JP6731298B2 - 内燃機関用のスパークプラグ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関用のスパークプラグに関する。
自動車のエンジン等の内燃機関における着火手段として、スパークプラグが用いられている。かかるスパークプラグとして、プラグ軸方向に中心電極と接地電極とを対向させた火花放電ギャップを形成したものがある。そして、スパークプラグは、火花放電ギャップに火花放電を生じさせることにより、燃焼室内の混合気に着火することができる。
そして、特許文献1には、接地電極の形状を工夫したスパークプラグが開示されている。具体的には、接地電極の断面形状を台形状とし、かつ、接地電極の先端部を幅が先細りとなる楔形状としている。かかる形状を採用することにより、上記スパークプラグは、接地電極先端部の体積を小さくして消炎作用の低減を図ったり、気流の擾乱作用の低減を図ったりしようしている。そして、これにより、混合気への着火性を向上させようとしている。
特開平9−129356号公報
しかしながら、特許文献1に記載のスパークプラグにおいては、放電火花を一層引き伸ばし、混合気への着火性を向上させる観点から、改善の余地がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、混合気への着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグを提供しようとするものである。
本発明の一態様は、筒状のハウジング(11)と、
該ハウジングの内側に保持された筒状の絶縁碍子(12)と、
先端部が突出するように上記絶縁碍子の内側に保持された中心電極(2)と、
該中心電極との間に火花放電ギャップ(G)を形成する接地電極(3)と、を有し、
該接地電極は、上記ハウジングの先端部からプラグ軸方向(Z)の先端側へ立設した立設部(31)と、該立設部からプラグ径方向の内側へ延設され、上記中心電極とプラグ軸方向に対向する対向部(32)と、を有し、
該対向部は、線状に連続形成された電界集中部(33)を有し、
該電界集中部の少なくとも一部は、上記立設部の延設方向(X)及びプラグ軸方向の双方に直交する幅方向(Y)における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側に向かうよう傾斜した起点誘導部(331)を有し、
プラグ軸方向から見たとき、上記起点誘導部におけるプラグ軸方向の基端部(331a)は、上記対向部の外周輪郭(34)の内側に位置しており、
上記対向部は、プラグ軸方向の基端側の面に、プラグ軸方向に直交する対向面(320と、該対向面に対して傾斜した第一傾斜面(321)と、該第一傾斜面における上記対向部の延設側に形成されるとともに、上記対向面に対して傾斜した第二傾斜面(322)とを有し、
上記第一傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しており、
上記第二傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しているとともに、上記延設方向における上記対向部の延設側に向かうほど、上記幅方向における上記対向部の内側へ向かうように傾斜しており、
上記第一傾斜面と上記第二傾斜面との境界が、凸状に形成されて上記起点誘導部を構成している、内燃機関用のスパークプラグ(1)にある。
上記内燃機関用のスパークプラグにおいて、対向部は、線状に連続形成された電界集中部を有する。そして、電界集中部の少なくとも一部は、上記幅方向における対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側に向かうよう傾斜した起点誘導部を有する。それゆえ、対向部における起点誘導部の位置が、火花放電ギャップを通過する混合気の下流側の位置となるような向きにスパークプラグを燃焼室に配置することにより、スパークプラグから混合気への着火性を向上させることができる。そのメカニズムについては、以下のように考えることができる。
すなわち、放電火花の接地電極側の起点は、まず、周囲の電界強度が高くなる電界集中部である起点誘導部の基端部に達する。そして、放電火花の接地電極側の起点は、燃焼室内の混合気の気流に流されて、起点誘導部に沿って、上記幅方向における対向部の外側へ移動することで、プラグ軸方向の先端側へ移動することとなる。つまり、放電火花の接地電極側の起点は、中心電極側の起点との直線距離を拡大するように移動することとなる。これにより、放電火花の両起点間の部位を、燃焼室内の混合気の下流側に大きく引き伸ばしやすくなる。その結果、放電火花から混合気への着火性を向上させることができる。
また、プラグ軸方向から見たとき、起点誘導部におけるプラグ軸方向の基端部は、対向部の外周輪郭の内側に位置している。それゆえ、初期の火花放電の接地電極側の起点と、起点誘導部におけるプラグ軸方向の基端部とを近付けやすい。これにより、火花放電ギャップに生じた放電火花の接地電極側の起点を、確実に起点誘導部の基端部から電界集中部上へ導くことができる。それゆえ、上述の着火性向上の効果を、より確実に得ることができる。
以上のごとく、上記態様によれば、混合気への着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
実施形態1における、内燃機関用のスパークプラグの断面図。 実施形態1における、内燃機関用のスパークプラグの先端部周辺の拡大正面図。 図2の、III−III線矢視断面図。 実施形態1における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 実施形態1における、接地電極をY方向から見たときの側面図。 実施形態1における、内燃機関用のスパークプラグを取り付けた点火装置の断面図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、混合気の気流の流れを模式的に表した図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、初期の放電火花を表した図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、初期の放電火花の接地電極側起点が、起点誘導部の基端部に到達したときの様子を示す図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、放電火花の接地電極側起点が、起点誘導部上を這うように進んでいる様子を示す図。 実施形態1における、点火装置のスパークプラグ先端部周辺の拡大正面図であって、放電火花の接地電極側起点が、起点誘導部の先端部に到達したときの様子を示す図。 