JP6731230B2 - 内燃機関用のスパークプラグ及びそれを取り付けた点火装置 - Google Patents

内燃機関用のスパークプラグ及びそれを取り付けた点火装置 Download PDF

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本発明は、内燃機関用のスパークプラグ及びそれを取り付けた点火装置に関する。
自動車のエンジン等の内燃機関における着火手段として用いられるスパークプラグとして、プラグ軸方向に中心電極と接地電極とを対向させて火花放電ギャップを形成したものがある。スパークプラグは、内燃機関のエンジンヘッドに取り付けられる。これにより、スパークプラグは、その先端部が燃焼室内に配される。そして、火花放電ギャップに火花放電を生じさせることにより、燃焼室内の混合気を着火することができる。
そして、特許文献1に記載されたスパークプラグにおいて、接地電極は、接地電極母材と、接地電極母材から中心電極側に向って突出した突起部を有する。そして、突起部は、中心電極に対向する対向面が、火花放電ギャップを流れる混合気の気流の上流側から下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向かうように傾斜している。これにより、火花放電ギャップは、混合気の気流の上流側に形成される小ギャップから、下流側に形成される大ギャップに向って徐々に拡大するように構成されている。このような構成を採ることにより、特許文献1に記載のスパークプラグは、火花放電ギャップにおける上流側で、初期の火花放電を得ることができる。そして、放電火花が混合気によって下流側まで流されて吹き消されるまでの時間を稼いでいる。
特開2013−98042号公報
しかしながら、特許文献1に記載のスパークプラグにおいては、火花放電ギャップにおいて生じた放電火花が、プラグ軸方向に直交する方向に沿って引き伸ばされる。それゆえ、混合気によって引き伸ばされた放電火花が、エンジンヘッドに近付きやすくなってしまう。その結果、放電火花から混合気へ着火されることにより生じた火炎の熱がエンジンヘッドに奪われ、火炎が成長し難いという問題がある。
また、上記スパークプラグにおいては、接地電極母材から突起部が突出しているため、接地電極母材と突起部との間の空間により、混合気の気流が乱れるおそれがある。それゆえ上記スパークプラグにおいては、混合気への着火性が不安定となるおそれがある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、混合気への着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグ及びそれを取り付けた点火装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、筒状のハウジング(11)と、
該ハウジングの内側に保持された筒状の絶縁碍子(12)と、
先端部が突出するように上記絶縁碍子の内側に保持された中心電極(2)と、
該中心電極との間に火花放電ギャップ(G)を形成する接地電極(3)と、を有し、
該接地電極は、上記ハウジングの先端部から先端側へ立設した立設部(31)と、該立設部からプラグ径方向の内側へ屈曲して延設され、上記中心電極とプラグ軸方向(Z)に対向する対向部(32)と、を有し、
該対向部の基端面(320)は、プラグ軸方向に直交する平面上に形成された平坦面(321)と、上記平坦面から上記対向部の幅方向の端部に向かうにつれて、上記中心電極からプラグ軸方向に遠ざかる後退面(322)と、を有し、
上記立設部から上記対向部が延設される方向を延設方向(Y)としたとき、上記後退面は、上記対向部の上記基端面における上記延設方向の一部の領域にのみ形成されている、内燃機関用のスパークプラグ(1)にある。
本発明の他の態様は、上記スパークプラグを内燃機関に取り付けてなる点火装置(10)であって、上記スパークプラグは、上記対向部の幅方向における上記平坦面に対する上記後退面の位置が、上記火花放電ギャップを通過する混合気の気流(F)の下流側となるような向きに配されている、内燃機関用の点火装置にある。
上記内燃機関用のスパークプラグにおいて、対向部の基端面は、平坦面と後退面とを有する。それゆえ、対向部の幅方向における平坦面に対する後退面の位置が、火花放電ギャップを通過する混合気の下流側となるような向きに、スパークプラグを燃焼室に配置することにより、スパークプラグから混合気への着火性を向上させることができる。
