかなように、▲3▼の関係式は、点火性改善型接地電極の端面の後方側端縁(32t:接地電極の火花放電ギャップに臨む接地電極の角部)と、中心電極前端面の、点火性改善型接地電極の後方側端縁に近い側の端縁位置(31t:中心電極の火花放電ギャップに臨む角部)との対向方向CDと、中心電極の軸線(O:y軸の向きと一致する)とのなす角度θが16°以下(y軸から接地電極に近づく向きを正方向とする)となることを規定するものである。なお、▲2▼式の条件から、該角度θは0°を含まず、また、負の値となることもない。
【0015】
上記本発明のスパークプラグの第二の構成は、接地電極の先端面と、中心電極の先端面との位置関係が、定性的には特開昭59−37684号あるいは特開昭62−43090号に開示されたスパークプラグと類似している。上記公報のスパークプラグにおいては、角度θの範囲が具体的に規定されていない。しかし、詳細に検討すると、特開昭59−37684号公報のスパークプラグの特許請求の範囲には、「中心電極の軸線に対しクロスする方向に向かう火花放電間隙(ギャップ)を形成する」旨が記載されていることから、このスパークプラグの思想は、ギャップの形成方向、すなわち、接地電極側の角32tと中心電極側の角31tとの対向方向CDを、中心電極の軸線(O)に対して積極的に傾斜させることにより点火性向上を図る点にあることが明らかである。そして、公報第3図から読み取られる上記角度θは33°前後と推定される。また、特開昭62−43090号に開示されたスパークプラグも、例えば公報第1図あるいは第2図から読み取られる上記角度θは35°前後であり、実開昭58−74788号公報の第一図では27゜程度である。いずれも、本発明のスパークプラグの第二の構成における上限値16゜よりもかなり大きい値である。
【0016】
本発明者らが検討したところ、角度θを上記のように大きくすると、スパークプラグの点火性向上効果が期待されるほどには顕著ではないことがわかった。そして、さらに詳細に検討を重ねた結果、角度θを16°以下に小さくすること、つまり、点火性改善型接地電極側の角32tと中心電極側の角31tとの対向方向CDを、中心電極の軸線(O)の向きになるべく近づけることにより、スパークプラグの点火性向上効果が極めて顕著となることが判明し、本発明のスパークプラグの第二を完成するに至ったのである。
【0017】
燃焼室内の混合気の分布には、図15に示すようにムラがあり、燃焼室の中心に向かうほど濃い(いわゆる「rich」な)混合気が存在する。こうした傾向は、直噴エンジンにおいて特に顕著であるが、吸気管内噴射による均一混合の場合においても生じうる。いずれにしろ、図16を用いて既に説明した火炎核の優先的な成長方向、すなわち、火花放電ギャップにおける火花放電路の向きが、燃焼室中心方向を向いていること(つまり、中心電極の軸線と一致していること)が、点火性を高める上で有利となる。本発明のスパークプラグの第二においては、火花放電路の向きは点火性改善型接地電極側の角32tと中心電極側の角31tとの対向方向CDであり、この方向が中心電極の軸線と一致しているか(すなわち、θ=0)、又は、角度θを有して交差している場合でも、その値を16°以下の小さな値に留めることにより、一層良好な点火性を確保することができる。すなわち、本発明の第二の課題が解決される。
【0018】
y<(1/Tan16°)xになる、つまりθが16°よりも大きくなると、点火性を十分に確保できなくなる。x≦0になる、つまりθが0°又は負の値になった場合も点火性を十分に確保できなくなる。1.6<yになると、火花放電ギャップの間隔が大きくなりすぎて放電電圧が極端に高くなり、放電不能となる。また、y<0.4になると、製造時に許容されるギャップ間隔公差が極端に狭くなり、歩留まり低下を招くことにつながる。また、汚損物質など、導電性異物が付着したときにギャップの短絡を生じやすくなる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるスパークプラ100を示すものである。