JP2012150992A - スパークプラグの取付構造およびスパークプラグ - Google Patents

スパークプラグの取付構造およびスパークプラグ Download PDF

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Abstract

【課題】中心電極と接地電極との位置関係を規定することにより、スパークプラグの着火性を向上させる技術を提供する。
【解決手段】スパークプラグ10は、形成位置が互いにオフセットされ、それぞれが電極チップ3c,4cを有する中心電極3と、接地電極4とを備える。燃焼室101は、燃焼工程の際にタンブル旋回流が生じるように構成されており、スパークプラグ10は、燃焼室101において、火花ギャップsgにおける混合気の流れ方向Fを規定できる位置に取り付けられる。また、スパークプラグ10は、その混合気の流れ方向Fと、中心電極3と接地電極チップ4cとのオフセット方向との間の角度θが、−90°≦θ≦90°となり、その混合気の流れ方向Fに対する接地電極4の基体部4bの配置方向を表す角度αが、45°≦α≦315°となるように取り付けられる。
【選択図】図6

Description

この発明は、スパークプラグに関する。
スパークプラグは、通常、内燃機関の燃焼室に取り付けられ、燃焼室に供給された混合気の点火に用いられる(特許文献1等)。スパークプラグは、火花ギャップを形成するように、互いに対向して配置された接地電極と中心電極とを備え、これらの2つの電極の間に印加された高電圧によって、火花ギャップに火花放電を発生させる。燃焼室では、スパークプラグの火花放電をきっかけとして、火花ギャップの近傍の領域において、火炎核と呼ばれる火種が生じ、その火炎核が成長することにより、混合気が燃焼する。
従って、スパークプラグの着火性を向上させるためには、火花放電により生じる火炎核の成長が阻害されないことが好ましい。しかし、中心電極と接地電極との位置関係によっては、中心電極と接地電極とが、火炎核の成長方向を制限してしまう場合がある。また、中心電極と接地電極とが火炎核の熱を奪う消炎作用により、火炎核の成長が抑制されてしまう場合がある。これまで、スパークプラグの着火性を向上させるために、中心電極と接地電極の位置関係を規定することについて、十分な工夫がなされてこなかったのが実情であった。
特開2002−184551号公報 特開2005−56786号公報 特開2005−299679号公報 特許第4125060号公報
本発明は、中心電極と接地電極との位置関係を規定することにより、スパークプラグの着火性を向上させる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
少なくとも1つの吸気口と少なくとも1つの排気口とがそれぞれ、燃焼室の中心軸を通る1つの仮想平面Aに対して対称に設けられた燃焼室において、前記少なくとも1つの吸気口と前記少なくとも1つの排気口との間に取り付けられるスパークプラグであって、
軸状の中心電極と、
前記中心電極の先端を突出させつつ、前記中心電極の外周を保持する絶縁碍子と、
前記絶縁碍子の外周を保持する主体金具と、
前記主体金具の端部に接合された基体部と、前記基体部から前記中心電極側へと延び、前記中心電極の先端との間に間隙を形成する先端部と、を有する接地電極と、
前記先端部において、前記中心電極の軸方向に沿って見たときに、前記中心電極の中心軸とはオフセットされた位置に自身の中心軸を有し、前記中心電極側に突起する接地電極チップと、
を有するスパークプラグの取付構造において、
前記スパークプラグは、前記燃焼室に取り付けられたときに、前記中心電極の中心軸が前記仮想平面A上に配置されるとともに、前記中心電極と前記接地電極とが前記燃焼室内の所定の位置に配置され、
前記所定の位置は、前記燃焼室に固定された前記スパークプラグと、前記仮想平面Aとを、前記中心電極の軸方向に垂直な仮想平面Bに投影したときに、
(i)前記仮想平面Aが投影された第1の仮想投影直線と、前記中心電極の中心軸と前記接地電極チップの中心とを結ぶ仮想直線が投影された第2の仮想投影直線との間の角度θが、−90°≦θ≦90°となり、
(ii)前記第1の仮想投影直線と、前記接地電極チップの中心軸と前記基体部の幅方向の中心とを通る仮想平面Cが投影された第3の仮想投影直線との間の角度αが、45°≦α≦315°となる位置であることを特徴とする、スパークプラグの取付構造。
このスパークプラグの取付構造によれば、燃焼室における中心電極と接地電極に設けられた接地電極チップとの位置関係と、燃焼室における接地電極の基体部の配置位置とが、燃焼室における混合気の流れ方向に対して適切に設定され、火炎核の成長を促進できるため、スパークプラグの着火性が向上する。
[適用例2]
適用例1記載のスパークプラグの取付構造であって、
前記接地電極チップは、前記中心電極の軸方向と平行な方向に突起しており、
前記接地電極チップは、前記中心電極の中心軸と、前記接地電極チップと前記中心電極の外表面同士を最短距離で結ぶ仮想直線との間の角度βが、0°≦β≦60°となる位置に設けられている、スパークプラグの取付構造。
このスパークプラグの取付構造によれば、火炎核の成長が阻害されないように、スパークプラグにおける中心電極と、接地電極の接地電極チップとの位置関係が適切に設定される。従って、スパークプラグの着火性をより向上させることができる。
[適用例3]
適用例1または2に記載のスパークプラグの取付構造であって、
前記所定の位置は、前記角度αが、45°≦α≦135°、または、225°≦α≦315°となる位置である、スパークプラグの取付構造。
このスパークプラグの取付構造によれば、燃焼室における接地電極の基体部の配置位置が、混合気の流れを阻害しないように、より適切に設定される。
[適用例4]
適用例1〜3のいずれか一つに記載のスパークプラグの取付構造であって、
前記所定の位置は、
(a)前記角度θが、22.5°≦θ≦67.5°となり、前記角度αが、45°≦α≦135°、または、225°≦α≦315°となる位置、あるいは、
(b)前記角度θが、−67.5°≦θ≦−22.5°となり、前記角度αが、45°≦α≦135°、または、225°≦α≦315°となる位置である、スパークプラグの取付構造。
このスパークプラグの取付構造によれば、燃焼室における中心電極と接地電極の接地電極チップとの位置関係が、火炎核の成長が促進されるように適切に設定される。また、燃焼室における接地電極の基体部の配置位置が、火炎核の成長領域への混合気の流れを阻害しないように、より適切に設定される。
[適用例5]
スパークプラグであって、
軸状の中心電極と、
前記中心電極の先端を突出させつつ、前記中心電極の外周を保持する絶縁碍子と、
前記絶縁碍子の外周を保持する主体金具と、
前記主体金具の端部に接合された基体部と、前記基体部から前記中心電極側に延び、前記中心電極の先端との間に間隙が形成される先端部と、を有する接地電極と、
前記先端部において、前記中心電極の軸方向に沿って見たときに、前記中心電極の中心軸とはオフセットされた位置に、前記中心電極の中心軸と平行な自身の中心軸を有し、前記中心電極側に突起する接地電極チップと、
を備えるスパークプラグにおいて、
(i)前記中心電極の中心軸と、前記接地電極チップと前記中心電極の外表面同士を最短距離で結ぶ仮想直線との間の角度βが、0°≦β≦60°であり、
(ii)前記火花ギャップにおいて、前記接地電極チップと前記中心電極の外表面同士を最短距離で結ぶ仮想線分の中点を中心とする直径2mmの仮想球体に含まれる前記中心電極の表面積と、前記接地電極チップの表面積と、前記接地電極の表面積との合計TSが、1.5mm2≦TS≦2.3mm2であることを特徴とする、スパークプラグ。
このスパークプラグによれば、火炎核の成長に対する中心電極および接地電極による消炎作用の影響を小さくすることができ、スパークプラグの着火性が向上する。
[適用例6]
適用例5に記載のスパークプラグであって、
前記中心電極は、前記間隙側に、自身の中心軸と垂直に交わる端面を有することを特徴とする、スパークプラグ。
このスパークプラグによれば、火炎核の成長方向を適切に規定して、スパークプラグの着火性を向上させることができるとともに、中心電極の火花放電に対する耐久性を向上させることができる。
[適用例7]
適用例6に記載のスパークプラグであって、
前記接地電極チップは、前記間隙側に、自身の中心軸と垂直に交わる端面を有することを特徴とする、スパークプラグ。
このスパークプラグによれば、火花放電のバラツキを抑えることができ、スパークプラグの着火性をより向上させることができる。また、接地電極に設けられた接地電極チップの火花放電に対する耐久性を向上させることができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、スパークプラグの取付構造、その取付構造を構成するためのスパークプラグ、その取付構造によりスパークプラグが取り付けられた点火装置や内燃機関、その点火装置や内燃機関を搭載した車両等の形態で実現することができる。また、本発明は、スパークプラグや、そのスパークプラグを備えた点火装置、その点火装置を備えた内燃機関、その内燃機関を搭載した車両等の形態で実現することができる。
