JP2007146675A - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火内燃機関 Download PDF

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剛 芦澤
Hiroshi Nomura
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Abstract

【課題】必要吸気量に係わらずに、複数の強いタンブル流を気筒内に形成して、さらに燃焼速度の速い均質燃焼を実現可能とする筒内噴射式火花点火内燃機関を提供する。
【解決手段】気筒上部略中心に配置された燃料噴射弁3と、燃料噴射弁の回りに配置された複数の点火プラグ4,5とを具備し、燃料噴射弁は、それぞれの点火プラグの近傍を燃料が通過するようにシリンダボアへ向けて斜め下方向に複数の燃料を噴射するための複数の噴孔を有し、均質燃焼運転領域において、燃料噴射弁は吸気行程末期に複数の噴孔から燃料を噴射し、複数の噴孔から噴射されたそれぞれの燃料は、貫徹力によってシリンダボアに沿って下降して気筒中央部を上昇するタンブル流T1,T2をそれぞれに形成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
気筒内に均質混合気を形成し、この均質混合気を圧縮行程末期の点火時期において着火燃焼させる均質燃焼において、気筒内に強いタンブル流が形成されれば、このタンブル流は圧縮行程末期の点火時期まで持続して点火時期において気筒内に乱れを存在させることができ、この乱れにより燃焼速度が高められて良好な均質燃焼が実現される。
気筒内に強いタンブル流を形成するために、吸気ポート内に吸気流制御弁を配置し、この吸気流制御弁によって吸気を吸気ポート上壁に沿わせて気筒内へ供給する筒内噴射式火花点火内燃機関が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−180247 特開2002−227651
前述の筒内噴射式火花点火内燃機関において、吸気流制御弁により吸気を吸気ポート上壁に沿わせて気筒内に供給する時には、吸気流制御弁により吸気ポートが絞られることになる。それにより、必要吸気量が比較的少ない時においては、特に問題なく強いタンブル流を気筒内に形成することができるが、必要吸気量が比較的多くなる時においては、吸気流制御弁により吸気ポートを絞ると吸気不足が発生することがあるために、吸気流制御弁によって強いタンブル流を気筒内に形成することはできない。また、必要吸気量が比較的少ない時においても、気筒内には一つの強いタンブル流しか形成されず、複数の強いタンブル流を気筒内に形成すれば、さらに燃焼速度を速めることができる。
従って、本発明の目的は、必要吸気量に係わらずに、複数の強いタンブル流を気筒内に形成して、さらに燃焼速度の速い均質燃焼を実現可能とする筒内噴射式火花点火内燃機関を提供することである。
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、気筒上部略中心に配置された燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁の回りに配置された複数の点火プラグとを具備し、前記燃料噴射弁は、それぞれの前記点火プラグの近傍を燃料が通過するようにシリンダボアへ向けて斜め下方向に複数の燃料を噴射するための複数の噴孔を有し、均質燃焼運転領域において、前記燃料噴射弁は、吸気行程末期に複数の前記噴孔から燃料を噴射し、複数の前記噴孔から噴射されたそれぞれの燃料は、貫徹力によって、シリンダボアに沿って下降して気筒中央部を上昇するタンブル流をそれぞれに形成することを特徴とする。
本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、複数の前記点火プラグのそれぞれは、板状電極の幅方向を、対応するタンブル流に対して略平行とするように配置されている。
