A.第1実施形態:
図1(A)は、内燃機関の一例の説明図である。図中には、内燃機関700の複数(例えば、4個)の燃焼室(シリンダとも呼ばれる)のうちの1個の燃焼室790の概略断面図が示されている。内燃機関700は、エンジンヘッド710と、シリンダブロック720と、ピストン750と、点火プラグ100と、を含んでいる。ピストン750は、図示しないコネクティングロッドに連結され、コネクティングロッドは、図示しないクランクシャフトに連結されている。
シリンダブロック720は、燃焼室790のうちの一部(略円筒状の空間)を形成するシリンダ壁729を有している。シリンダブロック720の一方向側(図1(A)の上側)には、エンジンヘッド710が固定されている。エンジンヘッド710は、燃焼室790の端部を形成する内壁719と、燃焼室790に連通する吸気ポート712を形成する第1壁711と、吸気ポート712を開閉可能な吸気バルブ730と、燃焼室790に連通する排気ポート714を形成する第2壁713と、排気ポート714を開閉可能な排気バルブ740と、点火プラグ100を取り付けるための取付孔718と、を有している。ピストン750は、シリンダ壁729によって形成される空間内を、往復動する。ピストン750のエンジンヘッド710側の面759と、シリンダブロック720のシリンダ壁729と、エンジンヘッド710の内壁719と、に囲まれる空間が、燃焼室790に相当する。点火プラグ100の中心電極20と接地電極30とは、燃焼室790に露出している。図中の中心軸CLは、点火プラグ100の中心軸CLである(軸線CLとも呼ぶ)。
図1(B)は、点火プラグ100と吸気バルブ730と排気バルブ740との配置例を示す投影図である。この投影図は、点火プラグ100の軸線CLに垂直な投影面上に要素100、730、740を軸線CLに平行に投影することによって得られる投影図である。図示された要素100、730、740は、1個の燃焼室790(図1)の要素である。図中では、バルブ730、740を表す領域のそれぞれに、ハッチングが付されている。
図1(B)に示すように、本実施形態の内燃機関700の1個の燃焼室790には、1個の点火プラグ100と、2個の吸気バルブ730と、2個の排気バルブ740と、が設けられている。投影図中のバルブ730、740は、いずれも、閉じた状態のバルブ730、740を示している。また、投影図中のバルブ730、740は、いずれも、燃焼室790内に露出する部分を示している。以下、2個の吸気バルブ730を区別する場合には、符号「730」の末尾に識別子(ここでは、「a」または「b」)を付加する。2個の排気バルブ740についても、同様である。
図中には、バルブ730a、730b、740a、740bのそれぞれの中心位置C3a、C3b、C4a、C4bが、示されている。これらの中心位置C3a、C3b、C4a、C4bは、それぞれ、図1(B)に示す投影面上におけるバルブ730a、730b、740a、740bを表す領域の重心位置を示している。例えば、第1中心位置C3aは、第1吸気バルブ730aを表す領域の重心位置である。なお、領域の重心は、領域内に質量が均等に分布していると仮定した場合の重心の位置である。
図中には、2個の重心位置C3、C4が示されている。吸気重心位置C3は、2個の吸気バルブ730a、730bのそれぞれの中心位置C3a、C3bの重心位置である。排気重心位置C4は、2個の排気バルブ740a、740bのそれぞれの中心位置C4a、C4bの重心位置である。なお、複数の中心位置の重心位置は、各中心位置に同じ質量が配置されていると仮定した場合の重心の位置である。
図中には、バルブ配置方向Dvと、方向Dpと、が示されている。バルブ配置方向Dvは、吸気重心位置C3から排気重心位置C4へ向かう方向である。方向Dpは、軸線CLからバルブ配置方向Dvに向かう方向である。図1(B)の実施形態では、点火プラグ100は、2個の吸気バルブ730a、730bと、2個の排気バルブ740a、740bと、の間に取り付けられる。この場合、図1(B)の投影図上において、点火プラグ100の点火時に電極20、30の近傍を流れるガスの移動方向は、方向Dpとおおよそ同じであり得る(以下、方向Dpを、ガス方向Dpとも呼ぶ)。なお、実際のガスの流れる方向は、軸線CLに対して斜めの方向であり得る。
次に、点火プラグ100の構成について、説明する。図2は、一実施形態としての点火プラグ100の断面図である。図中には、点火プラグ100の中心軸CL(「軸線CL」とも呼ぶ)と、点火プラグ100の中心軸CLを含む平らな断面と、が示されている。以下、中心軸CLに平行な方向を「軸線CLの方向」、または、単に「軸線方向」または「前後方向」とも呼ぶ。軸線CLを中心とする円の径方向を「径方向」とも呼ぶ。径方向は、軸線CLに垂直な方向である。軸線CLを中心とする円の円周方向を、「周方向」とも呼ぶ。中心軸CLに平行な方向のうち、図2における下方向を先端方向Df、または、前方向Dfと呼び、上方向を後端方向Dfr、または、後方向Dfrとも呼ぶ。先端方向Dfは、後述する端子金具40から中心電極20に向かう方向である。また、図2における先端方向Df側を点火プラグ100の先端側と呼び、図2における後端方向Dfr側を点火プラグ100の後端側と呼ぶ。
点火プラグ100は、軸線CLに沿って延びる貫通孔12(軸孔12とも呼ぶ)を有する筒状の絶縁体10と、貫通孔12の先端側で保持される中心電極20と、貫通孔12の後端側で保持される端子金具40と、貫通孔12内で中心電極20と端子金具40との間に配置された抵抗体73と、中心電極20と抵抗体73とに接触してこれらの部材20、73を電気的に接続する導電性の第1シール部72と、抵抗体73と端子金具40とに接触してこれらの部材73、40を電気的に接続する導電性の第2シール部74と、絶縁体10の外周側に固定された筒状の主体金具50と、一端が主体金具50の環状の先端面55に接合されるとともに他端が中心電極20とギャップgを介して対向するように配置された接地電極30と、を有している。なお、本実施形態では、先端面55は、軸線CLに垂直な平らな面である。
絶縁体10の軸線方向の略中央には、外径が最も大きな大径部14が形成されている。大径部14より後端側には、後端側胴部13が形成されている。大径部14よりも先端側には、後端側胴部13よりも外径の小さな先端側胴部15が形成されている。先端側胴部15よりもさらに先端側には、縮外径部16と、脚部19とが、先端側に向かってこの順に形成されている。縮外径部16の外径は、前方向Dfに向かって、徐々に小さくなっている。縮外径部16の近傍(図2の例では、先端側胴部15)には、前方向Dfに向かって内径が徐々に小さくなる縮内径部11が形成されている。絶縁体10は、機械的強度と、熱的強度と、電気的強度とを考慮して形成されることが好ましく、例えば、アルミナを焼成して形成されている(他の絶縁材料も採用可能である)。
中心電極20は、金属製の部材であり、絶縁体10の貫通孔12内の前方向Df側の端部に配置されている。中心電極20は、略円柱状の棒部28と、棒部28の先端に接合(例えば、レーザ溶接)された第1チップ29と、を有している。棒部28は、後方向Dfr側の部分である頭部24と、頭部24の前方向Df側に接続された軸部27と、を有している。軸部27は、軸線CLに平行に前方向Dfに向かって延びている。頭部24のうちの前方向Df側の部分は、軸部27の外径よりも大きな外径を有する鍔部23を形成している。鍔部23の前方向Df側の面は、絶縁体10の縮内径部11によって、支持されている。軸部27は、鍔部23の前方向Df側に接続されている。第1チップ29は、軸部27の先端に接合されている。棒部28は、第1チップ29が接合される基部の例である。
