JP4431271B2 - スパークプラグ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関用のスパークプラグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐汚損性を改善した内燃機関用のスパークプラグとして沿面放電型スパークプラグと呼ばれるものが知られている。これは、火花放電ギャップにて発生する火花が、常時あるいは条件により、絶縁碍子表面を経由した沿面放電形態にて伝播するように構成したものである。例えばセミ沿面放電型スパークプラグと称されるものは、中心貫通孔を有する絶縁碍子と、中心貫通孔に保持され絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、主体金具に一端が接合され他端が中心電極の側周面若しくは絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備える。そして、沿面放電時には、セミ沿面接地電極の発火面と絶縁碍子表面との間が気中放電となる以外は、絶縁碍子先端面の表面に沿う形態にて飛火する形となる。スパークプラグは、例えばプレデリバリ時のように電極温度が450℃以下の低温環境で長時間使用されると、いわゆる「燻り」や「かぶり」の状態となり、絶縁碍子表面がカーボンなどの導電性汚損物質で覆われて作動不良が生じやすくなる。しかしながら、上記沿面放電型のスパークプラグによれば、絶縁碍子表面を這う形で火花放電が生ずるため、汚損物質が絶えず焼き切られる形となり、気中放電型のスパークプラグと比べて耐汚損性が向上する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、沿面放電型のスパークプラグでは、絶縁碍子の表面を這う火花が頻繁に発生するため、絶縁碍子の表面が溝状に削られる、いわゆるチャンネリングが生じやすくなることが知られている。チャンネリングが進行すると、スパークプラグの耐熱性が損なわれたり、あるいは信頼性が低下するなどの不具合が生じたりしやすくなる。このようなチャンネリングは、高速あるいは高負荷運転時に特に生じやすい。近年はエンジンの高出力化に伴い、さらに耐久性に優れたスパークプラグが求められており、チャンネリングの防止ないし抑制に対する要求も厳しくなってきている。
【0004】
また、別の問題としては、絶縁碍子を這う形で発生する火花が、常に混合気への着火に有利な位置にて発生するとは限らず、セミ沿面接地電極と絶縁体との形状や配置関係によっては、必ずしも最良の着火性が得られない場合がある。
【0005】
本発明の課題は、耐汚損性に優れてしかもチャンネリングが生じにくく、良好な耐久性を有するとともに、着火性にも優れたスパークプラグを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するため、本発明のスパークプラグ
中心貫通孔を有する絶縁碍子と、中心貫通孔に保持され絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、主体金具に一端が接合され他端が中心電極の側周面若しくは絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
絶縁碍子の先端部に長さ1.5mm以下の直管状部を有し、絶縁碍子の軸線方向において前記先端部の位置する側を前方側としたときに、直管状部の後端位置に対しセミ沿面接地電極の前記端面の後端側縁が一致しているか又は前方側にあり、先端面の高さ位置とセミ沿面接地電極の端面の後端側縁の高さ位置との軸線方向における段差E(単位:mm)と、前記絶縁碍子の前記先端面から側周面に至る曲面の曲率半径R(単位:mm)との差が、R−E≦0.1mm(1−丸付き数字1)であることを前提とする。ここで、段差Eは、絶縁碍子の中心軸線方向において、先端側に向かう方向を正方向として定義する。従って、絶縁碍子の先端面の高さ位置がセミ沿面接地電極端面の後端側縁の高さ位置よりも先端側(前方側)にあるとき、段差Eは正の数となり、逆の場合は負の数となる。
【0007】
該本発明のスパークプラグの前提構成によると、セミ沿面接地電極の後端側縁から中心電極に向かう火花が、絶縁碍子の先端部に遮られることによってセミ沿面接地電極の火花発生位置から中心電極に向けて直線上に火花が発生せず、絶縁碍子の周方向に曲げられる。この結果、火花の発生毎に火花の放電経路が替わるため、絶縁碍子の先端面を這っていく火花の範囲が広がり、チャンネリングを低減することができるとともに、広い範囲で「くすぶり」を火花清浄できる。
【0008】
また、絶縁碍子の周方向に曲げられる飛火は放電経路が長くなって火花発生電圧が高くなるので、そのような飛火を回避しようとして、セミ沿面接地電極の後端側縁よりも、絶縁碍子へのアタックが柔らかい前端縁側での飛火が増える傾向となる。このため、これもチャンネリング抑制に寄与する形となる。また、前端縁側での飛火は着火性の向上にも有効であり、失火等の不具合を効果的に抑制することができる。特に、前記した段差E、つまり、中心軸線方向におけるセミ沿面接地電極端面と絶縁碍子側周面とのラップ長さが小さい場合には、セミ沿面接地電極の後端側縁側での火花が、飛火距離が比較的小さくなるためどうしても起こりやすくなる。しかしながら、絶縁碍子の先端面から側周面に至る曲面の曲率半径Rとの間に、前記した(1−▲1▼)の関係が成立するように調整することで、前端縁側での飛火頻度を増やすことができ、チャンネリング抑制あるいは着火性の向上に寄与する。具体的には、段差Eの長さが0.5mm以下の、ラップ長さの小さいスパークプラグにおいて本構成は特に波及効果が大きい。Eの値の下限値は、セミ沿面放電が不能とならない範囲で適宜定められる。
【0009】
また、本構成では絶縁碍子に長さ1.5mm以下の直管状部を形成する。絶縁碍子の先端部を直管状にすることで、内燃機関内での燃焼サイクルの際に先端部に受けた熱が絶縁碍子の主体金具との保持部に向かうことを抑制する作用があるため、絶縁碍子の先端温度を上昇しやすくすることができる。従って、通常の運転時に温度の上がり難い直噴式内燃機関であっても、絶縁碍子の先端部温度を上昇しやすくすることができ、「くすぶり」によって堆積したカーボン等の汚損付着物を焼き切ることが容易になる。また、このような構成であれば、絶縁碍子の先端部の熱ボリュームが小さいことから、吸気管から吸入されてきた比較的低温度のガスによって絶縁碍子の冷却が行われやすい。このため、内燃機関内での燃焼サイクルの際に、プレイグニッションが発生するほどの温度上昇は生じにくくなる。
【0010】
なお、直管状部の後端位置よりもセミ沿面接地電極の端面の後端側縁が後方側にあると、ギャップの寸法設定が困難になるので、直管状部の後端位置に対しセミ沿面接地電極の端面の後端側縁はこれと一致しているか又は前方側となるよう位置関係を設定する。他方、直管状部の長さが必要以上に長くなりすぎると、セミ沿面接地電極にて発生する火花が直管状部に沿って大きく後方側に垂れ下がりやすくなり、着火性が損なわれてしまう不具合につながる場合がある。そこで、本構成では、直管状部の長さを1.5mm以下に限定している。他方、直管状部の長さは最低0.5mm以上確保されていないと、ギャップの寸法設定が困難になるとともに、上記の効果が十分に得られなくなる場合がある。
【0011】
本発明のスパークプラグにおいては、スパークプラグが適用されるスパークプラグのJIS規格(JIS:B8031)若しくは当該JIS規格中に対応表示されるISO規格(ISO1910、ISO2704、ISO2346、ISO/DIS8479、ISO2705、ISO2344、ISO2345、ISO2347、ISO3412)の中で定められたA寸法よりも先端側に突出する絶縁碍子の突出量Fが、3.0mm≦F≦5.0mm(S1−▲1▼)であることを特徴とする。
【0012】