内燃機関の構成を示す概略図。 スパークプラグの構成を示す概略図。 中心電極の先端部および接地電極の先端部の詳細な構成を説明するための模式図。 内燃機関における混合気の燃焼工程を工程順に示す模式図。 燃焼工程の際の燃焼室におけるガスの流れを説明するための模式図。 内燃機関におけるスパークプラグの取り付け回転角度を説明するための模式図と、2つの電極チップの位置関係の相違による放電経路の変化を説明するための模式図。 接地電極の基体部の燃焼室における好適な配置位置を説明するための模式図。 中心電極チップに対する接地電極チップの形成位置を説明するための模式図。 2つの電極チップの形成位置の相違に応じた火炎核の成長の相違を説明するための模式図。 燃焼室におけるスパークプラグの取り付け回転角度に対する混合気の着火性についての試験結果を示す説明図。 燃焼室におけるスパークプラグの取り付け回転角度に対する混合気の着火性についての試験結果を示す説明図。 角度θの変化に対する火花ギャップにおける混合気の流速の変化を説明するための説明図。 スパークプラグをシリンダヘッドに取り付けたときに生じる取り付け回転角度の誤差をまとめた表を示す説明図。 角度βの設定を変えたときの限界空燃比の試験結果の変化を示す説明図。 スパークプラグの各サンプルの構成を示す概略図。 実験において計測された各サンプルごとの電極温度とギャップ増加量の計測値を示す説明図。 第1実施形態の他の構成例としての燃焼室の構成例を示す概略図。 第1実施形態の他の構成例としての燃焼室の構成例を示す概略図。 第1実施形態の他の構成例として、スパークプラグの取り付け位置の他の構成例を示す概略図。 第2実形態におけるスパークプラグの構成を説明するための概略図。 スパークプラグのサンプルの類型を示す模式図。 スパークプラグの着火性およびその電極チップの耐久性についての実験結果をまとめた表を示す説明図。 領域内電極表面積と着火性との関係を示す説明図。 角度βの変更に伴うスパークプラグの着火性の変化を説明するための説明図。 第2実施形態の参考例として、2つの電極チップのオフセット量を変えたときの領域内電極表面積の変化を示す説明図。 第2実施形態の他の構成例としての中心電極チップの構成例を示す概略図。 第2実施形態の他の構成例としての接地電極チップの構成例を示す概略図。 第2実施形態の他の構成例として2つの電極チップの端面の構成例を示す概略図。
次に、本発明の実施の形態を以下の順序で説明する。
A-1.第1実施形態:
A-2.第1実施形態の実施例:
A-3.第1実施形態の他の構成例:
B-1.第2実施形態:
B-2.第2実施形態の実施例:
B-3.第2実施形態の他の構成例:
C.変形例:
A-1.第1実施形態:
図1は本発明の一実施形態としてのスパークプラグが取り付けられた内燃機関の構成を示す概略図である。なお、図1には、互いに直交する三次元矢印x,y,zが図示されている。内燃機関100は、動力源として車両などに搭載され、燃料と空気との混合気の供給を受けて、その混合気の燃焼を利用して回転駆動力を発生する。内燃機関100は、シリンダブロック110と、シリンダヘッド120と、クランクケース130とを備える。
シリンダブロック110は、略円筒状のケーシングであり、内部にピストン111を往復摺動可能に収容する。シリンダヘッド120は、シリンダブロック110の上方開口部を閉塞するキャップ部材である。内燃機関100では、シリンダヘッド120の内壁面と、シリンダブロック110の内壁面と、ピストン111の上面とで、混合気を燃焼させる燃焼室101が形成される。
シリンダヘッド120には、混合気を燃焼室101に導入するための吸気配管121と、排気ガスを燃焼室101から排出するための排気配管122とが接続される。吸気配管121および排気配管122にはそれぞれ、吸気弁123と、排気弁124とが設けられている。シリンダヘッド120には、さらに、吸気配管121と排気配管122の間に、燃焼室101において混合気を点火するためのスパークプラグ10が取り付けられている。スパークプラグ10の構成や、スパークプラグ10の燃焼室101への取り付けについての詳細は後述する。
クランクケース130は、クランクシャフト131を収容するケーシングである。クランクケース130は、シリンダブロック110の下方に配置され、その内部空間がシリンダブロック110の内部空間と連続している。クランクシャフト131は、クランクケース130において回転可能に取り付けられており、コンロッド112を介してピストン111と連結されている。なお、クランクシャフト131は、外部負荷(図示せず)に接続されており、自身の回転を外部負荷に伝達する。
図2は、スパークプラグ10の構成を示す概略図である。なお、図2には、スパークプラグ10の仮想中心軸10ax(以後、単に「中心軸10ax」と呼ぶ)を一点鎖線で図示してあり、その一点鎖線を境界として、スパークプラグ10の概略外観図(紙面右側)と概略断面図(紙面左側)とを区分して図示してある。このスパークプラグ10は、筒状の主体金具1と、先端部が突出するようにその主体金具1内に嵌め込まれた筒状の絶縁碍子2と、先端部を突出させた状態で絶縁碍子2の筒内中央に挿通され保持されている軸状の中心電極3とを備えている。
主体金具1には、接地電極4が接合されている。接地電極4は、主体金具1に接合され、先端側(紙面下側)に向かって垂下する基体部4bと、基体部4bから中心電極3側に向かってほぼ垂直に折れ曲がった先端部4tとを有する。先端部4tの端部と、中心電極3の先端との間には、間隙sg(「火花ギャップsg」とも呼ぶ)が形成されている。
図3は、中心電極3の先端部および接地電極4の先端部の詳細な構成を説明するための模式図である。中心電極3の先端部は、先端側に向かって径が縮小される先細りの略テーパー形状を有している。そして、その先端部の頂部には、略円柱形状を有する電極チップ3cが接合されている。この電極チップ3c(以後、「中心電極チップ3c」とも呼ぶ)は、耐火花消耗性の高い貴金属によって構成される。
ここで、図3には、中心電極3の仮想中心軸3ax(以後、単に「中心軸3ax」と呼ぶ)が一点鎖線で図示されている。中心電極チップ3cは、その仮想中心軸が、中心電極3の中心軸3axとほぼ一致するように配置されている。即ち、中心電極3の中心軸3axは、中心電極チップ3cの中心軸3axでもある。なお、中心電極3および中心電極チップ3cの中心軸3axは、スパークプラグ10の中心軸10axともほぼ一致する。
接地電極4の先端部4tの中心電極3側の面には、略円柱形状を有する電極チップ4cが接合されている。電極チップ4c(以後、「接地電極チップ4c」とも呼ぶ)は、中心電極チップ3cと同様に、対火花消耗性の高い貴金属によって構成されている。なお、図3には、接地電極チップ4cの仮想中心軸4ax(以後、単に「中心軸4ax」と呼ぶ)が二点鎖線で図示されている。接地電極チップ4cは、その中心軸4axが、中心電極3の中心軸3axからオフセットされた平行軸となるように接地電極4の先端部4tに配置される。
このように、2つの電極チップ3c,4cの中心軸3ax,4axが互いにオフセットされていることによって、2つの電極チップ3c,4c同士の間における放電経路を減少させることができる。従って、スパークプラグ10において、放電経路のばらつきの少ない、より安定的な火花放電を発生させることが可能となる。ただし、2つの電極チップ3c,4cの形成位置をオフセットした場合であっても、2つの電極チップ3c,4c同士の離隔距離は、火花放電を発生させるための印加電圧が極度に増大してしまわない程度に、適切に設定されることが好ましい。
スパークプラグ10の絶縁碍子2(図2)は、例えばアルミナあるいは窒化アルミニウム等のセラミック焼結体により構成され、その内部には絶縁碍子2の軸方向に沿って中心電極3や端子金具13を嵌め込むための貫通孔6が形成されている。中心電極3は、貫通孔6の先端側(紙面下側)に挿入・固定され、端子金具13は、貫通孔6の後端側(紙面上側)に挿入・固定される。
また、貫通孔6内において、端子金具13と中心電極3との間には、抵抗体15が配置される。この抵抗体15の両端部は、導電性ガラスシール層16,17を介して中心電極3と端子金具13とにそれぞれ電気的に接続される。
主体金具1は、炭素鋼等の金属により中空円筒状に形成されており、スパークプラグ10のハウジングを構成する。主体金具1の先端側(紙面下側)の外周面には、スパークプラグ10を内燃機関100の燃焼室101(図1)に取り付けるためのねじ部7が形成されている。ねじ部7には、シリンダヘッド120に設けられたスパークプラグ10を取り付けるためのねじ孔125(図1)に螺合するねじ溝が切られている。
なお、スパークプラグ10(図2)のねじ部7およびシリンダヘッド120のねじ孔125に切られたねじ溝は、以下のように構成されていることが好ましい。即ち、それらのねじ溝は、スパークプラグ10をシリンダヘッド120に、所定の締め付けトルクで取り付けたときに、その取り付け回転角度に相当する角度θ(後述)が、後述する好適な範囲内に含まれるように構成されていることが好ましい。
ねじ部7の後端側(紙面上側)には、六角部1eが設けられている。六角部1eは、主体金具1を燃焼室に取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合させる工具係合部であり、六角状の横断面形状を有している。
主体金具1の後端側の開口部の内壁面と、絶縁碍子2の外壁面との間には、タルク等の粉体が充填された充填層61が形成されている。充填層61は、絶縁碍子2のフランジ状の突出部2eと、主体金具1の開口部端部が内側に加締められた加締め部1dとの間に形成されている。充填層61の突出部2e側と加締め部1d側のそれぞれの端部には、リング状の線パッキン62,60が配置されている。
主体金具1の六角部1eとねじ部7との間には、フランジ状のガスシール部1fが設けられ、ガスシール部1fのねじ部7側には、ガスケット30がはめ込まれている。このガスケット30は、炭素鋼等の金属板素材を曲げ加工したリング状の部品であり、ねじ部7をシリンダヘッド120(図1)側のねじ孔125にねじ込むことにより、ガスシール部1fとねじ孔の開口周縁部との間で、軸線方向に圧縮されてつぶれるように変形し、ねじ孔125とねじ部7との間の隙間をシールする。
ガスシール部1fと六角部1eとの間には、溝部1hが形成されている。溝部1hは、厚みが主体金具1の中で最も薄く形成された薄肉部として構成されており、外側にわずかに湾曲している。
図4(A)〜(D)は、内燃機関100における混合気の燃焼工程を工程順に示す模式図である。第1工程(図4(A))では、燃焼室101に混合気が供給される。具体的には、排気弁124を閉じたまま吸気弁123を開き、ピストン111を下方(クランクケース130側)へと移動させることにより、吸気配管121を介して、燃焼室101に混合気を吸入させる。
第2工程(図4(B))では、吸気弁123および排気弁124が閉じられた状態で、ピストン111がクランクシャフト131の回転に伴って上方へと移動することにより、燃焼室101の混合気が圧縮される。第3工程(図4(C))では、スパークプラグ10による着火により、混合気が爆発燃焼し、ピストン111が下方へと移動する。