すなわち、火花放電ギャップを流れる混合気は、平坦面及び後退面に沿って滑らかに流れる。そのため、混合気の気流は、火花放電ギャップを通過する際、下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向って曲げられる。そして、火花放電ギャップの下流側周辺においては、混合気がプラグ軸方向に沿って先端側に向って流れるようになる。これにより、火花放電ギャップに生じた放電火花は、火花放電ギャップの下流側周辺において先端側に向って引き伸ばされやすくなる。そのため、気流によって引き伸ばされる放電火花を、エンジンヘッドから先端側に遠ざけることができる。その結果、放電火花から混合気へ着火されることにより生じた火炎の熱が、エンジンヘッドに奪われることを抑制し、火炎を成長させやすい。
また、上述のごとく、火花放電ギャップを流れる混合気は、平坦面及び後退面に沿って滑らかに流れるため、気流の乱れが生じにくい。それゆえ、混合気への安定した着火性を確保することができる。
また、上記点火装置において、燃焼室に配された上記スパークプラグは、後退面が、火花放電ギャップを流れる混合気の気流の下流側に向かうにつれて、中心電極からプラグ軸方向に遠ざかる向きに配されている。それゆえ、安定した着火性を確保できる点火装置を得ることができる。
以上のごとく、上記態様によれば、混合気への着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグ及びそれを取り付けた点火装置を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、内燃機関用のスパークプラグの断面図。 実施形態1における、内燃機関用のスパークプラグの先端部周辺の拡大正面図。 図2の、III−III線矢視断面図。 実施形態1における、内燃機関用のスパークプラグの先端部周辺の拡大側面図。 実施形態1における、内燃機関用の点火装置の断面図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、混合気の気流の流れを模式的に表した図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、初期の放電火花を表した図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、初期の放電火花が、混合気の気流により、下流側及び先端側に向って引き伸ばされた様子を示す図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、火花放電が略プラグ軸方向に沿って引き伸ばされている様子を示す図。 実施形態2における、内燃機関用のスパークプラグの先端部周辺の拡大正面図。 図10の、XI−XI線矢視断面図。 実験例における、比較試料、試料1、及び試料2のそれぞれの、A/F限界の値を示す棒グラフ。 実施形態3における、内燃機関用のスパークプラグの先端部周辺の拡大正面図。 図13の、XIV−XIV線矢視断面図。
(実施形態1)
内燃機関用のスパークプラグ及びそれを取り付けた点火装置に係る実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態の内燃機関用のスパークプラグ1は、図1に示すごとく、筒状のハウジング11と、ハウジング11の内側に保持された筒状の絶縁碍子12と、中心電極2と、接地電極3と、を有する。中心電極2は、先端部が突出するように絶縁碍子12の内側に保持されている。接地電極3は、中心電極2との間に火花放電ギャップGを形成する。
図1、図2、図4に示すごとく、接地電極3は、ハウジング11の先端部から先端側へ立設した立設部31と、立設部31からプラグ径方向の内側へ屈曲して延設された対向部32とを有する。対向部32は、中心電極2とプラグ軸方向Zに対向する。図2〜図4に示すごとく、対向部32の基端面320は、平坦面321と後退面322とを有する。平坦面321は、プラグ軸方向Zに直交する平面上に形成されている。後退面322は、接地電極3における対向部32の延設方向の一部に形成されている。後退面322は、平坦面321から対向部32の幅方向の端部に向かうにつれて、中心電極2からプラグ軸方向Zに遠ざかる。