スパークプラ100は、筒状の主体金具1と、その主体金具1の内側に、先端部が該主体金具1の端面から突出する形で配置された絶縁体2と、該絶縁体2の内部に、先端部が該絶縁体2の端面から突出する形で配置された中心電極3と、基端側が主体金具1の端面に接合され、先端部が中心電極3の先端部と対向することにより火花放電ギャップgを形成する接地電極4とを備える。なお、中心電極3は、絶縁体2の軸線O方向に形成された貫通孔6の前端側(軸線O方向において火花放電ギャップの形成される側を前方側とする)に配置されている。また、貫通孔6の後端側には端子金具23が配置され、導電性ガラスシール層24,26及び電波吸収用の抵抗体25を介して中心電極3に電気的に接続されている。他方、絶縁体2は、例えばアルミナあるいは窒化アルミニウム等のセラミック焼結体により構成されている。また、主体金具1は、低炭素鋼等の金属により構成され、その外周面には、プラグ100を図示しないエンジンブロックに取り付けるためのねじ部7が形成されている。
【0020】
図2は、図1のスパークプラグ100の要部を拡大して示すものである。以下、中心電極3の軸線O方向において、火花放電ギャップgの位置する側を前方側と定める。中心電極3の前端部は、5≦l/r2<20を充足するように半径r(mm)及び長さl(mm)が定められた円柱状の中心電極側貴金属耐消耗部31とされている。該中心電極側貴金属耐消耗部31は、インコネル600(商標名)等のNi合金により少なくとも表層部が形成された電極本体3mの前端面に、円柱状の貴金属チップを重ね合わせ、重ね合わせ面の外周縁に沿うレーザー溶接部WPにより接合して形成されたものである。本実施例では、図1に示すように、電極本体3mに、電極の熱引きを促進するため、Cuあるいは銅合金からなる放熱促進部3cが埋設されている。なお、中心電極側貴金属耐消耗部31の半径rは、前端面31aの半径であり、長さlは、レーザー溶接部WPの軸線(O)方向における前端縁位置から前端面31aまで軸線(O)方向に測定した距離である。
【0021】
スパークプラグ100においては、接地電極4は1つのみ設けられている。該接地電極4は、先端側が中心電極3に近づく方向に曲げ返され、先端面4s,32sの後方側端縁32tが、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aよりも前方側に位置し、かつ、図4に示すように、軸線Oと直交する投影面Pへの正射投影において、後方側端縁32tが、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aよりも外側に位置する点火性改善型接地電極4とされている。また、点火性改善型接地電極4の後方側端縁を含む部分が接地電極側貴金属耐消耗部32とされている。なお、貴金属耐消耗部31,32は、例えばPt,Irあるいはそれらのいずれかを主成分(最も含有率の高い成分のことである)とする合金よりなる。
【0022】
上記のような配置関係で点火性改善型接地電極4を設けることにより、すでに図17(右図)により説明した通り、接地電極先端部が火炎成長に対する障害物として機能しにくくなり、絶縁体2及び中心電極3の先端部を主体金具1の端面から突出させている構成とも相俟って、点火性が顕著に向上する。接地電極4は、点火性改善型接地電極4が1つ設けられているだけであるから、火炎の成長が、別の接地電極の消炎作用によって妨げられることもない。
【0023】