第4工程(図4(D))では、クランクシャフト131の回転に伴って、ピストン111が上方への移動を開始するとともに、吸気弁123が開かれることにより、燃焼室101の排ガスが排気配管122へと押し出される。内燃機関100では、上記の第1〜第4工程が繰り返され、クランクシャフト131の回転が外部負荷へと伝達される。
図5(A),(B)は、図4で説明した燃焼工程の際の燃焼室101におけるガスの流れを説明するための模式図である。図5(A),(B)にはそれぞれ、異なる方向から見たときの燃焼室101が図示されている。なお、図5(A),(B)にはそれぞれ、図1と対応するように三次元矢印x,y,zを図示してある。
図5(A)は、内燃機関100を上方から見たとき(矢印zとは反対の方向に沿って見たとき)の燃焼室101を示している。図5(A)には、シリンダヘッド120において吸気配管121および排気配管122が接続される吸気口102および排気口103を投影して図示してある。また、図5(A)には、スパークプラグ10の取り付け位置を破線で図示してある。
ここで、図5(A)には、さらに、燃焼室101の仮想中心軸101ax(以後、単に「中心軸101ax」と呼ぶ)と、第1の仮想投影直線L1とを図示してある。第1の仮想投影直線L1は、燃焼室101の中心軸101axを通る仮想平面Aが紙面に投影された仮想直線である。本実施形態の内燃機関100では、吸気口102および排気口103のそれぞれが、この仮想平面Aに対して対称性を有するように設けられている。また、スパークプラグ10は、その中心軸10axが燃焼室101の中心軸101axとほぼ一致するように取り付けられている。即ち、本実施形態の内燃機関100では、スパークプラグ10の中心軸10axは、仮想平面Aの面上に存在している。また、図3で説明したとおり、スパークプラグ10の中心軸10axと、中心電極3の中心軸3axとはほぼ一致する。即ち、図5(A)の紙面は、中心電極3の中心軸3axに垂直な平面であり、特許請求の範囲における「仮想平面B」に相当する。
図5(B)は、内燃機関100を矢印yとは反対の方向に沿って見たときの燃焼室101を示す模式図である。ここで、燃焼室101において、吸気口102および排気口103が仮想平面Aに対して対称に構成されているとき、燃焼工程(図4)の際の燃焼室101におけるガスの流れは、「タンブル旋回流」とも呼ばれる、図中の矢印Sで示す方向への旋回流となる。そして、スパークプラグ10の中心軸10axが仮想平面Aの面上にあるとき、燃焼工程の際の火花ギャップsgの近傍領域におけるガスの流れ方向は、吸気口102から排気口103へと向かう方向(図中の白抜き矢印Fの方向)に規定される。
図6(A)は、内燃機関100におけるスパークプラグ10の取り付け回転角度を説明するための模式図である。図6(A)には、図5と対応するように、三次元矢印x,y,zを図示してある。図6(A)には、矢印zとは反対の方向に沿って見たときの、内燃機関100に取り付けられたスパークプラグ10における中心電極3の外周と、2つの電極チップ3c,4cとを模式的に図示してある。なお、図6(A)では、便宜上、中心電極3の外周は破線で図示してあり、2つの電極チップ3c,4cは実線で図示してある。
さらに、図6(A)には、図5(A)で説明した仮想平面Aが紙面に投影された第1の仮想投影直線L1と、2つの電極チップ3c,4cの中心軸3ax,4axがそれぞれ紙面に投影された点Q1,Q2と、点Q1,Q2を通る第2の仮想投影直線L2とを図示してある。即ち、図6(A)の紙面は、図5(A)の紙面と同様に、特許請求の範囲における「仮想平面B」に相当する。なお、図6(A)では、第1の仮想投影直線L1は一点鎖線で図示してあり、第2の仮想投影直線L2は実線で図示してある。また、図6(A)には、図5(B)で説明した、火花ギャップsgの近傍領域におけるガスの流れ方向を示す白抜き矢印Fを図示してある。
前記したとおり、中心電極3の中心軸3axは、スパークプラグ10の中心軸10axと一致しており、仮想平面Aの面上に存在している。また、中心電極3の中心軸3axと接地電極チップ4cの中心軸4axは、互いにオフセットされた位置に存在している(点Q1,Q2)。第2の仮想投影直線L2は、中心電極3の中心軸3axと、接地電極チップ4cの端面の中心とを結ぶ仮想直線を、図6(A)の紙面に投影した直線であり、点Q1,Q2を通る。
ここで、第1の仮想投影直線L1と、第2の仮想投影直線L2との間の角度をθとする。即ち、この角度θは、火花ギャップsgにおけるガスの流れ方向と、2つの電極チップ3c,4cのオフセット方向との間の角度を表している。スパークプラグ10は、図6(A)の紙面に向かって左回りの方向を+としたときに、角度θが、−90°以上、かつ、+90°以下の範囲内(実線矢印で図示した範囲内)となるように取り付けられることが好ましい。この理由は以下のためである。
図6(B),(C)は、2つの電極チップ3c,4cの位置関係の相違による放電経路の変化を説明するための模式図である。図6(B),(C)にはそれぞれ、スパークプラグ10が異なる角度θで燃焼室101に取り付けられたときの2つの電極チップ3c,4cを図示してあり、図6(A)と同様なガスの流れ方向を示す矢印Fを図示してある。また、図6(B),(C)にはそれぞれ、火炎核の成長の軌跡を段階的に示す径の異なる複数の円が図示されている。
図6(B)は、角度θが上記の範囲内(−90°≦θ≦+90°)となるように、スパークプラグ10が取り付けられたときの、2つの電極チップ3c,4cの間における火花放電の様子を示している。ここで、角度θが、−90°≦θ≦+90°の範囲内となるように、スパークプラグ10が燃焼室101に取り付けられたときには、接地電極チップ4cの方が、中心電極チップ3cより、ガスの流れ方向における上流側に位置することになる。
すると、火花(スパーク)の経路SP(破線で図示)は、ガスの流れによって、下流側に位置する中心電極チップ3c側に湾曲され、その経路長が増大する。そのため、火花放電によって、より大きな火炎核を生じさせることができる。また、火炎核は、ガスの流れに沿って成長するが、接地電極チップ4cが中心電極チップ3cの上流側に位置しているため、中心電極チップ3cの下流側の領域が開放されており、燃焼室101の中央方向への火炎核の成長が促進される。従って、スパークプラグ10による着火性が向上する。
図6(C)は、角度θが上記の範囲外(θ<−90°,θ>+90°)となるように、スパークプラグ10が取り付けられたときの、2つの電極チップ3c,4cの間における火花放電の様子を示している。この場合においても、火花の経路SPはガスの流れによって湾曲するが、火花放電によって生じる火炎核の成長方向に、接地電極チップ4cが位置するようになる。従って、接地電極チップ4cによって、火炎核の成長が阻害されてしまう。また、燃焼室101の上方向に向かって火炎核が成長するため、燃焼室101の上壁面や、スパークプラグ10の絶縁碍子2に熱を奪われてしまい、スパークプラグ10による着火性は低下してしまう。
ところで、スパークプラグ10では、接地電極4の基体部4bが火花ギャップsgの周縁に存在している。そのため、基体部4bの配置位置によっては、火花ギャップsgへの混合気の流入が阻害され、スパークプラグ10による着火性が低下してしまう可能性がある。そこで、スパークプラグ10は、角度θが上記の範囲内(−90°≦θ≦+90°)となるように燃焼室101に取り付けられたときに、接地電極4の基体部4bの配置位置が、以下に説明する位置となるように構成されていることが好ましい。
図7(A),(B)は、燃焼室101における接地電極4の基体部4bの好適な配置位置を説明するための模式図である。図7(A)は、以下に説明する点以外は、図6(A)と同様な図である。図7(A)には、接地電極4の基体部4bおよび先端部4tの図示が追加されている。また、図7(A)には、第2の仮想投影直線L2に換えて、点Q2と基体部4bの幅方向の中心点Q3とを通る第3の仮想投影直線L3の図示が追加されている。なお、図7(A)では、第3の仮想投影直線L3を二点鎖線で図示してある。また、図7(A)の紙面は、図6(A)と同様に、特許請求の範囲における「仮想平面B」に相当する。
ここで、第3の仮想投影直線L3は、接地電極チップ4cの中心軸4ax(点Q2)と、接地電極4の基体部4bの幅方向の中心点Q3とを通る仮想平面Cを、図7(A)の紙面に投影した直線である。基体部4bは、第1と第3の仮想投影直線L1,L3の間の角度αが以下の範囲に含まれるように、スパークプラグ10の主体金具1に接合されていることが好ましい。即ち、基体部4bは、図7(A)の紙面に向かって左回りの方向を+としたときに、角度αが、+45°以上、かつ、+315°以下の範囲内(実線矢印で図示した範囲内)に含まれるように設けられていることが好ましい。
図7(B)は、角度αが、上記の範囲外となる場合の基体部4bの配置位置の例を示す図7(A)と同様な模式図である。角度αが上記の範囲から外れる場合(α<45°,α>315°)には、基体部4bが、火花ギャップsgへの混合気の流れを阻害する方向に配置されることとなる。しかし、角度αが上記の範囲内に含まれている場合の基体部4bの配置位置であれば、混合気を火花ギャップsgに円滑に流入させることができ、スパークプラグ10による着火性を向上させることができる(図7(A))。
さらに、本実施形態のスパークプラグ10では、中心電極チップ3cに対する接地電極チップ4cの形成位置を、以下のように規定することにより、その着火性を向上させている。
図8(A),(B)は、中心電極チップ3cを含む中心電極3に対する接地電極チップ4cの形成位置を説明するための模式図である。図8(A),(B)にはそれぞれ、スパークプラグ10に設けられた2つの電極チップ3c,4cの形成位置が異なる構成例を模式的に図示してある。図8(A)は、スパークプラグ10を中心軸10axの方向に沿って見たときに、2つの電極チップ3c,4cが互いに重なり合わない構成例を示している。一方、図8(B)は、2つの電極チップ3c,4cの端面同士の一部が互いに対向し合う、即ち、スパークプラグ10を中心軸10axの方向に沿って見たときに、2つの電極チップ3c,4cの一部が互いに重なり合う構成例を示している。