スパークプラグ1は、例えば、自動車、コージェネレーション等の内燃機関における着火手段として用いることができる。スパークプラグ1のプラグ軸方向Zにおいて、スパークプラグ1の一端は、図示しない点火コイルと接続され、他端は、内燃機関の燃焼室内に配される。本明細書においては、プラグ軸方向Zにおける点火コイルと接続される側を基端側とし、燃焼室内に配される側を先端側という。また、接地電極3における対向部32の延設方向を、縦方向Yといい、プラグ軸方向Zと縦方向Yとの双方に直交する方向を、横方向Xという。また、スパークプラグ1の中心軸に対する径方向を、プラグ径方向という。
図1に示すごとく、ハウジング11には、スパークプラグ1をエンジンヘッドに設けられた雌ネジ孔に取り付けるための取付ネジ部111が形成されている。絶縁碍子12は、先端部をハウジング11の先端側に突出させ、基端部をハウジング11の基端側に突出させつつ、ハウジング11に保持されている。絶縁碍子12の内側における先端部に、中心電極2が挿通保持されている。
中心電極2は、中心電極母材21と中心電極チップ22とからなる。中心電極母材21は、例えばCu等の金属材料の外部にNi基合金等の金属材料を配してなる。中心電極母材21は、全体として略円柱形状を呈している。そして、中心電極母材21の先端から先端側に向って中心電極チップ22が突出している。中心電極チップ22は、Ir合金やPt合金等の貴金属からなる。中心電極チップ22は、中心電極母材21よりも小径な略円柱形状を呈しており、その中心軸をスパークプラグ1の中心軸と一致させている。中心電極チップ22の先端面221が、接地電極3の対向部32とプラグ軸方向Zに対向して、火花放電ギャップGを形成している。なお、図3においては、プラグ軸方向Zに直交する方向における、中心電極チップ22の先端面221の位置を、破線で表している。
図1〜図4に示すごとく、接地電極3は、長尺な板状の金属板材を、その厚み方向に曲げ加工してなる。図2、図3に示すごとく、接地電極3を構成する金属板材は、その幅方向の両端面が、幅方向の外側に向って膨らんだ湾曲面34となっている。接地電極3を形成する際は、このような金属板材を、長手方向の一箇所において直角に屈曲させる。これにより、この屈曲部33を挟む両側の部位が、それぞれ、立設部31及び対向部32となる。このように屈曲形成された金属部材、すなわち接地電極3は、立設部31側の端部において、ハウジング11の先端面に接合されている。立設部31は、プラグ軸方向Zに立設している。また、立設部31の厚み方向は、プラグ径方向となっている。そして、対向部32は、立設部31の先端から屈曲部33を介してプラグ径方向の内側に向って延設されている。対向部32の厚み方向は、プラグ軸方向Zとなっている。なお、接地電極3は、例えば、Niを主成分とするNi基合金からなる。
対向部32は、その基端面320が、中心電極2の中心電極チップ22の先端面221とプラグ軸方向Zに対向している。対向部32の基端面320は、平坦面321と後退面322とからなる。平坦面321は、プラグ軸方向Zに直交する平面上に平坦に形成されている。平坦面321は、中心電極2の先端面221における半分以上の領域とプラグ軸方向Zに重なっている。本実施形態において、平坦面321は、中心電極2の先端面221における半分の領域とプラグ軸方向Zに重なっている。
図2に示すごとく、後退面322は、横方向Xにおける平坦面321と反対側の端部に向かうにつれて、中心電極2からプラグ軸方向Zに遠ざかるように湾曲している。後退面322は、中心電極2側に凸の曲面状を呈している。本実施形態において、後退面322は、平坦面321から遠ざかるにつれて、曲率が大きくなるように湾曲している。縦方向Yにおける後退面322が形成された領域において、平坦面321と後退面322とは、連続的に滑らかに形成されている。後退面322は、接地電極3を切削加工することにより形成される。
図3に示すごとく、後退面322は、対向部32における屈曲部33と反対側の一部の領域であって、横方向Xにおける一端側に形成されている。図3、図4に示すごとく、後退面322は、縦方向Yにおいて、対向部32の略中央部から、屈曲部33と反対側の端部までの領域に形成されている。図4に示すごとく、横方向Xから見たとき、後退面322は、中心電極2とプラグ軸方向Zに重なる位置に形成されている。
平坦面321と後退面322との境界線Bは、中心電極2の先端面221とプラグ軸方向Zに重なっている。すなわち、先端面221は、プラグ軸方向Zから見たとき、平坦面321と後退面322とに跨るように配されている。境界線Bは、縦方向Yにおいて、対向部32の中央部から、屈曲部33と反対側の端部までに形成されている。また、境界線Bは、横方向Xにおいて、対向部32の中央部に形成されている。そして、後退面322は、境界線Bから、対向部32における横方向Xの一端まで形成されている。
