JP6731298B2 - 内燃機関用のスパークプラグ - Google Patents
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該ハウジングの内側に保持された筒状の絶縁碍子(12)と、
先端部が突出するように上記絶縁碍子の内側に保持された中心電極(2)と、
該中心電極との間に火花放電ギャップ(G)を形成する接地電極(3)と、を有し、
該接地電極は、上記ハウジングの先端部からプラグ軸方向(Z)の先端側へ立設した立設部(31)と、該立設部からプラグ径方向の内側へ延設され、上記中心電極とプラグ軸方向に対向する対向部(32)と、を有し、
該対向部は、線状に連続形成された電界集中部(33)を有し、
該電界集中部の少なくとも一部は、上記立設部の延設方向(X)及びプラグ軸方向の双方に直交する幅方向(Y)における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側に向かうよう傾斜した起点誘導部(331)を有し、
プラグ軸方向から見たとき、上記起点誘導部におけるプラグ軸方向の基端部(331a)は、上記対向部の外周輪郭(34)の内側に位置しており、
上記対向部は、プラグ軸方向の基端側の面に、プラグ軸方向に直交する対向面(320と、該対向面に対して傾斜した第一傾斜面(321)と、該第一傾斜面における上記対向部の延設側に形成されるとともに、上記対向面に対して傾斜した第二傾斜面(322)とを有し、
上記第一傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しており、
上記第二傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しているとともに、上記延設方向における上記対向部の延設側に向かうほど、上記幅方向における上記対向部の内側へ向かうように傾斜しており、
上記第一傾斜面と上記第二傾斜面との境界が、凸状に形成されて上記起点誘導部を構成している、内燃機関用のスパークプラグ(1)にある。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
内燃機関用のスパークプラグの実施形態につき、図1〜図12を用いて説明する。
本実施形態の内燃機関用のスパークプラグ1は、図1、図2に示すごとく、筒状のハウジング11と筒状の絶縁碍子12と中心電極2と接地電極3とを有する。絶縁碍子12は、ハウジング11の内側に保持されている。中心電極2は、先端部が突出するように絶縁碍子12の内側に保持されている。接地電極3は、中心電極2との間に火花放電ギャップGを形成する。
図7に示すごとく、スパークプラグ1は、Y方向が、火花放電ギャップGを通過する混合気の気流Fの方向となる姿勢で配されている。これにより、電界集中部33の一対の起点誘導部331のうちの一方は、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの下流側に向かうにつれて、先端側に向かうように傾斜するよう配される。なお、以下においては、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの下流側を、単に下流側といい、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの上流側を、単に上流側という。
火花放電ギャップGよりも上流側においては、Y方向に沿って気流が流れる。そして、スパークプラグ1を燃焼室に対して上述の姿勢で取り付けたことによって、混合気が火花放電ギャップGを通過する際、混合気の気流Fは、対向面320及び対向面320の下流側の第一傾斜面321及び第二傾斜面322に沿って滑らかに流れる。そのため、混合気の気流Fは、火花放電ギャップGを通過する際、下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向って曲げられる。そして、火花放電ギャップGの下流側においては、混合気の気流は、略Z方向に沿って、先端側に向って流れるようになる。
図8に示すごとく、中心電極2と接地電極3との間に所定の電圧を印加することにより、火花放電ギャップGに火花放電が生じる。そして、図8〜図11に示すごとく、火花放電によって生じた放電火花Sは、両起点間の部位が、気流によって経時的に下流側に引き伸ばされながら、経時的に放電火花Sの接地電極3側の起点が移動する。なお、以下において、放電火花Sの接地電極3側の起点を接地電極側起点S1ということもある。
内燃機関用のスパークプラグ1において、対向部32は、線状に連続形成された電界集中部33を有する。そして、電界集中部33の少なくとも一部は、Y方向における対向部32の外側へ向かうほど、先端側に向かうよう傾斜した起点誘導部331を有する。それゆえ、対向部32における起点誘導部331の位置が、火花放電ギャップGを通過する混合気の下流側の位置となるような向きにスパークプラグ1を燃焼室に配置することにより、スパークプラグ1から混合気への着火性を向上させることができる。そのメカニズムについては、以下のように考えることができる。
本例は、図13に示すごとく、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様とするスパークプラグにおいて、図3に示すθ1及びθ2の値を種々変更したときの、起点誘導部331周辺の電界強度を解析した例である。