ここで、図8(A),(B)には、中心電極3の中心軸3axを一点鎖線で図示し、2つの電極チップ3c,4c同士を最短距離gで結ぶ仮想直線Lgを二点鎖線で図示してある。仮想直線Lgは、2つの電極チップ3c,4cの外表面同士を最短距離で結ぶ直線である。なお、図8(A)の構成例では、仮想直線Lgは、2つの電極チップ3c,4cのエッジ同士を最短距離gで結ぶ直線となる。これに対して、図8(B)の構成例では、仮想直線Lgは、2つの電極チップ3c,4cの互いの端面に垂直な直線となり、中心電極3の中心軸3axと平行な直線となる。
2つの電極チップ3c,4cはそれぞれ、中心電極3の中心軸3axと、仮想直線Lgとの間の角度βが、0°以上、かつ、60°以下となるような位置に形成されていることが好ましい。なお、角度βが0°となるのは、図8(B)の構成例のように、2つの電極チップ3c,4cが形成された場合である。このように、角度βが、0°≦β≦60°の範囲内に含まれるように、2つの電極チップ3c,4cを配置することにより、以下に説明するように、火炎核の成長が阻害されてしまうことを抑制できる。
図9(A),(B)は、2つの電極チップ3c,4cの形成位置の相違に応じた火炎核の成長の相違を説明するための模式図である。図9(A)は、角度βが上記の範囲内(0°≦β≦60°)に含まれるように2つの電極チップ3c,4cの形成位置を構成した場合の火炎核の成長を示している。図9(A)は、火炎核の段階的な成長軌跡を模式的に示す径が異なる複数の円と、火炎核の成長方向を示す矢印とが追加されている点以外は、図8(A)とほぼ同じである。
角度βが、上記の範囲内(0°≦β≦60°)である場合には、2つの電極チップ3c,4cの間で生じた火炎核は、斜め下方に向かって成長していくことができる。火炎核を、火花ギャップsgから斜め下方に成長させることにより、混合気の燃焼を燃焼室101全体に広がらせることができる。従って、角度βが上記範囲内に含まれる2つの電極チップ3c,4cの位置関係であれば、火炎核の成長が促進され、スパークプラグ10による着火性が向上する。
図9(B)は、角度βが上記の範囲外(β>60°)となるように2つの電極チップ3c,4cの形成位置が構成された場合の火炎核の成長を示している。図9(B)は、接地電極チップ4cの位置が異なる点と、火炎核の成長軌跡を示す円が異なる点以外は、図9(A)とほぼ同じである。
角度βが、上記の範囲外(β>60°)である場合には、2つの電極チップ3c,4cの位置関係が水平方向(図9(B)の紙面左右方向)により近づくこととなる。そのため、2つの電極チップ3c,4cの間に生じた火炎核の成長方向は、図9(A)の場合よりも下方に制限され、成長した火炎核と接地電極4の先端部4tとが干渉しやすくなる。また、2つの電極チップ3c,4cが、水平方向へのガスの流れを阻害してしまう。従って、火炎核の成長が抑制され、スパークプラグ10による着火性が低下してしまう。
このように、2つの電極チップ3c,4cの位置関係や、接地電極4の基体部4bの配置位置が規定される上記のような取り付け回転角度で、スパークプラグ10を燃焼室101に取り付けることにより、スパークプラグ10による着火性を向上させることができる。また、本実施形態のスパークプラグ10であれば、2つの電極チップ3c,4cが図6で説明したような位置関係となるように内燃機関100の燃焼室101に取り付けられたときに、接地電極4の基体部4bの配置位置が図7で説明した適切な位置に規定される。従って、スパークプラグ10の着火性を向上させることができる。
A-2.第1実施形態の実施例:
図10,図11は、燃焼室101におけるスパークプラグ10の取り付け回転角度に対する混合気の着火性についての試験結果を示す説明図である。図10は、2つの電極チップ3c,4cの燃焼室101における位置関係が規定される角度θと、燃焼室101における接地電極4の基体部4bの位置が規定される角度αとの組み合わせに対する燃焼室101における混合気の着火性を示す値をまとめた表である。
ここで、本明細書では、「混合気の着火性を示す値」として、いわゆるリーンリミット法による計測値を用いる。「リーンリミット法による計測値」とは、混合気における空気に対する燃料の希釈の度合いを増大させたときに、混合気の点火が不可能となる空燃比の限界値として求められる値である。以後、本明細書では、この値を「限界空燃比」と呼ぶ。なお、「空燃比」とは、混合気における空気の質量を燃料の質量で除した値(A/F)である。
限界空燃比は、その値が高いほど、スパークプラグによる混合気の着火性が向上していることを示している。図10の表では、図6で説明した角度θの好適範囲を破線で示し、図7で説明した角度αの好適範囲を一点鎖線で示してある。
なお、この試験では、図5で説明した構成を有し、排気量が1500ccの自動車用の内燃機関に適用される燃焼室101を設定した。また、この試験では、2つの電極チップ3c,4cの中心軸の間の距離が1.5mm、2つの電極チップ3c,4cの間の最短距離gが1.1mm、角度β(図8)が50°であるスパークプラグ10を設定した。
図11(A),(B)はそれぞれ、図10の表に基づき、角度αの値ごとに、横軸を角度θとし、縦軸を限界空燃比としてプロットしたグラフである。図11(A)には、角度αが、0°、30°、45°、90°、135°、180°のグラフが図示されている。図11(B)には、角度αが、180°、225°、270°、315°、330°、360°(即ち、0°)のグラフが図示されている。
なお、図11(A),(B)のグラフには、角度θの好適範囲(−90°≦θ≦90°)を破線で図示してある。また、図11(A),(B)のグラフには、着火性の評価基準として限界空燃比の基準値23.1を一点鎖線で図示してある。
図11(A),(B)のいずれのグラフにおいても、角度θが、−45°または+45°に近づくほど、混合気の着火性が高くなり、角度θが−45°または+45°のときに混合気の着火性が最大となった。具体的には、角度θは、−90°≦θ≦+90°の範囲に含まれていることが好ましく、−67.5°≦θ≦−22.5°の範囲、または、+22.5°≦θ≦+67.5°の範囲に含まれることがより好ましい。さらに、角度θは、ほぼ−45°、または、ほぼ+45°であることが好ましい。
また、図11(A),(B)のグラフに示されているように、角度αが図7で説明した好適範囲(45°≦α≦315°)から外れている場合には、限界空燃比は、基準値である23.1を超えなかった。これに対し、角度αがその好適範囲に含まれており、角度θがその好適範囲(−90°≦θ≦+90°)に含まれている場合には、いずれのグラフにおいても、限界空燃比が基準値である23.1を超え、良好な着火性を得ることができた。
ここで、角度αが、45°,90°,135°,225°,270°,315°であるときには、より高い着火性を得ることができ、特に、角度αが90°または270°であるときに、最も高い着火性が得られた。このことから、接地電極4の基体部4bは、2つの電極チップ3c,4cに対向する面が、混合気の流れ方向に沿った方向に対して、より平行に近い角度で配置されるほど好ましいことがわかる。より具体的には、角度αは、45°≦α≦135°の範囲、または、225°≦α≦315°の範囲に含まれることが好ましく、ほぼ90°、または、ほぼ270°であることがより好ましい。
図12(A),(B)は、角度θおよび角度αの変化に対する燃焼室101に取り付けられたスパークプラグ10の火花ギャップsgにおける混合気の流速(以後、「ギャップ間流速」と呼ぶ)の変化を説明するための説明図である。図12(A)は、角度α(α=45°,90°,180°)と、角度θ(θ=0°,45°,90°,135°,180°)との組み合わせに対するギャップ間流速の計測結果をまとめた表である。図12(B)は、図12(A)の表にまとめられた計測値を、縦軸をギャップ間流速とし、横軸を角度θとしてプロットした、角度αごとのグラフである。なお、このギャップ間流速は、67ccの単気筒の可視化エンジンにおいて計測した。
図12(A),(B)に示されているように、角度αが90°のとき、即ち、接地電極4の基体部4bの幅方向をガスの流れ方向と平行としたときにギャップ間流速が最も高くなった。次いで、ギャップ間流速は、角度αの値が45°、180°であるときの順で低くなった。また、いずれのグラフにおいても、角度θが45°≦θ≦135°に含まれるときにギャップ間流速は著しく高い値を示し、θ=90°のときに最も高い値を示した。
ここで、ギャップ間流速が高いほど、火花ギャップsgへの混合気の流入量が多くなる。しかし、角度θを、ギャップ間流速が最も高くなる90°に設定すると、火花が燃焼室101のより下流側へと湾曲する度合いが著しく大きくなり、火炎核の成長領域が、燃焼室101の下流側に偏ってしまう可能性がある。火炎核の成長領域が偏ると、燃焼室101の外壁によって、火炎核の成長領域が制限されるとともに、火炎核の熱が奪われてしまい、スパークプラグ10の着火性が低下してしまう。
一方、角度θを90°より小さく設定した場合には、角度θを90°に設定した場合に比較して、火花を燃焼室101の中央側へと湾曲させることが可能である。従って、角度θを90°に設定した場合より、角度θを90°より小さく設定した場合の方が、火花放電の発生領域をより燃焼室101の中央側に設定することができるため、火炎核の成長が促進される。特に、角度θをほぼ45°とすることにより、高いギャップ間流速によって混合気の流量を確保することができるとともに、火花を燃焼室101の中央へと湾曲させることができ、火炎核の成長の促進が可能となる。なお、これは、角度θがマイナス側であるときも同様である。従って、角度θは、ほぼ+45°または、ほぼ−45°に設定されることが最も好ましい。
図13は、スパークプラグ10をシリンダヘッド120に取り付けたときに生じる取り付け回転角度の誤差をまとめた表を示す説明図である。スパークプラグ10をシリンダヘッド120に取り付けたときの取り付け回転角度には、一般に、ねじ切り位置の精度誤差と、締め付けトルクのばらつきによる誤差と、ガスケット厚のばらつきによる誤差とがある。