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関によれば、気筒上部略中心に配置された燃料噴射弁は、燃料噴射弁の回りに配置された複数の点火プラグのそれぞれの近傍を燃料が通過するようにシリンダボアへ向けて斜め下方向に複数の燃料を噴射するための複数の噴孔を有しているために、均質燃焼運転領域において、吸気行程末期に複数の前記噴孔から燃料を噴射すると、噴射されたそれぞれの燃料は、貫徹力によって、シリンダボアに沿って下降して互いに衝突して気筒中央部を上昇する強いタンブル流をそれぞれに形成し、それぞれのタンブル流は、圧縮行程末期の点火時期まで持続して、対応する点火プラグの点火ギャップを通過する乱れを存在させるために、点火時期において全ての点火プラグによって対応する混合気のタンブル流を同時に着火燃焼させることにより、それぞれの混合気は燃焼速度が高まって非常に短時間でほぼ同時に燃焼完了し、結果として、気筒内全体の混合気は、この非常に短時間で燃焼させられたこととなり、燃焼速度がさらに速められた良好な均質燃焼を実現することができる。
本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、複数の点火プラグのそれぞれは、板状電極の幅方向を、対応するタンブル流に対して略平行とするように配置されているために、圧縮行程において気筒内を旋回する際に、それぞれのタンブル流は、対応する点火プラグの板状電極の幅方向に対向して減衰することは抑制され、それぞれのタンブル流を点火時期まで持続させ易くなる。
図1及び2は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す概略縦断面図であり、図3は図1及び2の筒内噴射式火花点火内燃機関のシリンダヘッドの底面図である。図1は吸気行程末期を、図2は圧縮行程末期の点火時期を、それぞれ示している。これらの図において、1は一対の吸気弁であり、2は一対の排気弁であり、3は気筒上部略中心に配置されて気筒内へ直接的に燃料を噴射するための燃料噴射弁である。燃料噴射弁1の回りには、複数の点火プラグが配置されている。本実施形態においては、複数の点火プラグとして、第一点火プラグ4及び第二点火プラグ5の二つの点火プラグが配置されている。また、6はピストンである。
本実施形態においては、燃料噴射弁1、第一点火プラグ4、及び、第二点火プラグ5は、いずれも、二つの吸気弁1の中間と二つの排気弁2の中間とを通る気筒中心縦断面P(図1及び図2の断面)上に位置している。第一点火プラグ4は、燃料噴射弁3より吸気弁側に、第二点火プラグ5は、燃料噴射弁3より排気弁側に、互いに対向して配置されている。
本筒内噴射式火花点火内燃機関は、気筒内に理論空燃比よりリーンな均質混合気を形成し、この混合気を点火プラグ2により着火燃焼させる均質燃焼を実施するものである。高出力が必要な高回転高負荷時等においては、理論空燃比又はリッチ空燃比での均質燃焼を実施するようにしても良い。特に、リーン空燃比での均質燃焼は、点火時期において気筒内に乱れを存在させて燃焼速度を十分に速めないと、所望の機関出力が得られない。
本実施形態においては、燃料噴射弁3は、燃料噴射弁3の回りに配置された第一点火プラグ4及び第二点火プラグ5のそれぞれの近傍を燃料が通過するようにシリンダボアへ向けて斜め下方向に複数の燃料を噴射するための複数の噴孔を有している。それにより、均質燃焼運転領域において、吸気行程末期に複数の噴孔から燃料を噴射すると、図1に示すように、噴射されたそれぞれの燃料F1及びF2は、貫徹力によって、シリンダボアに沿って下降して互いに衝突して気筒中央部を上昇する強いタンブル流T1及びT2をそれぞれに形成する。
ピストン6の頂面には、それぞれのタンブル流T1及びT2に対応して、部分円弧断面形状のキャビティ6a及び6bが形成されており、各タンブル流T1及びT2は、対応するキャビティ6a及び6bに沿って進行することにより、減衰し難くなり、また、気筒中央部を上昇し易くなる。