上記構成によると、絶縁碍子の突出量Fを(S1−▲1▼)の範囲とすることで、混合気への着火性が向上するとともに、絶縁碍子の先端温度を上昇させることができる。また火花発生位置と比較して、主体金具の先端面と絶縁碍子との間の位置では、混合気の濃度が非常に薄くなるが、絶縁碍子の突出量Fを(S1−▲1▼)の範囲とすることで、このように混合気が薄くなる主体金具の先端面と絶縁碍子との間において、火花が発生するのに必要な電圧が上昇し、この位置での火花発生を更に抑えることができる。この結果、失火を生じない燃料噴射終了時期の範囲を広くすることができる。
【0013】
また、絶縁碍子の先端部を軸線方向前方側から平面視したときに、セミ沿面接地電極は少なくとも他端の端面において、絶縁碍子の中心貫通孔の先端開口径よりも大きな幅を有するものとすることもできる。上記の構成によると、セミ沿面接地電極は少なくとも先端面において、絶縁碍子の中心貫通孔の先端開口径(ひいては中心電極先端面ないし後述する貴金属チップの先端面の外径)よりも大きな幅を有するものとして構成されているので、絶縁碍子の先端面を這っていく火花の範囲がより広くなり、チャンネリングを低減することができるとともに、広い範囲で「くすぶり」を火花清浄できる。
【0014】
そして、上記前提構成に加えて、本発明のスパークプラグの第一の構成においては、絶縁碍子には縮径された先端部をなす直管状部が形成され、また、該直管状部の軸線方向後方側に隣接して該直管状部よりも径大の膨らみ部が形成され、
直管状部の長さが1.5mm以下であり、
また、セミ沿面接地電極の端面と、この端面と対向する前記絶縁碍子の側周面との間に形成されるセミ沿面碍子ギャップ(γ)が形成され、セミ沿面接地電極は、他端の端面の、絶縁碍子の軸線方向における後方側縁の中点と、該絶縁碍子の軸線とを含む仮想的な平面上において、セミ沿面碍子ギャップの大きさをγ(単位:mm)として、後方側縁の中点を中心とする(γ+0.1)mmの円を描いたときに、膨らみ部の全体が該円の外側に位置することを特徴とする
【0015】
また、本発明のスパークプラグの第二の構成は、
中心貫通孔を有する絶縁碍子と、中心貫通孔に保持され絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、主体金具に一端が接合され他端が中心電極の側周面若しくは絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
絶縁碍子には縮径された先端部をなす直管状部が形成され、また、該直管状部の軸線方向後方側に隣接して該直管状部よりも径大の膨らみ部が形成され、
直管状部の長さが1.5mm以下であり、
また、セミ沿面接地電極の端面と、この端面と対向する絶縁碍子の側周面との間にセミ沿面碍子ギャップ(γ)が形成されており、セミ沿面接地電極は、前記他端の端面の、絶縁碍子の軸線方向における後方側縁の中点と、該絶縁碍子の軸線とを含む仮想的な平面上において、セミ沿面碍子ギャップ(γ)の距離をγ(単位:mm)として、前記後方側縁の中点を中心とする(γ+0.1)mmの円を描いたときに、膨らみ部の全体が該円の外側に位置することを特徴とする。
【0016】
本構成でも長さを1.5mm以下(望ましくは0.5mm以上)の直管状部を設けている。その効果は、第一の構成で説明した通りである。そして、上記直管状部には、構造上、これよりも径大の膨らみ部が軸線方向後方側に隣接して形成される形となる。この膨らみ部の位置がセミ沿面接地電極の後方側縁に近くなりすぎると、該後方縁側からの火花が、膨らみ部における電界集中部(特にアール等が付与された段差縁部など)に向けて後方側に垂れ下がりやすくなり、ひいては着火性が損なわれやすくなる。
【0017】
そこで、セミ沿面接地電極の他端の端面(セミ沿面ギャップに対する放電面となる)の、絶縁碍子の軸線方向における後方側縁の中点と、該絶縁碍子の軸線とを含む仮想的な平面上において、セミ沿面碍子ギャップの大きさをγ(単位:mm)として、後方側縁の中点を中心とする(γ+0.1)mmの円を描いたときに、膨らみ部の全体が該円の外側に位置するようにした。このように、膨らみ部の位置を、セミ沿面接地電極の他端の端面の後方側縁よりも遠ざけることで、セミ沿面接地電極からの火花の垂れ下がりを効果的に抑制でき、着火性を良好に保つことができる。
【0018】
本発明のスパークプラグにおいては、絶縁碍子の中心貫通孔を該絶縁碍子の先端部側にて縮径した構造とすることができる。本発明のスパークプラグはセミ沿面接地電極を備えているために、このようにすれば、内燃機関内での燃焼サイクルの際に先端部に受けた熱が中心電極側に逃げる傾向が適度に抑制され、絶縁碍子の先端温度を上昇しやすくすることができる。従って、通常の運転時に温度の上がり難い直噴式内燃機関であっても、絶縁碍子の先端部温度を上昇しやすくすることができ、「くすぶり」によって堆積したカーボンを焼き切ることが容易になる。また、これに伴って主体金具の先端面と絶縁碍子との間で火花が発生したり、更に保持部近傍で火花が発生したりすることを防止することができるため、直噴式内燃機関においても安定して燃焼する領域を広くとることができる。なお、この構成においては、後記する付加要件3を満たしているとなお望ましい。
【0019】
次に、本発明のスパークプラグにおいては、絶縁碍子の軸線方向において先端部の位置する側を前方側とし、さらに、セミ沿面接地電極の、他端の端面の後方側縁の中点と軸線とを含む仮想的な平面に対し、軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、他端の端面は、投影面上にて軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って軸線と直交する基準線よりも前方側に位置する領域の面積S1が、後方側に位置する領域の面積S2よりも大きくなる形状を有してなるものとして構成することができる。
【0020】
また、本発明のスパークプラグの第三の構成は、中心貫通孔を有する絶縁碍子と、中心貫通孔に保持され絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、主体金具に一端が接合され他端が中心電極の側周面若しくは絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
絶縁碍子の軸線方向において先端部の位置する側を前方側とし、さらに、セミ沿面接地電極の、他端の端面の後方側縁の中点と前記軸線とを含む仮想的な平面に対し、軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、他端の端面は、投影面上にて前記軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って軸線と直交する基準線よりも前方側に位置する領域の面積S1が、後方側に位置する領域の面積S2よりも大きくなる形状を有してなることを特徴とする。
【0021】
セミ沿面接地電極における飛火は、放電面となる他端の端面において、後端側よりも、絶縁碍子へのアタックが柔らかい前端側での飛火が増えたほうが、チャンネリング抑制及び着火性向上の観点において望ましい。そこで、上記のように、他端の端面の形状を、前端縁と後端縁との中間に位置する基準線を境界として、それよりも前方側に位置する領域の面積S1が、後方側に位置する領域の面積S2よりも大きくなるように設定することで、該他端の端面の先端側における飛火頻度を増やすことができ、チャンネリング抑制あるいは着火性の向上に寄与する。
【0022】
本発明のスパークプラグはまた、絶縁碍子の軸線方向において先端部の位置する側を前方側とし、さらに、セミ沿面接地電極の、他端の端面の後方側縁の中点と軸線とを含む仮想的な平面に対し、軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、他端の端面の外周縁には、投影面上にて軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って軸線と直交する基準線よりも後方側に位置する領域において少なくとも、角部が先端曲率半径又は面取り幅を0.2mm以上又はこの角部を形成する2辺部が90度より大きい角度を有するものとして構成できる。
【0023】
また、本発明のスパークプラグの第四の構成は、