ねじ切り位置の精度誤差は、スパークプラグ10のねじ部7やシリンダヘッド120のねじ孔125におけるねじ切り位置の製造誤差であり、±20°の範囲で誤差が生じる場合がある。締め付けトルクのばらつきによる誤差は、スパークプラグ10をシリンダヘッド120に取り付ける際の締め付けトルクのばらつきによる誤差であり、±35°の範囲で誤差が生じる場合がある。なお、この誤差範囲は、締め付けトルクとして、15〜25Nm(ISO規格)のトルクを付与する場合の誤差範囲である。
ガスケット厚のばらつきによる誤差は、スパークプラグ10のガスケット30(図2)における厚みのばらつきによる誤差であり、±15°の範囲で誤差を生じる場合がある。なお、この誤差範囲は、ガスケット30の厚みの誤差範囲を±0.05mmとし、ねじ部7のネジピッチを1.25mmとした場合のものである。
ここで、上記の誤差が正規分布で発生するものとした場合に、上記の誤差範囲に基づく誤差範囲の総計は、±(|20|2+|35|2+|15|2-2=±43°として求めることができる。従って、角度θを設定する際には、その誤差としては、±43°の範囲の誤差を考慮することが好ましい。即ち、角度θを上記の最適値+45°または−45°に設定した場合には、誤差を含む角度θの範囲は、−88°≦θ≦−2°、または、+2°≦θ≦+88°となり、本実施形態における角度θの好適範囲−90°≦θ≦+90°とほぼ一致する。
図14(A),(B)は、図10および図11で説明した試験において、角度βの設定を変えたときの限界空燃比の変化を示す説明図である。この試験では、角度θを45°、角度αを90°とした第1設定条件と、角度θを90°、角度αを180°とした第2設定条件とについて、角度βの値を0°,30,50°,60°,75°,90°と変更したときの限界空燃比を計測した。また、第1設定条件、第2設定条件のそれぞれにおいて、2つの電極チップ3c,4cの中心軸をオフセットさせなかった場合の限界空燃比を計測した。
図14(A)は、第1設定条件の場合と第2設定条件の場合のそれぞれについての限界空燃比の計測値をまとめた表である。図14(B)は、図14(A)の表の値に基づき、縦軸を限界空燃比とし、横軸を角度βとしてプロットしたグラフである。なお、図14(B)のグラフでは、2つの電極チップ3c,4cの中心軸3ax,4axをオフセットさせなかった場合を横軸の原点(「オフセットなし」と表示)とした。また、図14(B)のグラフには、着火性の評価基準として、限界空燃比の基準値23.1を破線で図示してある。
このように、スパークプラグ10は、角度βが、0°≦β≦60°の範囲に含まれるように2つの電極チップ3c,4cの位置関係が構成されることが好ましい。また、スパークプラグ10は、角度βが、30°≦β≦60°の範囲に含まれるように、2つの電極チップ3c,4cの位置関係が構成されることがより好ましい。さらに、スパークプラグ10では、角度βがほぼ50°となるように2つの電極チップ3c,4cの位置関係が構成されることが最も好ましい。
ここで、本発明の発明者は、角度θが、−90°≦θ≦+90°の範囲に含まれ、かつ、角度αが、45°≦α≦315°の範囲に含まれる場合において、接地電極4が以下のように短く構成されていることが、さらに好ましいことを、自身の実験により見出した。即ち、接地電極4は、基体部4bの2つの電極チップ3c,4cと対向する側の面を含む仮想平面と接地電極チップ4cとの間の距離が、当該仮想平面と中心電極チップ3cとの間の距離より小さくなるように構成されていることが好ましい。
図15(A1)〜(C1),(A2)〜(C2)はそれぞれ、本発明の発明者がこの実験のために作成したスパークプラグ10のサンプルA〜Cの構成を示す概略図である。なお、これらのサンプルA〜Cは、接地電極4の構成を異ならせることにより、2つの電極チップ3c,4cの位置関係が変えられている点以外は、図2で説明したスパークプラグ10と同様の構成を有している。
図15(A1)〜(C1)にはそれぞれ、燃焼室101におけるガスの流れ方向F(図5(B))に沿って見たときの各サンプルA〜Cの中心電極3と接地電極4とが図示されている。図15(A2)〜(C2)はそれぞれ、図7と同様な図であり、スパークプラグ10の中心軸10ax(図5(A))に沿って見たときの、各サンプルA〜Cの中心電極3と接地電極4とが図示されている。
サンプルA(図15(A1),(A2))は、2つの電極チップ3c,4cの形成位置が互いにオフセットされていない構成とした。即ち、中心電極3の中心軸3ax(中心電極チップ3cの中心軸)と、接地電極チップ4cの中心軸4axとが互いに一致するように構成した。
サンプルB(図15(B1),(B2))は、2つの電極チップ3c,4cの互いの中心軸3ax,4axがオフセットされ、2つの電極チップ3c,4cの中心軸3ax,4axの間の距離が1.5mmとなり、角度βは50°となるように構成した。また、サンプルBでは、サンプルBを角度θが45°となるように燃焼室101に取り付けたときに、角度αが90°となるように接地電極4を構成して、サンプルAよりも接地電極4の先端部4tの長さを1mm短縮した。
サンプルC(図15(C1),(C2))は、サンプルBと同様に、2つの電極チップ3c,4cの中心軸3ax,4axの間の距離が1.5mmとなり、角度βが50°となるように構成した。また、サンプルCでは、サンプルCを角度θが−45°となるように燃焼室101に取り付けたときに、角度αが90°となるように接地電極4を構成して、サンプルAよりも接地電極4の先端部4tの長さを1mm延長した。
ここで、接地電極4の基体部4bにおいて、2つの電極チップ3c,4cと対向する側の面を含む仮想平面Pを想定する。このとき、サンプルBでは、仮想平面Pと接地電極チップ4cとの間の距離が、仮想平面Pと中心電極チップ3cとの間の距離より小さくなるように構成されている(図15(B2))。一方、サンプルCでは、仮想平面Pと接地電極チップ4cとの間の距離が、仮想平面Pと中心電極チップ3cとの間の距離より長くなるように構成されている(図15(C2))。
本発明の発明者は、各サンプルA〜Cを、図5で説明した燃焼室101と同様な燃焼室を有する排気量2000ccの自動車用のエンジンに取り付け、当該エンジンに、WOT(wide open throttle)の状態で5000rpmの運転を100時間継続させた。そして、運転中の接地電極4の平均温度(以後、「電極温度」と呼ぶ)と、運転直後の各サンプルA〜Cのギャップ増加量とを計測した。ここで、「ギャップ増加量」とは、火花放電の継続によって2つ電極チップ3c、4cのエッジが消耗・鈍磨することにより増加した2つ電極チップ3c、4cの最短離隔距離gの増加量を意味する。
図16(A)は、この実験において計測された各サンプルA〜Cごとの電極温度とギャップ増加量の計測値とをまとめた表を示す説明図である。また、図16(B)は、横軸を電極温度とし、縦軸をギャップ増加量として、各サンプルA〜Cにおけるギャップ増加量の計測値をプロットしたグラフである。
ここで、接地電極4が短いほど、接地電極4の熱は主体金具1へと逃げやすく、電極温度は低くなる。そして、電極温度が低いほど、接地電極チップ4cの熱が、接地電極4を経て主体金具1へと逃げやすくなり、接地電極チップ4cの温度も低くなる。接地電極チップ4cは、その温度が低いほど、その消耗が抑制される。即ち、電極温度は、その値が低いほど、接地電極チップ4cの消耗が少ないことを示している。また、ギャップ増加量は、2つの電極チップ3c,4cの消耗が抑制される耐久性を示しており、その値が小さいほど、2つの電極チップ3c,4cの耐久性が高くなっていることを示している。
サンプルBについては、電極温度の計測値もギャップ増加量の計測値も、ともに最も小さい値となった。即ち、サンプルBを用いたエンジンの運転では、2つの電極チップ3c,4cの耐久性が最も向上した。一方、サンプルCでは、電極温度の計測値もギャップ増加量の計測値も、ともに最も大きい値となった。即ち、サンプルCを用いたエンジンの運転では、2つの電極チップ3c,4cの耐久性が最も低下してしまった。
サンプルCにおいて電極温度の計測値が大きくなったのは、接地電極4の長さの延長に伴い、主体金具1へと熱が逃げにくくなったためであると推察される。また、サンプルCにおいてギャップ増加量が大きくなったのは、接地電極4の先端部4tの温度が高くなるに伴い、接地電極チップ4cの温度も高くなり、その消耗が促進されてしまったためであると推察される。
これらの結果から、接地電極4の先端部4tの長さは短いほど好ましいことがわかる。より具体的には、スパークプラグ10の接地電極4は、仮想平面Pと接地電極チップ4cとの間の距離が、仮想平面Pと中心電極チップ3cとの間の距離より小さくなるように構成されていることが好ましいことがわかる。
A-3.第1実施形態の他の構成例:
図17(A)〜(C),図18はそれぞれ、第1実施形態の他の構成例として、燃焼室101の構成例を示す概略図である。ここで、燃焼工程の際に、燃焼室101において、図5(B)で説明したタンブル旋回流を発生させるためには、燃焼室101の中心軸101axを通る仮想平面Aに対して、吸気口102および排気口103が対称に設けられていれば良い。即ち、燃焼室101は以下のように構成されるものとしても良い。
図17(A)は、吸気口102が1つ追加されている点以外は、図5(A)とほぼ同じである。この構成例では、2つの吸気口102が、仮想平面Aに対して互いに対称に配置されている。このような構成であっても、燃焼工程において、燃焼室101にタンブル旋回流を生じさせることができる。
図17(B)は、排気口103が1つ追加されている点と、2つの吸気口102の方が2つの排気口103よりも、その径が大きくなるように構成されている点以外は、図17(A)とほぼ同じである。この構成例では、2つの吸気口102が仮想平面Aに対して対称に配置されるとともに、2の排気口103が仮想平面Aに対して対称に配置されている。このような構成であっても、燃焼工程において、燃焼室101にタンブル旋回流を生じさせることができる。