図1に戻り、上記スパークプラグ100は、絶縁体2と中心電極3とが主体金具1の端面1a突出しているため、リーンバーンエンジンや直噴エンジン等に適用されると電極温度上昇が著しくなる。また、図2に示すように、点火性改善型接地電極4と中心電極3とは上記重なりを生じないように配置されるため、火花放電ギャップgを挟んで接地電極側の角(後方側端縁)32tと中心電極側の角31tとが対向する形となる。従って、点火性改善型接地電極4と中心電極3とは、それぞれ貴金属耐消耗部32及び31が設けられているが、角32t,31tにおける局所的な電極消耗は依然生じやすい状況にあり、放電極性が負に設定されることの多い中心電極側の角31tは、消耗が特に懸念される。そこで、上記スパークプラグ100においては、中心電極側貴金属耐消耗部31の半径r及び長さlが、5≦l/r2≦20の関係を充足するように定められている。中心電極側貴金属耐消耗部31の寸法をこのように定めることによって温度上昇が軽減され、角31tでの電極消耗を極めて効果的に抑制することができる。
【0024】
次に、図1において、主体金具1の端面1aから前方側に1mm隔たった位置にて軸線Oと直交する平面P2にて切断したときの、点火性改善型接地電極4の断面の幾何学的重心位置をKとする。そして、該幾何学的重心位置Kと軸線Oとを含む平面と平行な投影面P3への正射投影にて見たとき、投影面P3上に、図2に示すように、中心電極3の先端面31aの、点火性改善型接地電極4の後方側端縁32tに近い側の端縁位置を原点Iとして定める。そして、該原点Iを通って中心電極3の先端面31aと平行かつ点火性改善型接地電極4の位置する側が正方向となるようにx軸を、また、該原点Iを通って軸線Oと平行かつ火花放電ギャップgの位置する側が正となるようにy軸をそれぞれ定める。そして、点火性改善型接地電極4の後方側端縁32tの(x,y)座標(長さ単位:mm)が、
1.6≧y≧0.4 ‥‥(1)
x>0 ‥‥(2)
y≧(1/Tan16°)x ‥‥(3)
を満足するように定められている。
【0025】
▲3▼式は、点火性改善型接地電極4の角(後方側端縁)32tと中心電極3の角(前端面31aの端縁位置)31tとの対向方向CDと、中心電極3の軸線Oとのなす角度θが16°以下となることを規定する。また、▲2▼式の条件から、該角度θは0°を含まず、また、負の値となることもない。角度θを16°以下に小さくすることにより、スパークプラグの点火性向上効果が極めて顕著となる。
【0026】
なお、前記したxの値は、望ましくは0.05mm以上に設定するのがよい。これは、x方向において、中心電極3の前端面31aと、接地電極4の先端面との間に、0.05mm以上の隙間を形成することを意味する。図5Aに示すように、軸線Oの方向から位置を変えながらレーザービームを照射して、その反射情報を見れば、中心電極3の前端面31aと、接地電極4の先端面との間に、有意な寸法の隙間が形成されているかどうかは、すぐに確認できる。しかし、xの値が0.05mm未満の領域にて許されていると、寸法公差を考慮したとき、隙間が実際には0となったスパークプラグ製品が多数発生し、その良否判定が行えなくなる。この場合、スパークプラグを、図2に示すような投影を用いて検査すれば、xがどの程度の値になっているかを確実に検出することができる。しかし、この方法は、投影画像の精密な解析が求められ、検査能率の低下が避けがたい。そこで、上記のように、xの値を0.05mm以上に設定しておくと、寸法公差や通常の方法によるギャップ調整誤差を考慮しても、良品にはほぼ確実に上記の隙間を形成することができる。すなわち、隙間に対応する反射情報の現れないスパークプラグを直ちに不良と判定することが可能となる。
【0027】
次に、図2に示すように、点火性改善型接地電極4は、表層部が少なくともインコネル600等のNi合金にて構成される電極本体4mと、該電極本体4mの火花放電ギャップgに臨む位置に接合された接地電極側貴金属耐消耗部をなす貴金属チップ32とからなる。前記投影面P3への正射投影にて見たとき、点火性改善型接地電極4の先端面4s,32sの後方側端縁32tを含む一部区間のみ貴金属チップ32による形成面32sとされている。このようにすると、電極本体4mの火花放電ギャップgに面する角、つまり、後方側端縁に相当する位置に、小さな板状の貴金属チップ32を、例えば抵抗溶接等により接合するだけで、接地電極側貴金属耐消耗部を形成できる。また、特開昭62−43090号公報に開示されたスパークプラグのように、接地電極の先端部全体を貴金属耐消耗部とする構成と比較して、貴金属の使用量を大幅に削減することができる。