中心貫通孔を有する絶縁碍子と、中心貫通孔に保持され絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、主体金具に一端が接合され他端が中心電極の側周面若しくは絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
絶縁碍子の軸線方向において先端部の位置する側を前方側とし、さらに、セミ沿面接地電極の、他端の端面の後方側縁の中点と軸線とを含む仮想的な平面に対し、軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、他端の端面の外周縁には、投影面上にて軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って軸線と直交する基準線よりも後方側に位置する領域において少なくとも、角部が先端曲率半径又は面取り幅が0.2mm以上となっているか又は角部を形成する2辺部が90度より大きい角度を有することを特徴とする。
【0024】
上記構成の主旨は、セミ沿面接地電極の放電面となる他端の端面において、後端側の飛火を抑制することにある。すなわち、先鋭な角部が存在すると火花発生の起点となりやすいが、これを前記した基準線よりも後方側に位置する領域から排除することで、他端の端面における後端側の飛火が抑制される。その結果、先端側における飛火頻度を増やすことができ、チャンネリング抑制あるいは着火性の向上に寄与する。また、後端縁の両端に上記のような先鋭な角部が形成されていると、ここを起点として火花が斜め外方下向きに大きく垂れ下がる形で飛ぶことがあり、着火性が著しく損なわれてしまう場合があるが、上記構成によればこうした位置からも先鋭な角部は当然排除されるから、該不具合も合わせて防止ないし抑制することができる。なお、本構成は、前記した第三の構成と組み合わせると、チャンネリング抑制あるいは着火性の向上において一層効果的である。
【0025】
また、すでに説明した組合せに限らず、本発明のスパークプラグの第一〜第四の構成は、任意の2ないしそれ以上のものを互いに組み合わせて実施することが可能である。
【0026】
以下、以上説明した本発明のスパークプラグに、さらに付加可能な要件について説明する。
(付加要件1)
まず、絶縁碍子には、その先端部に直管状部を設けることができ、この直管状部が主体金具の先端面より後端側にまで延設されている構成とすることができる。このようにすれば、主体金具の先端面と絶縁碍子との径差を更に大きく保ちやすく、この位置での火花の発生を抑制しやすい。なお、直管状部の長さはここでも最大で1.5mmまでとすることが望ましい。直管状部を設けることの作用・効果はすでに説明したものと同様である。
【0027】
(付加要件2)
また、中心電極の母材の先端部に融点1600℃以上の貴金属又は貴金属合金で形成された貴金属チップを接合することができる。貴金属合金としては、Pt、Irの他に、Pt−Ir、Ir−Rh、Ir−Pt、Ir−Y等のPt合金やIr合金等の1600℃以上の融点を持つものが好ましい。
【0028】
(付加要件3)
また、絶縁碍子が主体金具と係止されて保持される保持部よりも先端側における、中心貫通孔の最小径(D3)は、D3≦2.1mmとすることが望ましい。このように絶縁碍子の内径を狭くすることによって、中心電極外径も小さくなる。このため、内燃機関内での燃焼サイクルの際に先端部に受けた熱を中心電極側に若干逃げ難くするため、絶縁碍子の先端温度を上昇しやすくすることができる。従って、通常の運転時に温度の上がり難い直噴式内燃機関であっても、絶縁碍子の先端部温度を上昇しやすくすることができ、「くすぶり」によって堆積したカーボンを焼き切ることが容易になる。また、これに伴って主体金具の先端面と絶縁碍子との間で火花が発生したり、更に保持部近傍で火花が発生したりすることを防止することができるため、直噴式内燃機関においても安定して燃焼する領域を広くとることができる。ただし、チャンネリング防止の観点から、D3≧0.8mmとすることが望ましい。
【0029】
(付加要件4)
また、本発明のスパークプラグは、セミ沿面接地電極の他端の端面と、この端面と対向する前記中心電極の側周面との間にセミ沿面ギャップ(β)が形成されており、絶縁碍子の軸線に平行な仮想平面に対し、該絶縁碍子を正射影にて表したとき、先端面を示す線を外方へ延長した第1の延長線と、絶縁碍子のセミ沿面ギャップ(β)部に臨む軸線を挟んだ両側の側周面を示す2本の線を先端面の方向へ延長した2本の第2の延長線との交点間の距離(以下、単に「絶縁碍子先端径」φD(単位:mm)という)とセミ沿面接地電極の幅との差ψ(単位:mm)が、ψ≦1.8mmである(S2−▲3▼)ものとして構成することができる。
【0030】
絶縁碍子先端径φDとセミ沿面接地電極の幅との差ψを小さくすることによって、セミ沿面接地電極で発生する火花が絶縁碍子の後方側に大きく垂れ下がりやすくなることを防止することができる。この結果、失火を生じない燃料噴射終了時期の範囲を広くすることができ、燃料リーン状態での着火性を向上させることができる。この差が大きくなると、セミ沿面接地電極と中心電極との間で火花が発生する際に、絶縁碍子の先端部外周を大きく回り込むことになる。これは、以下の理由によると考えられる。即ち、セミ沿面接地電極端面の後方角部から斜め後方に向けて火花が発生した場合に、その火花が絶縁碍子の先端部にぶつかった後に中心電極に達する。絶縁碍子の先端部にぶつかった際には、火花は斜め後方に向けて外周面に沿って這うことになり、その後、向きを変えて中心電極先端側周面方向に這うことになる。従って、絶縁碍子先端径とセミ沿面接地電極の幅との差が大きいと、絶縁碍子外周面に沿って斜め後方に火花が這う量が大きくなるため、火花が大きく垂れ下がるものと考えられる。
【0031】
第1の延長線及び2本の第2の延長線の交点間の距離と前記セミ沿面接地電極の幅との差ψが(S2−▲3▼)の関係を満足するためには、第1の延長線と絶縁碍子のセミ沿面ギャップ(β)部に臨む側周面を示す線を先端面の方向へ延長した第2の延長線との交点から、第1の延長線と中心貫通孔の延長線との交点までの最短距離として定義された絶縁碍子先端肉厚ρが、
ρ≦0.9mm(S2−▲4▼)となっていることが望ましい。
この関係を満足すると絶縁碍子先端肉厚を薄くすることができるため、電界強度が集中することによる放電電圧の低減が可能となるとともに、セミ沿面ギャップ(β)における放電電圧を抑えてチャンネリングの低減が可能となる。さらに、絶縁碍子先端の温度が上昇しやすくなるため、くすぶりの生じやすい直噴式内燃機関における自己清浄性を向上させる効果が大きい。また、絶縁碍子を全体に薄くすることができるため、特に径の小さいスパークプラグでは、主体金具と絶縁碍子との間隔を広く保つことができる。なお、絶縁碍子の肉厚が薄くなりすぎると、絶縁碍子の貫通を生じる恐れが大きくなってくるため、絶縁碍子先端肉厚ρをρ≧0.6mmとすることが望ましく、さらに望ましくはρ≧0.7とすると良い。
【0032】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施形態をなすスパークプラグ100の部分断面図である。周知のように、アルミナ等からなる絶縁碍子1は、その後端部に沿面距離を稼ぐためのコルゲーション1Aを、先端部に内燃機関の燃焼室に曝される脚長部1Bを備え、その軸中心には中心貫通孔1Cを備えている。中心貫通孔1Cには、貴金属チップを有する場合にはインコネル(商標名)、貴金属チップを持たない場合には、耐火花消耗性の確保のため、95質量%ニッケル(残部例えばクロム、マンガン、シリコン、アルミ、鉄)、ニッケル含有率が85質量%以上のニッケル系金属等からなる中心電極2が保持され、中心電極2は絶縁碍子1の先端部に保持されており、具体的には先端面から突出するように配置されている。
【0033】