図17(C)は、吸気口102が3つ設けられている点以外は、図17(B)とほぼ同じである。この構成例では、1つの吸気口102が仮想平面Aに対して対称となるように、自身の中心が仮想平面A上に配置されるとともに、残りの2つの吸気口102が、仮想平面Aに対して互いに対称となるように配置されている。このような構成であっても、燃焼工程において、燃焼室101にタンブル旋回流を生じさせることができる。
図18(A),(B)は、吸気口102および排気口103が燃焼室101の上方(紙面上側)ではなく、燃焼室101の側面側に互いに対向して形成されている点以外は、図5(A),(B)とほぼ同じである。このように、吸気口102と排気口103とは、燃焼室101の上方から下方に向かって開口していなくとも良く、燃焼室101の側面において、燃焼室101の中央に向かって開口するように設けられるものとしても良い。吸気口102と排気口103とはそれぞれ、仮想平面Aに対して対称に形成されていれば良い。
なお、燃焼室101に設けられる吸気口102および排気口103の構成は、上記の構成例に限定されることはない。吸気口102および排気口103は、上記の構成例よりさらに多くの個数が形成されるものとしても良いし、上記の構成例とは異なる位置や大きさで形成されるものとしても良い。
図19は、第1実施形態の他の構成例として、スパークプラグ10の取り付け位置の他の構成例を示す概略図である。図19は、スパークプラグ10の燃焼室101への取り付け挿入角度が異なり、それに伴い、火花ギャップsgの近傍領域におけるガスの流れ方向(矢印Fの方向)が異なっている点以外は、図5(B)とほぼ同じである。上記の第1実施形態では、スパークプラグ10は、その中心軸10axおよび中心電極3の中心軸3axが燃焼室101の中心軸101axとほぼ一致する(重なる)ように、燃焼室101に挿入して取り付けられていた(図5(B))。
しかし、スパークプラグ10は、その中心軸10axおよび中心電極3の中心軸3axが、燃焼室101の中心軸101axと一致するように燃焼室101に取り付けられていなくとも良い。スパークプラグ10は、中心電極3の中心軸3axが図5(A)で説明した仮想平面Aの面上を通るように、燃焼室101に取り付けられていれば良い。
B-1.第2実施形態:
図20(A),(B)は本発明の第2実形態としてのスパークプラグ10の構成を説明するための概略図である。図20(A),(B)はそれぞれ、仮想直線Lgに換えて、仮想線分spと、その中点mpと、仮想球体Sとが図示されている点と、仮想球体S内に含まれる2つの電極チップ3c,4cの外表面が破線で図示されている点以外は、図8(A),(B)とほぼ同じである。
なお、この第2実施形態におけるスパークプラグ10の構成は、第1実施形態で説明したスパークプラグ10の構成と同様である(図2,図3)。ただし、この第2実施形態におけるスパークプラグ10は、第1実施形態で説明した構成を有する内燃機関100(図1)の燃焼室101(図5)に取り付けられなくとも良く、他の構成を有する内燃機関の燃焼室に取り付けられるものとしても良い。
スパークプラグ10では、2つの電極チップ3c,4cの間の距離が近いほど、火花放電を発生させるための印加電圧を低減させることができるため好ましい。しかし、2つの電極チップ3c,4cの間の距離を近づけると、火炎核の発生領域に、2つの電極チップ3c,4cを含む中心電極3および接地電極4が、より近づくことになる。そのため、火炎核が中心電極3および接地電極4によって奪われる熱量が増大することになり、いわゆる消炎作用による着火性の低下が促進されてしまう。
ここで、火炎核が消炎作用の影響を受けるのは、その成長の初期段階である。以後、その初期段階において火炎核が成長する領域を「初期成長領域」と呼ぶ。本発明の発明者は、火炎核の初期成長領域を予め規定しておき、その領域内に含まれる消炎作用の原因となるスパークプラグ10の部材の表面積を適切に設定することにより、消炎作用による着火性の低下を抑制できることを見出した。
そこで、本発明の発明者は、2つの電極チップ3c,4c同士を最短距離gで結ぶ仮想線分sp(一点鎖線で図示)の中点mpを中心とする直径2mmの仮想球体S(破線で図示)内の領域を初期成長領域として規定した。なお、仮想線分spは、2つの電極チップ3c,4c同士の間の最短経路を表している。
ところで、図20(B)には、2つの電極チップ3c,4cの互いに平行な端面同士の少なくとも一部が互いに対向しあっている場合が図示されている。この場合には、仮想線分spは、2つの電極チップ3c,4cの端面同士に挟まれた領域の中央を通る線分として規定するものとする。
ここで、スパークプラグ10において、仮想球体S内に含まれる、中心電極チップ3cを含む中心電極3の表面積と、接地電極チップ4cの表面積と、接地電極4の表面積との合計を「領域内電極表面積TS」と呼ぶ。本発明の発明者は、以下に説明する実施例により、領域内電極表面積TSが小さいほどスパークプラグ10が良好な着火性を示すことを見出した。
また、本発明者の発明者は、以下の2つの条件(a),(b)が満たされているときに、スパークプラグ10の良好な着火性と、2つの電極チップ3c,4cの耐久性とが得られることを見出した。
(a)2つの電極チップ3c,4cの互いに中心軸がオフセットされるとともに、領域内電極表面積TSが1.5mm2≦TS≦2.3mm2の範囲に含まれている。
(b)第1実施形態で説明した角度β(図8)が、0°≦β≦60°の範囲に含まれている。
B-2.第2実施形態の実施例:
図21(A)〜(C)はそれぞれ、本発明の発明者が、実験のために作成したスパークプラグ10のサンプルの類型(タイプA〜C)を示す模式図である。図21(A)は、タイプAのサンプルにおける中心電極3および接地電極4の構成を示している。このタイプAのサンプルでは、2つの電極3,4に、略円柱形状の2つの電極チップ3c,4cが設けられている。
そして、これら2つの電極チップ3c,4cは、互いの端面同士が平行となるように配置されるとともに、その中心軸が互いに一致するように配置されている。即ち、このタイプAでは、2つの電極チップ3c,4cの形成位置が互いにオフセットされておらず、その端面同士が互いに対向し合っている。
図21(B)は、タイプBのサンプルにおける中心電極3および接地電極4の構成を示している。このタイプBのサンプルでは、タイプAのサンプルと同様に、2つの電極3,4が略円柱形状を有するように構成されている。ただし、タイプBのサンプルでは、2つの電極チップ3c,4cは、その中心軸が互いにオフセットされて配置されている。
図21(C)は、タイプCのサンプルにおける中心電極3および接地電極4の構成を示している。このタイプCのサンプルでは、中心電極チップ3cは略円柱形状を有している。また、接地電極チップ4cは略直方体形状を有しており、その1つの面が中心電極チップ3cの端面と平行となるように配置されている。
ここで、タイプCのサンプルにおける接地電極チップ4cの中心軸は、中心電極チップ3c側の面の中央を通り、中心電極チップ3cの中心軸と平行な軸である。タイプCのサンプルでは、2つの電極チップ3c,4cのそれぞれの中心軸が互いにオフセットされている。
図22は、本発明の発明者が行った実施例の結果をまとめた表を示す説明図である。本発明の発明者は、上記のタイプA〜Cのいずれかに属する各サンプル1〜20を作成し、各サンプル1〜20についての着火性および2つの電極チップ3c、4cの耐久性を評価した。なお、各サンプル1〜20はいずれも、中心電極3が絶縁碍子2から5mm程度突出するように構成した。また、各サンプル1〜20では、領域内電極表面積TSがそれぞれ異なるように2つの電極3,4を構成した。具体的には、以下の通りである。
サンプル1〜4はそれぞれ、タイプAの構成(図21(A))を有するサンプルである。サンプル1〜4では、各サンプルにおける2つの電極チップ3c、4cのサイズ(直径)を変えることにより、各サンプルの領域内電極表面積TSがそれぞれ異なる値となるように構成した。
サンプル5〜15はそれぞれ、タイプBの構成(図21(B))を有するサンプルである。サンプル5,6では、2つの電極チップ3c,4cのサイズ(直径)を他のサンプル7〜15より小さくすることにより、領域内電極表面積TSが他のサンプル7〜15より小さくなるように構成した。
また、サンプル7〜11では、角度βを各サンプルごとに変えることにより、領域内電極表面積TSが各サンプルごとに異なる値となるように構成した。サンプル12は、サンプル11と同様に角度βが0°であるが、接地電極チップ4cの位置を変えることにより、サンプル11よりも領域内電極表面積TSが大きくなるように構成した。
サンプル13〜15では、2つの電極チップ3c,4cの間における最短距離gをサンプル7〜12より小さく構成することにより、サンプル7〜12よりも領域内電極表面積TSが大きくなるように構成した。また、サンプル13〜15では、角度βを各サンプルごとに変えることにより、領域内電極表面積TSが各サンプルごとに異なるように構成した。
サンプル16〜20はそれぞれ、タイプCの構成(図21(C))を有するサンプルである。なお、図22の表では、タイプCのサンプル16〜20における接地電極チップ4cのサイズは、中心電極3側の面の縦横の辺の長さの乗算式(縦×横)によって表されている。ここで、接地電極チップ4cにおける中心電極3側の面の縦の辺は、接地電極4の先端部4tの延伸方向に沿った辺を指し、横の辺は、接地電極4の幅方向に沿った辺を指す。
サンプル16は、接地電極チップ4cのサイズを他のサンプル17〜19より小さくすることにより、領域内電極表面積TSがサンプル17〜20より小さくなるように構成した。サンプル17,18では、角度βを変えることにより、領域内電極表面積TSが互いに異なるように構成した。
サンプル19は、サンプル18と同様に、角度βが同じ0°であるが、接地電極チップ4cの位置を変えることにより、サンプル18よりも領域内電極表面積TSが大きくなるように構成した。サンプル20では、2つの電極チップ3c,4cの間の最短距離gを他のサンプル16〜19より小さくすることにより、領域内電極表面積TSを他のサンプル16〜19より大きくなるように構成した。