【0028】
点火性改善型接地電極4の先端面4s,32sは、図3に示すように、貴金属チップ32による形成面32sと、残余の部分をなす電極本体4mによる形成面4sとを、ほぼ面一とすることも可能である。しかし、図2に示すように、貴金属チップ32による形成面32sを軸線O側に突出させることにより、火花放電ギャップgに面する角、つまり、後方側端縁32tにおける電極消耗をより顕著に抑制することができる。
【0029】
また、図2の構成では、投影面P3上において、貴金属チップ32の後方側端縁32tから点火性改善型接地電極4の基端側へ延びるチップ面(つまり、火花放電ギャップgに臨むチップ面)32pが、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aと平行になっている。特開昭62−43090号公報に開示されたスパークプラグのように、接地電極側貴金属耐消耗部の火花放電ギャップgに臨む面が中心電極の前端面に対して傾斜していると、接地電極側貴金属耐消耗部の角が消耗したとき、前記面のギャップ間隔が小さくなる傾斜方向に火花放電位置が移動する。このため、中心電極3の軸線Oからの放電路方向のずれが大きくなって、点火性が損なわれることにつながる。しかし、本発明のスパークプラグ100においては、チップ面32pが、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aと平行になっているので、火花放電位置の変動が小さく、点火性を常時良好に保つことができる。
【0030】
以下、本発明のスパークプラグの種々の変形態様について説明する。
点火性改善型接地電極4の接地電極側貴金属耐消耗部32は、中心電極側貴金属耐消耗部31との間に火花放電ギャップを形成できればよく、種々の態様にて形成できる。図6は、電極本体4mの全幅にわたる貴金属チップを用いて接地電極側貴金属耐消耗部32を形成した例である。また、図7は、電極本体4mよりも狭幅の貴金属チップを、電極本体4mの幅方向の中間に固着して接地電極側貴金属耐消耗部32を形成した例である。また、図6及び図7では角状の貴金属チップを用いて接地電極側貴金属耐消耗部32を形成しているが、図8に示すように、円板状の貴金属チップを用いて接地電極側貴金属耐消耗部32を形成してもよい。
【0031】
図9は、電極本体4mの先端部の幅方向両側にテーパ面4t,4tを形成した例である。このようにすると、電極先端部の体積減少により電極本体4m自身の消炎作用を軽減でき、着火性をより向上させることができる。また、電極先端部が狭幅になっていることにより、放電電圧の軽減や、燃料が中心電極と接地電極との間で保持されてしまう、いわゆるブリッジを生じにくくする効果も達成される。
【0032】
また、図10は、電極本体4mの軸断面を、火花放電ギャップgに近い側にて狭幅化した実施形態を示すものである。本実施形態ではテーパ面4j,4jにより断面を狭幅化しているが、アール面を用いてもよい。この態様も電極本体4mの体積減少による消炎作用の軽減、及び燃料ブリッジ発生抑制に効果がある。
【0033】
図1及び図6〜図9は、いずれも電極本体3mよりも中心電極側貴金属耐消耗部31を細径に構成していたが、図11に示すように、電極本体3mと中心電極側貴金属耐消耗部31とをほぼ同一径にて構成することもできる。ただし、着火性は前者のほうがより良好である。また、図12に示すように、電極本体3mの前端面外周縁に沿って環状の中心電極側貴金属耐消耗部131を形成することもできる。
【0034】