中心電極2は中心貫通孔1Cの内部に設けられたセラミック抵抗3を経由して上方の端子金具4に電気的に接続されている。端子金具4には図示しない高圧ケーブルが接続され高電圧が印加される。上記絶縁碍子1は主体金具5に囲まれ保持部51及びかしめ部5Cによって支持されている。主体金具5は低炭素鋼材で形成され、スパークプラグレンチと嵌合する6角形部5Aと、ねじの呼びが例えばM14Sのねじ部5Bとを備えている。主体金具5はそのかしめ部5Cにより絶縁碍子1にかしめられ、主体金具5と絶縁碍子1が一体にされる。かしめによる密閉を完全なものとするため、主体金具5と絶縁碍子1との間に板状のパッキング部材6とワイヤ状のシール部材7,8が介在され、シール部材7,8の間にはタルク(滑石)9の粉末が充填されている。また、ねじ部5Bの後端、即ち、主体金具5の座面52にはガスケット10が嵌挿されている。
【0034】
主体金具5の先端面5Dには、少なくとも表層部をなす母材がニッケル合金からなる平行接地電極11が溶接により接合されている。平行接地電極11は中心電極2の先端面と軸方向に対向し、中心電極2と平行接地電極11とで主気中ギャップ(α)を形成している。また、6角径部5Aの対辺寸法は16mmであり、主体金具5の座面52から先端面5Dまでの長さは例えば19mmに設定されている。この寸法設定は、JIS:B 8031に規定されている14mm小形六角形の、A寸法が19mmのスパークプラグの基準寸法である。
【0035】
次に、スパークプラグ100においては、平行接地電極11とは別に、複数のセミ沿面接地電極12を備えている。セミ沿面接地電極12は少なくとも表層部をなす母材12b(図2(a)参照)がニッケル合金からなり、その一端が主体金具5の先端面5Dに溶接により接合され、他端の端面12Cが中心電極2の側周面2A若しくは脚長部1Bの側周面1Eに対向するように配設されている。図6に示すように、2個のセミ沿面接地電極12はそれぞれ平行接地電極11から90゜ずれた位置に配設され、セミ沿面接地電極12同士は略180゜ずれた位置に配設されている。また、図6は、絶縁碍子1の先端部を軸線30の方向前方側から平面視した状態を表しているが、セミ沿面接地電極12は他端の端面12Cにおいて、絶縁碍子1の中心貫通孔1Cの先端開口径よりも大きな幅を有するものとなっている。図2に示すように、各セミ沿面接地電極12の端面12Cと中心電極2の側周面2Aとの間にはセミ沿面ギャップ(β)がそれぞれ形成され、各セミ沿面接地電極12の端面12Cと脚長部1Bの側周面1Eとの間でセミ沿面碍子ギャップ(γ)がそれぞれ形成されている。
【0036】
なお、図6においては、セミ沿面接地電極12の端面12Cは平面状に形成されているが、絶縁碍子2の側周面に沿って略一様な間隔のセミ沿面ギャップが形成されるよう、図7に示すように、端面12Cを、例えば打抜加工等により絶縁碍子2の軸線(30:図2)を中心とする円筒面状に形成することもできる。
【0037】
なお、セミ沿面接地電極12も平行接地電極11と同様に、図2に示すように、内部にCuや純Ni又はその複合材料等からなる良熱伝導材12aを有していても良い。この場合、セミ沿面接地電極12は、表層部を形成する母材12bと、内層部を形成するとともに母材12bよりも熱伝導性の良好な材料からなる良熱伝導材12aとを有するものとなる。
【0038】
図2(a)は、スパークプラグ100の中心電極2、平行接地電極11、セミ沿面接地電極12の近傍を拡大して示す部分断面図であり、図2(b)はセミ沿面接地電極12を拡大して示す説明図である。該図では、中心電極2の先端面と平行接地電極11との間の主気中ギャップ(α)の距離をα、絶縁碍子1の先端面1Dの位置における中心電極2の側周面2Aとセミ沿面接地電極12の端面12Cとの間のセミ沿面ギャップ(β)の距離をβとする。また、セミ沿面接地電極12と絶縁碍子1とを中心軸線30に沿って切断した場合の、絶縁碍子1の先端面1Dを示す線を外方へ延長した第1の延長線31と、絶縁碍子1のセミ沿面ギャップ(β)部に臨む側周面1Eを示す線を先端面1Dの方向へ延長した第2の延長線32と、セミ沿面接地電極12の端面12Cを示す線を先端側へ延長した第3の延長線33とを描いている。そして、第1の延長線31および第2の延長線32の交点P1から、第1の延長線31および第3の延長線33の交点P2までの距離をセミ沿面碍子ギャップ(γ)の距離γとすると、このγは、絶縁碍子1とセミ沿面接地電極12との最短距離を表している。そして、これらα、β、γとの間にはα<β及びγ<αの関係がある。
【0039】
このように設定することにより、絶縁碍子1の表面の絶縁が高い正常時には、平行接地電極11との間の主気中ギャップ(α)で放電させることができ、絶縁碍子1の表面の絶縁が低下した「くすぶり」時には、セミ沿面接地電極12との間のセミ沿面ギャップ(β)で放電させることができる。また、絶縁碍子1の先端面1Dとセミ沿面接地電極12の端面12Cの後端側縁12Bとの段差をE、絶縁碍子1の主体金具5の先端面5Dからの突き出し量をF、中心電極2の絶縁碍子1の先端面1Dからの突き出し量をHとする。なお、本実施の形態における絶縁碍子1の主体金具5の先端面5Dからの突き出し量Fは、このスパークプラグが適用されるJIS規格(JIS:B8031)若しくは当該JIS規格中に対応表示されるISO規格の中で定められたA寸法よりも先端側に突出する絶縁碍子の突出量に相当する。
【0040】
また、絶縁碍子1の先端部には、直管状部102B(中心軸線30を中心とする直円筒状の外周面を有する部分)が形成されている。直管状部102Bの軸線30の向きにおける長さは、0.5〜1.5mmである。絶縁碍子1の先端部が直管状になっていることから、内燃機関内での燃焼サイクルの際に先端部に受けた熱を絶縁碍子1の主体金具5との保持部51方向に若干逃げ難くする作用があるため、絶縁碍子1の先端温度を上昇しやすくすることができる。従って、通常の運転時に温度の上がり難い直噴式内燃機関であっても、絶縁碍子1の先端部温度を上昇しやすくすることができ、「くすぶり」によって堆積したカーボンを焼き切ることが容易になる。また、このような構成であれば、絶縁碍子1の先端部の熱ボリュームが小さいことから、吸気管から吸入されてきた比較的低温度のガスによって絶縁碍子の冷却が行われやすい。このため、内燃機関内での燃焼サイクルの際に、プレイグニッションが発生するほどの温度上昇は生じ難い。なお、セミ沿面接地電極12の端面12Cの後方側縁は、直管状部102の後方側縁よりも前方側にある。
【0041】
また、本実施形態では特に説明のない限り、絶縁碍子1の突き出し量Fは3.0mmとし、中心電極2の元径D2を2.0mmとした。なお、セミ沿面接地電極12には、幅が2.2mmで厚さが1.0mmのものを用いており、平行接地電極11には、幅が2.5mmで厚さが1.4mmのものを用いている。
【0042】
ここで、セミ沿面接地電極12の端面12Cの後端側縁12Bおよび先端側縁12Aの一方は、絶縁碍子1の先端面1D近傍の高さ位置にあることが好ましい。すなわち、段差Eは小さい方が好ましい。これは、セミ沿面放電は鋭角で電界の集中するセミ沿面接地電極12の後端側縁12Bおよび先端側縁12Aから火花が飛ぶと考えられるから、後端側縁12Bおよび先端側縁12Aから飛ぶ火花を絶縁碍子1の先端面1Dに近づけ、絶縁碍子1の表面に堆積したカーボンを焼き切る自己清浄作用を強めるためである。
【0043】
そして、図2のスパークプラグ100においては、絶縁碍子1の先端面の高さ位置とセミ沿面接地電極12の端面後端側縁の高さ位置との段差Eと、絶縁碍子の先端面から側周面に至る曲面の曲率半径Rとの差をR−E≦0.1mmとしている。以下、その効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
(実験1)
図2のスパークプラグ100において、平行接地電極11をなくし、セミ沿面接地電極12を2個設け、セミ沿面碍子ギャップ(γ)をいずれもγ=0.6mm、セミ沿面ギャップ(β)をいずれもβ=1.6mmに設定するとともに、絶縁碍子1の先端面1Dの高さ位置とセミ沿面接地電極12の端面12Cの後端側縁12Bの高さ位置との段差Eと、絶縁碍子1の先端面1Dから側周面1Eに至る曲面の曲率半径Rとを種々設定したものを用意した。これらスパークプラグの耐チャンネリング性を評価するために、以下の実験を行なった。すなわち、スパークプラグをチャンバに取り付け、チャンバ内を0.6MPaに加圧するとともに、フルトランジスタ電源により1秒間に60回の火花を発生させる動作を100Hr継続した。そして、動作終了後のスパークプラグのチャンネリング深さを測定するとともに、チャンネリング溝深さが、0.2mm未満のものを軽度(○)、0.2〜0.4mmのものを中度(△)、0.4mmを超えるものを重度(×)として評価判定した。該結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 0004431271