各サンプル1〜20についての着火性の評価としては、図10,図11で説明したのと同様な試験に基づき、各サンプル1〜20ごとに限界空燃比を求めた。具体的には、各サンプル1〜20を、角度θが45°,角度αが90°となるように、図5で説明した構成の燃焼室101を有する排気量1500ccの自動車用エンジンに取り付けたときの限界空燃比を試験により求めた。
また、各サンプル1〜20における2つの電極チップ3c,4cの耐久性についての評価は以下のように行った。即ち、各サンプル1〜20を取り付けた排気量2000ccの自動車用エンジンに、WOT(wide open throttle)の状態で5000rpmの運転を100時間継続させた。そして、その運転終了後に、各サンプル1〜20の2つの電極チップ3c,4cにおけるギャップ増加量を計測し、その耐久性を評価した。
なお、図22の表では、耐久性の評価は、ギャップ増加量が0.1mmより大きくなった場合には、耐久性の基準を満たしていないものとして「×」と表記した。また、ギャップ増加量が0.1mm以下である場合には、耐久性の基準を満たしているものとして「○」と表記した。
図23は、領域内電極表面積TSと着火性との関係を示す説明図である。図23には、図22の表に基づき、縦軸を限界空燃比とし、横軸を領域内電極表面積TSとして各サンプル1〜20ごとのデータをプロットしたグラフを示してある。なお、図23のグラフには、着火性の評価の基準として限界空燃比の基準値23.1を破線で図示してある。
このグラフが示すように、領域内電極表面積TSが小さくなるほど、限界空燃比が大きくなり、スパークプラグ10による着火性は向上する。このグラフから、着火性の基準値である23.1を超える限界空燃比を得るためには、領域内電極表面積TSが2.3mm2以下であることが好ましいことがわかる。なお、サンプル1,13〜15,19,20はいずれも、領域内電極表面積TSが2.3mm2より大きく、限界空燃比がいずれも23.1以下である。
ここで、タイプAのサンプル1〜4において、限界空燃比の基準値である23.1を超える限界空燃比を得られたのは、サンプル2〜4である。しかし、これらのサンプル2〜4はいずれも、耐久性の評価において基準を満たしていない。このことから、スパークプラグにおいて着火性を向上させつつ電極チップの耐久性を向上させるためには、2つの電極チップ3c,4cの互いの中心軸がオフセットされていることが好ましいことがわかる。
ところで、前記したとおり、スパークプラグ10では、2つの電極チップ3c,4cの最短距離gを大きくすると、火花放電のための印加電圧が増大してしまうため好ましくない。また、一般の内燃機関への取り付けを考慮した場合には、スパークプラグ10の2つの電極チップ3c,4cの最短距離gは1.1mm以下であることが好ましい。そこで、スパークプラグ10において、2つの電極チップ3c,4cの間の距離の増大を抑制しつつ、領域内電極表面積TSを低下させるためには、2つの電極チップ3c,4cのサイズを縮小させることが好ましいことがわかる。
しかしサンプル5,6,16は、2つの電極チップ3c,4cの両方または一方のサイズを比較的小さく構成することにより、領域内電極表面積TSが1.5mm2より小さくなるように構成されていたが、いずれも耐久性の評価は「×」であった。即ち、2つの電極チップ3c,4cの間の距離を小さくしつつ、2つの電極チップ3c,4cの耐久性の低下を抑制するためには、領域内電極表面積TSが1.5mm2以上となる程度のサイズで電極チップ3c,4cが構成されていることが好ましいことがわかる。
このように、2つの電極チップ3c,4cの互いの中心軸がオフセットされ、領域内電極表面積TSが1.5mm2≦TS≦2.3mm2の範囲に含まれる場合に、スパークプラグ10の着火性および2つの電極チップ3c,4cの耐久性を向上させることができる。
図24(A),(B)は、領域内電極表面積TSが上記の好適範囲内にあるときに、角度βの変更に伴うスパークプラグ10の着火性の変化を説明するための説明図である。本発明の発明者は、図22で説明したものと同様な試験により、領域内電極表面積TSが2.3mm2となるタイプBのスパークプラグにおいて、角度βを変えたときの限界空燃比を求めた。図24(A)は、その結果をまとめた表であり、図24(B)は、縦軸を限界空燃比とし、横軸を角度βとして、その結果をプロットしたグラフである。なお、図24(B)のグラフには、着火性の評価の基準として、限界空燃比の基準値23.1を破線で図示してある。
この試験では、角度βが0°≦β≦60°の範囲に含まれている場合には、良好な着火性が維持され、角度βがその範囲から外れて、β>60°となったときに着火性が低下した。このことから、角度βは、0°≦β≦60°の範囲に含まれていることが望ましいことがわかる。
このように、火炎核の初期成長領域として規定した仮想球体S内に含まれる電極3,4の表面積を適切に規定することにより、スパークプラグ10における着火性の低下や電極3,4の耐久性の低下を抑制することが可能である。
図25は、第2実施形態の参考例として、図22で説明したサンプル7〜12と同様なスパークプラグにおいて、2つの電極チップ3c,4cのオフセット量を変えたときの領域内電極表面積TSの変化のシミュレーション結果を示す説明図である。ここで、「2つの電極チップ3c,4cのオフセット量」とは、2つの電極チップ3c,4cの互いの中心軸の間の距離を指す。
図25(A)は、2つの電極チップ3c,4cの各オフセット量に対する領域内電極表面積TSの値をまとめた表である。図25(B)は、縦軸を領域内電極表面積TSとし、横軸を2つの電極チップ3c,4cのオフセット量として、図25(A)の表の値をプロットしたグラフである。
2つの電極チップ3c,4cの間の最短距離gを1.1mmで一定に保ちつつ、2つの電極チップ3c,4cのオフセット量を増大させると、2つの電極チップ3c,4cのオフセット量の増加に伴って、領域内電極表面積TSは次第に減少する。そして、2つの電極チップ3c,4cのオフセット量が1.5mmを超えたときに、領域内電極表面積TSの値が増加し始める。このように、2つの電極チップ3c,4cのオフセット量と、領域内電極表面積TSとの間の関係を予め求めておくことにより、2つの電極チップ3c,4cのオフセット量に基づいて、領域内電極表面積TSを適切に設定することが可能である。
B-3.第2実施形態の他の構成例:
図26(A)〜(E)は、第2実施形態の他の構成例としての中心電極チップの構成例を示す概略図である。図26(A)〜(E)にはそれぞれ、構成の異なる2つの電極チップ3c,4cと、火炎核の成長の軌跡を段階的に示す円と、その成長方向を示す矢印と、混合気の流れ方向を示す矢印Fとを図示してある。なお、図26(A)〜(E)のいずれの構成においても、2つの電極チップ3c,4cは、互いの中心軸がオフセットされるとともに、中心電極チップ3cが、接地電極チップ4cよりも下流側に位置するように構成されている。
図26(A)は、図20(A)で説明したのと同様な構成を有する2つの電極チップ3c,4cを示している。図26(A)の構成では、2つの電極チップ3c,4cの端面は互いに平行であり、2つの電極チップ3c,4cの中心軸と垂直に交わるように構成されている。この構成によれば、火炎核の成長方向は、図に示すような斜め下方に向かう方向となる。スパークプラグ10は燃焼室の上面に取り付けられているため、このように火炎核を斜め下方に成長させることができれば、混合気の燃焼を燃焼室101全体に広がらせることができる。
図26(B)〜(E)は、中心電極チップ3cの他の構成例を示す概略図である。図26(B)の構成例では、中心電極チップ3cの端面が、混合気の下流方向に向いた傾斜面として構成されている。図26(C)の構成例では、図26(B)の構成例とは逆に、中心電極チップ3cの端面が、混合気の上流方向に向いた傾斜面として構成されている。図26(D)の構成例では、中心電極チップ3cの先端部が球面を構成している。図26(E)の構成例では、中心電極チップ3cは、先端部が尖った略円錐形状を有している。
図26(B)〜(E)の構成例のように、中心電極チップ3cを構成した場合であっても、領域内電極表面積TSおよび角度βが第2実施形態で説明した好適範囲に含まれていれば、スパークプラグ10の着火性は向上させることができる。ただし、図26(B),(D),(E)の構成例の場合には、火炎核の成長方向は、中心電極チップ3cの外表面の傾斜に沿った方向となり、図26(A)の構成に比較して上向きとなってしまう。そのため、火炎核の下方への広がりが不十分となってしまう可能性がある。また、図26(C)の構成例の場合には、火炎核の成長方向が、中心電極チップ3cの端面の傾斜に沿った方向となり、図26(A)の構成に比較してより下方に制限されてしまう傾向にある。即ち、下流方向への火炎核の成長が制限されてしまう。そのため、火炎核の広がりが抑制されてしまう可能性がある。
さらに、図26(B),(C),(E)の構成例では、中心電極チップ3cの先端部が比較的鋭利に構成されているため、火花放電の継続により、その先端部が消耗して鈍磨してしまう可能性が高い。即ち、図26(B),(C),(E)の構成例では、中心電極チップ3cの耐久性が低下してしまう可能性がある。このように、図26(A)の構成の方が、図26(B)〜(E)の構成例よりも、火炎核の成長を促進でき、あるいは、中心電極チップ3cの耐久性の低下を抑制できるため好ましい。
図27(A)〜(D)は、第2実施形態の他の構成例としての接地電極チップの構成例を示す概略図である。図27(A)〜(D)にはそれぞれ、異なる構成を有する2つの電極チップ3c,4cを図示してある。また、図27(A)〜(D)にはそれぞれ、2つの電極チップ3c,4cの間における火花の発生領域をハッチングを付して図示してある。
図27(A)は、図20(B)で説明したのと同様な構成を有する2つの電極チップ3c,4cを示している。図27(A)の構成では、2つの電極チップ3c,4cの端面は、互いに平行に構成されるとともに、その一部が互いに対向するように構成されている。この構成によれば、2つの電極チップ3c,4cの互いの端面の位置がオフセットされているため、火花の発生領域が、2つの電極チップ3c,4cの端面が互いに対向し合う領域に絞られ、より安定的に火花を発生させることができる。