図2においては、接地電極側貴金属耐消耗部32の、電極本体4mの先端面4sからの突出量を、電極本体4mの火花放電ギャップgに面する側面から突出量よりも大きく設定していたが、図13は、その突出量の関係を逆転した変形例を示すものである。
【0035】
図14は、点火性改善型接地電極4以外の接地電極を設けたスパークプラグの例を示すものである。このスパークプラグ150においては、点火性改善型接地電極4のほかに、主体金具1の先端面1aから突出ずる絶縁体2の前端部周側面と対向することにより、セミ沿面放電ギャップg’を形成するセミ沿面接地電極5を有する。セミ沿面放電ギャップg’は、点火性改善型接地電極4の形成する火花放電ギャップgよりも狭幅であり、絶縁体2の前端部が汚損したときに飛火してこれを清浄化する働きを有する。セミ沿面接地電極5は複数設けてもよい。
【0036】
【実施例】
以下、本発明のスパークプラグの効果を確認するために行った実験結果について説明する。
(実験例1)
Ir合金よりなる中心電極側貴金属耐消耗部31の長さlを0.8mmとし、直径2rを1mm又は3mmとして、接地電極4が、貴金属耐消耗部31の前端面31aの全直径に渡って重なりを生じた比較例のスパークプラグ試験品と、図2のxを0.05mmに設定した重なりを有さない実施例のスパークプラグ試験品とをそれぞれ作製した。なお、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aは、主体金具1の前端面1aから3mm突出させている。また、火花放電ギャップgの軸線O方向の間隔(y)を、それぞれ1.1mm及び0.8mmの2種類に設定している。さらに、接地電極4の電極本体4mの幅を2.7mmとしている。
【0037】
上記スパークプラグ試験品を、6気筒、総排気量2000ccのガソリンエンジンに装着した。そして、エンジン回転数700rpm(アイドリング相当)、吸引負圧−540mmHg、吸引混合気の空燃比14.1(理論空燃比)の条件にて運件を開始し、点火進角量を徐々に遅らせて、MBT(Minimum Spark Advance for Best Torque)を見出す。以降、このMBTに点火時期を固定して、空燃比を徐々にリーン側に変化させながら運転を継続し、空燃比14.1の時を基準として、平均燃焼圧の変動率が20%に達したときの空燃比を限界空燃比として求めた。表1は、その結果を示すものである。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例品は、いずれも対応する比較例品よりも限界空燃比が高く、良好な点火性を有していることがわかる。また、限界空燃比の改善幅は、中心電極前端面31aの直径2rが大きいほど、また、火花放電ギャップ間隔が小さいほど大きく、点火性改善効果がより大きいことがわかる。この観点から、中心電極前端面31aの直径2rは0.4〜2.2mm、火花放電ギャップ間隔は0.3〜1.1mmとすることが、点火性改善効果を顕著化する観点においてより望ましいといえる。
【0040】
また、中心電極側貴金属耐消耗部31の直径2rを1mmとし、火花放電ギャップgの軸線O方向の間隔(y)を1.1mmに設定した試験品は、図19に示すように、比較例品では接地電極4の長さが12mmであるが、実施例品では、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aと重なりを生じていない分だけ接地電極4の長さが短く、9.5mmとなっている。これら試験品を同じエンジンに取り付け、スロットル全開状態、回転数5000rpmにて運転し、接地電極先端部の温度を熱電対により測定した。図19に示すように、実施例品のほうが温度上昇が小さく、電極消耗に対する耐久性の観点においてより有利になっていることがわかる。これは、接地電極4の長さが短くなった分だけ、電極先端部の熱引きが進みやすくなったためであると考えられる。また、スパークプラグを加振器に取り付け、振動周波数をスイープしながら接地電極の振動速度をレーザードップラー振動計にて測定し、その振動速度を周波数分析することにより共振周波数を求めた。図19に示すように、接地電極4が短い実施例品のほうが共振周波数が高く、振動により折損等が発生する惧れが低くなっていることがわかる。