図2、図4に示すごとく、後退面322は、横方向Xにおける平坦面321と反対側の端部が、プラグ軸方向Zにおける対向部32の中心位置よりも先端側に位置するよう形成されている。つまり、後退面322は、横方向Xにおける平坦面321側の端部が、対向部32の中心位置よりも基端側に位置し、横方向Xにおける平坦面321と反対側の端部が、対向部32の中心位置よりも先端側に位置するように湾曲して形成されている。
図1に示すごとく、絶縁碍子12の内側において、中心電極2の基端側には、導電性を有するガラスシール13を介して抵抗体14が配置されている。抵抗体14は、カーボン又はセラミック粉末等の抵抗材及びガラス粉末を含むレジスタ組成物を加熱封着することにより形成する、或いはカートリッジ型抵抗体を挿入することによって構成することができる。ガラスシール13は、ガラスに銅粉を混入させてなる銅ガラスからなる。また、抵抗体14の基端側には、銅ガラスからなるガラスシール13を介してステム17が配されている。ステム17は、例えば鉄合金からなる。
次に、図5〜図9に示すごとく、本実施形態のスパークプラグ1を内燃機関に取り付けてなる点火装置10について説明する。スパークプラグ1は、横方向Xにおける平坦面321に対する後退面322の位置が、火花放電ギャップGを通過する混合気の気流Fの下流側となるような向きに配されている。すなわち、スパークプラグ1は、後退面322が、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの下流側に向かうにつれて、中心電極2からプラグ軸方向Zに遠ざかる向きに配されている。なお、以下においては、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの下流側を、単に下流側といい、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの上流側を、単に上流側という。
スパークプラグ1は、取付ネジ部111において、エンジンヘッド16に設けられた雌ネジ孔に螺合されている。これにより、スパークプラグ1がエンジンヘッド16に締結固定されている。さらに、スパークプラグ1の先端部分が燃焼室15内に配される。このとき、スパークプラグ1における火花放電ギャップGに流れる混合気の気流Fの方向に対して、接地電極3の屈曲部33からの対向部32の延設方向が直交するように、かつ、平坦面321の下流側に後退面322が配されるようにスパークプラグ1をエンジンヘッド16に取り付ける。
次に、図6を参照しつつ、火花放電ギャップG周辺の混合気の気流Fの流れの様子について説明する。
火花放電ギャップGよりも上流側においては、横方向Xに沿って気流Fが流れる。そして、スパークプラグ1を燃焼室15に対して上記の姿勢で取り付けたことによって、混合気が火花放電ギャップGを通過する際、混合気の気流Fは、平坦面321及び後退面322に沿って滑らかに流れる。そのため、混合気の気流Fは、火花放電ギャップGを通過する際、下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向って曲げられる。そして、火花放電ギャップGの下流側においては、混合気の気流Fは、略プラグ軸方向Zに沿って、先端側に向って流れるようになる。
次に、図7〜図9を参照しつつ、火花放電ギャップGに発生した放電火花Sが、混合気の気流によって引き伸ばされる様子について説明する。
中心電極2と接地電極3との間に所定の電圧を印加することにより、火花放電ギャップGに火花放電が生じる。ここで、図7に示すごとく、初期の放電火花Sは、中心電極2と、接地電極3の平坦面321との間において生じやすい。すなわち、中心電極2と接地電極3における平坦面321との距離が最も小さくなるため、中心電極2と、接地電極3の平坦面321との間が、火花放電の起点となりやすい。
そして、図8に示すごとく、火花放電ギャップGに生じた初期の放電火花Sは、混合気の気流Fによって、下流側に引き伸ばされる。このとき、上述のごとく、混合気の気流Fは、火花放電ギャップGを通過する際、下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向って流れるようになるため、放電火花Sは、横方向Xにおける下流側に引き伸ばされるだけではなく、先端側に向っても引き伸ばされる。そして、図9に示すごとく、放電火花Sが接地電極3における後退面322の下流側端部まで流されたときは、放電火花Sは、略プラグ軸方向Zに沿って先端側に引き伸ばされる。以上のように、放電火花Sが引き伸ばされる。そして、引き伸ばされている間に、放電火花Sによって混合気が着火される。