棒部28は、外層21と、外層21の内周側に配置された芯部22と、を有している。外層21は、芯部22よりも耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケルを主成分として含む合金)で形成されている。ここで、主成分は、含有率(重量パーセント(wt%))が最も高い成分を意味している。芯部22は、外層21よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅、銅を主成分として含む合金、等)で形成されている。第1チップ29は、軸部27よりも放電に対する耐久性に優れる材料(例えば、イリジウム(Ir)、白金(Pt)等の貴金属)を用いて形成されている。中心電極20のうち第1チップ29を含む前方向Df側の一部分は、絶縁体10の軸孔12から前方向Df側に露出している。中心電極20のうち後方向Dfr側の部分20tは、軸孔12内に配置されている。このように、中心電極20は、絶縁体10の先端部10tに配置される部分(部分20tのうちの少なくとも一部)を含むように、絶縁体10の軸孔12内に配置されている。絶縁体10の先端部10tは、絶縁体10のうちの先端を含む部分である。なお、第1チップ29は、省略されてよい。また、芯部22は、省略されてもよい。いずれの場合も、中心電極のうちの前方向Df側の少なくとも一部が、絶縁体10の先端よりも前方向Df側に位置していることが好ましい。
端子金具40は、軸線CLに平行に延びる棒状の部材である。端子金具40は、導電性材料を用いて形成されている(例えば、鉄を主成分として含む金属)。端子金具40は、前方向Dfに向かって順番で並ぶ、キャップ装着部49と、鍔部48と、軸部41と、を有している。軸部41は、絶縁体10の軸孔12の後方向Dfr側の部分に挿入されている。キャップ装着部49は、絶縁体10の後端側で、軸孔12の外に露出している。
絶縁体10の軸孔12内において、端子金具40と中心電極20との間には、電気的なノイズを抑制するための抵抗体73が配置されている。抵抗体73は、導電性材料(例えば、ガラスと炭素粒子とセラミック粒子との混合物)を用いて形成されている。抵抗体73と中心電極20との間には、第1シール部72が配置され、抵抗体73と端子金具40との間には、第2シール部74が配置されている。これらのシール部72、74は、導電性材料(例えば、金属粒子と抵抗体73の材料に含まれるものと同じガラスとの混合物)を用いて形成されている。中心電極20は、第1シール部72、抵抗体73、第2シール部74によって、端子金具40に電気的に接続されている。
主体金具50は、軸線CLに沿って延びる貫通孔59を有する筒状の部材である。本実施形態では、主体金具50の中心軸は、軸線CLと同じである。主体金具50の貫通孔59には、絶縁体10が挿入され、主体金具50は、絶縁体10の外周に固定されている。主体金具50は、導電材料(例えば、主成分である鉄を含む炭素鋼等の金属)を用いて形成されている。絶縁体10の前方向Df側の一部は、貫通孔59の外に露出している。また、絶縁体10の後方向Dfr側の一部は、貫通孔59の外に露出している。
主体金具50は、工具係合部51と、先端側胴部52と、を有している。工具係合部51は、点火プラグ用のレンチ(図示せず)が嵌合する部分である。先端側胴部52は、主体金具50の先端面55を含む部分である。先端側胴部52の外周面には、内燃機関の取付孔(例えば、図1の内燃機関700の取付孔718)に螺合するためのネジ部57が形成されている。ネジ部57は、軸線CLの方向に延びる雄ねじが形成された部分である。
主体金具50の工具係合部51と先端側胴部52との間の外周面には、径方向外側に張り出したフランジ状の中胴部54が形成されている。中胴部54の外径は、ネジ部57の最大外径(すなわち、ネジ山の頂の外径)よりも、大きい。中胴部54の前方向Df側の面54fは、座面であり、内燃機関のうちの取付孔を形成する部分である取り付け部(例えば、エンジンヘッド)とのシールを形成する(座面54fと呼ぶ)。
先端側胴部52のネジ部57と中胴部54の座面54fとの間には、環状のガスケット90が配置されている。ガスケット90は、点火プラグ100が内燃機関に取り付けられた際に押し潰されて変形し、主体金具50の座面54fと、図示しない内燃機関の取り付け部(例えば、エンジンヘッド)と、の隙間を封止する。なお、ガスケット90が省略されてもよい。この場合、主体金具50の座面54fは、直接に内燃機関の取り付け部に接触することによって、座面54fと、内燃機関の取り付け部と、の隙間を封止する。
主体金具50の先端側胴部52には、径方向の内側に向かって張り出した張り出し部56が形成されている。張り出し部56は、少なくとも張り出し部56の後方向Dfr側の部分の内径と比べて内径が小さい部分である。本実施形態では、張り出し部56の後方向Dfr側の面56r(後面56rとも呼ぶ)では、内径が、前方向Dfに向かって、徐々に小さくなる。張り出し部56の後面56rと、絶縁体10の縮外径部16と、の間には、先端側パッキン8が挟まれている。本実施形態では、先端側パッキン8は、例えば、鉄製の板状リングである(他の材料(例えば、銅等の金属材料)も採用可能である)。張り出し部56は、パッキン8を介して間接的に、絶縁体10の縮外径部16を前方向Df側から支持している。なお、パッキン8は、省略されてもよい。この場合、張り出し部56(具体的には、張り出し部56の後面56r)は、絶縁体10の縮外径部16に接触してよい。すなわち、張り出し部56は、直接的に、絶縁体10を支持してよい。
主体金具50の工具係合部51より後端側には、主体金具50の後端を形成するとともに工具係合部51と比べて薄肉の部分である後端部53が形成されている。また、中胴部54と工具係合部51との間には、中胴部54と工具係合部51とを接続する接続部58が形成されている。接続部58は、中胴部54と工具係合部51と比べて薄肉の部分である。主体金具50の工具係合部51から後端部53にかけての内周面と、絶縁体10の後端側胴部13の外周面との間には、円環状のリング部材61、62が挿入されている。さらに、これらのリング部材61、62の間には、タルク70の粉末が充填されている。点火プラグ100の製造工程において、後端部53が内側に折り曲げられて加締められると、接続部58が圧縮力の付加に伴って外向きに変形し、この結果、主体金具50と絶縁体10とが固定される。タルク70は、この加締め工程の際に圧縮され、主体金具50と絶縁体10との間の気密性が高められる。また、パッキン8は、絶縁体10の縮外径部16と主体金具50の張り出し部56との間で押圧され、そして、主体金具50と絶縁体10との間をシールする。