【0045】
この結果から、R−E≦0.1mmに設定することで、チャンネリングを効果的に低減できることがわかる。これは、セミ沿面接地電極12の後端側縁12Bから中心電極2に向かう火花が、絶縁碍子1の先端部に遮られることによってセミ沿面接地電極12の火花発生位置から中心電極2に向けて直線上に火花が発生せず、絶縁碍子1の周方向に曲げられるからであると考えられる。この結果、火花の発生毎に火花の放電経路が替わるため、絶縁碍子1の先端面1Dを這っていく火花の範囲が広がり、チャンネリングを低減することができるとともに、広い範囲で「くすぶり」を火花清浄できる。なお、平行接地電極11を備えたスパークプラグ100は、汚損が進行しない限りセミ沿面接地電極12側での飛火が生じず、仮に発生しても汚損堆積物が焼き切られれば飛火が途切れてしまうので、チャンネリング評価には非常な長時間を有する。従って、セミ沿面接地電極12側のチャンネリング挙動を加速して調べるために、平行接地電極11を取り除いた状態での評価を行なった。また、この評価結果は当然、平行接地電極11を有さないセミ沿面放電型スパークプラグのチャンネリング試験結果を反映したものであるともいえる。
【0046】
また、Eの値を0.1〜0.7mmの範囲にて選択し、さらに各Eの値について、R−Eを0.2mmにした場合のチャンネリング溝深さδ0(mm)と、R−Eを0mmとした場合のチャンネリング溝深さδ1(mm)とを測定し、
λ=δ0−δ1(mm)
にて表されるチャンネリング改善幅λを算出して、R−Eを0.2mmから0mmへと縮小することによりどの程度チャンネリングが改善されるかを見積もった。結果を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0004431271
【0048】
これを見てもわかるとおり、段差Eの長さが0.5mm以下のとき、特にチャンネリング効果が大きいことがわかる。
【0049】
また、図2のスパークプラグ100においては、絶縁碍子1の先端部における中心貫通孔の最小径(D3)を、D3≦2.1mmとしている。その効果を確認するために行なった実験結果について、以下に説明する。
(実験2)
主体金具5の先端面5Dの位置における絶縁碍子1と主体金具5との径差(δ)をδ=2.8mm、主気中ギャップ(α)をα=1.1mmとし、セミ沿面接地電極12を2個設け、セミ沿面碍子ギャップ(γ)をいずれもγ=0.6mm、セミ沿面ギャップ(β)をいずれもβ=1.6mmに設定するとともに、絶縁碍子1が主体金具5の保持部51よりも先端側における中心貫通孔の最小径(D3)を種々設定したスパークプラグを作製した。なお、中心電極2の外径は中心貫通孔の径に応じて種々変更する。これらスパークプラグを、1800cc直列4気筒の直噴式内燃機関を用いた自動車に取り付けてシフトレバーをDレンジに入れ、アイドリング600rpmにて運転を行った。また、スパークプラグの点火時期はBTDC15゜に固定した。そして、D3の各値について、1分間あたりの失火発生頻度が略ゼロとなる噴射終了時期の幅(燃焼安定領域)を測定した。結果を図4に示す。この結果から、絶縁碍子1の中心貫通孔の最小径をφ2.1mm以下にすることによって、アイドリング運転時における安定燃焼領域を広くとることができることがわかる。
【0050】
また、上記スパークプラグについてはプレデリバリ汚損試験を行った。試験条件は以下の通りである。すなわち、排気量3000ccの6気筒直噴式内燃機関を用いた自動車にスパークプラグを取り付ける。そして、該自動車を−10゜Cの低温試験室に置き、JISD1606の低負荷適合性試験で規定されている運転パターンにより、低速で数回寸動させる所定の運転パターンを1サイクルとして10MΩに到達するまでのサイクル数を測定した。以上の結果を表3に示す。
【0051】
【表3】
Figure 0004431271
【0052】
この結果によると、絶縁碍子1の中心貫通孔の最小径をφ2.1mm以下にすることによって、プレデリバリ汚損テストにおいても問題を生じることが非常に少なくなる、10MΩに到達するサイクル数を10サイクル以上にすることができることがわかる。
【0053】
以上2種類の評価結果から、絶縁碍子1が主体金具5と係止されて保持される保持部51(図1)よりも先端側における中心貫通孔の最小径(D3)を、D3≦2.1mmとすることによって、直噴式内燃機関であっても安定燃焼領域を広くとることができ、さらにプレデリバリ汚損試験においても問題を生じにくくなることが示された。絶縁碍子1の内径を狭くすることによって中心電極2の外径も小さくなり、燃焼サイクルの際に碍子先端部に受けた熱が中心電極2側に逃げることが適度に抑制されるため、絶縁碍子1の先端温度を上昇しやすくする。従って、通常の運転時に温度の上がり難い直噴式内燃機関であっても、絶縁碍子1の先端部温度を上昇しやすくすることができ、「くすぶり」によって堆積したカーボンを焼き切ることが容易になる。また、これに伴って主体金具5の先端面5Dと絶縁碍子1との間で火花が発生したり、更に保持部近傍で火花が発生したりすることを防止することができるため、直噴式内燃機関においても安定して燃焼する領域を広くとることができるようになる。
【0054】
次に、図2のスパークプラグ100においては、直管状部102Bの後方に、図8(a)に示すような階段状の膨らみ部102Aが隣接形成されている。膨らみ部は、図8(c)に示すようなテーパ状の膨らみ部105であってもよい。
【0055】
上記の膨らみ部がセミ沿面接地電極12の端面12Cの後方側縁12Bに近づきすぎると、ここからの火花が後方側に垂れ下がる形で発生しやすくなる。例えば、図9(a)に示すように、階段状の膨らみ部102Aのアール付与された移行部102Tには電界が集中しやすく、セミ沿面接地電極12の後方側縁12Bからの火花SP3はこの移行部102Tを目指して放出される結果、後方側に垂れ下がり、絶縁碍子1の側周面後方部を大きく回り込む形で飛火することになる。このような火花が着火性を悪化させることは明らかである。
【0056】
そこで、図8に示すように、セミ沿面接地電極12の端面12Cの、絶縁碍子2の軸線30の方向における後方側縁12Bの中点と、該絶縁碍子2の軸線30とを含む仮想的な平面上において、セミ沿面ギャップの大きさをγ(単位:mm)として、後方側縁12Aの中点を中心とする(γ+0.1)mmの円Ckを描いたときに、膨らみ部102Aの全体が該円Ckの外側に位置するようにすれば、図9(a)のSP3のような火花の垂れ下がりを効果的に防止することができる。なお、図8(b)に示すように、膨らみ部102Aの移行部102Tを円Ckに倣う傾斜面とすれば、図8(a)のように移行部102Tが直管状部102Bの外周面から垂直に立ち上がる形態と比較して、直管状部102B自体の長さを短くすることができ、また、移行部102Tに電界集中しやすい小角度の縁部を生じにくくなるので、火花の垂れ下がり防止に一層効果的である。
【0057】
上記の効果を確認するために、以下の実験を行なった。
(実験3)