実施形態1における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの図であって、接地電極側起点の移動の様子を示す模式図。 実験例1における、角度θ1及び角度θ2と、電界強度との関係を示す線図。 実験例2における、角度θ3と、接地後流速との関係を示す線図。 実験例2における、接地後流速を説明するための図。 実験例3における、起点移動距離Dを説明するための図。 実験例3における、放電長さLを説明するための図。 実験例4における、比較試料、及び、試料Aの、それぞれの放電効率の値を示す棒グラフ。 実験例5における、比較試料、及び、試料Aの、それぞれの放電長さLの値を示す棒グラフ。 実験例6における、比較試料、及び、試料Aの、それぞれのリーン限界A/Fの値を示す棒グラフ。 実験例7における、比較試料、及び、試料Aの、それぞれの放電長さLの値を示す棒グラフ。 実施形態2における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 実施形態2における、接地電極をY方向から見たときの側面図。 参考形態1における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの、一部断面図。 参考形態1における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 参考形態2における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの、一部断面図。 参考形態2における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 参考形態3における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの、一部断面図。 参考形態3における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 参考形態4における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの、一部断面図。 参考形態4における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 参考形態5における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの、一部断面図。 参考形態5における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 参考形態6における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの、一部断面図。 参考形態6における、接地電極をX方向のX1側からX2側に向かって見たときの正面図。 参考形態6における、接地電極をY方向から見たときの側面図。 実施形態における、内燃機関用のスパークプラグの先端部周辺の拡大正面図。 実施形態における、接地電極の対向部を基端側から先端側に向かって見たときの、一部断面図。 実施形態における、接地電極をY方向から見たときの側面図。
(実施形態1)
内燃機関用のスパークプラグの実施形態につき、図1〜図12を用いて説明する。
本実施形態の内燃機関用のスパークプラグ1は、図1、図2に示すごとく、筒状のハウジング11と筒状の絶縁碍子12と中心電極2と接地電極3とを有する。絶縁碍子12は、ハウジング11の内側に保持されている。中心電極2は、先端部が突出するように絶縁碍子12の内側に保持されている。接地電極3は、中心電極2との間に火花放電ギャップGを形成する。
接地電極3は、立設部31と対向部32とを有する。立設部31は、ハウジング11の先端部からプラグ軸方向Zの先端側へ立設している。対向部32は、立設部31からプラグ径方向の内側へ延設されている。さらに、対向部32は、中心電極2とプラグ軸方向Zに対向している。
図2〜図5に示すごとく、対向部32は、線状に連続形成された電界集中部33を有する。電界集中部33の少なくとも一部は、起点誘導部331を構成している。図4に示すごとく、起点誘導部331は、立設部31の延設方向X及びプラグ軸方向Zの双方に直交する幅方向Yにおける対向部32の外側へ向かうほど、先端側に向かうよう傾斜している。図3に示すごとく、プラグ軸方向Zから見たとき、起点誘導部331における基端部331aは、対向部32の外周輪郭34の内側に位置している。
スパークプラグ1は、例えば、自動車、コージェネレーション等の内燃機関における着火手段として用いることができる。
以下において、便宜上、プラグ軸方向ZをZ方向といい、立設部31からの対向部32の延設方向XをX方向といい、X方向とZ方向との双方に直交する幅方向YをY方向という。Z方向において、ハウジング11の先端部から立設部31が立設した側を、先端側といい、その反対側を基端側という。また、X方向において、立設部31からの対向部32の延設側を、X1側といい、その反対側をX2側という。
図1に示すごとく、ハウジング11には、スパークプラグ1をエンジンヘッド10(図6参照)に取り付けるための取付ネジ部111が形成されている。絶縁碍子12は、先端部をハウジング11の先端側に突出させ、基端部をハウジング11の基端側に突出させつつハウジング11に保持されている。絶縁碍子12内における先端部に、中心電極2が保持されている。
中心電極2は、全体として略円柱形状を呈している。図2に示すごとく、中心電極2は、先端部に、貴金属からなる中心電極チップ21を有する。中心電極チップ21は、Ir合金やPt合金等の貴金属からなる。中心電極2は、その中心軸をスパークプラグ1の中心軸と一致させている。中心電極チップ21の先端面が、接地電極3の対向部32とZ方向に対向して、火花放電ギャップGを形成している。本実施形態において、中心電極チップ21の先端面の直径は、1.2mm以下である。
図1、図5に示すごとく、接地電極3は、長尺な板状の金属板材を、その厚み方向に曲げ加工してなる。接地電極3は、全体として略L字状を呈している。図3、図4に示すごとく、接地電極3を構成する金属板材は、その幅方向の両端面が、Y方向の外側に向かって膨らんだ湾曲面となっている。図1、図5に示すごとく、接地電極3を形成する際は、このような金属板材を、長手方向の一箇所において直角に屈曲させる。これにより、この屈曲部30を挟む両側の部位が、それぞれ、立設部31及び対向部32となる。このように屈曲形成された金属部材、すなわち接地電極3は、図1に示すごとく、立設部31側の端部において、ハウジング11の先端面に接合されている。