接地電極30は、金属製の部材であり、棒状の本体部37を有している。本体部37の端部33(基端部33とも呼ぶ)は、主体金具50の先端面55に接合されている(例えば、抵抗溶接)。本体部37は、主体金具50に接合された基端部33から先端方向Dfに向かって延び、中心軸CLに向かって曲がり、軸線CLに交差する方向に延びて、先端部34に至る。接地電極30の先端部34と、中心電極20の第1チップ29とは、ギャップgを形成している。すなわち、接地電極30の先端部34は、中心電極20の第1チップ29の前方向Df側に配置されており、第1チップ29とギャップgを介して対向している。なお、本体部37の先端部34には、第1チップ29と同様の第2チップが接合されてもよい。そして、第1チップ29と第2チップとが、放電ギャップgを形成してもよい。
本体部37は、外層31と、外層31の内周側に配置された内層32と、を有している。外層31は、内層32よりも耐酸化性に優れる材料(例えば、ニッケルを主成分として含む合金)で形成されている。内層32は、外層31よりも熱伝導率が高い材料(例えば、純銅、銅を主成分として含む合金、等)で形成されている。なお、内層32は、省略されてもよい。
図3(A)〜図3(D)は、点火プラグ100の電極20、30を含む一部分の概略図である。図3(A)は、後述する第1方向D1に垂直な投影面上に点火プラグ100を投影して得られる投影図であり、図3(B)は、後述する第2方向に垂直な投影面上に点火プラグ100を投影して得られる投影図であり、図3(C)は、軸線CLに垂直な投影面上に点火プラグ100を軸線CLに平行に投影して得られる投影図である。図中の方向D1、D2、D3は、それぞれ、軸線CLに垂直な方向である。これらの方向D1、D2、D3の詳細については、後述する。
図3(A)の投影図は、第1方向D1に垂直な投影面上に点火プラグ100を第1方向D1に向かって投影して得られる投影図である。第1方向D1は、接地電極30のうちの主体金具50に接合された端部33における内周側(すなわち、軸線CL側)の外面326に平行、かつ、軸線CLに垂直な方向である。
本実施形態では、接地電極30は、主体金具50の先端面55に、溶接(例えば、抵抗溶接)によって、接合されている。接地電極30と主体金具50との間には、接地電極30と主体金具50とを接合する接合部が形成され得る(図示省略)。接合部は、溶接時に接地電極30と主体金具50との溶融した部分が冷えて固まった部分である(溶融部とも呼ぶ)。このような接合部は、接地電極30と主体金具50とが一体化した部分である。また、接合部は、接地電極30と主体金具50とのそれぞれの成分を含んでいる。接合部の形状は、複数の点火プラグ100の間で、個々に異なり得る。接地電極30の基端33sは、接地電極30から接合部を除いた残りの部分のうち、主体金具50に直接的または接合部を介して間接的に接合された面を示している。基端部33は、基端33sを含む端部である。
図示するように、接地電極30の本体部37は、主体金具50に接合された端33sから、前方向Dfに向かって延び、そして、軸線CLに向かって曲がり、軸線CLに交差する方向に延びて、端34sへ至る。先端部34は、端34sを含む端部である。絶縁体10の先端10sは、主体金具50の先端面55よりも前方向Df側に位置している。そして、接地電極30の本体部37は、主体金具50の先端面55から絶縁体10の先端10sよりも前方向Df側まで延びている。
図3(A)には、中心電極20の放電面20sと、接地電極30の放電面30sとが、示されている。本実施形態では、中心電極20の放電面20sは、第1チップ29の前方向Df側の面であり、前方向Df側を向いている。本実施形態では、放電面20sは、軸線CLにおおよそ垂直な平面である。また、接地電極30の放電面30sは、先端部34の後方向Dfr側の面であり、後方向Dfr側を向いている。本実施形態では、放電面30sは、軸線CLにおおよそ垂直な平面である。これらの放電面20s、30sが、放電ギャップgを形成している。接地電極30の放電面30sは、中心電極20の放電面20sよりも、前方向Df側に配置されている。なお、放電面20sの少なくとも一部が、軸線CLに対して斜めに傾斜してよい。同様に、放電面30sの少なくとも一部が、軸線CLに対して斜めに傾斜してよい。
図3(C)の投影図は、軸線CLに垂直な投影面上に点火プラグ100を軸線CLに平行に投影して得られる投影図である。図3(C)の投影図では、接地電極30の基端部33の軸線CLに垂直な断面33xが、ハッチングで示されている。図3(D)の投影図は、図3(C)の投影図のうちの接地電極30を点線で示したものである。図3(D)の下部には、この断面33xの拡大図が示されている。断面33xは、接地電極30のうちの基端33sの近傍の部分の軸線CLに垂直な断面である。具体的には、この断面33xは、接地電極30の基端部33の軸線CLに垂直な断面であり、その断面内に図示しない接合部と主体金具50とが含まれず、かつ、最も後方向Dfrに位置する断面である。すなわち、断面33xは、基端33sとは交差せずに、基端33sの前方向Df側に接する断面である。以下、接地電極30のこのような断面33xを、基端部断面33xとも呼ぶ。なお、図3(C)、図3(D)の投影面上において、基端33sは、断面33xに、おおよそ一致する。
図3(D)に示すように、本実施形態では、断面33xの輪郭OLの形状は、4つの辺S1〜S4で構成される台形である。第1辺S1は、軸線CL側の辺である。第1辺S1は、接地電極30の軸線CL側の面である外面326を示している。第1方向D1は、この第1辺S1に平行な方向である。第3方向D3は、第1方向D1に反対の方向である。第2辺S2は、第1辺S1の第1方向D1側の端V1に接続された辺である。第3辺S3は、第1辺S1の第3方向D3側の端V2に接続された辺である。第2辺S2と第3辺S3とは、それぞれ、第1辺S1に略垂直である。また、第2辺S2の長さは、第3辺S3の長さよりも、長い。第4辺S4は、第2辺S2の外周側(具体的には、軸線CLを中心とする円の外周側)の端V3と第3辺S3の外周側の端V4とに、接続されている。
図中には、第1仮想直線L1が示されている。第1仮想直線L1は、図3(D)の投影面上において、第1辺S1の中点S1mと軸線CLとを結ぶ直線である。第1辺S1の中点S1mは、第1辺S1を二等分する点である。第1辺S1は、この第1仮想直線L1に対して、斜めに傾斜している。図中の角度AGは、第1辺S1と第1仮想直線L1との成す角度であり、第1仮想直線L1の第1方向D1側と第1辺S1の軸線CL側との間の角度である。本実施形態では、角度AGは、90度未満である。方向Dcは、第1辺S1の中点S1mから、第1仮想直線L1に沿って、軸線CLに向かう方向である(中心方向Dcとも呼ぶ)。角度AGは、第1方向D1と中心方向Dcとの成す角度である。
図3(D)には、第2仮想直線L2が示されている。第2仮想直線L2は、図3(D)の投影面上において、軸線CLを通り、かつ、第1方向D1に垂直な直線である(以下、このような直線L2を、基準直線L2とも呼ぶ)。上述したように第1辺S1は第1仮想直線L1に対して斜めに傾斜しているので、接地電極30の断面33x(ひいては、基端33s)は、基準直線L2を挟む両側のうちの一方側にずれた位置(ここでは、基準直線L2よりも第3方向D3側の位置)に配置されている。このように、軸線CLに垂直な投影面(図3(D))上において、接地電極30の基端部33は、接地電極30の外面326を表す第1辺S1に垂直かつ軸線CLを通る基準直線L2に対して、外面326に平行な第3方向D3側にずれた位置に、配置されている。すなわち、接地電極30は、主体金具50の先端面55上の、上記のように第3方向D3側にずれた位置に、接合されている。