図3のスパークプラグにおいて、絶縁碍子1の直管状部102の形態が、図8(c)に示すタイプのもの(タイプA)及び(a)に示すタイプのもの(タイプB)を種々用意した。これらスパークプラグは、いずれも平行接地電極11を有さず、また、セミ沿面接地電極12を2個設け、セミ沿面碍子ギャップ(γ)をいずれもγ=0.6mm、セミ沿面ギャップ(β)をいずれもβ=1.6mmに設定するとともに、絶縁碍子1の先端面1Dの高さ位置とセミ沿面接地電極12の端面12Cの後端側縁12Bの高さ位置との段差Eは0.9mmとした。そして、直管状部(102あるいは102B)の長さを、表4に示す0.9〜1.8mmの種々の値とした。なお、表4には、前記した半径(γ+0.1)mmの円の範囲内に、膨らみ部105あるいは102Aが存在しているものを「*」、存在していないものを「◎」で表している。これらのスパークプラグを用いて、以下の実験を行なった。すなわち、スパークプラグをチャンバに取り付け、チャンバ内を0.6MPaに加圧するとともに、フルトランジスタ電源により1秒間に1回の火花を発生させる動作を1分間継続した。そして、その間の火花発生状況をビデオ撮影し、その画像を解析することにより、セミ沿面接地電極12の端面12Cの後方側縁12Bから発生した火花の、該後方側縁12Bから軸線30の方向における最大垂れ下がり長さLを求め、その長さが2.5mm以内に収まっているものを良好(○)、そうでないものを不良(×)として評価した。以上の結果を表4に示す。
【0058】
【表4】
Figure 0004431271
【0059】
すなわち、直管状部の長さが1.5mm以下であるか、あるいは前記した半径(γ+0.1)mmの円内に膨らみ部が存在していない場合に、火花の垂れ下がりが効果的に抑制されていることがわかる。
【0060】
また、以下は、付加要件4の効果を確認するために行なった実験の詳細である。
(実験4)
図2において、絶縁碍子1の内部における中心電極2の径をφ2.2mm、主気中ギャップ(α)を形成する中心電極2の縮径部先端面における外径をφ0.6mm、主気中ギャップ(α)を1.1mm、主体金具5の先端面5Dの位置における絶縁碍子1と主体金具5との径差(δ)を2.8mmとし、幅2.2mmのセミ沿面接地電極12を2個設け、セミ沿面碍子ギャップ(γ)をいずれもγ=0.6mm、セミ沿面ギャップ(β)をいずれもβ=1.6mmに設定した。そして、絶縁碍子先端径φDを変更することによってセミ沿面接地電極12の幅との差ψを種々設定したスパークプラグを用意した。そして、これらスパークプラグを1800cc直列4気筒の直噴式内燃機関を用いた自動車に取り付けてシフトレバーをDレンジに入れ、100km/hの定地走行条件(高速運転を想定)にてにて運転を行った。また、スパークプラグの点火時期は上死点前(以下「BTDC」という)25゜に固定した。そして、各絶縁碍子1の突出量(F)の場合における、1分間あたりの失火発生頻度が略ゼロとなる噴射終了時期の幅(燃焼安定領域)を測定した。直噴式内燃機関ではこの幅が着火性の良否を定める尺度になる。結果を図14に示す。
【0061】
この結果から、α≦1.1mmであり、0.5mm≦γ≦0.7mmであり、ψ≦1.8mmとすることによって、失火を生じない燃料噴射終了時期の範囲(すなわち、安定燃焼領域の幅)を広くすることができ、燃料リーン状態での着火性を向上させることができることがわかる。このような現象は、以下の理由によるものと考えられる。即ち、絶縁碍子先端径とセミ沿面接地電極12の幅との差が大きくなると、セミ沿面接地電極12と中心電極2との間で火花が発生する際に、絶縁碍子1の先端部外周を大きく回り込むことになる。セミ沿面接地電極12端面の後方角部から斜め後方に向けて火花が発生した場合に、その火花が絶縁碍子1の先端部にぶつかった後に中心電極2に達する。絶縁碍子1の先端部にぶつかった際には、火花は斜め後方に向けて外周面に沿って這うことになり、その後、向きを変えて中心電極1先端側周面方向に這うことになる。従って、絶縁碍子1先端径とセミ沿面接地電極12の幅との差が大きいと、絶縁碍子1外周面に沿って斜め後方に火花が這う量が大きくなるため、火花が大きく垂れ下がるものと考えられる。
【0062】
次に、本発明における他の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では、上記の実施の形態に比して絶縁碍子1、主体金具5と中心電極2の形状以外は変更ないので説明を省略し、異なる部分のみ説明する。まず、本発明は、図1及び図2のように平行接地電極11を備えたものに限らず、図3に示すように、平行接地電極11を省略した通常のセミ沿面放電型スパークプラグ200に適用することが可能である。
【0063】
図5に示すスパークプラグ220では、中心電極2'の電極母材先端が絶縁碍子1の先端面1Dよりも先端側で縮径されてその先端に貴金属チップ21'が全周レーザ溶接により接合されている。なお、絶縁碍子1の先端面1Dを示す線を外方へ延長した第1の延長線31がセミ沿面接地電極12の先端面12Cに位置するような位置関係にセミ沿面接地電極12が設定されている。また、本実施形態では、例えば中心電極母材の径はφ1.8mmであり、その先端にφ0.8mmのIr−5質量%Ptチップが接合されている。更に、本実施例の場合のセミ沿面ギャップ(β)の距離βは、絶縁碍子1の先端面1Dの位置における中心電極2の外径、即ち、中心電極母材が縮径される前の基径とセミ沿面接地電極12との本スパークプラグの軸線方向に対して垂直方向の距離となる。
【0064】
以上説明したスパークプラグ100、200及び220では、セミ沿面接地電極12を2極としたが、セミ沿面接地電極12は単極であっても良いし3極以上の多極としても良い。しかしながら、単極では絶縁碍子1の端面の全周に渡って火花でカーボンを焼き切るのが難しく、火花清浄性が悪くなるので、セミ沿面接地電極12は2極から4極が好ましいと考える。また、セミ沿面接地電極12の位置は、多くの実施形態でセミ沿面接地電極12の先端面12Cの全面が絶縁碍子1の直管状部102に対向する例を説明したが、絶縁碍子1の先端面1Dを示す線を外方へ延長した第1の延長線31がセミ沿面接地電極12の先端面12Cに位置するような位置関係に設定してもよい。さらに、絶縁碍子1の先端内部において中心電極の縮径(いわゆるサーモ)されていないスパークプラグについて説明したが、1段または2段以上に縮径されているスパークプラグであっても良い。
【0065】
次に、セミ沿面接地電極12の端面12Cからの火花の発生形態は、該端面12Cの形状を工夫することによっても改善することが可能である。まず、端面12Cの形態を規定するに際しては、以下のような幾何学的な定義を行なう。すなわち、図2(b)において、軸線30の方向において絶縁碍子1の先端部の位置する側を前方側とし、これと反対側を後方側とする。さらに、セミ沿面接地電極12の、端面12Cの後方側縁12Bの中点M1と軸線30とを含む仮想的な平面VPに対し、軸線30を含んで該平面VPと直交する平面を投影面PPとして定める。そして、該投影面PPへの端面12Cの正射影を12NP(以下、端面正射影12NPと記載する)とする。なお、図6に示すように、端面12Cが投影面PPと平行な場合は、図2(b)に示すように、正射影12NPは端面12Cと幾何学的に合同となる。他方、図7に示すように、端面12Cを平面となす代わりに円弧状面となした場合には、端面12Cの形状は曲面であるものの図2(c)に示すように、その端面正射影12NPの形状は、図2(b)に示す場合と基本的に相違しない。
【0066】
セミ沿面接地電極12を、例えば長方形状の軸断面を有する線状部材を曲げ加工して作ったものである場合、図9(b)に示すように、その端面正射影12NPの形状も長方形状のものとなる。このとき、投影面PP上にて軸線30と後方側縁12Bとの交点をXとし、同じく前方側縁12Aとの交点をYとして、線分XYの中点Qを通って軸線30と直交する基準線RLを引いたとき、該基準線RLよりも前方側に位置する領域(以下、前方側領域FAという)の面積S1は、同じく後方側に位置する領域(以下、後方側領域RAという)の面積S2と略等しくなる。なお、投影面PP上での議論においては、「‥の正射影」とその都度称することは煩雑であるので、これを省略し、単に「後方側縁12B」、「前方側縁12A」等と称する。
【0067】