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
内燃機関用のスパークプラグ1において、対向部32の基端面320は、平坦面321と後退面322とを有する。それゆえ、横方向Xにおける平坦面321に対する後退面322の位置が、火花放電ギャップGを通過する混合気の下流側となるような向きに、スパークプラグ1を燃焼室15に配置することにより、スパークプラグ1から混合気への着火性を向上させることができる。
すなわち、火花放電ギャップGを流れる混合気は、平坦面321及び後退面322に沿って滑らかに流れる。そのため、混合気の気流Fは、火花放電ギャップGを通過する際、下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向って曲げられる。そして、火花放電ギャップGの下流側周辺においては、混合気がプラグ軸方向Zに沿って先端側に向って流れるようになる。これにより、火花放電ギャップGに生じた放電火花Sは、火花放電ギャップGの下流側周辺において先端側に向って引き伸ばされやすくなる。そのため、気流Fによって引き伸ばされる放電火花Sを、エンジンヘッド16から先端側に遠ざけることができる。その結果、放電火花Sから混合気へ着火されることにより生じた火炎の熱が、エンジンヘッド16に奪われることを抑制し、火炎を成長させやすい。
また、上述のごとく、火花放電ギャップGを流れる混合気は、平坦面321及び後退面322に沿って滑らかに流れるため、気流Fの乱れが生じにくい。それゆえ、混合気への安定した着火性を確保することができる。
また、後退面322は、中心電極2側に凸の曲面状を呈している。それゆえ、平坦面321と後退面322とを滑らかにつなぐことができる。それゆえ、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの流れの乱れを抑制でき、放電火花Sを、火花放電ギャップGの下流側周辺において、正確に先端側に向って引き伸ばすことができる。
また、平坦面321と後退面322との境界線Bは、中心電極2の先端面221とプラグ軸方向Zに重なっている。それゆえ、平坦面321と中心電極2との間において、初期の火花放電を得やすく、かつ、先端側への放電火花の引き伸ばし効果を得やすい。
また、平坦面321は、中心電極2の先端面221における半分以上の領域とプラグ軸方向Zに重なっている。それゆえ、初期の火花放電を平坦面321にて確実に得ることができる。
また、後退面322は、横方向Xにおける平坦面321と反対側の端部が、プラグ軸方向Zにおける対向部32の中心位置よりも先端側に位置するよう形成されている。それゆえ、後退面322における下流側の端部を、より先端側に形成することができる。よって、より先端側に、放電火花Sを引き伸ばしやすくすることができる。
また、点火装置10において、燃焼室15に配されたスパークプラグ1は、後退面322が、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの下流側に向かうにつれて、中心電極2からプラグ軸方向Zに遠ざかる向きに配されている。それゆえ、安定した着火性を確保できる点火装置10を得ることができる。
以上のごとく、本実施形態によれば、混合気への着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグ及びそれを取り付けた点火装置を提供することができる。
(実施形態2)
本実施形態は、図10、図11に示すごとく、実施形態1に対して、後退面322の形状を変更した実施形態である。すなわち、本実施形態において、後退面322は、平坦面321に対して傾斜する平面によって構成されている。そして、後退面322は、横方向Xにおける平坦面321と反対側の端部に向かうにつれて、中心電極2からプラグ軸方向Zに遠ざかるように傾斜している。つまり、本実施形態において、後退面322は、湾曲しておらず、平面状に形成されている。
その他、実施形態1と同様である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本実施形態においては、後退面322を平面状に形成しているため、切削加工等によって容易に後退面322を形成することができる。よって、接地電極3に後退面322を、一層形成しやすくすることができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実験例)