それぞれのタンブル流T1及びT2は、圧縮行程末期の点火時期まで持続して、図2に示すように、対応する第一点火プラグ4及び第二点火プラグ5のそれぞれの近傍を通過する乱れを存在させるために、点火時期において第一点火プラグ4及び第二点火プラグ5により対応する混合気のタンブル流を同時に着火燃焼させることにより、それぞれの混合気は燃焼速度が高まって非常に短時間で同時に燃焼完了し、結果として、気筒内全体の混合気は、非常に短時間で燃焼させられることになり、燃焼速度がさらに速められた良好な均質燃焼を実現することができる。
点火時期において、第一点火プラグ4及び第二点火プラグ5の近傍をそれぞれに通過するタンブル流は、第一点火プラグ4及び第二点火プラグ5において二つの電極の間に発生するアークを、それぞれに下流側へ引き伸ばし、混合気は、このように引き伸ばされたアークによって広範囲で着火させられるために、さらに燃焼速度が速くなる。
ところで、第一点火プラグ4及第二点火プラグ5は、二つの電極として、中心電極4a及び5aと、L字形の板状電極4b及び5bとを有している。例えば図1及び2に示すように、それぞれの板状電極の幅方向が、対応するタンブル流T1及びT2と略平行となるように第一及び第二点火プラグ4及び5を配置することにより、前述したように、中心電極4a及び5aと板状電極4b及び5bとの間で発生するアークが、板状電極4b及び5bにより邪魔されることなく、タンブル流T1及びT2の下流側に伸ばされ易くなる。
また、このような配置によって、板状電極4b及び5bの幅方向がタンブル流T1及びT2に対向する場合のように、タンブル流T1及びT2が板状電極4b及び5bに衝突して減衰することは抑制される。この点火プラグ配置により、板状電極4b及び5bの厚さ方向がタンブル流T1及びT2に対向することとなるが、板状電極4b及び5bの厚さは薄いためにタンブル流T1及びT2を殆ど減衰させることはない。点火プラグによっては、互いに対向する二つの板状電極を有する場合があるが、このような場合にも、二つの板状電極の厚さ方向をタンブル流T1及びT2に対向させ、幅方向をタンブル流と略平行にすることが好ましい。
燃料噴射弁3は、所望空燃比の均質燃焼を実施するために、必要量の燃料を吸気行程末期(例えば、燃料噴射終了クランク角度を吸気下死点近傍とするように燃料噴射量に応じて燃料噴射開始クランク角度を設定するか、又は、燃料噴射量に関係なく吸気行程後半に燃料噴射開始クランク角度を設定する。)に噴射するようになっている。こうして、必要燃料量が多くなるほど、強いタンブル流T1及びT2が形成されることとなる。
もし必要ならば、必要燃料量が多い時には、一部の燃料を吸気行程中期又は初期に噴射して(複数回に分けて噴射しても良い)、吸気行程末期に噴射される燃料量を少なく調節し、タンブル流T1及びT2の強さを制御するようにしても良い。
本実施形態の筒内噴射式火花点火内燃機関は、気筒内へ直接的に噴射する燃料により均質燃焼を実施するものであるために、必要量の燃料を確実に気筒内へ供給することができ、吸気ポートへ燃料を噴射する場合のように吸気ポート壁面への燃料付着等を考慮して必要量以上の燃料を噴射しなくても良くなっている。
本実施形態は、理論空燃比よりリーンな空燃比での均質燃焼を実施するものであるが、これは本発明を限定するものではなく、理論空燃比又はリッチ空燃比での均質燃焼を実施する筒内噴射式火花点火内燃機関においても、複数のタンブル流を点火時期まで持続させて燃焼速度を十分に速めることは有効である。
また、特に低負荷時のように高い機関出力が必要でない時には、均質燃焼ではなく、点火プラグ近傍だけに可燃混合気を形成して、これを着火燃焼させる成層燃焼を実施した方が燃料消費を低減することができる。本実施形態において、燃料噴射弁3から噴射される各燃料噴霧が、対応する点火プラグの近傍を通過する際に、各燃料噴霧の少なくとも一部が、対応する点火プラグの点火ギャップを通過するようにすれば成層燃焼を実施可能となる。