端面正射影12NPがこのような形状となる端面12Cの場合、前方側領域FAと後方側領域RAとでは、単位時間あたりの火花の発生頻度は略等しくなる。例えば、図9(c)に示すように、領域DWにおいて何らかの理由により局所的に火花消耗が遅れた場合を想定すると、消耗から取り残された領域DWのギャップ間隔は他の領域よりも小さくなるから、以降は領域DWでの火花放電が逆に生じやすくなる。該事実から因果律的に考えれば、セミ沿面接地電極12は、局所的なギャップ間隔異常がなるべく生じないように、放電面となる端面12Cの全体にわたって一様に消耗すること、換言すれば単位面積/単位時間あたりの火花発生頻度が、端面12Cの全面に渡って略均等でなければならない。従って、基準線RLに関して二分される端面正射影12NPの2つの領域、すなわち前方側領域FAと後方側領域RAとの面積S1とS2とが等しいので、各領域FAとRAとで発生する単位時間あたりの火花発生頻度も略等しくなるのである。その結果、前方側領域FAも後方側領域RAも略同じ頻度で火花が発生するのであるから、チャンネリング抑制や着火性改善の効果は期待できない。
【0068】
そこで、図10においては、端面正射影12NPにおける前方側領域FAの面積S1が後方側領域RAの面積S2よりも大となるような、端面12Cの形状が選択されている。このようなセミ沿面接地電極12は、面積が増えた分だけ前方側領域FAでの単位時間あたりの火花SPの発生頻度が高くなり、絶縁碍子1へのアタックが柔らかい前方側領域FAが増加するので、チャンネリング抑制及び着火性改善を効果的に図ることができるようになる。図10では、平行対辺のうち短辺が後方側縁12Bとなる台形状の形状が採用されている。また、火花SPの発生頻度を矢印の長さにより模式的に表している。他方、図11は、後方側縁12Bが弧と一致する弓形ないし半月状の形状とした例であり、S1>S2が成り立っていることは明らかである。
【0069】
次に、セミ沿面接地電極12が、図9(b)に示すような長方形状の端面12Cを有しているとき、その角部、特に後方側縁12Bの両端の角部が図に示すようなピン角になっていると、ここを起点として火花SP3が斜め外方下向きに放出されやすくなる。このような火花SP3は、図9(a)に示すように、絶縁碍子1の軸線方向に沿って大きく垂れ下がる形で飛ぶことがあり、着火性が著しく損なわれてしまう不具合につながる。特に、直管部102Bの基端部に、鋭い階段状の移行部102Tが形成されている場合は、火花SP3は電界集中しやすい稜線部を目指して大きく回りこむ形になるため、垂れ下がりは一層甚だしくなり、着火性が大きく損なわれてしまう不具合につながる。
【0070】
そこで、図12に示すように、少なくとも後方側領域RAにおいて、角部の先端曲率半径又は面取り幅が0.2mm以上若しくはこの角部を形成する2辺部が90度を超える角度をなすように形成されており端面正射影12NPにおいて先鋭な角部が現われないような、端面12Cの形状を選択することで、後方側領域RAからの上記のような垂れ下がりを伴う火花の発生を効果的に抑制することができる。また、火花発生の起点となりやすい先鋭な角部を後方側領域RAから排除することにより、該領域側での火花発生頻度自体も低減される。
【0071】
図12(a)は、直線状の後方側縁12Bの両端に生ずる角部(2辺部のなす角度は略90℃)RC1,RC2を、先端曲率半径が0.2mm以上(例えば上限1.0mm程度まで)のアール状部とした例である。また、図12(b)は、角部RC1,RC2を幅0.2mm以上の面取り部となした例である。この場合、面取り部の両端に1ずつの角部が生じることになるが、これらの角部は、2辺部がいずれも鈍角となり、敏感な火花発生起点部とはなりにくいので、先端曲率半径は0.2mm未満となっていても差し支えない。
【0072】
なお、図12(a)及び(b)においては、後方側縁12Bの両端に生ずる角部RC1,RC2にのみアール状部あるいは面取り部を形成している。その結果、前方側領域FAの面積S1は後方側領域RAの面積S2よりもある程度大きくなり、S1>S2とする効果も多少は生ずることとなる。ただし、図12(c)に示すように、前方側縁12Aの両端に生ずる角部FC1,FC2も含めた4つの角部の全てにアール状部(面取り部でもよい)を形成し、S1とS2とを略等しくすることももちろん可能である。また、図10の構成は、端面正射影12NPが略等脚台形状となっており、後方側縁12Bの両端に生ずる角部RC1,RC2はいずれも鈍角であるから、先鋭な角部を排除する効果も生ずる。また、図11の構成においても、後方側縁12Bが、先鋭な角部が本質的に生じない円弧状に形成されているので、先鋭な角部は同様に排除されているといえる。
【0073】
図13(a)は、図10の台形状の端面12Cにおいて、各角部をそれぞれアール状となした例であり、S1>S2とする効果と先鋭な角部排除の効果が一層理想的に達成される形となる。この場合、(b)に示すように、端面12Cが図7のような円筒面状とされる場合、端面12Cを展開してみれば明らかなように、後方側縁12Bの両端の角部RC1,RC2は二辺間角度がさらに大きくなり、火花発生抑制効果を一層顕著なものとすることができる。
【0074】
なお、図10〜図13に示す、いずれの形状のセミ沿面接地電極12も、所望とする端面正射影形状と略同じ軸断面を有する線状部材の曲げ加工により形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグの第一実施例を示す部分断面図。
【図2】図1のスパークプラグの電極近傍を拡大して示す部分断面図及びセミ沿面接地電極の投影面への投影を説明する図。
【図3】本発明のスパークプラグの第四実施例の電極近傍を拡大して示す部分断面図。
【図4】絶縁碍子の、主体金具と係止されて保持される保持部よりも先端部における中心貫通孔の最小径(D3)と、安定燃焼する噴射終了時期との関係を示すグラフ図。
【図5】本発明のスパークプラグの第五実施例の電極近傍を拡大して示す部分断面図。
【図6】図2のスパークプラグの底面図。
【図7】図6において、セミ沿面接地電極の端面を円筒面状とした例を示す底面図。
【図8】絶縁碍子の直管状部とセミ沿面ギャップとの種々の位置関係を例示して示す模式図。
【図9】セミ沿面接地電極におけける種々の火花発生形態と電極先端面形状との関係を示す説明図。
【図10】セミ沿面接地電極の端面形状の第一の改善例を示す側面図及び正面図。
【図11】セミ沿面接地電極の端面形状の第二の改善例を示す側面図及び正面図。
【図12】セミ沿面接地電極の端面形状の第三、第四及び第五の改善例を示す側面図。
【図13】セミ沿面接地電極の端面形状の第六及び第七の改善例を示す説明図。
【図14】絶縁碍子先端径とセミ沿面接地電極の幅との差ψと安定燃焼する噴射終了時期との関係を示すグラフ図。
【符号の説明】
1 絶縁碍子
1D 絶縁碍子の先端面
1E 絶縁碍子の側周面
2 中心電極
2′ 中心電極
2A 中心電極の側周面
5 主体金具
5D 主体金具の先端面
11 平行接地電極
12 セミ沿面接地電極
12' セミ沿面接地電極
12A 先端側縁
12B 後端側縁
12C セミ沿面接地電極の端面
21’ 貴金属チップ
30 中心軸
31 第1の延長線
32 第2の延長線
33 第3の延長線
102B 直管状部
(α) 主気中ギャップ
α 主気中ギャップの距離
(β) セミ沿面ギャップ
β セミ沿面ギャップの距離
(γ) セミ沿面碍子ギャップ
γ セミ沿面碍子ギャップの距離
φD 絶縁碍子先端径
D2 中心電極元径
D3 絶縁碍子の中心貫通孔の最小径
E セミ沿面接地電極の後端側縁と、絶縁碍子の前端面との段差
H 中心電極の突き出し量
P1 第1および第2の延長線の交点
P2 第1および第3の延長線の交点
W 中心電極の中心点の位置における平行接地電極の幅

Claims (11)

  1. 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中心貫通孔に保持され前記絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、前記絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、前記主体金具に一端が接合され他端が前記中心電極の側周面若しくは前記絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