本例は、図14に示すごとく、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様とするスパークプラグにおいて、θ3の値を種々変更したときの、以下で定義する「接地後流速」への影響につき、解析した実験例である。「接地後流速」は、図15に示すごとく、火花放電ギャップGにおける接地電極3の対向面320を通過し、第一傾斜面321付近を流れる気流の流速であって、第一傾斜面321の傾斜方向と平行な方向(すなわち、図15において矢印にて表した方向)における速度である。
本例は、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様とするスパークプラグにおいて、θ1、θ2、θ3の値を種々変更した複数の試料を用意し、各試料につき、起点誘導部331周辺の電界強度、上記接地後流速を解析すると共に、後述する起点移動距離D及び放電長さLを測定した実験例である。さらに、各試料につき、放電効率の観点から評価を行った。
本例は、図18に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとにおいて、後述する放電効率(%)を比較した例である。放電効率は、中心電極2と接地電極3との間に火花放電を生じさせるための電気エネルギーをEeとし、火花放電ギャップGに生じた放電火花Sから混合気へ伝熱する熱エネルギーをEtとした場合、放電効率=Et/Ee、で表される。すなわち、熱エネルギーEtは、火花放電によって生じた熱エネルギーがスパークプラグ1の接地電極3、中心電極2等に冷損として奪われた熱エネルギーを、上記電気エネルギーEeから除いたもの、に相当する。
本例は、図19に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとにおいて、放電長さLを比較した例である。
本例は、図20に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとを、それぞれエンジンに取り付け、着火性を比較した例である。着火性の評価は、リーン限界A/Fを指標として行った。つまり、各試料を取り付けた内燃機関において、混合気の空燃比(すなわち、A/F)を徐々に変化させて、着火できる限界の空燃比(すなわち、リーン限界A/F)を測定した。
本例は、図21に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとを、それぞれエンジンに取り付け、放電長さLを比較した例である。
本例においても、試料Aと比較試料とを用意した。そして、各試料を、実験例6と同様のエンジンに取り付け、実験例6と同じ試験条件で運転をした。結果を図21に示す。
本実施形態は、図22、図23に示すごとく、実施形態1に対して、対向部32の形状を変更した実施形態である。すなわち、本実施形態においては、対向部32に、実施形態1に示した第三傾斜面(図4、図5の符号323参照)が形成されていない。本実施形態において、対向部32におけるY方向の両側の面であって、第一傾斜面321及び第二傾斜面322の先端側の面は、曲面状に形成されている。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
本形態は、図24、図25に示すごとく、対向部32が、貴金属からなる接地チップ325を有する形態である。そして、接地チップ325が、起点誘導部331を構成している。
その他は、実施形態1と同様である。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
本形態は、図26、図27に示すごとく、参考形態1に対して、接地チップ325の形状を変更した形態である。すなわち、本形態において、接地チップ325は、三角柱形状を有する。そして、本形態において、接地チップ325は、一つの側面において、後退面326に接合されている。そして、接地チップ325は、後退面326に接合されていない2つの側面間の境界のチップ角部325aが、起点誘導部331を構成している。
本形態においても、参考形態1と同様の作用効果を有する。
本形態は、図28、図29に示すごとく、参考形態1に対して、対向部32の形状を変更した形態である。本形態において、対向部32は、略四角形柱状に形成されており、後退面(図24、図25の符号326参照)が形成されていない。そして、接地チップ325は、対向部32におけるY方向の両側の側面に接合されている。接地チップ325は、参考形態1と同様、四角柱形状を有する。そして、接地チップ325は、チップ角部325aにおいて、対向部32と接合されている。
本形態においても、参考形態1と同様の作用効果を有する。
本形態は、図30、図31に示すごとく、参考形態1、参考形態2で示した後退面326の形状を変更した形態である。本形態の対向部32は、参考形態1、参考形態2で示した一対の後退面326を有する。そして、本形態において、対向面320には、後述する突起部327が形成されている。
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
本形態は、図32、図33に示すごとく、参考形態4で示した突起部327の形状を変更した形態である。本形態において、突起部327の突出側端部は、曲面状に形成されている。突起部327の突出側端部は、曲率半径が、0.275mm〜0.5mm程度の小さい曲率半径となるよう形成されている。これにより、突起部327の周囲は、電界が集中しやすく構成されている。なお、本形態において、突起部327の突出側端部の曲率半径は、0.35mmとしている。