図1、図2に示すごとく、立設部31は、Z方向と平行に形成されている。また、立設部31の厚み方向は、プラグ径方向となっている。そして、対向部32は、立設部31の先端から屈曲部30を介してプラグ径方向の内側に向かって延設されている。対向部32の厚み方向は、Z方向となっている。なお、接地電極3は、例えば、Niを主成分とするNi基合金からなる。
図3〜図5に示すごとく、対向部32は、Z方向の基端側の面に、対向面320と第一傾斜面321と第二傾斜面322とを有する。対向面320は、Z方向に直交する。第一傾斜面321は、対向面320に対して傾斜している。第二傾斜面322は、第一傾斜面321のX1側に形成されている。さらに、第二傾斜面322は、対向面320に対して傾斜している。
第一傾斜面321は、Y方向における対向部32の外側へ向かうほど、Z方向の先端側へ向かうよう傾斜している。第二傾斜面322は、Y方向における対向部32の外側へ向かうほど、Z方向の先端側へ向かうよう傾斜している。さらに、第二傾斜面322は、X1側に向かうほど、Y方向における対向部32の内側へ向かうように傾斜している。第一傾斜面321と第二傾斜面322との境界が、凸状に形成されて起点誘導部331を構成している。図3、図4に示すごとく、対向部32は、Y方向に対称な形状を有する。そして、対向部32は、第一傾斜面321と第二傾斜面322とのそれぞれを一対ずつ有する。
図2に示すごとく、対向面320は、Z方向において、中心電極チップ21の先端面と対向している。すなわち、対向面320の少なくとも一部は、Z方向において、中心電極チップ21の先端面と重なる位置に形成されている。図3において、中心電極チップ21の先端面を接地電極3の対向面320上にZ方向に投影した投影輪郭20を、破線にて示している。
図3、図4に示すごとく、第一傾斜面321は、法線方向が、Z方向における基端側に向かうほど、Y方向における対向部32の外側に向かうよう傾斜している。また、第二傾斜面322は、法線方向が、Z方向における基端側に向かうほど、Y方向における対向部32の外側に向かうよう傾斜しているとともに、X方向におけるX1側に向かうよう傾斜している。
一対の第一傾斜面321は、Y方向における対向面320の両側に形成されている。図3、図5に示すごとく、第二傾斜面322は、対向部32におけるX方向のX1側端部に形成されている。また、一対の第二傾斜面322は、Y方向における対向面320の両側に形成されているとともに、第一傾斜面321のX1側に形成されている。第一傾斜面321と第二傾斜面322とは、互いにつながるよう形成されている。また、第二傾斜面322は、対向部32におけるX1側端面につながるよう形成されている。
図4に示すごとく、対向部32におけるZ方向の先端側の面は、Z方向に直交する方向に形成された直交面324と、Y方向における直交面324の両端に形成された一対の第三傾斜面323とを有する。第三傾斜面323は、第一傾斜面321及び第二傾斜面322におけるZ方向の先端側に形成されている。第三傾斜面323は、先端側に向かうほど、Y方向における対向部32の内側へ向かうよう傾斜している。第三傾斜面323は、第一傾斜面321及び第二傾斜面322とつながるよう形成されている。
第一傾斜面321、第二傾斜面322、及び第三傾斜面323は、それぞれ、対向部32の一部を平面状に切削されて、平面状に形成されている。
図3〜図5に示すごとく、電界集中部33は、第一傾斜面321と第二傾斜面322との境界の角、第二傾斜面322と第三傾斜面323との境界の角、及び第三傾斜面323と第一傾斜面321との境界の角、のそれぞれによって構成されている。電界集中部33は、例えば本実施形態のように、対向部32に連続した線状の角を形成することにより、その周囲の電界強度が対向部32の他の部位の周囲の電界強度よりも、比較的高くなる部位である。
第一傾斜面321と第二傾斜面322との境界の角は、上述の起点誘導部331を構成している。起点誘導部331は、上述のごとく、Y方向における対向部32の外側へ向かうほど、Z方向の先端側に向かうように傾斜した直線状に形成されている。さらに、本実施形態においては、起点誘導部331は、先端側へ向かうほど、X1側に向かうように傾斜した直線状に形成されている。
図3に示すごとく、Z方向から見たとき、起点誘導部331のZ方向の基端部331aは、対向部32の外周輪郭34の内側に位置している。換言すれば、Z方向から見たとき、起点誘導部331の基端部331aは、対向部32の外周輪郭34上に位置していない。また、Z方向から見たとき、起点誘導部331のZ方向の基端部331aは、X方向における、中心電極2の先端面の両端の間に位置している。すなわち、対向部32をZ方向の基端側から先端側に向かって見たとき、上述の中心電極2の投影輪郭20のX1側端部を通り、かつ、Y方向に平行な仮想直線をVL1とし、投影輪郭20のX2側端部を通り、かつ、Y方向に平行な仮想直線をVL2とする。このとき、起点誘導部331の基端部331aは、Z方向から見たとき、X方向における、仮想直線VL1と仮想直線VL2との間の領域に位置している。Z方向から見たとき、起点誘導部331の基端部331aは、Y方向における投影輪郭20の外側に隣り合う位置に形成されている。
便宜上、第二傾斜面322と第三傾斜面323との境界によって構成される電界集中部33を延設側角部332、第三傾斜面323と第一傾斜面321との境界によって構成される電界集中部33を反延設側角部333という。図5に示すごとく、延設側角部332及び反延設側角部333は、起点誘導部331から二股に分岐されている。延設側角部332と反延設側角部333とは、起点誘導部331から、互いに反対側に向かって延設されている。
図5に示すごとく、延設側角部332は、Z方向の先端側へ向かうほど、X1側へ向かうように傾斜すると共に、図3に示すごとく、Z方向の先端側へ向かうほど、Y方向における対向部32の内側へ向かうように傾斜した直線状に形成されている。
図5に示すごとく、反延設側角部333は、起点誘導部331から、X方向のX2側に向かって、X方向に平行な直線状に形成されている。
図3に示すごとく、Z方向から見たとき、第一傾斜面321における基端側の辺と、第二傾斜面322における基端側の辺とが、Y方向における対向部32の内側になす角度をθ1とする。すなわち、Z方向から見たとき、第一傾斜面321と対向面320との境界と、第二傾斜面322と対向面320との境界とが、Y方向における対向部32の内側になす角度がθ1である。また、Z方向から見たとき、第一傾斜面321における先端側の辺と、第二傾斜面322における先端側の辺とが、Y方向における対向部32の内側になす角度をθ2とする。すなわち、Z方向から見たとき、反延設側角部333と延設側角部332とが、Y方向における対向部32の内側になす角度がθ2である。本実施形態においては、θ1=θ2となっている。