このような構成により、成層燃焼運転領域において、燃料噴射弁3から圧縮行程後半に燃料を噴射すると、各噴射燃料は気筒内の吸気との摩擦によって気化して、それぞれが、対応する点火プラグの点火プラグに接触する可燃混合気となるために、これを成層燃焼点火時期において、対応する点火プラグにより着火燃焼させれば、良好な成層燃焼を実現することができる。燃料噴射弁3が、複数の噴孔の一部だけからの燃料噴射を可能とする構成を有していれば、成層燃焼時においては、一部の噴孔からだけ燃料噴射を実施し、点火時期において、対応する点火プラグだけを作動するようにしても良い。
本実施形態において、燃料噴射弁3から噴射される各燃料噴霧の形状は、任意に設定可能であり、例えば、中実又は中空円錐形状、又は、中実柱形状としても良い。また、円弧状スリット噴孔や複数の直線スリット噴孔の組み合わせにより、比較的厚さの薄い円弧状断面又は折れ線状断面の燃料噴霧としても良い。いずれにしても燃料噴霧が比較的大きな貫徹力を有して、気筒内にタンブル流を形成するものであれば良い。
燃料噴射弁3は、図1に示すように、スリット状の噴孔を有して比較的厚さの薄い略扇形状に燃料を噴射するものでも良い。この場合において、特に吸気弁側の噴孔から噴射される燃料噴霧F1の厚さ中心平面が、前述した気筒中心縦断面P(図1及び図2の断面)とほぼ一致するようにすれば、燃料F1は、二つの吸気弁1の間の空間内に噴射され、開弁中の吸気弁1に付着し難くなる。それにより、吸気弁へのデポジットの堆積を抑制することができる。
本実施形態において、燃料噴射弁3は、吸気弁側及び排気弁側の二方向に燃料を噴射する二つの噴孔を有し、各噴孔に対応して二つの点火プラグを燃料噴射弁3の回りに配置するようにしたが、燃料噴射弁3の噴射方向は、吸気弁1と排気弁2との間の二方向として、噴射方向に合わせて二つの点火プラグを配置するようにしても良い。また、ピストン頂面にキャビティが形成される場合には、噴射方向に合わせて二つのキャビティを配置することが好ましい。
また、燃料噴射弁3は、本実施形態において、平面視における180°等間隔の二つの噴孔を有するものであるが、例えば、120°等間隔の三つ、90°等間隔の四つ、72°等間隔の五つ、60°等間隔の六つ等の噴孔を有するようにして良く、また、複数の噴孔を等角度間隔でなく設けるようにしても良い。但し、各噴孔に対応して、燃料噴射弁の回りに点火プラグを配置することが必要であり、また、各噴孔に対応して、ピストン頂面にキャビティを形成することが好ましい。
本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す吸気行程末期の概略縦断面図である。 本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の実施形態を示す圧縮行程末期の概略縦断面図である。 図1及び2の筒内噴射式火花点火内燃機関のシリンダヘッドの底面図である。
符号の説明
1 吸気弁
2 排気弁
3 燃料噴射弁
4 第一点火プラグ
5 第二点火プラグ
T1、T2 タンブル流
F1、F2 噴射燃料

Claims (2)

  1. 気筒上部略中心に配置された燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁の回りに配置された複数の点火プラグとを具備し、前記燃料噴射弁は、それぞれの前記点火プラグの近傍を燃料が通過するようにシリンダボアへ向けて斜め下方向に複数の燃料を噴射するための複数の噴孔を有し、均質燃焼運転領域において、前記燃料噴射弁は、吸気行程末期に複数の前記噴孔から燃料を噴射し、複数の前記噴孔から噴射されたそれぞれの燃料は、貫徹力によって、シリンダボアに沿って下降して気筒中央部を上昇するタンブル流をそれぞれに形成することを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
  2. 複数の前記点火プラグのそれぞれは、板状電極の幅方向を、対応するタンブル流に対して略平行とするように配置されている請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
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