本形態においても、参考形態4と同様の作用効果を有する。
本形態は、図34〜図36に示すごとく、実施形態1に対して、対向部32の形状を変更した形態である。本形態において、対向部32は、X方向のX1側端部であってZ方向の基端側端部のY方向の両側部に、一対の平坦面329が形成されている。平坦面329は、対向部32における、X1側端部であって基端側端部の、Y方向の両側の角部が、斜めに切削されて形成されている。平坦面329は、Y方向における対向部32の外側に向かうほど、先端側に向かうよう傾斜している。さらに、平坦面329は、X1側に向かうほどY方向における対向部32の内側に向かうよう傾斜している。
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
本実施形態は、図37〜図39に示すごとく、実施形態1に示したスパークプラグ1に対して、貴金属からなる接地チップ328を配置した実施形態である。接地電極3の基本形状は、実施形態1と同様である。そして、対向面320における、中心電極チップ21とZ方向に重なる位置に、接地チップ328が配置されている。本実施形態において、接地チップ328は、Z方向に厚みを有する円盤状に形成されている。図38に示すごとく、接地チップ328は、Z方向から見たとき、一対の起点誘導部331の基端部331aの間に配されている。また、接地チップ328は、Z方向から見たとき、一対の第一傾斜面321の間、及び、一対の第二傾斜面322の間に配されている。
本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
2 中心電極
3 接地電極
31 立設部
32 対向部
33 電界集中部
331 起点誘導部
331a (起点誘導部の)基端部
34 外周輪郭
G 火花放電ギャップ
Claims (4)
- 筒状のハウジング(11)と、
該ハウジングの内側に保持された筒状の絶縁碍子(12)と、
先端部が突出するように上記絶縁碍子の内側に保持された中心電極(2)と、
該中心電極との間に火花放電ギャップ(G)を形成する接地電極(3)と、を有し、
該接地電極は、上記ハウジングの先端部からプラグ軸方向(Z)の先端側へ立設した立設部(31)と、該立設部からプラグ径方向の内側へ延設され、上記中心電極とプラグ軸方向に対向する対向部(32)と、を有し、
該対向部は、線状に連続形成された電界集中部(33)を有し、
該電界集中部の少なくとも一部は、上記立設部の延設方向(X)及びプラグ軸方向の双方に直交する幅方向(Y)における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側に向かうよう傾斜した起点誘導部(331)を有し、
プラグ軸方向から見たとき、上記起点誘導部におけるプラグ軸方向の基端部(331a)は、上記対向部の外周輪郭(34)の内側に位置しており、
上記対向部は、プラグ軸方向の基端側の面に、プラグ軸方向に直交する対向面(320と、該対向面に対して傾斜した第一傾斜面(321)と、該第一傾斜面における上記対向部の延設側に形成されるとともに、上記対向面に対して傾斜した第二傾斜面(322)とを有し、
上記第一傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しており、
上記第二傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しているとともに、上記延設方向における上記対向部の延設側に向かうほど、上記幅方向における上記対向部の内側へ向かうように傾斜しており、
上記第一傾斜面と上記第二傾斜面との境界が、凸状に形成されて上記起点誘導部を構成している、内燃機関用のスパークプラグ(1)。 - プラグ軸方向から見たとき、上記起点誘導部のプラグ軸方向の基端部は、上記延設方向における、上記中心電極の先端面の両端の間に位置している、請求項1に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
- 上記対向部は、上記幅方向に対称な形状を有するとともに、上記第一傾斜面と上記第二傾斜面とのそれぞれを一対ずつ有し、プラグ軸方向から見たとき、上記第一傾斜面における基端側の辺と、上記第二傾斜面における基端側の辺とが、上記幅方向における上記対向部の内側になす角度をθ1、上記第一傾斜面における先端側の辺と、上記第二傾斜面における先端側の辺とが、上記幅方向における上記対向部の内側になす角度をθ2、上記延設方向から見たとき、一対の上記第一傾斜面同士が、先端側になす角度をθ3としたとき、θ1、θ2、及びθ3は、それぞれ、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°、50°≦θ3≦85°、を満たす、請求項1又は2に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
- 上記対向部は、貴金属からなる接地チップ(325)を有し、該接地チップが上記起点誘導部を構成している、請求項1〜3のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
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