図4に示すごとく、X方向から見たとき、一対の第一傾斜面321同士が、先端側になす角度をθ3とする。このとき、θ1、θ2、及びθ3は、それぞれ、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°、50°≦θ3≦82°、を満たす。さらに、本実施形態において、X方向から見たとき、一対の第二傾斜面322におけるX1側の辺同士が、先端側になす角度θ4は、50°≦θ4≦85°を満たす。
次に、図6、図7を用いて、本実施形態のスパークプラグ1を内燃機関に取り付けてなる点火装置100について説明する。
図7に示すごとく、スパークプラグ1は、Y方向が、火花放電ギャップGを通過する混合気の気流Fの方向となる姿勢で配されている。これにより、電界集中部33の一対の起点誘導部331のうちの一方は、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの下流側に向かうにつれて、先端側に向かうように傾斜するよう配される。なお、以下においては、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの下流側を、単に下流側といい、火花放電ギャップGを流れる混合気の気流Fの上流側を、単に上流側という。
図6に示すごとく、スパークプラグ1は、取付ネジ部111において、エンジンヘッド10に設けられた雌ネジ孔101に螺合されている。これにより、スパークプラグ1がエンジンヘッド10に締結固定されている。さらに、スパークプラグ1の先端部分が燃焼室内に配される。このとき、図7に示すごとく、スパークプラグ1の火花放電ギャップGに流れる混合気の気流Fの方向に対して、接地電極3の立設部31からの対向部32のX方向が直交するように、スパークプラグ1をエンジンヘッド10に取り付ける。
次に、図7を参照しつつ、火花放電ギャップG周辺の混合気の気流Fの様子について説明する。
火花放電ギャップGよりも上流側においては、Y方向に沿って気流が流れる。そして、スパークプラグ1を燃焼室に対して上述の姿勢で取り付けたことによって、混合気が火花放電ギャップGを通過する際、混合気の気流Fは、対向面320及び対向面320の下流側の第一傾斜面321及び第二傾斜面322に沿って滑らかに流れる。そのため、混合気の気流Fは、火花放電ギャップGを通過する際、下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向って曲げられる。そして、火花放電ギャップGの下流側においては、混合気の気流は、略Z方向に沿って、先端側に向って流れるようになる。
次に、図8〜図12を用いて、放電火花Sの起点が移動する様子の一例について説明する。
図8に示すごとく、中心電極2と接地電極3との間に所定の電圧を印加することにより、火花放電ギャップGに火花放電が生じる。そして、図8〜図11に示すごとく、火花放電によって生じた放電火花Sは、両起点間の部位が、気流によって経時的に下流側に引き伸ばされながら、経時的に放電火花Sの接地電極3側の起点が移動する。なお、以下において、放電火花Sの接地電極3側の起点を接地電極側起点S1ということもある。
図8に示すごとく、初期の火花放電は、中心電極2の先端面と、対向部32の対向面320を起点として生じる。すなわち、中心電極2と接地電極3の対向部32とは、中心電極チップ21の先端面と接地電極3の対向部32の対向面320との間の距離が最も小さくなり、中心電極チップ21の先端面と対向部32の対向面320との間が初期の火花放電の起点となりやすい。つまり、初期の火花放電における放電火花Sの接地電極側起点S1は、対向面320に形成される。
次に、接地電極側起点S1は、図9に示すごとく、気流に押されて、対向部32の対向面320から、対向面320の下流側の起点誘導部331の基端部331aに移動する。そして、図10に示すごとく、接地電極側起点S1は、さらに気流に押されて、起点誘導部331上を這うように、下流側に移動する。これに伴い、接地電極側起点S1は、先端側に移動する。そして、図11に示すごとく、接地電極側起点S1は、起点誘導部331における延設側角部332及び反延設側角部333の分岐点、すなわち、起点誘導部331の先端部に移動する。
なお、便宜上、図12において、図8のときの接地電極側起点S1を符号S11にて表しており、図9のときの接地電極側起点S1を符号S12にて表しており、図10のときの接地電極側起点S1を符号S13にて表しており、図11のときの接地電極側起点S1を符号S14にて表している。すなわち、図12においては、各サイクルにおいて、接地電極側起点S1が、経時的に、S11、S12、S13、S14の順にて移動することを示している。
次に、図示は省略したが、起点誘導部331における延設側角部332及び反延設側角部333の分岐点に到達した接地電極側起点S1は、延設側角部332及び反延設側角部333のいずれかに移動する。接地電極側起点S1が延設側角部332に移動するか、反延設側角部333に移動するかは、上記分岐点付近の気流の向きによって変わる。すなわち、上記分岐点付近において、気流がX2側からX1側に向かえば、上記分岐点に達した接地電極側起点S1は、延設側角部332に移動する。一方、上記分起点付近において、気流がX1側からX2側に向かえば、上記分岐点に達した接地電極側起点S1は、反延設側角部333に移動する。
以上のように、接地電極側起点S1が移動する。そして、図8〜図11に示すごとく、上述の接地電極側起点S1の移動に伴い、放電火花Sは、両起点間の直線距離を拡大するとともに、両起点間の部位が下流側、すなわち斜め先端側に大きく引き伸ばされる。
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
内燃機関用のスパークプラグ1において、対向部32は、線状に連続形成された電界集中部33を有する。そして、電界集中部33の少なくとも一部は、Y方向における対向部32の外側へ向かうほど、先端側に向かうよう傾斜した起点誘導部331を有する。それゆえ、対向部32における起点誘導部331の位置が、火花放電ギャップGを通過する混合気の下流側の位置となるような向きにスパークプラグ1を燃焼室に配置することにより、スパークプラグ1から混合気への着火性を向上させることができる。そのメカニズムについては、以下のように考えることができる。