本例は、接地電極3の形状が互いに異なる3つのスパークプラグを用意し、それらの着火性を評価した例である。各スパークプラグの着火性は、A/F限界の値の測定によって調べた。
ここで、A/F限界とは、正常な燃焼が行われるための限界の空燃比をいい、A/F限界の値が大きいほど、燃焼性能に優れていると言える。なお、本例において、正常な燃焼とは、燃焼変動率が5%以下であることを意味する。燃焼変動率とは、図示平均有効圧Pmiの(標準偏差/平均)×100%で示されるものである。
本実験例においては、評価の対象となるスパークプラグとして、試料1、試料2、及び比較試料を用意した。試料1は、実施形態1のスパークプラグ1である。すなわち、試料1は、接地電極3に後退面322が形成されており、かつ、後退面322が、中心電極2側に凸の曲面状を呈しているスパークプラグ1である。試料2は、実施形態2のスパークプラグ1である。すなわち、試料2は、接地電極3に後退面322が形成されており、かつ、後退面322が、平坦面321に対して傾斜する平面によって構成されたスパークプラグ1である。比較試料は、基本構成を実施形態1及び実施形態2のスパークプラグ1と同様とするが、接地電極3に後退面322が形成されていないスパークプラグである。すなわち、比較試料は、接地電極3の対向部32の基端面320が、プラグ軸方向Zに直交する平面上に形成された平坦面321のみからなるスパークプラグである。換言すれば、試料1、試料2は、比較試料を切削加工して後退面322を設けたスパークプラグである。
各試料において、接地電極3の対向部32の縦方向Yの寸法はいずれも2.3mmである。試料1における後退面322は、曲率半径が4mmの曲面である。試料2における後退面322は、平坦面321に対する傾斜角度が、45°である。
各試料を、1800ccのガソリンエンジンに設置した。このとき、各試料は、屈曲部33に対する対向部32の延設方向を、火花放電ギャップGにおける混合気の気流の方向に直交するように配置した。また、試料1、試料2に関しては、接地電極3の後退面322が平坦面321の下流側に位置するように設置した。
そして、本例では、A/Fの値を変化させながら燃焼圧センサーの出力により、燃焼変動率を測定し、A/F限界の値を調べた。各試料における各サイクルの燃焼条件は、同じとした。すなわち、各サイクルにおける吸気量、燃料噴射量、吸排気バルブの開閉タイミングを一定とし、エンジン回転数が1200回転/分、図示平均有効圧Pmiが280kPaとなる条件の下で試験を行った。また、火花放電は、1.2ミリ秒間、スパークプラグの中心電極2及び接地電極3間に流れる電流が120mAの放電電流となるように電圧を印加することにより生じさせた。また、点火のタイミングは、最適点火位置とした。結果を、図12に示す。
図12から、試料1及び試料2のそれぞれは、比較試料よりもA/F限界の値が大きいことが分かる。具体的には、試料2は比較試料よりも、A/F限界の値が0.6大きくなり、試料1は比較試料よりも、A/F限界の値が1.1大きくなった。すなわち、接地電極3に後退面322を形成することにより、着火性が向上することが分かる。また、試料1が試料2よりもA/F限界の値が大きくなっていることが分かる。すなわち、後退面322の形状を中心電極2側に凸の曲面状とすることにより、一層着火性を向上させることができることが分かる。
(実施形態3)
本実施形態は、図13、図14に示すごとく、後退面322を、対向部32に一対設けた実施形態である。すなわち、本実施形態において、対向部32の基端面320は、平坦面321と、その横方向Xの両側に設けられた後退面322とからなる。接地電極3は、プラグ軸方向Z及び縦方向Yから見たとき、いわゆる左右対称な形状を有する。
各後退面322は、横方向Xにおける平坦面321と反対側の端部に向かうにつれて、中心電極2からプラグ軸方向Zに遠ざかるよう構成されていると共に、平坦面321に対して傾斜する平面によって構成されている。すなわち、本実施形態において、後退面322は、湾曲しておらず、平面状に形成されている。