【0041】
(実施例2)
Ir合金よりなる中心電極側貴金属耐消耗部31の長さlを0.8mmとし、直径2rを0.6mmとし、さらに図2のxを0.05mmに設定した重なりを有さないスパークプラグ試験品を種々作製した。なお、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aは、主体金具1の前端面1aから3.5mm突出させている。また、火花放電ギャップgの軸線O方向の間隔(y)を、それぞれ1.1mmに設定している。さらに、接地電極4の電極本体4mの幅を0.5〜2.5mmの種々の値に設定している。これらスパークプラグ試験品の限界空燃比を実験例1と同様に測定し、接地電極4の電極本体4mの幅の値に対してプロットした結果を図20に示す。電極本体4mの幅が小さいほど消炎作用が軽減され、限界空燃比がより高く、点火性が向上していることがわかる。なお、本実験では、電極本体4mの全体にわたって幅を縮小したが、図9に示すように、電極本体4mの先端部のみ幅を縮小した場合においても、同様の効果が達成される。図20の結果によれば、特に電極本体4mの先端部の幅が0.5〜1.5mm(中心電極側貴金属耐消耗部31の直径の1〜3倍)の範囲にて、特に結果が良好であることがわかる。
【0042】
(実験例3)
Ir合金よりなる中心電極側貴金属耐消耗部31の半径rを1.0mm、長さlを1.5mmとし、図2におけるxの値を0.05mm、−1.0mm及び−2.5mmに設定し、火花放電ギャップ間隔(y)を0.9mmとし、他は実験例1と同じ寸法により、種々のスパークプラグ試験品を作製した。x<0は、接地電極4と中心電極3の前端面との間に重なりを生じていることを意味する。
【0043】
上記スパークプラグ試験品を、4気筒、総排気量1000ccのガソリンエンジンに装着した。このガソリンエンジンには、排気管から分岐してインテークマニホールドに戻る排気ガス還流管が設けられ、管状のガスにより還流される排気ガス量が調整可能とされている。そして、エンジン回転数1500rpm、吸引負圧290kPa、吸引混合気の空燃比16.0(リーンバーンである)の条件にて、排気ガス還流量0の条件で運転を開始し、点火進角量を徐々に遅らせて、MBTを見出した。以降、このMBTに点火時期を固定して、排気ガス還流量を徐々に増加させながら運転を継続し、排気ガス還流量0の時を基準として、平均燃焼圧の変動率が20%に達したときを失火発生限界とみなし、そのときの排気ガス還流量を限界排気ガス還流量として求めた。そして、この限界排気ガス還流量を用いて、還流させる排気ガス中の不活性ガス成分であるCO2量VEXを排気ガス分析計で測定し、また、吸入混合気と還流排気ガスの合計に占めるCO2量VINを計算し、CO2換算による限界EGR率を、(VIN−VBG)/(VEX−VIN)(ただし、VBGは排気ガス分析計のバックグラウンドCO2表示値である)にて求めた。限界EGR率が高いほど、より多くの不活性ガスが還流されても失火が生じにくくなり、点火性が良好であることを意味する。図18は、該限界EGR率とxの値との関係を示すグラフである。xが0を超える、つまり、接地電極と中心電極先端面との間の重なりが解消されると、限界EGR率は速やかに大きくなり、点火性が顕著に改善されることがわかる。
【0044】
(実験例4)
Ir合金よりなる中心電極側貴金属耐消耗部31の半径rと長さlとを、表2の種々の値に設定し、x=0.05mm、火花放電ギャップ間隔(y)を1.1mmに設定した以外は、実験例2と同様に構成したスパークプラグ試験品を作製した。
【0045】
【表2】
【0046】