また、図3(A)で説明したように、接地電極30は、主体金具50の先端面55から軸線CL側に向かって延びている。図3(C)に示す投影面上では、接地電極30は、第1方向D1に垂直な第2方向D2に向かって、延びている。接地電極30は、接地電極30の軸線CL側の外面326が、第1方向D1に平行な状態を維持しつつ、軸線CL側に向かって曲がるように、構成されている。すなわち、接地電極30の外面326は、基端部33から、軸線CLに垂直な方向に捻れずに、先端部34まで延びている。
このように、接地電極30の基端部33は、主体金具50の先端面55上において、軸線CLに対して第1辺S1に平行な方向にずれた位置(ここでは、第3方向D3側にずれた位置)で、接合されている。そして、接地電極30は、このような基端部33から、軸線CLに向かう中心方向Dcではなく、中心方向Dcから第3方向D3側に傾斜した第2方向D2に向かって、延びている。そして、接地電極30の先端部34は、中心電極20の放電面20sから第3方向D3側にずれた位置に、配置されている。
図3(B)の投影図は、第2方向D2に垂直な投影面上に点火プラグ100を第2方向D2に向かって投影して得られる投影図である。図3(B)には、放電ギャップgでの放電によって生じた火炎が拡がる方向D9の例が示されている。接地電極30の先端部34は、火炎に接触することによって、火炎の拡がりを抑制し得る。図3(D)で説明したように、本実施形態では、先端部34は、中心電極20の放電面20sに対して、第3方向D3側にずれた位置に配置されている。従って、接地電極30の先端部34の反対側(ここでは、第1方向D1側)では、放電ギャップgで生じた火炎は、前方向Df側に向かって(すなわち、燃焼室790(図1(B))の中央部分に向かって)、容易に拡がることができる。このように接地電極30による消炎作用が抑制される。この結果、着火性が向上する。
上述したように、第1辺S1(図3(D))は、第1仮想直線L1に対して、斜めに傾斜している。従って、接地電極30の基端33sは、基準直線L2に対して第1辺S1に平行な方向にずれた位置(ここでは、基準直線L2から第3方向D3にずれた位置)に配置されている。この結果、接地電極30の外面326を捻らずに、第1方向D1に垂直な第2方向D2に向けて外面326が曲がるように、接地電極30を構成することによって、容易に、接地電極30の先端部34を、中心電極20の放電面20sに対してずれた位置(ここでは、放電面20sから第3方向D3にずれた位置)に配置できる。これにより、着火性を容易に向上できる。
また、図3(D)で説明した第2辺S2は、第3辺S3よりも軸線CL側の辺である。第1辺S1に接続された2つの辺S2、S3のうち、軸線CL側の第2辺S2が、反対側の第3辺S3よりも、長い。断面33xの幅(ここでは、第1辺S1に垂直な方向の幅)は、第1方向D1に反対の第3方向D3に向かって、小さくなる。従って、接地電極30の基端33sが、基準直線L2に対して第3方向D3にずれた位置で、主体金具50の先端面55に接合される場合に、接地電極30の基端33sが、主体金具50の先端面55の外にはみ出ることが抑制される。仮に、接地電極30の端(具体的には、端面)が主体金具50の先端面55の外にはみ出る場合、接地電極30の端面のうちのはみ出た部分の酸化が進行することによって、接地電極30の耐久性が低下し得る。本実施形態では、接地電極30の端面(ここでは、基端33s)の全体は、主体金具50の先端面55内に配置されており、接地電極30の端面は、主体金具50の先端面55の外にはみ出ていない。従って、接地電極30の耐久性を向上できる。
また、本実施形態では、軸線CL側の第2辺S2が、反対側の第3辺S3よりも、長い。従って、接地電極30の基端33sが主体金具50の先端面55の外にはみ出ないという条件下において、断面が矩形状である場合(例えば、第4辺S4が第1辺S1に平行である場合)と比べて、断面33xの面積(ひいては、主体金具50に接合された基端33sの面積)を、増大できる。これにより、接地電極30から主体金具50への熱引きが促進されるので、接地電極30の消耗が抑制される。また、主体金具50と接地電極30との接合の強度を向上できる。また、基端33sの面積が大きい場合には、本体部37を容易に太くできるので、本体部37(ひいては、接地電極30)の耐久性を容易に向上できる。
また、図3(C)の投影図に示すように、中心電極20の放電面20sの全体は、接地電極30の放電面30sに重ならない位置に配置されている。従って、接地電極30の先端部34の反対側(ここでは、第1方向D1側)では、中心電極20の放電面20sの近傍で生じた火炎は、前方向Df側に向かって(すなわち、燃焼室790(図1(B))の中央部分に向かって)、容易に拡がることができる。このように接地電極30による消炎作用が抑制される。この結果、着火性が向上する。
図3(A)〜図3(D)には、方向Dpが示されている。図1(B)で説明したように、電極20、30の近傍において、ガスは、方向Dpに流れ得る。接地電極30は、放電ギャップgの近傍におけるガスの流れに影響を与え得る。従って、燃焼室790に対する接地電極30の周方向の位置(すなわち、軸線CLを中心とする点火プラグ100の周方向の向き)に応じて、内燃機関の性能が変化し得る。内燃機関700によっては、点火プラグ100の好ましい周方向の向きが予め決められている場合がある。図3(A)〜図3(D)の方向Dpは、点火プラグ100の周方向の向きが好ましい向きに調整された場合の、点火プラグ100に対する方向Dpの例を示している。本実施形態では、図3(C)に示すように、方向Dpは、第1方向D1と、おおよそ同じである。点火プラグ100の周方向の向きは、接地電極30の基端部33が、軸線CLを基準として、方向Dpに交差する方向側に位置するように、調整される。本実施形態では、接地電極30の基端部33は、軸線CLを基準として、第2方向D2に反対の方向側に、配置されている。これにより、接地電極30が、ガスの流れを妨げることが、抑制される。
なお、燃焼室790(すなわち、内燃機関700)に対する点火プラグ100の周方向の適切な向きを特定する方法は、任意の方法であってよい。例えば、内燃機関700のエンジンヘッド710にマークが設けられてよい。そして、点火プラグ100に設けられたマークがエンジンヘッド710のマークの方向を向く場合に、点火プラグ100の周方向の向きが適切であることとしてよい。点火プラグ100のマークは、例えば、絶縁体10の後端側胴部13に印刷されたマークであってよく、また、主体金具50に設けられた刻印であってもよい。
また、本実施形態では、第1方向D1は、ガス方向Dpと、おおよそ同じである。そして、図3(B)、図3(C)に示すように、接地電極30の先端部34は、軸線CL(ひいては、中心電極20の放電面20s)に対して、このガス方向Dpとは反対の方向側にずれた位置に配置されている。燃焼室内でガスがガス方向Dpに流れる場合には、火花放電、ひいては、火炎は、放電ギャップgからガス方向Dp側に向かって流される。ここで、接地電極30の先端部34は、中心電極20の放電面20sに対して、ガス方向Dpとは反対の方向側(ここでは、第3方向D3側)にずれた位置に配置されている。従って、火炎は、接地電極30の先端部34のガス方向Dp側(ここでは、第1方向D1側)において、前方向Dfに向かって(すなわち、燃焼室790(図1(B))の中央部分に向かって)、容易に拡がることができる。このように接地電極30による消炎作用が抑制される。この結果、着火性が向上する。