すなわち、放電火花Sの接地電極3側の起点は、まず、周囲の電界強度が高くなる電界集中部33である起点誘導部331の基端部331aに達する。そして、放電火花Sの接地電極3側の起点は、燃焼室内の混合気の気流に流されて、起点誘導部331に沿ってY方向における対向部32の外側へ移動することで、Z方向の先端側へ移動することとなる。つまり、放電火花Sの接地電極3側の起点は、中心電極2側の起点との直線距離を拡大するように移動することとなる。これにより、放電火花Sの両起点間の部位を、燃焼室内の混合気の下流側に大きく引き伸ばしやすくなる。その結果、放電火花Sから混合気への着火性を向上させることができる。
また、Z方向から見たとき、起点誘導部331におけるZ方向の基端部331aは、対向部32の外周輪郭34の内側に位置している。それゆえ、初期の火花放電の接地電極3側の起点と、起点誘導部331の基端部331aとを近付けやすい。これにより、火花放電ギャップGに生じた放電火花Sの接地電極3側の起点を、確実に起点誘導部331の基端部331aから電界集中部33上へ導くことができる。それゆえ、上述の着火性向上の効果を、より確実に得ることができる。
また、Z方向から見たとき、起点誘導部331の基端部331aは、X方向における、中心電極2の先端面の両端の間に位置している。それゆえ、初期の火花放電の接地電極3側の起点と、起点誘導部331の基端部331aとを、一層近付けやすい。それゆえ、上述の着火性の向上の効果を、さらに確実に得やすい。
また、対向部32は、基端側の面に、対向面320と第一傾斜面321と第二傾斜面322とを有する。それゆえ、火花放電ギャップGを流れる混合気は、対向面320、第一傾斜面321及び第二傾斜面322に沿って滑らかに流れる。そして、混合気の気流は、火花放電ギャップGを通過する際、下流側に向かうにつれて徐々に先端側に向かって曲げられる。そして、火花放電ギャップGの下流側周辺においては、混合気がZ方向に沿って基端側から先端側に向かって流れるようになる。これにより、火花放電ギャップGに生じた火花放電は、火花放電ギャップGの下流側周辺において先端側に向かって引き伸ばされやすくなる。そのため、気流によって引き伸ばされる放電火花を、エンジンヘッド10から先端側に遠ざけることができる。その結果、放電火花から混合気へ着火されることにより生じた火炎の熱が、エンジンヘッド10に奪われることを抑制し、火炎を延長させやすい。
さらに、対向部32が第一傾斜面321及び第二傾斜面322を有することにより、対向部32の体積の増加を抑制できる。そのため、生じた火炎が接地電極3に熱を奪われることによる冷損を抑制することができる。これにより、火炎の成長が阻害されることを抑制することができる。さらに、対向部32によって、混合気の気流の流れが乱されることを抑制しやすい。これによっても、放電火花を引き伸ばしやすい。
また、第一傾斜面321と第二傾斜面322との境界が、凸状に形成されて起点誘導部331を構成している。それゆえ、起点誘導部331を形成しやすい。
また、θ1、θ2、及びθ3は、それぞれ、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°、50°≦θ3≦82°、を満たす。θ1≧120°、θ2≧120°を満たすことにより、対向面320において第一傾斜面321、第二傾斜面322を形成しやすい。また、θ1≦150°、θ2≦150°を満たすことにより、起点誘導部331周辺において、火花放電の接地電極側起点S1が起点誘導部331上を安定して移動するのに十分な電界強度を確保することができる。また、50°≦θ3≦82°を満たすことにより、第一傾斜面321周辺において、放電火花を充分に引き伸ばすことのできる流速を確保することができる。それゆえ、θ1、θ2、及びθ3が上記の数値範囲内にあることにより、一層混合気への着火性の向上を図ることができる。
以上のごとく、本実施形態によれば、混合気への着火性を向上させることができる内燃機関用のスパークプラグを提供することができる。
(実験例1)
本例は、図13に示すごとく、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様とするスパークプラグにおいて、図3に示すθ1及びθ2の値を種々変更したときの、起点誘導部331周辺の電界強度を解析した例である。
本例においては、θ1=θ2としつつ、これらの値を、120°、125°、130°、135°、140°、145°、150°、155°、160°、165°とした10個の試料を用意した。
そして、各試料において、中心電極2と接地電極3との間に点火電圧を印加したときの、起点誘導部331周辺の電界強度(kV/mm)を解析した。その結果を、図13に示す。
図13から、θ1及びθ2の値が小さくなるほど、起点誘導部331周辺の電界強度は高くなることがわかる。そして、θ1及びθ2が150°以下の試料は、起点誘導部331周辺の電界強度が、20kV/mmを超えることが分かる。起点誘導部331周辺の電界強度が、20kV/mm以上あれば、放電火花Sの接地電極側起点S1が起点誘導部331上を安定して移動するのに十分である。また、θ1及びθ2は、接地電極3の耐火花消耗性向上の観点から、120°以上とすることが好ましい。それゆえ、θ1及びθ2は、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°を満たすことが好ましい。さらに、製造上の観点から、θ1=θ2を満たすことがより好ましい。
(実験例2)
本例は、図14に示すごとく、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様とするスパークプラグにおいて、θ3の値を種々変更したときの、以下で定義する「接地後流速」への影響につき、解析した実験例である。「接地後流速」は、図15に示すごとく、火花放電ギャップGにおける接地電極3の対向面320を通過し、第一傾斜面321付近を流れる気流の流速であって、第一傾斜面321の傾斜方向と平行な方向(すなわち、図15において矢印にて表した方向)における速度である。
本例においては、図14に示すごとく、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様としつつ、θ3を、49°、51°、55°、60°、70°、75°、80°、85°、88°とした9個の試料を用意した。
そして、Y方向が、火花放電ギャップGにおける気流の方向と平行となる姿勢で、各試料を燃焼室内に取り付けた場合を想定した。
また、各試料の火花放電ギャップGに向かって、Y方向に流速20m/sの気流を流したときの、対向面320の下流側の第一傾斜面321付近の流速を解析した。その結果を、図14に示す。