これら試験品を、実験例1と同じエンジンに取り付け、スロットル全開状態、回転数5000rpmにて運転し、中心電極側貴金属耐消耗部31の温度を熱電対により測定した。そして、温度が800℃未満であったものを不良(×)、800℃以上900℃以下であったものを良好(○)、900℃を超えていたものを特に良好(◎)として判定した。その結果を表3に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
また、スロットル全開状態、回転数5000rpmにて600時間の耐久運転を行なった後、中心電極側貴金属耐消耗部31を投影機にて拡大し、その拡大画像から単位時間当たりの消耗体積を算出した。そして、その消耗体積が0.15×10−3mm3/hr以下となったものを良好(○)、それよりも大きいものを不良(×)として判定した。その結果を表4に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
以上の結果から明らかな通り、5≦l/r2<20を充足する中心電極側貴金属耐消耗部31を用いた場合に、温度上昇抑制と耐久性とが両立できていることがわかる。
【0051】
(実施例5)
Ir合金よりなる中心電極側貴金属耐消耗部31の長さlを0.8mmとし、直径2rを0.6mmとし、さらに図2の接地電極4の後方側端縁31tの座標(x,y)を種々の値に設定したスパークプラグ試験品を作製した。なお、中心電極側貴金属耐消耗部31の前端面31aは、主体金具1の前端面1aから3.5mm突出させている。また、接地電極4の電極本体4mの幅を2.7mmに設定している。これらスパークプラグ試験品の限界空燃比を実験例1と同様に測定し、限界空燃比が各ギャップで最良のものに対して5%以内となったものを点火性良好(○)、5%より大となったものを点火性不良(×)として判定した。図21は、その結果を、後方側端縁31tの座標(x,y)と対応付ける形でマッピングしたものである。1.6≧y≧0.4、x>0、及びy≧(1/Tan16°)xを満足するときに、点火性良好となっていることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの一実施形態を示す縦断面図。
【図2】図1の要部を投影面P3への正射投影にて示す拡大模式図。
【図3】接地電極側貴金属耐消耗部の形成形態の第一変形例を示す拡大模式図。
【図4】点火改善型接地電極と中心電極側貴金属耐消耗部との位置関係を示す説明図。
【図5A】点火改善型接地電極と中心電極側貴金属耐消耗部との間に隙間が形成されている場合の作用説明図。
【図5B】図5Aで隙間が形成されていなかった場合の問題点を示す図。
【図6】接地電極側貴金属耐消耗部の形成形態の第二変形例を示す拡大模式図。
【図7】接地電極側貴金属耐消耗部の形成形態の第三変形例を示す拡大模式図。
【図8】接地電極側貴金属耐消耗部の形成形態の第四変形例を示す拡大模式図。
【図9】点火改善型接地電極の電極本体の第一変形例を示す拡大模式図。
【図10】点火改善型接地電極の電極本体の第二変形例を示す拡大模式図。
【図11】中心電極側貴金属耐消耗部の形成形態の第一変形例を示す拡大模式図。
【図12】中心電極側貴金属耐消耗部の形成形態の第二変形例を示す拡大模式図。
【図13】接地電極側貴金属耐消耗部の形成形態の第五変形例を示す拡大模式図。
【図14】点火改善型接地電極以外の接地電極を追加したスパークプラグの一例を示す要部拡大図。
【図15】燃焼室内の空燃比分布を概念的に説明する図。
【図16】火花放電方向と火炎核成長方向との関係を説明する図。
【図17】本発明のスパークプラグの作用を、従来のスパークプラグと対比して説明する図。
【図18】実験例1の第一の結果を示すグラフ。
【図19】実験例1の第二の結果を示すグラフ。
【図20】実験例2の結果を示すグラフ。
【図21】実験例5の結果を示すグラフ。
【符号の説明】
1 主体金具
2 絶縁体
3 中心電極
g 火花放電ギャップ