なお、図3(B)には、距離dg、da、dbが示されている。距離dgは、放電ギャップgの最短距離である(最短距離dgとも呼ぶ)。距離daは、中心電極20のうちの絶縁体10から突出した部分の長さである(第1突出長daと呼ぶ)。第1突出長daは、絶縁体10の先端10sと中心電極20の先端である放電面20sとの間の、軸線CLに平行な方向の距離である。距離dbは、絶縁体10のうちの主体金具50から突出した部分の長さである(第2突出長dbとも呼ぶ)。第2突出長dbは、主体金具50の先端面55と絶縁体10の先端10sとの間の、軸線CLに平行な方向の距離である。
以上のような接地電極30は、例えば、以下に説明するように製造される。本体部37に相当する棒状の部材を製造する。この棒状の部材の断面形状は、図3(D)に示す断面33xの形状と同じである。このような棒状の部材としては、例えば、伸線ダイスを用いる線引きによって形成される線材を、採用してよい。伸線ダイスとしては、断面33xと同じの形状の部分を含む貫通孔を形成するダイスが用いられる。そして、棒状の部材のうちの端33sに対応する端を、主体金具50の先端面55に接合する(例えば、抵抗溶接)。そして、棒状の部材の途中の部分を、図3(A)に示す本体部37のように、軸線CL側に向けて曲げる。例えば、直線状の縁を形成する治具が準備され、治具の縁が面326上に接触した状態で、棒部材が曲げられる。そして、本体部37の曲がりを調整することによって、放電ギャップgの距離を調整する。点火プラグ100の他の部分の製造方法は、公知の任意の方法であってよい。
B.評価試験:
点火プラグ100のサンプルを用いて、接地電極30の耐久試験が行われた。図4は、サンプルの番号と、断面33x(図3(D))の面積である断面積S(単位は、mm2)と、評価結果Rと、の対応関係を示す表である。図示するように、断面積Sが互いに異なる10種類のサンプルが、評価された。各サンプルの間では、本体部37の断面の形状、具体的には、図3(D)に示す第4辺S4の第2方向D2の位置が、互いに異なっている。図3(D)の投影面上における、第1辺S1の位置と、第1辺S1に対する第4辺S4の傾きとは、10種類のサンプルの間で同じである。このように、10種類のサンプルの間では、接地電極30の本体部37の太さが異なっている。点火プラグ100の他の部分の構成は、10種類のサンプルの間で、共通である。例えば、10種類のサンプルの間で、以下の構成は、共通であった。
ギャップg(図3(B))の最短距離dg=1.05mm
中心電極20(図3(B))の第1突出長da=3mm
絶縁体10(図3(B))の第2突出長db=2mm
主体金具50のネジ径=M14
中心電極20の放電面20sの外径=0.6mm
接地電極30の本体部37の組成:ニッケル95wt%、その他の元素5wt%
耐久試験の方法は、以下の通りである。排気量が1300ccであるガソリンエンジンに、点火プラグ100のサンプルが装着された。そして、スロットル全開、かつ、5000rpmの回転速度で、300時間に亘ってエンジンを駆動した。この300時間の試験運転の間に、接地電極30が折損したか否かが、評価された。Aの評価結果Rは、接地電極30が折損しなかったことを示し、Bの評価結果Rは、接地電極30が折損したことを示している。なお、接地電極30の折損は、接地電極30の曲がった部分で生じた。
図4に示すように、断面積Sが1.00mm2以下である1番から3番のサンプルの評価結果Rは、B評価であった。断面積Sが1.20mm2以上である4番から10番のサンプルの評価結果Rは、A評価であった。このように、断面積Sが大きい場合に、接地電極30の耐久性が向上した。このように、断面積Sは、1.20mm2以上であることが好ましい。
A評価を実現した4番から10番のそれぞれの断面積Sは、それぞれ、1.20、1.40、1.60、1.80、2.00、2.20、2.40(mm2)であった。断面積Sの好ましい範囲を、上記の7個の値を用いて定めてもよい。具体的には、7個の値のうちの任意の値を、断面積Sの好ましい範囲の下限として採用してよい。例えば、断面積Sは、1.20mm2以上であってよい。また、これらの値のうち下限以上の任意の値を、断面積Sの上限として採用してもよい。例えば、断面積Sは、2.40mm2以下であってよい。なお、接地電極30の断面積Sが大きいほど、接地電極30の耐久性は、向上する。従って、断面積Sは、2.40mm2を、超えてもよい。一般的には、断面積Sの上限は、主体金具50の先端面55の大きさ(例えば、外径と内径と径方向の幅)によって、制限される。
なお、断面33xの断面積Sが上記の好ましい範囲内にある場合、点火プラグ100の他の部分の構成に依存せずに、接地電極30の耐久性が向上すると推定される。従って、断面積Sの好ましい範囲は、種々の構成の点火プラグ(例えば、後述する種々の実施形態の点火プラグ)に適用できると推定される。
C.別の実施形態:
図5(A)〜図5(D)は、それぞれ、点火プラグの別の実施形態を示す説明図である。図5(A)〜図5(D)は、それぞれ、図3(D)と同じ投影面上の投影図を、示している。先ず、図5(A)〜図5(C)の3種類の実施形態について説明し、図5(D)の実施形態については、後述する。
図5(A)〜図5(C)の3種類の実施形態と、図3(D)の実施形態と、の間の差異は、接地電極30a〜30cの本体部37a〜37cの断面形状が異なっている点だけである。図5(A)〜図5(C)の点火プラグ100a〜100cの他の部分の構成は、図3(D)の点火プラグ100の対応する部分の構成と、同じである(対応する部分と同じ部分には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
図5(A)の実施形態の構成は、以下の通りである。図5(A)の下部には、接地電極30aの基端部33aの軸線CLに垂直な基端部断面33xaが、拡大して示されている。図示するように、断面33xaの輪郭OLaの形状は、5つの辺S1、S2a、S3、S4a、S5aで構成される5角形である。第1辺S1と第3辺S3とは、図3(D)の第1辺S1と第3辺S3と、それぞれ同じである。第1辺S1の端V1に接続された第2辺S2aは、図3(D)の第2辺S2と比べて、短い。なお、第2辺S2aは、第3辺S3よりも長く、第1辺S1に略垂直である。第3辺S3の外周側の端V4には、第4辺S4aが接続されている。第4辺S4aは、第1辺S1に対して斜めに傾斜しており、第4辺S4aと第1辺S1との間の距離は、第1方向D1に向かって徐々に大きくなっている。第2辺S2aの外周側の端V3aには、第5辺S5aが接続されている。第5辺S5aは、第1辺S1に略平行である。そして、第4辺S4aの第1方向D1側の端V5aに、第5辺S5aが接続されている。
図5(B)の実施形態の構成は、以下の通りである。図5(B)の下部には、接地電極30bの基端部33bの軸線CLに垂直な基端部断面33xbが、拡大して示されている。図示するように、断面33xbの輪郭OLbの形状は、図5(A)の断面33xaの辺S4a、S5aを、曲線S4bに置換して得られる形状と、同じである。辺S1、S2a、S3は、図5(A)の辺S1、S2a、S3と、それぞれ同じである。曲線S4bは、第2辺S2aの外周側(具体的には、軸線CLを中心とする円の外周側)の端V3aと、第3辺S3の外周側の端V4とを接続している。曲線S4bの形状は、断面33xbの外側に向かって膨らむ凸な形状である。