    前記絶縁碍子には縮径された先端部をなす直管状部が形成され、また、該直管状部の軸線方向後方側に隣接して該直管状部よりも径大の膨らみ部が形成され、
    前記直管状部の長さが1.5mm以下であり、
    前記絶縁碍子の軸線方向において前記先端部の位置する側を前方側としたときに、前記直管状部の後端位置に対し前記セミ沿面接地電極の端面の後端側縁が一致しているか又は前方側にあり、前記絶縁碍子の先端面の高さ位置と前記セミ沿面接地電極の前記端面の後端側縁の高さ位置との前記軸線方向における段差E(単位:mm)と、前記絶縁碍子の前記先端面から側周面に至る曲面の曲率半径R(単位:mm)との差が、R−E≦0.1mmであり、
    また、前記セミ沿面接地電極の端面と、この端面と対向する前記絶縁碍子の側周面との間にセミ沿面碍子ギャップ(γ)が形成されており、前記セミ沿面接地電極は、前記他端の端面の、前記絶縁碍子の軸線方向における後方側縁の中点と、該絶縁碍子の軸線とを含む仮想的な平面上において、前記セミ沿面碍子ギャップ(γ)の距離をγ(単位:mm)として、前記後方側縁の中点を中心とする(γ+0.1)mmの円を描いたときに、前記膨らみ部の全体が該円の外側に位置することを特徴とするスパークプラグ。
  2. 前記段差Eの値が0.5mm以下である請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 前記スパークプラグが適用されるスパークプラグのJIS規格(JIS:B8031)若しくは当該JIS規格中に対応表示されるISO規格の中で定められたA寸法よりも先端側に突出する前記絶縁碍子の突出量F(単位:mm)が、3.0mm≦F≦5.0mmである請求項1又は2に記載のスパークプラグ。
  4. 前記絶縁碍子の先端部を軸線方向前方側から平面視したときに、前記セミ沿面接地電極は少なくとも前記他端の端面において、前記絶縁碍子の前記中心貫通孔の先端開口径よりも大きな幅を有する請求項1ないし3のいずれかに記載のスパークプラグ。
  5. 前記絶縁碍子の前記中心貫通孔が該絶縁碍子の先端部側にて縮径されている請求項1ないし4のいずれかに記載のスパークプラグ。
  6. 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中心貫通孔に保持され前記絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、前記絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、前記主体金具に一端が接合され他端が前記中心電極の側周面若しくは前記絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
    前記絶縁碍子には縮径された先端部をなす直管状部が形成され、また、該直管状部の軸線方向後方側に隣接して該直管状部よりも径大の膨らみ部が形成され、
    前記直管状部の長さが1.5mm以下であり、
    また、前記セミ沿面接地電極の端面と、この端面と対向する前記絶縁碍子の側周面との間にセミ沿面碍子ギャップ(γ)が形成されており、前記セミ沿面接地電極は、前記他端の端面の、前記絶縁碍子の軸線方向における後方側縁の中点と、該絶縁碍子の軸線とを含む仮想的な平面上において、前記セミ沿面碍子ギャップ(γ)の距離をγ(単位:mm)として、前記後方側縁の中点を中心とする(γ+0.1)mmの円を描いたときに、前記膨らみ部の全体が該円の外側に位置することを特徴とするスパークプラグ。
  7. 前記絶縁碍子の軸線方向において前記先端部の位置する側を前方側とし、さらに、前記セミ沿面接地電極の、前記他端の端面の後方側縁の中点と前記軸線とを含む仮想的な平面に対し、前記軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、前記他端の端面は、前記投影面上にて前記軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って前記軸線と直交する基準線よりも前方側に位置する領域の面積S1が、後方側に位置する領域の面積S2よりも大きくなる形状を有してなる請求項1ないしのいずれかに記載のスパークプラグ。
  8. 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中心貫通孔に保持され前記絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、前記絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、前記主体金具に一端が接合され他端が前記中心電極の側周面若しくは前記絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
    前記絶縁碍子の軸線方向において前記先端部の位置する側を前方側とし、さらに、前記セミ沿面接地電極の、前記他端の端面の後方側縁の中点と前記軸線とを含む仮想的な平面に対し、前記軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、前記他端の端面は、前記投影面上にて前記軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って前記軸線と直交する基準線よりも前方側に位置する領域の面積S1が、後方側に位置する領域の面積S2よりも大きくなる形状を有してなることを特徴とするスパークプラグ。
  9. 前記絶縁碍子の軸線方向において前記先端部の位置する側を前方側とし、さらに、前記セミ沿面接地電極の、前記他端の端面の後方側縁の中点と前記軸線とを含む仮想的な平面に対し、前記軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、前記他端の端面の外周縁には、前記投影面上にて前記軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って前記軸線と直交する基準線よりも後方側に位置する領域において少なくとも、角部が先端曲率半径又は面取り幅が0.2mm以上となっているか又は角部を形成する2辺部が90度より大きい角度を有する請求項1ないしのいずれかに記載のスパークプラグ。
  10. 中心貫通孔を有する絶縁碍子と、前記中心貫通孔に保持され前記絶縁碍子の先端部に配設された中心電極と、前記絶縁碍子の先端部を自身の先端面から突出するように保持する主体金具と、前記主体金具に一端が接合され他端が前記中心電極の側周面若しくは前記絶縁碍子の側周面に対向するように配設されたセミ沿面接地電極を備え、
    前記絶縁碍子の軸線方向において前記先端部の位置する側を前方側とし、さらに、前記セミ沿面接地電極の、前記他端の端面の後方側縁の中点と前記軸線とを含む仮想的な平面に対し、前記軸線を含んで該平面と直交する平面を投影面として定め、該投影面への正射影にて表したときに、前記他端の端面の外周縁には、前記投影面上にて前記軸線と後方側縁との交点をXとし、同じく前方側縁との交点をYとして、線分XYの中点を通って前記軸線と直交する基準線よりも後方側に位置する領域において少なくとも、角部が先端曲率半径又は面取り幅が0.2mm以上となっているか又は角部を形成する2辺部が90度より大きい角度を有することを特徴とするスパークプラグ。
  11. 前記セミ沿面接地電極の他端の端面と、この端面と対向する前記中心電極の側周面との間にセミ沿面ギャップ(β)が形成されており、前記絶縁碍子の軸線に平行な仮想平面に対し、該絶縁碍子を正射影にて表したとき、先端面を示す線を外方へ延長した第1の延長線と、前記絶縁碍子の前記セミ沿面ギャップ(β)部に臨む前記軸線を挟んだ両側の側周面を示す2本の線を前記先端面の方向へ延長した2本の第2の延長線との交点間の距離(以下、単に「絶縁碍子先端径」φD(単位:mm)という)と前記セミ沿面接地電極の幅との差ψ(単位:mm)が、ψ≦1.8mmである請求項1ないし10いずれかに記載のスパークプラグ。
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