図14に示すごとく、平坦面321は、第一平坦面321aと第二平坦面321bとからなる。第一平坦面321aは、縦方向Yにおいて、横方向Xの幅が一定である。第二平坦面321bは、第一平坦面321aから縦方向Yにおける屈曲部33と反対側に向かうにつれて、横方向Xの幅が減少している。これに伴い、縦方向Yにおける対向部32の第二平坦面321bが形成された領域は、縦方向Yにおける屈曲部33と反対側に向かうにつれて、横方向Xの幅が減少している。そして、第二平坦面321bが、中心電極2の先端面221とプラグ軸方向Zに対向している。すなわち、本実施形態においては、平坦面321が、中心電極2の先端面221における全領域とプラグ軸方向Zに重なっている。
その他、実施形態1と同様である。
本実施形態においては、接地電極3がいわゆる左右対称形状であるので、接地電極3を製造しやすい。また、本実施形態のスパークプラグ1を燃焼室15内に設置する際には、一対の後退面322のうちの一方を、平坦面321よりも下流側に配置することにより、混合気への着火性を向上させることができるという効果を得られるため、内燃機関への組付性も向上させやすい。
また、平坦面321は、第一平坦面321aから縦方向Yにおける屈曲部33と反対側に向かうにつれて、横方向Xの幅が減少する第二平坦面321bを有する。それゆえ、第二平坦面321bの周囲に電界を集中させることができる。それゆえ、中心電極2と接地電極3との間で、火花放電を生じさせやすくすることができる。
さらに、接地電極3の体積を小さくしやすい。それゆえ、放電火花から混合気へ着火されることにより生じた火炎の熱が接地電極3に奪われることによる冷却損失を抑制することができる。その結果、混合気への着火性を一層向上させやすい。
その他、実施形態2と同様の作用効果を有する。
なお、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。例えば、接地電極の対向部に、白金、イリジウム等の貴金属からなるチップを設け、チップを中心電極とプラグ軸方向に対向させてもよい。
1 内燃機関用のスパークプラグ
11 ハウジング
12 絶縁碍子
2 中心電極
3 接地電極
31 立設部
32 対向部
320 基端面
321 平坦面
322 後退面
G 火花放電ギャップ
Z プラグ軸方向

Claims (6)

  1. 筒状のハウジング(11)と、
    該ハウジングの内側に保持された筒状の絶縁碍子(12)と、
    先端部が突出するように上記絶縁碍子の内側に保持された中心電極(2)と、
    該中心電極との間に火花放電ギャップ(G)を形成する接地電極(3)と、を有し、
    該接地電極は、上記ハウジングの先端部から先端側へ立設した立設部(31)と、該立設部からプラグ径方向の内側へ屈曲して延設され、上記中心電極とプラグ軸方向(Z)に対向する対向部(32)と、を有し、
    該対向部の基端面(320)は、プラグ軸方向に直交する平面上に形成された平坦面(321)と、上記平坦面から上記対向部の幅方向の端部に向かうにつれて、上記中心電極からプラグ軸方向に遠ざかる後退面(322)と、を有し、
    上記立設部から上記対向部が延設される方向を延設方向(Y)としたとき、上記後退面は、上記対向部の上記基端面における上記延設方向の一部の領域にのみ形成されている、内燃機関用のスパークプラグ(1)。
  2. 上記後退面は、上記中心電極側に凸の曲面状を呈している、請求項1に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
  3. 上記平坦面と上記後退面との境界線(B)は、上記中心電極の先端面(221)とプラグ軸方向に重なっている、請求項1又は2に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
  4. 上記平坦面は、上記中心電極の先端面(221)における半分以上の領域とプラグ軸方向に重なっている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
  5. 上記後退面は、上記幅方向における上記平坦面と反対側の端部が、プラグ軸方向における対向部の中心位置よりも先端側に位置するよう形成されている、請求項1〜4のいずれか一項に記載の内燃機関用の点火コイル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグを内燃機関に取り付けてなる点火装置(10)であって、上記スパークプラグは、上記対向部の幅方向における上記平坦面に対する上記後退面の位置が、上記火花放電ギャップを通過する混合気の気流(F)の下流側となるような向きに配されている、内燃機関用の点火装置。
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