図27(B)〜(D)は、接地電極チップ4cの他の構成例を示す概略図である。図27(B)の構成例では、接地電極チップ4cの端面が、中心電極チップ3cに向いた傾斜面として構成されている。図27(C)の構成例では、接地電極チップ4cの先端部が球面を構成している。図27(D)の構成例では、接地電極チップ4cの端面は、中心電極チップ3cとは反対側に向かう傾斜面として構成されている。
図27(B)〜(D)の構成例のように、接地電極チップ4cを構成した場合であっても、領域内電極表面積TSおよび角度βが第2実施形態で説明した好適範囲に含まれていれば、スパークプラグ10の着火性は向上させることができる。ただし、図27(B)や図27(C)の構成例の場合には、火花の発生領域が図27(A)の構成に比較して広がってしまうため好ましくない。
また、図27(D)の構成例の場合には、図27(A)の構成よりも放電経路が特定されるため、より安定的に火花を発生させることができる。しかし、火花を発生する接地電極チップ4cのエッジが鋭利に構成されているため、火花放電を繰り返した場合に、そのエッジが消耗して鈍磨してしまう可能性が高い。即ち、図27(D)の構成例の場合には、接地電極チップ4cの耐久性が低下している。このように、図27(A)の構成の方が、図27(B),(C)の構成例よりも、安定的に火花を発生させることができ、図27(D)の構成例よりも、接地電極チップ4cの耐久性を高くすることができる。
図28(A)〜(H)は、第2実施形態の他の構成例として、2つの電極チップ3c,4cの端面の構成例を示す概略図である。図28(A)〜(H)にはそれぞれ、2つの電極チップ3c,4cの端面の形状の例が模式的に図示されている。図28(A)には、略楕円形状を有する端面が図示されている。図28(B)には、略六角形形状を有する端面が図示されている。図28(C)には、略八角形形状を有する端面が図示されている。図28(D)には、略三角形形状を有する端面が図示されている。
図28(E)には、略台形形状を有する端面が図示されている。図28(F)には、略正方形形状を有する端面が図示されている。図28(G)には、略長方形形状を有する端面が図示されている。図28(H)には、四方に突起した四つの鋭角を有する略星形形状を有する端面が図示されている。このように、2つの電極チップ3c,4cの端面は種々の形状によって構成されるものとしても良い。また、各電極チップ3c,4cの端面は、互いに異なる形状が組み合わされるものとしても良い。
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施形態や実施例の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
C1.変形例1:
上記の実施形態では、中心電極3の先端部に、中心電極3とは別の部材で構成された中心電極チップ3cが接合されていた。しかし、この中心電極チップ3cは省略されるものとしても良い。この場合であっても、上記実施形態で説明した角度θや角度βは、中心電極3の中心軸3axに対する角度として規定することが可能である。
C2.変形例2:
上記の第1実施形態では、スパークプラグ10のねじ部7のねじ溝や、シリンダヘッド120のねじ孔125のねじ溝の切り方によって、スパークプラグ10の燃焼室101における取り付け回転角度が規定されていた。しかし、スパークプラグ10の燃焼室101における取り付け回転角度は、他の方法により規定されるものとしても良い。例えば、スパークプラグ10は、ガスケット30の厚みによって、その取り付け回転角度が規定値となるように調整されるものとしても良い。また、スパークプラグ10とシリンダヘッド120とに、規定されたスパークプラグ10の取り付け方向を示す目印が予め設けられているものとしても良い。
C3.変形例3:
上記の第1実施形態において、スパークプラグ10の2つの電極チップ3c,4cを、第2実施形態で説明したように、領域内電極表面積TSが、1.5mm2≦TS≦2.3mm2の範囲に含まれるように構成するものとしても良い。また、第2実施形態において、スパークプラグ10を、燃焼室101に、第1実施形態で説明した好適な取り付け回転角度で取り付けるものとしても良い。さらに、第1実施形態のスパークプラグ10において、2つの電極チップ3c,4cを、図26〜図28で説明した構成を有するように構成するものとしても良い。
1…主体金具
1d…加締め部
1e…六角部
1f…ガスシール部
1h…溝部
2…絶縁碍子
2e…突出部
3…中心電極
3ax…中心軸
3c…中心電極チップ
4…接地電極
4ax…中心軸
4b…基体部
4c…接地電極チップ
4t…先端部
6…貫通孔
7…ねじ部
10…スパークプラグ
10ax…中心軸
13…端子金具
15…抵抗体
16,17…導電性ガラスシール層
30…ガスケット
61…充填層
62,60…線パッキン
100…内燃機関
101…燃焼室
101ax…中心軸
102…吸気口
103…排気口
110…シリンダブロック
111…ピストン
112…コンロッド
120…シリンダヘッド
121…吸気配管
122…排気配管
123…吸気弁
124…排気弁
125…ねじ孔
130…クランクケース
131…クランクシャフト

Claims (7)

  1. 少なくとも1つの吸気口と少なくとも1つの排気口とがそれぞれ、燃焼室の中心軸を通る1つの仮想平面Aに対して対称に設けられた燃焼室において、前記少なくとも1つの吸気口と前記少なくとも1つの排気口との間に取り付けられるスパークプラグであって、
    軸状の中心電極と、
    前記中心電極の先端を突出させつつ、前記中心電極の外周を保持する絶縁碍子と、
    前記絶縁碍子の外周を保持する主体金具と、
    前記主体金具の端部に接合された基体部と、前記基体部から前記中心電極側へと延び、前記中心電極の先端との間に間隙を形成する先端部と、を有する接地電極と、
    前記先端部において、前記中心電極の軸方向に沿って見たときに、前記中心電極の中心軸とはオフセットされた位置に自身の中心軸を有し、前記中心電極側に突起する接地電極チップと、
    を有するスパークプラグの取付構造において、
    前記スパークプラグは、前記燃焼室に取り付けられたときに、前記中心電極の中心軸が前記仮想平面A上に配置されるとともに、前記中心電極と前記接地電極とが前記燃焼室内の所定の位置に配置され、
    前記所定の位置は、前記燃焼室に固定された前記スパークプラグと、前記仮想平面Aとを、前記中心電極の軸方向に垂直な仮想平面Bに投影したときに、
    (i)前記仮想平面Aが投影された第1の仮想投影直線と、前記中心電極の中心軸と前記接地電極チップの中心とを結ぶ仮想直線が投影された第2の仮想投影直線との間の角度θが、−90°≦θ≦90°となり、
    (ii)前記第1の仮想投影直線と、前記接地電極チップの中心軸と前記基体部の幅方向の中心とを通る仮想平面Cが投影された第3の仮想投影直線との間の角度αが、45°≦α≦315°となる位置であることを特徴とする、スパークプラグの取付構造。
  2. 請求項1記載のスパークプラグの取付構造であって、
    前記接地電極チップは、前記中心電極の軸方向と平行な方向に突起しており、
    前記接地電極チップは、前記中心電極の中心軸と、前記接地電極チップと前記中心電極の外表面同士を最短距離で結ぶ仮想直線との間の角度βが、0°≦β≦60°となる位置に設けられている、スパークプラグの取付構造。
  3. 請求項1または2に記載のスパークプラグの取付構造であって、
    前記所定の位置は、前記角度αが、45°≦α≦135°、または、225°≦α≦315°となる位置である、スパークプラグの取付構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスパークプラグの取付構造であって、
    前記所定の位置は、
    (a)前記角度θが、22.5°≦θ≦67.5°となり、前記角度αが、45°≦α≦135°、または、225°≦α≦315°となる位置、あるいは、
    (b)前記角度θが、−67.5°≦θ≦−22.5°となり、前記角度αが、45°≦α≦135°、または、225°≦α≦315°となる位置である、スパークプラグの取付構造。
  5. スパークプラグであって、
    軸状の中心電極と、
    前記中心電極の先端を突出させつつ、前記中心電極の外周を保持する絶縁碍子と、
    前記絶縁碍子の外周を保持する主体金具と、
    前記主体金具の端部に接合された基体部と、前記基体部から前記中心電極側に延び、前記中心電極の先端との間に間隙が形成される先端部と、を有する接地電極と、
    前記先端部において、前記中心電極の軸方向に沿って見たときに、前記中心電極の中心軸とはオフセットされた位置に、前記中心電極の中心軸と平行な自身の中心軸を有し、前記中心電極側に突起する接地電極チップと、
    を備えるスパークプラグにおいて、
    (i)前記中心電極の中心軸と、前記接地電極チップと前記中心電極の外表面同士を最短距離で結ぶ仮想直線との間の角度βが、0°≦β≦60°であり、
    (ii)前記接地電極チップと前記中心電極の外表面同士を最短距離で結ぶ仮想線分の中点を中心とする直径2mmの仮想球体に含まれる前記中心電極の表面積と、前記接地電極チップの表面積と、前記接地電極の表面積との合計TSが、1.5mm2≦TS≦2.3mm2であることを特徴とする、スパークプラグ。
  6. 請求項5に記載のスパークプラグであって、
    前記中心電極は、前記間隙側に、自身の中心軸と垂直に交わる端面を有することを特徴とする、スパークプラグ。
  7. 請求項6に記載のスパークプラグであって、
    前記接地電極チップは、前記間隙側に、自身の中心軸と垂直に交わる端面を有することを特徴とする、スパークプラグ。
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