図14からわかるように、θ3が50°を下回ると、急激に接地後流速が低下していることが分かる。これは、θ3の角度が50°を下回ると、接地電極3の表面を通過する気流が、第一傾斜面321から大きく剥離してしまうことによると考えられる。また、θ3が85°を上回っても、急激に接地後速度が低下していることが分かる。これは、θ3が85°を上回ると、接地電極3の表面付近において、Y方向に平行に通過する気流が増加し、第一傾斜面321に沿って流れる気流が減ることによるものと考えられる。以上により、θ3は、50°≦θ3≦85°を満たすことが、接地後流速を確保する観点から好ましい。接地後流速を確保できると、火花放電を引き伸ばしやすくなり、混合気への充分な着火性を確保できる。
(実験例3)
本例は、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様とするスパークプラグにおいて、θ1、θ2、θ3の値を種々変更した複数の試料を用意し、各試料につき、起点誘導部331周辺の電界強度、上記接地後流速を解析すると共に、後述する起点移動距離D及び放電長さLを測定した実験例である。さらに、各試料につき、放電効率の観点から評価を行った。
ここで、起点移動距離Dは、図16に示すごとく、各サイクルにおける、起点誘導部331の基端部331aの位置の接地電極側起点S1sから、放電火花Sが気流によって吹き消される直前の接地電極側起点S1eの間の、Z方向の距離である。また、図17に示すごとく、放電長さLは、放電火花Sが気流によって吹き消される直前の、火花放電ギャップGにおけるZ方向の中心部と、放電火花Sとの間の最長の長さである。
本例においては、以下の表1に示すごとく、基本構造を実施形態1のスパークプラグ1と同様としつつ、θ1、θ2、及びθ3の値を種々変更した4つの試料1〜試料4を用意した。試料1はθ1を150°、θ2を150°、θ3を81.5°とし、試料2はθ1を165°、θ2を165°、θ3を47°とし、試料3はθ1を150°、θ2を150°、θ3を47°とし、試料4はθ1を165°、θ2を165°、θ3を81.5°としている。
起点移動距離Dの測定、及び、放電長さLの測定に関する実験においては、各試料を、燃焼室を模した試験装置に取り付けた。各試料は、各試料の火花放電ギャップGを通過する気流の向きが、Y方向となるような姿勢で試験装置に取り付けた。そして、装置内の圧力を0.5MPaとし、各試料の火花放電ギャップGに向かって、流速5m/sの混合気を流した。かかる条件の下、火花放電ギャップGに生じた放電火花Sの起点移動距離D及び放電長さLを20サイクル繰り返して測定し、その平均値を表1に記載した。
また、上述の放電効率の評価は、放電長さLが5mm以上となるものをAと評価し、放電長さLが、4.3mm以上5mm未満となるものをBと評価し、放電長さLが、4.3未満となるものをCと評価した。結果を、表1に示す。
Figure 0006731298
表1から分かるように、θ1、θ2、及びθ3が、それぞれ、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°、50°≦θ3≦85°、の要件を満たす試料1は、当該要件を見たさない試料2〜試料4と比べて、起点移動距離D、放電長さLの値が大きくなっているとともに、評価が唯一「A」となっていることが分かる。それゆえ、θ1、θ2、及びθ3が、それぞれ、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°、50°≦θ3≦85°、を満たすことにより、起点移動距離D、放電長さLを長くすることができるとともに、放電効率の観点からも好ましいことが分かる。これに伴い、θ1、θ2、及びθ3が、それぞれ、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°、50°≦θ3≦85°を満たすことにより、混合気への着火性を向上させることができる。
(実験例4)
本例は、図18に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとにおいて、後述する放電効率(%)を比較した例である。放電効率は、中心電極2と接地電極3との間に火花放電を生じさせるための電気エネルギーをEeとし、火花放電ギャップGに生じた放電火花Sから混合気へ伝熱する熱エネルギーをEtとした場合、放電効率=Et/Ee、で表される。すなわち、熱エネルギーEtは、火花放電によって生じた熱エネルギーがスパークプラグ1の接地電極3、中心電極2等に冷損として奪われた熱エネルギーを、上記電気エネルギーEeから除いたもの、に相当する。
本試験においては、実施形態1に示したスパークプラグ1と同様のスパークプラグである試料Aと、従来のスパークプラグである比較試料との2つの試料を用意した。比較試料は、いわゆる針針プラグである。すなわち、比較試料は、接地電極における、中心電極チップとプラグ軸方向に対向する位置に、貴金属を円柱状に形成してなるチップを配置してなる。また、比較試料は、実施形態1のスパークプラグ1の対向部32に相当する部位が、四角柱状に形成されており、起点誘導部331が形成されていない。
そして、各試料を、実験例3と同様に、燃焼室を模した試験装置に取り付けた。そして、実験例3と同様、装置内の圧力を0.5MPa、各試料の火花放電ギャップGに向かって流す混合気の流速を5m/sとした。かかる条件の下、放電を20サイクル繰り返して放電効率を計測し、その平均値を放電効率として図18に示した。
図18に示すごとく、比較試料の放電効率は57%となった一方、試料Aの放電効率は62%となった。すなわち、試料Aは、比較試料と比べ、放電効率が5%向上していることが分かる。これにより、スパークプラグの接地電極の形状を実施形態1に示したものとすることにより、従来のスパークプラグと比べ、放電効率が向上することが分かる。
(実験例5)
本例は、図19に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとにおいて、放電長さLを比較した例である。
本例においては、実験例4で示した試料A、及び、比較試料と同じものを用意した。そして、各試料を、実験例4と同様に、試験装置に取り付けるとともに、実験例4と同じ試験条件にて、放電長さLを測定した。本例においては、放電長さLの測定を、10サイクル繰り返して行い、その平均値を放電長さLとして図19に記載した。
図19に示すごとく、比較試料の放電長さLは4mmとなった一方、試料Aの放電長さLは5.5mmとなった。すなわち、試料Aの放電長さLは、比較試料の放電長さLに対して、約38%、放電長さLが増えた。これにより、スパークプラグ1の接地電極3の形状を実施形態1に示したものとすることにより、従来のスパークプラグと比べ、放電長さLが長くなることが分かる。
(実験例6)