図5(C)の実施形態の構成は、以下の通りである。図5(C)の下部には、接地電極30cの基端部33cの軸線CLに垂直な基端部断面33xcが、拡大して示されている。図示するように、断面33xcの輪郭OLcの形状は、図5(A)の断面33xaの辺S4a、S5aを、曲線S4cに置換して得られる形状と、同じである。辺S1、S2a、S3は、図5(A)の辺S1、S2a、S3と、それぞれ同じである。曲線S4cは、第2辺S2aの外周側(具体的には、軸線CLを中心とする円の外周側)の端V3aと、第3辺S3の外周側の端V4とを接続している。曲線S4cの形状は、断面33xbの内側に向かって凹む凹な形状である。
図5(A)、図5(B)、図5(C)のいずれの実施形態においても、接地電極30a、30b、30cの本体部37a、37b、37cは、断面形状が断面33xa、33xb、33xcの形状と同じである棒部材を用いて形成され得る。接地電極30a、30b、30cの基端33sa、30sb、30scは、主体金具50の先端面55に接合されている。断面33xa、33xb、33xcは、図3(D)で説明した断面33xと同様の断面であり、基端33sa、33sb、33scとは交差せずに、基端33sa、33sb、33scの前方向Df側に接する断面である。図5(A)、図5(B)、図5(C)の投影面上において、基端33sa、33sb、33scは、断面33xa、33xb、33xcに、おおよそ一致する。接地電極30a、30b、30cの反対側の端34sa、34sb、34scを含む先端部34a、34b、34cは、図3(D)の先端部34と同様に、放電面30sを形成する。
以上のように、図5(A)、図5(B)、図5(C)の点火プラグ100a、100b、100cの構成は、接地電極30a、30b、30cの外周側(具体的には、軸線CLを中心とする円の外周側)の外面の形状が異なっている点を除いて、図3(A)〜図3(D)の点火プラグ100の構成と、同じである。従って、これらの点火プラグ100a、100b、100cは、点火プラグ100と同様に、種々の利点を実現できる。
例えば、断面33xa、33xb、33xcの第1辺S1は、第1仮想直線L1に対して、斜めに傾斜しており、角度AGは、90度未満である。すなわち、接地電極30a、30b、30cの基端33sa、33sb、33scは、基準直線L2に対してずれた位置(ここでは、基準直線L2から第3方向D3にずれた位置)に配置されている。これにより、接地電極30a、30b、30cの先端部34a、34b、34cを、中心電極20の放電面20sに対してずれた位置(ここでは、放電面20sから第3方向D3にずれた位置)に、容易に、配置できる。すなわち、接地電極30a、30b、30cの消炎作用を、容易に、抑制できる。そして、着火性を、容易に、向上できる。
また、図5(A)、図5(B)、図5(C)の投影図において、中心電極20の放電面20sの全体は、接地電極30a、30b、30cの放電面30sに重ならない位置に配置されている。従って、図3(B)の実施形態と同様に、接地電極30a、30b、30cの先端部34a、34b、34cの第1方向D1側では、火炎は、前方向Df側に向かって(すなわち、燃焼室790(図1(B))の中央部分に向かって)、容易に拡がることができる。このように接地電極30a、30b、30cによる消炎作用が抑制される。この結果、着火性が向上する。
また、図5(A)、図5(B)、図5(C)のいずれの実施形態においても、図3(D)の実施形態と同様に、断面33xa、33xb、33xcの幅(ここでは、第1辺S1に垂直な方向の幅)は、第1方向D1に反対の第3方向D3に向かって、小さくなる。従って、接地電極30a、30b、30cの基端33sa、33sb、33scが、基準直線L2に対して第3方向D3にずれた位置で、主体金具50の先端面55に接合される場合に、基端33sa、33sb、33scが、主体金具50の先端面55の外にはみ出ることが抑制される。これにより、接地電極30a、30b、30cの耐久性を向上できる。また、基端33sa、33sb、33scが主体金具50の先端面55の外にはみ出ないという条件下において、接地電極30の断面が矩形状である場合と比べて、断面33xa、33xb、33xcの面積(ひいては、基端33sa、33sb、33scの面積)を、増大できる。これにより、接地電極30a、30b、30cの耐久性を向上できる。
なお、図5(A)、図5(B)、図5(C)の各実施形態において、接地電極30a、30b、30cの外面326の構成は、図3(A)〜図3(D)の接地電極30の外面326の構成と、同じである。すなわち、接地電極30a、30b、30cは、接地電極30と同様に、外面326を捻らずに、第1方向D1に垂直な第2方向D2に向けて外面326が曲がるように、構成されている。従って、接地電極30と同様に、外面326に対応する外面を有する棒状の部材を用いて、容易に、接地電極30a、30b、30cを形成できる。
次に、図5(D)の実施形態について、説明する。図5(D)の点火プラグ100dの構成は、図3(D)の点火プラグ100の接地電極30と主体金具50の先端面55との接合位置を、第1方向D1側に移動させて得られる構成と、同じである。点火プラグ100dのうち、この接合位置以外の部分の構成は、図3(D)の点火プラグ100の対応する部分の構成と、同じである(対応する部分と同じ部分には、同じ符号を付して、説明を省略する)。
図5(D)の実施形態では、図3(D)の実施形態と比べて、接地電極30の基端33sは、第1方向D1側に位置している。すなわち、図5(D)の投影面上において、接地電極30の先端部34は、中心電極20に近い位置に、配置されている。ただし、本実施形態においても、第1辺S1は、第1仮想直線L1に対して斜めに傾斜しており、角度AGは、90度未満である。接地電極30の基端33sは、基準直線L2に対してずれた位置(ここでは、基準直線L2から第3方向D3にずれた位置)に配置されている。これにより、接地電極30の先端部34を、中心電極20の放電面20sに対してずれた位置(ここでは、放電面20sから第3方向D3にずれた位置)に、容易に、配置できる。すなわち、接地電極30の消炎作用を、容易に、抑制できる。そして、着火性を、容易に、向上できる。
また、図5(D)の投影面上において、中心電極20の放電面20sのうち、第3方向D3側の一部分は、接地電極30の放電面30sに重なる位置に配置されている。中心電極20の放電面20sのうち、第1方向D1側の一部分は、接地電極30の放電面30sに重ならない位置に配置されている。このように、中心電極20の放電面20sの一部は、接地電極30の放電面30sに重ならない位置に配置されている。従って、図3(B)の実施形態と同様に、接地電極30の先端部34の第1方向D1側では、火炎は、前方向Df側に向かって(すなわち、燃焼室790(図1(B))の中央部分に向かって)、容易に拡がることができる。このように接地電極30による消炎作用が抑制される。この結果、着火性が向上する。