4 点火性改善型接地電極
4f 後方側端縁
4m 電極本体
4s 形成面
5 セミ沿面接地電極
31 中心電極側貴金属耐消耗部
31a 前端面
32 接地電極側貴金属耐消耗部
32s 形成面
Claims (1)
- 筒状の主体金具(1)と、その主体金具(1)の内側に、先端部が該主体金具(1)の端面から突出する形で配置された絶縁体(2)と、該絶縁体(2)の内部に、先端部が該絶縁体(2)の前記端面から突出する形で配置された中心電極(3)と、基端側が前記主体金具(1)の端面に接合され、先端部が前記中心電極(3)の先端部と対向することにより火花放電ギャップ(g)を形成する接地電極(4)とを備え、前記中心電極(3)の軸線(O)方向において、火花放電ギャップ(g)の位置する側を前方側として、
前記中心電極(3)の前端部が、5≦l/r2<20を充足するように半径r(mm)及び長さl(mm)が定められた円柱状の中心電極側貴金属耐消耗部(31)とされ、
前記接地電極(4)が、先端側が前記中心電極(3)に近づく方向に曲げ返され、先端面(4s,32s)の後方側端縁(32t)が、前記中心電極側貴金属耐消耗部(31)の前端面(31a)よりも前方側に位置し、かつ、前記軸線(O)と直交する投影面(P)への正射投影において、前記後方側端縁(32t)が、前記中心電極側貴金属耐消耗部(31)の前記前端面(31a)よりも外側に位置する点火性改善型接地電極(4)とされ、
さらに、前記点火性改善型接地電極(4)の少なくとも前記後方側端縁(32t)を含む部分が接地電極側貴金属耐消耗部(32)とされ、
前記点火性改善型接地電極(4)は、電極本体(4m)と、該電極本体(4m)の前記火花放電ギャップ(g)に臨む位置に接合された前記接地電極側貴金属耐消耗部(32)をなす貴金属チップ(32)とからなり、前記主体金具(1)の前記端面(1a)から前方側に1mm隔たった位置にて前記軸線(O)と直交する平面(P2)にて切断したときの、前記点火性改善型接地電極(4)の断面の幾何学的重心位置(K)と、前記軸線(O)とを含む平面と平行な投影面(P3)への正射投影にて見たとき、前記点火性改善型接地電極(4)の前記先端面(4s,32s)の前記後方側端縁(32t)を含む一部区間のみ前記貴金属チップ(32)による形成面(32s)となり、かつ、該先端面(4s,32s)の残余の部分をなす前記電極本体(4m)による形成面(4s)よりも、前記貴金属チップ(32)による形成面(32s)が前記軸線(O)側に突出して位置し、さらに、
前記投影面(P3)上において、前記貴金属チップ(32)の前記後方側端縁(32t)から前記点火性改善型接地電極(4)の基端側へ延びるチップ面(32p)が、前記中心電極側貴金属耐消耗部(31)の前端面(31a)と平行になっており、さらに、
前記主体金具(1)の前記端面(1a)から前方側に1mm隔たった位置にて前記軸線(O)と直交する平面(P2)にて切断したときの前記点火性改善型接地電極(4)の断面の幾何学的重心位置(K)と、前記軸線(O)とを含む平面と平行な投影面(P3)への正射投影にて見たとき、前記投影面(P3)上に、前記中心電極(3)の先端面(31a)の、前記点火性改善型接地電極(4)の前記後方側端縁(32t)に近い側の端縁位置を原点(I)として定め、該原点(I)を通って前記中心電極(3)の先端面(31a)と平行かつ前記点火性改善型接地電極(4)の位置する側が正方向となるようにx軸を、また、該原点(I)を通って前記軸線(O)と平行かつ前記火花放電ギャップ(g)の位置する側が正となるようにy軸をそれぞれ定めたとき、前記点火性改善型接地電極(4)の前記後方側端縁(32t)の(x,y)座標(長さ単位:mm)が、
1.6≧y≧0.4
x>0
y≧(1/Tan16°)x
を満足するように定められてなることを特徴とするスパークプラグ。
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