本例は、図20に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとを、それぞれエンジンに取り付け、着火性を比較した例である。着火性の評価は、リーン限界A/Fを指標として行った。つまり、各試料を取り付けた内燃機関において、混合気の空燃比(すなわち、A/F)を徐々に変化させて、着火できる限界の空燃比(すなわち、リーン限界A/F)を測定した。
本例においても、実験例5と同様、試料Aと比較試料とを用意した。そして、本例においては、各試料を排気量1800ccの4気筒エンジンに取り付けた。そして、エンジン回転数1200rpm、回転トルク72N・mの条件にて運転した。結果を図20に示す。
図20から分かるように、比較試料のリーン限界A/Fは24.5となった一方、試料Aの放電長さLは25.2となった。すなわち、試料Aのリーン限界A/Fは、比較試料のリーン限界A/Fに対して、約2.8%増加した。これにより、スパークプラグの接地電極の形状を実施形態1に示したものとすることにより、従来のスパークプラグと比べ、リーン限界A/Fが向上する、すなわち着火性が向上することが分かる。
(実験例7)
本例は、図21に示すごとく、実施形態1のスパークプラグ1と、従来のスパークプラグとを、それぞれエンジンに取り付け、放電長さLを比較した例である。
本例においても、試料Aと比較試料とを用意した。そして、各試料を、実験例6と同様のエンジンに取り付け、実験例6と同じ試験条件で運転をした。結果を図21に示す。
図21から、比較試料の放電長さLは3.4mmとなった一方、試料Aの放電長さLは3.9mmとなった。すなわち、試料Aの放電長さLは、比較試料の放電長さLに対して、約15%増加した。これにより、スパークプラグの接地電極の形状を実施形態1に示したものとすることにより、従来のスパークプラグと比べ、放電長さLが長くなることが分かる。
(実施形態2)
本実施形態は、図22、図23に示すごとく、実施形態1に対して、対向部32の形状を変更した実施形態である。すなわち、本実施形態においては、対向部32に、実施形態1に示した第三傾斜面(図4、図5の符号323参照)が形成されていない。本実施形態において、対向部32におけるY方向の両側の面であって、第一傾斜面321及び第二傾斜面322の先端側の面は、曲面状に形成されている。
本実施形態において、第一傾斜面321の先端側の辺が反延設側角部333となっており、第二傾斜面322の先端側の辺が延設側角部332となっている。そして、実施形態1と同様、第一傾斜面321と第二傾斜面322との境界の角が、起点誘導部331を構成している。
その他は、実施形態1と同様である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
参考形態1
本形態は、図24、図25に示すごとく、対向部32が、貴金属からなる接地チップ325を有する形態である。そして、接地チップ325が、起点誘導部331を構成している。
対向部32は、対向面320におけるY方向の両側に、一対の後退面326を有する。後退面326は、Y方向において対向面320から遠ざかるほど、先端側に向かうように傾斜した平面である。後退面326は、対向面320におけるX1側の端面とつながるよう形成されている。
そして、後退面326に接地チップ325が接合されている。接地チップ325は、Pt、Ir等の貴金属あるいはその合金によって構成されている。接地チップ325は、本形態において、接地チップ325は、四角柱形状を有する。接地チップ325は、正方形状を有する一対の底面と、一対の底面同士を連結する、長方形状の4つの側面と、を有する。隣接する側面間の境界は、チップ角部325aを構成している。接地チップ325は、4つのチップ角部325aを有する。
図24に示すごとく、接地チップ325の基端部は、Z方向から見たとき、中心電極2の先端面の、X方向の両端の間に位置している。接地チップ325は、Y方向における投影輪郭20の外側に配されている。図25に示すごとく、接地チップ325は、チップ角部325aが、Y方向において対向部32の外側に向かうほど、Z方向において先端側に向かうよう傾斜する向きとなるような姿勢で、後退面326に接合されている。接地チップ325は、4つのチップ角部325aの1つにおいて、後退面326に、抵抗溶接等によって接合されている。そして、4つのチップ角部325aのうち、後退面326に接合されたチップ角部325a以外のチップ角部325aのそれぞれが、起点誘導部331を構成している。
その他は、実施形態1と同様である。
本形態においては、起点誘導部331を貴金属からなる接地チップ325によって構成しているため、電極消耗を抑制することができ、スパークプラグ1の寿命を延ばすことができる。また、接地電極3の母材の形状を簡素化しやすい。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
参考形態2
本形態は、図26、図27に示すごとく、参考形態1に対して、接地チップ325の形状を変更した形態である。すなわち、本形態において、接地チップ325は、三角柱形状を有する。そして、本形態において、接地チップ325は、一つの側面において、後退面326に接合されている。そして、接地チップ325は、後退面326に接合されていない2つの側面間の境界のチップ角部325aが、起点誘導部331を構成している。
その他は、参考形態1と同様である。
本形態においても、参考形態1と同様の作用効果を有する。
参考形態3
本形態は、図28、図29に示すごとく、参考形態1に対して、対向部32の形状を変更した形態である。本形態において、対向部32は、略四角形柱状に形成されており、後退面(図24、図25の符号326参照)が形成されていない。そして、接地チップ325は、対向部32におけるY方向の両側の側面に接合されている。接地チップ325は、参考形態1と同様、四角柱形状を有する。そして、接地チップ325は、チップ角部325aにおいて、対向部32と接合されている。
その他は、参考形態1と同様である。
本形態においても、参考形態1と同様の作用効果を有する。
参考形態4
本形態は、図30、図31に示すごとく、参考形態1参考形態2で示した後退面326の形状を変更した形態である。本形態の対向部32は、参考形態1参考形態2で示した一対の後退面326を有する。そして、本形態において、対向面320には、後述する突起部327が形成されている。
突起部327は、後退面326の一部が、後退面326の法線方向に突出するよう凸状に形成されている。突起部327の突出側端部は、角状に形成されている。本形態においては、突出部327の突出側角部は、鋭角に形成されている。突起部327の突出側端部は、Y方向における対向部32の外側に向かうほど、先端側に向かうよう傾斜した直線状に形成されている。突起部327の基端部は、Z方向から見たとき、中心電極2の先端面におけるX方向の両端の間に位置している。そして、突起部327の突出側端部の角が、起点誘導部331を構成している。なお、本形態においては、参考形態1参考形態2で示したような接地チップ(図24〜図27の符号325参照)が配置されていない。