なお、図5(D)の点火プラグ100dの構成は、接地電極30と主体金具50との接合位置が異なっている点を除いて、図3(A)〜図3(D)の点火プラグ100の構成と、同じである。従って、この点火プラグ100dは、点火プラグ100と同様に、種々の利点を実現できる。
D.変形例:
(1)接地電極の構成としては、上記の構成に代えて、他の種々の構成を採用してよい。例えば、図5(A)〜図5(C)の実施形態において、図5(D)の実施形態と同様に、中心電極20の放電面20sの一部が接地電極30a、30b、30cの放電面30sに重なってもよい。また、接地電極の基端近傍の断面であって軸線CLに垂直な基端部断面の形状は、図3(D)、図5(A)〜図5(C)に示す基端部断面33x、33xa、33xb、33xcの形状に代えて、他の種々の形状であってよい。例えば、図5(A)の第2辺S2aの端V3aと第3辺S3の端V4とを接続する輪郭線は、2以上の頂点を形成する折れ線であってもよい。一般的には、基端部断面の輪郭は、接地電極の内周側の外面を表す第1辺と、第1辺の一端に接続される第2辺と、第1辺の他端に接続される第3辺と、を含む種々の形状の輪郭であってよい。そして、輪郭のうち、第2辺の外周側(軸線CLを中心とする円の外周側)の端と、第3辺の外周側の端と、を接続する部分の形状は、種々の形状であってよい。
いずれの場合も、第1辺は、第1辺の中点と軸線とを結ぶ直線に対して斜めに傾斜していることが好ましい。この構成によれば、接地電極の基端は、軸線に対して第1辺に平行な方向にずれた位置で、主体金具の先端面に接合される。この結果、接地電極の先端部を、中心電極の放電面に対して基端のずれの方向と同じ方向にずれた位置に、容易に配置できる。例えば、図3(D)の実施形態では、接地電極30の基端33sは、軸線CLに対して第1辺S1に平行な第3方向D3にずれた位置で主体金具50の先端面55に接合されている。そして、接地電極30の先端部34は、中心電極20の放電面20sに対して同じ第3方向D3にずれた位置に配置されている。これにより、接地電極の消炎作用が抑制されるので、着火性を容易に向上できる。
また、基端部断面の輪郭が、接地電極の内周側の外面を表す第1辺と、第1辺の一端に接続される第2辺と、第1辺の他端に接続される第3辺と、を含む場合、第1辺によって表される外面が、捻られずに、第1辺に垂直な方向に向かって曲がるように、接地電極が構成されていることが好ましい。すなわち、軸線CLに垂直な投影面上において、接地電極は、基端から、第1辺に垂直な方向に向かって、伸びていることが好ましい。例えば、図3(D)の実施形態では、第1辺S1によって表される外面326が、捻られずに、第1辺S1に垂直な第2方向D2に向かって曲がるように、接地電極30が構成されている。そして、図3(D)の投影図において、接地電極30は、基端33sから、第1辺S1に垂直な第2方向D2に向かって、延びている。この構成によれば、中心電極の放電面からずれた位置に配置される放電面を形成する接地電極を、容易に形成できる。これにより、着火性を向上できる。
さらに、第2辺の長さは、第3辺の長さと異なっていることが好ましい。この構成によれば、接地電極の基端が軸線に対して第1辺に平行な方向にずれている場合であっても、接地電極の基端が主体金具の先端面の外にはみ出ることを、容易に抑制できる。この結果、接地電極の耐久性を向上できる。
なお、軸線CLに垂直な投影面上において、第1辺の中点と軸線とを結ぶ直線(例えば、図3(D)の第1仮想直線L1)に対する第1辺の傾斜の方向は、右と左とのいずれであってもよい。例えば、図3(D)の投影図において、基端33sは、基準直線L2から左側にずれた位置に配置されてもよい。すなわち、中心方向Dcは、第1辺S1の中点S1mから、右上に向かう方向であってよい。いずれの場合も、接地電極の基端部断面が、軸線CLを通り第1辺に垂直な基準直線(例えば、図3(D)の基準直線L2)を挟む両側のうち一方側にずれた位置に配置される場合、第2辺と第3辺のうちの基準直線から比較的遠い辺が、基準直線に比較的近い辺よりも、短いことが好ましい。例えば、図3(D)の実施形態では、第2辺S2と第3辺S3とのうち、基準直線L2に比較的遠い第3辺S3が、基準直線L2に比較的近い第3辺S3よりも、短い。この構成によれば、接地電極の基端が主体金具の先端面の外にはみ出ることを抑制しつつ、基端部断面の面積、ひいては、基端の面積を、増大できる。これにより、接地電極の耐久性を向上できる。
そして、基端部断面の第1辺に垂直な方向の幅は、基準直線からの基端部断面のずれ方向に向かって、小さくなることが好ましい。例えば、図3(D)の実施形態では、基端部断面33xは、基準直線L2から、第3方向D3側にずれた位置に、配置されている。そして、基端部断面33xの幅は、第3方向D3に向かって、小さくなる。この構成によれば、接地電極の基端が主体金具の先端面の外にはみ出ることを抑制しつつ、基端部断面の面積、ひいては、基端の面積を、適切に、増大できる。これにより、接地電極の耐久性を向上できる。
なお、基端部断面は、基準直線に重なる位置に配置されていてもよい。いずれの場合も、第1辺の中点が基準直線から離れている、すなわち、第1辺が第1辺の中点と軸線とを結ぶ直線に対して斜めに傾斜している場合には、基端部断面は、基準直線を挟む両側のうち一方側にずれた位置に配置されていると言える。
また、基端部断面の輪郭のうち、第1辺と第2辺との接続部分は、丸められてもよく、また、第1辺と第3辺との接続部分は、丸められてもよい。この場合、基端部断面の輪郭のうちの第1辺としては、接地電極の内周側の外面を表す部分のうちの直線部分を採用してよい。また、第2辺と第3辺のそれぞれとしても、直線部分を採用してよい。
また、基端部断面の輪郭において、第2辺は、第1辺に垂直であることが好ましく、また、第3辺は、第1辺に垂直であることが好ましい。この構成によれば、断面形状が矩形状である角棒に似た形状の棒部材を用いて、容易に、接地電極を形成できる。例えば、角棒の4つの側面のうちの1つの側面を、目的の断面形状を実現するように加工(例えば、切削やプレス加工)することによって、接地電極の形成に利用される棒部材を準備できる。なお、棒部材を準備する方法は、他の任意の方法であってよい。例えば、伸線ダイスを用いる線引きによって、棒部材が準備されてもよい。
いずれの場合も、接地電極の先端部と基端部との間で断面形状が異なっていてもよい。例えば、図3(D)の実施形態において、断面形状が矩形状の棒部材を用いて接地電極が形成され、そして、基端部33に対応する部分のみが、図示された基端部断面33xを実現するように、加工されてよい。この場合、先端部34の断面形状は矩形状であり、基端部33の断面形状は、図示された基端部断面33xの形状である。
いずれの場合も、基端部断面の面積が1.20mm2以上であることが好ましい。この構成によれば、接地電極の耐久性を向上できる。
(2)接地電極の本体部の先端部には、中心電極20の第1チップ29と同様の第2チップが接合されてもよい。そして、第1チップ29によって形成される放電面20sと第2チップによって形成される放電面とが、放電ギャップgを形成してもよい。この場合も、軸線に垂直な投影面上に軸線に平行に点火プラグを投影する場合に、中心電極20の放電面20sの少なくとも一部は、接地電極の放電面に重ならない位置に配置されていることが好ましい。この構成によれば、火炎に対する接地電極による消炎作用が抑制されるので、着火性を向上できる。
より一般的には、接地電極のうちの放電面の前方向Df側に位置する部分は、放電面よりも大きくてよい。そして、主体金具の軸線CLに垂直な投影面上に、軸線CLに平行に点火プラグを投影する場合に、中心電極の放電面のうちの少なくとも一部が、接地電極の放電面に重ならず、かつ、接地電極のうち放電面の前方向Df側の大きい部分に重なってよい。例えば、図3(A)の実施形態において、接地電極30の先端部34の後方向Dfr側の面に、放電面を形成する小さいチップが接合されてよい(図示省略)。この場合、チップによって形成される放電面の前方向Df側には、放電面よりも大きい先端部34が配置される。そして、図3(C)の投影図において、中心電極20の放電面20sが、接地電極のチップの放電面に重ならず、かつ、先端部34に重なってよい。この場合も、先端部34は、接地電極のチップよりも前方向Df側に配置されている。すなわち、軸線CLに垂直な投影面上に点火プラグを投影する場合に、接地電極のうちの中心電極の放電面に重なる部分(例えば、先端部34)は、接地電極の放電面よりも放電ギャップgから遠い位置に配置されている。従って、接地電極による消炎作用は、抑制される。
いずれの場合も、電極の放電面は、例えば、以下のように特定されてよい。空気が充填されたチャンバー内に点火プラグを配置し、高電圧の印加によって接地電極と中心電極との間で火花放電を発生させる。ここで、接地電極の外面のうち火花放電が生じ得る部分が、接地電極の放電面に対応し、中心電極の外面のうち火花放電が生じ得る部分が、中心電極の放電面に対応する。このように、ガス流の無い環境下において、放電面が特定されてよい。
(3)内燃機関の燃焼室における点火プラグの周方向の向きは、種々の方向であってよい。例えば、上記各実施形態において、ガスの流れる方向は、第1方向D1とは異なる方向であってよい。いずれの場合も、軸線CLに垂直な投影図(例えば、図3(D))において、接地電極の基端部断面の第1辺は、第1辺の中点と軸線とを結ぶ直線に対して斜めに傾斜している。このように、接地電極の基端は、軸線に対して第1辺に平行な方向にずれた位置で、主体金具の先端面に接合される。これにより、接地電極の先端部を、中心電極の放電面に対して基端のずれの方向と同じ方向にずれた位置に、容易に配置できる。これにより、接地電極の消炎作用が抑制されるので、着火性を容易に向上できる。
なお、さらに着火性を向上するためには、中心電極と接地電極との配置が、ガスの流れる方向に適した配置であることが、好ましい。例えば、点火プラグの取付構造は、以下のような構造であってよい。N個(Nは1以上の整数)の吸気バルブとM個(Mは1以上の整数)の排気バルブとが設けられた燃焼室において、点火プラグは、N個の吸気バルブとM個の排気バルブとの間に取り付けられる。例えば、図1(B)の実施形態では、点火プラグ100は、2個の吸気バルブ730a、730bと、2個の排気バルブ740a、740bと、の間に取り付けられる。
そして、燃焼室に取り付けられた点火プラグと、N個の吸気バルブと、M個の排気バルブとを、点火プラグの主体金具の軸線に垂直な投影面上に、軸線に平行に投影する(例えば、図1(B)の投影図参照)。この投影面上において、N個の吸気バルブのN個のそれぞれの中心位置の重心位置から、M個の排気バルブのM個のそれぞれの中心位置の重心位置へ向かう方向を、バルブ配置方向とし、軸線からバルブ配置方向に向かう方向を、プラグバルブ方向とする(図1(B)の方向Dpは、プラグバルブ方向の例である)。1個のバルブの中心位置は、この第1投影面上において、閉じた状態のバルブのうちの燃焼室内に露出する部分を示す領域の重心位置である。図1(B)の実施形態では、2個の吸気バルブ730a、730bのそれぞれの中心位置C3a、C3bの重心位置C3から、2個の排気バルブ740a、740bのそれぞれの中心位置C4a、C4bの排気重心位置C4へ向かう方向Dvが、バルブ配置方向Dvである。そして、軸線CLからバルブ配置方向Dvに向かう方向が、プラグバルブ方向Dpである。
点火プラグが燃焼室に取り付けられたときに、中心電極と接地電極とは、燃焼室内の所定の位置に配置される。この所定位置は、以下のような位置である。軸線CLに垂直な投影面上に軸線CLに平行に点火プラグを投影する。この投影面上において、接地電極の基端部断面の第1辺は、第1辺の中点と軸線とを結ぶ直線に対して斜めに傾斜している。すなわち、接地電極の基端部断面は、軸線CLを通り第1辺に垂直な基準直線(例えば、図3(D)の基準直線L2)を挟む両側のうち、プラグバルブ方向Dp側とは反対側にずれた位置に配置される。例えば、図3(D)の実施形態では、接地電極30の基端部断面33xは、基準直線L2を挟む両側のうち、プラグバルブ方向Dp側とは反対側(ここでは、第3方向D3側)にずれた位置に配置される。そして、接地電極のうちの放電面を形成する先端部も、基準直線L2を挟む両側のうち、プラグバルブ方向Dp側とは反対側(ここでは、第3方向D3側)にずれた位置に配置される。
点火プラグの上記の取付構造が採用される場合には、点火プラグの電極の近傍においては、ガスは、プラグバルブ方向Dpに向かって流れ得る。従って、軸線CLに垂直な投影面上において、接地電極のうちの放電面を形成する先端部は、基準直線L2を挟む両側のうちのガスの流れる方向とは反対側にずれた位置に配置される。この結果、火花放電、ひいては、火炎が、ガスによって流れる場合に、火炎は、前方向Df側、すなわち、燃焼室の中央部分に向かって、容易に拡がることができる。この結果、着火性が、更に、向上する。また、図3(A)の実施形態のように、プラグバルブ方向Dpを向いて点火プラグを見る場合に、接地電極の基端部(ひいては、接地電極の全体)は、中心電極20に重ならない位置に配置されていることが好ましい。これにより、ガスの流れが接地電極によって遮られることが抑制されるので、着火性を向上できる。
また、図3(D)、図5(A)〜図5(C)の実施形態では、軸線CLに垂直な投影面上において、中心電極20の放電面20sは、軸線CLに重なる位置に配置されている。ただし、放電面20sは、軸線CLから離れた位置に配置されてもよい。例えば、中心電極20の放電面20sは、基準直線L2を挟む両側のうち、プラグバルブ方向Dp側にずれた位置に配置されてよい。この構成によれば、中心電極20の放電面20sの近傍で生じた火炎は、前方向Df側、すなわち、燃焼室の中央部分に向かって、容易に拡がることができる。この結果、着火性が、更に、向上する。
なお、1個の燃焼室において、吸気バルブの総数Nは、1以上の任意の数であってよく、N個の吸気バルブの配置は、種々の配置であってよい。また、1個の燃焼室において、排気バルブの総数Mは、1以上の任意の数であってよく、M個の排気バルブの配置は、種々の配置であってよい。また、内燃機関の構成は、図1(A)、図1(B)に示す構成に代えて、他の種々の構成であってよい。
(4)点火プラグの構成としては、図2に示す構成に代えて、他の構成を採用してもよい。例えば、先端側パッキン8が省略されてもよい。この場合、主体金具の張り出し部56は、直接的に、絶縁体の縮外径部16を、支持する。また、抵抗体73が省略されてもよい。絶縁体の貫通孔内の中心電極と端子金具との間に、磁性体が配置されてもよい。
以上、実施形態、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。