その他は、参考形態1参考形態2と同様である。
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
参考形態5
本形態は、図32、図33に示すごとく、参考形態4で示した突起部327の形状を変更した形態である。本形態において、突起部327の突出側端部は、曲面状に形成されている。突起部327の突出側端部は、曲率半径が、0.275mm〜0.5mm程度の小さい曲率半径となるよう形成されている。これにより、突起部327の周囲は、電界が集中しやすく構成されている。なお、本形態において、突起部327の突出側端部の曲率半径は、0.35mmとしている。
その他は、参考形態4と同様である。
本形態においても、参考形態4と同様の作用効果を有する。
参考形態6
本形態は、図34〜図36に示すごとく、実施形態1に対して、対向部32の形状を変更した形態である。本形態において、対向部32は、X方向のX1側端部であってZ方向の基端側端部のY方向の両側部に、一対の平坦面329が形成されている。平坦面329は、対向部32における、X1側端部であって基端側端部の、Y方向の両側の角部が、斜めに切削されて形成されている。平坦面329は、Y方向における対向部32の外側に向かうほど、先端側に向かうよう傾斜している。さらに、平坦面329は、X1側に向かうほどY方向における対向部32の内側に向かうよう傾斜している。
本形態において、平坦面329とY方向における対向部32の側面との境界が、電界集中部33を構成している。図36に示すごとく、電界集中部33は、Y方向から見たとき、X2側に凸となるよう湾曲した曲線状を呈している。そして、電界集中部33の基端側の部位が起点誘導部331を構成している。
その他は、実施形態1と同様である。
本形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
(実施形態
本実施形態は、図37〜図39に示すごとく、実施形態1に示したスパークプラグ1に対して、貴金属からなる接地チップ328を配置した実施形態である。接地電極3の基本形状は、実施形態1と同様である。そして、対向面320における、中心電極チップ21とZ方向に重なる位置に、接地チップ328が配置されている。本実施形態において、接地チップ328は、Z方向に厚みを有する円盤状に形成されている。図38に示すごとく、接地チップ328は、Z方向から見たとき、一対の起点誘導部331の基端部331aの間に配されている。また、接地チップ328は、Z方向から見たとき、一対の第一傾斜面321の間、及び、一対の第二傾斜面322の間に配されている。
その他は、実施形態1と同様である。
本実施形態においても、実施形態1と同様の作用効果を有する。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
1 内燃機関用のスパークプラグ
2 中心電極
3 接地電極
31 立設部
32 対向部
33 電界集中部
331 起点誘導部
331a (起点誘導部の)基端部
34 外周輪郭
G 火花放電ギャップ

Claims (4)

  1. 筒状のハウジング(11)と、
    該ハウジングの内側に保持された筒状の絶縁碍子(12)と、
    先端部が突出するように上記絶縁碍子の内側に保持された中心電極(2)と、
    該中心電極との間に火花放電ギャップ(G)を形成する接地電極(3)と、を有し、
    該接地電極は、上記ハウジングの先端部からプラグ軸方向(Z)の先端側へ立設した立設部(31)と、該立設部からプラグ径方向の内側へ延設され、上記中心電極とプラグ軸方向に対向する対向部(32)と、を有し、
    該対向部は、線状に連続形成された電界集中部(33)を有し、
    該電界集中部の少なくとも一部は、上記立設部の延設方向(X)及びプラグ軸方向の双方に直交する幅方向(Y)における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側に向かうよう傾斜した起点誘導部(331)を有し、
    プラグ軸方向から見たとき、上記起点誘導部におけるプラグ軸方向の基端部(331a)は、上記対向部の外周輪郭(34)の内側に位置しており、
    上記対向部は、プラグ軸方向の基端側の面に、プラグ軸方向に直交する対向面(320と、該対向面に対して傾斜した第一傾斜面(321)と、該第一傾斜面における上記対向部の延設側に形成されるとともに、上記対向面に対して傾斜した第二傾斜面(322)とを有し、
    上記第一傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しており、
    上記第二傾斜面は、上記幅方向における上記対向部の外側へ向かうほど、プラグ軸方向の先端側へ向かうよう傾斜しているとともに、上記延設方向における上記対向部の延設側に向かうほど、上記幅方向における上記対向部の内側へ向かうように傾斜しており、
    上記第一傾斜面と上記第二傾斜面との境界が、凸状に形成されて上記起点誘導部を構成している、内燃機関用のスパークプラグ(1)。
  2. プラグ軸方向から見たとき、上記起点誘導部のプラグ軸方向の基端部は、上記延設方向における、上記中心電極の先端面の両端の間に位置している、請求項1に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
  3. 上記対向部は、上記幅方向に対称な形状を有するとともに、上記第一傾斜面と上記第二傾斜面とのそれぞれを一対ずつ有し、プラグ軸方向から見たとき、上記第一傾斜面における基端側の辺と、上記第二傾斜面における基端側の辺とが、上記幅方向における上記対向部の内側になす角度をθ1、上記第一傾斜面における先端側の辺と、上記第二傾斜面における先端側の辺とが、上記幅方向における上記対向部の内側になす角度をθ2、上記延設方向から見たとき、一対の上記第一傾斜面同士が、先端側になす角度をθ3としたとき、θ1、θ2、及びθ3は、それぞれ、120°≦θ1≦150°、120°≦θ2≦150°、50°≦θ3≦85°、を満たす、請求項1又は2に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
  4. 上記対向部は、貴金属からなる接地チップ(325)を有し、該接地チップが上記起点誘導部を構成している、請求項1〜のいずれか一項に記載の内燃機関用のスパークプラグ。
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